「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2011年07月31日

夏の日差しの中のチェルノブイリ(報道カメラマン、冨田きよむさんの報告)

http://hilightphoto.com/?p=948報道写真家の冨田きよむさん @KiyomuTomita がチェルノブイリの取材から帰国され、すぐに何枚も写真をネットにアップしてくださっている。左のキャプチャはその1枚、「チェルノブイリ市の目抜き通りには、なくなった村の「墓標」が130ほど立ち並んでいた。時折花を供えに元住民が訪れるのだそうだ」とのキャプション (via kwout)。是非、冨田さんのオンライン・ギャラリーに行って、フルサイズで写真を見ていただきたい。チェルノブイリの写真は英語圏のメディアでけっこう見ていると思うのだが、こんなにぎらぎらとした夏の日差しの中での写真は、初めて見る。そしてそれは、普通に「一本道」だ。「墓標」さえなければ。人さえいれば。人の生活の気配や痕跡さえあれば。

東京・五反田(不動前)で31日(日曜日)、冨田さんの報告会が予定されている。13:30会場、14:00スタートとのこと。参加費3000円で、お土産(フルサイズの画像とビデオ映像)つきとの由。詳しい場所などは http://twipla.jp/events/11054 を参照。

で、Twitterでこんなやりとりがあるのを見て:


最近読んだ、写真家の中筋純さんの『チェルノブイリ 春』(2011年5月初版。奇しくも、この本の制作の作業中に、3月11日の大震災と原発事故が起きたとのこと)に、次のような記述があったのを思い出した。(p. 121より)

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2011年07月30日

久々の「痴」的文字化け

久しぶりに「痴」的文字化けを見たのだが、あまりに的確なところに出てきたのでお茶ふいた次第。



少し前、ヒズブタハリールとEDLが互いにデモ対カウンターデモで対決したとき(警察が間に入ってたけど)、誰かが「バカとアホの頂上決戦 the ultimate showdown between idiots and morons」と評していたことを思い出した。
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2011年07月29日

「反政権側の軍司令官を殺したのは政権側の暗殺者である」に関するちょっとした情報戦の覚え書き

数分前(日本時間29日午後12時20分ごろ)、このようなツイートが回ってきた。「NTC(ベンガジ)によると、リビアの反カダ フィ側の軍勢のトップであるアブデル・ファタハ・ユニスが、カダ フィの手の者に殺された」として、短縮URLが添えられている。



しかしこの短縮URLをクリックして表示されるのは、こんな記事だ。



速報段階の記述で、「リビアの反カダ フィ側当局者は、反カダ フィ側の軍事作戦を率いていたユニスが死亡したと述べた」とあるだけだ。この記事の、どこに「ユニスはカダ フィ側に殺された」と書いてある?

ディス・イズ・情報戦、って感じっすな。

なお、アブデル・ファタハ・ユーニスはカダフィの側近のひとりで閣僚ポストを有していたが、比較的早い段階でベンガジ側に寝返り、以後、ベンガジ側で軍事作戦を指揮してきた人物。日本語報道ではユニスのあとの名字的なものをとって、『オベイディ軍最高司令官』などと表記される。



翻訳記事では「オベイディ」は使われないようだ。


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2011年07月26日

ノルウェーでのテロ事件に関するメモ

金曜日に起きたノルウェーの爆破&銃撃について、引き続き、英メディアを見ていた。週末は、(欧州でいう)土曜日は「情報」にもならないような、「専門家(笑)」の「推測・憶測」がまだはびこっていたが、日曜日になるとそういうのが一掃された。(以下、いちいち記事のURLを貼らずに、はてなブックマークとTwitterのログのその日のページのURLで代用する。)
http://b.hatena.ne.jp/nofrills/20110724
http://twilog.org/nofrills/date-110724

(日本の)月曜日の日没前は、間にエイミー・ワインハウスの訃報などほかのニュースを挟みつつ、まだまだ「速報: Breaking news」が続いていて、これが落ち着いたのは夜になってから、この銃撃男が出廷した後だった。犠牲者数は、下方修正された(二重に数えていたご遺体があったとのことで、日曜日まで100人超とされていた死者数は76人で確定)。
http://b.hatena.ne.jp/nofrills/20110725
http://twilog.org/nofrills/date-110725

