「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

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2008年08月31日

TESCOの "less items" 問題、ついに決着。

拙著にも書いたが、英国のスーパーマーケットの大型店舗には「品物が少ない人専用レジ」がある。自分はミルクと卵を買うだけなのに、家族4人の1週間分の食糧をまとめて買うような人が並んでいる列で延々と待たされる、といううんざりするようなことを減らすためのサービスである。これは日本でも取り入れてほしいと思うことがないわけではない、という数少ない英国の習慣のひとつだ。(20年位前までは「エスカレーターの右列と左列の使い分け」もそういう習慣のひとつだったが、いつの間にか取り入れられてすっかり定着している。)

その「品物が少ない人専用レジ」の表示、実は言語学的論争の的になっていた。というのも、こんな文言だったからだ。
"10 Items or Less"


「10品までってことでしょ、どこがいかんのかわからん」という人もいるだろう。「10品『以下』なのか10品『未満』なのかってことでしょ」と、極めて日本人的な厳密さ(そう、紙の角を合わせて折るような)で納得する人もいるだろう。

そこで思い出してほしいのは中学英語だ。
数えられる名詞の場合はfew, fewerを使います。
例: few books, fewer books

数えられない名詞の場合はlittle, lessを使います。
例: little water, less water


おわかりだろうか。つまり、"10 Items or Less" の "item(s)" は可算名詞だから、few(er) を使うべき、ということだ。

個人的には「どっちでもいい」と思う(通じるから)。文法を教える立場では、「fewerに決まっとる」と思う。

英国で、「アポストロフィの不正確な使い方」など(パンクチュエーション)にいちいち目くじらを立てて楽しんでいるブロガーさんも、このlessの「間違い」には自分では気付かなかった、と告白しておられる。(ただし「TESCOはパンクチュエーション全般がなってない、あの会社はアホである」という内容の記述を伴っている。)
http://u2019.blogspot.com/2007/07/tesco-part-xii.html

で、この「"less when it should be fewer" 論争」はけっこう長く続いていたのだが、今回ようやく決着がつきそうだ、というのが今日のBBCに出ていた。

Tesco checks out wording change
Page last updated at 09:44 GMT, Sunday, 31 August 2008 10:44 UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/business/7590440.stm

つまり、TESCOが、"10 items or less" の表示を、"Up to 10 items" と変更するそうです。アドバイザーはthe Plain English Campaignだそうで、PECのサイトにも何か出てるかな……。

……ないみたい。
http://www.plainenglish.co.uk/news.htm

ともあれ、"10 items or less" というのは、アメリカでコメディのタイトルにもなっているくらいで、それなりにズレた感じをかもし出しつつ定着したフレーズではあるのだろうが、今回のTESCOの方針転換で「正しい英語」への流れができるかどうか、何となく注目したい。

ちなみに、検索してみたら見つかったページによると、各チェーン店のこの表示は(2004年時点):
http://www.linuxformat.co.uk/index.php?name=PNphpBB2&file=viewtopic&t=4821
Post subject: Seen at the quick check-outs

Marks & Spencer - "5 items or fewer"
Waitrose - "8 items or fewer"
Tesco - "10 items or less"
Sainsburys - "Baskets only"

うーん、このように並べてみるとやはり、TESCOはアホっぽく見える。この投稿にもあるのだけど、キャッチフレーズが "Every little helps." だしね……これは私は文法ガチガチなので、「littleは代名詞でhelpsの主語」と解釈するしかないよねぇ、という結論に落ち着いた記憶があるのだけど、ネイティヴ話者から見たらやっぱり「変」みたい ("Every little help." でいいじゃん、ということ)。

Sainsburysの「(カートを使わず)カゴだけ」という表現のアバウトさが私は大好きだ。上の投稿の人は、「カゴの中に、天井まで届かんばかりに盛り上げている人はセインズベリーに行こう」と、明るく正しいブリティッシュ・センス・オヴ・ユーモアを見せ付けてくださっているが。

しかし、Linuxの雑誌のサイトのフォーラムで、このネタで投稿3ページって、何ごとよ…… (^^;) 全部読もうっと。



Tescoで検索したらこんなんでてきた……
http://flickr.com/photos/iwouldstay/54118201/
Tesco value instand chicken flavoured noodles (after all, I'm a student). Contains 92% noodles, 7% seasoning - and I'd really like to know what the missing 1% is...

つまり、「インスタントラーメンの袋に、麺が92%、調味料が7%とあるのだが、残りの1%は……?」という話。(たぶん、「表示しなくてもいいくらい微量にしか使っていないもの」だと思うけど、Tescoというとどうにも「計算できないのかな」と思ったり、「何か表ざたにできないものが」と思ったりするらしい?)

flickrのTescoグループ:
http://www.flickr.com/groups/tesco

※この記事は

2008年08月31日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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▼当ブログで参照・言及するなどした書籍・映画などから▼















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