「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

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2008年12月18日

両チーム合わせて8得点……ははは、Oh come on, this is ridiculous haha.

BBC Newsのトップページには「ルワンダ虐殺のマスターマインドに有罪」とか、「イラク内務省、防衛省職員、まとめてどかんと逮捕」とか、「インド、クリケットのツアーを中止、パキスタンとの関係悪化で」とかいったニュースが並んでいるのですが、とりあえずはこれ。



BBC:
http://news.bbc.co.uk/sport2/hi/football/teams/m/man_utd/7789312.stm

the Guardian:
http://www.guardian.co.uk/football/2008/dec/18/worldclubchampionship-manchesterunited
試合の中継も見てました。すごいおもしろかった。うるさい実況が聞こえなくなるほど試合がおもしろかった。いやぁ、いつ見てもいいねぇ、ピッチサイドでファーガソンが呆然として固まってる姿は。(橋本、よくやった。)あと、ほんとに遠藤対ファンデルサールのPKが見られるとは思ってなかったし、ほんとに「コロコロ」が飛ぶオランダ人の指の先をすり抜けてゴールネットを揺らすとも思ってませんでした。ガンバが3点目を入れた直後のリオの表情とか、もうプライスレス。(リオは、ピッチに出てくる前の子供に対する「お兄ちゃん」の顔とか見ると、絶対にいい奴だよなあと思う。なお、彼が池田小に花束を贈ったのは、事件当時にたまたま日本にいたということだけではなく、本人が「ナイフによる殺人」に対するキャンペーンを組織していることとも関係あると思います。)ピッチの外では、前半終了でセットプレーでしか得点できてないマンUのサポ席(以下「局地的マンチェスター・イン・ヨコハマ」)がちょっと固い雰囲気だったのが、後半の得点(何点目か忘れた。笑)の後は心底楽しそうになってたり。

Live text - Man Utd v Gamba Osaka
Club World Cup semi-final
http://news.bbc.co.uk/sport2/hi/football/teams/m/man_utd/7789312.stm

試合開始前の606掲示板の投稿(ファンのコメント)からのピップアックでは、「大阪のほうのメンバー表見ても、知らない名前ばっかりなんだけど。つまんない試合になるんじゃないかな」とか(これに対しては「甘く見ないほうがいい。アジアのあの地域のチームとプレイしたことがあるけど、テクニックもフィットネスも高いし、チームワークもいいよ」という返信あり)、「こんな、とりあえず出ることは出るが怪我だけはしたくないよねっていうような意味のない試合より、明日の欧州CLドローのほうが100倍も楽しみなんだけど」とか、はいはい、お英国さまと欧州さまは世界の中心であらせられますゆえ、的なものがBBCによってピックアップされている。(そういうののほかのは「クラブ・ワールドカップって何それ、食えるのおいしいの」みたいな内容。)BBCの人の投稿も「仕事だから実況しますけど」という感じががんがん伝わってくる。

試合開始後2分、「大阪が早くも仕掛けてきました」とレポートするところで「Jリーグで8位」と書き添えられているところを見ると、なるほど、そういうことで「こんな試合見なくても結果わかってんじゃん」という態度になってるんだな、というのがテクストからだけでもよくわかる。

一方で、606から「ああ、2002年ワールドカップを思い出すなあ。午前中からサッカーの試合、すばらしい」という投稿あり。日本で19:30キックオフ=イングランドでは10:30キックオフ。おめでとう。

試合開始後10分くらいで、「展開がわからない試合だ (open)」という606の投稿が出てきて、ここらへんでBBCのテキスト実況の調子も変わります。ざまあみそらせ。

前半20分でのBBCの投稿:
1050: Right, take a breath everyone. A more frantic opening you won't have seen since Dale Winton cut the opening-day ribbon at my local Lidl's I tell you. The crowd are loving it, mixing a hail of drum beats in between indeterminable songs and chants - brilliant stuff.

