「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2015年02月28日

今週のびっくりどっきりコメディランド(とおそろしあのメモ)

コメディランド……誰かの「ハッタリ」から始まった和平プロセスが、30年に及んだ武力紛争を終結させたその地では、ことあるごとに苛烈なエクストリーム交渉が展開される。そんなコメディランドで、自治政府の省庁再編(11の省を9つに削減する)が行なわれている。再編後の省庁の名前がほっとくとジュゲム化してしまう……というのが話題になっていた。

のだが。







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英国流茶道真顔流の家元の方が日本にいらしているとのことで……

英国流茶道真顔流の本場のお手前。襟をただし、正座して真顔で拝見しましょう。
(・_・)




そして、英ウィリアム王子 NHKを訪問(2月28日 12時13分):
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150228/t10015819591000.html
スタジオではウィリアム王子がかぶとや陣羽織を身につけ、「次は自分もぜひ大河ドラマに出演したい」と笑顔で話していました。

これは、この「王子の無茶ブリ」を真に受けたNHKが、王子と同じ、セント・アンドルーズ大学出身ということで「ディクソン教授」として王子をキャスティングし、なぜかかぶとや陣羽織を身につけたディクソン教授が夏目金之助や斎藤秀三郎に英語を仕込み、ワーズワースを叩き込む……ということになるまでがひとつの物語ですね。

それに、NHKの言う「笑顔で話していました」というのは「真顔で話していました」の婉曲話法ですね。だってそうとしか考えられないんですもの。(・_・)

……でも、おや、まあ。あら。楽しそう。




こちらは真顔。

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2015年02月26日

ものすごい虚報とその撤回についてのメモ(「イスラエルのダム」)

南アフリカの諜報機関からリークされた文書を絶賛大報道中のアルジャジーラ・イングリッシュで、奇妙なことが起きた。「イスラエルがダムを決壊させ開放し、ガザ地区に洪水」という記事を出したが、「そんなダムは存在しない」と人々に指摘されて、記事を撤回した。

TLでイスラエルのエリザベスさんと、中東を拠点とするジャーナリストが会話してるのを見て知った。




撤回された記事はこちら。記事は見出しも含めて全部消され、撤回の理由を短く説明する編集者のメモ (note) だけが残されている。記事アップ時にあったタグ、記事URL(見出しの文言が転用される)はそのままだ。
http://www.aljazeera.com/news/2015/02/gazans-flee-floods-caused-israel-dams-opening-150222115950849.html

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2015年02月25日

「武装活動の停止」から10年になろうとするときに、まだ細々と続いている武装活動のニュース。

北アイルランドからは1週間に1〜2件は必ずボムスケアのニュースが聞こえてきているが、今日のベルファストでは「えっ」というところでボムスケアが発生している。




荒れていたウォーターフロントの再開発で建設され、2012年にオープンした「タイタニック・ベルファスト(タイタニック博物館)」の前だ。周囲には特に行政関係の建物もなければ政党のオフィスなどもない。

こういう「観光施設」でしかない場所が標的とされることは、それ自体非常に不吉なのだが(私はどうしても1997年のルクソール事件のことを思い出してしまう)、こと北アイルランドにおいては、政治的なターゲットでもなければ、(いわゆる)経済標的(ショッピングセンターなど)でもなく、敵対組織メンバーを襲うのでもないというのは、どう受け取ればいいのか、わからない。

今日は下記のようなことがあったそうだが(そしてこれは「前々からの予定」があってのものだ)、攻撃者がこれを狙ったのかどうかはまだわからない。

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サッカーとレイシズム……"我々はすでにその戦いに勝利したと油断してしまっていたのかもしれない"(ベン・メイブリーさん)

パリにチェルシーのサッカーの試合を見に行ったらしい英国人がメトロで黒人男性を突き飛ばして乗車を妨害し、「人種主義が俺らのやり方、その何が悪い」みたいなチャントをした件は、「うー 」とならずにはいられない形で北アイルランドが絡んできてしまったのだが、北アイルランドとは別に、イングランドのサッカーと人種主義という点について、1980年代以降にどんなことがあり、どんな取り組みがなされてきたかを、ベン・メイブリーさんがコンパクトにまとめて書いてくださっている。必読。




