kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=


2016年07月30日

飲食店従業員が「研修」のために呼び出されたら、イミグレが待ち構えていて……ということがあったあとの波紋

今週半ば、Twitterで #BoycottByron というハッシュタグがUKのTrendsに入っていたことがあった。何気なく見てみると、「バイロン」というのはチェーン展開している高級ハンバーガー・レストランで、そこで働いている「移民」たちが「研修」と称して声をかけられ、指定の場所に行ってみたらイミグレ(出入国管理当局)に捕まえられた、ということが起きていた。

おそらくそのようなことはしょっちゅう起きていて、ニュースにもならないし、それどころか人々の話題にもなることはない(「明日は自分かも」という立場の人々を除いては)。今回「バイロン」の件が話題になったのは、Twitterを見てわかった限りでは、「イミグレに捕まえられた『移民』は南米から来た人々で、そのためスペイン語のメディアで報道があり、そこから英語圏に入って、"No one is illegal" のスローガンに共鳴する人々によって、『どうせ、就労許可がない人々の足元を見て安い賃金で使ってきたのだろうに、イミグレと手を組んで従業員をわなにかけるなど、言語道断』ということで『バイロンをボイコットせよ』というハッシュタグができた」という経緯のようだった。つまり、スペイン語の報道がなければ英語圏に情報は流れていかなかっただろうと思われる。英国内で、英国政府によって行なわれていることであっても。

これはもちろん、日本でも同じことが言える。よほどひどいこと……本当に、ものすごくひどいことでも起きない限り、うちらの投票で決められた議会から選ばれた大臣が責任者となって、うちらの税金で運営されている政府(法務省)が管理・運営している牛久などの施設でどんなことが起きているかは、支援者のブログなどをチェックしている人たちはある程度は知っていても、日本国民の多くは知ることすらない。芥川賞候補者ともなった在日イラン人作家(もちろん、最初から日本語で書いている)、シリン・ネザマフィの小説『サラム』(留学生文学賞受賞)に、通訳者として難民申請に関わった人の視点で詳細が描かれているが、この小説だって「誰もが読んでいる」とはいえない。
4163284109白い紙/サラム
シリン・ネザマフィ
文藝春秋 2009-08-07

by G-Tools


ともあれ、英国での「バイロン」レストラン・チェーンの件は、そのように、スペイン語圏の報道から英語圏Twitterに入ったあとで、報道機関が取り上げ始めたようだった。スペイン語メディアの編集長にインタビューなどした映像報告もある:



そして、今週半ばのこのニュースのあとでどうなったかが、金曜日の晩(現地時間)に出たガーディアンの記事で報じられていた。

Most of those arrested at Byron burger chain have been removed from UK
Lisa O'Carroll, Friday 29 July 2016 17.33 BST
https://www.theguardian.com/uk-news/2016/jul/29/most-of-those-arrested-at-byron-burger-chain-have-been-removed-from-uk

【続きを読む】
posted by nofrills at 18:50 | TrackBack(0) | todays news from uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月24日

ミュンヘン銃撃事件: ブレイヴィクを崇めていた18歳の銃撃犯は、「テロリスト」ではないのか、という問い。

ミュンヘンのショッピングセンターでの銃撃事件の発生から24時間以上が経過し、詳細が明らかになってきている。この事件については1つ前のエントリでも書いたが、実は、それはまだ書こうとしていたことの半分だ。残り半分と、もろもろアップデート分をここに書こうと思う。

この事件は、当初、「またイスイス団のテロか」と思われたので(現地警察も「テロである」と宣言し、非常事態宣言を出していたのだが)国外の大手報道機関のイスイス団を専門とする記者がドイツに派遣されるなど、各報道機関が「イスイス団のテロ」であることを前提として報道していたし、ドイツの政治家も、外国の政治家も、「テロ」のときの対応をし、そういう場合の言葉を発していた(例えば米オバマ大統領や、アイルランド共和国のマイケル・D・ヒギンズ大統領)。しかし結局のところミュンヘン警察は、「イスラム過激派(ジハディスト)のテロではなかった(関連は認められなかった)」と結論した。

「イスラム過激派」とは関係なかったとしてもなお、動機が解明されていない以上は、厳密にいえば、「テロである可能性」は残っている――「イスラム過激主義」以外にもテロの動機はいくらでもあるからだ。それに、「テロ」は定義次第だ(アメリカなどは「自軍が外国を占領しているときの自軍、つまり占領軍に対する現地の人々の武力抵抗」を「テロ」と呼んで恥じない)。;-P

でも、英国の報道機関の記事を見ている限り、あの銃乱射は、単なる――「単なる」とかいうとまた言葉尻をとらえて「不謹慎だ」と絡んでくる人がいるかもしれないが――「卑劣な無差別攻撃」であり、「テロ」ではないとほぼ断言されている状態だ。豪州の司法長官は「攻撃があれば何でもかんでもテロテロテロテロと言い立てるのはいかがなものか」といった発言をしている。個人的にも、日本でときどき発生する「通り魔殺人事件」が「テロ」ではなく殺人、傷害といった「刑法犯罪」であるのと同じく、鬱積を募らせた個人の暴力の爆発は、「テロ」ではないと思う。

英語圏で話がややこしくなるのは、ひとつには、「テロ」イコール「卑劣な無差別攻撃」という言い換え(セット思考)があるからかもしれない(実際には、テロリストは無差別ではなく標的を定めた攻撃(暗殺、誘拐など)も頻繁に行なってきたのだが)。Twitterなどを見ていると、「無差別」な攻撃というだけで「テロ」と呼ぶ条件を満たしているかのような発言を見ることが多いように思う(「IRAのテロ」のころはそんなでもなかったような気がするが、そのころアメリカでは「テロはわが国では起こらない」ことになってた)。また、日本語で俗に「無差別」とか「不意打ち」の攻撃を「テロ」と呼ぶが、そのような性質のものをすべて本当に「テロリズム」として扱っていたら、あれも「テロ」、これも「テロ」ということになってしまい、意味がなくなる。(秋葉原の通り魔事件を、その意味で「テロ」と呼んだ人もいたが、そこまで拡大解釈が許されたら、議論は成立しなくなるだろう。)

ともあれ、英語圏のジャーナリストなどが(警察が「テロではない」と結論している)ミュンヘンの銃撃事件を「テロではない」と断言することにためらいを覚えているように見えたのは、おそらく、ミュンヘンの18歳の銃撃犯と、5年前の同じ日にノルウェーで大量殺人を起こした極右テロリストのアンネシュ・ブレイビクとの「つながり link」を考えなければならなかったからだろう。つまり、「テロリストのシンパ」は「テロリスト」なのではないか、ということだが。

