「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=


2009年04月30日

"British Iraqi pull-out imminent"

【UPDATE@20:30ごろ(日本時間)】
英軍から米軍への権限移譲の儀式が、BBC Worldで中継されています。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/7753036.stm

basra-handover.png

※さらに追記→日本時間20:50に儀式が終了しました。

BBC Newsのトップページのキャプチャ:


以下、17:30に投稿したもの。

【続きを読む】
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「みんなの翻訳」とjamendo.com

ばたばたしていたのでエントリにするのがすっかり遅くなってしまいましたが、4月8日(お釈迦様のお誕生日でありカート・コバーンの死が報じられた日である)に、「みんなの翻訳」のウェブサイトが一般公開されました。
http://trans-aid.jp/



これは情報通信研究機構 (NICT) 言語翻訳グループ東京大学大学院図書館情報学研究室の共同プロジェクトです。開発には非常に質の高い辞書を出しておられる三省堂さんが協力しています。

「みんなの翻訳」は翻訳支援のサイトです。「翻訳支援」というのは、機械翻訳のように原文を投げると翻訳文を作ってくれるという機能(「翻訳」という作業が自分ではできない人のためのもの)ではなく、「翻訳」という作業ができる人にとって、その作業を簡単にするというようなことです。具体的には、辞書引きと調べものの手間などを大幅に軽減してくれ、「翻訳」という作業に集中できる、ということになります。

「みんなの翻訳」を使って翻訳の作業を行なうときに使用するのが、「QRedit」という高機能エディタです。QReditは、原文表示ウィンドウと翻訳文作成ウィンドウの2つの画面が同時に参照できる2ペインのテキストエディタで(同時スクロール化)、クリックでポップアップする辞書がついています。この辞書が三省堂さんの『グランドコンサイス英和辞典』(36万語)です。さらにすごいのは、このポップアップ辞書は単語だけではなく連語・熟語も認識してくれるという点。

詳細は、「みんなの翻訳」の「初めての方へ」をご参照ください。
http://trans-aid.jp/help/firststepguide/

また、「QRedit」を使って作成した翻訳文は、元々の文書が「公開OK」のライセンス(Creative Commonsのライセンスなど)や「公開すべし」の条件(GNU GPLなど)の場合、また原文著者からの許諾がある場合は、「みんなの翻訳」のサイト上で公開できます。(著作権法の「例外規定」が適用される場合は例外ですが。)この点については、下記ページをご参照ください。
http://trans-aid.jp/help/firststepguide/pubornot.html

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2009年04月29日

「ロイヤル・アカデミー・オブ・なんとか」なる日本の学校と、「健康」分野における「英国」というブランド

blip.fmでwicked sense of humourの持ち主であるUKの人とお茶ふきながら "post-apocalyptic pig song" の話をしていたりする今日このごろ、「すでに一部のホメオパシー系のサイトに豚インフルエンザ『便乗』記事が出ているようなので、取り急ぎ、書いておきます」という書き出しの、菊池誠さんのブログのエントリを読んだ。非常にすっきりとした短い文章だから、30秒くらいの空き時間があったらぜひ。

このエントリの最後、「ホメオパシーには精神的な効果しかありません」には大きくうなづいた。「豚インフルエンザ! パンデミック!」という刺激的な報道にさらされて「私も死ぬ!!」とパニックになっている人が落ち着きを取り戻し、冷静に対処できるようになる、といった効果はあるかもしれないが(ふだんからホメオパシーをやっていて、それが生活の一部になっている場合は特に。私はパニックになったら自分の「ライナスの毛布」を使うけど)。

で、そういうときに、「便乗」の記事が出ているというのはどういうことだろう、と思って、少し見てみることにしたのだが……なんかもう、The Smithsの "The Queen is Dead" の "the church will snatch your money" という歌詞が思い出されるばかり(なぜなら私がこの英語の表現とニュアンスを知ったのはこの曲でだったので)。

