「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2009年03月31日

last.fmの迷走――有料化延期と「値上げ」

freelast.png←画像クリックでLast.fm内のBring back the free last.fmグループに飛びます。議論の共通語は英語です。なお、当ブログ関連記事はタグ「last.fm」で一覧できます。

3月24日付のblog.last.fmへの投稿(→当ブログでのエントリ)で、「英国と米国とドイツ以外では、『ラジオ』を月3ユーロの課金制とする」ことを告知したlast.fmのCTO(技術部門責任者)であるRichard Jonesさん(以下「RJ」:Last.fmというサービスの設立メンバーのひとり)が、30日付のブログで「課金制先送り」を表明した。(「ナントカ議員が離党」とか「ナントカ大臣が辞意」とかいったニュースと同じように、「……を表明した」という日本語を使いたくなる。)

Radio Announcement Revisited
Monday, 30 March 2009
http://blog.last.fm/2009/03/30/radio-announcement-revisited

24日付のブログで、「英米独以外」という選択の理由を説明せず、「いつから課金制にするのか」の日付すら明示しない(ブログの本文には "soon" とあるだけで、本文末尾からリンクされている説明ページに行ってようやく「30日から」ということがわかる、という状態)という失態を演じたRJは、後に誰かユーザーのページの「一言コメント」欄で「もっとはっきり書くべきだったと大後悔してる」と心情を吐露していたのだが(私はたまたまそのユーザーさんのページを見たのでRJのコメントを読んだのだが)、30日付のブログでもまだ「明瞭」とは言いがたい。課金は当面延期されるということははっきりわかるのだけれども、それがいつまでなのか、目途とか目安といったものすら全然わからない。来週なのか、来月なのかといったことも見当がつかない。(不確定なことをアナウンスするのが難しいのはわかるけれども、延期の期間がdays単位なのかweeks単位なのかくらいはアナウンスできるだろうに。)

ともあれ、30日付のRJの告知の要点は、以下の3点が実現できた段階で予定通りに、英米独は除いては「ラジオ」機能の月3ユーロの課金制移行を実施する、ということだ。

【課金制移行実施の条件】
・自分以外のユーザーに対する「ギフト・サブスクリプション」ができるようにする(誰か友達の分を買ってあげることができるようにする)
・Last.fm RadioのAPIを利用したサードパーティのアプリケーションへの対応を行なう
・クレジットカードがなくても支払いができるようにする(現状はPaypal利用のみで、例えばロシアのVisaカードはPaypalではねられるといった事態があって、払う意思がある人が払えない状態)


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タグ:last.fm 音楽
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あの伝統芸、「ザ・自虐」が私に呼びかける。

BBC Newsの記事に設置されている広告(英国外からの接続で表示されるもの)には、私が見ている限り、「観光」関連のものが多い。それがときどき、記事本文とあいまって、えもいわれぬハーモニーを奏でることがある。タイで大規模なデモがあったときに、そのトピックの記事ではなかったかもしれないけど、記事にエンベッドされているニュース映像についていたCFがVisit Thailandの夢のようなビデオだったり、パキスタンでマリオット・ホテルが爆破されたときに、マリオット・ホテルの豪華な内装を紹介するFlashのバナー広告が表示されたり。

しかし今日のこれにはお茶をふいた。いくら伝統芸でもここまでやらなくていい。

ニュースのヘッドラインから、「マークス&スペンサーの売り上げ減少」というのをクリックしてみたときに目にした広告が、右図である。X軸とY軸のある画面内の線が滑り台のような形を描き、「£」記号がそれをすーっと滑り落ちる。次に出てくるのが、「40%」という文字列がでかでかと表示された、クリスマス・セールのときの店頭ポスターのような画面で、それをよく見ると "Visit Britain 40% Off Everything" とあって、さらに芸が細かいことに、この文字列の下に、"*Take advantage of the exchange rate" と小さな文字で書かれている。広告でよくある「最大40%お得 ※ただし2年契約の場合」みたいな形式で、ポンドの暴落(今は少し落ち着いて140円台ですが)をネタにして、「英国旅行がお得です」と呼びかけるこのバナーは、VisitBritain.jp, つまり英国政府観光庁のものだ。バナーの最後は、"There's never been a better time to visit britain!" (英国を訪れるのにこれほどよいタイミングはありません)という文で、クリックを促している。しかも手が込んでいることに、バナーの基調の色が、BBC Newsの記事の基調の色とマッチしている。

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2009年03月26日

今日BBCの記事で知ったこと――北アイルランド自治政府首相はスパーズ・サポ(時々チェルサポ)である。

タイトルの通りです。お茶ふいた。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/7964855.stm
On the topic of football, the deputy first minister gave an insight into his relationship with the first minister.

