「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

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2008年07月08日

「リトビネンコ殺害の背後にロシアの国家的関与」と英治安当局筋

【あとで書き足します】→書き足しました。

「アレクサンドル・リトビネンコの殺害にはロシアの国家的関与がある」と、英治安当局筋が、BBCのNewsnightで断言したらしい。また、昨夏にベレゾフスキー暗殺計画があったのをMI5が阻止したらしい。BBC Newsのトップページに出てた記事(トップページに出す必要がある記事なのかどうか……)。

Russia 'backed Litvinenko murder'
Page last updated at 18:27 GMT, Monday, 7 July 2008 19:27 UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/7494142.stm

7月7日の放送分だそうだ。番組サイトで見られるようになっているかと思ったが、まだ上がってないみたい。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/programmes/newsnight/default.stm

記事から:
The BBC's source said the Berezovsky incident showed "continued FSB willingness to consider operations against people in the West".

And they claimed the targeting of Russian government critics in the UK had serious diplomatic repercussions, saying: "[It] messes up the relationship big time."

In November, head of MI5 Jonathan Evans expressed concern that there had been "no decrease" in the number of Russian covert intelligence officers operating in the UK since the end of the Cold War.


ええと……内務省がこれでは、外務省がますます仕事しづらくなるんではないかと。外務省も「上等!」モードかもしれないけど、既にロシア国内のブリティッシュ・カウンシルがいろいろ面倒なことになっているのに。

でもまあ、とりあえず、2010年のワールドカップの予選でイングランドとロシアが違う組にいることを確認して、ほっと一息(ただし、ウェールズがロシアと同じ組だが)。こういう流れが大きく取り上げられるようなタイミングでイングランド対ロシアの試合があったりしたら、恐ろしすぎる。CL決勝みたいに「ロシアが会場で欧州のクラブの試合」ならいいんだけど、ナショナル・チームの試合では恐ろしすぎるよ。

ロシアの組にはドイツがいるから、ロシアがグループ2位でプレーオフに回る可能性はかなり高い。となるとイングランドに1位で勝ち抜けてもらいたいのだが、イングランドの組にはまたクロアチアがいる。うーむ。

……何の話だっけ。

Newsnightの番組エディターのブログ:
http://www.bbc.co.uk/blogs/newsnight/markurban/2008/07/litvinenko_killing_had_state_i.html

「ベレゾフスキー暗殺計画」について:
A Russian citizen, called 'Mr A' in the report but whose identity is known to Newsnight was arrested on 21 June 2007 and deported four days later. Speaking on Newsnight, Mr Berezovsky said that plain clothes officers came to his office soon after the suspected hitman arrived in London on 16 June and urged the businessman to leave the UK immediately. Mr Berezovsky speculates that Mr A was not put on trial because British intelligence did not want to reveal the source who had warned them that Mr A was travelling to London.


この文からは、Newsnightが把握している「事実」は、「A氏」の氏名など(アイデンティティ)と、その「A氏」が2007年6月21日に身柄を拘束され、4日後に強制送還になった、ということだけだ、と読める。あとはベレ氏の説明で、6月16日にその「A氏」がロンドンに到着してすぐあとにベレ氏のオフィスに私服警官が来て、すぐに出国してくださいと告げた、というのも、たぶん「事実」だろう。

ってことは、16日にロンドン入りして、21日まで何をやってたの、その「ヒットマンA氏」は。観光?……というのは冗談だけど(ベレ氏の所在がつかめないまま日数が経った、ということだろうとは思う。その「ヒットマンA氏」が事実だと仮定して)。

そういえば内務省が出した案で、「何かのイベントを目的に渡英する人専用のヴィザ」とかいうのがしばらく前にあったのだけど、ひょっとしてこういうケースを想定してんのかな。「グラストンベリーを見に来ました」っていう「ロシアのロックファン」が実はヒットマンだった、というのを警戒している、とか。ありそうな話だ、あの内務省だから……「アルカイダのテロリスト」がグラストンベリーとかの夏フェス、ってのはまず考えられないけど、ロシア人なら考えられる。そういうことなのかな。(<根拠のない憶測)