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「報道の独立性」と「広告掲載メディアという現実」の狭間で、あえて正論を叫ぶよりない人(英国の事例)

果たして「報道の独立性」なるものが実在するのかどうか、それは《追うべき理想》に過ぎないのではないか、といった議論もあるだろう。しかしそれでも、私企業が所有する報道機関であれ、国家が所有もしくは運営する報道機関であれ、報道機関における「報道の独立性」は前提である。具体的には、「会社の経営判断」や「国の方針」が「何を報道するか(何を書くか、何をニュースとして放映するか)」を左右することがあってはならない、ということ。そして「会社の経営判断」では、現代の実情としては、「広告主の機嫌を損ねないこと」が大きい。ある自動車メーカーの広告が掲載されている新聞で、その自動車メーカーの「リコール隠し」という問題が、まったく、もしくはほとんど書かれない、ということは、あってはならない。少なくとも「あってはならない」こととされている。

しかし現実にはどのようなことが起きているのか。もう先週になってしまったが、英国で、「保守主義の名門新聞」の誉れ高い新聞の内情に嫌気がさしたあるベテランの書き手が、重厚長大な「告発文」をOpenDemocracyにアップして、その新聞をやめた。




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2015年02月24日

貴重な資料の山に埋もれていたとてつもなく貴重な資料が発掘され、「もうひとつの国」の個人的物語が語り直される。

米アカデミー賞の司会者は、エドワード・スノーデンについてtreasonという言葉をネタにして笑いを取りにいった(のだがつまらないと批判された)。授賞式後のRedditのAMAでは本人がそのことについてしゃべっている

アメリカってのは、「機密の暴露」に関連してtreasonなどの言葉がぽんぽん飛び出すお国柄なんだ(←イヤミ半分)ということがわかったのは2010年、ウィキリークスがアフガニスタン戦争とイラク戦争のログに続き、外交公電という大型リークをしたときのことだった。Treasonだのespionageだのといった言葉が飛び交うのを見て、「冷戦期じゃあるまいし」というのが率直な感想だった。

というわけで23日付のBBCの記事。本当に「冷戦期」のスパイ活動について、超貴重なものが今回発掘されたというお話。

The forgotten interview with Cambridge spy Guy Burgess
http://www.bbc.com/news/uk-31588063


ガイ・バージェスは、映画『アナザー・カントリー』のガイ・ベネットのモデルになったといわれる実在の人物のひとりだが、すっかり忘れ去られていたその彼のインタビュー映像が見つかった。

映像は、1959年1月にモスクワで彼がパートナーと一緒に暮らしていたフラットで撮影されたもので、バージェスはイートン校のネクタイとキャメルのコートという姿で画面に現れるという。これを「まさにイングランドの上流階級の洒落者の姿」だとBBCは書いている。

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エドワード・スノーデンの「暴露」についてのドキュメンタリー映画が、英アカデミー賞に続き米アカデミー賞もとった。

日本時間で23日、朝から昼過ぎまでソーシャル・ネットの話題はずーっと「アカデミー賞」(というか、「アメリカのアカデミー賞」、通称「オスカーズ」)だった。個人的に、今年は例年通り関心が持てずにいたのだが、長編ドキュメンタリー部門は気になっていた。エドワード・スノーデンの「暴露」についてのドキュメンタリー映画、Citizenfourがノミネートされていたからだ。

長編ドキュメンタリー部門は、昨年もずしりと来るような作品が並んでいたが、今年も死後になって作品が見つかり高く評価されている女性写真家や、ヴェトナム戦争の終わりや、コンゴの野生のゴリラの保護や、そして何より、あのヴィム・ヴェンダースがあのセバスチャン・サルガドを追った「文化系セレブ大作」としか言いようのない作品が並んでいて、Citizenfourは一足早く、「英アカデミー賞(BAFTA)」をとっていたが、米アカデミー賞は、(特に根拠なく)ヴェンダースだろうなと思っていた(これは夏に日本公開されるらしいのでそのときに見れたらなあと思ってはいる)。