He revealed that Mr Robinson, a Spurs and occasional Chelsea supporter teased him whenever his favourite football team Manchester United lost.

"He sort of gloats about it which I don't like," he said.

"But I'm still confident that United will win the premiership this year and the probably the champions league as well, with Chelsea trailing behind them. Don't say that to Peter."


つまり、マーティン・マクギネスがマンUのサポで、スパーズ・サポ、時々チェルサポ(←え)のピーター・ロビンソンは、マンUが負けるとニヤニヤしてマクギネスにいらんことを言う、と。そしてマクギネスは「でも今年のプレミアはうちがいただきます。CLもいただきます。チェルシーよりうちが上です。あ、これはピーターには言わないように」と語った。

……何なんでしょう、この和気藹々ムードは。(@_@)

むろん、「北アイルランド和平」の「進展」を印象付けるための演出がかなり入っているとしても、この2人、20年前はひどく暴力的な形で敵対していたのであって……。まあ、20年前は「サッカーのサポ」もこんなに和気藹々とはしていなかったかもしれないけど。

というわけでこの記事、北アイルランド自治政府の正副ファーストミニスターが2人揃って、東ベルファストの小学校を訪問し、学童のインタビューを受けるというBBCの企画を報じるものなのですが、お茶ふきポイントはマンUだスパーズだチェルシーだだけではなくて……。

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Do You Remember Rock 'N' Roll Radio? --- Last.fm が実質有料化

freelast.png←画像クリックでLast.fm内のBring back the free last.fmグループに飛びます。議論の共通語は英語です。なお、当ブログ関連記事はタグ「last.fm」で一覧できます。

※3月31日、アップデートあり。併せてお読みください。
http://nofrills.seesaa.net/article/116511853.html


それを聞いて、まっさきに頭に浮かんだのは、非常に真剣に考えてたくさん考えた挙句、どういうわけか気付けば「お笑い」に行ってしまう(そしてそれを大真面目にやる)という、あまりに「らしい」英国産ボードゲームの、FAQのこれである(右図参照)―― THAT'S RACIST. ;)

ボードゲームのFAQは、「(英国からの)欧州への送料が、アメリカへの送料より高いのはどうしてですか。差別です」という文言だが、私はこれを思い出しながら、Last.fm有料化の報に、「米英独以外は課金されるというのはどうしてですか。差別です」と反応してニヤニヤしている。(げに恐ろしき、英国脳の恐怖。)

Last.fm Radio Announcement
Tuesday, 24 March 2009
http://blog.last.fm/2009/03/24/lastfm-radio-announcement

この曖昧な記事タイトルのブログ記事で、Last.fmのスタッフさんは、次のように説明している。
Today we're announcing an upcoming change to the way Last.fm Radio works in some parts of the world. In the United States, United Kingdom and Germany, nothing will change.

In all other countries, listening to Last.fm Radio will soon require a subscription of €3.00 per month. There will be a 30 track free trial, ... Everything else on Last.fm (scrobbling, recommendations, charts, biographies, events, videos etc.) will remain free in all countries, like it is now.


someの使い方とかがカチンとくるのだが(このポストに対するコメント欄を少し見れば、カチンと来ているどころか激怒している人がかなり多いことが確認できる)、要するに、米、英、独以外ではLast.fm Radio(ストリーミング)が、月3ユーロの定額課金制になる、という告知だ。無料お試しは30曲限り。

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タグ:last.fm 音楽
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2009年03月24日

北アイルランド、警官殺害事件で1人起訴(+もう1人起訴)。起訴されたのは17歳の少年(→1975年に17歳で人を殺したロイヤリストの現在)【メモ】

今月9日のクレイガヴォンでの警官殺害事件(Continuity IRAが犯行声明)で警察に逮捕されていた人々のうち、1人が起訴された。

この事件では7人が逮捕され、取調べを受けているが、起訴されたのはその中で最年少の17歳の男性だ。彼は法定年齢にも達していないから、起訴されても名前も公表されない。起訴事実は次の通り。

A 17-year-old youth has been charged with the murder of Constable Stephen Carroll in County Armagh earlier this month.

...

The youth is also charged with having a firearm with intent to endanger life and membership of a proscribed organisation, the Continuity IRA.

...

