kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2008年06月16日

イランからの「よいニュース」

イランっていうと「核開発やめないと制裁するぞ」(→今日もまた、ブッシュ訪英でブラウンともども鼻息荒いとかいう話があるんですが)どころか、「核開発やめないので、たぶん攻撃します」(→イスラエルの副首相による発言@6月6日報道)というような話ばかりで、「核開発疑惑」のほかに聞こえてくる話もよいものはほとんどなくて(サッカー関連では、flickrのイラニアン・フォトグラファーのみなさんの「見事」としか言いようのない作品を見たりすると心が痛むどころか気が狂いそうになる、というのが日常化しているのだが、今日は「イランから、いいニュース」だ。といっても、その「いいニュース」が出る前提として「非常に悪いニュース」があったのだが。

昨年10月に、イランを旅行中に犯罪組織に拉致された日本の大学生が、無事に解放された。さっき9時のニュースで、ご本人と現地入りしたお父さんと、イラン政府の人と日本の外務省の人たちの記者会見を見たが、そこにいる人たちの顔があんなにも揃って明るい記者会見はめったに見ない。

朝日新聞での第一報(15日。はてなブックマークのトップページで知った):
イランで誘拐の学生、中村聡志さん解放 電話で無事確認
http://www.asahi.com/international/update/0615/TKY200806140339.html
 イラン国営通信などは同日(=14日)、同国のモフセニエジェイ情報相の話として、中村さんの解放を報じた。中村さんは約8カ月ぶりに拘束生活から脱したことになる。

 同情報相は「情報機関と司法部門の連携により、(犯行グループの)主要な分子は逮捕された」と述べた。

 犯行グループ「シャフバフシュ」は収監中の仲間の釈放を求めていたとされるが、イラン政府は麻薬絡みの犯罪に厳しい態度で臨み、事件は長期化していた。


朝日のこの記事を見た直後に、英語メディアの報道を探したときに見つけたイランの通信社MEHRの記事(この時点ではAP, AFPなど国際メディアの報道はまだ出ていなかったと思う):
http://www.presstv.ir/detail.aspx?id=60013§ionid=351020101
これ、今つながらないのだが(presstv.ir自体が落ちてるみたい)、見つけたときにメモっておいた抜粋:
"the armed bandits had freed the Friday prayer leader of Fahraj city in Kerman Province and the abducted Japanese tourist following the arrest of one of the group's leaders on Saturday."

これはイランの情報相のコメントなのだが、つまり、「イラン当局が犯行グループのリーダーのひとりを土曜日に逮捕し、その後、Kerman県Fahraj市の金曜礼拝のリーダーと、日本人旅行者が解放された」とのこと。

イラン政府当局が相当追い込んでいたのだろう。

総本山、テヘランニュースによると、学生さんはパキスタンで保護されたそうだ(AFP通信が引いている共同通信報道では、パキスタンで保護されたが、最近までイラン南東部の都市Zahedanで拘禁されていた、と報じている)。また:
http://www.tehrantimes.com/index_View.asp?code=170832
Commander of the Iranian border patrol Qasem Rezaei, however, announced that Nakamura's release has been secured without giving in to the demands of the hostage-takers.

Japan’s ambassador to Tehran Akio Shirota thanked Iranian officials for freeing the hostage.

An Iranian police spokesperson said Nakamura had been released through the efforts of Iranian frontier police and with the cooperation of Pakistani border authorities.

つまり、イラン当局は誘拐犯の要求には一切応じておらず、パキスタン国境管理当局の協力を得たイランの国境警察が尽力し、無事解放が実現した。

なお、5月25日のAFP報道を見る限り、「Fahraji市の金曜礼拝のリーダー」は日本人の学生さんのあとに誘拐されているようだ。

犯行グループは、報道を見る限りでは「テロ組織」や「反体制派組織」ではなく「地縁血縁の犯罪組織(ギャング)」で、日本人の学生さんの誘拐の背後には純粋に「政治的」と呼べる動機はなさそうだが、アルカイダ・イン・イラクのやり方として一気に有名になった「無関係の人、特に外国人を誘拐して、投獄されている仲間を解放せよと要求する」という手法を取っている。5月25日のAFP報道には、犯行グループが解放を要求していたのは、死刑判決を受けたグループの一員(血縁者。息子だという話だが)だとある。
Officials have said Nakamura is now being held outside Iran in the border zone between its two eastern neighbours, and in early April the foreign ministry said Iran was making every effort to secure his release.

