「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2009年01月11日

【ガザ攻撃】1月7日、ラファに対する空爆―― Rafah Kidさんのブログ記事と爆撃後の町の映像、そしてイスラエル軍のビラの内容

ガザ地区南部、ラファ。何時間か前まで建物だった物体が散乱する通りを、力なくというか、諦念の塊のような様子で黙ってカメラの前を通り過ぎる人たちの中に、うちらには非常に馴染み深いロゴの入ったTシャツを着た男性がいます――濃い青と薄い青の縞の上に、「MILD SEVEN」の文字。

▼ちょっと業務連絡▼

@rafahkid This T-shirt is Japanese. Mild Seven is a Japanese cigarette brand. A few years ago, a Palestinian boy (in Gaza or the West Bank) in a Japanese football shirt was shown on TV or newspaper. The football shirt was of a relatively small club called Shonan Belle Mare, which Hidetoshi Nakata used to be on, and a lot of people were pretty impressed. These shirts clearly show that clothes from Japan are delivered to Palestine.

Below, I basically tell about the ISM film (on your website, on YouTube and on the Guardian website) and translate your blog post on 8 January 2009.

▲ここまで業務連絡▲

Rafahkid blogが、1月7日にラファが受けた激しい攻撃について、またその前に撒かれたビラについて報告しています。

Thursday, January 8, 2009
Citizens of Rafah (you are doomed)
http://rafahkid.blogspot.com/2009/01/citizens-of-rafah-you-are-doomed.html

最初に、7日の攻撃の直後に彼らが攻撃を受けたエリアで撮影し、住民にインタビュー取材した映像のDLリンクがあります。(リンクは2週間有効なので22日には切れます。)上記の「マイルドセブン」Tシャツは、このビデオの2分過ぎで見ることができます。
https://rcpt.yousendit.com/640013472/641372b1adedb16ee5c6148482bb9a12

これはぜひ見るべき映像。爆撃されたのは明らかに民家で、人々が瓦礫の山から布団とか枕とかを掘り出して運搬しようとしています。ロバが引く馬車で。あと、私が見ても猫に小判だけど、家の中に不発弾がごろんと転がっているのが撮影されていたりします。

※映像は長さ12:37、ファイルサイズは150MBほどで、Windows Media Player形式。WMPが見られる環境がない人はVLCメディアプレイヤーを入れてください。

また、これを7:45に編集したのがYouTubeにあがっているとRafah Kidが10日に書いています。

http://www.youtube.com/watch?v=mnXsxDYUTCI


マイルドセブンTシャツの男性は2:15くらいでカメラの前を横切ります。

彼のブログの映像は(ISMの映像なんだけど)メディアも自由に使えるということで提供されていて、上記の映像を短く編集して英語字幕をつけたものが、ガーディアンにアップされている。こちらは2:50。
http://www.guardian.co.uk/world/video/2009/jan/08/rafah

これの英語解説&字幕の内容:

開始から30秒までのナレーションの内容:
これらの映像は、エジプト国境の近くであるラファで昨日撮影されたものです。イスラエルの攻撃で2つの街区が破壊されました。攻撃に先立ちイスラエルの戦闘機 war planesが住民に対し退去を命令するビラをまきました。イスラエルは民家はハマスによって武器の保管などに使われているとしています。これにより推定5000人が避難、多くは避難所として整備された2軒の国連学校に身を寄せました。

00:32(50歳くらいの男性)
Look here, there are explosives here and part of the bomb did not explode
見てくださいほら、爆発物が。不発だったんです、ここが。

00:39
if the rest ot the bomb had exploded it would have blown up the whole house.
もし爆弾全体が爆発していたら、家全体が吹き飛んでいたでしょう。

00:50(アバヤ姿の女性)
Have you seen what happened? I don't know what to say
見ましたか、何が起きたか。言葉もありません。

00:54
The pictures speak for themselves. Look what happened, film it.
映像は雄弁に物語ります。この光景を見て、撮影してってください。

00:55
Show it to the whole world. Show it to the whole Arab world.
全世界に見せてやってください。アラブ世界全体に見せてください。

00:58
This is what happened. This is what has happened. We have been destroyed.
これが実際に起きたことです。こういうことなんです。私たちは破壊されたんです。

01:01
Me and my 12 children, we have become homeless. Me, my husband and my sons.
私もうちの12人の子供たちも、家をなくしてしまいました。私も、夫も、息子たちも。

01:05
God knows. I have no shelter now only the street.
どうなるんでしょう。行き場はありません。路上生活しか。

01:10
No, no schools. I would prefer stay in the street rather than sitting in the schools.
いやいや、学校はだめ。学校で座っているよりは路上にいたほうがましです。

01:15
Have you seen what had happened in Jabaaiyia in the schools? What are we going to do there?
ジャバリヤで学校に何が起きたか、ご覧になったでしょう。あんなところでどうしろっていうんです。

