kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2008年11月19日

BNPの党員名簿が流出した件。

BNPの党員名簿が流出したとか。さすがはイギリス、クラッキングとかじゃなくて「ディスクの盗難」とか「USBメモリの紛失」とかで個人情報流出はもう当たり前なのね、今度はBNPの党員名簿……と思ったらそうじゃない。

ニック・グリフィンいわく、「昨年党の方針と折り合いがつかず党を離れた『ハードライナー』が、ネット上にポストした」とのこと。

BNP membership list posted online by former 'hardliner'
Ian Cobain, Esther Addley and Haroon Siddique
Wednesday November 19 2008 09.03 GMT
http://www.guardian.co.uk/politics/2008/nov/19/bnp-list

上記ガーディアン記事によると、BNPの全党員の名簿がネット上にポストされ、密かに(公言せずに)BNPを支持していた数千人の人たちの氏名、住所などが、誰でも閲覧できる状態になっていた。これにより、職場を解雇されたり何らかの懲戒処分がくだされたり、あるいはそのことで悪口を言われたりするリスクを多くの人が抱えることになった。(というように記事に書いてあるのでそのままで。)

公開されてしまった党員の人数は13,500人ほど。この人たちの氏名、自宅住所、電話番号(家電&ケータイ)、個人のメールアドレスが月曜日の晩にポストされた。現在は削除されている。また、その人たちの職業もリストにあった場合はそれもネット上にアップされていて、警官が何人か、弁護士(ソリシター)が2人、宗教家が4人、医者が1人、学校の教諭が何人か……。リストに名前があった人たちの中には元党員とか、党に入ることに興味を示しただけの人とかが含まれている可能性がある。(リストが少し古いものなので、とのこと。)

また、親が家族単位でBNPの党員として登録しているので、自分の判断でもなんでもないのにBNP党員になってしまった子供たちの名前もリストにあるという。また、16歳で党員になったばかりという人たちの名前もある。(学校に行ってれば高校生か。)

BNP党首のニック・グリフィンは、BBC Radio 4のTodayに出演し、名簿をポストした者の名前は把握していると語った。グリフィンによるとその人物は昨年党を離れた「ハードライナー」の上級職員で、「党の方針が気に入らず、党を離れたのだが、そのときに名簿を持っていった」とのこと。

……つまり、管理ダメダメじゃん。

BNPのスポークスマンのサイモン・ダービーは、警察が捜査に着手していると述べ、「これは窃盗だ」と語っているそうだが、職員が名簿を持ち出して辞めました、ってのが最近のことならまだしも、1年近く前だし……BNPのサイトにグリフィンが掲示した文章によると、今回のリストは2007年11月30日から12月2日の間のいずれかの時点でのものだとのこと。

昨年のBNPの分裂っていうと、これ↓かな。記事にはこの件は詳しくは書かれていないけど。

2007年12月22日 BNPが分裂、Real BNP設立【ネタではありません】
http://nofrills.seesaa.net/article/74136666.html
「分派」が明らかになったのは今週初め。党執行部が党員のメールや電話を盗聴していたなどとして(もうひとつ、ある有力党員の自宅に党の命令を受けた者が無断で侵入してその党員のパソコンを持ち去った、という「窃盗事件」があるのだが、何が先で何が後なのかを調べる気にならない)、地方議会議員ら50人ほどが党籍を離脱、独自のグループを立ち上げた。そして自ら「Real BNP」と称している、ということが冗談ではないことは、Googleあたりで「Real BNP」で検索すれば確認できる―― "Real BNP" のサイトがすでに立ち上げられているのだ。

党執行部というか、現党首の側近などは「一部の者が造反(クーデター)をくわだてている」と述べているようだ……


で、ダービーは、「われわれがリストをアップした人物の名前を突き止めたら、その人物にとって、これは人生で最悪の愚行だということが判明するだろう」と述べている。

(こわいよ。)

ダービーの尻拭いに出てきたのがグリフィンで(そりゃそうだろう)、ダービーのコメントは暴力の行使をほのめかしているのではなく、懲役の可能性のことだと弁解。

(苦しい。)

