http://nofrills.seesaa.net/article/100174109.html
ピーター・ロビンソンの配偶者で自身もMLA(北アイルランド議会議員)でMP(英国下院議員)であるアイリス・ロビンソン(北アイルランド議会保健委員会委員長)が、「同性愛者はカウンセリングを受ければ『治る』からそうすべき」という主旨の発言をした。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/7439661.stm
ガチの宗教右派のアイリス・ロビンソンは、自身の(というか自分たちの)宗教観・人間観に根ざしたこの発言で今年8月のBelfast Prideでさんざんおちょくられたのだが、今ごろになって、今度はピーター・ロビンソンが出てきた――というか、「出さされた」というべきか。
ベルファスト・テレグラフの報道:
First Minister Peter Robinson backs wife's view that gays are an 'abomination'
By David Gordon
Friday, 31 October 2008
http://www.belfasttelegraph.co.uk/news/local-national/first-minister-peter-robinson-backs-wifes-view-that-gays-are-an-abomination-14023693.html
記事が伝えるところによると、30日、BBC Northern Irelandの "Hearts and Minds" (週一度の時事番組)に出演したピーター・ロビンソンが、アイリス・ロビンソンの「同性愛」をめぐる意見を支持し、その上で同性愛者に「わが党の支持を」と述べた、らしい。
ベルテレがロビンソンの揚げ足を取って「辻褄が合わない」ことを面白おかしく書いているようにも読めるから、実際のところは番組での発言を全部読む(または聞く)必要があるのだけれども、「(同性愛というのは異常なのだから)教会でご指導を仰いだほうがいい、なおるから」というアイリス・ロビンソンの「同性愛」観に自身も賛成だと言っておいて、同性愛者の支持を、というのは、つまり「右の頬を打たれたら左の頬を」ということだとしか思えません。:-P (いや、たぶん単にツッコミ入れられて話がグダグダになったとかいうことだと思いますけど。)
ピーター・ロビンソンの具体的な発言は、ベルテレ記事から抜粋すると:
The First Minister told the BBC Northern Ireland Hearts and Minds programme: "It wasn't Iris Robinson who determined that homosexuality was an abomination, it was the Almighty.
"This is the Scriptures and it is a strange world indeed where somebody on the one hand talks about equality, but won't allow Christians to have the equality, the right to speak, the right to express their views."
つまり、「ホモセクシュアリティがひどく醜悪なこと (abomination) であると決めたのはアイリス・ロビンソンではない、全能者(神)だ。聖書なのだ。実際、平等を言う人が他方ではクリスチャンの平等を、言論の権利を、自身の見解を示す権利を認めようとしないとは、おかしな世の中だ」。
宗教右派の「ゆきすぎたPCと言論の自由」論としては「典型」といってよいと思います。アイリスのあのすごい言葉 (abomination) を、ピーター・ロビンソンの立場にある人が使っているのにはちょっとびっくりしたのだけど(ファンダメンタリズム色を前面に押し出していた「過激」な宗教指導者でもあるイアン・ペイズリーとは違って、ピーター・ロビンソンは宗教右翼っぽさで知られる人ではなく、プラグマティックな実務家っぽさで知られる人だし……「知られる」ってのがカギかもね。DUPは宗教家ペイズリーが党首で、ロビンソンがその補佐役、ということで長くやってきたのだから)。
で、ベルテレの記事には「党への支持」の部分は具体的に記されてはいないので、よくわかりません。地の文に "then called on gays to support his party" とあるだけ。「みなさんが自由を認めろというのなら、みなさんには我々の自由も認めていただきたいものです」というのなら、これまた典型的な「議論」あるいは「コメント」なのだけど、どうなのかがよくわからない。
最近、Peter Tatchellが斜め上を旋回していたりするので、宗教右派が「帰ってこいよ」的に仕掛けてるのかもしれない、とかなんとかいってみちゃったりなんかしちゃったりなんかして。(品のない下手なジョークですみません。)
Hearts and Mindsの内容説明から:
http://www.bbc.co.uk/northernireland/tv/programmes/heartsandminds/index.shtml
This week on Hearts and Minds ...
On the eve of his party conference and in his first extended interview since he became DUP leader and First Minister, Peter Robinson says he believes Sinn Fein changed its stance on devolved policing to try and test his mettle. He insists he's not afraid of Jim Allister's TUV and he supports his wife's bible based controversial objections to homosexuality.
タグ:北アイルランド
※この記事は
2008年10月31日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
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