下記のAFP BB記事には、数多くの業績のうち、もっとも最近の大きなもの2つ――アチェとコソボ――が挙げられているが:
![ノーベル平和賞のアハティサーリと北アイルランド: tnfuk [today's news from uk ] http://nofrills.seesaa.net/article/107895985.html?1463700867](http://kwout.com/cutout/b/m7/aw/dc3_bor.jpg)
ノーベル平和賞のアハティサーリと北アイルランド: tnfuk [today's news from uk ] via kwout
[コード消去・代替画面挿入/2016年5月]
コソボの独立宣言が実際に出されるのと並行していたと思うが、イラクのセクタリアン・ディヴァイド(宗派間の分断、対立)についての関係者会議を主催してもいるし(調べるのサボります、すみません)、2000年代には北アイルランド和平に関わってもいる。
BBC News Northern Irelandのトップページから、次の記事がリンクされていた。
Ahtisaari wins Nobel Peace Prize
http://news.bbc.co.uk/2/hi/europe/7662922.stm
The Nobel committee commended Mr Ahtisaari, 71, "for his important efforts, on several continents and over more than three decades, to resolve international conflicts".
The citation continued: "He has figured prominently in endeavours to resolve several serious and long-lasting conflicts," mentioning his roles in Namibia, Aceh, Kosovo and Iraq.
"He has also made constructive contributions to the resolution of conflicts in Northern Ireland, in Central Asia and on the Horn of Africa," it said.
つまり、「複数の大陸で、30年以上にわたり、国際紛争の解決に尽力した」。そして、ナミビア、アチェ、コソヴォ、イラクでの紛争解決の取り組みで主導的役割を果たしたと述べ、「北アイルランド、中央アジア、アフリカの角での紛争の解決への建設的貢献」についても触れている。
具体的には、北アイルランドでは2000年にIRAの武器査察の仕事(紛争の非当事者として、IRAの武器についての詳細を実際に確認し、IMCに報告する仕事)をしている。IRAの武器が放棄(廃棄)は、その5年後の2005年に確認された。(そしてこの後には「しかし……」が続くのだが、そこは略。)
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/738872.stm
というわけで、ノーベル委員会の公式の声明に北アイルランドが出てきているので、ちょっと書いておくだけ。ポインタを示しておくと、もっと詳しいことは、"Martti Ahtisaari" で英語版ウィキペディアでも見れば、いろいろと調べることができると思います(英語版にはソースがついているはずなので、それらも参照)。個人的には、豪腕ネゴシエーターっていう印象が強いです。「平和構築」というより、「紛争状態の終了の実現」というか。
アハティサーリと北アイルランドとの関連については……まあ、アハティサーリのノーベル平和賞にとって北アイルランドは主要なものではないようなので、「BBC NIに記載あり」というだけでいいか。それと、単に「GFA後のNI」のコンテクストで見ると、アハティサーリのNIに関する活動よりも大きな貢献のある活動は、ほかの人によってなされている、ということも同時に。(例えば警察オンブズマンだったヌーラ・オローンとか。)
というか「北アイルランド紛争」とノーベル平和賞のほうがポイントとしては意味が大きい――1998年のトリンブルとヒューム(グッドフライデー合意)、1976年のマレード・コリガンとベティ・ウィリアムズ(「ピースピープル」という団体……前にこのブログで書いたと思う)が、直接的に「NI紛争」についての平和賞としてあるので――と思いつつスラオさんを見たら、うむ。
Nobel questions
posted by Brian Walker
http://sluggerotoole.com/index.php/weblog/comments/nobel-questions/
1998年のときに、UUPのトリンブルとSDLPのヒュームだけでなく、SFのアダムズも候補者リストに掲載されていたとか、かつては「ピースピープル」のような一般市民の活動が対象となっていたのに、最近は様変わりしているとか、「紛争」後に両方の勢力のトップに授与、というケースが多いがどうなのかとか(「平和賞」の意味合いという点からも、いろいろと思うところはありますな。別に今始まった話じゃないけど)いったことが書かれています。
筆者のブライアンさんは1970年代からピースピープルの人たちを知っているとのこと。ピースピープルの終焉は非常に後味の悪いもので(結局はdivide and ruleになってしまうのか、という)、いわばハリウッド映画的な「最後にはピープルパワーで大団円」なんて話は、「悪い政府と善い人民」というわかりやすい図式に落とし込む過程で「政治的な意図による介入」というとても生々しい要素を(おそらく故意で)除去している、ということを浮き彫りにするものです。
追記:
しばらくしてから、BBC NIで出した記事が掲示されました。内容は、「確認」程度。(BBC Newsの予算削減で、NI独自記事出さないかもと思っていたけど、一応出ることは出た、という感じ。)
Ahtisaari wins Nobel Peace Prize
Page last updated at 14:20 GMT, Friday, 10 October 2008 15:20 UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/7663902.stm
アハティサーリがIRA武器査察官として仕事をした、と書いて、あとは政治家のコメント。コメントしているのは、SF(ジェリー)、SDLP(ダーカン)とRoI(マカリース)。全員がナショナリスト。ユニオニスト側からのコメントは記事にはありません。アライアンスのコメントもなし。John Alderdiceのコメントはありそうな気がするんだけど(IMCだから)、BBCにはない。
タグ:北アイルランド
※この記事は
2008年10月10日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
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