kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2020年03月20日

「オーバーシュート overshoot」なる用語について(この用語で「爆発的な感染拡大」を言う英語の実例がほとんど確認できない件)

■3月23日追記■
以下で述べているのは、厚生労働省のサイトにアップされた「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議: 新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言(2020年3月19日)」 で用いられている用語についてである。
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000610566.pdf

本稿は最初にアップしたとき、事態のリアルタイム性を重視して「何があったか(何を見たか)を時系列でたどる」形式で書いたので、問題の用語の初出である上記文書へのリンクが記述の中に埋もれてしまっていたので、改めて上に掲示しておく次第である。また、これを加えた際に、ついでに本文に少し追記を加えた。内容は変えていない。より大きな追記はまたこのあとでおこなう予定である。

追記は以上。以下、アップロード時の文章。




3月17日(日本時間では18日早朝)のアイルランドでの首相の素晴らしいスピーチの余韻も冷めやらぬ中、今度は日本で、3月19日の夜、政府の専門家会議が新型コロナウイルス感染症について検討した結果を、記者会見で広く一般に伝える、ということが行われた。ネットで生中継されていたので私も何となくつけていたが、アイルランドに「言葉の力」をこれでもか、これでもかと見せられたあとで、日本では標準的なものではあるが、言葉に全然力のない、間延びした物言いを聞き続けているのは、正直、非常につらかった。それでもそこで語られていることは重要なことで、ちゃんと聞いておかないと……と思ってはいたのだが、英文法の本を読みながら聞いていて(全然ちゃんと聞いてない)、途中でトイレに行きたくなって、ついでにお茶を入れるなどしていたので、結局、ろくに聞かずに終わってしまった。

しばらく経ってから、会見の内容をまとめた記事がそろそろ出ているのではないかとYahoo! Japanのトップページを見てみると、Twitterで話題になっている語句を表示する「リアルタイム検索で話題のキーワード」の欄に、「オーバーシュート」という語が出ていた。この語と一緒に「つぶやかれているワード」から専門家会議の会見での言葉だということはすぐにわかった。私にはなじみのない言葉だが、会見で出てきていたか。どういう文脈で出てきてたんだっけ?

リアルタイム検索を見ると、「アウトブレイク、パンデミック、クラスター、などなど、カタカナ語ばかりでいやになる」という主旨の発言が並んでいた。「キャプテン翼か」みたいな発言もいっぱいあった(「それはオーバーヘッドシュートだろう」と突っ込むべし)。そういう中に、私が自民党の国会議員だと認識できる名前の方(どなただったかは覚えてない)が「オーバーシュート(爆発的感染拡大)」と記載しているツイートがあった。この記述は「オーバーシュートという専門用語があって、それは『爆発的感染拡大』という意味だ」ということを含意する記述である。(3月23日追記: あとから調べてみれば、この言葉は「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議」による「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言(2020年3月19日)」で用いられていて、専門家会議の人たちによる記者会見でも当然口にされていたのであったが、リアルタイム検索の画面を見ていたときの私は、まだそこまでたどり着いていなかった。)

「オーバーシュート」ってovershootでしょ。「飛行機が着陸地点を通り越して飛んでいく(そして、場合によっては本来の着地点とは外れたところに着陸してしまう)」ことに使う語だが、「爆発的感染拡大」なんていう語義あったっけ? ……というのが最初の反応。

次にすることは、とりあえずネットで簡易的に辞書を引くことだ。はい、コリンズ:
https://www.collinsdictionary.com/dictionary/english/overshoot

オクスフォード:
https://www.oxfordlearnersdictionaries.com/definition/english/overshoot?q=overshoot

どちらもだいたい同じ。「自分が止まろうとしていた地点よりも遠くに行ってしまうこと」(先述の飛行機の例)、また「最初に考えていたよりも多くのお金を使ってしまうこと」。もう少しかみ砕いて考えると、「何かを物理的に飛び越してしまうこと」(overした状態にまでshootする)と、その意味を比喩的に展開して「何かを超過すること」。どちらも動詞だが、名詞としての用法もある。

「爆発的感染拡大」をもう少しヒラな感じ(文脈から切り離して一般化した感じ)にして、「何かが急激に増えること」と《翻訳》してみたところで、コリンズにもオクスフォードにも(さくっと確認できる範囲では)その語義は見られないということになる。

きっと辞書が貧弱なんだ。大辞典には載っているはず……と、2時間ドラマで凶器として使われそうなでかい辞書を取り出そうとしたが、だるかったのでやめた(3月23日追記: コリンズ・コウビルドにもオックゥフォードにも載っていないような語義なら、一般向けに使うべきではないか、「和製英語」的な何かでしかないということだし)。その前にウィキペディア(英語版)だ。
https://en.wikipedia.org/wiki/Overshoot

ここからテキストだけコピペすると(ハイパーリンクはコピーしない):
Overshoot may refer to:
- Overshoot (population), when a population exceeds the environment's carrying capacity
- (書籍のタイトルなので略)
- Overshoot (signal), when a signal exceeds its steady state value
- Overshoot (microwave communication), unintended reception of microwave signals
- Overshoot (migration), when migratory birds end up further than intended
- Overshoot (typography) the degree to which a letter dips below the baseline, or exceeds the cap height
- Overshoot (combat aviation), a key concept in basic fighter maneuvers (BFM)
- In economics, the overshooting model for the volatility of exchange rates


というわけで、「何かが急激に増えること」は、あえていえば最後の "the volatility of exchange rates" に関する用語。株式や証券の相場に関する用語だ。

「爆発的感染拡大」とは、何か違くない?

でも実際の英語ではそういう転用が見られるのかもしれない。ということでGoogle検索を試したり、米語コーパスで調べてみたりしたのだが、やはり、「爆発的感染拡大」の意味でovershootの動詞・名詞が使われている例は見当たらない。エボラ出血熱やら豚インフルエンザやらMERSやらSARSやらの深刻な伝染病、あるいは家畜の伝染病の口蹄疫やら何やら、はたまたワクチン反対の陰謀論者のおかげで復活してきたという麻疹など、「爆発的感染拡大」が語られる事案はたくさんあるのだから、「爆発的感染拡大が生じた今回の新型コロナウイルスが出てきたのは最近すぎて、コーパスが扱えていないから、検索結果に出ないのだ」と考えるのもおかしい。WHO(世界保健機関)の用語集にもovershootは見当たらない。

と、リアルタイム検索を見ると、PubMedをチェックした方のツイートがあった。(そうだ、こういうときはPubMedだ。)

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2020年03月19日

"Come together as a nation by staying apart from each other" −−アイルランド首相のすばらしい演説について

新型コロナウイルスの感染を拡大させないため、アイルランドでは先週から、屋外で500人以上、屋内で100人以上の集まりを禁止しており、3月17日のセント・パトリックス・デーのイベントはすべてキャンセルされた。

何もなければ、パレードに参加したりパレードを見物したりした人々が集まって騒いでいたであろうはずの17日夜、アイルランド首相レオ・ヴァラドカーがテレビ演説を行い、非常に厳しい見通しを率直で真摯な言葉で語った。この演説が大反響というか、ものすごく高く評価されている。「ものすごく」というより「驚くほどの」というべきかもしれない。何しろあのジェイミー・「旗騒動」・ブライソンまで誉めているのだ(ジェイミーはレオ様のこのスピーチの才能をうらやんでいるに違いない)。

私もリアルタイムでネットで聞いていて、非常に大きな感銘を受けた。まさに「言葉の力」というのはこういうものだと思う。"We are asking people to come together as a nation by staying apart from each other." という言葉は、レオ・ヴァラドカーという政治家について、ずっと語り続けられる言葉になるだろう。

英語実例ブログの方に、簡単な背景解説とスクリプトへのリンクを上げてあるので、そちらをご参照いただければと思う(同じことを複数の場所に書きたくないので、こちらには書かない)。

映像はこちら:



英語圏では、このほかにも、"We are all in this together" という力強いメッセージがいろいろと出ている。気づいたものはTwitterでメモしている。
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2020年03月01日

学術的に確認はされていないことでも、報道はされていたということについてのメモ(新型コロナウイルスの「再感染」について)

※本稿の表題ですが、「報道があった」ことは「その事実がある」ことを必ずしも意味しないので、その点はよろしくお願いします。また本稿は、「報道があった」ことを盾に「その事実を認めよ」と迫るものではありません。むしろ逆で、「英デイリー・メイルなどタブロイドを鵜呑みにするな」と言いたくて書いたエントリです。

BuzzFeed Japanのこんな記事が話題になっている:
「新型コロナウイルスの再感染は致死的」医師の動画に批判、専門家「信用しないで」
https://www.buzzfeed.com/jp/ryosukekamba/iwata2


この見出しがあまりにわかりづらくて、私は最初にTwitterでこの見出しを見たとき、どこかのまとめサイトだろうと思ってスルーしてしまったのだが、そんなことは本質的なことではなく、記事自体は、現在のこの「何もかもが不安と不信」というムードの中でひとつの明確な指針となりそうなものだから、読んでおくといいと思う(見出しについては本稿の最後で具体的に指摘する)。

分かりにくい見出しを整理すると、「新型コロナウイルスの再感染は致死的」と主張するビデオを自身のYouTubeに上げている医師がいて、そのビデオについて(その医師とは別の)専門家が「信用しないで」と評価し、内容を批判している、ということである。また、その医師のビデオはネット上でかなり流行っているらしい。私は見たことなかったが、BuzzFeed記事に埋め込まれている当該のビデオのキャプチャ画像を見れば、多くの人が「あー、このビデオ見たわー」となるのだろう。

記事の冒頭には次のようにある。(太字も原文のままで引用してある)
「新型コロナウイルスの再感染は致死的」。そう説明する現役医師の動画がネット上で拡散されている。感染症の専門家で神戸大学教授の岩田健太郎医師は「そういう事例の報告はない」「引用論文が明示されていないものは信用しない方がいい」と注意を呼びかけている。
https://www.buzzfeed.com/jp/ryosukekamba/iwata2


