「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2015年01月31日

犬とねこ、それぞれの人との距離感

1月30日の雪で見たもの。

via
https://www.flickr.com/photos/nofrills/archives/date-posted/2015/01/30/
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今日のワシントン・ポストが読むところいっぱいだという話

表題の通り。今日はWashington Postの記事のフィードが何度RTされていたことか。

まずはこの件。カルト宗教の話。


(Tom Cruiese's) conclusion: “Either you’re onboard, or you’re not onboard.”

Now, a new HBO documentary − “Going Clear: Scientology and the Prison of Belief,” which premiered this week at Sundance − takes a look at some of the consequences of not being onboard.

http://www.washingtonpost.com/news/morning-mix/wp/2015/01/28/the-horrible-things-a-new-documentary-says-about-tom-cruise-and-scientology/


WaPoが「HBOのドキュメンタリー」にリンクしているのはローレンス・ライトによる本だが、サンダンスでプレミアされたのはこの本に基づいて(or関連して)制作されたアレックス・ギブニー監督のドキュメンタリー映画である。

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2015年01月30日

レバノン南部での28日の交戦と、それで亡くなった国連PKO参加スペイン軍人

28日、「イスラム国」を自称する勢力(ネットスラングで「イスイス団」、本稿では「ISIS」と表記)に拘束されている後藤健二さんとヨルダン軍パイロット、モアズ・カサスベさんに関する交渉の行方が大注目されていたころ、私の見ている画面にだーっと流れてきたのが、「レバノン南部でヒズボラがイスラエル軍の車列を攻撃した」という情報だった。ヒズボラがなぜIDFを攻撃したのかなどすぐに「戦争の霧」が発生してわけがわからないことになったが(「死傷者の数」など比較的シンプルなことがなかなか明らかにされず、その確定待ちの間にどんどん根拠のないうわさが出てきた)、その経緯はあとから参照できるようにログはとってある

この「ヒズボラからの攻撃」では、イスラエル軍兵士2人が落命したというが、ほかにも、現地で平和維持・兵力引き離しの任務に当たっている国連レバノン暫定軍UNIFILの人が1人亡くなった。すぐにはどの国の人かも明らかにされなかったが、少し時間を置いて、スペインのフランシスコ・ハビエル・ソリア・トレド伍長ということが明らかにされた。






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2015年01月29日

ISISはヨルダン人パイロットと後藤さんと何を天秤にかけているのか(サジダ・リシャウィとは誰なのか)

28日23時(日本時間)、つまり予告されていた時刻が迫っても、それが過ぎても、1件の誤報(関係のないビデオを関係するビデオと扱っていた)を除いては特に何もなかった。「イスラム国」を自称する勢力(ネットスラングで「イスイス団」、本稿では「ISIS」と表記)の動きは、偽アカウントはずいぶんいろいろやってたようだが、マトモな筋からは全然伝わってこなかった。(Twitterでにわかに話を追い始め、「ISISメンバーのアカウント」を直接見ている人、悪いことは言わないからやめなさい。うちらだって20年前に「あーいえばじょーゆー」っておもしろがってたんだからおもしろがるのはわかるけど、簡単に取り込まれるよ。私は警告したからね。あとはほんとに自己責任。)

そんな日だったので、久しぶりにアルジャジーラ・イングリッシュをオンラインで見ていた。私がチェックしていた17時から午前3時までの間に、輪番制のキャスターが3人、前は女性がキャスターだったのに、今は(たまたまかもしれないが)全員男性だった(3人目はおなじみ、サンタマリアさん)。定時ニュースの後半にやる「今日の特集」的なものが興味深かった。デトロイトの帽子店だとか、東ドイツのシュタージ博物館だとか。。。そんなことはどうでもいい。

27日の夜遅くに出たメッセージを最初に聞いたときに、私は面食らった。ぱっと聞いたところ、理屈が通っていなかったので。つまり、後藤さんが読み上げている(読み上げさせられている)その文面では、後藤さんは「私と、リシャウィの交換だ」と言い、「これはシンプルなことだ」と強調していた。それを聞いたら「後藤さんとリシャウィの捕虜・囚人交換が成立すれば解決する」と判断するのが普通だ。

しかしその同じメッセージで後藤さんは、ほんの何秒かのうちに、「第三の男」に言及していた(言及させられていた)。ムーアズ・カサスベさん。2014年のクリスマス、英語圏が休暇モードになっていたときに入ってきた「ISISが有志連合軍の戦闘機を撃墜した」(実際には「ISISが撃墜した」のではなく、「たまたまISISの支配域の上空で機体が故障して炎上・墜落し、パイロットは脱出した」のだが)というニュースの当事者だ。そのニュースについては、下記「まとめ」の1ページ目に書いてある。
http://matome.naver.jp/odai/2142237068424407801