が、結果は




ここには、基本的に、私の見ているTwitterの画面に流れてきた「やったー」という声やブーイングを集めてある(ブーイングといっても私がふつうに見てる範囲に流れてきたものなので、すっきりとしたものだ。検索結果の画面にはネオコンが頭爆発してるのも流れてきたけれど)。

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2015年02月23日

チェルシーFCの一件、北アイルランドにも関連

詳細はまだ明らかにされていないが、チェルシーFCの「ファン」ということになっている差別主義者たちがパリで起こした一件、北アイルランドにも関連しているという報道がなされている。

既に書いたが、「チェルシー・ヘッドハンターズ」などの極右勢力は、UVFやUDAといった北アイルランドのロイヤリストとがっつりつながっているという歴史的な事実があるので、ここで北アイルランドが出てくることは「やっぱり(&残念)」という印象であるにせよ、その内容が「……」である。




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2015年02月22日

「フーリガン」のニュースが、まだ終わらない。

「チェルサポの人種差別」の件に関するニュース、情報がちょろちょろちょろちょろと流れてくる。試合があったのが火曜日(21日)で(チェルシーの観客の何人かがパリのメトロで黒人男性にいやがらせをしたのは試合開始前)、翌日の水曜日(22日)にはパリで観戦してた英国人はロンドンに戻ってきていたのだが、そこでもやらかしていたということが土曜日になって報じられた。パリのメトロでの一件は、たまたまその場にいた英国人ジャーナリストが携帯電話のカメラで撮影した映像をガーディアンに送ったことから発覚したのだが、もしその場にそのジャーナリストがいなかったら、あるいは携帯が充電切れか何かで撮影できていなかったら、そもそも報じられていた可能性も極めて低く、したがってロンドンで水曜日の朝にやらかしていたということは、一顧だにされなかったに違いない。




ロンドンの地域メディア、イヴニング・スタンダードの、21日(土)付けで記事より。

Chelsea fans were today at the centre of a fresh racism storm as police launched an investigation into "disgusting" chanting at London's Eurostar terminal.

...

Detectives are now investigating claims some of the club's fans were heard singing racist chants in London on Wednesday evening after returning from the French capital following Chelsea's 1-1 draw with Paris St-Germain at Parc des Princes.

つまり、水曜日の夕方、ユーロスターを使ってパリからロンドンに戻ってきた「チェルシーのファン」が、到着駅(ロンドンのセント・パンクラス駅)で人種主義のチャントをしていたとのことで、警察が調べている。

この記事が出るまでに、クラブは5人を入場停止処分にしており、パリでの一件についての警察の調べも進められている。

同じく21日付けのBBCの記事は、チェルシーがホームのスタンフォード・ブリッジにバーンリーFCを迎えて行なわれた土曜日の試合でのマッチ・デイ・プログラムや観客席の様子も伝えている。
http://www.bbc.com/news/uk-31564836

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2015年02月21日

「許す」と「赦す」と表記基準――1ヶ月以上前のシノドス @ synodos の記事に寄せて

1ヶ月以上前になるが、シノドス @synodos に掲載されたある記事が、はてなブックマークで大変な話題となっていた。私の見ている画面に、誰かのTwitterでのはてブからのフィード、もしくはそのRTという形で流れてきた表題の "「許す」と「赦す」 ―― 「シャルリー・エブド」誌が示す文化翻訳の問題" に興味を覚えてクリックして、少し読んで、いきなり椅子から落ちることになったのだが(「文化翻訳」の話をしている論考でシーア派とスンニ派の区別をつけずにまとめて「イスラム」と扱い、「ムハンマドの図像はある」と主張している。まさにそれ――偶像崇拝――を理由のひとつとしてスンニ派の過激派がシーア派という宗派を標的にしているんですが……パキスタンやアフガニスタンでシーア派の宗教施設がスンニ派の過激派のボムで攻撃されたというニュースはしょっちゅうあるでしょう)、その点は本稿では扱わない。

