「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=


2008年10月10日

ノーベル平和賞のアハティサーリと北アイルランド

マルッティ・アハティサーリが今年のノーベル平和賞を受賞した。あまりにいろいろなところでお名前を見るので、何をしている人なのかが逆にわからなくなりそうな元フィンランド大統領だ。

下記のAFP BB記事には、数多くの業績のうち、もっとも最近の大きなもの2つ――アチェとコソボ――が挙げられているが:


コソボの独立宣言が実際に出されるのと並行していたと思うが、イラクのセクタリアン・ディヴァイド(宗派間の分断、対立)についての関係者会議を主催してもいるし(調べるのサボります、すみません)、2000年代には北アイルランド和平に関わってもいる。

BBC News Northern Irelandのトップページから、次の記事がリンクされていた。

Ahtisaari wins Nobel Peace Prize
http://news.bbc.co.uk/2/hi/europe/7662922.stm

The Nobel committee commended Mr Ahtisaari, 71, "for his important efforts, on several continents and over more than three decades, to resolve international conflicts".

The citation continued: "He has figured prominently in endeavours to resolve several serious and long-lasting conflicts," mentioning his roles in Namibia, Aceh, Kosovo and Iraq.

"He has also made constructive contributions to the resolution of conflicts in Northern Ireland, in Central Asia and on the Horn of Africa," it said.

つまり、「複数の大陸で、30年以上にわたり、国際紛争の解決に尽力した」。そして、ナミビア、アチェ、コソヴォ、イラクでの紛争解決の取り組みで主導的役割を果たしたと述べ、「北アイルランド、中央アジア、アフリカの角での紛争の解決への建設的貢献」についても触れている。

具体的には、北アイルランドでは2000年にIRAの武器査察の仕事(紛争の非当事者として、IRAの武器についての詳細を実際に確認し、IMCに報告する仕事)をしている。IRAの武器が放棄(廃棄)は、その5年後の2005年に確認された。(そしてこの後には「しかし……」が続くのだが、そこは略。)
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/738872.stm

というわけで、ノーベル委員会の公式の声明に北アイルランドが出てきているので、ちょっと書いておくだけ。ポインタを示しておくと、もっと詳しいことは、"Martti Ahtisaari" で英語版ウィキペディアでも見れば、いろいろと調べることができると思います(英語版にはソースがついているはずなので、それらも参照)。個人的には、豪腕ネゴシエーターっていう印象が強いです。「平和構築」というより、「紛争状態の終了の実現」というか。

アハティサーリと北アイルランドとの関連については……まあ、アハティサーリのノーベル平和賞にとって北アイルランドは主要なものではないようなので、「BBC NIに記載あり」というだけでいいか。それと、単に「GFA後のNI」のコンテクストで見ると、アハティサーリのNIに関する活動よりも大きな貢献のある活動は、ほかの人によってなされている、ということも同時に。(例えば警察オンブズマンだったヌーラ・オローンとか。)

というか「北アイルランド紛争」とノーベル平和賞のほうがポイントとしては意味が大きい――1998年のトリンブルとヒューム(グッドフライデー合意)、1976年のマレード・コリガンとベティ・ウィリアムズ(「ピースピープル」という団体……前にこのブログで書いたと思う)が、直接的に「NI紛争」についての平和賞としてあるので――と思いつつスラオさんを見たら、うむ。

Nobel questions
posted by Brian Walker
http://sluggerotoole.com/index.php/weblog/comments/nobel-questions/

1998年のときに、UUPのトリンブルとSDLPのヒュームだけでなく、SFのアダムズも候補者リストに掲載されていたとか、かつては「ピースピープル」のような一般市民の活動が対象となっていたのに、最近は様変わりしているとか、「紛争」後に両方の勢力のトップに授与、というケースが多いがどうなのかとか(「平和賞」の意味合いという点からも、いろいろと思うところはありますな。別に今始まった話じゃないけど)いったことが書かれています。

筆者のブライアンさんは1970年代からピースピープルの人たちを知っているとのこと。ピースピープルの終焉は非常に後味の悪いもので(結局はdivide and ruleになってしまうのか、という)、いわばハリウッド映画的な「最後にはピープルパワーで大団円」なんて話は、「悪い政府と善い人民」というわかりやすい図式に落とし込む過程で「政治的な意図による介入」というとても生々しい要素を(おそらく故意で)除去している、ということを浮き彫りにするものです。



追記:
しばらくしてから、BBC NIで出した記事が掲示されました。内容は、「確認」程度。(BBC Newsの予算削減で、NI独自記事出さないかもと思っていたけど、一応出ることは出た、という感じ。)

Ahtisaari wins Nobel Peace Prize
Page last updated at 14:20 GMT, Friday, 10 October 2008 15:20 UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/7663902.stm

アハティサーリがIRA武器査察官として仕事をした、と書いて、あとは政治家のコメント。コメントしているのは、SF(ジェリー)、SDLP(ダーカン)とRoI(マカリース)。全員がナショナリスト。ユニオニスト側からのコメントは記事にはありません。アライアンスのコメントもなし。John Alderdiceのコメントはありそうな気がするんだけど(IMCだから)、BBCにはない。

※この記事は

2008年10月10日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 22:32 | Comment(0) | TrackBack(0) | todays news from uk/northern ireland | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント

この記事へのトラックバック

【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

……全文を読む
▼当ブログで参照・言及するなどした書籍・映画などから▼















×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。