つまり、27日の音声メッセージで、後藤さんは、「私とリシャウィを交換しろ」と言い、「時間的猶予は24時間だ」と言い、「要求に応じないと私より先にカサスベが死ぬことになる」と述べていた。

そして「予告された時刻」を前に日本政府の動きがばたばたしてメディアが「誤報」(勇み足)を連発し、そのドタバタが終わったころには、話はいつの間にか、後藤さんというよりカサスベさんが中心になっていた。アルジャジーラ・イングリッシュの報道もそうだ。

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アンドルー、ブログやめるってよ

アンドルー・サリヴァンが、15年続けてきたブログをやめると宣言した。アンドルーのブログは、現在広く普及している「ブログ」という場での(政治を扱った文章の)ライティングを決定付けたと言ってよいと思う。そこが終わるのだ。




A Note To My Readers
Jan 28 2015 @ 1:00pm
http://dish.andrewsullivan.com/2015/01/28/a-note-to-my-readers/


このエントリには、彼がこれまでブログを拠点に(ネットで、またリアルで)どういう活動をしてきたかが手短にまとめられている(「ヒロイン目線」というか、『ロッキー・ホラー・ショー』のフランクンフルターの最後の歌っぽい)。イラク戦争のときにブッシュ政権の言ってることを真に受けて過激な発言をし、後にそれが間違っていたことを知って撤回したことも、オバマをプッシュしたことも、書かれている。

一時は毎日チェックしていたブログだ。日本語圏では「アンドルー・サリヴァンという人のウェブログに書いてあったのですが……」、「を! 読んでいらっしゃるんですね」という存在でもあった。私はアメリカには基本的に興味がなく、アメリカの政治について書くことが多い彼のブログは話題についての「時事」的な関心からではなく、もっと根本的な「ものの考え方」や「語り方」を知ることが(読ませてもらうことが)楽しみということで読みに行っていた。考え方というものがおそらく根本的に違う人で、「共感」といえるものを抱いたことはほとんどなく一方的に「すごいなあ」と感心し、その分析と着眼点に多くを教えられた。特にCIAの拷問に関する彼の記述はずいぶんたくさん読んだ。あの「ウォーターボーディングは拷問ではない」などという白々しい大嘘を前に、呆れたり諦めたりすることなく、まじめに分析し、かっちりと書いていたのがアンドルーである。

下記は昨年12月、CIAの拷問報告書(の要旨)が明らかになったときのエントリ。

The Truth About Torture, Revisited
Dec 10 2014 @ 8:45pm
http://dish.andrewsullivan.com/2014/12/10/the-truth-about-torture-revisited/

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2015年01月27日

2本目のメッセージ(27日夜遅く)




※本エントリは記録のためにつけている。中身は↑のリンク先にて。

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アウシュヴィッツ解放から70年

日付が変わる前に文章を書こうとしていたが、ちょっと無理になってしまった。

とりあえず、読むべき記事・読もうと思っている記事を中心に、今日のツイートを集めた。

1945年1月27日にアウシュヴィッツ収容所が解放されてから、70年になる。
http://matome.naver.jp/odai/2142235439903527201


4622006014夜と霧――ドイツ強制収容所の体験記録
V.E.フランクル 霜山 徳爾
みすず書房 1985-01-22

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4622039702夜と霧 新版
ヴィクトール・E・フランクル 池田 香代子
みすず書房 2002-11-06

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すさまじいね、これは(英語圏事例)

ここまでひどい脅迫を見ることはめったにないと思う。英語圏Twitterより。


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2015年01月26日

彼らのことを、彼らが望むとおりに呼ばない、ということ。 #No2ISIS

例の「自称国家」だが、コソヴォでさえあんまり「国」扱いしてないときに、「イスラム国」なんて呼んでいたらなおさら正式な「国」みたいだ。「ISIS」(アイシス)や「IS」でもよいのだが、既存の英単語や商品名、固有名詞とカブるし、米国政府が使っている「ISIL」(アイシル)は日本語圏では注釈なしでは通じない。何かよい方策はないものか……と頭を悩ませている私やあなたにひとつの提案が行なわれている。

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あまりにもえげつないのでぽかーんとするしかない選挙直前の英政界

「ISISのビデオ/音声メッセージ」でいっぱいいっぱいになっていて、日曜日の午後まで気づかなかったのだが、英国で政界が激震していた……かなり腹黒い笑いで。




「労働党からUKIPに来たエスニック・マイノリティの女性」については前に書いたのでそれを参照。(リンクしといたってほとんど誰もクリックしないんだけどね。)

