kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=


2020年11月29日

アット・ニフティのサイトを終了します。今後はInternet Archiveでお読みください。

今月いっぱいで@niftyのIDを失効させることにしたので、これまで約20年にわたって@niftyのサーバに置いてあった当方のウェブサイトも失効します(see @niftyのヘルプ)。とはいえ、ニフのIDはもう全然使っていないし、ウェブサイトも10年以上更新していないからほぼ誰も見ていないだろうし、特段の影響・変化は何もありません。ただ、ウェブサイトの中身は、過去ログとして残してはおきたいので、ディープリンクも含めて全部Internet Archive (Wayback Machine) で閲覧できるようにしてあります。当ブログのサイドバーからたどれるようにしてあります。というか、ここに書いておけば話が早いですね。

■拙サイトのトップページ:
https://web.archive.org/web/20170811151733/http://nofrills.in.coocan.jp/index.html
ここから中に入っていけますが、「ニュースで見たイギリス」だけはリンクがうまく動作しないので下記からお願いします。

■ニュースで見たイギリス (2001年2月〜2003年5月):
https://web.archive.org/web/20040203001736/http://nofrills.hp.infoseek.co.jp/news/index.html

■英語の単語や実例、その他もろもろ:
https://web.archive.org/web/20170802225817/http://nofrills.in.coocan.jp/britenglish/index.html

nofrills-coocan.png


↑このレイアウト、間が抜けて見えると思いますが、本来↓このように↓組んだデザインでした。多くの環境で画面の横幅がこういう狭さだったころ(21世紀になるかならぬかのころ)のデザインです。

nofrills-coocan2.png



このウェブサイトの中身は、またどこかのサーバにFTPでアップロードしようかなとも考えたのですが、やめました。お金を払って維持しておくべき内容でもないし、元々会員特典で無料でホスティングしてもらっていたので今後継続するとしても当然無料ホスティングを使いたいのですが、今どき自分で作ったHTMLのファイルをFTPでアップする無料ホスティングのサーバは片手で数えられるほどしかなく、アップしたとしてもいつサービス終了になるかわからないし、そうなったときにまた移転しなければならないというのもかなり負担です。このような理由に加え、どうせもう更新することはないということもあって、この状態でInternet Archiveにお任せすることにしました。凍結保存です。

@niftyは、2016年の秋に、それまでの「@homepage」というサイトホスティング・サービスを終了しその時点で当方のサイトはその後継サービスであるLaCoocanに移設したのですが、その後は一切手を加えていません。今回Internet Archiveで保存しているのはその移設時点の内容です。「@homepage」時代のページもInternet Archiveに入っているので中身がダブってしまうことになりますが……。

Internet Archiveの中身は通常のウェブ検索では検索対象にならないので、その点ではご閲覧のみなさまにご不便をおかけすることもあるかもしれませんが、なにとぞご理解たまわりますよう。「@homepage」終了時にサイトを存続させたのは主に、「ウェブ検索で見つからないものは存在しない」という世間の決めつけに少しでも抵抗していきたかったからで、すごく些細なことでも検索ワードにひっかかるようにしておくことは重要だと思ってきたのですが、これ以上継続する気力もお金もないのが実情です。

@homepage時代からLaCoocanに移設後まで、ブラウザにブックマークするなどしてきてくださったみなさまには、今回の突然の終わりについてお詫びし、これまで心に留めておいてくださったことに感謝申し上げます。ありがとうございました。

ブログは続けます……といっても、ここももうほとんど更新しておらず、はてなブログでやっている英語実例ブログがメインになりつつありますが。


2020年11月29日 nofrills拝


追記: Internet Archive (Wayback Machine) を使うには、ブラウザの拡張機能が便利です。
-Firefox (Tor Browserも):
https://addons.mozilla.org/en-US/firefox/addon/wayback-machine_new/

-Chrome:
https://chrome.google.com/webstore/detail/wayback-machine/fpnmgdkabkmnadcjpehmlllkndpkmiak?hl=en-US

-Safari:
https://safari-extensions.apple.com/details/?id=archive.org.waybackmachine-ZSFX78H3ZT
posted by nofrills at 08:00 | 事務的なこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年11月14日

"整理" されてしまった「翻訳・通訳のトビラ」の中身を、Web Archiveでサルベージする方法(今ならまだ間に合うのでご協力を)

かなり事務的な事柄について、取り急ぎのメモですが、Twitterで連続投稿していてもバラけてしまって共有されにくいので、まとまった形が可能なブログで書いておきます。細かい説明は抜きにします。

今日、Twitterでアルク社のウェブサイトから、「翻訳・通訳のトビラ」のコーナーが全部削除されているということを知った (via @nest1989)。11月11日の抜本的なリニューアルの際、「コンテンツ」の「整理」対象となったようだ。

「翻訳・通訳のトビラ」は、翻訳や通訳という作業について、実務に携わる方々による貴重なリソース集で、常に参照可能なレファレンスとして非常に重要な存在だったのだが、私企業にとっては「整理」すべき「コンテンツ」だったようだ。驚いたのは、寄稿者にも連絡なしで削除されたということで (via @yunod)、書籍だって絶版や断裁の前には著者に連絡が入るものだが……。

ごちゃごちゃ言っていても始まらないのでともあれ、今ならまだ間に合うのでWeb Archiveを利用してキャッシュを取得している。本稿はその手順について説明することを目的とする。

まず、アルク社のウェブサイト、alc.co.jpにアクセスしてもすでに「翻訳・通訳のトビラ」はなくなっているし、個別URLも404エラーになるが、alc.co.jpというドメインではなく、数字の羅列(にしか見えないもの)である「IPアドレス」にアクセスすると、今はまだいける。

「ドメイン」と「IPアドレス」については、かごやインターネットさんの説明がわかりやすいので、そちらをご参照のほど。
ホームページを運用するwebサーバーやメールを運用するメールサーバーなどには、IPアドレスという数字の住所が割り振られています。しかし、数字では人が覚えにくいため、その数字と紐づける形で「ドメイン」を使ったわかりやすい文字列によるホスト名が採用されているのです。

たとえば「www.kagoya.com」というホスト名のIPアドレスは「203.142.205.139」ですが、パソコンなどのコンピューターは、インターネット上の住所ともいえるIPアドレスを基に目的のホームページが収容されたwebサーバーにアクセスします。
https://www.kagoya.jp/howto/webhomepage/01/


この場合、ブラウザのアドレスバーに「www.kagoya.com」と入れても、「203.142.205.139」と入れても、同じウェブページが呼び出される(同じものが表示される)。

現状、alc.co.jpというドメインとリニューアル前のサイトのIPアドレスとを結ぶ回路が断ち切られている状態で、「翻訳・通訳のトビラ」の諸記事に関しては、旧IPアドレスの方に直接アクセスすれば中身はまだ見られるようだ。なので、旧IPアドレスを直接ブラウザのアドレスバーに入れればよい。

と、ここで私の手元には「210.146.253.72」というIPアドレスがある。信頼している方がDMで伝えてくださったものだ。どうやらこれがその旧IPアドレスのようだが、一応確認はしたい。ところが、ここでこのIPアドレスをそのままGoogle Chromeに打ち込んでも、下記画面のように警告が出てしまうので先に行けない。

21014625372-01.png

警告の文面:
210.146.253.72 では、悪意のあるユーザーによって、パスワード、メッセージ、クレジット カードなどの情報が盗まれる可能性があります。
NET::ERR_CERT_COMMON_NAME_INVALID


警告の下部にある「詳細設定」(なぜ「設定」なのか、意味がわからん。Chromeのローカライズ担当者さん、しっかりして)をクリックすると(なぜか「詳細設定」が「詳細情報」に早変わりするんだけど):

21014625372-02.png

文面:
このサーバーが 210.146.253.72 であることを確認できませんでした。このサーバーのセキュリティ証明書は *.alc.co.jp から発行されています。原因としては、不適切な設定や、悪意のあるユーザーによる接続妨害が考えられます。


これはSSLのセキュリティ証明書が失効しているときなんかに出てくる警告で、フィッシングなどのおそれはあるが、閲覧するだけならまあ大丈夫だろうと判断し、念のためにChromeの「シークレットモード (incognito window)」や「ゲスト」を使って先に進むことにする。Incognito windowを立ち上げて、210.146.253.72 とアドレスバーに入力し、ここまでと同じ手順で進んできて、さっきのキャプチャ画像内の一番下にある「210.146.253.72 にアクセスする(安全ではありません)」をクリック。

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posted by nofrills at 21:45 | 雑多に | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年06月28日

【訃報】ボビー・ストーリー

ボビー・ストーリーが64歳でこの世を去ったことが、6月21日に公表された。27日にはベルファストに無言の帰宅があった。

「ボビーなんとかって、誰それ?」と思われるかもしれないが、北アイルランド紛争、特にIRAについて文献を読めば必ずこの人の名前が出てくる。一回り年長のジェリー・アダムズ、故マーティン・マクギネスといった人々とともに、シン・フェインとIRAを、武装闘争の時代、「機関銃と投票箱」の時代、和平と紛争転換の時代と移り行く流れのなかで、引っ張ってきた重鎮のひとりであり、地域社会の顔役であった。というか、IRAなので、まあ、そういうことだ。マーティナ・アンダーソンもジェリー・ケリーも「彼は前面に立って引っ張ってきた (he led from the front)」と語っている。(っていうかこの "He led from the front" 言説は《物語》ですね。今のIRAによる「リパブリカン正史」の物語。アンダーソンタウン・ニュースもそれを強調している。)

Sinn Féin has announced the death of leading IRA figure Bobby Storey, who allegedly acted as the organization's head of intelligence during the Troubles.

