それでも、1月25日のカイロの橋からタハリール広場への中継の映像、夜中のタハリール広場に響いた「座り込み」の人々の声、そして2月2日の「ラクダ襲撃事件」、その後の投石合戦……といった日々を経て、2月11日のホスニ・ムバラク自身による「それでも私は辞めない」と、その翌日のスレイマンによる「大統領は全権を軍最高評議会に移譲した」までの浮き沈み、緊張、人々への共感、そういったものは、まだ比較的はっきりと残っている。自分の中の記憶として残るのは感情、Twitterで文字でしかやり取りしない人たちとのつながりと共有した感情。
すっかり伸びきったゴムのようになっているときに、そういったものを思い出すことができる本に出会えたことに、私は感謝している。
![]() | 中東民衆革命の真実 ──エジプト現地レポート (集英社新書) 田原 牧 集英社 2011-07-15 by G-Tools |
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