そして記事の下の方には、岩田教授の発言として、次のようにある。
そもそも「2回感染した」という事例は、1度も確認されていない。検査で陰性になった後に陽性になったという人が、「2度目に感染したのか」はまだ謎なんです。

大阪の事例にしても、中国の事例にしても、陰性になったのは検査で見つけられなかっただけで、ずっと感染していただけなのではないか。再感染より「再燃」(いったん減少したウイルスが再び増加すること)の可能性の方が高いと考えています。

再感染が確認されていないということは、それが心不全を起こすということも当然確認されていない、ということです。


と、岩田教授は「1度も確認されていない」と言い切り、その後で陰性だった人が陽性になったのは「2度目の感染」なのかどうかは「まだ謎」、つまりまだ解明されていない(わかっていない)と述べている。これは非常にロジカルな言い方なのだが、「2度感染することがあると分かっていない以上、2度感染したという事例はこれまで確認されていない」というのは、やや人を食ったように感じられるかもしれない。要するに、「2度感染するなどということが本当にあるのかどうか、わかっていない」のである。

だから「2度の感染(再感染)」を前提として何かを語ることは、できないわけだ。

以下、BuzzFeedの神庭記者と岩田教授の話は、さらに別の側面へと発展していき、そのパートがなかなか読み応えがあるのだが、本稿ではそちらは扱わない。読めばわかるので、各自で、読んでいただきたいと思う。

本稿を書いているのは、ここで岩田教授によって批判されている医師のビデオにある「再感染で心不全」という話に、おやと思ったからだ。

私は医学は専門外だから、用語を正しく把握・記憶しているかどうかはわからないのだが、「再感染する」「心臓に影響が出る」といった話は、2月の間に何度か、Twitter上で英語で遭遇したことは確かだ。"infected again" とか "second infection" とか、"cardiac なんとか" といった単語でそういう内容のことが語られていた。それが気になったので、今回改めて検索して掘り出してみた。そういう報道があったということはこれで確認できると思う。

詳細を述べる前に念のために書いておくと、岩田教授がおっしゃる「確認されていない」は、医学的にそういう事実があるということが検証を経たうえで確認されていないということであり(つまり所定の手続きで確認されたと位置付けられる論文等が出ていない)、「メディアでの報道がない」ということは意味していない。だから、岩田教授の発言と、私が報道記事を見た(見つけた)ということは矛盾しない。「〜という事実がある」ことと「〜という報道がある」ことは必ずしもイコールではなく、「事実はあるが報道がない」ことも「事実はないが報道がある」ことも、ありふれている。「〜という報道があったのに、岩田先生はないと言っている」という疑問や不安を覚えている人には、何か発言する前に、まず前提として、このことを再確認していただきたいと思う。

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2020年02月25日

「難しいことはわからない私」でも、「言葉」を見る目があれば、誤情報から自分も家族も友人も守れるはず――善意で広まるあるチェーンメール

新型コロナウイルスに関してはいろんなことが言われていて、その一部はデタラメだ。個人的にウイルスの話など読んだり聞いたりしてもどのくらい正確に理解できるのか怪しいくらいの素養しかないのだが、それでも「今回のウイルスは、熱に、弱いそうです」で始まる日本語のメッセージを受け取ったときは、「これはデタラメだ」と即判断した。

なぜか。日本語がひどかったからだ。「ひどかった」というより「機械翻訳臭」に満ち満ちていたから。もっと言えば「失敗した機械翻訳臭」だ。(詳細後述)

そういうダメな翻訳の話は、今回の新型コロナウイルスに関するニュースのなかでもうひとつあるのだが、そちらについて書こうとしていたらなぜかドツボにはまってしまい、昔聞いていた『基礎英語』のテーマ曲が頭をぐるぐるし始めるというありさまで(その音楽が『基礎英語』のテーマだということは、あとから調べて確認しなければならなかったのだが……つまり、ぐるぐるしている間はずっと「これ何だっけ、これ何だっけ」と考えていた)、もう少しこなれるまでの時間が必要だということで、取り急ぎ、「今回のウイルスは、熱に、弱いそうです」の怪文書から。

そう、これは「怪文書」だ。

これは「怪文書」である

このメッセージを(幸いにも)受け取っていない人もおられるだろうから、下記に画像データで示しておく。(読み上げソフトをお使いの方には申し訳ありませんが、コピー&ペーストできるテキストの形で再掲することは、不確かな情報を記載した怪文書を、当ブログからまたコピペで拡散させてしまうことになるので、なにとぞご理解ください。)画像データには大量のウォーターマークを入れておくが、それはこれをこのまま悪意で再拡散・再利用させないためである。読みづらい点はお見逃しいただきたい。

基本的に送信されてきた文面をそのまま画像化したが、画像化に必要とされる改行を何か所か加えた(改行を加えた個所は、画像中に「☆」で示してある)。また、私にこの文面を送信してきた人(直接つながりのある人)の書いた部分もプライバシーの観点から一部を保護したが、その人にこのメッセージを送信したのがどういう立場の人かはわかるようにしてある。

あと微細なことだが、文中で半角のナカグロ(「・」の記号)が1か所使われているところがあったが、それはテキストデータにするときに全角に変換してしまった。(この手の怪文書で半角のナカグロが使われていることは、ちょっと気になるけど。)

cvdkbsh.png
※画像はクリックで原寸表示。

この文面は、Twitterで多発が報告されている文面(「耐熱性に乏しく、26-27度の温度で殺傷します」を特徴とする)とは若干異なっている。つまりこの「怪文書」の文面は1つではない。

書き出し最初の2行にある情報、つまり「ウイルスは熱に弱い」とか「温かい飲み物を飲もう」「ぬるま湯を持ち歩こう」とかいったことは、厳密ではないかもしれないが(「ぬるま湯」では持ち歩いてるうちに「常温の、つまり冷たい水」になってしまう)、別に変ではない。日本語も、「やたらと読点(、)が多いな」という程度で、特に変には見えない。日本語の文章を書き慣れていない人が、丁寧に書こうとして、やたらと読点だらけの文を書いてしまっているのだろうというのが第一印象で、だから私も元々は看護師さんからの転送メッセージだというこの文面を、読まずに捨てることはせずに読んでみたのだ。しかし、読み進んでいくうちにどんどん「?」となってくる。

まず「?」が浮かぶのは、5行目の「必ずたくさん伝達してください.」だ。チェーンメールの常套句ではないか。

チェーンメールは善意が回す

「チェーンメール」とは、人から人へと鎖状に(チェーンのように連鎖的に)転送させることを目的とするメールのこと。SNSやLINEのようなメッセンジャー・アプリが当たり前になった現在では「メール」という名称は時代遅れだが、言語的には「筆」ではなく「鉛筆」を入れているのに「筆箱」と呼び続けているような現象なので、そこは気にしないでいただきたい。

この「チェーンメール」について、日本データ通信協会は次のように説明している

チェーンメールとは、転送を呼びかけ、次々と鎖のように連鎖していくメールのことです。

チェーンメールは転送されることを目的としているため、受信者の恐怖心をあおるホラーな内容や幸せになれるおまじないなど、善悪様々な種類の内容で転送させようとします。

……こういったチェーンメールのほとんどはデタラメ(で)……軽はずみな転送は、悪質なデマの情報を不特定多数の人にまで広げてしまうことになります。


「必ずたくさん伝達してください.」という文言は、まさに定義通りの転送の呼びかけである。

チェーンメールの目的(なぜ多くの人に転送させたいのか)はケース・バイ・ケースで、中には本当に善行を目的としたものもあるのかもしれないが、インターネットといえばパソコンを使わないと利用できなかった時代からネットを使っている人々の多くは、「なるべく多くの人に転送してください」という不特定多数宛てのメッセージは無視する習慣が身についていると思う(メーリング・リストなどにうっかりチェーンメールを転送してしまうなどした日には、お叱りやら罵倒やら忠告やらアドバイスやらで大変なことになったものである)。

だが、現状、ネット利用者の多くがそういうわけのわからない情報空間に慣れていない人たちだ。FacebookであれLINEであれ何であれ、リアルの知り合い同士の安心できる情報交換や交流の場でしかなく、そういうところにネットの、いわば野良のチェーンメールが持ち込まれても、「無視する」というマナーが発動しないのだろうと思う。だから(私が受け取ったのとは少し違う文面だが、同内容の怪文書が)拡散してしまっているのではないかと思う。






ちなみに私が受け取った文面で、「必ずたくさん伝達してください.」の文末の句点は半角ピリオドである。文書全体にわたって、句点は全角のマル(。)で統一されているのだが、ここだけ、なぜか半角ピリオドだ。「あとから付け加えられた」臭が立ち込めている。

上述の半角のナカグロにしても、「あとから付け加えられた」部分で発生した誤変換かもしれない。(ナカグロに全角と半角があるということを知っている人はそれなりのスキルがある人で、パソコンなんかほとんど触ったこともない人たちがどんどんネットを使うようになっている現在、そこを統一するのが当たり前で統一されていなければおかしいと考える人は「異様に細かい人」扱いされるものだが、何が言いたいのかというとGoogleなり何なりに投げて得られる機械翻訳結果に半角ナカグロって含まれるものなんすかね、ということ。)

ここらあたりから、文面は一気に「不自然な日本語」っぽさを増していく。上述の「必ずたくさん伝達してください」という常套句にしても、日本語としては不自然だ。

しかし、「日本語として不自然」だからという理由だけで「転送すべきでない文書、怪文書の類なのではないか」と疑える人は、実はそんなに多くはない。だってこの文書には何かもっともらしいことがかいてありそうだから。

「何かもっともらしいこと」というのは下記の図をご参照いただきたい。


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posted by nofrills at 23:21 | i dont think im a pacifist/words at war | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年02月03日

【業務連絡】はてブを非公開(プライベートモード)にしました。

表題通りです。先ほど、はてなブックマークをプライベートモードにしました。

以前ははてなIDを指定して一部公開ができるようになっていたはずなのですが、今、どこを見てもその指定ができるところが見当たらないので、その機能は廃止されたのでしょう。このため、全面的に非公開になってしまいますが、当面はこの形で運用しようと思います。見て下さっていた方々にはご不便・ご迷惑をおかけしてしまうかもしれませんが、何卒ご了承ください。