Storey was an influential figure in the republican movement throughout the troubles in Northern Ireland and the subsequent peace process.

He had been unwell for a significant period of time and died on Sunday at the age of 64.

Storey became involved in the republican movement from a young age when he was interned without trial as a teenager.

https://www.irishcentral.com/news/bobby-storey-ira-head-of-intelligence-dies


以下、この訃報に際しての言葉を書き留めておく。

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posted by nofrills at 07:00 | todays news from uk/northern ireland | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年06月14日

アベノマスクが届いたので、糸をほどいて解体してみた。 #abenomask #abenomasks

5月下旬のある日、そろそろ一時のマスク不足も解消しつつあるかな、という感じが強まっていたころに、東京都23区内在住の私の家の郵便受けにも通称「アベノマスク」が届いていた。その前の週に「特別定額給付金」(例の10万円)の申込書類は届いていて、「もうアベノマスクは届かないのではないか」と思っていたのだが、届けられた。

要らないのに。

顔の下半分を全体的に覆える大きさもないような、ほぼ何のフィルターにもならない布でできた「給食マスク」は、単に物理的に役に立たないのだから、いらないのに。

国費から、何百億円だかかけた上に、追加検品で何億円だかかけて届けられた「やってる感」マスク。花粉症でマスクを着け慣れている人々が大半の巷からみれば、粗野で粗雑で奇妙で奇矯としか言いようのないマスク姿を衆目にさらしている政治家たちのコスプレでもしろというのだろうか。


how-to-wear-your-mask-like-a-pro.png


ともあれ、先日、その「アベノマスク」を、よく切れる糸切りばさみと顕微鏡を持っているすばらしい友人と一緒に解体し(糸をほどいて展開)、顕微鏡やルーペで観察した。本稿はその記録・報告を目的とするものである。

結論から言えば、虫は入っていなかったが、正体・出自不明の繊維片は、マスクの布の繊維に絡みつくようにして、入っていた。つまり俗に言う「ゴミノマスク」だった。注意深く見れば、目視でもわかるレベルの混入もあった(が、視力0.5の人が普通のオフィスや倉庫の照明のもとで作業していたら見えないかもしれない。視力1.0でも目が疲れていれば見えないかもしれない)。

「ゴミノマスク」なんていうと「大げさな」と非難されるかもしれない。確かに、タオルとかハンカチのような身に着けるものではないもの、あるいは身に着けるものでも完全に外用のもの(衣類やヘアゴムのようなもの)ならばああいう繊維片(ゴミ)の混入は全然問題にならないだろうが、マスクは衛生用品だ。Tシャツやヘアゴムと同等の基準でみるわけにはいかない。その繊維片が、縫製作業に当たった人の服の繊維なのか、縫製に使ったミシンについていたものなのか、縫製工場で空気中を舞っていたものなのか、床に落としてしまったのを拾い上げてパンパンとはたいたあとに残ったものなのか、梱包作業のときに混入したものなのか、そういったことは一切わからない。そういうものが、繊維の中に入り込んでいた。それは事実である。

以下、記録を目的とするので、とても長いということをお断りしておく。

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posted by nofrills at 23:50 | i dont think im a pacifist/words at war | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年04月25日

「漂白剤は飲んで効く奇跡の薬」と主張するアメリカのカルトまがいと、ドナルド・トランプ

今のこれは確かに「ウイルスとの戦い」だが、ウイルスは別に意図をもって攻めてきているわけではない。一方でウイルスから防御する側の私たち人間は、意図を持っている。そしてほとんどの人々は、第一に、「死ななくてもよい人を、これで死なせてはならない」と意図している。それが医療現場の最前線でCOVID-19の患者を人工呼吸器につないでいる医師や看護師や技師たちであれ、外出せずに自宅で過ごしている一般市民であれ、「リモート」で音楽ビデオを作るセレブたちやそのスタッフであれ、自分の会社に何かできることはないかと申し出たり模索したりする企業トップであれ、

しかし中には、全然別な方向に意図が向いている人もいる。その人たちは「死ななくてもよい人」のことなどカケラも考えていない。何の因果か、この未曽有の危機に際して米大統領という立場にあるドナルド・トランプも、そういう人のひとりだ。

最初にそれが明らかになったのは、記者会見で「マラリアの薬が効くそうですよ」みたいなことを言ったときだった。「どうせ利権(というか、より正確には株価)だろ」と思って眺めてたら、案の定そうだった。

そのときは私はほぼスルーした。あとから自分のTwitterログを見返せば確認はできるという程度にメモ的なことは書いたしいくつかニュース系のツイートをリツイートして記録はとったが、しっかり書くということはしなかった。そんな時間がもったいなかったし、そうすることで逆にドナルド・トランプのばら撒いているデマ(政治的な……というか政治および経済的な意図のある誤情報)を広めてしまうことになるのを懼れたからだ。実際にトランプが「薦めた」というその薬の名前は、日本語圏でカタカナで出回ってもいた。

ドナルド・トランプがアレな人物だということは、日本では意外なほど知られていない。日本のマスコミの報道を見ていても、トランプがとんでもない人物だということは何となくわかっても、どうとんでもないのかは多分わからない。具体的にとんでもないことは、例えば「金正恩と会談」「中国と対決」みたいなことのように詳しくは報じられないから(そして「金正恩と会談」「中国と対決」みたいなことは、鮮烈な印象を残すから)だ。記者会見などで見せるあのひどい言葉遣い(ひどい英語)も、英語がわからない人には何がひどいのかわからない。

日本ではひょっとしたら肯定的に、つまりそれが「よいこと」であるかのように受け取られているかもしれないが、ドナルド・トランプは陰謀論者だ。ロシア疑惑だのウクライナ疑惑だのといったガチもんの国際政治疑惑によって、語られるべきことの奥の方に押し流されていてもう誰も語っていないかもしれないが、「大統領」である以前に「陰謀論者」だ。もう知らない人も多いと思うが、「バラク・オバマは実はアメリカ合衆国で生まれていないので、大統領の資格はない。合衆国生まれだというなら出生証明書を見せろ」と主張した、いわゆる「バーサー Birther」の筆頭格がドナルド・トランプだったのだ。(ついでに言えば、この「バーサー」という用語の元となったのは、「2001年の9.11事件は米国政府が仕組んだ」などというトンデモ説を唱えることを「真相究明運動」と称した勢力が「トゥルーサー Truther」と呼ばれたことである。)

「自由の国」では(そうでなくても)陰謀論そのものは個人の思想信条の自由の範疇に入り、それに基づいた行為(例えば破壊行為や襲撃、金銭的詐欺など)が違法になることはあっても、思想そのものは何にも問われない。いかにトンデモでも、思想自体は違法にはならない。

陰謀論者は「今の世の中で当たり前とされていることは、本当に『当たり前』なのか」と問いかけることで社会の中に、あるいは個人の心の中に、足場を築く。

ドナルド・トランプはそこまで器用な人物ではないようだが、自分の立場を利用して何かをひそかに売り込む(宣伝する)といういわば「ステマ」屋としての技能はあるし、2016年以降、ステマ屋としてはこれ以上は望めないくらい高い地位にある。本当は「大統領のお墨付き、万病に効く命の水」くらいのことをやりたいのだろうし、アメリカ合衆国でなくもっと小さな国の大統領だったら実際にそうしていたのではないかと思うが(実際にそういうことをしている国家トップもいる)、それは想像の話、仮定法で語る話だ。

トランプ本人が上述のような一種巧妙な心理戦の能力を持つかどうかは別問題だが(私はあの人物にはそれは無理だと思う)、トランプに働きかける人物たちの中には、そういう心理戦のプロフェッショナルたちがいる。トランプを媒介として自分たちの言いたいことを世間に広めることで、自身に直接的な利益がある、という人々がいる。

そして、米国政治は「ロビー活動」に対してあまりに無防備で無頓着だ。

それを実感させられた話。

24日(金)、本気で、自分が英語読めなくなったのかと思うようなことがあった。正確に言えば、私が知ったのはそれが起きてから9時間ほど後のことだったのだが、金曜日はほとんどネットを見ておらず、Yahoo! Japanなどをちょこっと見ていただけで、そんなことがあったとは知らずに過ごしていたのだ。

Screenshot_2020-04-24-16-26-03.png


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posted by nofrills at 23:35 | i dont think im a pacifist/words at war | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年04月07日

英ボリス・ジョンソン首相、集中治療室へ #新型コロナウイルス

2020年4月5日(日)夜、英国ではエリザベス女王の録画メッセージがTVで放送された。女王が毎年のクリスマスのように決められた時以外に国民に広く、直接語り掛けるのは異例のことで、これまでに行われたのは1991年湾岸戦争での英軍地上部隊投入時という「有事」に際してと、1997年ダイアナさん死去時、2002年皇太后死去時、そして2012年ご自身のダイヤモンド・ジュビリーに際しての4度だけあったそうだ。この録画メッセージの中で女王は、最初に、この危機の時にあって家にいず現場で仕事をしている医療従事者や社会的インフラの従事者を讃え、「今は感染拡大防止のため離れ離れになっている大切な人とも、必ず再び相まみえる日がやってきます」と語った。"We will meet again" というフレーズは、明らかに、過去の戦争において、愛する人を送り出す人と送り出される人との間で歌われたあの曲の引用だ。



日本の「専門家会議」が「オーバーシュート」とかいう変な造語をいきなり定着させてしまったことで言語的に大きなダメージを受けている中で、そんなことをブログに書こうと四苦八苦していたときに、それどころではないニュースが飛び込んできた。

