なお、マーティン・マクギネスがイラクに行ってるらしいし(「NI和平を世界の紛争解決/紛争転換のプロトタイプに」という英国政府の作戦の最前線だ)、北アイルランドはthe Twelfth直前だし、そんなこんなでメモないし言及しておくべきニュースが次から次へと出てきてるんで(Slugger O'Tooleの更新がハンパないのよ、マジで)、この件についてはこのエントリでしか言及しません。このエントリのコメント欄(承認制)での「議論」もお断りします。
まず、関連するBBCなどでの記事は、私が見たものだけだけど、はてなブックマークのほうで「9-11」のタグをつけてまとめてあります(タグをつけ損なっている記事もあるかもしれない)。
http://b.hatena.ne.jp/nofrills/9-11/
で、なぜ今この話なのかというと、米国で「第三のタワー」の崩壊についての最終報告書(The National Institute of Standards and Technologyによるもの)が出されようとしているということで、「第三のタワー」では思い切り「陰謀の加担者」と名指しで批判 (well, sort of) されているBBCが、次の日曜日(6日)にテレビで特集番組を放送し、記事を何本も出している(「盛り上がって」いる)から。現時点での最新の記事は下記。
9/11 third tower mystery 'solved'
Page last updated at 21:11 GMT, Friday, 4 July 2008 22:11 UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/americas/7485331.stm
この記事は、「9-11はインサイド・ジョブ」説を大きく広めた「第三のタワー」こと、“飛行機が突っ込んでもいないのに、何時間も経ってから、ありえそうもない形で崩壊したWTC7”をめぐる「説 theory」、つまり「あれは爆破解体だったのだ」という説の概略のまとめと、それが広まった背景の解説(箇条書き)、および今回出される最終報告書での調査を行なったDr Shyam Sunderのポイント解説で構成され、分量は少し多めだけれど非常に読みやすいので、ぜひどうぞ。
また、BBCでは、7月6日夜9時から、The Conspiracy Filesというシリーズものの特集番組(2006年から2007年の第一シリーズで「ダイアナ妃事故死」、「9-11」、「オクラホマ爆弾事件」、「デイヴィッド・ケリー博士の死」を取り上げた)で、"9/11 - The Third Tower" が放送される。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/programmes/conspiracy_files/7433017.stm
上のURLで、3分くらいの予告編を見ることができます。BBCのネットでの放送は、ものによってはUK外からの接続では見ることができないが(BBCがUKにいる人たちが支払っている「TVライセンス料」で運営されているから)、この予告編は日本からの接続でも大丈夫。内容は、記事にまとめられている「説」を唱えている方々(Trutherの方々)のインタビューのコラージュが主。(私はこの人たちが誰なのかを認識できないんだけど、Trutherの方々が広めている映像素材をご覧になっている方なら誰が誰なのかわかるだろうと思います。)
で、これの前にMagazineで出ていた記事が:
The evolution of a conspiracy theory
Page last updated at 10:09 GMT, Friday, 4 July 2008 11:09 UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/magazine/7488159.stm
BBCのMagazineという「読み物」特集に出ているもので、「インサイド・ジョブ」説がいかに広まっていったかがまとめられています。Trutherも大きく分けて二派に分かれているとかいったことまで。(Made it happen派とLet it happen派、高校生のみなさんにとっては英語の勉強にはなります。)
そして、この「WTC7崩壊」についての「インサイド・ジョブ説/爆破解体説」を広めるためのお膳立てをしてしまったといえるのが、ほかならぬBBCでした。現場からの中継レポートで、レポーターの背後にWTC7が存在しているのに、レポーターが「崩壊しました」と言ってしまった、という件。
これについてはいろいろと取り沙汰されたのだけれども、その件についての最新の情報が、7月2日のMike Rudin(The Conspiracy Filesのプロデューサー)のブログ:
Controversy and conspiracies III
http://www.bbc.co.uk/blogs/theeditors/2008/07/controversy_conspiracies_iii.html
前半は、このエントリの上にメモったURLにあるのと同じことが書かれているだけなのでざーっと飛ばして次の箇所:
It is certainly true that on 9/11 the BBC broadcast that WTC7 had collapsed when it was still standing. Then the satellite transmission seemed to cut out mysteriously when the correspondent was still talking. Then Richard Porter admitted in his blog last year that the BBC had lost those key tapes of BBC World News output from the day.
So is that proof that we at the BBC are part of a huge sinister conspiracy or is there a simpler explanation?
The mystery of the missing tapes didn't last that long. One very experienced film librarian kindly agreed to have another look for us one night. There are more than a quarter of a million tapes just in the Fast Store basement at Television Centre. The next morning I got a call to say the tapes had been found. They'd just been put back on the wrong shelf - 2002 rather than 2001. Not so sinister after all.
What about the incorrect reporting of the collapse of Tower 7? Having talked to key eyewitnesses who were actually at Ground Zero that day it is clear that, as early as midday, the fire service feared that Tower 7 might collapse. This information then reached reporters on the scene and was eventually picked up by the international media.
