「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2015年05月28日

旗々しい話。

「緑・白・オレンジ」のアイリッシュ・トリコロール(アイルランド共和国の国旗)と、「オレンジ・白・緑」のコートジヴォワールの国旗の混同の話題が出るにはまだ1ヵ月半ほどあったはずだが、アイルランド共和国での婚姻の平等(同性結婚)決定で、大西洋の向こうから、「旗の区別がつかない」系の話題が流れてきていた。

アメリカの反ゲイ集団、「ふははは、アイルランドの旗など逆さまにしてくれる!」…だがその旗は(^^;)
http://matome.naver.jp/odai/2143276257488960401


実際にはロビー・キーンの靴の縫い取りとか、守銭奴エア(aka ライアンエア)の機体に表示されている旗が「オレンジ・白・緑」になっている例もあるのだが、アメウヨというかアメウヨと呼ぶのもはばかられるあの「葬式押しかけ」の過激派集団が出てくると、さすがに、時空がゆがむような感覚がある。

にしても、J. K. ローリングさん、すばらしい対応ですね。スルーしちゃいけないものはスルーしない。Twitterは、著名人、特に女性の著名人がそういうことをやるのは簡単ではない(どんな奴にどんなふうに絡まれるかわかったものじゃない)という場になっているけれど、あのキップのよさには感心。
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誰も惜しんでいないが、トニー・ブレアが「カルテットの中東和平特使」を辞任する。

トニー・ブレアが「カルテットの中東和平特使」を辞任する。
http://matome.naver.jp/odai/2143274928986134101


この「まとめ」を作るときに、報道機関のツイートがことごとく顔写真をつけているので、自分の中で、この戦争犯罪人の顔写真の1日分どころか1か月分の許容量を超えてしまった感じがする。

ともあれ、ハアレツはほんとにブレアが大好きなんだなということはわかった。

BBCは「何もしなかったってみなさんおっしゃいますが、元々何かができるポストではなかったので」などとかばった上で、「ブレアのおかげで規制が撤廃され、西岸地区の観光業が賑わい、特使としての目標、パレスチナ経済の振興に貢献」などとヨイショしているが、brown-noserはFIFAのセップ・ブラッター周辺のを見せられてるだけでももうたくさんですよ。

トニー・ブレアの件で読む価値があるなと思った論説は、IBTのだ。

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posted by nofrills at 21:00 | TrackBack(0) | todays news from uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

北アイルランド自治議会が、機能不全を起こしている。「またか」と言うなかれ。今回は深刻だ。

人間が考えるたいがいのシステムは、いつかは古くなって、実用に耐えなくなるか、実態にそぐわなくなるのが当たり前かもしれない。何らかの問題を解消・解決するために、いろいろな要素がある中で何かを優先して考案されるシステムは、時代の流れ、状況・環境の変化、人々の考え方の変化によって、だんだん齟齬が生じてくるものだろう。

1998年のグッドフライデー合意 (GFA) でスタートした現在の北アイルランドの「自治」は、通常の「与党と野党」というシステムではなく、「パワー・シェアリング(権限の分担) power sharing」という形で機能するシステムだ。通常は議会で過半数を持った政党が組閣するが、北アイルランドでは獲得議席数に応じて閣僚ポストが各政党に割り当てられている。なので北アイルランドには「与党」もなければ「野党」もない。

