「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

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2008年09月26日

11月から、外国人学生などを対象に、「IDカード」制度が始まります。

英国では、この11月から、外国人(EU外)の学生と配偶者ステータスでの滞在者(Civil Partnershipも含む)に対し、「IDカード」の発給が始まります。というか義務化されます。

この「IDカード」は内務省が出すもので、氏名や顔写真、出身地などの個人情報、ならびに滞在許可の期限、就労の許可・制限などのデータが文字で記載され、ICチップには指紋のデータが記録されます。

BBCの記事に、内務省が公表したカードの見本画像と説明が掲示されていますので、この制度の影響を受ける人は、まずはそれをご覧ください。内務省のサイトに掲示されているものより、BBC記事ののほうが親切です。

Foreign national ID card unveiled
Page last updated at 20:38 GMT, Thursday, 25 September 2008 21:38 UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/politics/7634111.stm

記事本文は、このカードを発給されることになる人(つまり、11月以降に留学する人、ヴィザの延長手続を取る人、異性または同性と「結婚」して英国に滞在している人)は読んでおいたほうがよいと思われますが、ライティングがあまり整理されていなくて、「IDカード制度が始まります、こういうカードです」という話と、内務大臣の「あたくしどものこの賞讃すべきすばらしい新制度がこの制度は優れたものです」的なプロモーション言説と、制度批判者の反応という異なった種類の情報が、並べる順番も整理されずに連ねられているみたいで、「読みやすい(話を把握しやすい)」とはいえません。

では内務省のサイトではどうかというと:
http://www.homeoffice.gov.uk/about-us/news/id-cards-foreign-nationals
まず、このプレスリリースは説明する気ゼロですね。「詳細はYouTubeのHome Officeチャンネルに投稿したビデオの説明をご覧ください」ってさあ、飛んでみたらジャッキー・スミスの記者会見の様子で、映像は8割以上スミスの喋ってるところを映しているだけ、英語が聞き取れないと何もわからない。聞いたとしても、彼女は内務省の窓口の人ではなく宣伝部長役だから、こっちがほんとに知りたいことはわからない。

内務省のBorder Agency (旧Border and Immigration Agency, っていうか、旧IND、つまりImmigration and Nationality Directorate, 要するに「イミグレ」) が出しているプレスリリースも、イマイチ具体的ではない。
http://ukba.homeoffice.gov.uk/sitecontent/newsarticles/firstidcard

こんな面倒なものを英語で読むのはたるい、という方は(まあ、語学留学以外で英国に居住する予定があるなら、このプレスリリースで自分に必要なところだけ拾って読める程度の英語の能力はあったほうがいいと思いますが)、あと少ししたら在日英国大使館の「ヴィザ情報」のところに日本語訳の文書がアップされると思うので、それをご参照ください。
http://www.uknow.or.jp/be/visa/visas/index.htm
※現時点ではまだ上がっていません。

内務省BAのリリースから、要点を拾うと:
http://ukba.homeoffice.gov.uk/sitecontent/newsarticles/firstidcard
Compulsory identity cards for foreign nationals will kick start the National Identity Scheme, with the first applicants having to apply for cards from 25 November.
→応募は11月25日から。

Within three years all foreign nationals applying for leave to enter or remain in the UK will be required to have a card, with around 90 per cent of foreign nationals in Britain covered by the scheme by 2014/15.
→今後3年以内に、滞在許可を申請する外国人は全員、このIDカードの所持が義務付けられる。これにより、2014年度までには英国内にいる外国人の9割ほどがカードを所持することになる。

To ensure the benefits of the programme are felt from the start, ... blah, blah, blah ...
→自画自賛というか、批判の多い制度についての正当化をしながら強硬な方針を説明している箇所なので、とりあえずは飛ばしてよし。(学生とか結婚とかは「イミグレ制度を悪用する可能性が高い」と見なされている、ということがよくわかります。)

The introduction of the first card supports the Government's tough new Australian-style Points Based System for managed migration. To earn and retain their licence as a sponsor businesses and education providers must keep records of the migrants they have sponsored including, in time, a copy of a migrant's identity card. Businesses found employing illegal workers face fines of up to £10,000 per person.
→ここはしっかり読んでおいたほうがいいかも。ポイント制(詳細は9日付BBC記事を参照)の導入のことも出てきているし。不法就労の場合、雇用者の罰金上限が£10,000というのはかなりの引き上げなのかな。

The introduction of cards for foreign nationals will be followed by the first ID cards for British citizens, ...
→ここは、英国籍の人でなければ、読み飛ばしてOK。来年から英国人にもIDカードが発給される、その後は……という話。

The introduction of ID cards will provide a convenient and secure means ...
→説明というか正当化の箇所なので、読み飛ばしてOK。

この後は、関係者のコメントの列挙です。IDカードを持つことになる人が実用目的で読む必要はありません。目を通すくらいしておいても損はしないけど、頭に来て消耗する可能性はあります。(^^;)

で、学生としての滞在許可もハードルが上がってるのですが(今年の7月末のイミグレのプレスリリースを参照):
http://www.ukba.homeoffice.gov.uk/sitecontent/newsarticles/2008/strictnewrules

ポイント制などのことも含めて、このブログでも大幅にアップデートせにゃかもだと思っているのですが、次々に「新制度」が発足するので、一通りいろいろ発足するまで待っています。そろそろアップデートするタイミングかもだ。

※このあと、ひょっとしたら、BBC記事の概要を日本語で付け加えるかもしれませんが、あまり期待しないでください。

※これはつまりどういう話かというと、制度が変わるため、今年11月以降に留学をする人は、書籍やネットなどで見つかる「みんなの体験談」がほとんどあてにならなくなる(これまでも「他人の体験談は参考情報」でしかなかったのですが)、ということです。他人に訊けば「正しい答え」を教えてもらえる、という期待はますますできなくなります。自分で調べたり、入国査証(ヴィザ)の手続をとったりすることに不安のある方は、留学の手続をやってくれるプロの業者さんに依頼したほうがよいかもしれません。

※イミグレやヴィザについてのご質問は、当方では一切お受けいたしかねますのでご了承ください。

※この記事は

2008年09月26日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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