非公開にした理由は、はてな村ではよくある話ですが、「知らない人から粘着されたから」です。ブコメ一覧を非公開にしてるのと同じような話です。

私にとっては「語る権利」という基本的な権利ゆえに発言はしたけれど、語られていること(あるマンガだかアニメだかのキャラクター)それ自体には関心はなく、というか積極的に「どうでもいい」というトピックについて、発言からすんごい時間のたった今頃になって、「メタブはご遠慮ください」と書いているにもかかわらず、メタブで絡んでこられました。

hatebuhikoukai.png

そのマンガだかアニメだかのキャラクターについては、新たなグッズが作られたとかなんとかいうことがあったみたいなんですが、私はここ数日ずっとBrexitとアイルランドの総選挙の話を追うのと(あと中東とイラクもウォッチしてる)、頭の中を整理するのとで忙しくて、そんなどうでもいいキャラクターのことは見てないんっすね。自分では見てなくてもTwitterでは「みんな」が話題にしてると視界に入ってくるので、もうほんとうっとうしいしキモいしでついに最終兵器、単語単位でのフィルタリング(キャラクター名)を発動したくらい。あれをめぐるすべてがあまりにうっとうしくて、視界に入れたくもないので。

というわけで、再燃したそれについては何も見てないから、話は私にとっては訳の分からない方向に行ってて、仮に何か話しかけられたら「何かまた再燃してるらしいね」くらいで終わらせるようなことなんですが、はてブという場はそれで終わるということを可能にさせない。システム設計の問題なのか、ユーザーが当たり前のものとしている行動様式の問題なのか、他の何かの問題なのかはわからないけど、何か発言があったら延々と粘着されてさらし上げられることが可能にされてる場です。その昔、はてなの相談役だか社外取締役だかの人が「スルーする力」について熱弁をふるっていたんだけど、そして実際に「スルー力」は重要だと個人的には思うんだけど、実際に粘着されたときに何ができるかという点ではてブはほんとに頼りないというか、システム設計が基本的に2000年代半ばのままなんですよね。今のネットのモブには対応できない。そしてそのキャラクターをめぐるあれこれは既に「モブ」化してるんです。次から次へと「敵」を求めて狩り回ってる感じ。

自分に100の関心があることについて、誰か別な人も発言していたら、その人も100の関心があると思い込んで、ウザ絡みしてくるという子供じみたことは、やめてほしいんですけどね。あなたに100の関心があっても、私には0.001くらいの関心しかないです。

私は元々はてブの「メタブ」という文化(みたいの)が大嫌いです。あれは本当に気持ち悪い。そして、よりによってあのキャラクターの話を蒸し返されたうえで絡まれたくないんです。だから鍵をかけます。

メモっておきたい記事はTwitterの方でもかなりフィードしているので、お手数ですがそちらでご確認いただければと思います。
https://twitter.com/nofrills

よろしくお願いします。


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posted by nofrills at 13:31 | 事務的なこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年01月31日

欧州議会の議場で歌われたのは「別れの歌」ではない。「友情の歌」である―−Auld Lang Syneは「蛍の光」ではない。

表題の件、欧州議会が「とっとと出てけ」っつってケツを蹴飛ばすために「蛍の光」を歌った、「煽り」だ、とかいうトンデモな説がネット上の日本語圏で断言された断片として漂っていて、それについて書こうと思ってこのブログの管理画面を開いたが、もうタルいのでツイートの貼り付けだけ。そもそも、Auld Lang Syneと「蛍の光」が全然別物だということは常識だと思っていたが? (「蛍の光」の歌詞は原詩の翻訳ではない。)










↑「別れに」って書いたけど「永遠の別れに」っていう意味。大晦日から元旦の集まりをお開きにするときに歌われる(つまり「今年もみな元気でやっていこう」的な意味)。



議場からの議員による実況ツイートを私がリツイートしたものは下記:
https://twilog.org/nofrills/date-200130/asc

リンクしといたって誰もクリックなんかしないからキャプチャ画像で入れとく。
auldlangsyne.png

それと、ナイジェル・ファラージのゲス野郎が何かやってたことについては:
auldlangsyne2.png
※ファラージを黙らせたマレード・マクギネスはアイルランド選出のMEP。キャシディ先生がそう書いてるけど、一応、日本語で強調しておく。


Auld Lang Syneの歌詞はスコットランドの詩人、ロバート・バーンズによるもので、スコットランド語で書かれている。スコットランド語は英語(イングランド語)に近いが、「別の言語」になる程度に違う。欧州大陸の議員たちはそのなじみのない言語での歌詞を書いた紙を見ながら、声を合わせて歌ったのだ。

Should auld acquaintance be forgot,
and never brought to mind?
Should auld acquaintance be forgot,
and auld lang syne?

For auld lang syne, my jo,
for auld lang syne,
we'll tak' a cup o' kindness yet,
for auld lang syne.

...

As well as celebrating the New Year, "Auld Lang Syne" is very widely used to symbolise other "endings/new beginnings" – including farewells, funerals (and other memorials of the dead), graduations, the end of a (non-New Year) party, jamborees of the Scout Movement, the election of a new government, the last lowering of the Union Jack as a British colony achieves independence[24] and even as a signal that a retail store is about to close for the day.

https://en.wikipedia.org/wiki/Auld_Lang_Syne


これを「煽り」とか「嘲笑」とか、よくもまあ勝手に解釈できるものだ。無知はこれから知ればよいが、無知が無恥のまま放置されて無恥の恥知らずになって、しかも増幅され拡大されているのは、見てるこちらが恥ずかしいし、醜いし、おぞましい。

クソが。

むしろ、スコットランド語がEUの公用語に新たに加わることの伏線だろうよ。
posted by nofrills at 11:45 | todays news from uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年01月27日

【訃報】シェイマス・マロン

シェイマス・マロンは、1998年グッドフライデー合意 (GFA) のときの写真で一番目立っている人たちの中にはいないが、GFAによって、それまでの自治議会(パーラメント)に代わって設立された自治議会(アセンブリー)で、主導的な立場に立った政治家である。このとき、北アイルランドにおいて初めてアイリッシュ・ナショナリストが政治に参加したのだが、ユニオニスト最大政党だったUUPのデイヴィッド・トリンブルがファースト・ミニスターになり、ナショナリスト最大政党だっがSDLPのマロンが副ファースト・ミニスターになった。

SDLPは党首はジョン・ヒュームだったが、党首と副ファースト・ミニスターは別の人がやるという方針をとり、ヒュームの右腕的な存在だったマロンが副ファースト・ミニスターになった。

この自治議会(アセンブリー)はほんとにいろいろと大変で、最終的には2002年の「スパイ疑惑」(IRAが議会内にスパイを送り込んでいるという疑惑。その事実はなかったことが後に判明した)でサスペンドされてポシャってしまったのだが、そうなる前もいろいろと大変で、ユニオニストは「IRAの武装解除」を強硬に要求し、シン・フェインは例によってのらりくらりとしていて(ロンドン滞在中に山場だったので毎日ニュースでジェリー・アダムズを見ていた時期があったのだが、ひどかった)、SDLP(シン・フェインと同じナショナリストではあるが、シン・フェインとは犬猿の仲である)は結局「北アイルランドの政治」というめちゃくちゃ厄介なものを扱いきれなかった感があった。SDLPは非暴力主義でカトリックのミドルクラスを支持基盤としていたが、GFA直後の数年で、北アイルランドでは「やっぱコワモテじゃないとこの土地はどうにもならんのでは?」というムードが固まって、実際、2003年の選挙では両陣営のコワモテ(DUPとシン・フェイン)がそれぞれの側の第一党となった。SDLPはそれ以降、ずっと退潮傾向にあった。(それが逆向きになってきたかというのがこないだ、2019年12月の選挙だったが、あれはまたあれで単に「強硬派vs穏健派」の物語で語るわけにはいかないと私は思う。)

こんなことを書いてたらまた書き終わらないので先に行くが、ともあれ、マロンはヒュームとともに、2001年に、SDLPのリーダーシップから退いた。2003年の選挙では立候補せず、そのまま政界を引退した。

そして、まあ今なら、北アイルランドでも、引退した政治家が何か発言したのがニュース記事になるくらい注目されるということもあり得るのだろうが、2000年代っていうのはIRAなど武装組織がまだ終わってなかった時期で、最大の関心事は「IRA(やUDAやUVF)の武装解除」で、それを語る人々の発言は注目されたが、SDLPの発言で注目されていたのは、現役の党首(マーク・ダーカン)らの発言だけだったと記憶している。シェイマス・マロンは、その時期の北アイルランド報道を熱心に見ていた私にとっては、「過去の人」だった。

そういう認識を、訃報があってから、改めている。

マロンの訃報が流れたあとに、北アイルランドとアイルランドの政治リーダーたちやジャーナリストがマロンについてどう述べていたかは、ざっくりと日本語にしながら、記録してまとめておいた。下記で一覧できる。
https://threadreaderapp.com/thread/1220809609125851137.html

そして、何人ものジャーナリストが言及していたマロンの自伝(2019年5月刊)を私は今さらだが購入し(出てたことすら知らなかったのだが)、読んでいる。Amazon Kindleで900円程度、楽天KOBOなら700円足らずだ。まだ最終章しか読めていないが(訃報があってから言及されていたのが最終章なのでそこをまず読んでいる)、北アイルランドに関心がある人は読むべき本だと思う。

Seamus Mallon: A Shared Home Place (English Edition) - Mallon, Seamus
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Seamus MallonA Shared Home Place【電子書籍】[ Seamus Mallon ] - 楽天Kobo電子書籍ストア
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シェイマス・マロンは徹底的に暴力に反対していた。誰が行使する暴力であれ、反対していた。だから北アイルランド警察にも英軍にも反対し、IRAなど武装勢力にも反対していた。

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posted by nofrills at 09:36 | todays news from uk/northern ireland | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【訃報】テリー・ジョーンズ