The 17-year-old also faces a further charge of collecting information likely to be of use to terrorists.

http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/7960463.stm


つまり、殺人、生命を危険に陥れる意図を有した上での銃器所持(後刻の報道によればアサルトライフル: was in possession of an assault rifle and 26 rounds of 7.62 calibre ammunition)、特定組織(日常語でいう「テロ組織」)のメンバーシップ、テロリストに利用される可能性が高い情報の収集。

わずか17歳でこれだけ並べられて、警察の捜査がいつものごとく的外れ(顕著な例としては、ノーザンバンク現金強奪事件)でないことを祈るしかないが、それ以前にmurderで起訴されたのが17歳ということが、かなりショッキングだ。つまり実行犯ということだから。

17歳ということは、1998年のグッドフライデー合意のときは6歳である。北アイルランドの主要なパラミリタリー組織は1997年に停戦していたから(ただしCIRAは停戦していなかったし、この「停戦」をめぐってPIRAからRIRAが分派した)、世間で起きていることがある程度筋道だって把握できる年齢に達したころには、「北アイルランド紛争」は、形式的には(と留保をつけざるをえないのが現実だが)、終わっていたはずだ。

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2009年03月23日

キャラハン政権末期のものすごい状態を、当時の閣僚が回想する記事。

前置きとして書けることはいろいろありそうだが、それを省いて本題。

ジェイムズ・キャラハン政権で、かの "Winter of Discontent" を閣僚として体験し、その後、労働党がサッチャーの保守党に負けたあとはニール・キノックの労働党で副党首をつとめるなど、常に政治の第一線にいたRoy Hattersley(北アイルランドの文脈では、B-Specialsに代えてUDRを立ち上げたということで名前が出てくる人)が、22日のオブザーヴァーにものすごく長い回想録を書いている。

The party's over
Roy Hattersley
The Observer, Sunday 22 March 2009
http://www.guardian.co.uk/politics/2009/mar/22/james-callaghan-labour-1979-thatcher

私もまだ全部は読んでいないのだが(ほんとに、ものすごく長い上に、これを余裕で読めるほどの教養という素地が私にはない)、リード文:
Labour had survived the winter of discontent and the IMF crisis, but there was only one way James Callaghan's government was going to survive the night of 28 March 1979 ... Here, for the first time, Roy Hattersley relives the failed deal-making, death-bed decisions and last-minute alliances which ushered in a decade of Thatcherism


※書きかけ
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And then my heart with pleasure fills, and dances with the daffodils.

このあとしばらくまた血なまぐさい話になりそうだが、春らしく可愛らしい写真6点、リンク先でどうぞ。


これを見せられた日には、ウィリアム・ワーズワースをコピペせざるをえない(暗誦できちゃったりはしない)。
http://en.wikipedia.org/wiki/I_Wandered_Lonely_as_a_Cloud

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2009年03月22日

活動休止を表明しているNine Inch Nailsのツアーサンプラーで、あの曲とあの曲のスタジオ録音が日の目を見た。

Nine Inch Nails (NIN) と Jane's Addiction (JA) のUSツアー(ふたつ合わせてNIN/JA)が、5月8日から始まる。今年限りで活動休止を宣言しているNINと、オリジナル・メンバーで再結成したJAの2バンドに加え、RATMのトム・モレロによる新バンド、Street Sweepersが一緒に、1ヶ月ほどの間に24回のライヴを行なう(ときどき、NIN/JAだけとかNINだけといった公演もある)。

NINのトレント・レズナーはこのツアーについて最初に告知したときに、「レコード会社の巨額のプロモーション費用なしでやる」と書いていた(NINもJAもメジャーレーベルとは契約していない)。ということはつまり、バンド自身がプロモーションをやっていくということで、そのプロモーション専用のウェブサイトが3月20日にオープンした。(オープン直後にまたしばらく落ちてたらしいけど、もう大丈夫。)
http://www.ninja2009.com/

NINは前回のツアー(の前半)のときにもサポートバンドから提供された音源とNINの音源をまとめたサンプラーをnin.comで提供していたが、今回もNIN/JAとStreet Sweepersの音源をサンプラーとして提供している(→ninwiki, EtS)……だけならもう当たり前というか、予想の範囲内なのだが、NINの音源が、「あの曲のスタジオ録音ってないんですか」というFAQ項目になっていたあの2曲だよ……こんな形でリリースすんな。びっくりするわ。このサンプラーについてのトレントの告知によると、今後もツアー開始までいろいろとやるみたい。

サンプラーの内容:
01. Jane's Addiction - Chip Away
02. Nine Inch Nails - Not So Pretty Now
03. Street Sweeper - Clap for the Killers
04. Jane's Addiction - Whores
05. Nine Inch Nails - Non-Entity
06. Streer Sweeper - The Oath

いずれも未発表音源(JAのは1987年のアルバム収録の曲の新録)。もちろんすべてDRMなし。もちろん無料です。

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タグ:NIN 音楽
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2009年03月21日

