kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2008年06月11日

北アイルランド、キリスト教根本主義、DUP、同性愛者、など

先日、ピーター・ロビンソン(DUP)がNI自治政府のファーストミニスターに正式に指名されたときの記事にコメントで放り込んだのだけど:
http://nofrills.seesaa.net/article/99581735.html#comment

ピーター・ロビンソンの配偶者で自身もMLA(北アイルランド議会議員)でMP(英国下院議員)であるアイリス・ロビンソン(北アイルランド議会保健委員会委員長)が、「同性愛者はカウンセリングを受ければ『治る』からそうすべき」という主旨の発言をした。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/7439661.stm

先週金曜日に、BBC Radio Ulsterのノーラン・ショウに出たアイリス・ロビンソンは、「一緒にお仕事させていただいてます方にね、とってもいい精神科医の方がいらっしゃいますの。敬虔なクリスチャンで、同性愛者を助けようと活動してますのよ、ほほほ。同性愛者が関わっている(engaged in)ことから離れさせて差し上げましょうって。ええ、ホモセクシュアルの方全員に、この先生に会っていただきたいと思ってますのよ。これまでにこうやってヘテロセクシュアルになった方もいらっしゃいますし」と語った。(文体は「超訳」、ただしかなり失敗。)

これにレインボウ・プロジェクトの人が「余計なお世話です」という方向で反応し、シン・フェイン所属の教育大臣カトリーナ・ルアーンが「平等法(差別禁止法)」を遵守すべきとクギを刺した。

ここまでは特に意外性はない。アイリス・ロビンソンの発言も含めて意外性はない。だからコメントでもいいかと思っていた。

しかし月曜日に新たな展開があったようなので、一応エントリを立てておくことにした。

New criticism over MP's gay views
Page last updated at 12:33 GMT, Monday, 9 June 2008 13:33 UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/7443323.stm

いわく、シン・フェインのマルティナ・アンダーソンが「あれほどの立場にある政治家があのような発言をするとは、不適切にもほどがある」と批判、保健委員会委員長としての適性を疑問視し、アイリス・ロビンソンは謝罪すべきと述べた。一方、「同性愛は治る」発言のアイリス・ロビンソンは月曜日にラジオに出て「あたくしにはあたくしの考えを表明する自由がございます」と、安っぽい「言論の自由」論を展開。

さらに、南ベルファスト地域警察協力チーム(つまりシン・フェインというかIRA系か)のジョン・オドハーティという人が、アイリス・ロビンソンの発言について、警察に正式に申し立てた(英国では「憎悪煽動」はクリミナル・オフェンス)。彼は「ロビンソン議員のような人は、発言には結果が伴うということを知らねばならない(言いっぱなしは許さない)」と述べた。

アイリス・ロビンソンの発言が「警察への申し立て」となったのはこれで2件目。ということは、レインボウの人がコンプレイントの手続を取ったのかな。レインボウ・プロジェウトのサイトで、手続方法を紹介している。
http://www.rainbow-project.org/dev/node/138

という具合に着々と包囲網が築かれているアイリス・ロビンソンは、宗教的信念を表明するのは自由と述べ、同性愛者に対する暴力はあってはならないことだと述べた、というのだが、その「暴力 violence」とは何か、彼女は何を想定して「暴力」という言葉を使っているのだろう。

アイリス・ロビンソンに対する援護射撃も、キリスト教根本主義(以下「ファンダメさん」)からしか来ないわけで、BBCの記事には、DUPのジェフリー・ドナルドソンが、「誰も差別されてはならない」と言いつつ、「ロビンソン議員には自身のご意見を表明する権利がおありです。この国では言論の自由が保証されています。彼女が何らかの法を犯したとは考えられませんから、警察が苦情に基づいて動いたとしても何ら影響はないでしょう」と述べた、とある。

で、BBCのこの記事にはないのだけど、ジェフリー・ドナルドソンはガチのファンダメさんで、ホモフォビアである。というかファンダメさんにとっては「同性愛はアンチ・クライスト」だ。ドナルドソンは「同性結婚」には強く強く反対している

昨年の「ベルファスト・プライド」で、DUP(ファンダメさんの政党)がトップに座っている行政の部署(Ministry of Culture)からプライドへの補助金が出たときの記事にいろいろ書いた。
http://nofrills.seesaa.net/article/41008063.html

で、DUPは党としてどう言っているかというと:
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/7444430.stm
The News Letter reports that the police are investigating the remarks she made on Stephen Nolan's show. There's been a complaint that what she said could breach the Public Order Act.

The DUP tells the paper it's saddened that the wife of the First Minister has been reported to the police for quoting from the Bible.

「聖書からの引用」で警察沙汰になったわけじゃない。これのどこが「引用」なのかと。turn aroundくらいじゃないの?
"I have a very lovely psychiatrist who works with me in my offices and his Christian background is that he tries to help homosexuals - trying to turn away from what they are engaged in," she said.

"I'm happy to put any homosexual in touch with this gentleman and I have met people who have turned around and become heterosexuals."


