kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2008年07月02日

北アイルランドは世界で5番目に幸福、という調査結果

「壊れる前に…」さんの2日記事、「一番幸せな国」で、Denmark world's happiest country, survey finds というロイター電に基づいて、米国政府が資金を出して行なった「世界幸福実感調査」みたいなものが紹介されている。

この米国政府が資金を出して行なった(<強調)調査によると、1位がデンマーク、2位がプエルトリコ、3位がコロンビア(えっ?)、4位がアイスランド、5位が北アイルランド……お茶ふいた。そりゃNIは「10年前に比べたら今は」で考えれば(そして、「あなたは今幸せですか」と訊かれたときにそう考えるのは、結婚したばかりだとかサポしてるチームが優勝したばかりだとか転職が成功したとかいった幸せのタネが特にない人にとっては、自然なことだと私は思うが)、当然、「幸せです」という回答は増えるだろう。

ともあれ、北アイルランドが世界で5番目に「幸せ」であるという興味深い指標を教えていただいたら、詳細を調べざるを得ない。

ええと、その前に前置きとして、「北アイルランド」を「国」として扱っていることについて「?」と思われる方もおられるだろうが、「英国」についてはそういうことがある、ということで。(イングランドとスコットランドとウェールズとNIをばらばらに調査対象としたのか、あるいはブリテン島(Britain)とNIが切り離されているのかなど、詳細なバックグラウンドは不明。この点についての推測は後述で。)

というわけで、まずはロイター。調査の名称は、The World Values Survey(世界価値観調査、って感じ?)。
http://www.alertnet.org/thenews/newsdesk/N30454695.htm
Overall, the world is getting happier, according to the U.S. government-funded World Values Survey, done regularly by a global network of social scientists.

It found increased happiness from 1981 to 2007 in 45 of 52 countries analyzed.

【要旨】社会科学者たちの全世界的ネットワークによってなされているこの調査によると、全体的に、世界は以前より幸せになっている。1981年から2007年に幸福度が増大したのは、分析の対象となった52か国中45カ国だったのだ。


regularlyとあるから、何年かおきに行なわれているのだろう。この記事(下の方)には、「第一回は1981年」とあるだけで、第二回がいつか、あるいは何年おきかなどは書かれていないのだが。

調査対象となったのは350,000人で、調査対象となった国は、同じ記事の上の方にある数値から、52カ国だと判断できるのだが、それがどこなのかは書かれていない。

質問項目は以下の2つだそうだ:
"Taking all things together, would you say you are very happy, rather happy, not very happy, not at all happy?" And, "All things considered, how satisfied are you with your life as a whole these days?"

つまり、
-「一切合財全部込みで、あなたは(現在)、非常に幸せであるか、かなり幸せであるか、あまり幸せではないか、まったく幸せではないか」
-「一切合財全部込みで、また全体的な話として、あなたは最近、自分の人生に満足しているか」

回答の理由を訊いているとかいうことは書かれてないので、ロイター記事にある「デモクラシー」とか「経済的な豊かさ」みたいな「幸せの理由」は、誰がどこで結びつけたのかがちょっと気になるなあ。(どの記事にも、Denmark, with its democracy, social equality and peaceful atmosphere, is the happiest country in the world, the researchers said. みたいな記述があるのだが。)

調査を行なったミシガン大学の社会科学者、Ronald Inglehartさんは、ロイターの記事では、「平和と幸福の間にはやはり、強い相関関係があるのでしょうね」と述べているというが、ここまでstating the obviousな記述は久しぶりに見た。(^^;) この先生の結論は、「究極的には、幸福かどうかを決定する最も重要なものは、自分の生き方について自由な選択をどのくらい与えられているかです」とのこと。ここまでstating the obviousな記述は(以下略。といってもこれは近代のベンサム、ミルなところから話を始めても、とても長くなるテーマだ)。

で、お金を出した米国政府のthe National Science Foundationのサイトには、この先生のビデオメッセージなどもあるのだが(未見)、「アメリカ合衆国は16番目ですよ、みなさんあんまりグチってないでもっと明るくいきましょうよ」的なことが書かれている(<超訳にもほどがある)。
http://www.nsf.gov/news/news_summ.jsp?cntn_id=111725