「スパム・スケッチ」のウェイトレス、「スペインの異端審問」のビグルス枢機卿、「ザ・ビショップ」、「このぉ、ちょんちょん! (Nudge nudge)」される人、カール・マルクス……などなど、TVシリーズ「モンティ・パイソン」でどちらかというとあまり目立たない役が多かったにもかかわらず目立った場合は強烈で、TVシリーズが終わったあとは『ホーリー・グレイル』、『ライフ・オブ・ブライアン』などパイソンズのメンバーたちを主役に据えた企画ものの映画やそのほかの映画でメガホンをとった、ガチの歴史家(中世イングランド)のテリー・ジョーンズが、こないだ亡くなった。

ジョーンズは、2016年9月に「原発性進行性失語」という症例の少ない認知症のため、公的な場での発言ができなくなったことを明かしていた。その数年前から症状は出ていて、2014年のパイソンズ再結成の舞台(ロンドン)は、ジョーンズは相当頑張ってやりぬいたのだという。

その後、「言葉の人」だったジョーンズは、ゆっくりゆっくりと言葉を失っていって、そして2020年1月21日に永眠した。その約1か月前には、モンティ・パイソンの音楽のコラボレーターだったニール・イネスが亡くなっていて、「立て続け」にもほどがあるというレベルで立て続け。70代というのはこういうことなんだなと。

ジョーンズの訃報を受けて、英メディアでは大学時代からの親友だったマイケル・ペイリンがメディアのインタビューにたくさん応じていたようで(イングランド在住なのがペイリンしかいないのかもしれない……エリック・アイドルはLAだし、ジョン・クリーズはBrexit後のごたごたに業を煮やしてカリブの島に移住してしまった。テリー・ギリアムはイタリア在住だっけ?)、そこで「いい人」っぷりを発揮するような柔らかい口調でジョーンズの楽しい話をあれこれしていた。認知症についても単刀直入で、「何も覚えていられないんだよね」と告げていたという。



そういったことを含め、ジョーンズが亡くなったことを語る言葉を、英語実例ブログの方に書いてある。下記3件の記事だ。(最近、あちらのブログしか更新していない。あちらは「毎日更新する」という形を保とうとしているので、何だかんだ毎日更新している。その分、こちらがおろそかになっていては本末転倒だが。)特に誰も「ネタ」で発言していないという事実の裏にあるのは、年齢的なことかもしれないが、やはりジョーンズの病気を考えたら全然ネタにできない(ならない)ということなのかなあと思う。

1. 感情の原因・理由を表すto不定詞(副詞的用法), 同格のthat, 主語とbe動詞の省略, 使役動詞(テリー・ジョーンズ死去)
2. 形式主語itの構文, feelを使ったSVCの文, 【ボキャブラリー】a man of 〜 (ジョン・クリーズによるテリー・ジョーンズ追悼の言葉)
3. the moment + S + V, O+S+Vの形の文, 条件を表すif節, 省略(テリー・ジョーンズを偲ぶ盟友たちの言葉)

そうそう、ジョーンズが言葉を失いつつあることを書いた2016年9月のエントリで言及してあったジョーンズ最後の著作(クラウドファンディングを募っていた3部作の3冊目)は、無事、出版されている。下記リンクで直接電子書籍が買えるが、Amazonでも入手できる。
https://unbound.com/books/the-tyrant-and-the-squire/

The Tyrant and the Squire - Jones, Terry
The Tyrant and the Squire - Jones, Terry

追記:
"Monty Python the Flying Circus" のYouTubeアカウントに追悼の特集映像がアップされている。パイソンズのメンバーたちがそれぞれジョーンズのことを語っている映像があり、そのあと、ジョーンズのコメディ映像の詰め合わせ。見たことないのがある。



このYouTubeのコメント欄より:
Finally, he mastered the art of not being seen. RIP


草生えたwwwwwwwwwwwwwwwwww
grass-4068585_1920.jpg

ほかにもこんな言葉がある。


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posted by nofrills at 08:00 | todays news from uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年01月13日

北アイルランド自治議会・政府(ストーモント)、3年ぶりに再起動

日本時間で10日(金)深夜から11日(土)未明にかけて(現地時間では10日の午後)、北アイルランドについてまたもや "historic" という言辞が飛び交うこととなった。

北アイルランドに関する "historic" は、この20年来、安売りされすぎていて、ことばの意味がどんどん失われてきているレベルなのだが(「政治家による、メディアとメディアの向こうにいる一般の人々に対する掛け声」みたいな感じになっている)、今回は、「昔、 "historic" ってもっと大きなことに使っていたよな……」という感覚がどうしてもぬぐえない。

それだけ、北アイルランドが(ここ20年の間に "historic" と形容された本当に「歴史的」な動きのいくつかによって)確実に前進してきたということだろう。紛争が終わって、いくつかの/いくつもの "historic" な動き(「停戦宣言」、「監視塔の撤去」、「武器のデコミッション」といった軍事的なものもあれば、「英国とアイルランド両国が北アイルランドにコミット」、「パワーシェアリングに同意」といった政治的なものもあった)によって「ポスト紛争」の社会と政治をどう構築するかという段階を超え、もうさほど派手なことは起こらない段階にさしかかっているとみるべきなのかもしれない。

今回、2020年1月に "historic" と呼ばれたのは、ストーモントの自治議会がようやく再起動するということだ。正確に言えば、自治議会に議席を持ち、自治政府(エグゼクティヴ)にポストを持っている各政党(北アイルランドでは「主要政党」と位置付けられる)が、英国政府とアイルランド共和国政府代表者が提示した自治議会・政府の再開の諸条件の文書に合意した。

Northern Ireland assembly to sit on Saturday after three years
https://www.theguardian.com/politics/2020/jan/10/pressure-mounts-northern-irish-parties-restore-power-sharing-sinn-fein-dup


金曜日に合意して、土曜日に議会が招集され、議長・副議長や閣僚が指名され、それぞれのスピーチが行われた。


閣僚の一覧は下記記事などを参照。議長がSDLPではなくシン・フェイン(アレックス・マスキー)なのは意外だったのと、「環境」のポストがキリスト教原理主義者のエドウィン・プーツでいいのかという気がするが……。あと、「財務」と「教育」は逆なのではと思ったが(今までそうだったよね)……。司法大臣のポストが、第一に掲げるのがユニオニズムでもナショナリズムでもないアライアンス党の党首に行くのは、今のストーモントの自治議会ではデフォになっている。
https://www.bbc.com/news/uk-northern-ireland-51077397

ストーモントの自治議会が機能を停止したのは、3年前の1月9日のことだ。北アイルランド自治政府は、よくある「閣僚を出す与党と、閣僚を出さない野党」の構造ではなく、議会の議席数に応じて各政党に閣僚ポストが分配されるD'Hondt方式をとっていて、自治政府トップのファースト・ミニスター(「首相」格)だけは最大政党と2番目の政党の代表者2人が正副ファースト・ミニスターとして勤めることになっている。最大政党と2番目の政党というのは、すなわち、「ユニオニスト/プロテスタント」側と、「ナショナリスト/カトリック」側それぞれの代表者ということである。このやり方が「パワー・シェアリング(権限分譲)」と呼ばれる。

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posted by nofrills at 14:45 | todays news from uk/northern ireland | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月20日

数日、Twitterアカウントを鍵付きにすることにした理由(あるいは中に人がいるbot化宣言)

「こういうの、何度目だよ」と呆れられるかもしれませんし、自分でも呆れてますが、何度でも繰り返さねばならないようです。ネット上で何とか言質をとって炎上させようという人は次から次へと現れるようなので。

昨晩(というか今日未明)、Twitterで、これまで見たことのないアバター(アイコン)の、これまで見たことのないIDの人から、いきなり「それなら何も発言しなければいいと思います」と言われました。所謂「絡まれた」状態ですね。インターネット老人会に代々伝わる教えとしては、そういうときにまともに相手にすると自分が深手を負うので、関わらないのが一番です。「荒らしはスルー」という格言ですが、Twitterで遭遇するのは必ずしも「荒らし」の挙動とは限りません。ただ当方は個人的にネット内外で、「何とかこいつの言質を取ってやろう、都合の悪い発言を引き出してやろう」とふっかけてくる人には何度も遭遇していて、そういうのには、ねこがちゅ〜るに敏感なのと同程度に敏感になっています。(時には、ねこが人間が食べるゼリー的なものをちゅ〜るだと思い込んでしまうように、勘違いすることもあるかもしれません。)

今回「絡んで」きたのも、そういう人だろうと判断されました。たった140字のツイート内で論点をずらしていくタイプ(自分では「論点ずらし」だと気づかないタイプかもしれません)。そもそも前提がおかしい(こちらが言ってもいないことを言ったことにしていたり、共通の前提としていたりする)。そういう人とは、普通に面と向かって話をしていてもまともな対話にはなりません。ましてやネットではとても難しい。Twitterなんていう文脈も示せないような場では無理です。

そしてTwitterでは、そういう「対話」っつーか「会話」をしていれば、ギャラリーがわらわらと寄ってくるわけです。いったんギャラリーが寄り始めたら、ここはお江戸じゃねぇんだ、喧嘩は花じゃねぇ、見世物じゃねぇんだ、っつっても通じない。はてなブックマークで「もめごと」とかいうタグをつけられて晒されるのがオチです。

そうなったらハイウェイ・トゥ・ザ・「炎上」。この年末の忙しいときに。

そして、昨年から今年にかけてわかったことは、「ネット上のもめごと」や「ネット上の炎上」は、リアル世界での暴力と無縁ではないということ。ただでさえ脅されている身としては、これ以上のトラブルはごめんです。周りに延焼しでもしたら目も当てられないし。

というわけで、私のTwitterは、これからは「中の人がいるコピペbot」のようなものになります。メモしておきたい記事の見出しとURLをフィードし、抜粋をコピペするだけにします。