そしてガーディアンは(というかBBCのTodayの段階でだと思うけど)、グリフィンが言うように法廷→懲役ということなら、その根拠はEU法に基づいた人権法(the Human Rights Act, based on EU legislation)ですよね、しかしBNPは人権法に反対していますよね、でも党員のプライバシーを守るためにはその法律に頼るんですか、とツッコミ。

(息が苦しい。おなかが痛い。)

これに対し、グリフィンは、党員の職業が公表されることに問題はないと述べ(例えばどっかの会計士が保守党員だったり、どっかの弁護士が労働党員だったり、どっかの商店主がLibDemだったりしても問題はないからね、確かに。BNPも「普通の政党」だから問題などないんですよ、ってことだろう)、しかしながら名前と住所が公表されたことは、「労働党レジームによる姑息な脅し (a nasty piece of intimidation on behalf of the Labour regime)」だと述べた。

(もう一歩つっこんだら言質取れそうなところで寸止めかな。党員のフォーラムなどでは言質取れまくるんだろうけど、党首の公的な発言では取れない……つまり、労働党、フェビアン協会を支配しているのはなんちゃら、っていう例のあれなんだけど。)

一方でグリフィンはこの件が注目を浴びていることは歓迎し、平均的なBNP党員が「スキンヘッドの下層階級 (skinhead oik)」だというのは「単に事実と反する」ということが、このリストでおわかりでしょう、みたいなことを述べた。

(いや、それ何の得点にもならないから……。第一、「BNPがスキンヘッドの集まりだ」なんていまだに言ってるのは頭の中がお花畑すぎて現実を現実と認識できない人たちだけじゃないのかな。バレリーナ騒動とかもあったんだし。ただ、そのバレリーナの配偶者で今年5月の地方選でロンドン・アセンブリーに入ったバーンブルックあたりは、実際かなりひどいのだが。あれが「政治」の言葉として通用すると思っている時点でダメでしょう。まるで「ヒルターさん」なんだもん、喋り方が。)

しかしながら、党員名簿自体に「党籍の秘密」が備考で書かれているケースもある、とガーディアンは淡々と書く。例えば警官については「雇用の問題があるため、秘密厳守。警官」とあり、別のケースでは「秘密にする必要あり(雇用の問題)。行政職員、ITコンサル」とか、「活動家(秘密にする必要あり)、教師(セカンダリースクール)」といった記載もある。

グリフィンにかかれば、こういうふうに党員が「秘密」を要請したりするのも「(われわれが言いたいことを言うための)言論の自由、思想の自由」を侵害するものだ、ということになるのだろうが、ガーディアンの記事はそこまで演説台は用意していない。

逆に、「BNPは党員のアイデンティティを秘匿するためにかなり手間をかけることで知られている」とか、「ヨークにいる職員の手で表計算ソフトで入力されるが、地方組織には暗号化した添付ファイルでリストを部分的に送り(sends limited lists)、リストを目にすることができるのはパスワードを持っている職員だけだ」とかいうことを書いている。

さらにデータ保護法の当局も、リストがネット上に掲示されたことだけではなく、BNPが党員についてどれほどの情報を貯めているのかも対象として、捜査を行なうものと思われる。当局のコメント:
A spokesperson for the Information Commissioner's Office said: "Following media reports that the personal details of BNP members have been incorrectly disclosed, we will be contacting the party to establish the full facts. We will then decide what action, if any, is appropriate.

"We encourage all organisations to alert the Information Commissioner's Office if they discover a security breach has occurred."

ここが入り口になって法廷に進むかもしれないし、そうでないかもしれない、というのが今の段階。

BNPサポが集うネット上のフォーラムなどでは人々が戦々恐々としているようです。犯罪は確かに心配されることではある。

というところで、TodayをやってるBBCの記事も見てみたら……わははは、これは底意地が悪い。

Police and teachers on BNP list
Page last updated at 10:50 GMT, Wednesday, 19 November 2008
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/politics/7736794.stm

ガーディアンもツッコミを入れていた件については:
He told the BBC's Today programme the party would be using the Human Rights Act to try to protect the identities of its members, despite the BNP being against the European legislation.