以下、とても長いのですが、「ロイヤル・アカデミー・オブ・なんとか」なる日本の学校と、「健康」分野における「英国」というブランドについての調査です。

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2009年04月27日

イランを騒がせる「オレンジ・プロット」

※「オレンジ」といっても、このエントリには北アイルランドは関係ありません。

ある日のこと……

テヘランさんへUAEさんからお届けものです。
  ↓
あら、何かしら。
  ↓
オレンジ、ですね。中国産です。
  ↓
あらま、ありがと。さっそく開封しましょ……ぎゃー、なにこれー、Jaffa Sweetie Israelってシールが! 箱は「中国」、中身は「イスラエル」ですってー、宿敵イスラエルのオレンジなんてどうやって入ってくるのよ、ぎゃーぎゃーぎゃー。

――以上、24日付けBBC記事のまとめ。

Israeli oranges 'on sale in Iran'
Page last updated at 21:34 GMT, Friday, 24 April 2009 22:34 UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/8017823.stm

以下、まさかの続報@26日付。
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2009年04月26日

Googleさんの、天然で笑いを取る技術力にはお茶をふく思いだ。

Google labsに、Similar Images(似た画像)の検索ができる(とされる)機能が追加されたという話は先日見かけたのだが、別に使う用もないし、興味もないので「ふーん」と流していた。

Google labs: Similar Images
http://similar-images.googlelabs.com/

結論からいえば、「失敗こいた」って感じ。あのすばらしい顔認識技術による「プライバシー保護」という先例を思えば、すぐにでも見てみるべきだったのだ。

そのことを、先ほど下記のBBCの記事を読んでからGoogle Similar Imagesを見て、思い知らされている。

Search tool finds eclectic matches
Page last updated at 16:47 GMT, Thursday, 23 April 2009 17:47 UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/8015320.stm

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2009年04月24日

偶然とはいえこの並びは朝からきついわ…



アイルランドの親分はIpswich監督として現場復帰の話、フランスのカンフーマスターは、カンヌに出るケン・ローチの映画についての話です。

で、朝からこの並びはないわ〜と思ってBBCに行ったら……まあ、そりゃそうかもしれないけど。

Mathieu Flamini interview
http://news.bbc.co.uk/sport2/hi/football/teams/a/arsenal/8010235.stm
Criticised by Arsene Wenger and characterised as a mercenary by many Arsenal fans, it seems everyone has had their say about Mathieu Flamini - except the man himself.


脈絡ないけど、ついでに、ゴードン・ブラウン(スコットランド人)が聖ジョージの日(イングランドのナショナル・デー)に某右翼タブロイドSに書いた(とされている)記事:
http://www.number10.gov.uk/Page19105

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2009年04月23日

The Times, こんなにでっかい扱いにしなくてもいいんじゃまいか

The Times のトップページ。

よく見たらUK Editionで(World Editionではなく)二重にびっくり。

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And So I Watch You From Afar - Xfm Session tonight (BST)!

Smalltown America(<ASIWYFAの所属するインディのレコードレーベル)からのお知らせメールのキャプチャ:


というわけで、英国時間22日の午後10時から午前2時(夏時間だから日本時間は+8時間、つまり23日の朝6時から10時。何という微妙な時間)、Xfmへどうぞ。
http://www.xfm.co.uk/

聞き逃しても、セッションだからアーカイヴされると思うんだけど。
http://www.xfm.co.uk/onair/sessions/tags?category=studio-session

なお、Xfmはサイトから聞くには、UKのポストコードの入力が必要となります(けど、まあ、ごにょごにょ。)1つ前のエントリで紹介したRadio UK Toolbarを入れたほうが聞きやすいかも。

さて、寝たら起き損なうかもしれないけど寝るか。ASIWYFAはレコ発でラジオ出演などいろいろあるのですが、私はほんとにI watch you from afarなので。時差8時間だし。

以下、聞いていたもののメモ。番組を聞いていなくて、XfmのサイトからListen Again(放送後7日間有効)で聞く方、ご参考までに。アーカイヴはされるかされないかわからないので、Listen Againで聞けるうちにきいておくのがベターです。

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2009年04月22日

Radio UK Toolbarを入れてみた

ここ数日、いろいろと断片化していてブログの更新ができていませんが、ニュースいろいろははてブのほうで。あとTwitterにも若干(アカウントnofrillsで。ものすごいぐちゃぐちゃになってますけど、JG Ballard死去についてはTwitterにちょこまかとメモがあったり)。

さて、Blip.fmに広告が出ていたので、Radio UK Toolbarを入れてみた。これが、いちいちラジオのためにウェブページを開かなくてもいいという点で便利。