18歳の銃撃犯はブレイヴィクに非常に高い関心を抱いていて、ミュンヘン警察が記者会見で "obvious link" か "apparent link" がある、ということを述べたようだ(これはlost in translationを呼ぶよね)。BBCはここに注目してセンセーショナルに「ブレイヴィク」という名前を見出しにして、トップニュースとして扱っていた。(ブレイヴィクが大喜びしているだろうし、どこかにいるかもしれない「予備軍」みたいな人が「これか!」と思っているだろう。)

bbcnews23july2016b.png


だがミュンヘンの銃撃犯とブレイヴィクとでは、大きな違いがあるのではないか。

【続きを読む】
posted by nofrills at 23:51 | TrackBack(0) | i dont think im a pacifist/words at war | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月23日

ミュンヘンの銃撃事件は、「テロ」なんかじゃなかった。



「イスラムのテロ」だという声が上がった。「白人優越主義者・ネオナチのテロ」だという声が上がった。

「ニース、ヴュルツブルクと来て、これだ」という感情の吐露のようなことが言われた。「そういえば今日は、5年前にノルウェーでブレイヴィクが大量殺人をおかしてから5年目だ」という指摘があった(誰が忘れようか、7月22日という日付を)。

「犯人は『アッラー・アクバル』と叫んでいた」という目撃者の話がCNNで報道された。銃を持っている犯人を撮影した映像の中で、「犯人は『俺はドイツ生まれのドイツ人だ』と叫んでいる」という報告が相次いだ。

「情報が混乱しているな」、「どっちなんだ」と多くの人が思っただろう。「どちらかは、誤認か聞き間違いだろう」と思った人も少なくなかっただろう。

正直、私は「情報が混乱している」と思った。犯人が単独でしゃべっている映像で「俺はドイツ生まれのドイツ人だ」と言っているのなら、「アッラー・アクバル」は銃撃に巻き込まれた群集の中から上がった叫びではないのか(英語なら「オーマイガッ」だ)。

違っていた。「俺はドイツ生まれのドイツ人だ」も、「アッラー・アクバル」も、銃撃犯の言葉だった――ということだろう。



ドイツのミュンヘンで痛ましい事件が起きた。警察は当初「テロ」と宣言していた。しかしそれは間違っていた。初期の混乱した状況の中で、混乱した目撃者の証言を元に事態を最大限に深刻に見積もっていたので、まったく見当はずれの見立てをしていたのである。それは人命を最優先にしたためなので、批判されることはないだろう。私もそのこと自体に、批判すべき点があるとは思わない。

でも警察が「テロだ」と言っていたあいだ、ずっと、Twitterのような個人の発言の場では、イスラモフォビアがぶちまけられていた。「イスラムに決まってるだろ」というろくに根拠のない決め付け(根拠となりうるのは、CNNだけが報道している「目撃者証言」のみ)が横行していた。(→キャプチャ1キャプチャ2

全体の経緯は下記に記録をとってある(英語情報だけだが)。

ミュンヘン銃撃事件、情報はどう流れたか(現地2016年7月22日)※最終的に「テロ」ではないとの結論
http://matome.naver.jp/odai/2146923417885619401


【続きを読む】
posted by nofrills at 23:57 | TrackBack(1) | i dont think im a pacifist/words at war | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月21日

バングラデシュの過激主義に関するニュースのメモ

Twitterでメモを取ってたんですが、閲覧数、RT数が多いので、一箇所にまとめておきます。その前に前置き。

バングラデシュは「わが国ではイスイス団やアルカイダの活動はない」といい続けてきました。「わが国で活動している武装組織は、ナショナリストの野党勢力である」と(あと、実際、バングラデシュには以前から活動している武装勢力はあります)。同国内でのイスイス団の活動を指摘したアメリカのテロ専門家には、誹謗中傷が殺到していました。ダッカのカフェ襲撃事件が起きてもしばらくは――イスイス団が犯行声明的なものを出しても――「国内の武装勢力の犯行である」といっていました。2日後には「イスイス団の可能性も視野に入れて捜査」とかいうことになっていたのですが、ダッカの事件ではイタリア人と日本人が大勢殺害されており、特に根拠はありませんが、両国の外務省などからツッコミがあったのではないかとも思います。インド亜大陸でのアルカイダやイスイス団の活動の伸張については、すでにかなり広く知られていたことでもあり、バングラデシュ政府だけがstate of denialの状態でいるわけにもいかなくなってきたのでしょう。

ダッカの事件は、日本の人々の認識・態度も変えたようです。つまり「日本人なら安全」という《神話》が崩壊した――そんな神話、エジプトのルクソールでの銃乱射(1997年……20年近く前!)のときに崩壊してたんじゃないですかね、と私は思うんですが、何か基準的なものが違うのでしょう。

それと、「日本人だからといって見逃されない」ということは、「日本人だから標的にされた」ということを意味するわけではありません。

以下、メモの本体。

【続きを読む】
posted by nofrills at 23:45 | TrackBack(0) | i dont think im a pacifist/words at war | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月20日

ロンドンが、変なふうにヒートアップしている……ということでなければよいのだけど。

19日から20日、ロンドンが東京より暑くなって(といっても、数日前の東京と同じくらいだったのだが……)、夜間も「暑すぎて眠れない」と言う人が続出してTwitterに#toohottosleepという《too ... to 〜構文》の練習によさそうなハッシュタグがぼんぼん流れてくる(といっても、23度だったそうだが……涼しいじゃん! )一方で、ハイド・パークやその周辺でひと騒動あったそうだ。

若者が集まってわいわいやっているうちに喧嘩になり、刃物が持ち出されたとのことで、どうやら「よくある騒ぎ」のようだが、違っていたのはそこで事態の収拾のために現場に入った警官に対し、Black Lives Matterと叫んで瓶などを投げつけた人たちが大勢いたということだ。

ただの「流行のキャッチフレーズ」として何も考えてない子たちが叫んでいるだけなら、米国のBLM運動の人たちに失礼ではあるけれど、まあ、「何も考えていないのだな」で済む話だろう。

だが、「警察に対する戦い」のスローガンとして、あるいは「戦い」のために感情を奮い立たせる言葉として、組織的に使われているとしたら……2011年夏のことを思い出すと、心穏やかではいられない。あの夏の「暴動」のきっかけは、警察に射殺された「黒人」青年の件で、トッテナム警察署に対する正当な抗議行動が行なわれていたのに便乗した犯罪者集団がトッテナムで暴れだしたことだった。

