「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

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2015年03月04日

「イスイス団が殺した息子の肉を母親に食わせた」? それ、事実確認取れてないんじゃないですか?

「『イスラム国』が殺害した男性の肉を母親に食べさせていた」という《噂》が、日本でも「ライブドアニュース」経由(記事クレジットはフォーカス・アジア)で広まっているようなので、それは《噂 rumour》ですよ、ということを書いておく。ていうか一応ブコメに書いておいたんだけど、詳しく書く。(日本語圏で「元ネタはデイリー・メイル」ということになってるのも間違っているので。)

真偽不明の《噂》が出回ることは、戦地ではよく見られる。戦地でなくても、うちらが普通に日常生活を送っている東京でだって《都市伝説》が日常的に出回っている。「池袋の○○ビルに行くと、誘拐されて外国に売り飛ばされる。被害者に会って話をした雑誌記者がいるが、記事を書こうとしたら○○組に脅迫され、書けなかった」といった類の《噂》だ。「世間話」として広まりはするが、誰もそれが《事実》であるという確認が取れないまま、細部に変形が加わりつつ、単に口から口へと伝わる。

しかし中には、今回の「殺害した男性の肉を……」の《噂》のように、報道機関が媒介する(文字通りの「メディア」になっている)こともある。

2007年には、英軍が占領していたイラク南部の都市バスラで「英軍が持ち込んだ人食い巨大バジャー(アナグマ)が人々を無差別に襲っている」という、恐るべき生物兵器(マジでそう言われていた)の存在が噂された。これも報道機関が媒介した(このときはアルジャジーラ。詳細はリンク先を読んでください。すごいから)。

が、報道機関が媒介した結果、《都市伝説・噂》の飛び交う狭く閉じた世界の外に伝えられることで、「そのような事実はない(のではないか)」という客観の光が与えられることもある。

前置きはこのくらいにして、本題。ブコメで書いたとおり、「殺害した男性の肉を……」は「十中八九根拠なし」と考えられる。ライブドアニュースの記事のタイムスタンプは「2015年3月3日 11時53分」となっているが、その時点では既にdebunkされていた。




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posted by nofrills at 15:00 | TrackBack(0) | i dont think im a pacifist/words at war | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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