Toolbar Options(←RadioUKのボタンのすぐ右にあるドロップダウン・メニューから)で、天気予報とかeBayのボタンのような自分にとって必要でないものは外して、RadioUKの検索窓(これは外せないっぽい)、ラジオ・プレイヤー、各種便利リンク(まだよく見ていないが、いろいろ入っている)、RSS(ニュースサイトのRSS。プリセットはBBC, the Guardian, SKY News, the Daily Telegraph, Google News UK, YouTube UKの注目動画など)と、よくわかんないから残してある(「あとで見てみる」ために)Live TVのボタンだけにした状態でのキャプチャが下記。


※画像クリックで原寸大キャプチャを表示。

このツールバーを使うと、UKのラジオ、175局が簡単に聞ける。(ただし「175局」というのはサイトに書いてあるものをそのまま鵜呑みにしただけで、実際にツールバーにセットされているものを数えたわけではない。)

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2009年04月15日

プロパガンダとホラと「トラディショナリスト」

ひとつ前のエントリに書いた「デニス・ドナルドソンはわれわれが」というReal IRAの宣言だが、どうにも怪しい。サンデー・トリビューンに渡した声明文に書いてあったそれについての一節が、実際の場(デリーでのReal IRA/32CSMによるイースター蜂起記念式典)で読み上げられたものにはなかったそうだ。サンデー・トリビューンには「われわれはこのように奴をやった」という詳細な話まであるのに、それはホラか?

実際、Real IRAの「デニス・ドナルドソンはわれわれが」という主張については、BBCがスルーしている。BBCはデリーでのReal IRA/32CSMによるイースター蜂起記念式典のことは記事を出している。しかし、事前にリークされていたその声明で最もキャッチーだった「ドナルドソン殺害」については、BBC記事にはまったく言及がない (実際にその一節が読み上げられなかった以上、BBCとしては "refusing to give oxygen of publicity" ということだろう)。BBCだけではなく、ガーディアンのヘンリー・マクドナルドもスルーしている。ということは、普通に考えて、RIRAが告白した「殺害の様子」が、警察(アイルランドの、だが)が把握している事件現場と一致しないとかそういう裏でもあるのだろう。

となると、RIRAが「ドナルドソン殺害」の「犯行声明」を出したのは、別の目的だと考えられる――テクストとしてみる限り、RIRAのあの声明を書いた本人が最も重要と考えていたに違いないのは、「裏切り者(スパイ)は許さない」というくだりだ。マーティン・マクギネスにあそこまで言われて黙っていられず、例によって「裏切り者 traitor」が意味の表層雪崩を起こしてカオスになってるのかもと思ったが、各種報道によると、RIRAのヒットリストには、北アイルランド紛争時の「大物スパイ」(Stakeknifeことスカルパティッチ、ケヴィン・フルトンら……フルトンは、スパイとして「大物」だったというより、それを告白して有名になったのだけど)の名前がずらずらと並べられているらしい。武装活動停止宣言前のPIRAがギラギラと狙っていたに違いない彼らの名が。

RIRAが彼らを殺すことに「成功」すれば、「RIRA>>>>>>PIRA」という図式のできあがり、となる。RIRAはそれをして、「俺らすげぇ」を既成事実化したいのだろう。脳みそ(以下略

以上、ソースははてブにメモってある各記事。(いちいちリンクしませんでした。)
http://b.hatena.ne.jp/nofrills/20090415

同じくひとつ前のエントリで言及した、今年のイースター蜂起記念行事でのRIRA/32CSMの声明の一節が、頭にこびりついて私をイライラさせ続けるので、これを爆音で聞いてみたりした。

I got my propaganda I got revisionism
I got my violence in high def ultra-realism

Wanted to cap somebody
Wanted to buck them down
Wanted to pull the trigger
Just to hear the fucking sound
I got my propaganda

―― Saul Willliams, Survivalism_OpalHeartClinic_Niggy_Tardust!(Escaped...