ボリス・ジョンソンの集中治療室(ICU)入りである。

ジョンソンは3月27日(金)に検査を受けて新型コロナウイルス陽性となり、以後、自宅(といってもダウニング・ストリート10番地)で自主隔離となっていた。仕事はリモートで閣議を行うなどしていたが、毎日の記者会見には、それ以来、ジョンソンは姿を見せていない。毎週木曜の夜に行われるようになった、医療従事者ら最前線で働く人々を讃える拍手に加わって、10番地の玄関口にまで出てきているのはメディアでも伝えられていたが、あとはSNSにアップされる自撮りビデオだけだ。その自撮りも、明らかにつらそうで、このウイルスは人によってはちょっとした風邪程度で済むとはいうが、やっぱり発熱がはんぱないから体にはこたえるんだなあ……などと思っていた。ジョンソンは元々、体力は有り余ってる感じの人だから(あのしゃべり方……)、少し寝てれば治るんだろうと思い込んでいた。

しかし実際には、それから1週間が経過した時点でも症状がおさまらなかった。確かジョンソンの1日か2日前に陽性となっていたチャールズ皇太子は7日経過して元気になり、東ロンドンの五輪会場でもあったコンベンション・センターExCELを臨時改装して設営されたNHSナイティンゲール病院の開所式もリモートで執り行っていたし、ジョンソンの(確か)直後に陽性となっていた保健大臣マット・ハンコックは、多少やつれてはいるもののすっかり元気になっていて、NHSナイティンゲール病院開所式典では現場で一番前に立ってリモートの皇太子のスピーチを聞いていた。

しかしジョンソンは、4月5日(日)になっても症状がおさまらないとの理由で、ロンドンの病院(後にセント・トーマス病院であることがわかる)に搬送された。このときは "routine tests" を受けるためだと説明されていた。そういった言葉をネットで見ながら私は、「まだ治療法が見つかってもいない病気について、"routine" とは何なのだろう」と思っていたが、BBCの記事に出ていた医療の専門家の説明では、肺炎の検査(たぶんCTを取るとかそういうの)のことをそう呼んでいるらしかった。まあ、それはroutineといえばroutineなのだろう。医者も検査技師も看護師もみながっちがちの防護服姿であれ何であれ。ジョンソンの入院は、女王のTVメッセージが終わった直後だったという。

ジョンソンは症状が出てから10日以上となっていたが、この時点では政府の責任者はジョンソンであることに変わりはなく(ジョンソンが何らかの理由で働けなくなった場合は、ドミニク・ラアブ(ラーブ)外相が代行として任にあたることが決められている)、ジョンソンは「元気だ」などとメディアを通してさかんに言われていた。ただコブラ・ミーティングや毎日の記者会見はジョンソンはできないので、ラアブが代行する、とのことだった。
https://en.wikipedia.org/wiki/Boris_Johnson#COVID-19

だがそのときにも、ラアブのフワフワ感というか、いろいろつじつま合ってないよ、というのは気になっていた。


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posted by nofrills at 06:50 | todays news from uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年03月30日

美しかった。ひたすらに。

これを見て、しばらく立ち尽くしていた。さしていた傘が、降り積もった雪で重たくなるまで。


47848.jpg


ばさばさと何度か開閉するようにはたいたら、傘は驚くほど軽くなって、本当はこんなに軽いものなんだ、と思った。


その朝、それを何度か繰り返しながら、少し歩いた。雪がひどくならないうちに、日課の散歩。


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posted by nofrills at 04:00 | 雑多に | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年03月20日

「オーバーシュート overshoot」なる用語について(この用語で「爆発的な感染拡大」を言う英語の実例がほとんど確認できない件)

■3月23日追記■
以下で述べているのは、厚生労働省のサイトにアップされた「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議: 新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言(2020年3月19日)」 で用いられている用語についてである。
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000610566.pdf

本稿は最初にアップしたとき、事態のリアルタイム性を重視して「何があったか(何を見たか)を時系列でたどる」形式で書いたので、問題の用語の初出である上記文書へのリンクが記述の中に埋もれてしまっていたので、改めて上に掲示しておく次第である。また、これを加えた際に、ついでに本文に少し追記を加えた。内容は変えていない。より大きな追記はまたこのあとでおこなう予定である。

追記は以上。以下、アップロード時の文章。




3月17日(日本時間では18日早朝)のアイルランドでの首相の素晴らしいスピーチの余韻も冷めやらぬ中、今度は日本で、3月19日の夜、政府の専門家会議が新型コロナウイルス感染症について検討した結果を、記者会見で広く一般に伝える、ということが行われた。ネットで生中継されていたので私も何となくつけていたが、アイルランドに「言葉の力」をこれでもか、これでもかと見せられたあとで、日本では標準的なものではあるが、言葉に全然力のない、間延びした物言いを聞き続けているのは、正直、非常につらかった。それでもそこで語られていることは重要なことで、ちゃんと聞いておかないと……と思ってはいたのだが、英文法の本を読みながら聞いていて(全然ちゃんと聞いてない)、途中でトイレに行きたくなって、ついでにお茶を入れるなどしていたので、結局、ろくに聞かずに終わってしまった。

しばらく経ってから、会見の内容をまとめた記事がそろそろ出ているのではないかとYahoo! Japanのトップページを見てみると、Twitterで話題になっている語句を表示する「リアルタイム検索で話題のキーワード」の欄に、「オーバーシュート」という語が出ていた。この語と一緒に「つぶやかれているワード」から専門家会議の会見での言葉だということはすぐにわかった。私にはなじみのない言葉だが、会見で出てきていたか。どういう文脈で出てきてたんだっけ?

リアルタイム検索を見ると、「アウトブレイク、パンデミック、クラスター、などなど、カタカナ語ばかりでいやになる」という主旨の発言が並んでいた。「キャプテン翼か」みたいな発言もいっぱいあった(「それはオーバーヘッドシュートだろう」と突っ込むべし)。そういう中に、私が自民党の国会議員だと認識できる名前の方(どなただったかは覚えてない)が「オーバーシュート(爆発的感染拡大)」と記載しているツイートがあった。この記述は「オーバーシュートという専門用語があって、それは『爆発的感染拡大』という意味だ」ということを含意する記述である。(3月23日追記: あとから調べてみれば、この言葉は「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議」による「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言(2020年3月19日)」で用いられていて、専門家会議の人たちによる記者会見でも当然口にされていたのであったが、リアルタイム検索の画面を見ていたときの私は、まだそこまでたどり着いていなかった。)

「オーバーシュート」ってovershootでしょ。「飛行機が着陸地点を通り越して飛んでいく(そして、場合によっては本来の着地点とは外れたところに着陸してしまう)」ことに使う語だが、「爆発的感染拡大」なんていう語義あったっけ? ……というのが最初の反応。

次にすることは、とりあえずネットで簡易的に辞書を引くことだ。はい、コリンズ:
https://www.collinsdictionary.com/dictionary/english/overshoot

オクスフォード:
https://www.oxfordlearnersdictionaries.com/definition/english/overshoot?q=overshoot

どちらもだいたい同じ。「自分が止まろうとしていた地点よりも遠くに行ってしまうこと」(先述の飛行機の例)、また「最初に考えていたよりも多くのお金を使ってしまうこと」。もう少しかみ砕いて考えると、「何かを物理的に飛び越してしまうこと」(overした状態にまでshootする)と、その意味を比喩的に展開して「何かを超過すること」。どちらも動詞だが、名詞としての用法もある。

「爆発的感染拡大」をもう少しヒラな感じ(文脈から切り離して一般化した感じ)にして、「何かが急激に増えること」と《翻訳》してみたところで、コリンズにもオクスフォードにも(さくっと確認できる範囲では)その語義は見られないということになる。

きっと辞書が貧弱なんだ。大辞典には載っているはず……と、2時間ドラマで凶器として使われそうなでかい辞書を取り出そうとしたが、だるかったのでやめた(3月23日追記: コリンズ・コウビルドにもオックゥフォードにも載っていないような語義なら、一般向けに使うべきではないか、「和製英語」的な何かでしかないということだし)。その前にウィキペディア(英語版)だ。
https://en.wikipedia.org/wiki/Overshoot

ここからテキストだけコピペすると(ハイパーリンクはコピーしない):
Overshoot may refer to:
- Overshoot (population), when a population exceeds the environment's carrying capacity
- (書籍のタイトルなので略)
- Overshoot (signal), when a signal exceeds its steady state value
- Overshoot (microwave communication), unintended reception of microwave signals
- Overshoot (migration), when migratory birds end up further than intended
- Overshoot (typography) the degree to which a letter dips below the baseline, or exceeds the cap height
- Overshoot (combat aviation), a key concept in basic fighter maneuvers (BFM)
- In economics, the overshooting model for the volatility of exchange rates


というわけで、「何かが急激に増えること」は、あえていえば最後の "the volatility of exchange rates" に関する用語。株式や証券の相場に関する用語だ。

「爆発的感染拡大」とは、何か違くない?