Google Street Viewで、ベルファストに行って、ほぼ初期状態での「プライバシー保護」の様子を観察してみた。

Google Street View (UK)のサービス・インで、ここまでハックニーハリンゲイおよびフィンズベリー・パークと、個人的に「懐かしがる」ヴァーチャル・トリップをしてきたのだが、あるとわかってるのにヴァーチャルで訪れないわけにはいかないのがベルファスト。というわけで西ベルファストの有名エリアだけ見てみました。(ヒマな人は、Google Street View (UK)でBelfastの上に人形をドラッグ&ドロップしてみてください。最初に出てくる写真が、Lisburnなんですけど、これって撮影する意味あんの?という感じの写真だと思います。これはこれで、すごく旅行気分になれるのだけど。)

結論的には、これは「いくら時間があっても足りません」って感じ。本や年表の類でしか知らなかった街が、壁画データベースのようなものとは違って「街」というコンテクストの中で、また、flickrのような個人投稿の写真サイトとは違って「街路」という流れの中で見える。私はベルファストは行ったことがないので、当然、ロンドンとは違って「懐かしがる」感覚はまったくないのだけれど、ロンドンとはまるで違う「コンテクスト」の存在がすごすぎ。

まず、Googleの顔認識技術の性能がいかんなく発揮されたベルファストでの一枚は、Sluggerのコメント欄に投稿されていたURLを見ると、誰かが通報したらしく、画像が消されてしまっている。(→このほか、通報で早速消された画像についてはBBC記事参照。日本でのサービス・インよりさらに混乱してるかもしれない。)



これのひとつ手前のカットは残っているが、それも壁画に描かれている人物の顔が見えない(木があるので)。


※広く知られていることなのでわざわざ書く意味もないと思うのですが、この絵が描かれている建物はシン・フェインの拠点です。

ここまで来ると、陰謀論思考で意味などないところに意味を見出したくもなってくるが(ボビー・サンズはある種のタブーだから)、実際に「意味」などないのだということは、次の例で証明されるだろうと思う。



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2009年03月20日

Google Street Viewでロンドンを見る―― Finsbury Park途中下車編。

「Google Street Viewでロンドンを見る――怒涛のハリンゲイ編」のついでに。

Manor Houseの駅から、公園の南の辺に沿ったSeven Sisters Roadに出て(数歩歩くだけ)、道路を向こう側に渡ってしばらく西に行く途中が、フィンズベリー・パークの安宿街だ。



Google Street Viewだと、公園沿いのSeven Sisters RdはこのSpring Park Hotelから西しか表示されないが、このまま西に進んでいくとしばらくの間、道路の南側にホテルが並んでいるのが確認できるはず。この辺りも、崩れ落ちそうな廃屋になるまであと少しというテラストハウスがあったりもしたのだが、ずいぶんきれいになっている。(バスの中から見ていたのとだいたい同じ視界なので、本当にヴァーチャル・トリップ。)

Manor Houseの駅からそのままGreen Lanesを北上する途中にも宿はあるが、Seven Sisters Rdのほうが便利だと思う。明るいし。

西に進んだついでなので、寄り道して、Finsbury Parkの南側のランドマークをいくつか。

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Google Street Viewでロンドンを見る――怒涛のハリンゲイ編。

「Google Street Viewが英国でも開始」のエントリで、ハックニーをちょっと見てみたのだけれども、今度はハリンゲイへGoしよう。

ハリンゲイ (Harringay, or Haringey) は拙著の44ページから53ページにかけて言及した地域。出発点は地下鉄Manor House駅(ピカデリー・ライン)。


大きな地図で見る

この駅は、Finsbury Parkの南東の角(地図でいう右下)に接している。Finsbury Parkは巨大な公園で、Manor House stationから見て公園の反対側、西南の端にあるのがFinsbury Park stationだ。Finsbury Park stationは地下鉄(ピカデリー・ライン、ヴィクトリア・ライン)と鉄道の駅で、かつてはアーセナルのホーム(ハイベリー)の最寄り駅だった。私が近隣住民として知ってるこの駅は「万物は流転する、設備は老朽化する」といった具合で(まさに「英国病」の時代だったことが大きいのだが)、その後2000年にハックニーに滞在していたときに立ち寄った際もそれはほとんど変わっていなかったが、さらにその後にアーセナルのスタジアムが少し西に移動し、駅周辺のショップやバスターミナルの一帯が整備しなおされて、Wikipediaに掲載されている画像のような現代的な、「10ペンスくれ」と言って回ってる人がいそうにない駅舎になったという。