私はアクティビストじゃないし、所謂「Twitterアクティビズム」みたいなのは生温かく見てるだけですし(今回の英国の選挙でも見てるだけでとても疲れた)、元々ハッシュタグは情報共有and/orポインター(「ここ見てね」という意味で)のためにしか使ってないんですが、ハッシュタグを使うと「この人はアクティビズムの人だ!」と喜んで飛び掛かってくる無邪気なわんこみたいな人もいて、そういうタイプの人が「《なんとか》狩り」に興じているときは(今回はTERF狩りですね。私はTERFじゃないですよ。むしろ逆の立場。とか書くと「証拠を示せ」「私が納得するように説明しろ」とか言ってくるんだろうな……これまで何度もあったように。ログでも何でも勝手に掘ればいいじゃない、あるんだから)、「お前が《なんとか》でないことを俺が納得できるように証明できるまでは離さないぞ!」ということになるわけです。

関わりたくないです。

以下、一連の経緯の記録です。


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posted by nofrills at 11:05 | i dont think im a pacifist/words at war | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月14日

英国の「二大政党制」の終わりは、「第三極の台頭」ではなく「一党優位政党制」を意味するようだ。(2019年総選挙)

12月12日という微妙な日程で行われた英国の総選挙が終わった。全体的な結果について思うところはいろいろあるが、今キーを叩いているのはそれについて書くためではない。北アイルランドの結果について書くためだ。というか、結果だけでなく、北アイルランドでの今回の選挙全体について、できる範囲で。|→予定変更。北アイルランドについては別稿にて。

本題に入る前に英国全体の結果についてちょっとだけメモしておく。日本時間で13日の朝7時(現地12日夜10時)に投票が締め切られると同時に出口調査の分析結果が公表された。Twitterに流れてきていたTV画面のキャプチャ画像でその数字を見た瞬間、何か見間違えてると思ったのだが、次に流れてきていた別のキャプチャ画像にも同じ数字が書いてあったので、見間違いではないとわかった。

この時点で予測されていた議席数は、保守党が368議席、労働党が191議席、LibDems(「自由民主党」という党名は紛らわしいので当ブログでは「LD」と表記する)が13議席、スコットランドのSNPが55議席、環境政党Green Partyが1議席、欧州議会議員選挙ではすごい勝利をおさめたナイジェル・ファラージの新党であるBrexit Partyは議席なし、その他の政党が22議席(うち、北アイルランドに配分されているのが18議席)というものだった。



ちなみに、実際の確定議席数は、保守党が365議席(66増)、労働党が203議席(42減)、LDは11議席(10減!)、SNPは48議席(13増)、Greensが1議席(変動なし)で、その他の政党が22議席 (source)。(「その他」が27議席減ったことになっているがこれは後述するように保守党から追放されて議会解散時に無所属となっていた議員が「その他」に参入されているためで、2017年に選挙を行ったときの数値(317議席)を基準にすれば、保守党の「66増」は「48増」となる。)

「保守党368議席」の数値に「出口調査の数値は予測であって、確定結果じゃないし、今回はギリギリで競る選挙区が相当たくさんあるから」と述べている人もTwitterにはいたが、実際には365議席だったので、誤差はほとんどなかった。労働党の191議席は少なく見積もりすぎだったが、問題はそんなところにはなく、投票締め切りと同時に「保守党の単独過半数」がわかったということが重要なポイントだった。

英国の下院で単独過半数に必要な議席数は326議席。今回の選挙の最大の注目ポイントは、ボリス・ジョンソンの保守党がこの議席数を獲得できるかどうかだった。今回の選挙は「Brexitを問う選挙である」みたいなざっくりした説明が当たり前のように横行しているようだが、Brexit云々とは別に、ジョンソンの嘘上等&法律違反上等のめちゃくちゃな手口(政治手法)がノーチェックで通るということがないよう、議会を政府に対する一種の弁みたいにするために保守党の単独過半数を阻止しなければならないという有権者の運動は選挙の実施が決まってからわりとすぐに始まっていた。Twitterでは「戦術的投票 tactical voting」を呼び掛ける発言がシェアされ、それを支持する著名人の発言も相次いだ(その一例は、英語実例ブログのほうで取り上げた)。選挙が終わってみたら、ジョンソンがこの選挙で成立することになる自身の政府を "people's government" と厚顔無恥にも名付けているためだろう、そういった呼び掛けの発言を行った著名人はまるで「『人民の意思 people's will』の実現を邪魔しようとする国賊」であるかのように扱われていて(後述)ものすごく息苦しいのだが、そういう「結果」が発生する前の段階、つまり「単独過半数を阻止しよう」という勝手連的な運動が起きた段階で、ウォッチャーとしては、これは注目に値することだと思った。英国の政治が「二大政党制 two-party system」を前提としてきた時代が終わったということだからだ。


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posted by nofrills at 06:00 | todays news from uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年11月30日

ロンドン・ブリッジでまたテロ攻撃――テロリストとして有罪になっている人物が、なぜまたテロを起こせたのか

11月29日(金)の23時台、Twitter経由でロンドン・ブリッジで何かが起きているということに気づいた。現地では14時台だ。最初はよくある鉄道トラブルかなと思った。英国は米国の感謝祭は存在しないが、それにまつわる商業行事のブラック・フライデーのセールだけはここ数年で輸入されているので、その関係のイベントかなとも思った。しかし実際に起きていたのはそういうことではなかった――一帯は封鎖されており、銃声があったという。

ロンドン・ブリッジでは以前にもテロ攻撃があった。2017年6月3日、橋を北から南に進んでいく車が歩道の歩行者の中に突っ込み、テムズ川の南岸に渡り切ったところで車を捨てた犯行グループ3人が、今度は刃物を用いて、バラ・マーケット (Borough Market: 大量生産でない加工品やオーガニックの野菜などで有名な食品の市場だが、敷地内にレストランやパブもたくさん入っている) にいた一般の人々を次々と襲った。8人を殺し、48人を負傷させた容疑者3人は、そのすぐ先で警察に撃たれて死んだ。イスイス団に触発されての凶行だった。
https://en.wikipedia.org/wiki/2017_London_Bridge_attack

英国では事件・事故などで亡くなった人の死亡原因の特定のために、inquest (死因審問)と呼ばれる法的手続きが取られるが、2017年6月のバラ・マーケットでのテロのインクエストは、今年5月から7月に行われたところだった(このインクエストの結論は特に驚くべきものはなかったので、Twitterなどでメモることもしてないと思う)。
https://en.wikipedia.org/wiki/2017_London_Bridge_attack#Inquest

あのテロに影響を受けた何百人という人々は、インクエストの報道を見てまた「あの日」のことを思い出していたに違いない。

それから4か月ほどで、また同じロンドン・ブリッジで、何百人――いや、ひょっとしたら何千人の規模で、「あの日、自分はそこにいた」と回想することになる人々が増えた。平日の昼間に、道路の通行止めや駅の封鎖などで交通網にも広く影響が出たから、間接的に影響を受けた人は何万人の単位になるだろう。Twitterでフォローしている方の中にも、ご家族の誰かが発砲音を聞いた人や、交通の混乱に巻き込まれた人がいる。この

今回のテロ攻撃は、29日(金)午後2時前に、ロンドン・ブリッジの北側にあるフィッシュモンガーズ・ホールのあたりで起きた。この建物は魚屋のギルドの建物で、ルーツは中世にあるが現在の建物は19世紀半ばに建設されたものである。第二次大戦でのロンドン空襲で損傷して修復され、現在はGrade IIに指定されている(文化財の指定を受けている)。外観はあまり派手ではないが、中は壮麗で、イベント会場として貸し出されるなどしている。
https://www.squaremeal.co.uk/event-party-venues/fishmongers-hall_275

29日(金)は、この建物で、ケンブリッジ大学のコンファレンスが行われていた。分野は犯罪学だが、テーマは "Learning Together", 犯罪を犯した人と一般社会の関係を「学び」によって再構築していこうという取り組みである。"Learning Together" という取り組みは、ケンブリッジ大だけでなく英国の多数の大学が参加して進めていて、今はちょっと重いようだけど取り組みをまとめたウェブサイトもある。
https://www.learningtogethernetwork.co.uk/

このコンファレンスに招かれていた元服役囚が、今回の事件を起こした。現時点で報道されていることをまとめたウィキペディアには次のように記載されている(事件が進展中の段階ではこんなにすっきりまとまった情報は出ていなかったということは強調しておきたいが):
A man attending the event, and wearing a fake suicide vest, threatened to blow up the hall. He began stabbing people inside the building. He subsequently began stabbing pedestrians at the north side of the bridge. Several people fought back, including one who grabbed a narwhal tusk from the wall inside Fishmongers' Hall to use against him as a weapon.

Several people were injured before members of the public restrained the attacker on the bridge. The police arrived shortly thereafter and surrounded the attacker, firing multiple shots. The attacker was shot by police and died at the scene.

https://en.wikipedia.org/wiki/2019_London_Bridge_attack


このようにして5人が刺され、うち2人が残念なことに亡くなった(現時点では男性1人、女性1人としか報じられていない)。

襲撃者はこのコンファレンスに「当事者」として招かれていたのだが、では彼はどのような罪で服役することになったのか。現地でも日付が30日になったころには、それが報じられていた。明らかになった事実に、私は言葉を失わざるをえない。

London Bridge: Attacker had been convicted of terror offence
https://www.bbc.com/news/uk-50610215


Usman Khan profile: terrorist who wanted to bomb London Stock Exchange
https://www.theguardian.com/uk-news/2019/nov/30/usman-khan-profile-terrorist-who-wanted-to-bomb-london-stock-exchange


襲撃者、ウスマン・カーンは28歳。2010年、19歳のときにロンドン証券取引所を爆破しようとした集団の一員として、2012年に有罪判決を受けていた。量刑は「もはや社会に危害を加えるおそれがなくなるまでは保釈なし」とされていたが、この条件は後に緩和され、2018年12月に仮釈放されて保護観察下に置かれていた。電子タグを常時着用することを条件とした仮釈放だ。
The Met has identified the London Bridge attacker as Usman Khan, a 28-year-old man released from prison on a licence (parole) in December 2018 after spending eight years in jail for terrorism offences.

