miyakichiさんのブログは、英国のPinkNewsという媒体の記事を紹介していて、言及されているのは英国の人がほとんどだから、「英国の宗教右派」(特に何度か出てくる「スコットランド自由教会」)について何か日本語で参照できるものがあればご紹介したいところだが、あいにく私は日本語でのそういう資料については心当たりがない。日本語圏で「キリスト教は〜〜〜」でひとくくりにしちゃう人があまりにカジュアルに多いこと(それも「知識人」の間でも多いこと)はなんだかねえと思っているのだが、それについて何かを発言することは私がブログという場でできることでもなく、自主的にしたいことでもないし、しなければならないことでもない。
さて、そのPinkNewsの記事で最初に挙げられているのが、保守党の重鎮、ノーマン・テビット(元下院議員。引退後、1992年に一代貴族に叙せられたので今は上院議員)の発言である。この人はIRAのボム(ブライトン爆弾事件)で自身も重傷を負い、夫人を殺されかけたのだが(30年以上経過した今も、夫人はボムで負わされた障碍とともに生きている)、政治的・思想的には、正直ちょっとかんべんしてくださいといいたくなるほどゴリゴリの人で、「英国会議員が国家元首への忠誠を誓うのをやめにして、選挙民に忠誠を誓うべきだ」という主張が出たときに反対論を唱えるうえで「じゃあ何か、これからはEU本部に忠誠を誓うのか」と反駁するなど、なんでもかんでも自分の土俵で極論にして語りたがる傾向があり、私はものすごく苦手だ。余談だが、現在英国は(あまり表舞台ではないところで)1980年代の保守党の大物政治家(たち)による子供に対する性犯罪の横行とその隠蔽というトピックが関心を集めており、ノーマン・テビットはまさにそのときの保守党政権の中にいたのだが、同僚たちが「子供をレイプしていた」ということについて、この人は何と言うのだろうと思っている(その件は進展があるとしたらこの5月の総選挙の結果が出たあとだ)。
で、そのノーマン・テビット、1985年から87年にかけてChairman of the Conservative Partyを務めているのだが、そのchairmanは「党首」ではない。「幹事長」である(ついでに言うと、テビットについて「こういう人」と説明するときに持ち出すべきはChairmanの経歴ではなく、サッチャー政権の閣僚歴任者であること、特に産業貿易大臣の経歴だろう)。
PinkNewsの原文より:
The former Conservative Party chairman Lord Norman Tebbit has discussed...
ウィキペディアより:
A member of the Conservative Party, he served in the Cabinet from 1981 to 1987 as Secretary of State for Employment (1981–83), Secretary of State for Trade and Industry (1983–85), Chancellor of the Duchy of Lancaster (1985–87) and Chairman of the Conservative Party (1985–87). He was a member of parliament (MP) from 1970 to 1992, representing the constituencies of Epping (1970–74) and Chingford (1974–92).
このchairmanが「党首」ではなく「幹事長」であるということは、なぜか英和辞書を見ても載っていない(どころか「総裁」という訳語が多数の中のひとつに表示されていたりする!)のだが、ほかにこの役職を務めたことのある人の経歴説明で確認が取れる。以下、その確認の方法を簡単に書いておく。
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