Lidlの開店にDale Wintonがなんちゃらというのは私にはよくわからないけれど、とにかく「いい試合になっている」ことを誉めていることは確か。

そして、横浜に来ているBBCの人は:
"Nice to see Gamba showing United zero respect, taking the game to them and making this a very open game. Ronaldo nearly scored at the end of the move of the match so far, but Van der Sar has made the only meaningful save from Bando, who might have done better."
BBC Sport's Steve Wyeth at the Yokohama Stadium

「ガンバはまったく遠慮せず、自分たちの試合にしている。これで試合がどう転ぶかわからなくなっている。(クリスチアーノ・)ロナウドがもう少しでゴールできたかもというシーンもあったが、本当に得点に近づいたのは幡戸のシュートをファンデルサールが止めたときだけだ」という内容。つまり、「マンUが攻めきれない」ことを伝えている。

28分、ギグズのコーナーキックからヴィディッチでゴールしたときのファーガソンの描写:
Sir Alex Ferguson breaks out the old-man-dancing-at-a-wedding body-popping ...

「結婚式で踊っているおじいちゃん」のごとくぴょんぴょんと飛び跳ねていた、と。ははは。ただこれでも、テキスト実況は確かにギグスのコーナーキックはすばらしかったが、「マンUは安心できませんよ」というトーンではある。

そして:
1108: United starting to spray the ball about with real class, now, and Osaka's early fervour has been dimmed somewhat by that Vidic header. Fergie's men will welcome a time-out, you feel, they certainly won't want to run themselves into the ground here if they can avoid it.

1114: More probing from the Osaka side and a fine, whipped cross almost finds Ryuti Bando but the midfielder cannot rise to meet the ball and the chance goes awry. In his defence, he is giving away about a foot in height to most of the United defenders - someone pass that man a step ladder. Moments later he latches onto a misplaced Ferdinand pass but again is closer to taking out a fan in row Z than he is troubling Van der Sar as his effort flies off-target.

↑「ボールが枠を大きく外れました」ということを表現するのにこれか。(笑)

……というように、明らかに「楽勝」ムードは消えている。はっはっは。前半終了時にはBBCの人が「楽勝という気分ではありません」と書いている。はっはっは。

ついでに言うと、前半何分だっけ、ネヴィル兄の「ハンド」を審判が取らなかったことも、BBCには書いてない。(自分たちの相手チームの「ハンド」が取られなかったときにはかなりしつこく書くだろうけど。)

ハーフタイム終了時のマンUの様子を、BBC記者は「海パンでカリブのビーチに歩いてきたような」と描写し(いちいち表現力が豊かなのには感服する)、ロナウドがテレビカメラを覗き込んだりしてたのもしっかり書いている。(何か、この日にレアル・マドリが「実は夏の移籍で彼とは話がついているから」とかいう情報戦をしかけてきたとかで、いろいろあるみたいですけど。)

BBCは幡戸に高評価:
1146: Ryuji Bando has really been Osaka's brightest spark out there and he forces a desperate block from Gary Neville with a rasping 20-yarder ...


また表現力勝負:
1149: ... Wayne Rooney, who looks more relaxed than a snail on prozac, stays in the comfort of the substitutes hutch.

「精神安定剤を飲んだカタツムリよりリラックスしている」。「バスクリンのお湯よりまずい」以上に想像がつかない。





横浜から、スティーヴ・ワイス:
"I know they're playing with nothing to lose, but it'd be great if some Premier League teams would take a leaf out Gamba's book for the way they've gone about taking on one of the "Big Four". More entertaining than setting up camp in your own half. ...
BBC Sport's Steve Wyeth at the Yokohama Stadium