... Khan was wearing an electronic tag

https://www.theguardian.com/uk-news/live/2019/nov/29/london-bridge-incident-police-city?page=with:block-5de1dc7f8f08cd6fe586e952#block-5de1dc7f8f08cd6fe586e952

Khan was originally classed as never to be released unless deemed no longer a threat but this condition was later lifted.

He was freed in licence in December 2018.

https://www.theguardian.com/uk-news/2019/nov/30/usman-khan-profile-terrorist-who-wanted-to-bomb-london-stock-exchange


2012年のこの判決について、うっすらと記憶にあったので(ロンドン証取はIRAが1990年にボムっているので「またか」と思ったことは確実)ログをあさってみたら、当時の記事が出てきた。

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posted by nofrills at 19:30 | todays news from uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年11月24日

『博士と狂人』などの電子書籍がセールで安くなってる(11月28日まで)&電子書籍書店で否応なく見せられるものについて

11月28日(木)まで、早川書房のビジネス書の電子書籍がセールで最大半額という告知を見て、「ビジネス書かぁ……」とスルーしかけていたあなたに朗報。

サイモン・ウィンチェスターの『博士と狂人』(鈴木主悦訳)が対象になってる。34% OFFで458円。

【honto (DNP + 丸善ジュンク堂】
【期間限定価格】博士と狂人 世界最高の辞書OEDの誕生秘話税込458
(2019/11/24時点)



【楽天Kobo】



【Amazon Kindle】
博士と狂人―世界最高の辞書OEDの誕生秘話 (ハヤカワ文庫NF)
博士と狂人―世界最高の辞書OEDの誕生秘話 (ハヤカワ文庫NF)

サイモン・ウィンチェスターはロンドン出身のジャーナリストでガーディアンで長く仕事をしていた。『博士と狂人  世界最高の辞書OEDの誕生秘話』は英国での原題は "The Surgeon of Crowthorne: A Tale of Murder, Madness and the Making of the Oxford English Dictionary" だが、北米では "The Professor and the Madman: A Tale of Murder, Insanity, and the Making of the Oxford English Dictionary" と題され、日本語版のタイトルはこちらの北米版にならっている。

内容は、19世紀末、英語の網羅的な辞書 (OEDことthe Oxford English Dictionary) を作るというすさまじい仕事に携わる言語学者のジェイムズ・マレー博士と、彼が語義をまとめ上げ辞書を作っていく過程でかけがえのない協力者となったウィリアム・チェスター・マイナーという知識豊富な米国の元軍人(ロンドンで殺人を犯し、精神病と診断され、精神病院で暮らしている)について、残された資料から丹念に読み解いて調査していったもの。この本については既に多くの紹介がされているので(例えばこちら)、ここで何かを書くまでもないだろう。当ブログが言いたいことは、「この名高い本がセールで安くなっているので、読んだことがない方は読んでみては?」にすぎない。

ところでこの『博士と狂人』、メル・ギブソンが製作と主演(マレー博士)をつとめ、マイナー氏にショーン・ペンを配して映画化されているはずだが、その話をとんと聞かない。IMDBを見てみると、今年3月に中南米や中東で封切られ、その後欧州各国でも次々とロードショーにかかっているが、米国では「インターネット公開」、「限定公開」となっているし、英国に至っては公開国一覧に出てもいない。それに、映画製作国は「アイルランド・アメリカ」なのだが、アイルランドでも封切られたというデータがない。
https://www.imdb.com/title/tt5932728/releaseinfo

と、ウィキペディアを見てみると、もめてたんすね。
https://en.wikipedia.org/wiki/The_Professor_and_the_Madman_(film)
In July 2017, Gibson and his production company Icon Productions sued the production company Voltage Pictures over their desire to control certain aspects of the production. They refused final cut privileges and an additional five days of production in Oxford.

On June 19, 2018, Judge Ruth Kwan of the Los Angeles County Superior Court rendered a judgment denying Gibson's motion for summary adjudication. The multiple lawsuits were settled in a confidential settlement in April 2019. Gibson and Safinia issued statements distancing themselves from the project and calling the version released by Voltage "a bitter disappointment". They did not participate in the promotion of the film. Safinia was not recognized for directing or co-writing the film, being credited instead under a pseudonym, "P. B. Shemran".


映画の評価は、IMDBのユーザーレビューでは「演技がすごい!」とめっちゃ高評価で、ウィキペディアで引用されているRotten Tomatoesでは低評価なので、俳優だけはすごいというパターンかもしれない。

ともあれ、そのうちに日本でも何らかの形でリリースはされるだろうから、映画に興味のある人も、元となったサイモン・ウィンチェスターの本を読んでおくといいかもしれない。「驚きの実話」ではあるけれど、「ネタバレ」したらつまらなくなるという性質のものではないと私は思う。

それと、早川書房ビジネス書のセールからもう1冊。


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posted by nofrills at 20:40 | 書籍系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年11月23日

「ハロルド・ウィルソンは欧州について中立だった」という言説

twittertrends-23nov2019-haroldwilson.png11月23日の晩(日本時間)、Twitterの画面を見てみたらなぜかHarold WilsonがTrendsに入っていた。選挙絡みだろうということはわかったのだが、それ以上はわからないので、「何だろう?」と頭の上に「?」を浮かべた状態でTrendsをチェックしてみた。

そしたら「ほへー」と驚くことになった。

「エビデンス」云々の話としても、これはとても興味深いと思う。

ハロルド・ウィルソンは、1960年代と70年代に二度にわたって英国の首相を務めた政治家。私は気づいたときには「ウィルソン労働党内閣」というセットフレーズが頭に入っていたのだが、いつそんなセットフレーズを頭に入れたのかは記憶していない。大学に入る前だったが、高校の世界史でそんなの習わないし、何だろうね、ほんと。ともあれ、詳細はウィキペディアを参照。
https://en.wikipedia.org/wiki/Harold_Wilson

ウィルソンが率いた労働党は、1964年にアレック・ダグラス=ヒュームの保守党を破って政権をとったが、1970年にテッド・ヒースの保守党に敗れて政権を失った。その後、1974年3月の総選挙でどの政党も過半数を取らないというhung parliamentの結果が出たときに、ウィルソンの労働党はどの党とも連立しないで(できずに)minority governmentとなり、同年10月に改めて選挙を実施してわずか3議席の差で過半数を得て労働党政権を率いたが、1976年に突然引退。当時は明かされていなかったが、そのときすでにアルツハイマー病で、記憶力と集中力がひどく減退するという症状が出ていたようだ。ウィルソンのあと、労働党党首に選ばれたのはジェイムズ・キャラハンで、キャラハン政権下で英国政治は激動の時代を迎え、最終的にはいわゆる "winter of discontent" のあと、1979年に提出された不信任案がわずか1票差で可決されたために議会の解散と総選挙が行われ、そして首相となったのがマーガレット・サッチャーだった。(この段落は早口で読む)

そのウィルソンが首相として対応した最大の問題が(北アイルランド問題は別として)、英国は欧州経済共同体(EEC)に留まるべきかどうかという問題だった。2010年代のEU離脱論が保守党の中から出てきた議論である一方で、1970年代のそれは労働党の中から出てきたものだった(労働党には根強い欧州懐疑主義がある。そのことは、現首相のボリス・ジョンソンも著作の中でしっかり検討している)。

英国がEECに加盟したのは1973年、保守党ヒース政権のときのことだ(60年代は、「フランスのNON」が英国のEEC加盟の道を閉ざしていたが、「NONしか言わないフランス人」ことシャルル・ドゴールが死去して事態が動いた……というのが英国の歴史観である)。しかしその「保守党による政策」には労働党の党員・支持者からかなりの反発があった。ウィルソン労働党が1974年に政権に返り咲いたとき、その問題に直面しないわけにはいかなかった。そしてウィルソン首相、キャラハン外相らは次のように行動する(太字は引用者による)。

Following Wilson's return to power, the renegotiations with Britain's fellow EC members were carried out by Wilson himself in tandem with Foreign Secretary James Callaghan, and they toured the capital cities of Europe meeting their European counterparts. The discussions focused primarily on Britain's net budgetary contribution to the EC. As a small agricultural producer heavily dependent on imports, Britain suffered doubly from the dominance of:

(i) agricultural spending in the EC budget,
(ii) agricultural import taxes as a source of EC revenues.

During the renegotiations, other EEC members conceded, as a partial offset, the establishment of a significant European Regional Development Fund (ERDF), from which it was clearly agreed that Britain would be a major net beneficiary.

In the subsequent referendum campaign, rather than the normal British tradition of "collective responsibility", under which the government takes a policy position which all cabinet members are required to support publicly, members of the Government were free to present their views on either side of the question. The electorate voted on 5 June 1975 to continue membership, by a substantial majority.

https://en.wikipedia.org/wiki/Harold_Wilson#External_affairs


つまり、欧州側と交渉して約束を取り付けたあと、英国でレファレンダム(国民投票)を実施し、そして「欧州の共同体に英国は残留する」という結論を得たわけだ(2016年にキャメロンがしたことも、基本的にはこの型で、そのときは「1975年と同じように、英国は残留するだろう」と思われていた)。そのレファレンダムの際、上の引用部分で太字で示したように、ウィルソンは労働党の人々に対して党議拘束をかけなかった。それが一種のプロトタイプになっている。


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2019年11月16日

「アクター」か「アクトレス」か、それが問題だ。

今日、東京で女性の芸能人が逮捕されたというニュースがあって、たまたま最初に見たヘッドラインで「俳優の〇〇〇〇容疑者」と書いてあり、「おや、日本でも女性の俳優について『女優』ではなく『俳優』という表記が当たり前になってきているのかな」と思ったので、ざっと、新聞を中心に用語を見てみた(TV局の報道用語までは細かく見ていない)。下記にまとめてある。
https://threadreaderapp.com/thread/1195616119056293888.html

結論だけ書いておくと、女性の役者さんについて「俳優のだれそれ」と書いているのは、旧来のメディアでは朝日新聞、新興ネットメディアではAbemaTIMESで、ほか、毎日・読売・産経もNHKも「女優のだれそれ」という用語法だった。