01:20
Die there? We are running away of death to another death.
そこで死ねと? ひとつの死から逃れたらそこには別の死が待ち受けているんですよ。

01:22(ルックスが「アラブのショーン・コネリー」風の男性)
Yes, I'm telling you. The events in 2004, 23 January 2004. They are the same events.
そう、2004年なんだよ、2004年1月23日にあったこと。あれと同じだね。

01:30
Now, we are in January 2009. Can you see what is happening to us?
2009年1月になって、私らがどういう目にあってるか。

01:34
The same actions are repeated by the occupation. The Zionist occupation not Israeli occupation.
同じことが占領軍によって繰り返されている。シオニストの占領軍だ、イスラエルの占領軍じゃなくて。

01:40
It is a Holocaust against us. More than the Holocaust, more than what Hitler did.
これは私らに対するホロコーストですよ。ホロコースト以上。ヒトラーがやったの以上です。

01:49
They are doing this without any warning. It's complete destruction, can you see?
これをやったんですから、警告もなしに。完全な破壊、わかるでしょう。

01:59
Since last night, F-16 planes have destroyed nearly 180 houses.
昨晩以降、F-16は180軒近くの家を破壊しました。

02:05
Now, there might be a bombing, my house was over there, near Salah al-Din gate.
また爆撃があるかもしれない。私の家はあそこにあったんですよ、サラハ・アッディン門の近くに。

02:12
On 23 January 2004 they destroyed my house and now as you see, the destruction is repeated.
2004年1月23日、私の家は破壊されました。そして今も、おわかりでしょう、破壊は繰り返されている。

02:16
It was at random, without warning while people were sleeping at night.
標的など定めていなかったんです、警告もなかった。人々は夜で就寝中でした。

02:22
The planes were bombing them while they were in their homes.
人々が家の中にいるときに飛行機は爆撃したんです。

02:29
You see the bombing. This is the situation, the bombing will be resumed soon.
爆撃、見たでしょう。こういう状況なんです。すぐにまた爆撃が行なわれる。


Rafah kidはこの「ショーン・コネリー風」の人(お名前はAbu Jamil)について、2004年に家を破壊されて引っ越したけれど、この7日の攻撃後に様子を確認し、親戚の避難を手伝うためにここに来た、と説明している。

2004年のラファについては既に日本語で情報があるのでご参照ください。
http://palestine-heiwa.org/rafah/rafah_today.html
http://palestine-heiwa.org/doc/mohtoday_jan25.html

こういうコンテクストを踏まえると、ラファの人たちにとっての2008年12月からのイスラエル軍の攻撃が「ハマス」とは関係ないものだということがわかります。「ラファの人たちにとっての」という限定句がなくても同じかもしれません。

Rafah kid blogから:
昨日、ラファに対し、これまでで最も激しい規模の空爆が行なわれた。多くの家が全壊または半壊している。特にエジプトとの国境に沿った地域がひどい。これらの地域では、住民たちが、昨日の午後イスラエルの飛行機が大量にビラをまいたと報告している。数千人という人々に自宅を出るよう命令する内容のビラだ。その結果、大量の人々が退避することになった。以下は昨日投下されたビラの翻訳(英訳)である。
"Citizens of Rafah
ラファの皆さんへ

Due to Hamas using your houses to smuggle and store ammunition, the Israeli Defence Force will attack your homes from Sea Street to the Egyptian border. To the people who live in these areas: Block O, Al Brazil camp, Al Shora area and Qishta area, all homes beyond Sea Street must be evacuated. You have from the time you receive this leaflet until 7.00am the following morning. For you and your children's safety follow what this leaflet says.

ハマスがあなたがたの家を弾薬を密かに運び込み保管しておくのに利用しているので、イスラエル防衛軍はシー・ストリートからエジプト国境にかけてのあなたがたの家を攻撃します。以下の地域に住んでいる方々――ブロックO、アル・ブラジル・キャンプ、アル・ショラ地区、キシュタ地区、シー・ストリートを超えたところにあるすべての家は無人にされなければなりません。このビラを受け取ってから翌朝7時までの時間があります。あなたと子供たちの安全のため、このビラの指示に従ってください。

The leadership of the Israeli Defence Force"
イスラエル防衛軍司令部


人々がこんなことが本当だと信じるなんて。すべての世帯がハマスの家だなんて……この嘘もどうかしているけれど、こんなのを信じる人たちのほうがもっとどうかしている。

Posted by RafahKid at 6:19 PM


以上、日本語化に時間がかかってすみませんでした。

Rafah kidさんのブログとtwitterは下記で。
http://rafahkid.blogspot.com/
http://twitter.com/rafahkid

※この記事は

2009年01月11日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 12:44 | TrackBack(0) | i dont think im a pacifist/words at war | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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▼当ブログで参照・言及するなどした書籍・映画などから▼