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2009年04月14日

Real IRA、イースター声明で、デニス・ドナルドソン殺害(2006年)を認める。

BBC NIには、まだ記事がない。ガーディアンにもまだない。

real-donaldson.png3月にReal IRAが英軍基地を襲撃し、Continuity IRAが警官を射殺し、以後でっかいカーボムが北アイルランドに入ったとかいった話もありつつ、ラーガンが荒れ、ベルファストが荒れ、デリーではpunishment shootingが相次ぎ、またデリーのシン・フェインのオフィスは放火されたそうだが(そして1981年ハンストの資料が焼失。dissidentsは燃やすものを間違えすぎ)、1916年のイースター蜂起を記念する「リパブリカン」にとっては一年で最も象徴的な意味の強い週は、とりあえず、ものすごく大きな事件はないままで終わりそうだ、と思っていたイースター休暇の最後の日である13日、ベルファスト・テレグラフに、Real IRA: We murdered Denis Donaldson という記事が出た。

いきなりすぎて意味がわからなかった。

ベルファスト・テレグラフのこの記事から、アイルランド共和国に拠点のあるthe Sunday Tribuneの12日(日曜)付けで出ている関連記事を何本か読んだ。

Exclusive - Real IRA: We will take campaign to Britainという記事は、12日のRIRAについてのサンデー・トリビューン報道のまとめ的な記事。それから、この新聞のこの記者が書いた分析記事。また、How Real IRA Killed Denis Donaldsonという記事は、RIRA幹部が語ったデニス・ドナルドソン殺害の詳細で、これは私は途中で読むのを断念した。あまりにもむごすぎる。それから、月曜日のデリーでのイースター蜂起記念行事で読み上げられるRIRA/32CSMの声明。これも、途中で読むのをやめた。ドナルドソン殺害声明だけでなく、いろいろと勇ましいことが語られているが、基本的に打ち上げ花火だろう。

会ったこともなく、言葉を交わしたこともない人たちに対しては極めて失礼な言い方だが、「こいつら狂ってる」としか思えなかった。なぜそこまでフィジカル・フォースに固執するのか、別の道が見えているというのに(人口増加率を見れば、ユナイテッド・アイルランドが、遅くとも何十年かのスパンで現実的な可能性だということは見えているのに)。軍事的な解決策などないというのが、この30年の紛争の結果、やっとわかったことであるはずなのに。

Real IRAとサシで取材できる仲のThe Sunday Tribuneのスザンヌ・ブリーン記者は、次のように書いている。
Its language is uncompromisingly militant. There are none of the nuances we came to hear from Sinn Féin and Provisional IRA figures from the mid-1980s onwards. If the Real IRA had a slogan it would be, 'An armalite in one hand and we don't do ballot boxes'.

その言葉遣いは解釈の余地なくミリタントである。1980年代半ば以降のシン・フェインとProvisional IRAの人々に見られた微妙なニュアンスというものは一切ない。もしもReal IRAにスローガンがあるとすれば、(80年代シン・フェインおよびIRAの「片手にアーマライト、片手に投票箱」ではなく)、「片手にアーマライト、だがわれわれには投票箱は無用」というものであるだろう。

http://www.tribune.ie/news/article/2009/apr/12/northern-editors-analysis/


こいつらの脳みそは何だ、筋肉か。

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2009年04月13日

「ただの数字ではなく」――「ヒルズバラの悲劇」から20年

1989年4月15日、FAカップ準決勝(リヴァプールFC対ノッティンガム・フォレスト)の試合会場となったヒルズバラ・スタジアム(シェフィールド・ウェンズデーのホーム)で、観戦に訪れたリヴァプールFCのサポーター96人が圧死した。「ヒルズバラの悲劇」、英語でいう "Hillsborough Disaster" である。(Hillsboroughは「ヒルズボロ」と表記することもある。)
http://en.wikipedia.org/wiki/Hillsborough_disaster

死亡した96人のうち、3分の1は10代だった。収容能力を超えた人数が、フェンスで区切られた空間に一杯になって身動きが取れず、人々は次々と、胸部圧迫などで呼吸困難になって倒れた。試合は開始6分で中止され、何とかしてテラスから脱出した観客がピッチに逃れ、無事だった観客がピッチサイドの看板を外して担架の代用にし、負傷者の搬出にあたった(この様子がテレビで中継されていた)。当日だけで94人が死亡、4日後に生命維持装置で何とか生きていた14歳の男性が死亡、さらに4年後に、ずっと昏睡状態だった男性が死亡した。