一方で、Manor Houseの駅は全然変わっていない。これは変わりようがないのだけど、公園の木々の陰になるため日が差さず、何か薄暗い(そんなことでも「懐かしい」と思えるのは元住民だから。GSVの最大の用途ってこれだと思うな)。で、この駅のバス停にはいつもこのくらい(→)の人が並んでいるということも同じ。ピカデリー・ラインはこの通り(Green Lanes)に沿って北へと走っているのだが、この駅と次の駅(Turnpike Lane)の間隔が広く、公園沿いは特に暗い時間帯は治安面でちょっと不安があるし、Green Lanes沿いの一帯に家のある人は歩かずにバスを使うことが多い。(Manor HouseまでがZone 2で、その先はZone 3になるから、バスを使う人はZone 3まで使えるトラヴェルカードを持つ。)

ってなところでManor Houseから出発進行。この先の一帯は、19世紀の人口爆発で住宅地として開発されたところで、大通り(Green Lanes)沿いはそれなりに立派、わき道(住宅街)は安普請のテラストハウスです。

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Google Street Viewが英国でも開始。まずはロンドンを少し見てみた。

いやあ、Googleのテクノロジーってほんとうにスゴいですね。「人間の顔」は自動識別して、個人が特定できないようにボカシを入れてくれるんですよ、こんなふうに(←お茶ふき警報発令中)。ちなみに、プライバシーへの配慮がまったくない状態の同じ場所の写真はこちらで

……というわけで、Google Street View (GSV) がUKでも始まった。まずは下記の25都市からのスタートだ。
UK cities covered so far

Aberdeen, Belfast, Birmingham, Bristol, Cambridge, Cardiff, Coventry, Derby, Dundee, Edinburgh, Glasgow, Leeds, Liverpool, London, Manchester, Newcastle, Norwich, Nottingham, Oxford, Scunthorpe, Sheffield, Southampton, Swansea and York.

(from the Daily Telegraph)


まさかベルファストが最初のリリースに入っているとは思わなかったが、ベルファストが加わったことで、4ネイションそれぞれ必ず1都市は入っている状態となっている。(微妙に主張が強いな。)

Belfastなんか見始めた日には日が暮れてしまうし(壁画ツアーができる)、OxfordとかCambridgeとかを見るとすごく楽しいのだろうけれど(美麗なので)、とりあえずはロンドンを見てみた。

お約束で:

撮影時に天気がよかったんですねー、的な一枚。

King's Cross駅前交差点:

こちらは天気はイマイチ。

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2009年03月19日

そのうちに聖書のセールスマンでも始めそうな勢いだ。

ガーディアンに配信されていたPAの記事で知ったのだが、今週のNew Statesman (NS) のゲスト編集長がトニー・ブレアの側近というか右腕というかスピンドクターのアレステア・キャンベルで、ブレアも記事を書いている。

キャンベルは元々タブロイド・ジャーナリズムの人で、彼がこういう活動をするのは別になんとも思わないのだが(アレックス・ファーガソンにインタビューしているのはけっこう面白いかもしれないけど、ウェブでは導入部1ページしか読めない)、ブレアはEUと米国とロシアと国連(カルテット)の中東大使という立場にありながら、何を考えているんだと心底思う。むろん、イスラム教もユダヤ教もキリスト教も旧約聖書の宗教なのだけれども、それがどのくらいセンシティヴなことであるか――「カトリックとプロテスタント」であんだけ荒れた北アイルランドのことを知らないわけではあるまい(それどころか、「和平をもたらしたのは私」とかいうデカい顔をしているのだが)。

ブレアの記事はこれ。

Why we must all do God
Tony Blair
Published 19 March 2009
http://www.newstatesman.com/religion/2009/03/world-million-faith-god

まだ最初のパラグラフしか見ていないけれど(読むのたるい……)、基本的に、昨年イエール大学で話したことと同じだと思います。「いまだからこそ、宗教には役割がある」っていう主張。これも、ウェブ版では最初の1ページしか読めませんが、立論というか結論部が冒頭に来ているスタイルだと思うので、最初だけ読めば、言いたいことはわかるのではないかと思います。

この下に、KwoutでNSのキャプチャを取ったものを貼り付けるので、NSの今週号の個別記事が読みたい方は下記の画像からどうぞ。

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北アイルランドから、血なまぐさくはない「暴動」の話(でも酒くさい)。

聖パトリックの日だというのに、重苦しく血なまぐさいことばかり調べていたのだが(勝手に、だけど)、違うの、あたしが欲しいアイルランド成分はそういうんじゃないの、と実は思っていたらしい――18日の夜中にBBCの記事で次の一節を読んで、お茶をふきつつ本当の私が目覚めた(のか?)。

As well as the rubbish they also found people sleeping in front gardens.