ともあれ、アメリカでのBLMのことも含め、いろいろと一箇所で読めるようにしてある。

ロンドンで、なぜか「Black Lives Matter」と叫びながら集団が大暴れ。3人負傷
http://matome.naver.jp/odai/2146899945819320801


本当に文字通り、Black lives matterだし、All lives matterなので、変なふうにエスカレートしないでほしいと心から願う。

posted by nofrills at 23:52 | TrackBack(0) | todays news from uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月19日

ドナルド・トランプ夫人が、ミシェル・オバマのスピーチをパクったんではないかというお話。

ニースのトラックによる無差別攻撃、トルコでのクーデター、米国での警官射殺、ドイツでの刃物男……毎日毎日、大手報道機関のサイトがトップで伝えるのが、血なまぐさいニュースばかりだ。何か、一息つけるようなニュース(例えば宇宙探索の話題とか)でもあればよいのだが、2番目以降のニュースもロシアのドーピングだとか、北朝鮮のミサイルだとか、カシミール情勢の緊迫だとか、南スーダンの予断を許さない情勢だとかいったものが並んでいるし、これまでずっと最悪だったシリア情勢が改善したというニュースもない(アレッポは、30万人が暮らすエリアが、完全に包囲された)。

そんなときに、「血の臭いのしないニュース」をみんなが待っていたのだろうなあ、と思わずにはいられない光景が、今、私が普段見ている報道機関のサイトで展開されている。一例としてBBC(ガーディアンのインターナショナル版も同じような構成だった)。

bbcnews19july2016


共和党の党大会で、ドナルド・トランプの妻であるメラニア・トランプ(旧ユーゴスラヴィア出身で元モデル)が「移民であるわたし」を強調するようなスピーチを行なって、夫の「過激発言」を少しマイルドにする方向のスピンをかけようとしたらしいのだが、そのスピーチの一節の文面が、2008年の民主党党大会でミシェル・オバマ(バラク・オバマ夫人。以下「オバ美」)が行なったスピーチの文面にそっくりだったから、もう大変。昨日Twitter Trends的にはトップニュースになっていたキム・カーダシアンとカニエ・ウエストとテイラー・スウィフトの話には飛びつかなかった人、あるいは公然と飛びつくわけにはいかなかった人たちも、今日のこのゴシップには「けしからんことですな」などとつぶやいては口ひげをひねりながら(←イメージ)、嬉々として飛びついているようだ。

記事:
US election: Melania Trump 'plagiarised' Michelle Obama
http://www.bbc.com/news/election-us-2016-36832095


Melania Trump convention speech seems to plagiarise Michelle Obama
https://www.theguardian.com/us-news/2016/jul/19/melania-trump-republican-convention-plagiarism-michelle-obama


オバ美とメラニアのスピーチを並べてみると:

【続きを読む】
posted by nofrills at 23:30 | TrackBack(0) | 雑多に | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

米ルイジアナ州バトンルージュの警官銃撃容疑者は、自分は「集団ストーカー」の被害者だと信じていたようだ。

「反撃だ」とか言ってた、なんてのは当たり前すぎてニュースにもならないと思うんだけど、それでいいらしい。

米ルイジアナ州バトンルージュで警官が銃撃を受けて3人が殺された事件で、現場で射殺された容疑者は、イラク帰りの、29歳の退役軍人だった。

先日のダラスでの警官銃撃事件も、アフガニスタン帰りの元軍人だった。どちらも「黒人」で、ブッシュ政権の推進した軍事行動を経験していて、さらに最近(ファーガソン以降)の米国での「人種問題」を、おそらく当事者として間近に見ている。何か共通する点があるのだろうか(そういう「物語」がこれから語られるのだろうか)と思いながら、バトンルージュの事件の容疑者、ギャヴィン・ロングについての報道記事を読んでいたのだが、読んでいるうちにとんでもないところまで連れて行かれてしまっていた。

それを記録したのが下記。

海兵隊を名誉除隊、大学進学、スピリチュアルな目覚め……バトンルージュで警官を銃撃した容疑者の人物像
http://matome.naver.jp/odai/2146881291849406101


「NAVERまとめ」の見出しは最大文字数が50字で、そこに入れようとするとあまりに「トンデモ」に見えてしまうと思ったので入れていないが、私が「とんでもないところまで連れて行かれてしまっていた」と感じているのは、この容疑者が、いわゆる「(政府による)集団ストーカー」論を信じており、自分がその被害者だと考えていたという点。

「ブラック・パワー」の武装主義とか、連邦政府への反対とかいった背景だけだったら、「やはり」と思いこそすれ、さほど驚きはしなかっただろう。しかし……である。


【続きを読む】
posted by nofrills at 12:00 | TrackBack(0) | todays news from uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月18日

大衆紙The Sunは、買ってはいけない。人種偏見の拡散・煽動に加担したくないならば。

dontbuythesun.jpg"Don't Buy the Sun" ――写真は、リヴァプールFCのサポーター96人もが声明を奪われた群集事故、「ヒルズバラ(ヒルズボロ)の悲劇」について、「サポが暴れたから」的な嘘八百を並べ立てたこの大衆紙に対するリヴァプールの人々のステッカー(写真: CC BY-ND 2.0, by (Mick Baker)rooster)だが、リヴァプールFCのサポでなくても、より広く「サッカーの試合を見に行って帰らぬ人となるなんてことがあってはならない」と考えるサッカー・ファンのひとりでなくても、人種偏見の拡散・煽動に加担したくない人は、ルパート・マードックの企業グループNews Corp傘下にあるこの大衆紙は、買ってはならない。

ネットでも、この大衆紙のサイトで記事を閲覧するなどして、view数を増やすことに貢献してはならない。(マードックのNews Corp系列の媒体は、一時期はすべて、The Timesと同じように「ネットでは、お金を払って購読していないと記事が読めない」ようにされていたが、現在はThe Sunは何もしてなくても記事は読めるようになってるらしい。私はサイトに近づかないようにしているのでよく知らないが。)

それを改めて知らせることが、今日(7月18日)、あった。

twtr18july2016.pngTwitterのTrendsが、「キム・カーダシアンにキム・カーダシアンにキム・カーダシアンにテイラー・スウィフトに、月曜日になったねって話と天候と、核抑止力(トライデント)と、ReclaimTheInternet(ネット上の嫌がらせや脅迫をなくし、まともな発言の場としてのインターネットを回復しようという運動)」みたいになってて、かなりどうでもいい話が半分以上だな……という中に、The Sunも入っていた。