それから20年を迎えようという先週末、UKの各メディアがこの「悲劇」についての記事を出していた。(BBCテレビでは11日に特集番組を放映したそうだ。)すべての記事を見たわけではないが、いくつかははてなブックマークのほうにURLをメモしてある。

11日のリヴァプールFCのホーム、アンフィールドでの試合(対ブラックバーン)開始前の様子の映像は下記。"96 Brothers" と手書きした横断幕、いつも以上に感情のこもった "You'll Never Walk Alone" の合唱に続き、1分間の黙祷。スタジアムのシャンクリー・ゲイトのところにある96人の名の刻まれた碑と、そこに捧げられた花束とスカーフ(あの日の対戦相手だったノッティンガム・フォレストのスカーフもある)。
http://news.bbc.co.uk/sport2/hi/football/7995038.stm

下記BBC記事は、現在のリヴァプールFCのキャプテンであるスティーヴン・ジェラードのインタビュー(映像&テキスト)。彼自身、単に「チームのキャプテン」である以上にこの悲劇とかかわりをもっている。
http://news.bbc.co.uk/sport2/hi/football/teams/l/liverpool/7994062.stm

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「中学生レベル」のsmear campaignをやろうとして盛大に墓穴ったらしい労働党に呆れる。

ゴードン・ブラウンの側近(プレス担当)が辞職した。理由は、保守党に対するsmear campaignを行なっていたこと……というより、それがバレたこと。これが、どこからどう見ても、とんでもなくお粗末である。

No 10 official quits over e-mails
Page last updated at 21:02 GMT, Saturday, 11 April 2009 22:02 UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/politics/7995044.stm

辞職したのはDamian McBrideという人で、元々は税関や財務省で仕事をしていた役人。サラ・ブラウン(ゴードンの妻)についてポジティヴなイメージを与える方向のキャンペーンをやってたのもこの人。ちょっとしか読んでないけど、プロフィールはこの記事が詳しい。労働党内が「ブレア派」と「ブラウン派」でぎくしゃくしていたときにもごにょごにょしていたらしい。

で、これ、本格的にどうでもいい話だからスルーしようと思ってたんだけど、報道記事を読んでいたら一応メモくらいは、という気になってきた。あまりにも呆れかえったので。

なお、記事があまりに多くて情報があちこちに断片として散らばっている状態なので、細かいことは私も知らない。それを調べようというほどの興味もないので(基本的に、起きたことがあまりにくだらなさすぎる)、細部については、報道機関が一応ウラ取って書いている記事を探してご確認いただきたい。


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2009年04月11日

Digg.comでのトレント・レズナーのインタビュー

今週、Digg.comのDigg Dialoggという企画で、Nine Inch Nailsのトレント・レズナーへのインタビューが行なわれた。Digg Dialoggとは、Digg.comがゲストへの質問をユーザーから募集し、ユーザー同士で投票しあった「良い質問」について、Digg.comのケヴィン・ローズがゲストにインタビューするという企画。これまでの3回は政界からのゲストだった。

レズナーに寄せられた質問(何千という単位だと思う)の一覧とインタビュー(40分くらいの動画)は、http://digg.com/dialogg/Trent_Reznorにあるが、このページの動画がロードしない場合、下記YouTubeで。インタビュー場所がレズナーのスタジオで、機材がすごい(私には見てもわからないけれども)。

http://www.youtube.com/watch?v=PBxhxVIiwaA

※40分あります。ご注意ください。

あるいは、下記でファイルをダウンロードすればローカルでも見られる。
http://revision3.com/diggdialogg/trentreznor/

この件について、Creative Commonsのブログに記事が出ている。

Trent Reznor on NIN's Business Models and the Future of Music
Fred Benenson, April 9th, 2009
http://creativecommons.org/weblog/entry/13915


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2009年04月10日

ガーディアンで、マーク・ティッチナーによって言及されているのは……

ロンドンのイーストエンドにあるコンテンポラリー・アートのWhitechapel Art Galleryの拡張(隣接する元図書館の建物を吸収する形のもの)工事が完了し、この4月5日に再オープンした。

これを記念して、ガーディアンのArt and Designのコーナーで、コンテンポラリー・アートの作家を編集長とする企画、Whitechapel Takeoverを6日から開催中だ。(以前も、音楽のコーナーが「Squarepusher責任編集」になったり、つい先日はJohn Parish and P J Harveyが同様のことをやってたりしていたけれども、今回のアート&デザインでもそれと同じ。)