「ガンバは失うものは何もない状態で試合に臨んでいるのだが、それにしても、プレミアリーグのチームに、『ビッグ4』に挑むのに際し、ガンバの爪の垢を煎じて飲ましてやれたらいいのに、と思う」(慣用句に意訳してます)。BBCの解説者からこれを引き出せたのはとても大きい。イングランドが出場権を逃した今年のEUROでのやる気のない実況でも「イングランドでプレイする誰それ」ということから結局脱け出せなかったBBCなのだから。

ただし「遠藤のフリーキック」については「ファンデルサールの写真撮影用」と厳しい。

ルーニー投入:
1201: As the pace slows to something more akin to an exhibition match, Ferguson decides now is the time to throw on the man who doesn't understand the phrase "half pace" - Wayne Rooney.

「半分のペースで」という言葉を知らない男、それがウェイン・ルーニーだ!

……本当にそうだったんだけど。

そして2分後:
1203 - GOAL! Man Utd 2-1 Gamba Osaka
Well well well, United switch off completely and Osaka make the most of it to get themselves firmly back into the match and send their supporters into apoplectic bliss - Masato Yamazaki getting on the end of a sweeping move and curling past Van der Sar and into the corner from 20 yards. A fine strike.


その1分後(テレビでは実況が「歴史的な1点」とか絶叫してて、ほとんどリプレイの最中でした):
1204 - GOAL! Man Utd 3-1 Gamba Osaka
Well it was nice while it lasted for Osaka as Wayne Rooney marks his introduction in emphatic style, the striker latching onto a long through-ball from Fletcher, turning the defender and clipping in with his first touches of the match.


このあとの怒涛の展開(フレッチャー、ルーニーそれぞれ1得点)にBBC記者は「書くのが追いつきません」と泣き言。

ルーニーはピッチに出てから4分で2得点にカード1枚とすごい活躍。(笑)

そして、問題の「コロコロ」:
1213: PENALTY TO GAMBA OSAKA

1214 - GOAL! Man Utd 5-2 Gamba Osaka
Listen, will you boys in Japan give me a break? Yashuhito Endo lazily clips a penalty into Van der Sar's corner to reduce Osaka's deficit after Gary Neville handled Ryuji Bando's cross in the box. It is fair to say this game is, quite literally, more open that a very open thing that is the very opposite of something that is not at all open.

「ええええ、ちょっと待ってくれ、遠藤の鋭くも何ともないPKがコロコロして、ファンデルサールのゴールを破ったぁ?」(<超訳)

後半の言葉遊びの部分は私には意味がほとんどわかりません。「全然オープンでないもののまったく反対であるところの非常にオープンであるものより、もっとオープンである」。最上級を表現するのにこんな言葉遣いがあるとは。

そして遠藤の「コロコロ」の後:
"What a match! This is really making the last couple of days of school fun! I'm reading the action in an art lesson - and I'm the teacher!"
Anon via text

「なんという試合! あと数日で学校が休みになりますが、その最後の日々が楽しくなります。美術の授業中にテキスト実況読んでます――ちなみに私は教師です」。

先生、仕事しろ。(生徒には絵を描かしておけばいいからね、美術なら。)

最後、ガンバの3点目:
1220 - GOAL! Man Utd 5-3 Gamba Osaka
Oh come on, this is ridiculous haha. Those of you who tipped Osaka to fall away as the match went on can coolly take a big bite out of your humble pie as Hideo Hashimoto strides onto the ball on the right-hand side and lashes a rocket past Van der Sar to further reduce Osaka's deficit and make it six goals in 17 minutes. The crowd go ballistic, Ferguson looks like someone's broken into his house at Christmas and spat on his kids.

