「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2011年09月04日

ウィキリークスの終わり (2)

さて、続き。前のエントリは:
http://nofrills.seesaa.net/article/224175599.html

本題に入る前に、「無修正のデータ」とはどのようなものかについて、一応説明しておこう。日本語圏では、「匿名のはずのウィキリークス情報源がダダ洩れの疑い」とかいうひどく粗雑な誤解――@mametanukiさんいわく「イタコ訳」w――があるのだが、今回「ダダ洩れ」になっているのはWLの情報源、WLにタレこんだ人ではなく、漏洩した文書に記載されている人名だ。(未成年による犯罪の捜査資料が週刊誌に漏洩したとして、それを週刊誌に持ち込んだ人物の名前がばれたのではなく、その資料に掲載されている実行犯の未成年者の名前がばれてしまった状態。)

これまで公開されてきたCablegateの文書は、それ自体は米国務省の外交公電だが、そこに記載されている固有名詞で、あまりに広く一般公開されるとその当人によくない結果をもたらすであろうと合理的に考えられるものについては、伏せ字になっていた。

全然別の事例だが、下図をご参照いただきたい。これは福島第一原発の事故後、英国の行政機関と核エネルギー産業がどのように「原子力は安全です」キャンペーンを展開したかを具体的に示す、電子メールだ。ガーディアンはこれを情報公開請求(FoIA)で入手したが、ヘッダー部分の送信者の名前、宛先、同報先、本文に含まれる固有名詞が「墨塗り」されている。(送信者の所属機関は明かされている。)



もしこれが墨塗りされていなかったら、その人物の家にかみそりの刃が送られたり、無言電話がかかったり、あるいは職場で何かあれば報復人事の対象となったり、もっとひどい場合には直接生命を狙われたり身体的に危害を加えられたりするかもしれない。FoIAで公開される文書では、多くの場合、公開時にこのような「墨塗り」が加えられる。

今回問題となっている「ウィキリークスの無修正ファイル」とは、この「墨塗り」のない状態での米外交公電のことだ。そこにはもちろん、誰がそれをWLに持ち込んだかは示されていない。WLは情報漏洩元を明かしたわけではない。

というか、ジュリアン・アサンジが何度も繰り返し述べている通り、WLはシステム上、誰が情報漏洩元であるかを把握することができない。そのことに優位性があった。

また前置きが長くなりそうなので、そろそろ本題に行こう。

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posted by nofrills at 16:00 | TrackBack(0) | Wikileaks | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ウィキリークスの終わり

ウィキリークスが終わった。そもそも「報道機関」であったかどうかも疑わしいのだが、「報道する機関」としてのウィキリークスは、完全に終わった。熱心なサポはまだ支持し続けるだろうが、ウィキリークスという組織には、「報道する機関」として活動を継続するための正当性は、もう残されていない――ということが、トム・ワトソンさんという米国のブロガー(同姓同名の英国の政治家とは別人)によって説明された記事がある。8月末からの数日間、日本語圏でも少し報道されているが、一体何がどうなってこうなったのか、現状最も詳しく、なおかつすぐに読める分量で説明してくれている記事としては、トム・ワトソンさんのこれが秀逸だと思う。
http://tomwatson.typepad.com/tom_watson/2011/09/the-end-of-wikileaks.html

発端はこれだった。8月26日。


このツイートのリンク先は、www.freitag.deというドイツの新聞の記事(をGoogle翻訳にかけて英語にしたもの)である。いわく:
Security | 25.08.2011 07:00 | Steffen force
Leck bei Wikileaks (Leak at Wikileaks)

Wikileaks hat ein Sicherheitsproblem. (Wikileaks has a security problem.) Und das in viel größerem Umfang als bisher bekannt. (And much larger in scope than previously known.) Wie sicher sind Enthüllungsplattformen? (How safe are unveiling platforms?)

ただし正直、これを見たときには何が何やら、という感じで(そもそも私はドイツのメディアの記事を見せられても、「英メディア」としてデイリーメイル見せられて鵜呑みにしちゃう程度の弁別能力しかない)、まさかこんな大きな問題だとは思ってなかった。

少しさかのぼろう。

ここしばらく、またウィキリークス周りが騒々しかった。

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posted by nofrills at 05:29 | TrackBack(1) | Wikileaks | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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