かつて、女性の看護師は「看護婦」、女性の警察官は「婦警」「婦人警察官」、女性の保育士は「保母」と呼ばれていたのだが、そういった職業については性別に依らない用語(「看護師」、「警察官」や「警部補」など、「保育士」)が使われるようになってかなり経つ。一方で「俳優」「女優」だけは変わらない(男性の俳優について「男優」と呼ぶのは、特別な場合に限られる。「女優の八千草薫さんが亡くなった」とは言っても、「男優の高倉健さんが亡くなって〇年になる」とは普通言わないわけで)。

英語でも「俳優 actor」と「女優 actress」の用語は今転換期にあるようで、上記threadreaderapp.comにも入れてあるが、英国ではガーディアンが性別にかかわらず役者はactorと呼んでいる一方で、BBCなどは女性の俳優はactressとしている。

今日もガーディアンに女性の俳優/女優のインタビューが出ていたが、やはりactorという用語が使われている。
Australian actor Mia Wasikowska trained as a ballet dancer in her teens before switching careers. In 2010 she was the highest-grossing film star in the world after playing the lead in Tim Burton’s Alice in Wonderland and starring alongside Annette Bening and Julianne Moore in The Kids Are All Right. She has since starred in Jane Eyre opposite Michael Fassbender and as the writer Robyn Davidson in Tracks. Now she plays Judy in Judy and Punch, Mirrah Foulkes’s unruly, subversive, feminist take on the traditional puppet show.

https://www.theguardian.com/film/2019/nov/16/mia-wasikowska-interview-judy-and-punch


ガーディアンは遅くとも2011年9月には、「女性ならば自動的にactressと呼ぶ」というのをやめている。
https://www.theguardian.com/theobserver/2011/sep/25/readers-editor-actor-or-actress

See also:
2014年12月01日 「女の子」でも「女性」でも、「ヒーロー」。
http://nofrills.seesaa.net/article/409903492.html

以上、メモ。

posted by nofrills at 22:50 | 言語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年11月11日

はてなブックマークでわけのわからないスターがつけられている場合、相手はスパマーかもしれない。

追記(11月16日夜): この件、気になっていた方が相当多くいらしたようで、本エントリのはてなブックマークのブクマ数が100を超えています。多くの方に情報共有していただけているようで何よりです。はてな社への通報の際など、「このスパムです」ということで当ブログのURLを提示していただいてもかまいません。
https://b.hatena.ne.jp/entry/nofrills.seesaa.net/article/hatebu-spam-hatenastar.html

しかるに、当ブログではこういう事情ではてなブックマークのコメント(ブコメ)一覧を非表示にしてあります。また、現在、はてなブックマークではブコメ一覧非表示にしたブログは、ブログオーナーでもブコメの確認ができなくなっています。そのため、ブコメでご指摘いただいた場合も、当方では把握のしようがないことをご了承ください。一部はてブユーザーさんのようにはてブとTwitterを連動させている場合はTwitterで確認できるので、本エントリ末尾にそれらのツイートを埋め込んであります。

▲▲▲追記ここまで。以下、本文▼▼▼

はてなでid:Hagexさんとして知られていたブロガーさんが、2018年6月、ブログで告知して本職の名義で行っていた講演会の直後に刺殺された事件の裁判が、今日11月11日に始まったという。被告もはてなのユーザーで、「はてなブックマーク」というプラットフォーム上で、「IDコール」という機能を使って、だれかれ構わず罵詈雑言を投げつけ、運営に通報されてアカウントを停止され、また新規アカウントを取得して罵詈雑言→通報→アカウント停止……ということを繰り返していた人物だ。罵詈雑言を投げつけられた側は、自分を罵倒してきているのが誰なのかはもちろん知る由もなかったし、アカウントも停止されては新規で取得することを繰り返していたから、「はてな」のサービス上で一貫して誰かを認識する「ID」でその罵倒主を呼ぶこともできなかった。そのため、罵倒された人々は、彼が他人を罵倒するときに多用する罵倒語に基づいて「低能先生」という仮の名前をつけ、「また低能先生が暴れ出した」といったふうに書いて情報を共有した。その経緯は、「日刊SPA!」の下記記事(2018年6月)に詳しい。(事件発生時のほかのマスコミの記事の多くは、このような経緯を正確に把握できていなかった。「はてな」の独自のシステムになじみのない記者が、警察発表の文言から解釈して書いていたのだろう。そもそも警察も「はてな」のシステムはよく知らなかったかもしれない。)
松本容疑者は、2016年ごろから、はてなブックマークなどの他ユーザーに「低能」という言葉を使って誹謗中傷を行っていた、いわゆる荒らし、嫌がらせ投稿者だった。そのため、過去100回以上もアカウントを凍結されては、新規IDで復活し活動をすることを繰り返してきた。……

一方的に低能先生がHagexに低能コール(荒らし)を仕掛けていただけで、報道から想像するような松本容疑者vs Hagexのようなバトルは見られない。ただ、低能先生からコールが来る度に、はてなに通報を行っていただけだ。

https://nikkan-spa.jp/1490100


「はてな」での「IDコール」という機能は、「私のブログであなたの発言を引用しています」といったことを手軽に伝えるために導入され(ああいう機能をTwitterなどSNSが一般的になる前に導入していたのは、今思うと、とても早かったのだと思う)、「はてなブックマーク」においては、誰かがブックマークのコメント(以下「ブコメ」)で「ミルクティーはミルクが先ってこと?」と書いたことに対して別のユーザーが「id:honyarara ミルクは後っていう人もいますね」などと情報を補足したりする用途で使われていた。しかしこれは同時に「id:honyarara はぁ? ミルク先とか何言ってんの? お前みたいなエセインテリが世の中を悪くするんだ。謝罪しろ!」みたいなわけのわからない暴言・罵倒の流布にもつながる機能でもあった。そして現実に、考えられる限りにおいて最悪の(というか開発者を含め、おそらく誰も予想も想定もしていなかった)使われ方をして、id:Hagexさんの殺害という事件につながっていったあと、事件から4か月ほど後に、はてなブックマーク上におけるIDコールは廃止された。そしてはてブからは個人に対する名指しの罵倒のようなものは消えたのかもしれない(私はあまり熱心に見ていないし、ストレス対処のため特定ユーザーの非表示も活用しているので、私が知らないだけで本当はまだまだあるのかもしれない)。

「IDコール」がなくなった現在もはてブに残っているユーザー間のやりとりの手段(にもならない程度のものだが)は「はてなスター」だ。

「はてなスター」は、後発のFacebookなどにおける「いいね!」のようなスタンプ的なものである。最初に導入されたのは今は亡き「はてなダイアリー」で、導入時には「社内で回覧する文書に『読みました』の意味でつけるシャチハタ印みたいなもの」というイメージだという説明があったと思う。実際、「はてなダイアリー」はユーザー同士がよく読み合い、コメントしあい、言及しあうなどしていたので、「Aさんのダイアリーの中でBさんの発言が言及されていることがIDコールでBさんに伝えられ、それをBさんが読んだということがはてなスターで示すことができ、Bさんは必要があればコメントなりトラックバックなりでAさんに対して反応もできる」というエコシステムがあったのだが、日本語で100字分しかスペースのないはてブのブコメではそこまでの機能は負わせることはできず、単なる「いいね!」ボタン的に使われていると思う。

「はてなスター」についても、「場合によっては『逆いいね!』的に使われる」という懸念は常に呈されていた。スターの数が多ければブコメ一覧のページで目立つことになるので、スターをたくさんつければ「見て見て、こいつ、こんなバカなこと言ってるよ!」とさらし者にすることもできる、というわけだ。その点は、同一人物が大量につけたスターはあまり高く評価されないという処理をするなどしているはずだ(正直、スターの数とかにあまり関心がないので、認識がゆるかったり間違ってたりしたらすみません)。

私もよく訓練されたはてなユーザーではあるので、そういったことはよく知っている。遠い目をして語れるくらいには。

だが、今回、id:Hagexさんの殺害事件の初公判についての記事に対する私のブクマについたはてなスターには、違和感を感じた。というか、正直、ぞっとした。だって、私のそのブクマにはコメントがないんだから、誰かがはてなスターをつける要素など何もない。誰かがスターをつける理由などないはずなのだ。あるとすれば、「あなたがはてなブックマークというプラットフォームから発した殺人事件についてのこの記事をメモしたことを、私はチェックしましたよ」と告知するためか。

hatebu-star-spam111119a-min.png

このように、「あとで読む」というタグしか入力されていないブクマに、id:ookubo0803なるユーザーがはてなスターをポチっとつけているのだ。

このIDに心当たりはない。てか、この「おおくぼ」って、誰? ……と、さすがに不気味さを感じながら(私はある件で脅迫もされているし、それとは別の件でもたぶん目つけられていると思う)そのスターをクリックしてみると、そこに出てきたのは、何と、「セクスィ〜なロシア美少女」云々(要旨)だった。

hatebu-star-spam111119b-min.png

スパムかよ。 (・_・)

スパムとわかったらサクサク通報するだけだ。

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posted by nofrills at 15:26 | 雑多に | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告ブロッカーは広告以外の画像をブロックするのにも使えるよ、というお話

ここしばらくずっと話題になりっぱなしの日本赤十字社お気に入りのグロ絵(現実にはあり得ない形で強調された、こういう意味での「グロテスク」な絵)ポスターなどに関連して、「あの絵を見たくないので、あの絵がTwitter Cardなど勝手にフィードされる画像に表示されているブログ記事などは、どんなに中身がよくてもツイートできない」という人が、私の見る範囲ではけっこう少なくないのだが、そういうタイミングで、秋葉原であのグロ絵以上にひどい絵が建物の壁面にどーんと掲げられているという話題があり(現時点ではもう別の、穏当なものに差し替えらえているが)、そのグロ絵を擁護する声もネット上にはあふれ、ああいうグロ絵を見たくない・見せられたくない私たちには、マジで逃げ場がない。心底気持ちの悪い国だ、この日本という国は。