月曜日、出廷した男は犯行は認めたが、それは正しい目的のためだったと主張している。「起訴事実を一部否認」の状態だろう。火曜日になって、弁護士が「被告人は正気ではない」と述べている。
http://b.hatena.ne.jp/nofrills/20110726
http://twilog.org/nofrills/date-110726

日曜日に男が書いたという1500ページ以上に及ぶ「マニフェスト」の存在が明らかになり(ストームフロントのフォーラムからこの文書を発掘した@kevinislaughterと、米FP誌の @blakehounshell らの読解と分析についてのまとめをぜひ読んでいただきたい)、月曜から火曜にかけては、その「マニフェスト」で引用されていた "Eurasia"論の書き手(英メラニー・フィリップスなど)が必死になって切断処理をするという微笑ましい光景が見られた。同時に、銃撃男とEDLとのつながりも浮上した。
http://b.hatena.ne.jp/nofrills/20110726

ほか、いろいろあるのだけど、ブログ書いてる余裕がない。
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2011年07月24日

※文字数がおさまらなかったので、前の続き

前の続き:
http://nofrills.seesaa.net/article/216257024.html

これとは別に、ほかの人のツイートのまとめ:
- 謎の「イスラム組織の犯行声明」 http://chirpstory.com/li/2054 (英語)
- ノルウェーのジャーナリストのツイート http://chirpstory.com/li/2057 (英語)
- 日本時間夜中に日本語で実況してた人たち http://togetter.com/li/164923 (主に日本語)


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2011年07月23日

こんなことを書いていた自称「信念を持った1人の人物」は、わずか何時間かのうちに、90人以上を殺した。

数時間前に「80人」と公表された島での死者数は、先ほど、「84人」となった。オスロでの死者数7人とあわせて、91人だ。わずか何時間かのうちに、この男は91人も殺したのだ。しかもまだ、島を囲む水の中で遺体の捜索が行われていると警察はいう。

事件のあった金曜日、男はオスロで自動車爆弾が爆発したあと、労働党の青少年キャンプが開催されているウタヤの島へ向かった。警官の服装をした男は、党の船で島に渡ったという。

(ここで厳密なチェックが行われていれば、と思わざるをえない。)

「親切な警官に見えた」逃げる若者狙い撃ち
2011年7月23日14時51分 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20110723-OYT1T00497.htm
 【スンボレン(ノルウェー南部)=末続哲也】……

 少年によると、犯人の男は、青色の警官の制服姿で、船着き場でボートから降りると、キャンプ参加者たちの方に悠然と歩いてきたという。少年は「30代半ばぐらい。一見、親切そうな普通のノルウェー人警官にみえた」と話した。

 男は、直前にオスロで起きた爆弾テロの関連で捜査していると語り、いかにも警官らしい口調で人々に「整列するように」と命令。男から約150メートル離れた場所にいた少年は当初、男のことを気にとめずに友人とおしゃべりを続けていたが、突然、3発の銃声が連続して聞こえた。その後も島にいた700人以上の悲鳴に交じって乱射音が鳴り続けたという。……

整列させた何百人ものティーンエイジャーたちに、銃弾を撃ちこむ。無差別に。この男は、一体何がどうなっているのだろう。

1999年のSOHOのアドミラル・ダンカンというパブにネイルボムを仕掛けた極右のテロリストは、そういう人たちが集まる(そういう人たちしか来ない)オンラインの掲示板などに、賛美する書き込みが相次いだ(吐き気)。今回は、FaceBookにいろんな人たちが勝手にページを作っている(→キャプチャ画像)ようだ。

実はすでに削除されているが、Facebookには本人のアカウントがあった。今朝方、誰かから回ってきたリンクで閲覧することができた。私も閲覧した。「好きな音楽」はクラシックと歌ものトランス(変な趣味)、「愛読書」にはオーウェル『1984』、カフカ(作品何だったか忘れた)、マキアベリ……

男のFacebookのアカウントとTwitterのアカウント(下記)は、犯行のわずか数日前に作られたものだと、英語圏の誰かのツイートで読んだ。Twitterのアカウントにはたった一言だけ投稿されているのが今も確認できる。投稿時刻は日本時間で7月18日02:48である。(なお、キャプチャ画面で彼をフォローしているのは、英語圏のジャーナリストである。)


