http://uk.youtube.com/watch?v=Xl0bkv0jCCM&NR=1
※記事末尾に一応解説を。
どう感じられただろうか。私はかなりほのぼのとした気分になった。
ところが実際には、これが放映された英国では「不快」に感じた人々からの苦情の電話が殺到、という事態になっている。
デンマークでの「ムハンマド戯画騒動」のときに「連中にはユーモアがわからんのですよ、一方我々にはモンティ・パイソンの『ライフ・オヴ・ブライアン』があります」とかぶっこいてた英国が、シャーリア法の国で同性愛者の迫害という問題があると聞けば「イスラームは同性愛者を阻害し排斥している、一方我が国ではcivil partnershipの制度があり云々」とアジる「リベラル」が(少しは)いる英国が――まあ「英国」という人格があるわけじゃないけどさ、いいじゃないの、カタいこと言いっこなしよ――、男の子と女の子とパパ(男)とママ(男)の「家庭」が、たった30秒、テレビの画面から流れてくることに耐えられない。
最高のジョークだ。笑えない類の。(何が「我が国にはマグナカルタ以来のcivil libertyがあり」云々だ、笑わせんな。←ジョークのつもり)
Heinz pulls ad showing men kissing
Mark Sweney, Tuesday June 24, 2008
http://www.guardian.co.uk/media/2008/jun/24/asa.advertising
実際、この件について最初は何かの配信で「ゲイのキスでマヨネーズのCM打ち切り」みたいなセンセーショナルな見出しで知ったので、こういうの↓程度に成人向け(マヨネーズつき)でどぎつすぎたのかと思ったら、全然、ほのぼのホームドラマじゃんね。
http://uk.youtube.com/watch?v=FORTVwAS3og
※これはCM大賞を受賞した有名なCM。1993年。
なお、打ち切りとなったCMはハインツの「ニューヨーク・デリ」というシリーズのマヨネーズのもので、「これさえあればデリのようなサンドイッチが家庭でお手軽に」という主張が根底にあるが、あまり声高にそれをアピールしているわけではない。にもかかわらず、商品がかなり強く印象に残ったので、CMとしては大成功なのではないかと思う。
(どのくらい強く印象に残ったかというと、もし英国に住んでいたら、「次にスーパーマーケットに行ったときにラベルくらい確認してみてもいいかな、ヴェジタリアン好適マークの有無くらいは見てもいいよね」と思いつつ、「ちっ、ちがうもん、資本主義のスーツ族に踊らされてなんかいないもん! CMでイメージ操作されて買わされるんじゃないもん!」という言い訳を心のどこかに用意していたに違いない、というくらいにだ。)
それだけでなく、きぃきぃうるさい人たちが「苦情の電話」をかけまくったおかげでこのことが新聞などで報道され、今の新聞報道はネット経由で全世界に流れるから、全世界で人々がこのことを話す、ということになる。YouTubeなど動画サイトでも多くの人が検索してみるだろうし、新聞社のサイトにビデオがアップされているケースもある(ガーディアン)。(※ただし私の環境ではなぜか見えない。ブラウザをバージョンアップしたせいかも。)
結果、ハインツのマヨネーズは世界的な知名度を獲得し、英国は「ホモフォビアの国」というイメージを獲得する。おめでとう。
結局はハインツのマーケティング策が大成功した、ということだ。
……なんてことを秒速100メートルくらいで思ったら、やっぱりそういうことを書いてる人がいた (via Google Blog Search)。コムラード!!
それと、ハインツはUSの企業だし、こういうネタならハフィントン・ポストっしょ、と思ったら期待以上のものが。
http://www.huffingtonpost.com/2008/06/21/oreilly-on-new-heinz-ad-i_n_108445.html
Fox News host Bill O'Reilly spent some time on Friday's show crying out against the ad. His comments (via ThinkProgress) below:So why are they doing that? Why -- it was. It was obviously a gay thing. Now I don't know what the message is, other than gay people like mayonnaise. ... I'm confused. This whole gender blending thing. It's confusing to me. ... I just want mayonnaise. I don't want guys kissing.
「マヨネーズがほしいだけだ。男同士のキスなど見たくはない」か。いろいろ応用可能だ。「サントリーのプレミアムモルツがほしいだけだ。ヤザワなど見たくはない」とか、「ソニーのBlurayのめんどくさそうな機械がほしいだけだ、ヤザワなど見たくはない」とか。
【CMの内容】
男の子(イングランド南部訛り)がキッチンに駆け込んで「ハムサンドね、ママ (Mum)」。
デリのキッチンスタッフのようななりの男が「ママ」に反応しているような間。ほどなくニューヨーク訛りで「できてるよ」と言い、男の子にサンドイッチの包み(お弁当)を渡す。男の子去る。
続いて女の子が来て「あたしには? What about me?」。「ママ」が女の子の口調を真似て「あなたには What about you?」と言いつつ、ハインツのマヨネーズをパンに塗ってハムサンドを作る。「ハムをおまけしてあげたよ、お兄ちゃんにはナイショね」。「ありがと、ママ」で女の子去る。
スーツの男来る。慌てた様子で「じゃあいってくる See you tonight, love」と言う。
デリの男、スーツの男を呼び止める。「わすれもの! Hey, ain't you forgetting something?」(ここ、イングランド訛りを真似てるように聞こえる)
スーツの男、口を大きくあけ、それから力が抜けたように笑ってデリの男に歩み寄り、キス。(ここでのデリの男の足がかわいい。)「いってらっしゃい Love you!」
ハインツのマヨネーズの瓶の映像に切り替わって、デリの男のNY訛りで、「寄り道しないで帰ってこいよ Straight home from work, sweet cheeks」
参考:
http://www.huffingtonpost.com/2008/06/16/heinz-mayo-ad-features-tw_n_107337.html
http://www.guardian.co.uk/media/2008/jun/24/asa.advertising
あと、YouTubeのコメ欄によると、NYのデリの人のようなかっこうの「ママ」を演じている俳優さんはAlfred Sauchelliという名前で、アメリカの映画やテレビドラマに出ているらしい。YouTubeには「Alは私のおじです」という人もコメントしている。
なお、この商品は元々子供が見る時間帯には放映できなくて(高脂肪の食品)、今回の打ち切りの決定は「子供に悪影響」云々というSection 28 (now defunct) じみた話ではない。単に「保守派」が自分にとって不快だということで電話かけまくったのだろう。
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タグ:LGBT
※この記事は
2008年06月25日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
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