この記事の筆者の関口涼子さんは、フランス語と日本語の翻訳をしておられる方で、シノドスには「翻訳家、作家」とある。つまり、言葉を使って何かを表現する専門家である。そしてこの記事は、大筋、日本語の新聞記事でフランス語のpardonner (英語のpardon) が「赦す」ではなく「許す」と《訳されて》いることを、《誤訳である》と指摘するものである("私が翻訳者としてこの記事で指摘したいところは、この記事に見られる重大な誤訳なのだ"、"読売新聞の記者は、このデッサンに「自分が読みたいことを読んだ」のかもしれない" と書かれている)。(ちなみに、あのような絵は日本語では「デッサン」とは言わない。「スケッチ」、「絵」である。)

私はのけぞった。そして、はてなブックマークで人々が「感心した」などと絶賛なさっているのを見て、寝込みたくなった。

なぜなら「許す」と「赦す」は、《誤訳》の問題では全然なく、《表記》の問題だからだ。読売新聞の記事を書いた人は《誤訳》などしていないのだ。

「赦す pardonner」(英語ではforgive)の概念を説明することは必要だし、それがなされたことはよいことだと思うが、しかし単なる事実として、この新聞記者は誤訳などしていない。

新聞記事では「赦す」という漢字は使えない。その代替として「許す」という漢字を使うことになっている(常用漢字)。それがまるで知られていないだけならまだしも、それゆえに「誤訳だ」と呼ばれ、それで大勢の人が納得してしまうという事実に、冗談ではなく本当に血の気が引いた。

《表記》について、これまで知らなかったという方には、下記のような出版物をチェックしてみていただきたい。公共図書館にも置いてあるはずだ。一般によく参照されるのは共同通信社の用字用語集だと思う(シノドス掲載記事で挙げられているのは読売新聞の記事だが、「許/赦」は常用漢字に関する表記基準なので、どの社でも変わらないはず)。

記者ハンドブック 第12版 新聞用字用語集記者ハンドブック 第12版 新聞用字用語集
一般社団法人 共同通信社 編著

日本語表記ルールブック 朝日新聞の用語の手引 日本語の正しい表記と用語の辞典 第三版 新しい国語表記ハンドブック

by G-Tools


まどろっこしくなるが、「表記基準」、「用字用語」というものについて少し説明をしておこう。なお、「用字用語」は文章の内容とは関係ない。単に形式面での基準である(したがって「検閲」ではない)。

日本語圏で他人の目に触れる文には2種類ある。筆者が好きなように書いたものと、既定の「表記基準」に従って編集されたものだ。前者には文学作品などがあり、後者には新聞記事などがある。例えば文学作品では外来語や擬音語をひらがなで書いたって構わない。書き手がそう書きたければ、「ぴあのをぽろぽろと弾いた」「ぶらんこがぎーこ、ギーコと音を立てた」でよい。しかし新聞記事では外来語や擬音語はカタカナで書くことに決まっている。「ピアノをポロポロと弾いた」「ブランコがギーコ、ギーコと音を立てた」でなければならない。(ただし「ぶらんこ」はひらがなで書くこともある。)

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2015年02月20日

「観客席で差別主義のお歌ががんがん歌われる試合のテレビ中継などすべきではない」と主張した解説者が番組を下ろされた。

さて、前項に引き続き、チェルシーにくっついてる差別主義者がやらかした件で延焼中の件、スタン・コリモア編。

スタン・コリモアは1971年生まれ。90年代にリヴァプールやアストン・ヴィラなどのクラブでプレイし、イングランド代表歴もあるストライカーで、2001年に現役を引退したあとは主に解説者の仕事をしている。
http://en.wikipedia.org/wiki/Stan_Collymore