※アバターはモザイクをかけた。

男が書き込んでいるのは19世紀の英国の思想家、ジョン・スチュワート・ミルの文のもじりだ。

ミルといえば「リベラル(自由主義者)」として現代に至るまで非常に多くの人々の尊敬と敬意を得ているが、日本では一方で「保守派」を自認する人々の一部からは蛇蝎のごとく嫌われている。しかし(あえてこの言い方をするが)「欧米」ではそうではない。「自由」=「国家の支配からの自由」の偉人として、むしろ保守派から尊敬されている。

乱射男のTwitterの文、"One person with a belief is equal to the force of 100 000 who have only interests." (信念を抱いた一人の人間は、力では、興味本位でしかない10万人に匹敵する) は、このJ. S. ミルの "On Representative Government" という1861年の文章からの抜粋のもじりである。

※オリジナルは、"One person with a belief is a social power equal to ninety-nine who have only interests." (信念を抱いた一人の人間は、力では、興味本位でしかない99人に匹敵する)
http://en.wikiquote.org/wiki/John_Stuart_Mill

ミルは、この男のFacebookのページの「愛読書」のところにもあった。On Liberty(自由論)が入っていた。この男があの名著をどう読んだのか、私は知らない。ミルをどう読んだら、ああいうことができるのか、私は知らない。

以下、この事件についての私のこれまでのツイートとRTだいたいすべて。ソースは単にツイッターのログ

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posted by nofrills at 18:35 | TrackBack(0) | i dont think im a pacifist/words at war | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

いったいどうやったら、あんな短時間で、80〜90人も、人を殺せるのだろう(ノルウェー)

前の記事の続き。

下記キャプチャ画像内記事見出しクリックで記事に飛べますので読んでください。





BBC記事より:
http://www.bbc.co.uk/news/world-europe-14259356
Police say many others are injured, and warned the number of dead may rise further as rescue teams continued to scour the waters around the island. Some of the teenagers were shot at as they tried to swim to safety.

The gunman is reported to have been armed with a handgun, an automatic weapon and a shotgun.

There are also concerns that more victims may still be inside buildings hit by the initial massive explosion in Oslo.

犯人は警官に化けて、労働党の青少年キャンプが行われている島まで、労働党の船で行ったというのだけど(まともにチェックしてないんだね……)、拳銃と自動火器とショットガンとかさ、いやもうほんと……。

posted by nofrills at 12:00 | TrackBack(0) | i dont think im a pacifist/words at war | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ノルウェー、首都オスロで爆弾&首都近郊で銃撃で17人死亡、負傷者多数

7月21日といえばBloody Friday (1972) なので、何か書こうと思っていたのだが、また断片の下書きのまま塩漬けになってしまった。(主要な武装勢力の武装解除が完了し、11thのボンファイアでのUDAのshow of forceや空砲の発砲などもなくなったにも関わらず、今年の北アイルランドはちょっとテンションが異常に高いので何かあるかもと心配していたのだが、Bloody Fridayの日も特に何も起きていなかったようだ。)

22日(金)、帰ってきてお風呂入って、Google Newsを見たらこんな感じの写真が出てて:



1972年のベルファストのブラッディ・フライデーの写真かと思ったんですよ。「和解」の点で進展があったとかいうことでニュースになったのかな、と。



そしたら全然違う。ノルウェーの首都オスロで、爆発。しかも官庁街。



オスロ爆弾テロ:官庁街を直撃 市民パニック、逃げ惑う
毎日新聞 2011年7月23日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110723ddm007030152000c.html

ノルウェー:首都直撃テロ 首相府のビル、ガラス大半割
毎日新聞 2011年7月23日 0時56分(最終更新 7月23日 1時56分)
http://mainichi.jp/select/world/europe/news/20110723k0000m030156000c.html

この段階では、「爆弾」→「テロ」→「またあの連中か」(※具体的には書きません。濡れ衣なので)というのが前提となっていた。上にURLを引いた毎日新聞の記事もそうだし、オンラインで見てたBBCのニュースでもそうだった。ちょうど、2005年7月7日のロンドンでの爆発について、日本のニュース番組がコメントを取りにいっていたのが「イングランドでのテロに詳しい人」ではなく、「中東専門家」だったのと同じだ。(そして私はひとり、孤独に、「Real IRAじゃないという証拠はないのに」とぷりぷりしていたのは当時書いた通りだ。)

そのムードは下記にも見て取れるだろう。

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posted by nofrills at 09:31 | TrackBack(0) | i dont think im a pacifist/words at war | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月22日