そのあまりにもひどすぎるグロ絵の看板が取り外されたのは、ある方が区(東京都千代田区。ちなみに皇居がある区ね)の条例に照らしておかしいのではないかという問い合わせをしてくださった後なのだが、その方がそれについて報告するツイートにもそのあまりにもひどすぎるグロ絵がばーんと掲示されているという地獄っぷり。いや、普通に「この件ですが」という意味で掲示することには、そりゃ、正当性はありますよ。でも、Twitterのシステム上、まったく無防備なところにああいう絵が流れてくる(こともかなり多くある)わけで、それはどうなのかと。

私、個人的にイスイス団の暴力見せびらかしの最盛期(2014年夏)にかなりメンタルやられまして……しかも、正当な理由があってそれらの画像を掲示しているジャーナリストのフィード経由で……いや、わかるんすよ、「知る権利」とか「事実の提示」とか。でも無防備なところに、イスイス団の残虐画像や、イスイス団が誇る「天国に行った勇敢な戦士たち」の亡骸の写真が繰り返し繰り返し表示されているうちに、さすがにこっちの頭もおかしくなってきた。

「そういう映像を見る」と心の準備をしているときはいいんです。でもそうでないときに「不意打ち」のようにグロい画像を見せられるのは、日本語でも「精神的ブラクラ」という表現がある通り、非常によくない。あの「自由」原理主義みたいな米国でも、2001年9月11日のNYCで高層ビルに飛行機が突入する映像が、事件後、TVニュースで繰り返し繰り返し「突然流される資料映像」的に使われたあとで問題視されるようになって、映像の使用が控えられるようになったという話もあるくらい。

というわけで、ああいう画像が表示される回数を減らせれば、減らした方がいい。手元でできるなら手元でそう設定すべき。

というときに(PCの場合)使えるのが、ブラウザのアドオン(エクステンション、拡張機能)の広告ブロッカー。

「広告ブロッカー」や「AdBlock」という名称ゆえ、広告*だけを*非表示にするものと思い込んでいる方もおられるが、あれは基本的に画像を非表示にするものなので、どんな画像でも非表示にすることができる。そのやり方を、AdBlockを使ったことのない方にもわかるように、説明してTwitterで連投した。

それを、先日こちらにも書いたが、ThreadReaderAppというウェブサービスを使って、一覧できるようにしてある。
https://threadreaderapp.com/thread/1193495868130746369.html

以下、この内容をまたコピペしておく。

今の時代、ひとりひとりが個別にフィルターを設定して自衛していかないと、グロ画像は歯止めなく流れていて、話題になったものは何度でもしつっこく表示され続ける。そのストレスを少しでも軽減するために、ひとりでも多くの方にお役立ていただけますように。

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posted by nofrills at 01:00 | i dont think im a pacifist/words at war | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年11月03日

Twitterで、自分の発言だけ連続投稿したものを、読みやすく、1ページで表示してくれる便利ツールのご紹介。

ここ数週間、ネット上の日本語圏、特にTwitter界隈でずーっと話題になりっぱなしの、とてもセンシティヴな案件があって、多くの人がたくさんの言葉を費やして考えていること、思っていることを語っている。そういった言葉を、ただTwitterに置いておくだけでは埋もれていってしまうし、誰かに「これを参照してください」と示すにも単独のツイートだと文脈が見てもらえないかもしれないという心配がある。

といって、日本語圏では、自分の発言をTogetterなどを使って「まとめ」れば、「セルフまとめ」などと呼ばれ、「自意識過剰だ」的な批判が湧いて出てくるのがデフォ。ましてやあのセンシティヴな案件について「セルフまとめ」など作ろうものなら、ギャング映画のごとく蜂の巣にしてやろうというキーボード・ウォリアー様たちが覚醒してわらわらと寄ってくるに違いない、という心配がある。

そういう場合に、日本語圏に特有の粘着質のイナゴのことなど気にせずに、自分の連続ツイート(スレッド)だけを淡々と一覧できるようにしてくれるツールが英語圏にはあるので、今日の昼間、それを紹介する連ツイをしてみた。

そしてその連ツイを、当該のツール(Thread Reader Appという)を使って1ページにまとめてみた。「スレッド」の作り方の注意点なども書き添えてある。下記からどうぞ。
https://threadreaderapp.com/thread/1190812074521219072.html

使い勝手や見え方を比較するため、同じ内容で、NAVERまとめを利用したページもこしらえてみた。こちらもよろしければご参照のほど。

Thread Reader App: 英語圏のシンプルで便利なツール(日本語も問題なく使える)
https://matome.naver.jp/odai/2157274949164167101

Thread Reader AppもNAVERまとめも、「どちらが絶対的によい」ということはなく、用途・内容に応じて使い分ければよいと思うが、自分の発言だけで構成されたスレッド(連ツイ)をさくっとまとめて表示させたいだけなら、Thread Reader Appが便利である。作業にかかる時間はほんの数秒(と数分の待ち時間)で、Twitterにログインしてさえいれば、実質、何もしなくてもよい(先方のサービスへのログインすら不要)。

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posted by nofrills at 23:00 | i dont think im a pacifist/words at war | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年10月27日

hontoで講談社学術文庫のセール中。『怪物ベンサム』やウェルズの『世界文化小史』、ベーダの『イングランド教会史』が安い

EBPD13107.pngオンライン書店のhontoのサイトを見ていたら、講談社学術文庫のセールをやっていた。いわく、「紙で入手困難な本」(品切だったりする本)が30%オフになっている。10月31日まで。

ざっと見てみたところ、日本史の本が多いのだが(徳富蘇峰の『近世日本国民史』がずらっと並んでいるほか、 網野善彦『中世再考 列島の地域と社会』があり、また、太平洋戦争関連の本なども何点も入っている)、歴史以外のジャンルでも田中克彦『ことばとは何か 言語学という冒険』などがあるし、あと、カントの『純粋理性批判』(全4巻)もある。

ところで、どうでもいいが、「カント」をペンネームの一部にしているラノベ作家がいるために、hontoの電子書籍を「カント」で検索すると、乳房がサッカーボールのように丸くグロテスクに強調されたような発情期and/or男子中学生向けのグロ絵がずらずらと表示されて、うっとうしく不快なことこの上ない。ドイツのカントの本を探している人間がラノベ表紙絵をしつこく見せられるのは、ノイズを超えて、苦痛でしかない。電子書籍書店はこの点、本当に考えてほしい。実店舗ではラノベだのマンガだのは売り場が分かれているので問題が生じることはないのだが、同じ思想でネット書店も構築してくれないだろうか。ラノベだの何だのは、「ジャンルごと表示しない」ボタンをもうけるべきだ。これは「表現の自由」の問題ではなく、単に「買い物の邪魔」という問題である。コンビニにツナのおにぎりを買いに行ったら、おにぎり売り場にツナ関連の売れ線だからといってツナサンドやらツナクリームパスタやらちゃおちゅ〜るやらがずらずらと並んでいて、肝心のツナおにぎりを探すのに2分も3分もかかったりしたら頭にくるだろう。そういうことだ。実際、ラノベとやらが売れ線であるらしい電子書籍販売店では、何を検索してもラノベが出てくるので――それこそ「コレット」なんかひどいありさまだ。私はフランスのあのコレットの本を探しているという場合でも――、本当にうっとうしくてかなわない。

閑話休題。で、その講談社学術文庫のセールで、何点か英国関連のものもあったので持ち帰ってきた。繰り返しになるが、10月31日までが3割引きの価格である(それを過ぎても平常価格で購入はできるが)。

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posted by nofrills at 08:00 | 書籍系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年10月25日

欧州大陸から来たコンテナと、39人の中国人とされた人々と、アイルランドのトラック野郎と、そして……?

きれいに手入れされているように見えるそのトラックのフロントガラスの上部と下部には、
Ireland
The Ultimate Dream
という文字が見える。

そのトラック(正確にはトレーラー)はアイルランド島からウェールズを経てイングランドにやってきた。運転手は北部6州(北アイルランド)のアーマー州ポータダウン在住の20代男性。専業のトラック運転手だ。彼はダブリンからフェリーに乗り、ウェールズのホリーヘッド港に到着し、一路車を南東に向けて走らせた。ロンドンを通り越して到着したのは、テムズ川河口域のエセックス州サロック (Thurrock) のグレイズ (Grays)。ここで彼は、港に到着していたコンテナを受け取った。欧州大陸から来た冷凍コンテナだ。この荷物をどこかに運ぶ仕事を請け負ったのだろう。

そして彼は殺人 (murder) の容疑で逮捕されることになった。コンテナの中では、39人の人間が死んでいた。



「エセックス州の港で、コンテナの中で39人が死亡しているのが発見された」というショッキングなニュースがあったのは10月23日の晩(日本時間)。当初、「ホリーヘッドから入った」(ホリーヘッドはアイルランドのダブリンからのフェリーが発着する港である)、「ブルガリアから来た」という2つの情報が直接結びつけられて報道されていたので、「ブルガリアからアイルランド経由でイングランド南東部へ移動?」と多くの人々が頭の上に「?????」を並べていたようだったが(私も)、一夜明けてみれば、トラックの車の部分(トレイラー)がアイルランドから来ていたのであり、39人が入れられていたコンテナはベルギーの港から直接サロックの港に来ていたということがわかった。

Brexitがこうなっているタイミングで、こんな形で欧州と英国の間の物流について、そして何よりアイルランド島の「ボーダー」(アイルランドを1つと見る立場では、あれは「国境」ではない)と、アイルランドとブリテンの間の物流について、改めて確認されるようなことになるとは。

亡くなっていた39人は、24日の報道では、全員中国籍と思われ、男性が31人、女性が8人。うち1人は、初期報道では「ティーンエイジャー」と伝えられていたが、やがて「若い成人女性」とされるようになった。
https://www.bbc.com/news/uk-england-essex-50162617
Essex Police said it was the largest murder investigation in the force's history and the victims were all "believed to be Chinese nationals".

It said formal identification of the 39 people, one of whom is a young adult woman, "could be a lengthy process".


コンテナに何十人と詰め込まれた人間が全員遺体となって発見されるということは、これまでも何度かあった。最も衝撃的だったのは、2015年、オーストリアで冷蔵車の中から71人の遺体が見つかった事件だろう。

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posted by nofrills at 09:35 | todays news from uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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