彼ら(清掃作業員)は、ゴミだけではなく、家々の前庭で寝ている人間たちもまた、発見した。

http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/7950737.stm


「ゴミ rubbish」と「前庭で寝ている人々 people sleeping in front gardens」が、as well asを使って並べられるものだとは、あたしは今まで気付きませんでした。こんなすごいことに気付かせてくれてありがとう、アイルランド。どっかのダルい小説家の壁だの卵だのの比喩表現より、よほど「言葉」の可能性に気付かせてくれるよ。

※追記:この地域の通りの「前庭」はこんなんです(狭いということ以外は何の変哲もない)。(←20日にサービス開始されたGoogle Street Viewで。)

「ゴミ」と「寝てる人」――ことの経緯は、上記BBC記事にもあるけれど、簡単にまとめておくと次のような次第だ。

3月17日は聖パトリックの日で、アイルランド島全域でお祭りになっていた(ただしそういう雰囲気ではなかったごく一部の地域を除く)。

聖パトリックは5世紀にアイルランド島にキリスト教をもたらした聖人であるから、カトリックがどうのとかプロテスタントがどうのとかいうのとは関係ないのだが(5世紀に「カトリックとプロテスタント」という対立軸は存在しないし)、聖パトリックの日は「アイリッシュネス」のお祭りだから、「ブリティッシュ」の北アイルランドでは、かつては「あっちの世界」の出来事だった。ベルファストが市としてパレードを主催するようになったのはつい数年前だ(2004年か2005年だと思う。確認サボりますが。)

そんなウンチクはさておき、「紛争」が終わっていろいろ変化したベルファストでは、今年も昨年やその前と同じように楽しそうなパレードが行なわれました、というニュースがあって、つい1週間前には「RIRAとCIRAというゾンビを徹底的に拒否する」と沈黙で訴えていたベルファストのこういう楽しげなニュース、もうすっかり春ですね、と思っていたときに目に飛び込んできたヘッドラインがこれ。

Riot police called to disturbance
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/7949145.stm

な、なんだってー、「暴動」だってー。

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2009年03月18日

「非主流派リパブリカン dissident republicans」についてのメモ (4) ―― RSFの77歳、RIRAの事件で逮捕された41歳、RIRAの事件で逮捕された32歳(そして94年に蜂の巣にされたその父親)

マーティン・マクギネス(北アイルランド自治政府副ファーストミニスター)、ブライアン・コーウェン(アイルランド共和国首相)ら、セント・パトリックス・デイで訪米中の「アイルランド島の政治指導者」ご一行様の夜のマンハッタンでパチリと記念に、的な写真(ただし、現在のNI自治政府トップであるピーター・ロビンソンではなく先代その前のイアン・「フィデルと同い年」・ペイズリー、ホモフォビアで有名なアイリス・ロビンソンではなくアイリーン・ペイズリーですが)を見て、アイルランド共和国の首相はまあちょっと別なのだけど、マクギネスとペイズリーが並んでいるのを(かなり久しぶりに)見て、「北アイルランド紛争」の時代の(セクタリアンな)主義主張なんてのは、彼らにとっては結局何だったのだろうという疑問がまたもやもやと頭の前面に漂い出している。(そういったことは、部外者である私などよりもずっと重いかたちで、その中にいる人たちには感じられているのだが。)

マクギネスが、非主流派リパブリカンのことを "traitors" (売国の輩)という言葉で非難し、ペイズリーらユニオニストがそれを「勇気ある言動」と讃えているのは、誰がどう見てもどこかにお約束の足場があるであろう「政治」なのだけれど(シン・フェインは英軍が襲撃されたときには「歯切れ」が悪かったことでチクチクとやられていた。警官銃撃後に、"traitors" などという言葉をマクギネスが使ったのは、そういうことも影響しているだろう)、一方でどこにもお約束などありゃしない、「政治」などクソ食らえといわんばかりの武装闘争至上主義(わかりやすくするために「原理主義」という言葉を使ったほうがいいのかもしれないが、北アイルランドについては本物の、宗教上の原理主義、つまり「根本主義 fundamentalism」が紛争に深く関わっているので、その言葉は使わない――自分にはその程度のディセンシーはあるのだということをいちいち言語化して確認していないと、頭がおかしくなりそうだ)が、人数的には「わずか300人程度」であれ、今回のこの事態に大きく関わっている。

中東でまたいつもの(そう、「いつもの」)暴力が人命を奪っている(3月11日)ことは、私の見ている範囲が偏っていたのかもしれないが、少なくともガーディアンやタイムズやBBCではトップ記事にはなっていなかったし、「壁」の建設に抗議する側にいたアメリカ人のISMメンバーが、催涙弾(とはいえ殺傷能力のあるキャニスター)を顔面にまともにくらって瀕死の重傷を負った(14日)ことも同様で、そういうことを知ろうとすらしていなかったということにまたもやもやしたものを少しおぼえつつ、中東よりずっと「規模」の小さい「暴力」について、昨日も今日も記事を読む。自分で選択して。