Oh come on, this is ridiculous haha. って、読んでるこっちがhahaですよ。最後の最後で1点取られたファーガソンは、「クリスマスに家に誰かが押し入って、子供たちにツバを吐きかけたかのような顔」。はっはっは。はっはっはっは。

しかし17分間で6ゴールって、何という試合。それも一方的にではない。両方が3ゴールずつ。はっはっは。


ガーディアンは:
http://www.guardian.co.uk/football/2008/dec/18/worldclubchampionship-manchesterunited

試合前は明らかに「どうでもいいけど仕事だから」というムードで、ガンバの前身が松下だったことを書いて、「下」のローマ字表記のshitaの最後のaがどうしても消えて見えてしまうという英語話者の持病を当たり前の何かのように扱ったりと、まあ別にいいんだけどね、これだから言語帝国主義は、とか言いたくなるさまなのだが(本気ではありません。むしろお約束)、20分のところで「ゴールはまだありませんが、いい試合になってます (No goals yet, but it's been quite a good match so far.)」と書いている(実際、プレミアで「マンUがボール・ポゼッション7割」とかいうクソのような試合よりは1000倍ほど実況しがいがあるはずだが、それでもこの実況、全体の2割くらいはどうでもいい「おもしろいPodcastについて」の話題である)。実況としてはBBCより丁寧。山口の守備のこととかも書いてあるし。

あと可笑しいのは、クラブ・ワールドカップなどというよくわからんタイトルのために、過密スケジュールのなか、地球の反対側まで試合に来たマンUという点で、「ウールワースで12ヶ月保証つきのトースターを探しに行って以来の無駄な旅」と書いている人がいたりするところ。感心するほど口が悪いな、ほんとに。

で、ルーニー投入から立て続けに4ゴール(マンUが3、ガンバが1)入ったすぐあとで、「ちょっと小康状態。この2分近くは、両方ともシュートを枠に飛ばしてはいますが、誰も得点はしていません (A bit of a lull now. Nobody's scored for nearly two minutes, although both teams have had shots on goal.)」。ははは。

そして「コロコロ」は:
GOAL! Gamba Ozaka 2-5 Manchester United (Endo 84)
That was a marvellous penalty. Van der Sar guessed the right way but was helpless to keep the ball out as Endo drilled the ball low into the bottom left-hand corner.

85 min: [Minute-by-minute reporter pauses for breath]

「すばらしいPK。ファンデルサールの読みは当たっていたが、遠藤が左隅に低く転がしたボールを止めることはできなかった」。

そしてそのあと、「一息入れています」とわざわざ書く。

遠藤はこの先ずっとイングランドで、「あのファンデルサールを相手にあのPKを余裕で決めた男」として語り継がれるに違いない。特にマンチェスターでは、日本人といえば(ファンデルサール相手にFKで得点した)シュンスケ・ナカムラか、(ファンデルサール相手にコロコロPKを決めた)ヤスヒト・エンドウか、ということになるに違いない。そしてヤスヒト・エンドウは "Endo never ends!" とかいうダジャレで親しまれるに違いない。

最後の橋本の得点は:
GOAL! Gamba Osaka 3-5 Manchester United (Hashimoto 90+1)
That's a great goal by Gamba, which leaves Gary Neville and Sir Alex Ferguson looking furious. The home side attacked in numbers, eviscerated the United defence and when the ball was played to the feet of the defensive midfielder, he hammered it past van der Sar to score with a marvellous finish.


とりあえず、「ガンバ大阪」という名前がイングランドに伝わったことは確実ですね。


タグ:Football 英国

※この記事は

2008年12月18日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 23:07 | Comment(2) | TrackBack(1) | todays news from uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 一方,そのころ浦和レッズ・サポーターは…
http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq59gr05b.jpg
http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq59gr05c.jpg
(うそ)

(でも心情的には本当)
Posted by 消印所沢 at 2008年12月20日 23:50
Posted by nofrills at 2008年12月21日 02:04

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イングランド人はこんなふうに見たらしい
Excerpt: 現在、仕事が建て込んで絶賛徹夜中です…。 なので、コメント返はもうすこし御猶予く
Weblog: 逃避日記
Tracked: 2008-12-20 02:22

【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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