個人的には世界で16番目に幸せな国ではなく、5番目に幸せな国に興味があるので、その5番目に幸せな国を含む国(ややこしいな)である英国のメディアの記事を探してみると(Google Newsで、"The World Values Survey" で検索)、テレグラフが手堅くまとめている記事がある。

The world has never been so happy, study says
By Lucy Cockcroft
Last Updated: 5:52AM BST 02/07/2008
http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/2232215/The-world-has-never-been-so-happy,-study-says.html

この見出しに、皮肉という名の霧が漂っているように見えるのは、私の頭が腐ってるからでしょう。

この記事に、同様の調査が前回行なわれたのは20年前である、と書かれている。ということは1988年か。(→違うかも。20 years ago = approx. 20 years agoかも。記事末尾参照。)
And overall, compared to a similar survey 20 years ago, the researchers say we're a lot happier, despite the credit crunch and the rising cost of petrol, food and household bills.

despite から後は「そうそう、ほんとに最近イヤな話ばっかりでうんざりしちゃうのよね」とうなづきながら、1つ1つ噛み締めるように読んで、「戦争も」とか「殺人事件も」とかいう大きな話を徐々に付け加え、「そういえばうちの息子が」といった身近な話題に持って言って、最後、壮大なグチ大会に仕立て上げ、最後は "Well, this is not the end of the world!" でフィニッシュするのが英国流です。

んなことはどうでもよくて、1988年ごろといえばサッチャー政権末期、北アイルランド紛争最盛期etc etcでベルファストは爆弾、銃撃戦、警察と軍の厳重な警戒、カトリックに対する差別的な扱いetc etcであふれていたころだ。NIはその時代よりは絶対に「幸せ」だから、20年前の調査対象の人たちに今回も調査をしたのなら、Yesと答える率はものすごく高いだろう。そういう追跡調査ではなくランダムに質問したのなら、「20年前との比較」という要素は薄れるけれども。で、そういうことがこの記事でもわからない。

あと、この記事によると、どうやら「ブリテン」と「北アイルランド」で分けられてるっぽいなあ。ロイターとテレグラフの記事からわかるのは、第一回が81年、第二回が88年ということなので(→違うのかも)、そのころに「あそこは別」っていう扱いをするしかない状況にあった、ということなのだろう。
But although Britain is lower down the scale, we are happier than many of our European neighbours. France came in at 36, Spain, 43, Italy, 45, and Portugal, 46.

記事の上の方に、Britain was placed 21st (ブリテンは21位)とあるのだが、以下、フランスが36位、スペインが43位、イタリアは45位(「アモーレ、マンジャーレ、カンターレでいつも幸せ」ってのは単なるステレオタイプだ)、ポルトガルが46位。(Euro 2008の結果が出たあとならちょっと違ってたかもね。)

テレグラフのこの記事の末尾には、「トップ10」と「ワースト10」それぞれのリストがついている。
TOP 10 HAPPIEST COUNTRIES 世界で最も幸せな10カ国
1 - Denmark デンマーク
2 - Puerto Rico プエルトリコ
3 - Colombia コロンビア
4 - Iceland アイスランド
5 - N Ireland 北アイルランド
6 - Ireland アイルランド(南の共和国のほう)
7 - Switzerland スイス
8 - Netherlands オランダ
9 - Canada カナダ
10 - Austria オーストリア

10 MOST MISERABLE COUNTRIES 世界で最も不幸せな10カ国
1 - Zimbabwe ジンバブエ
2 - Armenia アルメニア
3 - Moldova モルドバ
4 - Belarus ベラルーシ
5 - Ukraine ウクライナ
6 - Albania アルバニア
7 - Iraq イラク
8 - Bulgaria ブルガリア
9 - Georgia グルジア
10 - Russia ロシア

……この「ワースト」のほうの顔ぶれは……「同志、これは西側の陰謀です」!!としか言いようがないんですけど。

テレグラフの記事はこのくらいにして、ほかに探してみたのだけど、UKのメディアではまだほかでは扱いがないみたい。右翼新聞デイリー・メイルで6月14日にフーバー研究所のPeter Schweizerが「左翼より右翼のほうが人間的に上」みたいなニセ科学記事(<コメント欄より)を書いているののなかにThe World Values Surveyの名称が出てくるのだけど、