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2015年01月25日

私は私に無関係な「他者」が「米大統領の声明」になってしまったことを嘆く。

まだ本当に確定はしていないのではないかと思いますが、もう情報が間違っていると考える根拠は何もなくなってしまいました。米オバマ大統領の声明の見出しにHaruna Yukawaと書かれていたのを見たときに、それがわかりました。とても残念です。言葉もありません。

「ISISが日本人人質の1人を斬首、もう1人にメッセージ・ビデオを出させた」との報
http://matome.naver.jp/odai/2142211122685836701


この件は、現状、すべてこちらで。

何はともあれ「日本は多神教だから〜」とかいうトンデモの類や「これがイスラムだ」みたいなお手軽な断言のようなものとは無縁の、まともな本を読みましょう。「サイイド(サイード)・クトゥブ」くらい、知っておきましょう。じゃないと、何一つ防衛できないですよ。

当方のツイート、「宗教」の話題の翻訳ものがよくRTされるんです。例えばこれなど、1,800件以上のRTがあります。ほぼ4年前のこのツイートも、あの動乱の中でかなりのインパクトを持ったようです。しかし下記は、ほとんど反応がない状態です。埋め込んであるAmazonのリンク(クリック数がわかるようにコードを指定してあります)もクリックは「ゼロ」です。いわゆる「アフィ嫌い」の人がコードを外して見ている可能性もありますが、1件もクリックがないというのはすさまじいことだと思います。つまり、ここに書かれている単語を見てもこの本を読んでみようと思わないということなのでしょうか。(非難・批判しているのではなく、個人的に、単に理解できません。)




0141044594The 9/11 Wars
Jason Burke
Penguin Global 2011-09-21

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ジェイソン・バーク(ガーディアン記者)は、前著なら日本語翻訳もあります。

4062124769アルカイダ
ジェイソン バーク Jason Burke
講談社 2004-09-11

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2015年01月24日

「報道」が自殺していくさま。

先日、このような見出しの記事が共同通信から出た。




目にした直後に私はこのように述べた。





※私がTwしたのは単なる「Google検索の結果のURL」ですが、そこに表示されているものの中には画像として目を覆わんばかりに凄惨なものだけでなく、思想的にマジでやばい(行っちゃってる)のもありますので、各自ご注意ください。中には「斬首されて殺されたことになっているアメリカ人は実は生きていて、ひそかにかくまわれており or 整形手術を受けて新たな名前とパスポートを支給されて or etc etc」の妄想を開陳しているサイトもあると思います。他人の妄想に取り込まれないよう、各自ご注意ください。

この共同通信の報道について、次のようなブログがTwitterでRTされてきた。




山本さんがツイートされているのは、共同通信の記事で「専門家のコメント」となっている情報を提供した映像の専門家のブログだ。映像・カメラの素人(例えば私)でもわかるように書かれているので、各自、ご一読いただきたい。

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英国流、「女に車を運転させないのがいかにナンセンスか、おわかりになって?」(アブドゥラ国王死去にあたり、エリザベス女王の逸話)

というわけで、サウジアラビアのアブドゥラ国王の死去により、88歳(1926年生まれ)の英エリザベス女王が世界最高例の国家元首となられた。このおふたりの珍エピソードがTwitterで回ってきた。






このツイートが大反響なので、少し詳しく書いておこうと思う。

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サウジアラビアの国王が亡くなって、英国は半旗を掲げるのだが、サウジアラビアでは半旗を掲げない。なぜかというと……

23日の朝早い時間帯、私の見ていた画面に2件の「緊急ニュース」が流れ込んできていた。1件はイエメン。アメリカの「テロとの戦い」の最重要地点のひとつで大統領と首相が辞任して政権が崩壊し、南部では独立宣言が出された。もう1件はサウジアラビア。朝早くの段階では、「うわさは本当なのか」という形で、国王の死去が取りざたされていた。「何度死ねば気が済むんだ」(高齢なので、これまで何度も「死亡説」が出ている)というムードだったが、何時間か経過するころには死亡の事実が確定された。




というわけで90歳のアブドゥラ国王が死去し(確か在位期間は10年くらい)、後継のサルマン王子(国王)は79歳というめくるめくようなことになっているのだが、アラブのニュースを熱心に見ている人と、英国のジャーナリストが多い私のTwitterの画面では、普段はあまり注目されていないサウジアラビアのニュースが、画面の大半を埋め尽くすということになっていた。

英国では「半旗が掲げられている」ことに人々の非難がたくさん。サウジアラビアは人権抑圧国家であり、テロ支援国家であり、疑似科学にもならないようなくだらない理由で女性の車の運転は禁止されており、自動車の運転席に乗り込んだ女性が逮捕されるというのが英語圏でニュースになるような国だ。つい数日前にもブロガーが政治的な発言ゆえに鞭打ち刑を加えられるということが英語圏でニュースになったばかりだ。今、「世界」はISISの斬首にうーとかあーと言っているが、サウジアラビアでは斬首による死刑は普通に行なわれている。そんな国の国家元首の死を、「半旗」の形で礼を尽くすのは、英国の価値観にそぐうことであろうか、という議論だ。