どうせまた芸能ネタか、テレビ番組ネタか、スポーツ関連か何かで、派手な1面を作って話題になっているのだろう……と思ったら、違っていた。

フランスのニースで発生したトラックによる群集に対する無差別攻撃について報じるチャンネル4のニュース・キャスターが、「ヘジャブを着用した若い女性 (a young lady wearing a hijab)」だったことについて、「適切なことなのだろうか」と述べている記事がThe Sunに出ていて、そのTwitterフィードが、一度流されたのに削除された、ということで騒ぎになっていたのだ。

The Sunのその記事を書いたのは、「ヒルズバラの悲劇」の初期報道で、「観客が暴れた、観客が悪い」という虚偽の情報を "THE TRUTH" と銘打って喧伝するという判断をしたケルヴィン・マッケンジーだそうだ。この人物は、アリステア・キャンベル(「ブレアのスピンドクター」だった人物)などよりさらに危険だし、有毒・有害なことを平気で垂れ流す。

【続きを読む】
posted by nofrills at 23:20 | TrackBack(0) | todays news from uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

今度はバトンルージュ(米ルイジアナ州)で警官が銃撃され、右翼は勝手にBLMと関連付けて騒ぎ立てている。

1つ前のエントリと同じ書き出しだが、すさまじい勢いで次から次へと大変なことが起きていて、何一つ追いついていない。今日はこうなっている。



17日(日)の朝、アメリカで警官が銃撃され、3人が死亡。事件があったのはルイジアナ州バトン・ルージュだ。当初、銃撃犯は3人いて、1人が死亡し2人が逃げていると報じられていたが、最終的には銃撃犯は1人であったと結論された。

下記は、active situationが続いていたときのUSA Todayによる解説のスライドショー。



【続きを読む】
posted by nofrills at 08:50 | TrackBack(1) | i dont think im a pacifist/words at war | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月16日

ニースの大量殺戮事件とソーシャル・ネット、および誤情報・デマ

すさまじい勢いで次から次へと大変なことが起きていて、何一つ追いついていないのだが(今日はトルコでクーデターがあって、失敗した)、7月14日(フランスの革命記念日、バスティーユ・デイ)に南仏ニースで発生した、毎年恒例で行なわれる花火大会の群集を標的にしたトラックによる無差別殺戮については、主に「ソーシャル・メディアでの情報」という観点から下記に「まとめ」てある。

ニースでの無差別攻撃と、ソーシャルメディア(Twitterがすばやく問題アカウントを凍結)
http://matome.naver.jp/odai/2146854765250800301


84人もの人が殺されたあの攻撃では、今日(16日)になってからイスイス団の(実質的)犯行声明が出て、それについても上記に書き加えてあるのだが、発生当初から、ソーシャル・ネットではイスイス団支持者が盛り上がっていた。

いまどきのジハディ支持者は、TwitterやFacebookよりむしろ、Telegramを好んで使っているのだが、今回は、発生当初の「恐怖のばらまき」の段階でTwitterがよく使われたようだ。Twitterは今回いつになく迅速に対応し、それらのアカウントはすばやくサスペンドされていたという。上記「まとめ」には、過激派に対抗する英語圏のアカウントがTwitterにメンションを飛ばしながら、発見した過激派のアカウントについて注意を喚起しているときのログもとってある。

【続きを読む】
posted by nofrills at 21:00 | TrackBack(0) | i dont think im a pacifist/words at war | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月14日

テリーザ・メイ政権発足。私の閣僚人事の予想が的中した。



13日(水)、月曜日に保守党の党首となっていたテリーザ・メイが首相就任の手続き(国家元首による任命という形式をとる)をした。

メイさん、のっけからぶっとばしていた。

Brexitを支持した大衆紙The Sunが、Brexitに反対していたメイを最大限にdisるつもりだったのだろうと思うが、12日にこういう1面を作ってきた。




そして13日、女王のもとに赴き、首相として任命されるという儀式的な手続きに臨んだとき、メイの履いていた靴が……ぶほっ。




姐さん、パネェっす。(^^;)

日本時間で14日午前3時半ごろのBBC Newsのキャプチャ。


【続きを読む】
posted by nofrills at 23:55 | TrackBack(0) | todays news from uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月12日

英国、次の首相がテリーザ・メイに決まった顛末(レドサムの撤退について)

日曜日にブログを書いて
レドサムのことを説明した
テュリャテュリャテュリャテュリャテュリャテュリャリャ
テュリャテュリャテュリャテューリャーリャー
月曜日にレドサム降りた
あたしの作業は無駄だった
テュリャテュリャテュリャテュリャテュリャテュリャリャ
テュリャテュリャテュリャテューリャーリャー

「政治においては、24時間はとても長い時間である 24 hours is a long time in politics」ってよく言うんですけど、この決まり文句の元って労働党のハロルド・ウィルソンなんですよねー。ただし元ネタは "24 hours" ではなく "A week" だったけど。情報化社会が進展して、通信・伝達の速度が速くなって、かつて「1週間」が単位だったものが「24時間(1日)」になり、「リアルタイム・ニュース」が普及した最近では「数時間」になりつつある。

……という、私が高校生のころに「現代文」の問題集などでたんまりと読んだ「現代社会を憂える論説文」のような話なのかどうかは知らないが、えらく古風(←婉曲表現)な思想を持ち、「草の根保守」の支持を集めていた保守党党首候補のアンドレア・レドサム議員が、当方が「この人、こんな人なんですよ」ということを書いてから24時間たたないうちに、党首選から撤退した。

EUレファレンダムでの「EU離脱」という結果を受けて辞任することになったデイヴィッド・キャメロンの後をうける保守党党首(&自動的に英国首相)を決める保守党内での党首選は、10日ほど前に立候補届けが締め切られ、1週間前、先週の火曜日(5日)に最初の投票で5人の立候補者の1人が脱落し、もう1人が撤退を表明、続いて木曜日(7日)に2度目の投票が行われてさらに1人(ボリス・ジョンソンを「背中から刺した」マイケル・ゴーヴ)が脱落し、アンドレア・レドサムとテリーザ(テリーサ、テレサ)・メイの決選投票になるということが確定していた。最終的な投票は夏休みを挟んで9月上旬に締め切られ、「新首相」が確定するのは9月上旬という予定だった。
https://en.wikipedia.org/wiki/Conservative_Party_%28UK%29_leadership_election,_2016

英国のEU離脱について、EUの側は「とっとと出て行け」という態度を明確にしているのだが、離脱の交渉を率いる首相になる人物を選ぶ保守党の党首選は、ずいぶんとじっくり時間をかけるのだなあ(←婉曲話法)と思っていた矢先に、2人の候補の1人が辞めてしまったので、自動的に(無投票で)次の党首はメイに決定した。