▼ここから下はあとで書き足す▼→書き足しました。
大統領就任後初の外国メディアとのインタビューとなった7月3日のガーディアンのインタビューで、メドヴェージェフ大統領は、「互いの言い分をよく聞いて、落としどころを見つけていかねばならない。ロシアは動く準備ができているが、英国側にも同様の動きを期待したい (There has to be a willingness to find compromises and listen to your partner. Russia is ready to move, but we expect corresponding steps from our British partners)」と述べ、ゴードン・ブラウンとの電話で落ち着いた会話ができたと語っている。一方で3月にはロシアにあるBPのオフィスにKGB……じゃなかった、FSBが踏み込み、またBPはロシア国税当局からもかなり厳しくやられているという。メドヴェージェフ自身、過去において、「ロシアのブリティッシュ・カウンシルにはスパイがうようよしている」と述べていたが、ガーディアンのインタビューの席ではその発言を一笑に付した、という。(こわっ)そして、ブリカンの話とか、ルゴボイの話はしませんという感じで、経済関係について積極的に話をしたとのこと。

まあ、個人的には、英国もロシアに対しては経済関係を重視して対応するのがお得、という認識ではあるだろうと思うのだけど(特に今の情勢下ではなおさら)、ロシアが「資源」を楯にかなり強引なことをしているのにいいかげんにブチ切れそうなのかもしれない。

昨日から始まったG8サミットの席で、英国とロシアの関係がやはり微妙なままである(ロシアは今年大統領が代わったし、英国はリトビネンコ事件の発生時とは首相が違うが)という記事も読んだ。【あとでソース追加して追記する】→その記事をブックマークしていなかったのでわかんなくなっちゃいました。代わりに8日付のテレグラフ:
G8 summit: Russia and Britain on diplomatic collision course
http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/europe/russia/2269230/G8-summit-Russia-and-Britain-on-diplomatic-collision-course.html
Britain has been left on a collision course with Russia after tense talks between Gordon Brown and the new Russian president, Dmitry Medvedev.

The first meeting between the two men failed to solve the key issues or to dispel the image of two countries whose diplomatic relations are sub-zero.


また、英内務省は、リトビネンコの友人だというロシア人の政治亡命を受け入れた。【あとでソース追加して追記する→済】リトビネンコが毒を飲まされた2日前に彼と会っていたAndrei Sidelnikovという32歳の男性が、政治亡命を認められた。彼はPoraという小規模な反体制組織のリーダーで(2005年のワシントンポストの記事に彼の名前がある)、昨年12月に、ベラルーシとウクライナを経由して、ひそかに英国に逃れてきた。G8首脳会談でブラウンとメドヴェージェフが会ったのは、この人の政治亡命が認められた後のことだ。

一方で、同じ内務省は、ジンバブエから逃げてきた野党支持者11,000人の難民申請を却下し、自主的退去(つまりジンバブエへの帰国)を求めている。イラク人亡命申請者に対しても同様の態度である。(6月8日のNewsnightでサラーム・パックスがレポートしたとのこと。)ほかにも政治亡命が認められず、あるいは難民申請が却下されて、送還の瀬戸際にある人は多くいると思う(専門のサイトで調べれば統計数値はわかるはずだが)。

そんなこんなで、「リトビネンコの友人」のAndrei Sidelnikovさんは確かに差し迫った身の危険にさらされていたとして(そのこと自体は疑いの余地はないだろう)の亡命が認められた裏に、政治的な判断がないとは言えないのではないか、という見方を、どうしてもしてしまうのだが……。

このエントリの冒頭で参照したBBCの記事は、Andrei Sidelnikovさんの亡命が認められたあとに、またBBCがプロパガンダ・モードに入ってきたのかなあというときの記事だ。

この記事の翌日、8日にはさらにステップアップして、ポール・レイノルズが出てきた。

Britain and Russia: All is still not well
By Paul Reynolds
World affairs correspondent, BBC News website
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/7494865.stm

The conclusion to be drawn from these latest comments is that Britain believes that the Russian security service the FSB was operating largely independently, but in a permissive environment in which the Kremlin signalled that action against critics was allowed.