【訃報】ルシアン・フロイド

画家のルシアン・フロイドがロンドンの自宅で亡くなった。88歳。病気だったそうだ。BBCの報道記事には、未完で終わった作品が数点ある、と画商(「マネージャー」のような存在)が語っているとある。





Tateのコレクション一覧。画像はほとんどアップされていない。
http://www.tate.org.uk/servlet/ArtistWorks?cgroupid=999999961&artistid=1120&page=1

オンライン・ギャラリー。どこに行けばその作品をじかに見ることができるのかがわからないのが残念。(この人の絵は、直接見ると、「物体」としての威圧感がすごい。)
http://www.museumsyndicate.com/artist.php?artist=235

ガーディアンの追悼ギャラリー。全17点。15点目で女王の肖像を描く光景の写真があるが、これはいささかびっくりだ。
http://www.guardian.co.uk/artanddesign/gallery/2011/jul/22/lucian-freud-in-pictures

そして描かれたポートレイトがこれ。

3822858056Lucian Freud (Back to Visual Basics)
Sebastian Smee
Taschen America Llc 2007-12

by G-Tools


BBCの業績を振り返る2分弱のクリップ。ずいぶん前のものだがテレビのインタビュー映像あり。クリップの最後の自画像がすごい。
http://www.bbc.co.uk/news/entertainment-arts-14242800

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2011年07月21日

死刑が執行され、男は言葉を残した。

マーク・ストロマンは41歳のアメリカ人。テキサスの人だ。2001年9月11日のあの事件の後、彼は「復讐せねばならない、アラブ人を殺さねばならない」との激情にかられ、銃を持って街に出た。そして、コンビニを訪ねて周り、「アラブ人」に見えた店員や店主を3人撃った。それらの人々は、実際には「アラブ人」ではなく、パキスタン人やインド人、バングラデシュ人(UK語でいうAsian)だった。パキスタン人とインド人は殺された。バングラデシュ人は顔面を撃たれたが、生命は助かった。この事件で、ストロマンは有罪となり、死刑を宣告された。

その死刑が、執行された。

英BBCは死刑になる彼を刑務所に訪ね、面会を記録した。(なお、英国は、既に死刑を廃止している。)映像は下記記事にある(4分半)。

Post-9/11 hate killer Mark Stroman executed in Texas
21 July 2011 Last updated at 04:09 GMT
http://www.bbc.co.uk/news/world-us-canada-14227014

日本もテキサス州と同じく、死刑制度を有している。だが、「彼ら」の言葉が聞かれることはない。(死刑制度の有無以前に、そのことが批判されている。それに「内政干渉だ」と反発することは、非常に子供じみている。)

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E6%AD%BB%E5%88%91

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冤罪 (miscarriage of justice) とDNA鑑定

英語で「誤審、冤罪」のことを、 "miscarriage of justice" という。Miscarriageは「運びそこなう」という意味で、単独で使えば「流産」をいうことが非常に多いが、荷物や郵便物の「誤配達」、意図した結果とは別の方に行ってしまった「失敗」などをいうこともある。

ウィキペディアに「世界のmiscarriage of justiceの事例」のリストがある。
http://en.wikipedia.org/wiki/List_of_miscarriage_of_justice_cases

UKのところを見れば、映画『父の祈りを』で語られたギルフォード4&マグワイア7(コンロン父子ら)、バーミンガム6など、北アイルランド紛争に関連した冤罪事件をはじめ、非常に多くの事例が並んでいる。その中にちらほら見えるのが、「DNA鑑定」の文字だ。例えば:
Stefan Kiszko was convicted in 1976 for the rape and murder of an 11-year old Lesley Molseed in 1975. He spent 16 years in prison before he was released in 1992, after a long campaign by his mother. He died of a heart attack the following year at the age of 41. His mother died a few months later. In 2007, Ronald Castree, of Shaw, near Oldham, was found to have the same DNA as Lesley's attacker and was convicted at Bradford Crown Court.

Sean Hodgson, also known as Robert Graham Hodgson, was convicted in 1982 of murder following various confessions to police, although he pleaded not guilty at his trial. His defence said he was a pathological liar and the confessions were untrue. He was freed on March 18, 2009 by the Court of Appeal as a result of advances in DNA analysis which established his innocence.