現役時代にガールフレンドを殴るという問題を起こしており、また引退後も変な問題を起こしてBBC Radioの解説の仕事をクビになっている。Twitterはかなり早い時期から積極的に使っているが、過去の問題だけでなく、新たに問題にされるような政治的な発言もよくしていて、しょっちゅう「炎上」している。一度は「Twitterをやめる」ところまで行っていた(一度ではないかもしれない)。観客としては、彼の名前がtrendsに出てると「今度は何の《お騒がせ》ですか」とポップコーンを持ってモニターの前に座りたくなるような「キャラ」だと言ってよいだろう。本人はまじめにやっているのだと思うが。

で、「人種差別」関連で発言することも多い彼が、今回のパリのメトロでの一件で黙っているはずはないのだが、それについての発言は「炎上」の余地のない、良識的で穏当なものだった。






元々コリモアは「うざい奴」扱いされているので、「うるせーよ、お前関係ないじゃん」と言われて「おまえらのクラブがアフリカやアジアや《マーケット》でどうなのかって点では、関係ないとは言えないんじゃないの」とやり返すくらいのことはあるし、それがヒートアップして「炎上」することもあるだろう。でもそれだけでは名前がtrendsに載るということはなかったはずだ。何があったのかと見てみれば……

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人種差別をやらかした「チェルシーのファン」がUKIPの熱烈な支持者だったり、撮影されているということの意味もわからない17歳だったり。

チェルシーは19日、目撃者の話などからチームのサポーター3人について本拠地のロンドンのスタジアムへの入場を一時停止すると発表しました。

この問題を巡っては、フランスとイギリスの警察が状況を調べており、チェルシーは3人の当時の行動が確認されれば、生涯にわたり入場を禁止する方針だとしています。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150220/k10015603171000.html
(or https://archive.today/fBcbk )


チェルシーにくっついてる人種差別主義者がパリで大騒ぎした件は、延焼しまくっている。現状、まずはUKIP、そしてコリン・スタモアスタン・コリモアだ。後者については次項で扱う。

UKIPに延焼していたのは日本時間で19日の夜のこと。画面を見るとちょうど、"玉木「政治に対しての信頼をどう確保するかという話をしてるんです」 安倍「じゃあ日教組どうすんだ!日教組!」 議長「いやいや総理……ちょっと静かに」 安倍「日教組どうすんだ!」 議長「総理総理ちょっと」" というありえない光景(首相が議場でヤジって議長にいさめられて、なおヤジをやめない。ヤジの内容以前、あの国会は幼稚園か。自民党に投票した人は、自分が支持した議員に「おたくの党総裁の議場での振る舞いはおかしい」と苦情入れてください。あれは正常な民主主義の光景ではありません)の件が流れてきていて、その中にナイジェル・ファラージがいた。




これはファラージの「オウンゴール」というよりまったくの予想外で、あえていえばゴールキーパーが蹴ったボールが審判に当たってそのまま向こうのゴールマウスに吸い込まれていったくらいのことだと思う。上のキャプチャに含まれているのはデイリー・テレグラフ(今いろいろ大変。改めて書く)だが、ここではこんなおいしいネタに無表情で食いついてむしっているガーディアンを見ておくべきだろう。

Chelsea fan in Paris Métro video posed in picture with Nigel Farage
http://www.theguardian.com/politics/2015/feb/19/chelsea-fan-in-paris-metro-video-posed-in-picture-with-nigel-farage



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2015年02月19日

悪名と恐怖を轟かせることが目的の集団……「チェルシー・ヘッドハンターズ」および「コンバット18」などについてのメモ(リンク集)

「差別ではなく区別だ」と言えば《差別》ではなくなるかのような言説が日本ではまかり通ると思っている人もいるようだということがごく最近もはっきりと示されたばかりだが、下記は1998年時点での英国の極右中の極右、非常に暴力的で、議会制民主主義まで否定した集団のリーダーの言葉である。
"We don't want to live with Africans and Pakis, we want to live with our own people - don't we?"

In their view, cultures should not mix - except white Europeans, of course: "We're all the fucking same, ain't we? What the fucking hell's the difference between a Norman and a Saxon in 1066?" Yet they admit admiration for "the Jews and Asians" for maintaining strong communities.