でも実際の英語ではそういう転用が見られるのかもしれない。ということでGoogle検索を試したり、米語コーパスで調べてみたりしたのだが、やはり、「爆発的感染拡大」の意味でovershootの動詞・名詞が使われている例は見当たらない。エボラ出血熱やら豚インフルエンザやらMERSやらSARSやらの深刻な伝染病、あるいは家畜の伝染病の口蹄疫やら何やら、はたまたワクチン反対の陰謀論者のおかげで復活してきたという麻疹など、「爆発的感染拡大」が語られる事案はたくさんあるのだから、「爆発的感染拡大が生じた今回の新型コロナウイルスが出てきたのは最近すぎて、コーパスが扱えていないから、検索結果に出ないのだ」と考えるのもおかしい。WHO(世界保健機関)の用語集にもovershootは見当たらない。

と、リアルタイム検索を見ると、PubMedをチェックした方のツイートがあった。(そうだ、こういうときはPubMedだ。)

【続きを読む】
posted by nofrills at 14:00 | i dont think im a pacifist/words at war | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年03月19日

"Come together as a nation by staying apart from each other" −−アイルランド首相のすばらしい演説について

新型コロナウイルスの感染を拡大させないため、アイルランドでは先週から、屋外で500人以上、屋内で100人以上の集まりを禁止しており、3月17日のセント・パトリックス・デーのイベントはすべてキャンセルされた。

何もなければ、パレードに参加したりパレードを見物したりした人々が集まって騒いでいたであろうはずの17日夜、アイルランド首相レオ・ヴァラドカーがテレビ演説を行い、非常に厳しい見通しを率直で真摯な言葉で語った。この演説が大反響というか、ものすごく高く評価されている。「ものすごく」というより「驚くほどの」というべきかもしれない。何しろあのジェイミー・「旗騒動」・ブライソンまで誉めているのだ(ジェイミーはレオ様のこのスピーチの才能をうらやんでいるに違いない)。

私もリアルタイムでネットで聞いていて、非常に大きな感銘を受けた。まさに「言葉の力」というのはこういうものだと思う。"We are asking people to come together as a nation by staying apart from each other." という言葉は、レオ・ヴァラドカーという政治家について、ずっと語り続けられる言葉になるだろう。

英語実例ブログの方に、簡単な背景解説とスクリプトへのリンクを上げてあるので、そちらをご参照いただければと思う(同じことを複数の場所に書きたくないので、こちらには書かない)。

映像はこちら:



英語圏では、このほかにも、"We are all in this together" という力強いメッセージがいろいろと出ている。気づいたものはTwitterでメモしている。
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2020年03月01日

学術的に確認はされていないことでも、報道はされていたということについてのメモ(新型コロナウイルスの「再感染」について)

※本稿の表題ですが、「報道があった」ことは「その事実がある」ことを必ずしも意味しないので、その点はよろしくお願いします。また本稿は、「報道があった」ことを盾に「その事実を認めよ」と迫るものではありません。むしろ逆で、「英デイリー・メイルなどタブロイドを鵜呑みにするな」と言いたくて書いたエントリです。

BuzzFeed Japanのこんな記事が話題になっている:
「新型コロナウイルスの再感染は致死的」医師の動画に批判、専門家「信用しないで」
https://www.buzzfeed.com/jp/ryosukekamba/iwata2


この見出しがあまりにわかりづらくて、私は最初にTwitterでこの見出しを見たとき、どこかのまとめサイトだろうと思ってスルーしてしまったのだが、そんなことは本質的なことではなく、記事自体は、現在のこの「何もかもが不安と不信」というムードの中でひとつの明確な指針となりそうなものだから、読んでおくといいと思う(見出しについては本稿の最後で具体的に指摘する)。

分かりにくい見出しを整理すると、「新型コロナウイルスの再感染は致死的」と主張するビデオを自身のYouTubeに上げている医師がいて、そのビデオについて(その医師とは別の)専門家が「信用しないで」と評価し、内容を批判している、ということである。また、その医師のビデオはネット上でかなり流行っているらしい。私は見たことなかったが、BuzzFeed記事に埋め込まれている当該のビデオのキャプチャ画像を見れば、多くの人が「あー、このビデオ見たわー」となるのだろう。

記事の冒頭には次のようにある。(太字も原文のままで引用してある)
「新型コロナウイルスの再感染は致死的」。そう説明する現役医師の動画がネット上で拡散されている。感染症の専門家で神戸大学教授の岩田健太郎医師は「そういう事例の報告はない」「引用論文が明示されていないものは信用しない方がいい」と注意を呼びかけている。
https://www.buzzfeed.com/jp/ryosukekamba/iwata2


そして記事の下の方には、岩田教授の発言として、次のようにある。
そもそも「2回感染した」という事例は、1度も確認されていない。検査で陰性になった後に陽性になったという人が、「2度目に感染したのか」はまだ謎なんです。

大阪の事例にしても、中国の事例にしても、陰性になったのは検査で見つけられなかっただけで、ずっと感染していただけなのではないか。再感染より「再燃」(いったん減少したウイルスが再び増加すること)の可能性の方が高いと考えています。

再感染が確認されていないということは、それが心不全を起こすということも当然確認されていない、ということです。


と、岩田教授は「1度も確認されていない」と言い切り、その後で陰性だった人が陽性になったのは「2度目の感染」なのかどうかは「まだ謎」、つまりまだ解明されていない(わかっていない)と述べている。これは非常にロジカルな言い方なのだが、「2度感染することがあると分かっていない以上、2度感染したという事例はこれまで確認されていない」というのは、やや人を食ったように感じられるかもしれない。要するに、「2度感染するなどということが本当にあるのかどうか、わかっていない」のである。

だから「2度の感染(再感染)」を前提として何かを語ることは、できないわけだ。

以下、BuzzFeedの神庭記者と岩田教授の話は、さらに別の側面へと発展していき、そのパートがなかなか読み応えがあるのだが、本稿ではそちらは扱わない。読めばわかるので、各自で、読んでいただきたいと思う。

本稿を書いているのは、ここで岩田教授によって批判されている医師のビデオにある「再感染で心不全」という話に、おやと思ったからだ。

私は医学は専門外だから、用語を正しく把握・記憶しているかどうかはわからないのだが、「再感染する」「心臓に影響が出る」といった話は、2月の間に何度か、Twitter上で英語で遭遇したことは確かだ。"infected again" とか "second infection" とか、"cardiac なんとか" といった単語でそういう内容のことが語られていた。それが気になったので、今回改めて検索して掘り出してみた。そういう報道があったということはこれで確認できると思う。

詳細を述べる前に念のために書いておくと、岩田教授がおっしゃる「確認されていない」は、医学的にそういう事実があるということが検証を経たうえで確認されていないということであり(つまり所定の手続きで確認されたと位置付けられる論文等が出ていない)、「メディアでの報道がない」ということは意味していない。だから、岩田教授の発言と、私が報道記事を見た(見つけた)ということは矛盾しない。「〜という事実がある」ことと「〜という報道がある」ことは必ずしもイコールではなく、「事実はあるが報道がない」ことも「事実はないが報道がある」ことも、ありふれている。「〜という報道があったのに、岩田先生はないと言っている」という疑問や不安を覚えている人には、何か発言する前に、まず前提として、このことを再確認していただきたいと思う。

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2020年02月25日

「難しいことはわからない私」でも、「言葉」を見る目があれば、誤情報から自分も家族も友人も守れるはず――善意で広まるあるチェーンメール

新型コロナウイルスに関してはいろんなことが言われていて、その一部はデタラメだ。個人的にウイルスの話など読んだり聞いたりしてもどのくらい正確に理解できるのか怪しいくらいの素養しかないのだが、それでも「今回のウイルスは、熱に、弱いそうです」で始まる日本語のメッセージを受け取ったときは、「これはデタラメだ」と即判断した。

なぜか。日本語がひどかったからだ。「ひどかった」というより「機械翻訳臭」に満ち満ちていたから。もっと言えば「失敗した機械翻訳臭」だ。(詳細後述)

そういうダメな翻訳の話は、今回の新型コロナウイルスに関するニュースのなかでもうひとつあるのだが、そちらについて書こうとしていたらなぜかドツボにはまってしまい、昔聞いていた『基礎英語』のテーマ曲が頭をぐるぐるし始めるというありさまで(その音楽が『基礎英語』のテーマだということは、あとから調べて確認しなければならなかったのだが……つまり、ぐるぐるしている間はずっと「これ何だっけ、これ何だっけ」と考えていた)、もう少しこなれるまでの時間が必要だということで、取り急ぎ、「今回のウイルスは、熱に、弱いそうです」の怪文書から。

そう、これは「怪文書」だ。

これは「怪文書」である

このメッセージを(幸いにも)受け取っていない人もおられるだろうから、下記に画像データで示しておく。(読み上げソフトをお使いの方には申し訳ありませんが、コピー&ペーストできるテキストの形で再掲することは、不確かな情報を記載した怪文書を、当ブログからまたコピペで拡散させてしまうことになるので、なにとぞご理解ください。)画像データには大量のウォーターマークを入れておくが、それはこれをこのまま悪意で再拡散・再利用させないためである。読みづらい点はお見逃しいただきたい。

基本的に送信されてきた文面をそのまま画像化したが、画像化に必要とされる改行を何か所か加えた(改行を加えた個所は、画像中に「☆」で示してある)。また、私にこの文面を送信してきた人(直接つながりのある人)の書いた部分もプライバシーの観点から一部を保護したが、その人にこのメッセージを送信したのがどういう立場の人かはわかるようにしてある。

あと微細なことだが、文中で半角のナカグロ(「・」の記号)が1か所使われているところがあったが、それはテキストデータにするときに全角に変換してしまった。(この手の怪文書で半角のナカグロが使われていることは、ちょっと気になるけど。)

cvdkbsh.png
※画像はクリックで原寸表示。

この文面は、Twitterで多発が報告されている文面(「耐熱性に乏しく、26-27度の温度で殺傷します」を特徴とする)とは若干異なっている。つまりこの「怪文書」の文面は1つではない。

書き出し最初の2行にある情報、つまり「ウイルスは熱に弱い」とか「温かい飲み物を飲もう」「ぬるま湯を持ち歩こう」とかいったことは、厳密ではないかもしれないが(「ぬるま湯」では持ち歩いてるうちに「常温の、つまり冷たい水」になってしまう)、別に変ではない。日本語も、「やたらと読点(、)が多いな」という程度で、特に変には見えない。日本語の文章を書き慣れていない人が、丁寧に書こうとして、やたらと読点だらけの文を書いてしまっているのだろうというのが第一印象で、だから私も元々は看護師さんからの転送メッセージだというこの文面を、読まずに捨てることはせずに読んでみたのだ。しかし、読み進んでいくうちにどんどん「?」となってくる。