2007年に労働党が同じように、任期途中で首相(党首)が退陣し、それに代わる新党首が自動的に首相になったのだが(トニー・ブレアからゴードン・ブラウンへ)、「選挙で選ばれていない」ゴードン・ブラウン首相への反発はじわじわと増幅されて、ついに2010年に行われた総選挙ではそれが爆発し……という《物語》を描けたら気持ちいいんだけど、そうならなかったんだよね、当時の保守党が弱すぎて。2010年の総選挙は、周知の通り、「だれも勝者(単独過半数)がいない」形で決着し(hung parliament)、一番たくさんの議員を出した保守党と、3番目のLDが連立政権を作った(英国では非常に珍しい)。労働党は少なくとも「信任を得られなかった」ことは動かしがたい事実なのに、なかなかそれを認めようとせず、選挙結果が出て24時間くらいは「うちもLDと連立すれば過半数になるぞ」ということでいろいろと画策していた。そのことは当時のブログに書いているが、英国の有権者が労働党にうんざりしてしまった理由には、そのような、有権者ほったらかしでウエストミンスターだけで数合わせをやっているような態度を党が平気で見せていることも入っているだろう。

ともあれ、保守党は2010年は冴えなかったけれど、2015年はバカ勝ちした。2005年に党首になったときには「線の細いおぼっちゃん」キャラで、エコ・フレンドリーな姿勢をカメラに撮らせるなど「若者にアピールする現代的な保守党」を描いてみせ、「伝統的」なゴリゴリ系保守党員にはイマイチ受けてなかったデイヴィッド・キャメロンは、2010年の選挙では「あの不人気なゴードン・ブラウンが相手でもスッキリ勝てない党首」だったが、その後いろいろあって、2015年にはガッツリと勝ったわけだ。その「いろいろあって」の中に、党内でキャメロンの路線に反発する人々の要求を受け入れる、というのもあった。その最大のものが、「EUメンバーシップについてのレファレンダムを行なう」という公約で、2015年の総選挙で勝利したキャメロンは、そのレファレンダムを実施して、そして、こうなった。もうね、アホかバカかと……ということはあちこちでさんざん書かれている通りだ。

【続きを読む】
posted by nofrills at 11:00 | TrackBack(1) | todays news from uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月11日

選挙について、書いてはいませんが、投票は行ってきました。

10july2016.jpg


ネット、特にソーシャルネットという場で日本の選挙について読むのも書くのもほとんどやめていましたが、10日は投票所に行って、投票用紙に「この人に国会という場にいてほしい」と自分なりに考えた人の名前を書いて投票箱に入れてきました。投票済証は、投票所を出る手前の机に座っていた係員さんに「投票済みの証明書をいただきたいのですが」とお願いしたら、その方が担当者さん(庶務の方、と呼んでいました)を呼んでくれました。つまり、いつもと同じです。

投票所は地元の小学校なのですが、校門を入ってから投票所として利用されている建物までの数メートルの空間の片隅に、犬のリードを持って待っている人が2人ほどいました。お1人はちょうど、投票を終えて出てくるご家族と交替で投票に行くタイミングだったようです。「投票所の犬たち」がハッシュタグになるのは英国だけで、犬を連れた方はずいぶん気を使っていらっしゃるように見えました。

投票所内は、私が行ったときはすべてのブースに人がいるけれど、並んで待ちはしない程度に混雑していて、親御さんにぴったりくっついて選挙区、比例と進んでいく小学生くらいの子供も何人かいました。普段、この学校に通っている子にとっては、いつも見慣れた場所がいつもとは違う用途で、いつもいない人々でいっぱいになっている光景は、おもしろく見えることでしょう。

「ネット選挙(選挙運動)」が解禁され、いろいろと様変わりした選挙だったのかもしれませんが、個人的にネット(特にソーシャルネット)にはうんざりしているので、大手報道の記事はポータルサイト経由でいくらか読んだけど、特にソーシャルネットで流れる候補者の選挙運動の様子や「みんなの意見」的なものは見ないようにしていました。はてブの「お気に入り」で見かけたのが選挙ネタというより「デマ屋」ネタ(ですよね)のこれと、人々が相手にせずにほっといたら、タコツボの中で一定範囲の人々の間で元気の素になってしまってるらしい「陰謀論」のとても詳しい検証(おつかれさまですとしか言いようがない)。その「陰謀論」は、ネット(特にソーシャルネット)で注目されているある候補者さんが信じているらしいのですが、その候補者さんがなぜ注目されているのかも、注意を払ってこなかったので知りません。過去(今回の参議院選挙のずーっと前)に2度ほど、その候補者さんについてどう思うかを尋ねられたことがあると思うのですが、どう思うかも何も、「それって、誰ですか?」でした。私はその人については確かに聞いたことはあったのですが、別に興味を引かれる点はなく、Twitterでもブログでもその人について言及したことはなく、RTなどもしていないと思います。それでも、その人についてどう思うかを別な人が尋ねてくるということがあった程度には、よく知られた人だったのでしょう。

そうやって、「ネットの有名人」は誕生するんでしょうね。上記の「陰謀論」のほか、「ニセ科学」でも問題視されているという指摘を、登録しているpaper.liのページで見かけましたが……ええと、ヒマなときなら読んでたかもしれません。(でもあいにく、ヒマじゃないんですよ。まだBrexit後のごたごたは続いてるし、Euro 2016でのフーリガンのことからチルコット報告書のことまで、書きかけのものがたくさんある。ダラスの警官銃撃事件は犯人像がまだ完全にはわかっていないし。)

あ、あと、もう少しだけ今回の選挙に言及したものがあります。

【続きを読む】
posted by nofrills at 23:49 | TrackBack(0) | i dont think im a pacifist/words at war | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月10日

保守党党首選で最後まで残っているアンドレア・レドサム(レッドサム)について

「いずれにせよ、英国の次の首相は女性」という表面的な見方がされているが、男とか女とか、そんなん結局はゴシップにしかならないわけで、その人が女であることより、どういう理念を抱き、思想を持ち、政策を実行していくかのほうが重要なのは、当然のことである。保守党党首選挙の最終ラウンド(2人の候補による1対1の投票)を前に、そういった「理念」「政策」系の話がここ数日増えてきている。

アンドレア・レドサム(レッドサム)という議員は、今回の保守党党首選までは、ほぼ「無名」だった。より厳密にいうと、保守党政権で要職に入ってはいても閣僚ではなく、日々のニュースに出てくるような人ではなかった。
https://en.wikipedia.org/wiki/Andrea_Leadsom