ガーディアンが多少遠回しに「あたまがわるい」と言っているとしたら、BBCは「ばっかでー」と言っている、ように私には読める。

で、まあ記事としてはガーディアンのようにねちねちにやにやしていないから単に読みやすい。書かれていることはガーディアンとあまり変わらないが、ガーディアンの上記記事には書かれていないこととして:

-グレーター・マンチェスター警察では「警官であれ誰であれ、警察の職員がBNPの宣伝を行なうことや、BNPに入ることは禁止されている」との説明。根拠としては人種によって扱いを変えないという警察の仕事の大前提。

-ニック・グリフィンは、今回のリークは来年の欧州議会選挙と関係があると述べている。欧州議会選挙は比例での議席配分なのでBNPも議席を獲得するのではないかと言われているけれど、……グリフィンの言ってることの意味がよくわかりません。って思ったら、陰謀論じゃねぇか、これ。「ここで名簿をリークすれば人々は縮み上がる、それが狙いだろう」って。

グリフィンの言ってる通り、昨年BNPを辞めた人たちがやったのだとしたら、欧州議会選挙は関係ないでしょ、BNPよりもっと小さい勢力なんだから。それともあれですか、BNPは実は「彼ら」に浸透されていて、その浸透していた勢力がどーたらこーたらとかいう話ですか。まあ、お茶ふいておけばいいのかも。

それよりBBCの記事でおかしいのは、末尾のこれ。

areyou.png

「あなたはBNPのメンバーですか? 個人情報がさらされましたか? 下記のフォームからご連絡ください。ご連絡いただいた場合個人情報は公開されません」って……。(^^;)

※BBCでは、災害とか事件の報道記事でよくこの「読者の体験談募集」のフォームがついているんだけど(例えば洪水があったときとか。あとイスタンブールの米大使館がボムられたときとかにも出てたし、最近ではDRコンゴで戦闘がひどくなったときの記事とか、あと8月のグルジア情勢の記事とかにもフォームがあったし、もっと身近な、例えば大火事とかの記事でもこのフォームは見かける)、その場合の文面は「あなたは災害があった地域にいますか? 災害の影響を受けましたか?」みたいになってる。

あと、北アイルランドから:
Leaked BNP list has 39 NI people
Page last updated at 12:51 GMT, Wednesday, 19 November 2008
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/7737612.stm

NIで39人と、RoIで2人の名前などがあったそうです。

RoIについてはちょっとよくわかりませんが、NIについては「UK極右=ロイヤリスト」なので、その筋の脳みそ筋肉の武闘派にとっては「これはいいリスト」ってことになるから気をつけるように、というオーガナイザーのコメントが記事に出てます。それと、NIの39人のうちのひとりはNIの基地にいる英軍の人で、もうひとりは元警官であるとも(警官はBBC記事に名前が掲載されています。インタビューにも応じたみたい)。

ほかの新聞。

テレグラフ:
http://www.telegraph.co.uk/news/uknews/3481577/BNP-demands-police-probe-into-list-leak.html

個人情報をさらされたケースについての詳細があるのだけど、何ですかこの記事。エンベッドされているTelegraph TVの映像は資料映像で――まあそれはいいんですけど、UNITEによる抗議行動(オックスフォード大学のときのかな)と、リーズだっけ、どこだっけ……忘れちゃったけど(確認すればわかるんだがサボります)、BNPのincitement of hatred裁判のときの勝ち誇っているグリフィンと、あと名前忘れたけど若いのと、サポの歓迎の映像。まあ、さすがテレグラフとしか、感想としては。

タイムズ:
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/uk/article5187551.ece

ストレートな報道記事で、読みやすいです。問題は、警察とか刑務所職員のように、BNPに入ることを禁止されている職務の人がBNP党員だということかなあ、という感想。コメント欄がまた、banとかpunishとかいう語について、主語を考えずに「democracyにおいて個人の信条が制限されることはうんちゃら」というお話になってるけど、現状は4件しかコメントがない。あとはsay no more...