しかしGFAでの自治議会は、2002年の「スパイ騒動」(その事実はなかったことがあとで確定されたが)でサスペンドされてしまった。さらに2003年の自治議会選挙でGFAに反対していたDUPが最大政党となった。どうすれば北アイルランド自治議会を機能させることができるかが模索され、交渉交渉また交渉の末、シン・フェインによる警察の支持という歴史的な転換点を経てDUPの支持を取り付けることで実現されたのが、2006年のセント・アンドルーズ合意に基づく現在の自治政府だ。これにより、ユニオニスト側のDUP、ナショナリスト側のシン・フェインをそれぞれ最大政党とし、両党から正副ファースト・ミニスターを出し、UUPとSDLPとアライアンスも閣僚を出すという形が実現された。この合意で、司法 (justice) の権限が英国の直轄統治から北アイルランドの自治に戻されることとなり(具体的に実現したのはさらにその数年後だったが)、ストーモントの自治議会は2007年5月8日に心あたたまるようなセレモニーで再起動された。現在の自治議会はそのときに再起動された自治議会である。
https://en.wikipedia.org/wiki/Northern_Ireland_Assembly#Current_assembly_and_suspensions

……というわけで、(DUPは全力で否定するが)元々は1998年のGFAで形になった自治議会のシステムが、そのときそのときに修正されつつ、何年もかけてまともに機能するようになって今日がある……というだけなら美しいのだが、これが機能しない。

システムの(今から見れば)原型といえるものが作られた1998年までの時点では、解決・解消されるべき問題は「宗派間対立」だった。というか、より正確には「50%以上の "プロテスタント" が、50%未満の "カトリック" を二級市民扱いしてきたことから、武力紛争になった」ということを踏まえ、(大まかに政治的に「ユニオニスト」と「ナショナリスト」に対応する)これら2つの宗派の一方だけに偏って有利な政治を行わないようにしなければならないということが、「ポスト紛争」のシステムの最優先事項だった。「クロス・コミュニティな/双方のコミュニティ間で隔たりなく cross-community」という形容詞が、とても重要なキーワードだった。

しかし、である。

With the first minister Peter Robinson in hospital recovering from a heart attack and unable to take part in the debate, his DUP attempted to introduce a bill that would have led to reforms of the benefits system locally and manage redundancies in the civil service.

But Sinn Féin and the SDLP exercised a veto known as the “petition of concern” where bills can be defeated if one side of the sectarian/political divide claims there is insufficient cross-community support for the law.

--- Northern Ireland power sharing in crisis as welfare bill fails
Tuesday 26 May 2015 22.54 BST
http://www.theguardian.com/politics/2015/may/26/northern-ireland-power-sharing-in-crisis-as-welfare-bill-fails


阻止された法案はウエストミンスターの緊縮財政方針にともなう福祉削減に関するもので、2014年12月のストーモント・ハウス合意(「エクストリーム交渉」の末、結ばれた合意)に含まれていたのだが、この3月、突然シン・フェインが支持を撤回した(「エクストリームUターン」)。既にEUの予算もとりつけていたメイズ/ロングケッシュ刑務所跡地再開発計画への支持を、DUPがいきなり撤回したことを思わせるようなUターンだった(あのころから、「ピース・プロセス」の行き詰まり感ははっきりとわかるほどになった)。

ここでシン・フェインとSDLP(ナショナリスト/カトリックの側)が、「福祉の削減」というクロス・コミュニティ云々(つまりセクタリアン・ディヴァイド……今はこの言葉はあまり使うべきではないのだが)の問題ではないものについて「一方の側での説明・議論・理解・支持が不十分な場合の拒否権」を使うのは、「法案成立を阻止するために、使えるものは何でも使っている」状態だろう。

しかし、これは本質的にとても危ういことだ。この法案は、「ナショナリスト/カトリックは承服できないが、ユニオニスト/プロテスタントは支持している」などというものではないからだ。

実際、ユニオニストの側からこんな声が上がっている。

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FIFAのお偉いさんがまとめてしょっ引かれた件

ニュースが多すぎて本当にわけがわからないのだが、少しずつ。

総会のため宿泊していたスイスの高級ホテルに明け方に当局が踏み込んで(米国からの依頼でスイス当局が動いた)、FIFAのお偉いさんがまとめてしょっ引かれ、米国に身柄送致される予定、という衝撃的なニュース。発生してしばらくはFIFAのスポークスマンも何が何だかわけがわからない状態だったようだが、数時間のうちに米司法当局が会見を行って、何が何なのかくらいはわかるようになった。