EUレファレンダムの結果が出たあと、デイヴィッド・キャメロンが退陣することになり、ニュースの関心は瞬時に「次は誰になるのか」に集まった。そのときはまだボリス・ジョンソンが最有力と言われていたが、既報の通り、マイケル・ゴーヴに「後ろから刺されて」失脚、そのゴーヴは保守党党首選に立候補はしたものの、最後まで残ることはできなかった。

ジョンソンが消えたあと、一貫して「最有力」と言われているのはテレサ(テリーザ、テリーサ)・メイ内務大臣で、この人は英国ではしょっちゅうニュースに出てくるおなじみの顔だ。

そのメイと、最終的に党首の座を競うことになったのが「無名」のレドサムだが、この人が注目されたのは、Leave陣営の政治家たちが推しまくっていたからだけではなく、無名政治家ゆえの「新鮮味」があったからだ。だが、「テレサ・メイやマイケル・ゴーヴなんかより、まし(まとも)な人かもしれない」という期待を抱いてアンドレア・レドサムについて記事を読む、ググるなどした人々(投票権のある保守党員に限らない)の多くは、ガックリと肩を落とすなり、見なかったことにするなり、乾いた笑いを浮かべるなりすることになっただろう。

ネットでは多くの「まとめ」記事が出ていると思うが、私がたまたま見て「わかりやすい」と思ったのは下記のMetroの記事である。レドサム議員ご本人のブログをいろいろ掘って、まとめたものだ。

Here are some brilliantly bizarre things Andrea Leadsom believes
Thursday 7 Jul 2016 5:31 pm
http://metro.co.uk/2016/07/07/here-are-some-brilliantly-bizarre-things-andrea-leadsom-believes-5993147/

「両親がそろっていない子供は犯罪者になる」とか、「結婚もせずに子供を作る者は、子供を虐待することになる」とか、いわゆる「家族の価値」至上主義者で、ぶっちゃけ、トンデモさんである。同性結婚に反対していることはすでに大きく報じられていたので、この記事では特に取り上げられていない。

英国であれ日本であれ、そこそこ進んでるはずの社会にこういう価値観の人がそれなりに実力のある立場に存在するというと、「いまどき、そんな人が……」という反応が返ってくることがよくある。特に都会の、育ちのよい「リベラル」の人たちはそうだ。周囲にこういう人がいないのだろう。だが、現実に、こういう価値観の人は存在するし、それも決して「広い世間のごく一部」とはいえない。英国でBrexitの結果を得て勢いづいている「草の根保守」は、都会人が都会で作っているメディアが描き出す「モダンでリベラルな価値観を広く共有する社会」に違和感を覚えていた人たちでもあり、レファレンダムの結果が出たときに「自分たちと同じ選択をした人々」が、実は、社会の過半数であることに安心し、喜んでいる人々である。

かつて、イラク戦争反対運動の最盛期に、反戦運動の側のスローガンで We are many. というのがあったが(同名のドキュメンタリーもある)、Leave陣営の「草の根保守」の人々はまさに、We are many. という心境だろう。

アンドレア・レドサムは、そういう人たちの支持を受けている。

【続きを読む】
posted by nofrills at 23:30 | TrackBack(1) | todays news from uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「英海軍からイスイス団に入った」と(多少盛りすぎの記述で)説明される人物が、イスイス団とアサドについて、クウェートでの取り調べでしゃべってるらしい。

後述のオートン氏のツイートを見るまで知らなかったのだが、「英海軍からイスイス団に入った人」がいるそうだ(報道記事を読むと、そのように紹介することは「盛りすぎ」「釣り」に思えるが)。その人物の名前でウェブ検索すると、検索結果の1ページ目は無関係かもしれない個人のFBやLinkedInのようなページばかりなのだが、2ページ目に今年5月のMetro(デイリー・メイルと同じ会社が運営)の記事が出てきた。元はメイル・オン・サンデー(デイリー・メイルの日曜)の報道である。

UK navy officer ‘joins Isis’ as experts warn of attacks on ships
Sunday 8 May 2016 10:00 pm
http://metro.co.uk/2016/05/08/uk-navy-officer-joins-isis-as-experts-warn-of-attacks-on-ships-5869138/

この記事に当該の人物の名前の別の綴りが出ていて、それで検索するとMetro以外にも報道記事が出てきた。といっても、内容はMetroの記事とさほど変わらない。

UK-trained navy officer 'joins the Islamic State'
8 May 2016 • 10:50am
http://www.telegraph.co.uk/news/2016/05/08/pic--pub-uk-trained-navy-officer-joins-the-islamic-state/

メイルは記述の厳密性に疑問があるところが多く、それを忍耐力のない人でも読めるくらいに短くしたメトロはなおさら危なっかしいので、テレグラフを合わせて参照するのがよいと思うが、これらの報道によると、クウェート出身のアリ・アルオサイミという28歳の人物が、2011年からイングランド北部のサウスシールズにある英海軍の施設でマーチャント・ネイヴィーのコースで訓練を受けていたが、3年間の予定の過程を終える前に過激思想にかぶれてシリアに行ってしまったという。アルオサイミは英海軍のこのコースを受ける前はクウェートで国営企業で石油タンカーの仕事をしており、その仕事での技能をさらに高めるために英国で研修を受けたようだ。メイルやテレグラフの記事は、そのような「英国のすばらしい知識」を学んだ「海の男」がイスイス団に入ったことで、近隣海域で商船や石油タンカーが襲撃される可能性が懸念される、というトーンだが、その可能性がどの程度現実的なものなのかはわからない。

これら5月上旬の報道は、同月報じられたいわゆる「ISISリーク」で明らかになったイスイス団戦闘員の登録書類を調べてみてわかったことについてのものだが(アルオサイミは2014年4月にシリア入りしているとそれらの書類にあった)、この文書漏洩については次のようなことが言われていた。
The existence of the documents was revealed by the Munich-based Süddeutsche Zeitung paper and German broadcasters WDR and NDR on Monday evening. Zaman al-Wasl, a pro-opposition Syrian news website, published examples of the questionnaires on Tuesday.

Sky News claimed on Tuesday that it too has obtained copies of what appeared to be the same documents, containing about 22,000 names. It said the they were passed on a memory stick stolen from Isis internal security police by a former Free Syrian Army convert who later became disillusioned with Isis.