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2015年01月23日

Twitterでこういうリプライを送りつけられても恐れる必要はありません。Botだから。

今回の事態を受けて、Twitterで何かを発言したり、あるいは他人の発言をRTしたりしたことで、「警告 Alert」と称するリプライが送りつけられている人がいるという。文面がどうであれ、Alertなる書き出しは穏当ではないし、びっくりする人がいることは当然だと思うので一応、書いておく。

ただ、私は(宣言してあるとおり)リプライはほとんど見ていない(知らない人からのランダムなリプライはチェックしていない)ので、私自身は確認していない。送信者のアカウントのログをざーっと見ても、私宛のツイートはないようなので、私は送られていないようだ。このトピックで、みんなが送られているときに自分だけ除外されているとしたらそれはそれで「ちょっと……(^^;)」という事態だが(私は発言しているし、英語圏の人とがっつりやり取りもしている)、たぶん全部ではなくランダムに送信しているのだと思う。

送りつけられているのは、こういう文面だ。

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悲劇も語る者がいなければ




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2015年01月22日

北アイルランド、ゲイ男性の献血禁止継続

北アイルランド自治政府では、2014年9月にリシャッフル(内閣再編)があった。といっても現在の北アイルランドの政府(exective)は、いわゆる「与党」が組閣するのではなく、議会(assembly)の獲得議席数に応じて閣僚のポストが各党に割り当てられるというシステム (D'Hondt system) で、昨年9月にリシャッフルが行われたのはDUP所属の閣僚のみであった。そのときの記事がこちら:

Peter Robinson reshuffles DUP Stormont team
23 September 2014 Last updated at 18:59
http://www.bbc.com/news/uk-northern-ireland-29335341

北アイルランド自治政府の閣僚ポストは、正副ファーストミニスターを除いて11ある(「行政のスリム化」で今後削減される可能性はあるが)。DUPはそのうち4つのポストを占めている。リシャッフルで人事が変更されたのはそのうちの2つだった。以下、そのポストの一覧。

Enterprise, Trade and Investment: Arlene Foster
Finance & Personnel: Simon Hamilton
Health, Social Services & Public Safety: Edwin Poots → Jim Wells
Social Development: Nelson McCausland → Mervyn Storey

このリシャッフルは、簡単に言えばDUPの党内の権力闘争的なものの結果だったようで、そこまではさすがに私もついていけないし、ついていこうとも思わない。9月12日にイアン・ペイズリーが死んでから10日ほどあとのことだったので、ネット上の北アイルランド政治クラスタのみなさんが沸き立っていたのをただ眺めていただけだ。そして、マコースランドのほうはちょっとよくわからないのだが、宗教原理主義をベースとする宗教保守政党DUPの中でもとびっきりの宗教保守(ヤング・アース論者ですからね、この人)であるプーツが保健大臣を外れたということは、PUPの男どものバカ・マッチョっぷりにうんざりしてPUP党首をやめたドーン・パーヴィスさんが議席を失ってから本格的に始めたメアリ・ストープス・クリニックの活動(非暴力の手段でだが、すさまじい妨害がある)のようなものを含め、北アイルランドが少しは「欧州標準」に向けて前に進めるようになるというシグナルなのかなと思っていた。

しかし……

Jim Wells: I back Edwin Poots' gay blood ban
By Victoria O'Hara – 21 January 2015
http://www.belfasttelegraph.co.uk/news/health/jim-wells-i-back-edwin-poots-gay-blood-ban-30924523.html

ゲイ男性の献血を禁止するという前任者の方針を、今の保健大臣も踏襲すると、ベルファスト・テレグラフのインタビューで明言したという報道が、1月21日付で出ていたのだ。

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「他者の苦痛」は、あなたやわたしに考えるきっかけを与えるために存在しているのではない。

「海外ニュース」を見て「日本は」、「日本は」で語りたがるというこの国の一般的なムードに、私は折に触れて中指を立ててきた。私自身、育つ過程で、ヴェトナム戦争は日本のありかたを日本人が考えるためにあるのではないし、エチオピアの飢餓は私たちが消費主義を反省するためにあるのではないということをけっこう考えてきた(そういうお題で書かれた論説文を読んで、小論文を書いた記憶もある)。森茉莉のエッセイでそういうことがはっきり書かれていたものがあって、感銘を受けたことも覚えている。

でも、私が中指を立てるのは、そういう状況が私の外側にあるからだ。

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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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