まさに映画のような、「前々から計画されていた急襲」+「電光石火」+「段取りのよい記者会見」で、これが「米軍特殊部隊の人質解放作戦」などではなく「平和的な身柄拘束」(現場にいたNYT記者の言葉)であることで、素直に「映画みたい」と言える気がする。しかもこれを可能にしたのは「司法取引でFBIが自陣に引き入れたFIFA役員が、キーホルダーに仕込んだ盗聴器でひそかに身内の会合を録音したこと」だったとか、これ、そのまま映画になるんではないか。製作はジョージ・クルーニー。主演はベン・アフレック。(<それ、違う映画)

米国での訴追は「CONCACAFでの不正を軸に調べてたらFIFAの不正もぞろぞろ出てきた」+「その不正行為の舞台が米国」ということのようだが、それとは別に、スイス当局が同時にFIFAそのものの不正(2018年と2022年のワールドカップ開催地選定をめぐり)を捜査しているとのことで、これはしばらくドラマが止まりませんよ。

とりあえず、何が何やらわけがわからなかった段階からの記録。

米FBIが、贈収賄容疑などでFIFA役員らを何人も逮捕。会長選挙まであと48時間というタイミングで
http://matome.naver.jp/odai/2143270611007230701


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英政府当局は何をしていたのか……今日のBBC Panoramaで北アイルランドの「闇」を特集

今日28日(木)のBBC Panoramaがすごい内容。予告編(冒頭部分)の紹介。




北アイルランド紛争で唯一、取材・執筆活動ゆえにターゲットとされ殺されたジャーナリストのマーティン・オヘイガン(2001年9月、ロイヤリストに襲われ射殺された。当時のブレア政権は事件の捜査・真相究明にどのくらい本気で取り組んだのだろうか)が、今日のPanoramaの映像の最初に出てくる。

Britain's Secret Terror Deals

British security forces have been accused of involvement in dozens of murders during the Troubles in Northern Ireland. Reporter Darragh MacIntyre investigates allegations that the state colluded with paramilitary killers and covered up their crimes. He meets the families who have been fighting for decades to uncover the government's darkest secrets and he confronts some of those believed to be complicit.
http://www.bbc.co.uk/programmes/b05x8gzs


このPanoramaの取材を行ったダラー・マッキンタイアは、潜入取材を得意とするドナル・マッキンタイアと兄弟で、BBC NIのベテランのジャーナリストだ。2012年にはアイルランドのカトリック教会の児童虐待について優れた仕事をしている

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BBCが「遺跡」の次は「鳥」について警鐘を鳴らし、人が殺され、街を追われていることはスルーする一方で、ISISはプロパガンダ上の勝利をおさめる

ニュースが多すぎて何が何やら (@_@) の状態だが、シリアのパルミラの遺跡に「イスラム国」を自称する勢力(ネットスラングで「イスイス団」、本稿では「ISIS」と表記)が接近していると、「ユーラビア」脅威論界隈からメインストリームのメディアのトップページまでがそろって大騒ぎをしていた件(一方で、大勢が殺されているという報告にはほぼ無関心だったが)で進展があった。パルミラの一帯がついにISISのもとに陥落したあとの数日間での進展だ。

BBCには記事が見当たらないが:
http://www.bbc.com/news/world/middle_east



これはISISにとってはプロパガンダ上の勝利だ(というかどうやっても彼らのプロパガンダでは彼らが勝つのだが)。騒ぎが大きければ大きいほど、彼らは「何もしない」ことによって、「そんなに野蛮なことはしない」という印象付けができるからだ。それでもなお、遺跡が破壊されないという方向性が示されたことは、よかったとは思う。

しかし、それだけで安心してしまう前に、知るべきことがあるだろう。

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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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