まず「?」が浮かぶのは、5行目の「必ずたくさん伝達してください.」だ。チェーンメールの常套句ではないか。

チェーンメールは善意が回す

「チェーンメール」とは、人から人へと鎖状に(チェーンのように連鎖的に)転送させることを目的とするメールのこと。SNSやLINEのようなメッセンジャー・アプリが当たり前になった現在では「メール」という名称は時代遅れだが、言語的には「筆」ではなく「鉛筆」を入れているのに「筆箱」と呼び続けているような現象なので、そこは気にしないでいただきたい。

この「チェーンメール」について、日本データ通信協会は次のように説明している

チェーンメールとは、転送を呼びかけ、次々と鎖のように連鎖していくメールのことです。

チェーンメールは転送されることを目的としているため、受信者の恐怖心をあおるホラーな内容や幸せになれるおまじないなど、善悪様々な種類の内容で転送させようとします。

……こういったチェーンメールのほとんどはデタラメ(で)……軽はずみな転送は、悪質なデマの情報を不特定多数の人にまで広げてしまうことになります。


「必ずたくさん伝達してください.」という文言は、まさに定義通りの転送の呼びかけである。

チェーンメールの目的(なぜ多くの人に転送させたいのか)はケース・バイ・ケースで、中には本当に善行を目的としたものもあるのかもしれないが、インターネットといえばパソコンを使わないと利用できなかった時代からネットを使っている人々の多くは、「なるべく多くの人に転送してください」という不特定多数宛てのメッセージは無視する習慣が身についていると思う(メーリング・リストなどにうっかりチェーンメールを転送してしまうなどした日には、お叱りやら罵倒やら忠告やらアドバイスやらで大変なことになったものである)。

だが、現状、ネット利用者の多くがそういうわけのわからない情報空間に慣れていない人たちだ。FacebookであれLINEであれ何であれ、リアルの知り合い同士の安心できる情報交換や交流の場でしかなく、そういうところにネットの、いわば野良のチェーンメールが持ち込まれても、「無視する」というマナーが発動しないのだろうと思う。だから(私が受け取ったのとは少し違う文面だが、同内容の怪文書が)拡散してしまっているのではないかと思う。






ちなみに私が受け取った文面で、「必ずたくさん伝達してください.」の文末の句点は半角ピリオドである。文書全体にわたって、句点は全角のマル(。)で統一されているのだが、ここだけ、なぜか半角ピリオドだ。「あとから付け加えられた」臭が立ち込めている。

上述の半角のナカグロにしても、「あとから付け加えられた」部分で発生した誤変換かもしれない。(ナカグロに全角と半角があるということを知っている人はそれなりのスキルがある人で、パソコンなんかほとんど触ったこともない人たちがどんどんネットを使うようになっている現在、そこを統一するのが当たり前で統一されていなければおかしいと考える人は「異様に細かい人」扱いされるものだが、何が言いたいのかというとGoogleなり何なりに投げて得られる機械翻訳結果に半角ナカグロって含まれるものなんすかね、ということ。)

ここらあたりから、文面は一気に「不自然な日本語」っぽさを増していく。上述の「必ずたくさん伝達してください」という常套句にしても、日本語としては不自然だ。

しかし、「日本語として不自然」だからという理由だけで「転送すべきでない文書、怪文書の類なのではないか」と疑える人は、実はそんなに多くはない。だってこの文書には何かもっともらしいことがかいてありそうだから。

「何かもっともらしいこと」というのは下記の図をご参照いただきたい。


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2020年02月03日

【業務連絡】はてブを非公開(プライベートモード)にしました。

表題通りです。先ほど、はてなブックマークをプライベートモードにしました。

以前ははてなIDを指定して一部公開ができるようになっていたはずなのですが、今、どこを見てもその指定ができるところが見当たらないので、その機能は廃止されたのでしょう。このため、全面的に非公開になってしまいますが、当面はこの形で運用しようと思います。見て下さっていた方々にはご不便・ご迷惑をおかけしてしまうかもしれませんが、何卒ご了承ください。

非公開にした理由は、はてな村ではよくある話ですが、「知らない人から粘着されたから」です。ブコメ一覧を非公開にしてるのと同じような話です。

私にとっては「語る権利」という基本的な権利ゆえに発言はしたけれど、語られていること(あるマンガだかアニメだかのキャラクター)それ自体には関心はなく、というか積極的に「どうでもいい」というトピックについて、発言からすんごい時間のたった今頃になって、「メタブはご遠慮ください」と書いているにもかかわらず、メタブで絡んでこられました。

hatebuhikoukai.png

そのマンガだかアニメだかのキャラクターについては、新たなグッズが作られたとかなんとかいうことがあったみたいなんですが、私はここ数日ずっとBrexitとアイルランドの総選挙の話を追うのと(あと中東とイラクもウォッチしてる)、頭の中を整理するのとで忙しくて、そんなどうでもいいキャラクターのことは見てないんっすね。自分では見てなくてもTwitterでは「みんな」が話題にしてると視界に入ってくるので、もうほんとうっとうしいしキモいしでついに最終兵器、単語単位でのフィルタリング(キャラクター名)を発動したくらい。あれをめぐるすべてがあまりにうっとうしくて、視界に入れたくもないので。

というわけで、再燃したそれについては何も見てないから、話は私にとっては訳の分からない方向に行ってて、仮に何か話しかけられたら「何かまた再燃してるらしいね」くらいで終わらせるようなことなんですが、はてブという場はそれで終わるということを可能にさせない。システム設計の問題なのか、ユーザーが当たり前のものとしている行動様式の問題なのか、他の何かの問題なのかはわからないけど、何か発言があったら延々と粘着されてさらし上げられることが可能にされてる場です。その昔、はてなの相談役だか社外取締役だかの人が「スルーする力」について熱弁をふるっていたんだけど、そして実際に「スルー力」は重要だと個人的には思うんだけど、実際に粘着されたときに何ができるかという点ではてブはほんとに頼りないというか、システム設計が基本的に2000年代半ばのままなんですよね。今のネットのモブには対応できない。そしてそのキャラクターをめぐるあれこれは既に「モブ」化してるんです。次から次へと「敵」を求めて狩り回ってる感じ。

自分に100の関心があることについて、誰か別な人も発言していたら、その人も100の関心があると思い込んで、ウザ絡みしてくるという子供じみたことは、やめてほしいんですけどね。あなたに100の関心があっても、私には0.001くらいの関心しかないです。

私は元々はてブの「メタブ」という文化(みたいの)が大嫌いです。あれは本当に気持ち悪い。そして、よりによってあのキャラクターの話を蒸し返されたうえで絡まれたくないんです。だから鍵をかけます。

メモっておきたい記事はTwitterの方でもかなりフィードしているので、お手数ですがそちらでご確認いただければと思います。
https://twitter.com/nofrills

よろしくお願いします。


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posted by nofrills at 13:31 | 事務的なこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年01月31日

欧州議会の議場で歌われたのは「別れの歌」ではない。「友情の歌」である―−Auld Lang Syneは「蛍の光」ではない。

表題の件、欧州議会が「とっとと出てけ」っつってケツを蹴飛ばすために「蛍の光」を歌った、「煽り」だ、とかいうトンデモな説がネット上の日本語圏で断言された断片として漂っていて、それについて書こうと思ってこのブログの管理画面を開いたが、もうタルいのでツイートの貼り付けだけ。そもそも、Auld Lang Syneと「蛍の光」が全然別物だということは常識だと思っていたが? (「蛍の光」の歌詞は原詩の翻訳ではない。)










↑「別れに」って書いたけど「永遠の別れに」っていう意味。大晦日から元旦の集まりをお開きにするときに歌われる(つまり「今年もみな元気でやっていこう」的な意味)。



議場からの議員による実況ツイートを私がリツイートしたものは下記:
https://twilog.org/nofrills/date-200130/asc

リンクしといたって誰もクリックなんかしないからキャプチャ画像で入れとく。
auldlangsyne.png

それと、ナイジェル・ファラージのゲス野郎が何かやってたことについては:
auldlangsyne2.png
※ファラージを黙らせたマレード・マクギネスはアイルランド選出のMEP。キャシディ先生がそう書いてるけど、一応、日本語で強調しておく。


Auld Lang Syneの歌詞はスコットランドの詩人、ロバート・バーンズによるもので、スコットランド語で書かれている。スコットランド語は英語(イングランド語)に近いが、「別の言語」になる程度に違う。欧州大陸の議員たちはそのなじみのない言語での歌詞を書いた紙を見ながら、声を合わせて歌ったのだ。

Should auld acquaintance be forgot,
and never brought to mind?
Should auld acquaintance be forgot,
and auld lang syne?

For auld lang syne, my jo,
for auld lang syne,
we'll tak' a cup o' kindness yet,
for auld lang syne.

...