The Russian parliament even passed a law making it legal to carry out assassinations abroad.

But going public with an accusation like this (and another one that the Russians scouted out another London-based critic, Boris Berezovsky) is another matter and it will raise the diplomatic temperature.

Whether the comments were timed deliberately or whether they just came out in the course of a conversation with the BBC journalist is not clear. Sometimes, these revelations are not the result of a careful decision but just emerge and have all kinds of unexpected repercussions.

内務省関係者が「リトビネンコ事件にはロシア政府が」と発言したのが、計算づくであえてこのタイミングでのものか、話の流れで出てきたものをBBCの記者が取り上げたのかははっきりしない、とレイノルズは書いているが、それが「はっきりしない」ということの行間を読んでしまうのは、たぶん私が一種のパラノイアだからだ、ということにして、重要なのは、この記述の後にあるこれ:
It will dash any hopes that the meeting at the G8 in Japan between the two leaders, Gordon Brown and Dmitry Medvedev, might have started a new chapter.

つまり、ロシアの大統領が代わったことで、新たな章が始まったといえるのではないかという希望的観測を完全に打ち消した、と。

内務省筋がついついポロっとBBC記者に喋ってしまった、というのなら、喋った人は責任重大だ。

しかし、G8では「環境政策」、「燃料と食料の高騰」、「ジンバブエ」、といった話題が中心となっていて、アフガニスタンではインド大使館に自動車爆弾とか、イラクでも自爆とか、いろいろなことが起きているときに、あえてリトビネンコの写真を使ったバナーを「今日の注目記事」の扱いで、BBC Newsのすべての記事の下部に表示されるようにしたBBCに、何らかの意図がなかったとは、とても考えられない。しかも記事見出しが、引用符つきとはいえ、"We accuse"……。

下のキャプチャ画像は、7月8日のBBC Newsの注目記事の様子。記事はチェコと米国がミサイル防衛計画でのレーダー設置に合意、ということを報じるもの。
footerbbnews.jpg

※この記事は

2008年07月08日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 09:29 | Comment(1) | TrackBack(0) | todays news from uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Paul Reynoldsを投入したBBCに続き、ガーディアンがリチャード・ノートン・テイラーを投入……やばい、笑い事じゃないや、英国は本気ですね。

Echoes of cold war as MI5 boosts its anti-spy activities
Richard Norton-Taylor
The Guardian,
Wednesday July 9, 2008
http://www.guardian.co.uk/politics/2008/jul/09/terrorism.foreignpolicy

[quote]
In his first, and so far only, public speech Jonathan Evans, the head of MI5, said in November that despite the end of the cold war nearly two decades ago the service was still devoting resources against "unreconstructed attempts by Russia, China, and others to spy on us".

MI5 says on its website: "We estimate that at least 20 foreign intelligence services are currently operating in the UK against UK interests. The Russian and Chinese intelligence services are particularly active, and currently present the greatest concern. For instance, the number of Russian intelligence officers in London is at the same level as in Soviet times."

Counter-intelligence officers say 30 agents are operating out of the Russian embassy and trade mission in London.

Although the priority remains the threat from extreme Islamist and al-Qaida inspired terrorism, MI5 officers have been switched to counter more traditional agencies whose intentions are considered hostile, officials said yesterday.
[/quote]

それと、ロシアの憲法で身柄の引渡しは不可能だというのに、ブラウンがG8サミットの際にその話をしたらしい (Brown is understood to have raised the issue of Russia's refusal to extradite Andrei Lugovoy, a former associate of Litvinenko's wanted by the UK authorities in connection with the murder, during talks with Medvedev on Monday at the G8 summit in Japan)。「容疑者」のルゴボイはいまや国会議員で、以前よりさらに守りを固めてきているのに、単に「再考していただけないか」というように言ったとは考えられないのだけど。
Posted by nofrills at 2008年07月09日 11:30

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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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▼当ブログで参照・言及するなどした書籍・映画などから▼















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