The documents held by the German authorities seem to have been collected at the end of 2013. ...

https://www.theguardian.com/world/2016/mar/09/isis-document-leak-reportedly-reveals-identities-syria-22000-fighters


「理想に燃えて、イスイス団に入ってはみたものの、実態がひどすぎるので幻滅した」という人がいるという話は、非常に頻繁に聞こえてくる(イスイス団全体から見れば少数なのだろうけれども)。9日(土)にアップした離脱者のインタビュー内容をまとめたページを見ると、その「幻滅」の具体的な内容がどういうものか、わかるだろう。人々は本当に「すばらしいユートピア」「地上の楽園」的なイメージを抱いてイスイス団に入り、シリア/イラクに行く。そしてそこでの現実が、聞かされていた(あるいはイメージしていた)「ユートピア」とはかけ離れた流血と残虐の世界であることを知り、「これは自分の求めていたものではない」と気づく。しかしそれは、「ユートピア」を求めている自分を変えはしない。

多くの志願者と同じように「理想の世界」を求めていたのであろうクウェートの「海の男」が、英海軍で知識と技能に磨きをかけていたときに「過激化」し(そのきっかけは、19歳の弟がシリア・イラクで過激派に加わって戦い、死んだことだとメイルの記事でおじが語っている)、シリアに行ってイスイス団に入って、それからどうなったのかは、5月の「ISISリーク」の時点ではわかっていなかった。

それがわかったのが、本エントリ冒頭で言及したオートン氏のツイートである。

【続きを読む】
posted by nofrills at 06:00 | TrackBack(0) | i dont think im a pacifist/words at war | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月09日

米国では、複数の「黒人」が警察に殺された今週を締めくくるのは、ダラスでの警官銃撃・殺害という流血だ。

もう、あまりに流血ばかりだ。

米テキサス州ダラスで、大変なことが起きた。ダラスでは1年前、2015年の6月にも警察署をガンマンが襲撃し、車で逃げ回り、最終的には警察の銃撃で死亡するということがあったが、今回の事件はそんな無茶苦茶な事件をも軽くしのいでいる。

8日(金)、カルト集団イスイス団を脱会した人のインタビューを日本語化して連続投稿していたときに、画面上に #Dallas というハッシュタグを見かけた。連続投稿の作業が終わってからそのハッシュタグを見てみると、すでに3人が死亡していた。




死者はその後も増加し、24時間後には5人が死亡している。負傷者は7人。銃撃者が撃ったのは警官で、負傷者の中には一般人が1人いるが(子供をかばって覆いかぶさった女性。脚に被弾したが命に別状はない)、生命を奪われたのはみな、警官である。

すでに大きく報じられている通り、銃撃者は警官を殺すことを目的としていた(詳細後述)。

この日、全米の各都市で、米国で今週連続して起きた「警察による黒人殺し」への抗議行動が行われていた。ダラスでも行われたそのデモに、いわば便乗するようにして、銃撃者は警官を標的とした。

ここではっきりさせておかなければならないのは、警官に対する銃撃は、抗議デモの中から行われたのでは*ない*ということだ。特に日本語では、ひとつには最初の情報が(微妙に)変わってもそのまま使われ続ける傾向があるために、また文字数制限に合わせるための編集作業(文の書き換えの作業)で、その作業の担当者が英語を参照しない場合やそもそも理解しない場合には元の英語の情報とは離れた文意になってしまうことがあるために、情報が微妙に正しくなくなってしまうことがままある。ただ、今回のダラスのケースでは、私も最初のころは英語圏のツイートで「デモ(隊の中)から銃撃」という調子のものを見たので、英語でも最初期の情報が不正確だったのだろう。

その点については、非常に早い段階で、現場にいた人が状況をはっきりさせるための説明をFacebookに投稿していた(それがキャプチャ画像としてTwitterにも流れてきていた)。

【続きを読む】
posted by nofrills at 16:15 | TrackBack(1) | i dont think im a pacifist/words at war | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月07日

2005年7月7日から11年。今日、「テロリズム」について何か1本読むとしたら、まずはこの文だ。

7月7日である。あれから11年が経過した。

昨年、10周年のときに書いたことについて「ああ、言われてみればそういうこともありましたねー」という反応があったし、USA Todayはつい最近のツイートで「あれ」を「近年ヨーロッパで起きたテロ攻撃」に入れていないし(でもスコットランドのロッカビー上空での飛行機爆破は入れている)、きっとロンドン以外では誰も「騒いで」いないのだろう。きっと、多くの人が、米国でのマス・シューティングをいちいち覚えていないのと同じことだろう。昨年、10周年で作成したNAVERまとめのページのview数は、今(2016年7月7日、23時近く)の時点でこんなものである。(何をどこでどう書いたらどう共有されるのか、私にはさっぱりわからないが、これは「誰も関心を持っていない状態」と言ってよいだろう。)



この11年の間に、日本では「海外なんかに行くからテロなんかにあうんだ」という「なんか」的言説が完全にメインストリームになった。うちの祖母が、素朴な感情としてお正月のテレビで雪山で遭難した人がいるというニュースを見ながら言っていた(そして即座に、その場にいた親戚一同に「ほかに休みが取れない」と反駁されていた)「めでたいお正月に雪山なんかに行かんでもいいのにね」に含まれていた「なんか」。

でも、それは、ロンドンの2005年7月7日のそれは、人々が「海外なんかに行くから」被害にあったのではない。それは、そこに暮らして学校に通い、出勤し、面接を受けに行っていた人たちを襲った。1995年3月20日の東京と同様に。

(1995年3月20日についても、きっと、素朴な感情から「東京なんかに行くから」、「東京は怖いねぇ」と言っていた人たちはいただろう。うちはずっと東京暮らしだから、うちの親戚などにはそういうことを言う人はいなかったが、いわば「サイレント・マジョリティー」的な声だったそういう「素朴なつぶやき」が、ネットを介して、その人の直接の人間関係を超えて共有されるようになり、「メインストリーム」に出てきているのが、最近よく見る「海外なんかに行くからテロにあう」という言説なような気がする)

たまたまというべきか、わざわざ7月6日に設定したとかんぐるべきかはわからないが、昨日、2016年7月6日に、イラク戦争に関するトニー・ブレア政権の意思決定の問題点を精査・調査するチルコット委員会(サー・ジョン・チルコットが委員長)の報告書が公表された。それについて、私はまだ書くこともできていない。書くどころか、ろくに読めてもいない。

そして報告書の公表に伴う報道がさかんに行われるなか(といっても、報告書そのものは膨大な文字量で、どんな人でも1日で読むことは不可能であり、これまで書かれた解説などは公表時のチルコット委員長のスピーチと、報告書の要点を抜粋したものに基づいているのだが)、チルコット報告書でめっためたに批判されたトニー・ブレア本人がまた出てきて、要するにこれまで通り「私は悪くない」と言い張っているのが、ブレアのことが大好きなメディアに踊っている。ニュー・レイバー系の有力ブログが「イラク戦争後に起きた悪いことのすべての責任がブレアにあるように言うのは間違っている」と、「まともな人は誰もそんなこと、言ってませんけど?」と指摘してスルーするのが順当と思える見出しを打って記事をフィードしている。