以上が前置き。ここからが本文。

このエントリのポイントは3つ。ひとつは共和主義シン・フェイン (RSF) のRuairi O'Bradaighのこと。残り2つは、逮捕された「非主流派リパブリカン」の「大物」2人それぞれのこと。

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2009年03月17日

「非主流派リパブリカン dissident republicans」についてのメモ (3) ―― 聖パトリックの日に

http://www.belfasttelegraph.co.uk/今日はセント・パトリックの日(右の図は、ベルファスト・テレグラフの聖パトリックの日の特別仕様のロゴ。kwoutでキャプチャ)。この日にあわせて、例年のごとく数日前から訪米中のアイルランド島(アイルランド共和国および北アイルランド)の政治指導者についてのニュースがあれこれ伝えられる今日この頃、警官殺害事件で逮捕者が出て非常に緊張が高まっているラーガン (Lurgan) では、St Patrick's Dayのパレードが中止されたそうだ。

英軍基地襲撃と警官射殺の2つの事件での逮捕者は、現時点で11人(英軍基地襲撃、つまりReal IRAのほうで4人、警官射殺、つまりContinuity IRAのほうで7人)。逮捕された人々のなかには、北アイルランド紛争時代の「リパブリカン闘士」の名前が含まれている。それについては別項(この次にポストするもの)に書く。


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2009年03月16日

「非主流派リパブリカン dissident republicans」についてのメモ (2) ―― 英国政府の見方(ジョナサン・パウエル)

7日以降、ヘッドラインやアラートに、British soldiers killedとあるとものすごくどきどきするようになった。それまでは、同じ文字列があっても「ヘルマンド(アフガニスタン)がひどいことになっているのでは」と思いこそすれ、正直なところ、読み流してしまっていた。それが7日以降は、まさかまたああなっていくんじゃないだろうなという懼れがどんなに少しであれ、あることはあるから。

さて、少し前の記事だが、10日付のガーディアンのウェブサイトCiFから、ジョナサン・パウエルの文章。

These criminals can't hold the peace process hostage
Jonathan Powell
Tuesday 10 March 2009
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2009/mar/10/barracks-attacks-peace-process

記事に行く前に……パウエルはブレア政権での北アイルランド和平の中心人物で、2008年3月にはその内幕を詳細に書き綴った手記を刊行している(私は未読。読むタイミングを逃したなと少し後悔している……のだが、4月にペーパーバック化されるのね。買っとくか)。

Great Hatred, Little Room: Making Peace in Northern Ireland
Great Hatred, Little Room: Making Peace in Northern IrelandJonathan Powell

Vintage 2009-04-02

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さて、CiF記事。

アントリムで英軍基地が襲撃される前日の金曜日、パウエルはベルファストで、北アイルランド警察トップのサー・ヒュー・オードら治安当局の高官と会って、北アイルランド和平プロセスから世界各地の紛争にとって教訓となること (the lessons to be learned from the Northern Ireland peace process for conflicts elsewhere in the world) について話をしていた。その結びとして、「紛争」は終わったのだと宣言するのは早すぎるだろうか、という修辞疑問を使った(つまり、「いや、早すぎはしない」と言った)。ジェリー・アダムズとマーティン・マクギネスのシン・フェインの方針に異を唱える非主流派のリパブリカンがいて、活動していることは、パウエルはもちろん把握していたが、それでも、治安当局の間で非主流派リパブリカンによる死者が出ないことを祈る、と言い、そうなった場合は大変な悲劇になるにせよ、当局が間違った反応をしない限りは、政治的にはさほど大きな事態にはならないだろう、と語った、という。

その「仮定」が(彼はその部分について仮定法で語っている)、次の日には現実になった。それについてパウエルは「まったく考えてもいなかったこと」だ、「予想外 unexpected」だ、と書いている(英軍特殊部隊SRRを投入するという北アイルランド警察の決断が、パウエルの頭の中でそういう予想につながらなかったとは私には思えないのだけど、「まさかこんなに早く」というのはあったのだろう。そのへんはパウエルの文章は解釈の余地を残している)。そして、犠牲者のご家族や友人に対する言葉に続けて、「それでも、金曜日に言った通り、政治的に大きな意味は持たないと考えている」と述べる。

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2009年03月14日

25年前の今日、彼は殺されていたかもしれない。

BBCのOn This Dayから:


これについては、NI FAQのほうに書きましたので、それをご参照ください。

ジェリー・アダムズ暗殺未遂事件 (1984年3月14日) について。
http://nofrills-nifaq.seesaa.net/article/115646120.html

25年後の2009年、アダムズ本人も、このころにはアダムズを殺したがっていたであろうUDAのジャッキー・マクドナルドも、「和平」を信じ、それを本物にしなければならないという態度を示しています。

