保守党が左傾化している?!@2007年05月09日
http://nofrills.seesaa.net/article/41311599.html
こういう「大きな動き」みたいなことはだいたい1年くらい経過してから見直すといろいろと「うはー」ということがあったりするのだけれども、今月保守党の一議員がゴードン・ブラウンに対する不信任も出さずに引き起こした騒ぎを私がrubbishだと断じた背景のひとつがこれだ。
2分で読めるように再構成して再掲示しておこう。
以下、基本的に過去記事のコピペというか抜粋。抜粋だけど、すっ飛ばした箇所に三点リーダー入れるとかいうまどろっこしいことはしない。自分の書いたものだからこういう扱いをしても問題ない。(ただしこれは抜粋だから、これだけ読んで「全文読んだ」つもりにならないようにお願いします。)
Tories say next election will be about society, not economics
Will Woodward, chief political correspondent
Wednesday May 9, 2007
http://www.guardian.co.uk/guardianpolitics/story/0,,2075195,00.html
オリヴァー・レトウィンが、サッチャーの「社会などというものは存在いたしません。個人あるのみ、家族あるのみでございます」論を否定し、「経済中心ではなく社会中心の政治」をという話をし、保守党政府は減税減税とうるさい右翼をがっかりさせることになるだろう、と。もう全世界キャピタリズムなのですから、今さらサッチャリズムでもないでしょう、と。
キャメロンの「ソサイアティ」発言にも「おい、君は保守党だろう!」と思わされたが、レトウィンのこれには唖然とした。だってdisappoint rightwingersって、この人右翼じゃん。緊縮財政、小さな政府って感じの。なのに「私ども党執行部の考えは右翼をがっかりさせる」って、何だこれ。「私は右翼じゃありません」って?
とはいえ、「保守党がサッチャリズムと決別」というのはショッキングでキャッチーではある。労働党が「国有化政策とさよなら」というのと同じ効果をもつ。というか同じか。党是の否定。有権者びっくり。「自民党をぶっ壊す」みたいな話。
レトウィン発言が保守党の基本である「民間でできることは民間で」で、なおかつ「社会」が機能するように、という話だとしたら、それは極端な話「警察の民営化」につながってないか。で、それは「レッセフェール」ではない。
あー、ウィキペディアにあるな、「警察」国家論 by レトウィン。
http://en.wikipedia.org/wiki/Oliver_LetwinAs Shadow Home Secretary he attracted plaudits for his advocacy of a "neighbourly society", which manifested itself in calls for street by street neighbourhood policing modelled on the philosophy of the police in New York. He was also largely credited with forcing the Home Secretary to withdraw his proposal in 2001 to introduce an offence of incitement to religious hatred. He successfully argued that such an offence would be impossible to define, so there would be little chance of prosecution. He also argued that Muslims would feel persecuted by such a law.
このreligious hatredのときの議論は何となく覚えてる。法律で固めるのではなく、社会の目で対処しましょうってやつだ。何でもいいからとにかくこの法律の成立は阻止してくれという立場の人もいたと思う。
レトウィンが語るゴードン・ブラウンの政策と保守党:Mr Letwin said the intellectual battle line with Mr Brown divided the Tories from the chancellor's "provision theory", his "faith in central direction and control". Instead, what Mr Letwin called "Cameron Conservatism" would "establish frameworks that will lead people ... to act of their own volition in ways that will improve society by increasing general wellbeing".
何度か読み返したが、やはりこの人のsocietyという語の使い方はトリッキーだ。ゴードン・ブラウンのvaluesと同じくらいトリッキーだ。
それでも、「労働党には裏切られた」感で憔悴しきっている左派には「サッチャリズムを捨てた保守党」は猛烈にアピールする。北風がやみ、3月末の桜が日本人にアピールするのと同じくらいにアピールする。危険だー。
2007年05月09日
posted by nofrills at 23:53
http://nofrills.seesaa.net/article/41311599.html
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※この記事は
2008年06月24日
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1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
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