というわけで、今日7日は、ブレアの言い訳や、ブレア支持者のダメージ・コントロールの言説がネットにどっと出ているのだが、今日読むべきものはそんなものではない。

11年前の朝、普通に日常生活をしていて、あの「テロ」に巻き込まれ、人生が変わってしまった人たちの中に、11年という歳月を経て、語り始めた人たちがいる。




【続きを読む】
posted by nofrills at 23:30 | TrackBack(0) | todays news from uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月04日

Brexitの「立役者」がまたもバックレ

今日の夕方、画面見てるときに、「なんだ、ガーディアン、古いニュースをフィードしてるよ、ははは」と思った。しかしリンク先をクリックしたら「古いニュース」ではなく、今日のニュースだった。UKIPのナイジェル・ファラージが党首を辞めた。2015年の総選挙後に続いて2度目だが、「(すぐに復活した)前回と異なり、今回は戻ってこない」と言っている。



煽るだけ煽って、火をつけて、爆発させといて…ナイジェル、UKIP党首辞めるってよ #Brexit
http://matome.naver.jp/odai/2146762573154992501


一応、全部ここ↑に書いてある。英国では「ボリス・ジョンソンに続き、ナイジェル・ファラージも」ということで呆れ返っている人々の反応が多い。UKIP支持者の間ではファラージは個人崇拝の対象なので(周知の通り、「UKIP支持者」というより「ファラージ信者」といったほうがよいような人が大勢いる)、ショックで呼吸が止まってる人がいなければよいのだがと思う(冗談ではなく。高齢者多いし、「伝統的」な脂っこい食事で動脈とかやばくなってる人も多いだろうし)。

あと、EUレファレンダムの前に「移民ガー」という煽動が行われていたのだが(日本社会で最も的確にそのニュアンスを伝えるためには「外国人ガー」と訳すべきだろう。実際「外国人」の悪魔化による煽動は、石原都知事がやっていた)、それについて誰でもいつでも簡単に一覧できるように、6月11日(土)以降の英国の新聞1面のフィード(BBC記者)も全部アーカイヴしてある(スポーツ面も入れてある)。
http://chirpstory.com/li/321110

印刷メディアがこのようなムードだったときに、ナイジェル・ファラージはテレビやラジオに頻繁に出演し、人々が「これまであまり聞いてこなかったようなこと」を(あの「いい声」で)発言しまくっていた。対するEU残留派は、首相だの財務相だの元首相だのといった「見飽きた顔」ばかりで、しかも話す内容には何も新鮮味はなかった。「残留派」の面々がテレビに映っただけでトイレに立つ人や、テレビを消してしまう人も、きっと多かったに違いない。

これがポピュリズムの実相か、と、私など、あんぐりと口をあけたままになってしまうが。

posted by nofrills at 23:25 | TrackBack(0) | todays news from uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月03日

2003年、英国は「ヨーロッパ」として語ることを拒絶していた。

EURO 2016のベスト16に「アイルランド」が2つも入ってたために空気中にホコリより多くのアイルランド成分が舞っていた日々の余韻も冷めやらぬなか、東京では映画『ブルックリン』の公開が始まった。アイルランド出身で、現在は米コロンビア大学と英マンチェスター大学の教授をつとめるコルム・トビーン (Colm Tóibín) の小説を、サーシャ(シアーシャ)・ローナン主演で映画化した作品で、1950年代にアイルランドの小さな町から米国の大都会、ニューヨークに渡ったひとりの若い女性のドラマである。予告編の開始1秒から成分が漂い出す(日本版のは吐息を響かせる系の甘ったるい女性のナレーションといかにもな映画音楽のせいで元の作品のコアの部分が伝わらないため、英語版のを貼っておく)。



映画の原作の小説は、日本でも翻訳出版されている。
ブルックリン (エクス・リブリス)ブルックリン (エクス・リブリス)
コルム トビーン 栩木 伸明

Brooklyn マリアが語り遺したこと (新潮クレスト・ブックス) 異国の出来事 (ウィリアム・トレヴァー・コレクション) キャロル (河出文庫) ワンダー Wonder

by G-Tools


さて、東京でも35度を超えた日曜日の午後、何気なくamazonのページで「コルム・トビーン」のほかの本を確認してみると、『ブルックリン』と『マリアが語り遺したこと』の2冊しかない。ほかにもあるんじゃないかと図書館横断検索などして見つけたのが、下記の本である。

【続きを読む】
posted by nofrills at 22:30 | TrackBack(0) | todays news from uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

映画Children of Menでの "Only Britain Soldiers On" のところの映像クリップを見つけたので貼っておく。

当方がときどき言及している映画Children of Men(気の抜けた邦題は『トゥモロー・ワールド』)での "Only Britain Soldiers On" のところの映像を、この映画の批評を目的とするvlogで見たので貼っておく。8分近くあるビデオだが、当該の箇所は2分48秒から54秒にかけて。下記URLで直行。vlog主の解説(米語)も的確でわかりやすいので、「とてもリアルなディストピア」に関心がある方はぜひどうぞ。
https://youtu.be/-woNlmVcdjc?t=2m48s
onlybritainsoldierson.png


映像全体は:


この映画から今年で10年になると思うんだけど、まさか現実の世界がこうなっていようとは……という感覚に、大変複雑な思いがしている。当時書いたブログは下記:
2006年12月16日 Thou shalt not killの発展形としてのStop the killing、そして笑いとディストピア。
http://nofrills.seesaa.net/article/29711412.html

ディストピア。Avoiding Fertility Test is a Crime. という電光掲示板。Homeland Securityという、「現在」は存在していないものが当たり前に存在している英国。「独裁者」がまったく登場しないディストピア。

そのディストピアは、その「近未来」は、「現在」と地続きだ。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/entertainment/5357470.stm

ほとんど誰も「変化」に気づかないうちに、その「変化」は訪れる。


トゥモロー・ワールド プレミアム・エディション [DVD]トゥモロー・ワールド プレミアム・エディション [DVD]

月に囚(とら)われた男 コレクターズ・エディション [DVD] レヴェナント:蘇えりし者 2枚組ブルーレイ&DVD(初回生産限定) [Blu-ray] ザ・ロード スペシャル・プライス [DVD] イベント・ホライゾン デジタル・リマスター版 [DVD] ブギーナイツ [DVD]

by G-Tools


posted by nofrills at 22:00 | TrackBack(0) | todays news from uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

……全文を読む