「アフリカ人やパキスタン人と一緒に暮らしたくはない。自分らと同じ民族の人と暮らしたい。そういうもんでしょう」。「彼らの考えでは、文化と文化は交わってはならない。ただし白人の欧州人は別だ。『だって白人は、みんな同じじゃないっすか。1066年にノルマン人とサクソン人にどんな違いがあったと?』と言う。一方で『ユダヤ人やエイジアン(英国では南アジア人のこと)』が強い地域社会を維持していることには感心しているという」。この発言主について、詳細は後述する。

さて、パリで英国人の集団がすさまじい「人種差別」を見せ付けたことがNHKでもニュースになっているし、当方がそれについて書いたものも閲覧数が多いようなので、少し補足的に資料集的なものを書いておこうというのが本エントリだ。

以下はリンク集なので、それぞれのリンク先の記事を読んでいただきたい。そうでなければ意味はないので。

まず、「チェルシーのサポーター」についての基本情報。
http://en.wikipedia.org/wiki/Chelsea_F.C.#Support
During the 1970s and 1980s in particular, Chelsea supporters were associated with football hooliganism. The club's "football firm", originally known as the Chelsea Shed Boys, and subsequently as the Chelsea Headhunters, were nationally notorious for football violence, alongside hooligan firms from other clubs such as West Ham United's Inter City Firm and Millwall's Bushwackers, before, during and after matches. The increase of hooligan incidents in the 1980s led chairman Ken Bates to propose erecting an electric fence to deter them from invading the pitch, a proposal that the Greater London Council rejected.


「チェルシー・ヘッドハンターズ」(元はチェルシー・シェッド・ボーイズ)
http://en.wikipedia.org/wiki/Chelsea_Headhunters
There was widespread racism amongst the gang and links to various white supremacist organisations, such as Combat 18 and the National Front. The gang also became affiliated with Northern Irish loyalist paramilitary organisations, such as the Ulster Defence Association and Ulster Volunteer Force.


チェルシーとC18の関連の例。2011年1月にベルファストで撮影された写真。
Who would vote for these idiots?

※この下は少し刺激が強くなります。ネオナチに慣れていない方はご注意ください。

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「パパは黒人だから、ああいう目にあったんだよなんて子供に言えますか?」「同じ英国人として、あのチェルシーFCの観客たちの行動が恥ずかしい」

パリでチェルサポ(と自称する集団)がやらかした件。フランス当局は捜査するとしており、英警察も当該人物の特定などで協力するということで、少なくとも裁判にはなるだろう。

被害者(乗り込もうとして小突かれ、罵倒された人。33歳のスレイマン・Sさん)が "These people, these English fans... should be locked up." (ああいう人たちは出てこられないようにすべき)とフランスのメディアに語っていることをBBCなどが報じている。
In the interview with Le Parisien, Souleymane S said he had not been particularly surprised by the abuse because he "lives with racism".

The father of three, a French-Mauritanian born in Paris, said he had not understood what the fans were saying but that he knew he was being targeted because of the colour of his skin.

スレイマン・Sさんはモーリタニア系の人でパリ生まれ。「レイシズムは常について回っていた」ことで特に驚きはしなかったと言うが、それ自体が残念で悲しいことだ。あの連中の言っていることはわからなかったが、肌の色ゆえに標的にされているということはわかったと語っている。

記事はこの先がつらい。いわく、「駅員が来たが、単に喧嘩にならないようにするだけだった」といい、撮影されていることには気づいておらず、ああいうことがあったとは誰にも言わずにいた。スレイマンさんには3人の子供がいて、その子供たちに何て言ったらいいかわからないと彼は言う。「パパは黒人だから、地下鉄で小突かれたんだよなんて言えますか?」。しかしああいうことがあったことが公にされた現在、警察に訴える自信がついたともいう。「ああいうことをして、誰も罰されないなんてことがあってはなりません」……ということは、メディアで騒ぎになっていなければ、この人はこの体験をぐっと飲み込んでこらえていたということだ。