Whitechapel Takeoverでの「ゲスト編集長」は、6日はthe Chapman brothers, 7日がYinka Shonibare, 8日がFiona Bannerときて、9日がMark Titchnerだ。

Mark Titchnerは1973年生まれで、2006年のターナー賞でノミネートされている。テクスト/文字と「イメージ」の関係という領域でいろいろとやっている人で、完全に「スローガン」化して「意味」を失ってしまった言葉に、ヴィジュアルで新たな「意味」を与える、という印象があるのだが、あまりクソマジメな感じはしない。
http://en.wikipedia.org/wiki/Mark_Titchner
http://www.tate.org.uk/britain/turnerprize/2006/marktitchner.htm

tate.orgのほうにはエンベッドでインタビュー映像が埋め込まれていて、音楽はFugaziとNapalm Deathが使われているのだが、実際この人、かなり音楽好きだ。ガーディアンを「乗っ取った」記事でも、アート&デザイン面なのに、音楽の話しかしていない。

Whitechapel takeover: Mark Titchner's top 10 songs about liberty
Mark Titchner
guardian.co.uk, Thursday 9 April 2009 00.05 BST
http://www.guardian.co.uk/artanddesign/2009/apr/08/whitechapel-gallery-mark-titchner

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タグ:音楽 art
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2009年04月09日

ジェリー・アダムズの中東訪問、各メディアの記事のクリップ

ガザに入ったジェリー・アダムズの動向についての記事を列挙します。記事が出た順に。(どういうわけかGoogle Newsのワード検索では捕捉しきれませんので、個別に探してみて、後から追記していくことになると思います。)

■記事(1)
Adams urges talks on Gaza visit
Page last updated at 10:55 GMT, Wednesday, 8 April
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/7989676.stm

【内容】
ジェリー・アダムズは水曜日にガザ地区を訪れ、イスラエル側とパレスチナ側の直接対話の必要性を訴えた。

アダムズは、1月の攻撃でひどく破壊されたガザ地区北部を見て回り、「このようなことが二度とないようにしなければならない。そのためには交渉が必要であり、またイスラエルの指導部(政府)とパレスチナの指導部が直接の対話に踏み出すことが必要である。国際社会、特に米国は、それを積極的に促進していかねばならない」と語った。

またアダムズはUNRWAガザ事務所のジョン・ギング所長とも会い、1月の攻撃で破壊されたアイスクリーム工場を訪れ、その経営者とも話をした。

また、ガザに入る前日の火曜日には、アダムズはイスラエル南部のスデロトとクファ・アザ (Sderot and Kfar Aza) を訪問した。

アダムズが中東入りする前に、イスラエル当局者は、アダムズがパレスチナ武装勢力と会う可能性を除外していないことを理由に、アダムズと会うことを拒否し、ガザ入りの許可を出さないとの構えを見せていた。

アダムズは前回、2006年に中東を訪れたときにハマスのメンバーと会っている。

……この記事は以下、4日のエントリで参照したアダムズのブログからの引用。

■記事(2)
Adams meets Hamas PM in Gaza
Page last updated at 07:28 GMT, Thursday, 9 April 2009 08:28 UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/7991311.stm

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「彼はそこにいた」という事実と、BBCの報道(ひとつ前のエントリの修正)

4月9日16時ごろ(日本時間)に気付いたのだが、ジェリー・アダムズはガザに行っている。

8日にふざけて書いたエントリで、BBC NIが "Israel bars Adams from Gaza visit" という記事を、8日の10:11 GMTに出していることをメモしたが:


最近、どこを見たら何が書かれているのかが非常にわかりづらくなっているシン・フェインのサイトで(ドメインまで変わってるからね。いつの間にardfheis.comで党大会や選挙と直接関係のないアップデートをするようになったんだろう)、「最新ニュース」としてアダムズがガザ地区に入って記者会見を行なったことを伝える記事がアップされていたのが、4月8日の9:36 am (GMTなのかアイルランドの夏時間なのかわからないけれども) より前だ。(記事そのものにタイムスタンプはないが、記事の下のコメント欄の投稿1件目がApril 8th, 2009 9:36 amのタイムスタンプ。)

Gerry Adams in Gaza
http://www.ardfheis.com/?p=1235

ということは、BBC NIの「アダムズ、ガザ地区に入れず」の報道(8日の10:11 GMT or 11:11 BST)があったときには、アダムズは既にガザ地区に入って破壊されたままの瓦礫の山の前で、取材用にセッティングされたロイターやアルジャジーラといった報道機関の取材マイクの束に向かって、「対話の必要性を改めて強調」していた、ということだ。

単なる私の見落としなのか、それとも世界を支配する闇の勢力の壮大な陰謀か……続きは【続きを読む】で!