で、The News Letterはプロテスタント・コミュニティの新聞なのだけれども、同じくプロテスタントの新聞で少しは中立的なベルテレさんは社説で、「ロビンソン議員はあのようなことを言うべきではなかった(Mrs Robinson should have kept quiet)」と述べ、「言論の自由は不可欠なものであるが、その自由を濫用しないという責任も伴う」と述べている、とのこと。そして、アイリス・ロビンソンの例の発言のきっかけとなったのは、Newtownabbeyで若い同性愛男性が襲撃されたことだが、この事件によって公的な発言にはより慎重になるべきだということが改めて強調された、としている、とのこと。

一方、いきなり身内から足元をすくわれた形の夫のピーター・ロビンソンは:
Minister defends wife in gay row
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/7444565.stm
Peter Robinson was speaking during assembly question time when he was asked to reassure the public that he was committed to equality for all.

"There is a legal obligation to ensure that no-one in our society is discriminated against," he said.

"I have to say that even if there was no legal obligation I would be at the forefront defending anyone who was being discriminated against.

"And I know my colleague the member for Strangford (Mrs Robinson) would be alongside me in that."

ははは……「うちのかみさんが失礼なことを」とも言えず、大変そうですね。「ストラングフォード選出のDUP議員(=うちのかみさん)も私と同じく、誰も差別されてはならないという点は譲れないと考えている」云々で、まあがんばって持久戦を展開していただきたい。

ちなみにDUPの新閣僚人事、Ministry of Cultureのエドウィン・プーツ(がっちがちのファンダメさんでヤングアース論者でホモフォビア)は落とされたそうで。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/7444742.stm

箇条書きにしておこう:
-Gregory Campbell: culture minister
-Sammy Wilson: environment minister
-Arlene Foster: Department of Enterprise, Trade and Investment
-Nigel Dodds: finance minister
-Jeffrey Donaldson: junior minister in the Office of First and Deputy First Minister (残留)

ただし、エドウィン・プーツの更迭は、メイズ刑務所跡地開発問題(「平和と紛争研究センター」と総合スポーツグラウンドにする計画)に原因があるらしいけど。
Mr Poots leaves the executive after just one year, and amid controversy over his support for the Maze stadium.

The project is widely acknowledged as being unpopular with many DUP assembly members


で、環境大臣については、Friends of the Earthが「気候変動懐疑派のウィルソンではまずい」とコメントしていたり、シン・フェイン議員も「えー」という旨のコメントをしていたり。

北アイルランド自治政府については:
http://en.wikipedia.org/wiki/Northern_Ireland_Executive



で、さらに悪いことに、ウエストミンスターで「テロ容疑者」の拘置期限を42日に引き上げる法案が審議されているのだけど、労働党内部からの反対論が強く、労働党執行部は外部の政党に頼らざるを得ず、いろいろと数字的に拮抗した結果、DUPがキャスティングヴォートを握るという、その昔の「保守党とUUPの蜜月関係」みたいなことが、労働党とDUPの間に起きている。


DUP likely to rescue Brown in 42 day vote
- Ministers optimistic after 'offer of £200m for Ulster'
http://www.guardian.co.uk/politics/2008/jun/11/terrorism.northernireland

A leading opponent of the measure said: "I fear the DUP is going to be decisive. It is remarkable we have done as well as we have, given all we have is the power of argument." The Labour rebellion is thought to number in the mid-30s.

A DUP source said the MPs would meet to decide how to vote at lunchtime today, and would hold one further meeting with ministers.

The DUP insists it will make a decision based on principles, but is also seeking concessions on retaining water charge revenues, which are scheduled to be phased in over two years.

There was speculation at Westminster last night that up to £200m has been placed on the table for Northern Ireland.

Next year the average additional burden for households is predicted to be £160, rising to £250 in 2010. The calculations will take account of the contribution households already make towards water services through rates.


このスペキュレーションが本当だとしたら、きたねーな、としか言いようがない。

っていうかシン・フェインはいいかげんに議会欠席主義を撤回してウエストミンスターに出るべき。ストーモントで政権を担っていて、ウエストミンスターには出ないというのは意味不明にもほどがあるし、影響もよろしくない。

※この記事は

2008年06月11日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 14:21 | Comment(2) | TrackBack(2) | todays news from uk/northern ireland | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
このページにあったトピずれのコメントはすべて下記URLのエントリ本文に移動しました。よろしくお願いします。
http://nofrills.seesaa.net/article/100625988.html

以降、David Davisの話は↑のURLで。
Posted by nofrills at 2008年06月15日 21:14
アイリス・ロビンソンがThe Stonewall Bigot of the Yearに選ばれたそうです。おめでとうございます。
http://sluggerotoole.com/index.php/weblog/comments/oh-dear-iris/

Sluggerのコメント欄がかなりのカオスになっています。個人的には、アイリス・ロビンソンの「自分の考えの表明の権利」は犯されていないと思います。彼女がその考えを表明した結果として、批判されているしおちょくられている、というだけの話です。この話を「表現の自由の権利」という論に持っていくのは議論のすり替え。でもそういう「議論のすり替え」がセンシブルなことだ、という空気は、ここ数年でけっこう高まってきたかなあという印象もあります。以上、Sluggerのコメント欄(特に興味もない話なのでろくに見てもいない)とは関係なく。
Posted by nofrills at 2008年11月09日 20:14

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Belfast Pride 2008
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Weblog: tnfuk [today's news from uk+]
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アイリス・ロビンソンが政界引退
Excerpt: アイリス・ロビンソンが政界を引退するらしい。 長くて詳しい記事がいい人向け: DUP stunned as Iris Robinson stands down Tuesday, 29 Decembe..
Weblog: tnfuk [today's news from uk+]
Tracked: 2009-12-29 23:40





【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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▼当ブログで参照・言及するなどした書籍・映画などから▼