「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2008年10月31日

北アイルランド、キリスト教根本主義、DUP、同性愛者、など (2)

まずは今年6月のエントリ、「北アイルランド、キリスト教根本主義、DUP、同性愛者、など」から:
http://nofrills.seesaa.net/article/100174109.html
ピーター・ロビンソンの配偶者で自身もMLA(北アイルランド議会議員)でMP(英国下院議員)であるアイリス・ロビンソン(北アイルランド議会保健委員会委員長)が、「同性愛者はカウンセリングを受ければ『治る』からそうすべき」という主旨の発言をした。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/7439661.stm

ガチの宗教右派のアイリス・ロビンソンは、自身の(というか自分たちの)宗教観・人間観に根ざしたこの発言で今年8月のBelfast Prideでさんざんおちょくられたのだが、今ごろになって、今度はピーター・ロビンソンが出てきた――というか、「出さされた」というべきか。

ベルファスト・テレグラフの報道:
First Minister Peter Robinson backs wife's view that gays are an 'abomination'
By David Gordon
Friday, 31 October 2008
http://www.belfasttelegraph.co.uk/news/local-national/first-minister-peter-robinson-backs-wifes-view-that-gays-are-an-abomination-14023693.html

記事が伝えるところによると、30日、BBC Northern Irelandの "Hearts and Minds" (週一度の時事番組)に出演したピーター・ロビンソンが、アイリス・ロビンソンの「同性愛」をめぐる意見を支持し、その上で同性愛者に「わが党の支持を」と述べた、らしい。

ベルテレがロビンソンの揚げ足を取って「辻褄が合わない」ことを面白おかしく書いているようにも読めるから、実際のところは番組での発言を全部読む(または聞く)必要があるのだけれども、「(同性愛というのは異常なのだから)教会でご指導を仰いだほうがいい、なおるから」というアイリス・ロビンソンの「同性愛」観に自身も賛成だと言っておいて、同性愛者の支持を、というのは、つまり「右の頬を打たれたら左の頬を」ということだとしか思えません。:-P (いや、たぶん単にツッコミ入れられて話がグダグダになったとかいうことだと思いますけど。)

ピーター・ロビンソンの具体的な発言は、ベルテレ記事から抜粋すると:
The First Minister told the BBC Northern Ireland Hearts and Minds programme: "It wasn't Iris Robinson who determined that homosexuality was an abomination, it was the Almighty.

"This is the Scriptures and it is a strange world indeed where somebody on the one hand talks about equality, but won't allow Christians to have the equality, the right to speak, the right to express their views."

つまり、「ホモセクシュアリティがひどく醜悪なこと (abomination) であると決めたのはアイリス・ロビンソンではない、全能者(神)だ。聖書なのだ。実際、平等を言う人が他方ではクリスチャンの平等を、言論の権利を、自身の見解を示す権利を認めようとしないとは、おかしな世の中だ」。

宗教右派の「ゆきすぎたPCと言論の自由」論としては「典型」といってよいと思います。アイリスのあのすごい言葉 (abomination) を、ピーター・ロビンソンの立場にある人が使っているのにはちょっとびっくりしたのだけど(ファンダメンタリズム色を前面に押し出していた「過激」な宗教指導者でもあるイアン・ペイズリーとは違って、ピーター・ロビンソンは宗教右翼っぽさで知られる人ではなく、プラグマティックな実務家っぽさで知られる人だし……「知られる」ってのがカギかもね。DUPは宗教家ペイズリーが党首で、ロビンソンがその補佐役、ということで長くやってきたのだから)。

で、ベルテレの記事には「党への支持」の部分は具体的に記されてはいないので、よくわかりません。地の文に "then called on gays to support his party" とあるだけ。「みなさんが自由を認めろというのなら、みなさんには我々の自由も認めていただきたいものです」というのなら、これまた典型的な「議論」あるいは「コメント」なのだけど、どうなのかがよくわからない。

最近、Peter Tatchellが斜め上を旋回していたりするので、宗教右派が「帰ってこいよ」的に仕掛けてるのかもしれない、とかなんとかいってみちゃったりなんかしちゃったりなんかして。(品のない下手なジョークですみません。)

Hearts and Mindsの内容説明から:
http://www.bbc.co.uk/northernireland/tv/programmes/heartsandminds/index.shtml
This week on Hearts and Minds ...
On the eve of his party conference and in his first extended interview since he became DUP leader and First Minister, Peter Robinson says he believes Sinn Fein changed its stance on devolved policing to try and test his mettle. He insists he's not afraid of Jim Allister's TUV and he supports his wife's bible based controversial objections to homosexuality.



※この記事は

2008年10月31日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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