(日本では「フランスではヘイトスピーチは即逮捕」だの「逮捕実刑」だのといったことがまことしやかにささやかれているようだが、根拠など特にない話なのでご注意を。)

また、現場を記録した人が、そのときの状況などを複数のメディアで語っている。撮影者はパリ在住の英国人、ポール・ノーランさん。

Why I filmed Chelsea fans on the Paris Métro
http://www.theguardian.com/world/2015/feb/18/why-filmed-chelsea-fans-paris-metro


この記事は、ガーディアンのハルーン・シディク記者がノーランさんに話を聞いてまとめたものだ。

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Zenbackのコードを外しました。

Zenbackさんのサービスをずいぶん長く使わせていただいていた。いつコードを貼ったのかは記録をしていないが、2010年12月に via @zenback でツイートしているので、4年以上使ってきたことは確かだ。

Zenbackは、コードを設置するだけで「TwitterやFacebookなどのソーシャルボタン」「関連した内容の自分の記事」「関連した内容の他のZenbackユーザーの記事」「その記事についての最新のTwitterのつぶやき」などを表示してくれる便利なウィジェットで、精度もけっこう高く、ありがたく使わせていただいていた。こういうサービスがあれば、2003年にブログがどかーんと流行ったときに大注目された新機能である「トラックバック」は廃れるよなあ、という思いもした。

しかし、最近どうにも様子が変わってきた。

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元祖「ISISクソコラ」のネタにされてた人が、「指導者」から表に出るなと言われたらしいので、それについて書くことにした。

ハッシュタグで「ISISクソコラグランプリ」ってのが流行ってたとき、私は横目で見た程度、具体的には英語化された情報で言及されていたものを見た程度だったが(「ネット民のお遊び」を見てる暇などないということはご理解いただけますよね)、人々があまりにきぃきぃ言っていたので、"ISISの人々のような方々は、「日本でネット民が何か言ってます」程度のことで「挑発」されたりはしないと思います。その「挑発」がprovocationという意味ならば" ということは発言したし、"「ネット民がISISを挑発しています」なんていうお手軽な世界観は、ネットだけにしとけ" とも発言した。

それには一応根拠があったのだが(例えばBuzzFeedは2014年12月半ばにYouTubeにアップされたISISパロディ・ビデオ集というお手軽記事をアップしている)、そんなどうでもいいことの説明はする必要を感じなかったし、今もそれを説明する必要があるとは思っていない。

が、今朝こんな話が出ていた。ツイート主のHala Jaberさんは、私は何度も言及しているが、英サンデー・タイムズの記者で長く中東を扱っている(拠点はベイルートで、ここは多くのジャーナリストが拠点としている都市である)。




#ISISMediaBlackoutのため写真は非表示にしておくが、別にショッキングなものではない。武装勢力の男が武器の脇に座っているだけだ。これまで「イスラム国」を自称する勢力(ネットスラングで「イスイス団」、本稿では「ISIS」と表記)のプロパガンダの写真などで第一線に立ってきたこの人物が写真に出てくることを、バグダディ本人が禁止したという。「ISISは割れている」という話が2月に入って表面化してきたが、本当に割れているのだろう。

ともあれ、ハラ・ジャベールさんが「私たちの間で大人気のISISの人」と呼んでいることからもわかる通り、この人物はその印象的な風貌ゆえだろうが、一部で「ネタ」にされてきた。「ISISクソコラ」などというものは、別に「日本人が始めた」ものではないのだ。(日本語圏ではとにかく「海外では〜」の無根拠情報が多く、「イスラムをバカにすると殺される」とかいった大雑把すぎるヒステリーとしか言いようのないものが支配的なのかもしれないが、Four Lionsって映画知ってる?)