As well as celebrating the New Year, "Auld Lang Syne" is very widely used to symbolise other "endings/new beginnings" – including farewells, funerals (and other memorials of the dead), graduations, the end of a (non-New Year) party, jamborees of the Scout Movement, the election of a new government, the last lowering of the Union Jack as a British colony achieves independence[24] and even as a signal that a retail store is about to close for the day.

https://en.wikipedia.org/wiki/Auld_Lang_Syne


これを「煽り」とか「嘲笑」とか、よくもまあ勝手に解釈できるものだ。無知はこれから知ればよいが、無知が無恥のまま放置されて無恥の恥知らずになって、しかも増幅され拡大されているのは、見てるこちらが恥ずかしいし、醜いし、おぞましい。

クソが。

むしろ、スコットランド語がEUの公用語に新たに加わることの伏線だろうよ。
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2020年01月27日

【訃報】シェイマス・マロン

シェイマス・マロンは、1998年グッドフライデー合意 (GFA) のときの写真で一番目立っている人たちの中にはいないが、GFAによって、それまでの自治議会(パーラメント)に代わって設立された自治議会(アセンブリー)で、主導的な立場に立った政治家である。このとき、北アイルランドにおいて初めてアイリッシュ・ナショナリストが政治に参加したのだが、ユニオニスト最大政党だったUUPのデイヴィッド・トリンブルがファースト・ミニスターになり、ナショナリスト最大政党だっがSDLPのマロンが副ファースト・ミニスターになった。

SDLPは党首はジョン・ヒュームだったが、党首と副ファースト・ミニスターは別の人がやるという方針をとり、ヒュームの右腕的な存在だったマロンが副ファースト・ミニスターになった。

この自治議会(アセンブリー)はほんとにいろいろと大変で、最終的には2002年の「スパイ疑惑」(IRAが議会内にスパイを送り込んでいるという疑惑。その事実はなかったことが後に判明した)でサスペンドされてポシャってしまったのだが、そうなる前もいろいろと大変で、ユニオニストは「IRAの武装解除」を強硬に要求し、シン・フェインは例によってのらりくらりとしていて(ロンドン滞在中に山場だったので毎日ニュースでジェリー・アダムズを見ていた時期があったのだが、ひどかった)、SDLP(シン・フェインと同じナショナリストではあるが、シン・フェインとは犬猿の仲である)は結局「北アイルランドの政治」というめちゃくちゃ厄介なものを扱いきれなかった感があった。SDLPは非暴力主義でカトリックのミドルクラスを支持基盤としていたが、GFA直後の数年で、北アイルランドでは「やっぱコワモテじゃないとこの土地はどうにもならんのでは?」というムードが固まって、実際、2003年の選挙では両陣営のコワモテ(DUPとシン・フェイン)がそれぞれの側の第一党となった。SDLPはそれ以降、ずっと退潮傾向にあった。(それが逆向きになってきたかというのがこないだ、2019年12月の選挙だったが、あれはまたあれで単に「強硬派vs穏健派」の物語で語るわけにはいかないと私は思う。)

こんなことを書いてたらまた書き終わらないので先に行くが、ともあれ、マロンはヒュームとともに、2001年に、SDLPのリーダーシップから退いた。2003年の選挙では立候補せず、そのまま政界を引退した。

そして、まあ今なら、北アイルランドでも、引退した政治家が何か発言したのがニュース記事になるくらい注目されるということもあり得るのだろうが、2000年代っていうのはIRAなど武装組織がまだ終わってなかった時期で、最大の関心事は「IRA(やUDAやUVF)の武装解除」で、それを語る人々の発言は注目されたが、SDLPの発言で注目されていたのは、現役の党首(マーク・ダーカン)らの発言だけだったと記憶している。シェイマス・マロンは、その時期の北アイルランド報道を熱心に見ていた私にとっては、「過去の人」だった。

そういう認識を、訃報があってから、改めている。

マロンの訃報が流れたあとに、北アイルランドとアイルランドの政治リーダーたちやジャーナリストがマロンについてどう述べていたかは、ざっくりと日本語にしながら、記録してまとめておいた。下記で一覧できる。
https://threadreaderapp.com/thread/1220809609125851137.html

そして、何人ものジャーナリストが言及していたマロンの自伝(2019年5月刊)を私は今さらだが購入し(出てたことすら知らなかったのだが)、読んでいる。Amazon Kindleで900円程度、楽天KOBOなら700円足らずだ。まだ最終章しか読めていないが(訃報があってから言及されていたのが最終章なのでそこをまず読んでいる)、北アイルランドに関心がある人は読むべき本だと思う。

Seamus Mallon: A Shared Home Place (English Edition) - Mallon, Seamus
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シェイマス・マロンは徹底的に暴力に反対していた。誰が行使する暴力であれ、反対していた。だから北アイルランド警察にも英軍にも反対し、IRAなど武装勢力にも反対していた。

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posted by nofrills at 09:36 | todays news from uk/northern ireland | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【訃報】テリー・ジョーンズ

「スパム・スケッチ」のウェイトレス、「スペインの異端審問」のビグルス枢機卿、「ザ・ビショップ」、「このぉ、ちょんちょん! (Nudge nudge)」される人、カール・マルクス……などなど、TVシリーズ「モンティ・パイソン」でどちらかというとあまり目立たない役が多かったにもかかわらず目立った場合は強烈で、TVシリーズが終わったあとは『ホーリー・グレイル』、『ライフ・オブ・ブライアン』などパイソンズのメンバーたちを主役に据えた企画ものの映画やそのほかの映画でメガホンをとった、ガチの歴史家(中世イングランド)のテリー・ジョーンズが、こないだ亡くなった。

ジョーンズは、2016年9月に「原発性進行性失語」という症例の少ない認知症のため、公的な場での発言ができなくなったことを明かしていた。その数年前から症状は出ていて、2014年のパイソンズ再結成の舞台(ロンドン)は、ジョーンズは相当頑張ってやりぬいたのだという。

その後、「言葉の人」だったジョーンズは、ゆっくりゆっくりと言葉を失っていって、そして2020年1月21日に永眠した。その約1か月前には、モンティ・パイソンの音楽のコラボレーターだったニール・イネスが亡くなっていて、「立て続け」にもほどがあるというレベルで立て続け。70代というのはこういうことなんだなと。

ジョーンズの訃報を受けて、英メディアでは大学時代からの親友だったマイケル・ペイリンがメディアのインタビューにたくさん応じていたようで(イングランド在住なのがペイリンしかいないのかもしれない……エリック・アイドルはLAだし、ジョン・クリーズはBrexit後のごたごたに業を煮やしてカリブの島に移住してしまった。テリー・ギリアムはイタリア在住だっけ?)、そこで「いい人」っぷりを発揮するような柔らかい口調でジョーンズの楽しい話をあれこれしていた。認知症についても単刀直入で、「何も覚えていられないんだよね」と告げていたという。



そういったことを含め、ジョーンズが亡くなったことを語る言葉を、英語実例ブログの方に書いてある。下記3件の記事だ。(最近、あちらのブログしか更新していない。あちらは「毎日更新する」という形を保とうとしているので、何だかんだ毎日更新している。その分、こちらがおろそかになっていては本末転倒だが。)特に誰も「ネタ」で発言していないという事実の裏にあるのは、年齢的なことかもしれないが、やはりジョーンズの病気を考えたら全然ネタにできない(ならない)ということなのかなあと思う。

1. 感情の原因・理由を表すto不定詞(副詞的用法), 同格のthat, 主語とbe動詞の省略, 使役動詞(テリー・ジョーンズ死去)
2. 形式主語itの構文, feelを使ったSVCの文, 【ボキャブラリー】a man of 〜 (ジョン・クリーズによるテリー・ジョーンズ追悼の言葉)
3. the moment + S + V, O+S+Vの形の文, 条件を表すif節, 省略(テリー・ジョーンズを偲ぶ盟友たちの言葉)

そうそう、ジョーンズが言葉を失いつつあることを書いた2016年9月のエントリで言及してあったジョーンズ最後の著作(クラウドファンディングを募っていた3部作の3冊目)は、無事、出版されている。下記リンクで直接電子書籍が買えるが、Amazonでも入手できる。
https://unbound.com/books/the-tyrant-and-the-squire/

The Tyrant and the Squire - Jones, Terry
The Tyrant and the Squire - Jones, Terry

追記:
"Monty Python the Flying Circus" のYouTubeアカウントに追悼の特集映像がアップされている。パイソンズのメンバーたちがそれぞれジョーンズのことを語っている映像があり、そのあと、ジョーンズのコメディ映像の詰め合わせ。見たことないのがある。



このYouTubeのコメント欄より:
Finally, he mastered the art of not being seen. RIP


草生えたwwwwwwwwwwwwwwwwww
grass-4068585_1920.jpg

ほかにもこんな言葉がある。


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2020年01月13日

北アイルランド自治議会・政府(ストーモント)、3年ぶりに再起動

日本時間で10日(金)深夜から11日(土)未明にかけて(現地時間では10日の午後)、北アイルランドについてまたもや "historic" という言辞が飛び交うこととなった。

北アイルランドに関する "historic" は、この20年来、安売りされすぎていて、ことばの意味がどんどん失われてきているレベルなのだが(「政治家による、メディアとメディアの向こうにいる一般の人々に対する掛け声」みたいな感じになっている)、今回は、「昔、 "historic" ってもっと大きなことに使っていたよな……」という感覚がどうしてもぬぐえない。

それだけ、北アイルランドが(ここ20年の間に "historic" と形容された本当に「歴史的」な動きのいくつかによって)確実に前進してきたということだろう。紛争が終わって、いくつかの/いくつもの "historic" な動き(「停戦宣言」、「監視塔の撤去」、「武器のデコミッション」といった軍事的なものもあれば、「英国とアイルランド両国が北アイルランドにコミット」、「パワーシェアリングに同意」といった政治的なものもあった)によって「ポスト紛争」の社会と政治をどう構築するかという段階を超え、もうさほど派手なことは起こらない段階にさしかかっているとみるべきなのかもしれない。

今回、2020年1月に "historic" と呼ばれたのは、ストーモントの自治議会がようやく再起動するということだ。正確に言えば、自治議会に議席を持ち、自治政府(エグゼクティヴ)にポストを持っている各政党(北アイルランドでは「主要政党」と位置付けられる)が、英国政府とアイルランド共和国政府代表者が提示した自治議会・政府の再開の諸条件の文書に合意した。