インディ(関係ないけど、この新聞、かなり厳しいみたいですね。見通しとして収益はベルテレ頼みだそうで):
http://www.independent.co.uk/news/uk/politics/police-officer-a-member-of-bnp-1024983.html

さらされた名簿に警官がいたことで警察が大揺れ、刑務所も、という基調。あと、コメント欄が賑やかになってるのはこっちだった件。現時点で83件。「(粗雑な)言論の自由論」者がこっちで展開してんのかな、とも思うけど、ちょっと見た感じではそういうのもあるけど、警察がいかに人種差別的であるかの話とかもある。

この件ではデイリー・メイルを見ないわけにはいかないので:
http://www.dailymail.co.uk/news/article-1087101/Radio-DJ-fired-BNP-teachers-police-lawyers-exposed-membership-list-leak.html

熱心だな、すごく長い記事。ろくに読んでないけど、スポーツ系のラジオの深夜シフトでDJしてた人が名簿に名前があったのでクビになったとか(スポーツはまずいでしょ、先頭に立って「差別撤廃」の看板を掲げている以上は)いう最新情報があり、全体的に「政治的な信条ゆえに職を失う人たち!」という方向性でドライヴかけてますね。say no more, say no more... コメントも188件。

メイルのコメント欄には「BNPの政策をもっと知りたいと思って党に入ったが、入ってみたら全然ぴんとこなかったのでメンバーシップを更新しなかった。それでも名簿に載っていて個人情報が公開されてしまった。自分の知る限りBNPには関係のなかった妻まで公開されている。変な電話やメールが来ている。警察に相談している」という投稿が。真実を書いておられるなら(そのように読めるが)、この方は大変気の毒だと思う。

あと、予想通りのピント外れの、「エスタブリッシュメントはBNPを恐れているのだ」的なコメントも。だから、アップしたのは元BNPメンバーで強硬派だってグリフィンが説明してるじゃんね。それでも「体制が私たちを弾圧する」っていうことになっちゃうのかな、こういうことを書ける人の頭の中では。

……以上。上記の記事のどれかに、この名簿には個人の趣味とかまで書かれていた、という一節があったのだけど、それも含めて名簿がgenuineなのだとすれば、そもそもBNPが持ってる情報が多すぎるということだとも思うけどなあ。



What a complete nutter! デイリー・メイル、あたまおかしいだろこれ。(←「今さら何を」感が漂うけど。)



名簿がアップされていたというサイト(ブログ)のキャプチャ画像を記事ページに掲載しているのだが、その画像のキャプチャが決定的におかしい。「BNP側は、名簿は元BNP職員によって公開されたと主張しているが、今は、労働党支持者によって投稿されたかもしれないと考えている」と、仮定法を使って書いている。

実際にBNP側がそう言っていると記事にあるのなら、BNPが言ってることを書いているだけだということになるのだが、記事にはそんなことは書いていない。記事にあるのは:
Hundreds of members had received threatening calls in the last 24 hours in an 'established dirty tricks campaign' by the Labour Party, [Nick Griffin] alleged.

'We're sure that this is a left-wing trick by the unions and the Labour Party. The number of calls, the sheer volume of it can't come from an isolated number of people,' he said.

つまり、名簿がネット上にアップされたことで名簿に載っていた人たちに変な電話などが行っているということ、それについてニック・グリフィンが、労働党の「いつもの汚いやり口」だと述べたということ。そして「労組と労働党によるサヨクのやり方だと確信している。電話の数があまりに多く、個々の人間がばらばらにやっていることだとは思えない」と述べた、ということ。

どうしてこれが、「名簿がネット上にアップされたことは労働党の仕業だとBNPは考えている」という話になるのだろう。

デイリー・メイルの真髄を見せていただいた気がする。
http://en.wikipedia.org/wiki/Daily_Mail#Support_for_Nazism_and_Fascism

※この記事は

2008年11月19日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 23:06 | Comment(1) | TrackBack(0) | todays news from uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
http://www.theregister.co.uk/2008/11/18/bnp_loses_list/
上記経由で祭り会場(グリフィンに「ハードライナー」と呼ばれている方、つまりTyndall主義の方)を見たら、ほんとにすごいパニックになってる。

あと、タイムズの祭り会場は記事ではなくブログのコメント欄でした。
http://timesnews.typepad.com/news/2008/11/to-link-or-not.html

極右言説まわりのサンプルがほしい方、ここ↑けっこうよさげです。

BNPが勢いづいている理由はわかる的な投稿から、自分用の英文サンプルとしてちょっと抜粋:
it is a rough and intellectually bankrupt mess
Posted by nofrills at 2008年11月20日 08:16

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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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