というわけで、少しだけ見ておくことにしよう。なお、彼の前にも「ISISクソコラ」のネタにされた人はいたかもしれないが、そこまではこだわらないことにする。

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2015年02月18日

パリでやらかしたのはチェルサポじゃない。ありゃヘッドハンターズですよ。

こういうことがあると私がフォローしてるジャーナリスト(普段はサッカー話はツイートしない人たち)がぽこりぽこりと「告白」をしたりするので面白いのだが(今回はリビアについてガチの報道をしている人がチェルサポであることがわかった)、欧州チャンピオンズ・リーグ、パリで行なわれたPSG(パリ・サンジェルマン)対チェルシーの試合を見に行った英国人集団が、パリのメトロでやらかしてくれた。




つってもこれは普通の「チェルシーのサポ(チェルサポ)」さんたちではない。こんなことをチャントするのは、ヘッドハンターズしかいない。ここはただの「サッカー・フーリガンのファーム」ではない。筋金入りの極右集団だ。
http://en.wikipedia.org/wiki/Chelsea_Headhunters
The Chelsea Headhunters are an English football hooligan firm linked to the London football club Chelsea.

... There was widespread racism amongst the gang and links to various white supremacist organisations, such as Combat 18 and the National Front. The gang also became affiliated with Northern Irish loyalist paramilitary organisations, such as the Ulster Defence Association and Ulster Volunteer Force.


ヘッドハンターズは、2000年代にフーリガン対策したときに渡航禁止にしてたんでは、と思ったのだが、それをかいくぐれる方法があるという。そればかりか、去年も同じPSGとの試合でパリに行ってものすごい大暴れをしていたということを今日知った(気づかなくてすみません。ほかのチームのことはあんまり見てないので……)。

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どんなものにも人は慣れ、45人が焼き殺されても、もはや大きな記事になることもない。

なぜ大きな記事になっていないのか、私は知らない。なぜ大きな記事になっていないのかについて、「冷静」で「科学的」な検証もできるだろう。しかしそんなことは誰かそのリソースがある人が仕事でやってくれ。私は知らない。

イラク西部、アンバル県(アンバール州とも表記されうる)は、「イスラム国」を自称する勢力(ネットスラングで「イスイス団」、本稿では「ISIS」と表記)の前駆組織が11年前に足がかりを築いた地であり(面積はやたらと広いのだが砂漠地帯なので都市は限られている)、2014年以降のISISは、この県の拠点都市、ファルージャやラマディを超えて伸張したことで、現在のような状況になっている。イラクは基本的に「シーア派(政府)対スンニ派」という構造になってしまっているので、「政府側勢力が反政府勢力を叩いている」のか「シーア派がスンニ派を叩いている」のかも好きなように語れてしまう状況で、恨みや復讐心といったものも巻き込んで憎悪と怒りは増幅されている。またISISは「歯向かう者は皆殺し」にしているので、部族単位で物事が決まる社会で、ISISが制した土地でISISに反対した部族は「皆殺し」の目にあうという(イスラム教徒であることや宗派は関係ないようだ)。

そんなアンバル県でもまだイラク政府側が握っている町がいくつかはあるのだが、その「最後の砦」のひとつが先週末、ISISに落ちた。




そして陥落したこの町から、「45人が焼き殺された」との報告があった。しかし、それが大きな記事になることもない。そう嘆いているのは私ではない。

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posted by nofrills at 19:00 | TrackBack(0) | i dont think im a pacifist/words at war | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

バリーマーフィー事件について書かなきゃと思っている。

先日、Detail.TVに出ていた件。それについて書こうと思っていたところにいろいろ起きた。スティーヴ・ストレンジは死んでしまうし、「名誉白人」が何か言い出してた(「名誉白人」が何を言おうと私は関心はないし、あの人の書いたものにお金が流れるようなことは自分では一切していないが、さすがにそういう「消費者の選択」では済まないことになってきていると思う)。デンマークではうんざりするような銃撃事件が起きた(実に、銃撃犯はどこであの銃を手に入れたのか。暴行罪で有罪で実刑になってたのが出所したばかりで、なぜあんなことができたのか)。

本当に重要なのはバリーマーフィー事件についてのの展開であるはずなのに、こんな次第で、そのまま忘れてしまいそうな流れだった。そこに、この写真がきた。

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posted by nofrills at 16:34 | TrackBack(0) | todays news from uk/northern ireland | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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