アイルランド(南)のが見つかったのでそれもちょっと見ておこう、と思ったけど、ロイター記事と大差ないので、URLだけで。

It's official: Irish people are happy
By Cormac Murphy
Tuesday July 01 2008
http://www.herald.ie/national-news/its-official-irish-people-are-happy-1424931.html



追記:

6月4日のScience Blogに「ジェンダー差別がないほど数学の能力のジェンダー差がない」というエントリがあるのがGoogle Newsで見つかって、そのリンク先で下記を発見。Inter-University Consortium for Political and Social Researchのサイトから。

Description & Citation--Study No. 4531
Title: European and World Values Surveys Four-wave Integrated Data File, 1981-2004
http://www.icpsr.umich.edu/cocoon/ICPSR/STUDY/04531.xml
The World Values Surveys and European Values Surveys series was designed to enable a crossnational, crosscultural comparison of values and norms on a wide variety of topics and to monitor changes in values and attitudes across the globe. This data collection contains the survey data from the four waves of the World Values Surveys and European Values Surveys, carried out in 1981-1984, 1990-1993, 1995-1997, and 1999-2004. These survey responses have now been integrated into one dataset, to facilitate time series analysis.

ということは、テレグラフの記事の "20 years ago" という記述は「だいたい20年位前」の意味かも。

あと、このページの Geographic Coverage のところをコピペしておくと:
Albania, Algeria, Argentina, Armenia, Australia, Austria, Azerbaijan, Bangladesh, Belarus, Belgium, Bosnia-Hercegovina, Brazil, Bulgaria, Canada, Chile, China, Colombia, Croatia, Czech Republic, Denmark, Dominican Republic, Egypt, El Salvador, Estonia, Finland, France, Georgia (Republic), Germany, Great Britain, Greece, Hungary, Iceland, India, Indonesia, Iran, Iraq, Ireland, Israel, Italy, Japan, Jordan, Korea, Kyrgyzstan, Latvia, Lithuania, Luxembourg, Macedonia, Malta, Mexico, Moldova, Montenegro, Morocco, Netherlands, New Zealand, Nigeria, Northern Ireland, Norway, Pakistan, Peru, Philippines, Poland, Portugal, Puerto Rico, Romania, Russia, Saudi Arabia, Serbia, Singapore, Slovakia, Slovenia, South Africa, South Korea, Spain, Sweden, Switzerland, Taiwan, Tanzania, Turkey, Uganda, Uruguay, Ukraine, United States, Venezuela, Vietnam, Zimbabwe, Global

国名だけで85ある。

で、この記事の「URL」というところから
http://www.jdsurvey.net/jds/jdsurvey.jsp

http://www.jdsurvey.net/jds/jdsurveyAnalisis.jsp

http://www.worldvaluessurvey.org/
でようやく調査の公式サイトにたどり着いたのだけど、どこを見たら何がわかるのかを把握しようとしている間に飽きてきたのでストップします。Select a countryのドロップダウン・メニューに、BritainとIrelandはあるけどNorthern IrelandがなくてUnited Kingdomもないし……。

果たしてこのsurveyが、ロイター記事で報じていたsurveyなのかどうか、そんなこともわからなくなってきたのだけど……。



で、結局、北アイルランドについては詳細不明。何のために何を調べたんだ、私は。



追記@お茶ふいたので。
このエントリの下に貼り付けてある自動挿入広告(キーワードを拾って適切なものを表示する)より:
wvs-books.png

※この記事は

2008年07月02日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 22:50 | Comment(1) | TrackBack(0) | todays news from uk/northern ireland | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
BBCが周回遅れでやってきました。。。

Denmark 'world's happiest nation'
Page last updated at 11:25 GMT, Thursday, 3 July 2008 12:25 UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/in_depth/7487143.stm

記事は、情報としては特に読むべきところはないと思います。ただ「編集」という点で興味深いライティングではある。Inglehart先生の主張と、調査結果の数値との境目がすごくぼんやりして見える。

んなことより、UKのメディアのくせに、「世界で5番目に幸せな国」を完全スルーしているのはいかがなものかと。
Posted by nofrills at 2008年07月04日 00:35

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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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