1975年の強姦・殺人事件で有罪とされ、16年間服役した後にようやく再審で無実であることが立証されて自由の身になったStefan Kiszkoさんは、釈放の翌年、41歳の若さで心臓発作で亡くなった。彼の汚名をそそぐため尽力してきたお母さんも、彼の数ヵ月後に亡くなった。その15年後、DNAが一致したことで真犯人が判明した。

1982年、自白に基づいて殺人で起訴されたショーン・ホジソンさんは、裁判では罪状を否認したが結局有罪となり、2009年3月にようやく、再審のDNA鑑定で無罪を立証し、27年ぶりに自由の身となった。当時大きく報道されていたが、テレグラフの記事 ('Disgraceful' error kept innocent Sean Hodgson suffering for an extra 11 years) などが読みやすい(日本で冤罪被害にあわれた方が無実を立証したときに「温泉でのんびりしたい」などと語るように、「サッカーの試合を見に行きたい」と語っている)。

どちらも、「DNA鑑定がしっかり行われていれば……」というケースだ。

一方で、英国ではこんな事例もあった。

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2011年07月20日

ガザ沖の漁船にガーディアン記者が同行、洋上でイスラエル軍の放水を受ける。

ガーディアンのエルサレム特派員、ハリエット・シャーウッド記者が20日、ガザ港から出港した漁船の1艘に乗って、漁師が日々どのような体験をするのかを目撃、それを逐一Twitterで伝えた。

ガーディアンのサイトに彼女のツイートがまとめられている。(Storify使用)

In tweets: an encounter between Gaza fishermen and Israeli patrol boats
http://www.guardian.co.uk/world/2011/jul/20/gaza-fishing-boat-live-tweets

私のTweetDeckの画面には、シャーウッド記者と、西岸地区の取材で知られるジャーナリストのジョゼフ・ダナさんのツイートが流れてきていたので、それをまとめたのが下記。

On a fishing boat from #Gaza port: live-tweets by Harriet Sherwood
http://chirpstory.com/li/2029

英語簡単だし、読んでください。ガザの漁師の写真とか見たことある人は多いと思うけど、あんな小さい船に洋上で放水とか、沈める気満々じゃないかとしかいえない。ほかにも「いやがらせ」のレベルのことがいろいろと。

しかしなぜ「バルサの旗」かね(笑)。いや、知ってるんだけど、ガザでのバルサ人気は。(バルサの試合のときの私のTweetDeckの画面は、ガザの人たちでけっこううるさいw)
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ニューズ・インターナショナル問題、英国会ウェブ中継

日本時間21時で終わるかと思ってたのだけどまだやってます。今21:55。おもしろいです。



昨日、ルパート・マードック、ジェイムズ・マードック、レベッカ・ブルックスの議会の特別委員会での証人喚問があったのですが、この段階ではどうせ「知らぬ存ぜぬ」だろうと思ってフォローしてません。昨日は低気圧で耳がおかしくなっていて(今までなかったくらいに痛かった)、聞き取りは無理と諦めてもいたし。

そのへんのことは、上記キャプチャ画面の左側のテクストのところにリンクされているので、そこから。


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2011年07月19日

スコットランドヤードのトップ2人の辞任、記者の死、レベッカ・ブルックスの家のコンピューター

まったく、目まぐるしい。レベッカ・ブルックスが辞任し、逮捕されてからさほど時間が経っていないのに、ロンドン警察のトップ2人が辞任し、ことの発端に関わったジャーナリストが、自宅で死体で発見された。

@fieldproducer ことフリージャーナリストで、Sky Newsで仕事をしているニール・マンさんが、こんなことを書いていた。



実際、News of the Worldの不法な取材(電話盗聴)の問題は、このタブロイド紙の持ち主であるNews InternationalおよびNews Corpが何とか収拾しようとしたにも関わらず、拡大というか延焼するばかりだ。

NotWを廃刊にしても、疑惑の当事者(NotWの歴代編集長)をNews Int'lから離れさせてもなお、News Corp本体への波及は避けられず、現在同社の最大の市場である北米で9-11の犠牲者家族への盗聴がなかったかどうか、FBIが調べ始めていることがアナウンスされ、News Corp傘下のWall Street Journalから不満が噴出しつつある。また、NotW不法取材(盗聴)が行われたときの責任者(編集長)2名は相次いで逮捕され、彼らとつながりの深い保守党に対しては、野党労働党がものすごい勢いで追い込みをかけている。そればかりか、この一連の疑惑に関連した、同紙とロンドン警察(スコットランドヤード)とのずぶずぶの関係がまた問題となり、スコットランドヤードのトップ(警視総監)であるサー・ジョン・スティーヴンスンが辞任し、山のように書かれた関連のニュース記事をチェックし終わらないうちに、同警察ナンバー2(副総監)で対テロ責任者のジョン・イエイツが辞任した。