A bandit called Esmail Shahbakhsh, blamed for the kidnapping, wants the release of his arrested son in exchange for Nakamura, according to Iranian officials.

The bandit is said to be the same man whose gang last August abducted two Belgian tourists who were later freed.

文中のtwo eastern neighboursは、アフガニスタンとパキスタンのこと。日本の学生さんが誘拐されたバムは国境から少し西にあるが(→地図)、犯行グループはその国境のあたりに潜伏し、「人質」をイラン国外に連れ出していたらしい。

また、誘拐を実行したとされるEsmail Shahbakhshは、息子(死刑判決を受けている)の釈放を求めていたが、昨年8月にベルギー人旅行者2人を誘拐したのと同じ人物だといわれている。

学生さんご本人はネパールで英語と日本語を教えるボランティア活動をしていたりインドをフリーで旅行していたりと経験値としてはハンパじゃないものをお持ちなようだし、会見では「暴力的な扱いを受けたことは一度もなかった」とおっしゃっていたけれど、そうはいってもやはり怖かっただろうし心細かっただろう。誘拐されて8ヶ月も拘束されていたとは、本当にお気の毒なことだった。解放された直後に車に乗るまでにメディアのカメラに追われているのはもお気の毒だった(日本の外交官と思われる人たちに両脇をガードされ、手に持っていた白いバッグ、というかビニールの買い物袋で顔を隠していた。「解放された人質」というより、「逮捕された容疑者」のようだった)。ああいうふうにして撮影されたであろう写真を私も英語のニュース記事(AFPなど)で見たが、記者会見するって言ってるんだからそれまで待てばいいのに、と思うよ、まったく。

なお、この誘拐事件について、BBCでは被害者のお名前の英語綴りで検索しても何も出てこないし、名字で検索するとドラマHeroesのページか、セルティックのニュース、または全仏オープンでの八百長疑惑のニュースが出てくるだけだが、どうやら名前を書かずに報道しているようだ。

Japanese captive freed in Iran
Page last updated at 18:39 GMT, Saturday, 14 June 2008 19:39 UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/asia-pacific/7455040.stm

同じグループがやったという「ベルギー人2人誘拐」については:
http://news.bbc.co.uk/2/hi/europe/6947520.stm
http://news.bbc.co.uk/2/hi/europe/6946821.stm

※ベルギーの報道が誘拐された2人の名字を報道してなかったみたい。ファーストネームと年齢は報道している。


なお、イランからは「服装コード」についての報道がある。
New Iranian dress code crackdown
Page last updated at 14:27 GMT, Monday, 16 June 2008 15:27 UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/7457212.stm



記者会見でご本人が「ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」ということを述べておられたが、この、日本での「行動のコード(規範)」が一種緊張感を伴うものとして立ち現れたのは、やはり2004年のイラクでの件以降だろう。
タグ:イラン

※この記事は

2008年06月16日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 23:40 | Comment(1) | TrackBack(0) | todays news from uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
なんかまた愉快な人が何か言ってます。

救出費用は自己負担に=イランの邦人解放で−笹川氏
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080617-00000068-jij-pol

[quote]
笹川堯衆院議院運営委員長は17日午前の自民党役員連絡会で、イランで誘拐された日本人大学生が8カ月ぶりに解放された事件に関し「外務副大臣がスタッフを連れて、3度イランに行っている。これはみんな国民の税金(で負担している)」と指摘した。その上で「政府が渡航の自粛を要請しているところに行った人については、今後、外務省で厳しく徹底する必要があるのではないか」と述べ、救出に要した費用は本人の負担とすべきだとの考えを示した。 
[/quote]

私が思ったことは、だいたい、はてなブックマークのユーザーさんたちが先に書いていた。
http://b.hatena.ne.jp/entry/http%3A//headlines.yahoo.co.jp/hl%3Fa%3D20080617-00000068-jij-pol

もうアナキズムでいいよ、と言いたくもなるけどね、そこははてブのような非常にパブリックな場では押さえて、自分のテリトリー(つまりここ)だけで書く。
Posted by nofrills at 2008年06月17日 19:19

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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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