Northern Ireland assembly to sit on Saturday after three years
https://www.theguardian.com/politics/2020/jan/10/pressure-mounts-northern-irish-parties-restore-power-sharing-sinn-fein-dup


金曜日に合意して、土曜日に議会が招集され、議長・副議長や閣僚が指名され、それぞれのスピーチが行われた。


閣僚の一覧は下記記事などを参照。議長がSDLPではなくシン・フェイン(アレックス・マスキー)なのは意外だったのと、「環境」のポストがキリスト教原理主義者のエドウィン・プーツでいいのかという気がするが……。あと、「財務」と「教育」は逆なのではと思ったが(今までそうだったよね)……。司法大臣のポストが、第一に掲げるのがユニオニズムでもナショナリズムでもないアライアンス党の党首に行くのは、今のストーモントの自治議会ではデフォになっている。
https://www.bbc.com/news/uk-northern-ireland-51077397

ストーモントの自治議会が機能を停止したのは、3年前の1月9日のことだ。北アイルランド自治政府は、よくある「閣僚を出す与党と、閣僚を出さない野党」の構造ではなく、議会の議席数に応じて各政党に閣僚ポストが分配されるD'Hondt方式をとっていて、自治政府トップのファースト・ミニスター(「首相」格)だけは最大政党と2番目の政党の代表者2人が正副ファースト・ミニスターとして勤めることになっている。最大政党と2番目の政党というのは、すなわち、「ユニオニスト/プロテスタント」側と、「ナショナリスト/カトリック」側それぞれの代表者ということである。このやり方が「パワー・シェアリング(権限分譲)」と呼ばれる。

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posted by nofrills at 14:45 | todays news from uk/northern ireland | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月20日

数日、Twitterアカウントを鍵付きにすることにした理由(あるいは中に人がいるbot化宣言)

「こういうの、何度目だよ」と呆れられるかもしれませんし、自分でも呆れてますが、何度でも繰り返さねばならないようです。ネット上で何とか言質をとって炎上させようという人は次から次へと現れるようなので。

昨晩(というか今日未明)、Twitterで、これまで見たことのないアバター(アイコン)の、これまで見たことのないIDの人から、いきなり「それなら何も発言しなければいいと思います」と言われました。所謂「絡まれた」状態ですね。インターネット老人会に代々伝わる教えとしては、そういうときにまともに相手にすると自分が深手を負うので、関わらないのが一番です。「荒らしはスルー」という格言ですが、Twitterで遭遇するのは必ずしも「荒らし」の挙動とは限りません。ただ当方は個人的にネット内外で、「何とかこいつの言質を取ってやろう、都合の悪い発言を引き出してやろう」とふっかけてくる人には何度も遭遇していて、そういうのには、ねこがちゅ〜るに敏感なのと同程度に敏感になっています。(時には、ねこが人間が食べるゼリー的なものをちゅ〜るだと思い込んでしまうように、勘違いすることもあるかもしれません。)

今回「絡んで」きたのも、そういう人だろうと判断されました。たった140字のツイート内で論点をずらしていくタイプ(自分では「論点ずらし」だと気づかないタイプかもしれません)。そもそも前提がおかしい(こちらが言ってもいないことを言ったことにしていたり、共通の前提としていたりする)。そういう人とは、普通に面と向かって話をしていてもまともな対話にはなりません。ましてやネットではとても難しい。Twitterなんていう文脈も示せないような場では無理です。

そしてTwitterでは、そういう「対話」っつーか「会話」をしていれば、ギャラリーがわらわらと寄ってくるわけです。いったんギャラリーが寄り始めたら、ここはお江戸じゃねぇんだ、喧嘩は花じゃねぇ、見世物じゃねぇんだ、っつっても通じない。はてなブックマークで「もめごと」とかいうタグをつけられて晒されるのがオチです。

そうなったらハイウェイ・トゥ・ザ・「炎上」。この年末の忙しいときに。

そして、昨年から今年にかけてわかったことは、「ネット上のもめごと」や「ネット上の炎上」は、リアル世界での暴力と無縁ではないということ。ただでさえ脅されている身としては、これ以上のトラブルはごめんです。周りに延焼しでもしたら目も当てられないし。

というわけで、私のTwitterは、これからは「中の人がいるコピペbot」のようなものになります。メモしておきたい記事の見出しとURLをフィードし、抜粋をコピペするだけにします。

私はアクティビストじゃないし、所謂「Twitterアクティビズム」みたいなのは生温かく見てるだけですし(今回の英国の選挙でも見てるだけでとても疲れた)、元々ハッシュタグは情報共有and/orポインター(「ここ見てね」という意味で)のためにしか使ってないんですが、ハッシュタグを使うと「この人はアクティビズムの人だ!」と喜んで飛び掛かってくる無邪気なわんこみたいな人もいて、そういうタイプの人が「《なんとか》狩り」に興じているときは(今回はTERF狩りですね。私はTERFじゃないですよ。むしろ逆の立場。とか書くと「証拠を示せ」「私が納得するように説明しろ」とか言ってくるんだろうな……これまで何度もあったように。ログでも何でも勝手に掘ればいいじゃない、あるんだから)、「お前が《なんとか》でないことを俺が納得できるように証明できるまでは離さないぞ!」ということになるわけです。

関わりたくないです。

以下、一連の経緯の記録です。


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2019年12月14日

英国の「二大政党制」の終わりは、「第三極の台頭」ではなく「一党優位政党制」を意味するようだ。(2019年総選挙)

12月12日という微妙な日程で行われた英国の総選挙が終わった。全体的な結果について思うところはいろいろあるが、今キーを叩いているのはそれについて書くためではない。北アイルランドの結果について書くためだ。というか、結果だけでなく、北アイルランドでの今回の選挙全体について、できる範囲で。|→予定変更。北アイルランドについては別稿にて。

本題に入る前に英国全体の結果についてちょっとだけメモしておく。日本時間で13日の朝7時(現地12日夜10時)に投票が締め切られると同時に出口調査の分析結果が公表された。Twitterに流れてきていたTV画面のキャプチャ画像でその数字を見た瞬間、何か見間違えてると思ったのだが、次に流れてきていた別のキャプチャ画像にも同じ数字が書いてあったので、見間違いではないとわかった。

この時点で予測されていた議席数は、保守党が368議席、労働党が191議席、LibDems(「自由民主党」という党名は紛らわしいので当ブログでは「LD」と表記する)が13議席、スコットランドのSNPが55議席、環境政党Green Partyが1議席、欧州議会議員選挙ではすごい勝利をおさめたナイジェル・ファラージの新党であるBrexit Partyは議席なし、その他の政党が22議席(うち、北アイルランドに配分されているのが18議席)というものだった。



ちなみに、実際の確定議席数は、保守党が365議席(66増)、労働党が203議席(42減)、LDは11議席(10減!)、SNPは48議席(13増)、Greensが1議席(変動なし)で、その他の政党が22議席 (source)。(「その他」が27議席減ったことになっているがこれは後述するように保守党から追放されて議会解散時に無所属となっていた議員が「その他」に参入されているためで、2017年に選挙を行ったときの数値(317議席)を基準にすれば、保守党の「66増」は「48増」となる。)

「保守党368議席」の数値に「出口調査の数値は予測であって、確定結果じゃないし、今回はギリギリで競る選挙区が相当たくさんあるから」と述べている人もTwitterにはいたが、実際には365議席だったので、誤差はほとんどなかった。労働党の191議席は少なく見積もりすぎだったが、問題はそんなところにはなく、投票締め切りと同時に「保守党の単独過半数」がわかったということが重要なポイントだった。

英国の下院で単独過半数に必要な議席数は326議席。今回の選挙の最大の注目ポイントは、ボリス・ジョンソンの保守党がこの議席数を獲得できるかどうかだった。今回の選挙は「Brexitを問う選挙である」みたいなざっくりした説明が当たり前のように横行しているようだが、Brexit云々とは別に、ジョンソンの嘘上等&法律違反上等のめちゃくちゃな手口(政治手法)がノーチェックで通るということがないよう、議会を政府に対する一種の弁みたいにするために保守党の単独過半数を阻止しなければならないという有権者の運動は選挙の実施が決まってからわりとすぐに始まっていた。Twitterでは「戦術的投票 tactical voting」を呼び掛ける発言がシェアされ、それを支持する著名人の発言も相次いだ(その一例は、英語実例ブログのほうで取り上げた)。選挙が終わってみたら、ジョンソンがこの選挙で成立することになる自身の政府を "people's government" と厚顔無恥にも名付けているためだろう、そういった呼び掛けの発言を行った著名人はまるで「『人民の意思 people's will』の実現を邪魔しようとする国賊」であるかのように扱われていて(後述)ものすごく息苦しいのだが、そういう「結果」が発生する前の段階、つまり「単独過半数を阻止しよう」という勝手連的な運動が起きた段階で、ウォッチャーとしては、これは注目に値することだと思った。英国の政治が「二大政党制 two-party system」を前提としてきた時代が終わったということだからだ。


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2019年11月30日

ロンドン・ブリッジでまたテロ攻撃――テロリストとして有罪になっている人物が、なぜまたテロを起こせたのか

11月29日(金)の23時台、Twitter経由でロンドン・ブリッジで何かが起きているということに気づいた。現地では14時台だ。最初はよくある鉄道トラブルかなと思った。英国は米国の感謝祭は存在しないが、それにまつわる商業行事のブラック・フライデーのセールだけはここ数年で輸入されているので、その関係のイベントかなとも思った。しかし実際に起きていたのはそういうことではなかった――一帯は封鎖されており、銃声があったという。