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2009年04月08日

Twitterと、「彼はそこにいる/いない」をめぐる断章(?)

Twitterに登録してあるBBC NIの更新情報でこんなのが来た。
http://twitter.com/bbcnireland/status/1475712468
The Sinn Féin president is barred because he intends to meet Hamas members http://tinyurl.com/d7shjl


中東を訪問するジェリー・アダムズに対し、イスラエル当局はガザ地区への立ち入りを許可しなかった、という。理由は、アダムズがハマスのメンバーと会うつもりであるため。

しかるに、Sinn FeinのTwitterを見てみると:
http://twitter.com/sinnfeinireland/status/1475625508
Sinn Féin President Gerry Adams is currently in Gaza


……どっちなんだよ、GAはガザにいるのかいないのか。

Tweetの時刻は、シン・フェインのほうがBBC NIより30分ほど早いが、BBC NIのはRSSを拾って反映するbotだし、よくわからない。BBC NIの記事が出た時刻 [=10:11 GMT] と、SFのtweetの時刻はだいたい同じくらいだと思う(こういうときに、「何分前」で表示されているのが不便)。

ともあれ、アダムズがブログを更新するなり何なりしてガザ地区に行けたのかどうかを報告してくれるまでは、BBC NIの記事を信じるとして、これはイスラエル政府の対応としては予想通りではあるけれども、よりによってジェリー・アダムズに対して「テロ組織に指定されている組織と話をするのは言語道断」とか言っても、全然面白くないギャグにしかならないということを、いいかげんに学んでほしいと思う。(→アダムズをネタにした面白いギャグを見たい方はこちら。スティーヴ・クーガンすてき! 特に0:30が珠玉の瞬間!)

ともあれ、アダムズが7日に現地入りしていることは確実なので(7日のアダムズのブログが、飛行機の中からの更新。トピックはアイルランドの政治・経済についてだからまだ読んでないけど)、続報を待つのみ。それまでの間、「いるのかいないのか」とは何かについて考える試み。

存在と無〈1〉現象学的存在論の試み (ちくま学芸文庫)存在と無〈1〉現象学的存在論の試み (ちくま学芸文庫)
Jean‐Paul Sartre 松浪 信三郎

存在と無―現象学的存在論の試み〈2〉 (ちくま学芸文庫) 存在と無―現象学的存在論の試み〈3〉 (ちくま学芸文庫) 実存主義とは何か 嘔吐 存在と時間〈下〉 (ちくま学芸文庫)

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この件、アップデートあり。必ずあわせてお読みください。
http://nofrills.seesaa.net/article/117179233.html
posted by nofrills at 20:25 | todays news from uk/northern ireland | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年04月07日

Something's wrong ... seriously!

AFP BBの記事、「水のボトルに印刷された『Home Office(内務省)』のロゴ」という写真がなんともいえません。Home Officeのロゴが印刷されたボトルド・ウォーターなんてものが実在するとは。少なくとも積極的に飲みたい気はしません。Peckham Springのほうがまだ……。



で、記事の本題の件、つまり「英内務省のホームページが誤って日本のポルノサイトにリンクされていた」件ですが、これです。

tabsite.png

whoisで見てみると:
http://whois.domaintools.com/technicaladvisoryboard.org.uk

ドメインが失効してこの出会い系業者が登録したのが、2009-02-07になってますね(ということは、失効は今年2月7日より前)。それから今までの2ヶ月くらい、ホーム・オフィスは、利用者が "Technical Advisory Board" のリンクを踏むと、何についてのテクニカルなアドバイスを受けられるのかわからんエロサイトに飛ばされる可能性に気付いていなかった。お間抜けすぎる。

ホーム・オフィスといえば、英国のpolice state化を推し進めている組織(<バイアスかけてます)。対テロおよびテロ法関連、イミグレ、デモ弾圧、そのほかもろもろ、推進の中心はホーム・オフィス。