……ということです。つまり、崩壊してもいないときに「崩壊した」と放送し、たまたま衛星放送の映像が切れて(ブログの下の方に書いてあるのだけど、タイマーが17:15にセットされていたのにタイミングが重なっていたとのこと)うんちゃらかんちゃらという部分のテープを、BBCが「紛失してしまった」とかいうので昨年大騒ぎにされて(ああ、あのときの話ね)、いやもうそりゃ大変だったんですが、そのテープは「2001年」の棚じゃなくて「2002年」の棚にありました、これはすごい「陰謀」ですね、はっはっは、という話。
「崩壊した」の放送は、現場の消防隊が「崩壊のおそれあり」とmightつきで話していたのが、報道陣も大混乱していた現場で伝言ゲーム発生によりmightが脱落、ということでしょう。通常の環境で、落ち着いて話していれば、mightは強調されて発話されるのだけれど、この場合、「崩壊の危険があるから全員退避してください」的な方向に重点があったと考えるのが自然だし、その場合、mightよりもcollapseが強調されて発話されるだろうし、それを耳にした人はcollapseが記憶に残って、現場から退避したあとに誰かに伝えた場合にmightは跡形もなく消えていた、ということはありそうなことで、というのはその前に、WTCの2つのタワーが崩れたときの破片が周囲に降り注いでいたのは誰もが目撃していた通りで、あの高さからコンクリートの破片とかがあれだけ大量に落ちてきたらそれだけでもすごい破壊力になるということは明白なことで、etc, etc。
で、私は興味がないから見ていないのだけれども(「興味がない」っていうより、見る前に読んだ文章だけでオナカイッパイになったし、それが話題になっていたときは「あの日何が起きたのか」より「これからイラクはどうなるのか」のほうがずっとずっと重要だったので)、Trutherの制作した有名な「ドキュメンタリー」(のパロディだったらおもしろいんだけれども、残念ながらガチのようで)の映画で、「CNNとBBCはいったいどこで『WTC7崩壊』という情報を得たのか」というように、BBCが特定されて“槍玉にあげられている”ことについて、上記ブログでは:
It turns out that the respected news agency Reuters picked up an incorrect report and passed it on. They have issued this statement:
"On 11 September 2001 Reuters incorrectly reported that one of the buildings at the New York World Trade Center, 7WTC, had collapsed before it actually did. The report was picked up from a local news story and was withdrawn as soon as it emerged that the building had not fallen."
I put this to the writer and director of Loose Change, Dylan Avery. I asked whether he believed the BBC was part of the conspiracy. Given the question his film had posed about the BBC I was surprised by Dylan's response: "Of course not, that's ludicrous. Why would the BBC be part of it?"
He added candidly: "I didn't really want to put that line in the movie."
……なんだよこれ。グダグダにもほどがある。(笑)
で、このブログ記事にもまた150件以上のコメントがついている(タイムスタンプではAt 11:19am on 05 Jul 2008が最後で、ひとりが何度も投稿してるのがあったりする)。ざーーっと見た限り(読んではいない)「テープを置く棚を間違えていたってそんなバカな」というコメントにいくつか気付いたけど、「そんなバカな」という感想が出てくることも尤もなのだが、「置き間違えた」ということ自体が尤もなことなので。 (^^;)
BBCっていうと、きっちりかっちり仕事してるというイメージはあるのかもしれないけれども、実際きっちりかっちりしてる部分も非常にたくさんあるのだけれど、BBCがある著名人にインタビューを申し込んだとき、その著名人は死んでから24年が経過していたとかいう、普通では考えられないようなこともしている(私だってその著名人が1981年に死んでいることは昔から知っていたのだが、BBCの現場にはそれを知っている人はいなかったらしい)。だから、「BBCに限ってそんな凡ミスありえないだろ」というより、「BBCだってそういう凡ミスはするだろ」と考えるのが妥当、むしろ「あのBBCならそういう凡ミスをやっても不思議ではない」という変な偏見すら一定範囲では妥当、ということになるのではないかと。
で、「BBCはWTC7崩壊を事前に知っていた、したがってBBCはプロットに加担していた」説についての私の考えは、既に1年前に書いたので(2007年07月07日:下記URLの「引用2」)、ここでは繰り返しません。って、上に書いた部分で既に繰り返しになってるんだけども。(^^;)
http://nofrills.seesaa.net/article/47006675.html
以上。
で、このエントリのコメント欄・トラバは承認制にしておきますが、個人的にはこんないかにも筋の悪そうな「陰謀」説(→どのくらい「筋が悪い」かについて、秀逸な文章)よりも、「当局による隠蔽工作」の存在がある可能性が高い事件[*1]のほうが重要だと私は考えており、それらについてBBCなどで調べているので、コメントが投稿された場合でもその確認には数日かかる場合もあるかもしれません。その点は前もってご了解ください。なお、コメント欄での「議論」は固くお断りします。(あなたのご意見はトラバでどうぞ。トラバできない場合はコメント欄にURLを投稿してってください。スパマー御用達のURLだったりするとseesaa側の設定でコメントがエラーになりますけど、たいがいは大丈夫なはずです。)
*1:
北アイルランド関連、特に英当局(北アイルランド警察も含めて)と、ロイヤリスト武装組織が手を結んでいた事件の数々。具体的にはHETの扱っているもののいくつか(→一例)と、そのほかの重要な事件、特に1999年3月のローズマリー・ネルソン爆殺事件。ローズマリー・ネルソン事件については、2005年にインクワイアリが開始されたが、今年5月6日に重要なデータの入ったコンパクトディスクが失われた。北アイルランド警察では過去にも証拠隠滅事例はいくつもあり、オマー爆弾事件では証拠隠滅なのかただの杜撰な管理なのかよくわかんないけど、証拠が法廷で通るようなものではなかったため、実行犯の起訴はもう絶望的。1989年2月のパット・フィヌケン殺害事件での英当局とロイヤリスト武装組織の関係については、刑事訴追という形での真相究明は、正式に、もうありえないという結論が出ている(2007年6月)。
http://nofrills.seesaa.net/article/45993321.html
ああ、こんなことよりSluggerを読まないと、またすごい更新量だ。
http://www.sluggerotoole.com/
※この記事は
2008年07月05日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
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