ロンドン・ブリッジでは以前にもテロ攻撃があった。2017年6月3日、橋を北から南に進んでいく車が歩道の歩行者の中に突っ込み、テムズ川の南岸に渡り切ったところで車を捨てた犯行グループ3人が、今度は刃物を用いて、バラ・マーケット (Borough Market: 大量生産でない加工品やオーガニックの野菜などで有名な食品の市場だが、敷地内にレストランやパブもたくさん入っている) にいた一般の人々を次々と襲った。8人を殺し、48人を負傷させた容疑者3人は、そのすぐ先で警察に撃たれて死んだ。イスイス団に触発されての凶行だった。
https://en.wikipedia.org/wiki/2017_London_Bridge_attack

英国では事件・事故などで亡くなった人の死亡原因の特定のために、inquest (死因審問)と呼ばれる法的手続きが取られるが、2017年6月のバラ・マーケットでのテロのインクエストは、今年5月から7月に行われたところだった(このインクエストの結論は特に驚くべきものはなかったので、Twitterなどでメモることもしてないと思う)。
https://en.wikipedia.org/wiki/2017_London_Bridge_attack#Inquest

あのテロに影響を受けた何百人という人々は、インクエストの報道を見てまた「あの日」のことを思い出していたに違いない。

それから4か月ほどで、また同じロンドン・ブリッジで、何百人――いや、ひょっとしたら何千人の規模で、「あの日、自分はそこにいた」と回想することになる人々が増えた。平日の昼間に、道路の通行止めや駅の封鎖などで交通網にも広く影響が出たから、間接的に影響を受けた人は何万人の単位になるだろう。Twitterでフォローしている方の中にも、ご家族の誰かが発砲音を聞いた人や、交通の混乱に巻き込まれた人がいる。この

今回のテロ攻撃は、29日(金)午後2時前に、ロンドン・ブリッジの北側にあるフィッシュモンガーズ・ホールのあたりで起きた。この建物は魚屋のギルドの建物で、ルーツは中世にあるが現在の建物は19世紀半ばに建設されたものである。第二次大戦でのロンドン空襲で損傷して修復され、現在はGrade IIに指定されている(文化財の指定を受けている)。外観はあまり派手ではないが、中は壮麗で、イベント会場として貸し出されるなどしている。
https://www.squaremeal.co.uk/event-party-venues/fishmongers-hall_275

29日(金)は、この建物で、ケンブリッジ大学のコンファレンスが行われていた。分野は犯罪学だが、テーマは "Learning Together", 犯罪を犯した人と一般社会の関係を「学び」によって再構築していこうという取り組みである。"Learning Together" という取り組みは、ケンブリッジ大だけでなく英国の多数の大学が参加して進めていて、今はちょっと重いようだけど取り組みをまとめたウェブサイトもある。
https://www.learningtogethernetwork.co.uk/

このコンファレンスに招かれていた元服役囚が、今回の事件を起こした。現時点で報道されていることをまとめたウィキペディアには次のように記載されている(事件が進展中の段階ではこんなにすっきりまとまった情報は出ていなかったということは強調しておきたいが):
A man attending the event, and wearing a fake suicide vest, threatened to blow up the hall. He began stabbing people inside the building. He subsequently began stabbing pedestrians at the north side of the bridge. Several people fought back, including one who grabbed a narwhal tusk from the wall inside Fishmongers' Hall to use against him as a weapon.

Several people were injured before members of the public restrained the attacker on the bridge. The police arrived shortly thereafter and surrounded the attacker, firing multiple shots. The attacker was shot by police and died at the scene.

https://en.wikipedia.org/wiki/2019_London_Bridge_attack


このようにして5人が刺され、うち2人が残念なことに亡くなった(現時点では男性1人、女性1人としか報じられていない)。

襲撃者はこのコンファレンスに「当事者」として招かれていたのだが、では彼はどのような罪で服役することになったのか。現地でも日付が30日になったころには、それが報じられていた。明らかになった事実に、私は言葉を失わざるをえない。

London Bridge: Attacker had been convicted of terror offence
https://www.bbc.com/news/uk-50610215


Usman Khan profile: terrorist who wanted to bomb London Stock Exchange
https://www.theguardian.com/uk-news/2019/nov/30/usman-khan-profile-terrorist-who-wanted-to-bomb-london-stock-exchange


襲撃者、ウスマン・カーンは28歳。2010年、19歳のときにロンドン証券取引所を爆破しようとした集団の一員として、2012年に有罪判決を受けていた。量刑は「もはや社会に危害を加えるおそれがなくなるまでは保釈なし」とされていたが、この条件は後に緩和され、2018年12月に仮釈放されて保護観察下に置かれていた。電子タグを常時着用することを条件とした仮釈放だ。
The Met has identified the London Bridge attacker as Usman Khan, a 28-year-old man released from prison on a licence (parole) in December 2018 after spending eight years in jail for terrorism offences.

... Khan was wearing an electronic tag

https://www.theguardian.com/uk-news/live/2019/nov/29/london-bridge-incident-police-city?page=with:block-5de1dc7f8f08cd6fe586e952#block-5de1dc7f8f08cd6fe586e952

Khan was originally classed as never to be released unless deemed no longer a threat but this condition was later lifted.

He was freed in licence in December 2018.

https://www.theguardian.com/uk-news/2019/nov/30/usman-khan-profile-terrorist-who-wanted-to-bomb-london-stock-exchange


2012年のこの判決について、うっすらと記憶にあったので(ロンドン証取はIRAが1990年にボムっているので「またか」と思ったことは確実)ログをあさってみたら、当時の記事が出てきた。

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posted by nofrills at 19:30 | todays news from uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年11月24日

『博士と狂人』などの電子書籍がセールで安くなってる(11月28日まで)&電子書籍書店で否応なく見せられるものについて

11月28日(木)まで、早川書房のビジネス書の電子書籍がセールで最大半額という告知を見て、「ビジネス書かぁ……」とスルーしかけていたあなたに朗報。

サイモン・ウィンチェスターの『博士と狂人』(鈴木主悦訳)が対象になってる。34% OFFで458円。

【honto (DNP + 丸善ジュンク堂】
【期間限定価格】博士と狂人 世界最高の辞書OEDの誕生秘話税込458
(2019/11/24時点)



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【Amazon Kindle】
博士と狂人―世界最高の辞書OEDの誕生秘話 (ハヤカワ文庫NF)
博士と狂人―世界最高の辞書OEDの誕生秘話 (ハヤカワ文庫NF)

サイモン・ウィンチェスターはロンドン出身のジャーナリストでガーディアンで長く仕事をしていた。『博士と狂人  世界最高の辞書OEDの誕生秘話』は英国での原題は "The Surgeon of Crowthorne: A Tale of Murder, Madness and the Making of the Oxford English Dictionary" だが、北米では "The Professor and the Madman: A Tale of Murder, Insanity, and the Making of the Oxford English Dictionary" と題され、日本語版のタイトルはこちらの北米版にならっている。

内容は、19世紀末、英語の網羅的な辞書 (OEDことthe Oxford English Dictionary) を作るというすさまじい仕事に携わる言語学者のジェイムズ・マレー博士と、彼が語義をまとめ上げ辞書を作っていく過程でかけがえのない協力者となったウィリアム・チェスター・マイナーという知識豊富な米国の元軍人(ロンドンで殺人を犯し、精神病と診断され、精神病院で暮らしている)について、残された資料から丹念に読み解いて調査していったもの。この本については既に多くの紹介がされているので(例えばこちら)、ここで何かを書くまでもないだろう。当ブログが言いたいことは、「この名高い本がセールで安くなっているので、読んだことがない方は読んでみては?」にすぎない。

ところでこの『博士と狂人』、メル・ギブソンが製作と主演(マレー博士)をつとめ、マイナー氏にショーン・ペンを配して映画化されているはずだが、その話をとんと聞かない。IMDBを見てみると、今年3月に中南米や中東で封切られ、その後欧州各国でも次々とロードショーにかかっているが、米国では「インターネット公開」、「限定公開」となっているし、英国に至っては公開国一覧に出てもいない。それに、映画製作国は「アイルランド・アメリカ」なのだが、アイルランドでも封切られたというデータがない。
https://www.imdb.com/title/tt5932728/releaseinfo

と、ウィキペディアを見てみると、もめてたんすね。
https://en.wikipedia.org/wiki/The_Professor_and_the_Madman_(film)
In July 2017, Gibson and his production company Icon Productions sued the production company Voltage Pictures over their desire to control certain aspects of the production. They refused final cut privileges and an additional five days of production in Oxford.

On June 19, 2018, Judge Ruth Kwan of the Los Angeles County Superior Court rendered a judgment denying Gibson's motion for summary adjudication. The multiple lawsuits were settled in a confidential settlement in April 2019. Gibson and Safinia issued statements distancing themselves from the project and calling the version released by Voltage "a bitter disappointment". They did not participate in the promotion of the film. Safinia was not recognized for directing or co-writing the film, being credited instead under a pseudonym, "P. B. Shemran".


映画の評価は、IMDBのユーザーレビューでは「演技がすごい!」とめっちゃ高評価で、ウィキペディアで引用されているRotten Tomatoesでは低評価なので、俳優だけはすごいというパターンかもしれない。

ともあれ、そのうちに日本でも何らかの形でリリースはされるだろうから、映画に興味のある人も、元となったサイモン・ウィンチェスターの本を読んでおくといいかもしれない。「驚きの実話」ではあるけれど、「ネタバレ」したらつまらなくなるという性質のものではないと私は思う。

それと、早川書房ビジネス書のセールからもう1冊。


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posted by nofrills at 20:40 | 書籍系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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