Analysis: Met police resignations
18 July 2011 Last updated at 14:31 GMT
http://www.bbc.co.uk/news/uk-14189063

元々2006年に追及が始まったこの件では、本当の最終標的はNotWではなく、ルパート・マードックの「メディア帝国」ですらない。スコットランドヤードと保守党だ。両者とも当然、守りは固い。これまでの報道や国会での追及では、スコットランドヤードは動じなかった。
http://en.wikipedia.org/wiki/News_of_the_World_phone_hacking_scandal

しかし今回は違う。トカゲの尻尾切りでお茶を濁すヒマもなく、いきなりトップが辞任した(「私は何も把握していなかった」と述べながら)。しかもそこまで広がるスピードが異様に速く、トップが辞任したあとで不祥事についての記事を読む、とかそんな感じ(例えば、NotW記者が、その仕事をするかたわら、警察で通訳者として働いていたとか……テレビドラマとかでは新聞記者が掃除や窓拭きの仕事で警察に潜入、なんてこともあるけどさぁ)。

いやあ、もうさすがにこれ以上の展開はないだろう、と思ってたところに、私の記憶にない人名と、RIPという文字列と、journo at the News of the Worldという文字列が視界に入った。

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2011年07月18日

サッカー女子ワールドカップ決勝を報じる英メディア

3月の時点で自国に帰ることを選択しなかった英語圏の人と、先日「セシウム汚染牛」が食肉として流通していることが最初に報道されたころに日本国政府のPR部門が「日本は観光に来ても大丈夫」キャンペーンを展開し、レディ・ガガが日本に来てどうのこうのという話をやたらと流していたことを、乾いた笑いと生暖かい目で見守っている、的な会話をした。「日本政府の提示する像は、薔薇色眼鏡で、必要なことは何も語ってない」ということだったのだが、本当は何も「ポジティヴ」な材料などないときに、「ネガティヴ」な材料を語らないことで、見せ掛けだけの「ポジティヴ」さを取り繕うことは、上品な言い方をすれば、誠意に欠けた行為である。

そんな話をした直後に、今度は掛け値なしの「ポジティヴ」な材料だけで、私のTweetDeckの画面は満たされた。サッカー女子ワールドカップ決勝、日本代表対米国代表の試合である。(なお、語感の問題として単に生理的に受け付けないので、例の愛称は私は使わない。)

久しぶりに、地震・津波・原発事故(と、それに関連する経済ニュース)以外の話題で、Japanという語が(「読み物」ではなく)「トップニュース」のところに出てきた。

on Twitpic英ガーディアンのトップページ、後半が終わる前にスクショ。一番上はNews Corp関連特設コーナー。写真入りトップニュースのところにサッカー女子W杯。(画像クリックでキャプチャをフルサイズで表示)


on Twitpic今のBBC Newsトップページ。トップニュースの上の「速報」に「サッカー女子ワールドカップで日本が優勝」、下の方のスポーツコーナーは当然それがトップニュース。 (画像クリックでキャプチャをフルサイズで表示)


記事は:
ガーディアン: http://www.guardian.co.uk/football/2011/jul/17/usa-japan-live-world-cup-final
BBC: http://news.bbc.co.uk/sport2/hi/football/14168601.stm

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2011年07月17日

レベッカ・ブルックス逮捕。

やっぱりベッカムさんも黙っちゃいないということが報じられた日曜日、News of the Worldが不法取材(盗聴)を行なっていたときの編集長で、つい先日その職を辞するまでNews Internationalのチーフ・エグゼクティヴだったレベッカ・ブルックスが、逮捕された。容疑は「盗聴」と、「警官に対する賄賂」(警察の、部外秘のはずの情報を流してくれれば金銭的見返りを与える、ということをNOTWはおこなっていた)で、これは先日逮捕されたアンディ・クールソン(逮捕は2度目。現在保釈中)と同じだそうだ。