んで、「リンクを踏むとエロサイトに飛ばされる」という大失態について、当初ホーム・オフィスは、AFP記事によると:
リンクはもともと、内務省ホームページから外部の諮問機関のウェブサイトに貼られたもので、同省は「このサイトがハッキングされ、問題のポルノサイトにリンクが貼り替えられたようだ」と説明した。


つまり、当初は「私たちは犯罪被害者です!」という前提で、ドメイン失効すら把握していなかったということ。(以下、罵詈雑言を省略)

この件、ガーディアン掲載のPress Association(<通信社)の配信記事:
http://www.guardian.co.uk/technology/2009/apr/07/home-office-japanese-pornography

PA記事経由でBBCの記者ブログ:
http://www.bbc.co.uk/blogs/technology/2009/04/red_faces_at_the_home_office.html

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posted by nofrills at 23:45 | TrackBack(0) | todays news from uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ウォルマートのひどさを暴く映画に、ロンドンの下町のマーケットが出てきていた。

町山智浩さんのブログで告知されていた、東京MXTV「松嶋×町山未公開映画を観るTV」(日曜日の午後11時から、1時間番組)の第一回(4月5日放送)を見てみたら、ロンドンが出てきたので少し。

同番組は日本未公開の世界のドキュメンタリー映画を(もちろん日本語字幕つきで)紹介するという内容で、これからしばらくの間は米国のドキュメンタリーが続くとのこと。キリスト教根本主義 (fundamentalism) を扱った『ジーザスキャンプ』もやるとのこと。

第一回で放映されたのは、流通最大手ウォルマート(激安量販店)の「徹底した低コスト」の実態を取材してまとめた(というか「暴いた」)映画、"Walmart: The High Cost of the Low Price"で、第一回(5日)に放映されたのは前半だけ、後半は来週に続く。

IMDBを参照すると、この作品はリリースデートがUSAで2005年11月4日なので、映画の内容は今からおおよそ4〜5年前のものだと思われる。
http://www.imdb.com/title/tt0473107/

このドキュメンタリーを製作したRobert Greenwaldは自身の映画制作会社を持つ映画作家で、この作品のほか、ルパート・マードックのニューズ・コーポレーションを題材とした "Outfoxed" や、イラク戦争の「民営化」の側面を集中的に取り上げた "Iraq for Sale" (←Blackwaterに興味がある人は見てみてください) などを制作している。
http://www.robertgreenwald.org/

ウォルマートは1962年にアーカンソー州で創業され、30年ほどで全米一の小売業となった企業で、米国外でも地元のチェーン店を買収するなどして展開している。英国ではASDAが1999年にウォルマート傘下に入っている。(ちなみに日本では2000年代に西友がウォルマートに子会社化された。西友は元々は西武のセゾングループ。)

このドキュメンタリーに出てきた「ロンドン」はQueens Marketだ (Queen's Marketと書くのが正しいのかもしれないが、綴りが二通りあってわからない)。ここはロンドン東部のNewhamというboroughにある野菜だの台所洗剤だの何だのの生活密着マーケットだが、この場所の再開発でASDA (=Wal-mart) の出店計画がある、という文脈だ。この文脈についてはPhase9 Entertainmentのサイトに詳しく出ていた。引用すると:
The film also lambastes Newham Council's forthcoming planned sale of London's East End 105-year old Queens Road Market to Wal-Mart. An Asda superstore will be the centrepiece of the redevelopment and it is believed that this will force many market traders out of business and as a result the multi-cultural local community will cease be able to purchase much needed low cost fresh food and household products. Newham Council will confirm their plans in the New Year and the local community, led by the Friends of Queens Market, continues to protest against the sale.


映画で取材を受けていたのは、白人、スキンヘッド、腕にタトゥというルックスに、口を開けば濃いぃコックニーで、いかにも「下町の屋台のおっちゃん」っぽい青果のストールの店主だった。彼は「自分にはASDAに悪意はないが、このままいけばロンドンで最も民族的に多様なマーケットが消えることになる。それに俺の店は跡継ぎの息子もいるんだ」といったことを語っていた。

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posted by nofrills at 22:30 | Comment(0) | TrackBack(1) | todays news from uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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