さて、少し前の記事だが、10日付のガーディアンのウェブサイトCiFから、ジョナサン・パウエルの文章。
These criminals can't hold the peace process hostage
Jonathan Powell
Tuesday 10 March 2009
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2009/mar/10/barracks-attacks-peace-process
記事に行く前に……パウエルはブレア政権での北アイルランド和平の中心人物で、2008年3月にはその内幕を詳細に書き綴った手記を刊行している(私は未読。読むタイミングを逃したなと少し後悔している……のだが、4月にペーパーバック化されるのね。買っとくか)。
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さて、CiF記事。
アントリムで英軍基地が襲撃される前日の金曜日、パウエルはベルファストで、北アイルランド警察トップのサー・ヒュー・オードら治安当局の高官と会って、北アイルランド和平プロセスから世界各地の紛争にとって教訓となること (the lessons to be learned from the Northern Ireland peace process for conflicts elsewhere in the world) について話をしていた。その結びとして、「紛争」は終わったのだと宣言するのは早すぎるだろうか、という修辞疑問を使った(つまり、「いや、早すぎはしない」と言った)。ジェリー・アダムズとマーティン・マクギネスのシン・フェインの方針に異を唱える非主流派のリパブリカンがいて、活動していることは、パウエルはもちろん把握していたが、それでも、治安当局の間で非主流派リパブリカンによる死者が出ないことを祈る、と言い、そうなった場合は大変な悲劇になるにせよ、当局が間違った反応をしない限りは、政治的にはさほど大きな事態にはならないだろう、と語った、という。
その「仮定」が(彼はその部分について仮定法で語っている)、次の日には現実になった。それについてパウエルは「まったく考えてもいなかったこと」だ、「予想外 unexpected」だ、と書いている(英軍特殊部隊SRRを投入するという北アイルランド警察の決断が、パウエルの頭の中でそういう予想につながらなかったとは私には思えないのだけど、「まさかこんなに早く」というのはあったのだろう。そのへんはパウエルの文章は解釈の余地を残している)。そして、犠牲者のご家族や友人に対する言葉に続けて、「それでも、金曜日に言った通り、政治的に大きな意味は持たないと考えている」と述べる。
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