ガーディアンのトップページはまた「特大ニュース特別仕様」のレイアウトで、ブルックスの特徴的な赤毛の面積の大きな写真が出ている。



ライヴ・ブログ:
http://www.guardian.co.uk/news/blog/2011/jul/17/phone-hacking-live-blog

一方で……

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2011年07月16日

「言論の自由」と「情報統制」

16日(金)、経済産業省資源エネルギー庁のある入札公告が、Twitterで話題になっていた。6月24日付けで出されたものだ。(古い日付のものがなぜ今話題になったのかは私は把握していないが、国会か何かで言及されたのだろうか。)
http://www.enecho.meti.go.jp/info/tender/tenddata/1106/110624b/110624b.htm
1.競争入札に付する事項

(1)作業の名称   平成23年度原子力安全規制情報広聴・広報事業(不正確情報対応)
(2)履行期限    入札説明書による。
(3)納入場所    入札説明書による。
(4)入札方法    入札金額は、平成23年度原子力安全規制情報広聴・広報事業(不正確情報対応)に関する総価で行う。

「作業」の詳細は、上記ウェブページの一番下にあるPDFのリンクの「3.仕様書」に書かれている。
http://www.enecho.meti.go.jp/info/tender/tenddata/1106/110624b/3.pdf



2.事業目的
ツイッター、ブログなどインターネット上に掲載される原子力等に関する不正確な情報又は不適切な情報を常時モニタリングし、それに対して速やかに正確な情報を提供し、又は正確な情報へ導くことで、原子力発電所の事故等に対する風評被害を防止する。

※強調は引用者による。

これについて、私の最初の反応は「4月に言われてた総務省の通達が展開したのか」というもの、次が「原子力等」「原子力発電所の事故等」の「等」の曖昧さについての懸念、そして「不正確」と「正確」、「不適切」は誰がどう決める(判断する)のだろう、ということだった。

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2011年07月14日

「原発ジプシー」(英ガーディアンの記事)

福島第一原発の現場で働いておられる作業員の方々に英ガーディアンのジャスティン・マカリー記者が話を聞いた記事が、先ほど、ガーディアンのオンライン版にアップされた。



Fukushima cleanup recruits 'nuclear gypsies' from across Japan
Justin McCurry in Iwaki-Yumoto
Wednesday 13 July 2011 19.42 BST
http://www.guardian.co.uk/environment/2011/jul/13/fukushima-nuclear-gypsies-engineers-labourers

記事タイトルの中で引用符でくくられている「原発ジプシー」は、堀江邦夫さんの著作(1979年)から取られている。堀江さんの『原発ジプシー』は27年ほど絶版になっていたが、この5月に講談社文庫から加筆などして復刊された。
4062770008原発労働記 (講談社文庫)
堀江 邦夫
講談社 2011-05-13

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驚きの急展開、News Corpが英衛星テレビBSkyB買収断念

芸能人やスポーツ選手、政治家ばかりか、犯罪被害者やテロ被害者、軍人までもターゲットに不法な取材を行っていたNOTWを廃刊にしたNews Corpは、その後、グループの別の新聞(それも超名門The Sunday Timesという笑えない展開)でも類似の不法行為がありそうだということがばれ、またThe Sunがゴードン・ブラウン前首相の息子さんが遺伝性疾患にかかっていることをすっぱ抜いたときにどうやってネタを手に入れたのかなどでもすったもんだがあって、実に目まぐるしいというか、これまでのこのphone-hacking scandal調査報道の、ガーディアンがどんなに食い下がっても肝心のところまでは食い込んでいかないというはかどらなさを思うと、「なるほど、人間にとっての1年は犬にとっては7年ですね」という気分になるほどだ。

それでも水曜日の急展開は本当に急だった。まずは:


そして:




BSkyB (British Sky Broadcasting) は英国の衛星放送。ルパート・マードックのNews Corpはここを子会社にしようとあれこれ手を尽くしていた。独占禁止法とかを乗り越え、LibDem所属のビジネス大臣(経済産業大臣的なポスト)の反対も撃破し、保守党のメディア大臣からのゴーサインにほくそえんだのはほんの少し前、今年3月のことだ。

そこに、このスキャンダル。ルパート・マードックの野望はもろくも崩れ去った。はーっはっはっはっは。

News Corp withdraws bid for BSkyB
http://www.bbc.co.uk/news/business-14142307

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posted by nofrills at 05:30 | TrackBack(0) | todays news from uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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