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2009年03月13日

クレイガヴォンで射殺された警官の葬儀。

9日夜、クレイガヴォンで撃ち殺された警官、スティーヴン・キャロルさんの葬儀が、金曜日にいとなまれた。

Killed officer 'never forgotten'
Page last updated at 13:47 GMT, Friday, 13 March 2009
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/7940985.stm

Northern Ireland constable's funeral under way
guardian.co.uk, Friday 13 March 2009 13.05 GMT
http://www.guardian.co.uk/uk/2009/mar/13/carroll-funeral-northern-ireland-police

キャロルさんは、事件現場となったアーマー州のすぐ南、ダウン州のバンブリッジ在住。バンブリッジの人口構成はプロテスタント7対カトリック3くらいだそうだが(ウィキペディア掲載の2001年センサス)、キャロルさんはカトリックで、警察官として20年以上勤務してきた。「紛争」の時代からずっと。
http://www.guardian.co.uk/uk/2009/mar/11/profile-stephen-carroll-pc

緑色をベースにした北アイルランド警察(PSNI)の旗がかけられた棺は、同僚たちの肩に乗せて教会に運ばれた。霊柩車が進む道沿いには、大勢の人が見送りに来ていた。

そして、「武装闘争」もしくは「政治的暴力」もしくは「テロ」で殺された警官の葬儀としては初めて、シン・フェインの党員が参列した。

参列したシン・フェインの党員には、クレイガヴォン選挙区のジョン・オダウド自治議会議員がいる。この人は事件後いち早くステートメントを出し、「これは武装主義のための武装主義だ」と述べ、「統一アイルランド」という目標は政治的手段で達成すべきであり、警官を撃った集団には「大義」などない、と言い切った人だ。彼は「私たちは新しい社会を作ってきたのであり、その一部として(RUCを解体し)PSNIを作ったのです。そしてキャロル巡査はその新しい社会の一員でした」と葬儀で述べた(ガーディアン記事)。

BBCの記事には、北アイルランド警察トップのサー・ヒュー・オードの弔辞の映像が埋め込まれている。「月曜の夜の電話は、警察の長官としては最も聞きたくない連絡でした」、「その夜、警察に入った住民の方からの電話は、ごく普通にある出動要請でした。そしてスティーヴンはいつものように現場に赴き、凶弾に倒れました。北アイルランドという難しい事情を抱える地にあって彼は怯まず、警官としての義務を果たそうとして、倒れたのです」……。

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「非主流派リパブリカン dissident republicans」についてのメモ (1) ―― RIRAとCIRAの関係、など。

一体、「非主流派リパブリカン dissident republicans」とは何か、というと、通り一遍の「和平に反対する強硬派」とか「武装闘争で統一アイルランドを達成すべきと考えている人たち」とかいった説明は自力でできるのだけれども、それ以上のことはよくわからないので、見た記事についてなるべく細かくメモっている。主にはてなブックマークでdissident republicansというタグをつけてやっているが、それでは流れていくだけなので、ときどきはブログのほうでもメモしてみることにする。

準備として、2月のダウン州でのカーボム発見(Real IRAのもの。爆発前に爆弾処理班が対処)についてメディアの報道からメモったものを読み返したりもしている。たった1ヶ月前のことだが、読み返すと示唆的だなあ……ということはさておき。

アイルランドのエド・モロニーというジャーナリストが、なぜか日刊ヘイトメイルデイリーメイルで、今回の事態について何本か記事を書いている。

モロニーは北アイルランド紛争が専門、もっといえばリパブリカンについての調査報道が専門の有名なジャーナリスト。著作も複数ある(→著作一覧@amazon.co.jp)。私はこの人の著作はまだ読んだことがないが(ディープすぎて読んでもわからないと思うので買っていない)、ちょっと遠回しな書き方をするけれども、記事や著作の抜粋を読んだ感じでは、淡々と書くというタイプというよりは、主張ベースでかなり煽りながら書くタイプの人だと思う。(おそらく意図的に軸足を定めて書いているのだと思うけれど、文字通りには受け取れない感じがすることが多い。例えば、後ろの方で少し参照するけれども、3月10日の記事。特に記事の見出しと、「前提」を示す部分の記述があまりにスゴい。)

11日のメイル掲載の彼の記事に、dissident republicansと呼ばれる諸組織について、他ではあまり見ないようなことが書かれていたのでそれを抜粋しておこう。1998年のオマー爆弾事件についての記述だ。

Divided by bitter internal rancour, these dissidents CAN be defeated
By Ed Moloney
Last updated at 4:02 PM on 11th March 2009
http://www.dailymail.co.uk/debate/article-1161249/ED-MOLONEY-Divided-bitter-internal-rancour-dissidents-CAN-defeated.html

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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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