kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2017年04月25日

【フランス大統領選】「フェイク・ニュース!」と叫ぶなら、今だ――ハッシュタグの大量投稿は、誰によるものだったのか。

_95761439_french_election_624_vwithre.pngフランス大統領選挙の第一回投票が23日(日)に行なわれた。決戦投票に進む2人は誰かという点での結果が出るにはあまり時間はかからなかった。事前に言われていた通り、En Marche! という新政党を立ち上げたエマニュエル・マクロンが第1位で、得票率は開票率97%の段階で23.8%、2位がFN (国民戦線)のマリーヌ・ルペンで、得票率は21.5%。あとはこの段階での脱落候補で、共和党(UMPが改組・改称した政党)のフランソワ・フィヨン元首相が19.9%で3位、ベテラン左翼政治家のジャン=リュック・メランションが19.6%、現在政権を担っている社会党のベノワ・アモンが6.4%で、フランスは二大政党のどちらの候補も決選投票に進めなかった。(以上、数値のソースはBBCのこの記事。右のキャプチャ画像も同じ)

FTはこれについて「第1回投票の結果は、1958年にシャルル・ド・ゴールが確立したフランスの政治システムが受けている打撃を象徴している。ほぼ60年を経て初めて、左派と右派の二大政党の候補者がいずれも大統領選の決選投票に進めない結果となった。第5共和制の政党政治の既成勢力が私たちの眼前で瓦解した」とまとめている。「有権者の10人に4人以上がルペン氏か急進左派のメランション氏を支持した……2012年大統領選の第1回投票では、この2人の合計得票率は29%にすぎなかった」という事実に注目する同紙記事は、今回の選挙は「伝統的な左右の対立軸でおおむね政治が認識され、争われてきたフランスにとって……未知の領域」であると述べている。注目すべきはそのことだろう。英国もまた「(政権交代を前提とした)二大政党制」がこの先も続いていくのかどうかは、極めて不透明な状態だ(日本と同様の「与党の一強状態が長く続く」状態になるのではないかと思う)。

BBCは、まともな「報道」系の分析記事として読む気がしないようなぺらっぺらの内容だが(少し前のBuzzFeedや、今のHeavy.comのような「チェックすべき情報のまとめ」記事レベル)、サイドバーなどに表示されて多くの読者を誘導している記事が、"The left is in ruins" とことさらに書き立てている。確かにThe left *establishment*はin ruinsだが(英労働党のエリートさんたちと同じく)、この記事は、「左翼の瓦解」と叫びながら、左翼票を(社会党支持層の中からも)持っていったと思われるメランションについて言及すらしていない(彼もまた、今回の大統領選で「大躍進」を遂げたことは事実だというのに)。そして(あえて「左右」で語るなら)左翼より、ルペンのようなものに代表されようとしているthe rightのほうがよほど深刻な状態にあるのだが、この記事はそういうことはスルーしている。むしろ、BBCの「ルペン推し」は投票前も投票後も全然変わっていない。この記事でも、ルペンは笑顔を浮かべて支持者のセルフィにおさまるというフレンドリーな写真で紹介されている。一方で、決選投票で彼女と対決するマクロンは、警察官とボディーガードと思われる人々に回りを固められて手を振っているという「権威」っぽい写真だ。実際、彼は超エリートさんだが、マクロンを「新星」ではなく「権威」とみなす言説は、ネット上できぃきぃ喚いているアンチ・エスタブリッシュメントのトランプ支持の英語話者の間で相当広く見られる。というわけで、どうもBBCは「極右の台頭」という《物語》を語ることに本気で取り組んでいるとしか思えず、残念極まりない。

前項で述べたように、英国のメディアは多くの場合、投票日前の世論調査でトップとなり、実際の投票結果でもトップだったエマニュエル・マクロン(どうでもいいがフランス語なので、語強勢は後ろの音節に来る。つまり「"マ" クロン」という読み方ではなく、「マク "ロ" ン」である)を、大統領選前の報道ではほぼずっとほとんど無視していた。誰もが見る場所で「フランス大統領選」の話題で出されているのはマリーヌ・ルペンの名前と顔写真、あるいは妻への不正な金銭支給による公金横領の疑いがかかっているフランソワ・フィヨンの名前と顔写真で(まあ、フィヨンに関する記事は訴追に関するものなど、「政治ニュース」ではなく「事件報道」だったが)、トップランナーのマクロンのそれではなかった。第一回投票が終わり、マクロンがトップだという事実が誰の目にも明らかな形で確定した現在は、選挙前のこの笑止千万な状況は終わるかもしれないが、BBCを見ていると、まだこれからも続く可能性も高いなと思う。むしろ、「本当の勝負はこっから」ということで、ますます「ルペン、ルペン」という騒ぎが大きくなるかもしれない。前項で見た通り、ナイジェル・ファラージがマクロンがEU支持であることをTwitterという場でいじりだしているわけで、ファラージが騒げば英メディアは(ガーディアンとインディペンデントを除いて)それになびく。というか、メディアがこれからどう動くかを先頭に立って知らせてくれるのがファラージ、ということになってしまっているのが昨今だ。

英語圏がどんだけ大騒ぎしようと、フランスの人たちにはどこ吹く風かもしれない(が、私はそうであってほしいと思っているから、私の考えることにはいわゆる「確証バイアス」がはたらいているかもしれない)。しかしそれでも、ネット上で、英語圏からフランス大統領選挙を見ていて非常に目立つ奇妙な現象があるということは、それなりにまとめて書きとめておく意味があるだろうと思う。とりわけ一度は――特に「Web 2.0」ともてはやされた時代(イラク戦争の時代)に――大まかにいえば「ネットで人々が発言することは、世界をよくすることだ」と信じる側にいた人々は(私もそのひとりである)、現在、「ネットで人々が発言する」ことが当たり前になったあとに何が起きているかを改めて直視する必要がある。自分に直接は関係のないトピックならば、その「直視」も余計な先入観なくできやすいだろう。そして多くの日本語話者にとって、フランス大統領選挙は「自分とは直接関係のないトピック」の最たるものだろう。

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2017年04月24日

フランス大統領選は「親EU」か「反EU」かの選択だ。「極右の台頭」の文脈に組み込んではならない。

今週水曜日、2017年4月26日は、ピカソが「ゲルニカ」という作品にした都市爆撃からぴったり80年となる日である。
ゲルニカにはバスク地方の自治の象徴であるバスク議事堂とゲルニカの木があり、歴代のビスカヤ領主がオークの木の前でフエロ(地域特別法)の遵守を誓ったことから、ゲルニカはバスクの文化的伝統の中心地であり、自由と独立の象徴的な町だった。フランスの思想家であるジャン=ジャック・ルソーは、「ゲルニカには地上で一番幸せな人びとが住んでいる。聖なる樫の樹の下に集う農夫たちがみずからを治め、その行動はつねに賢明なものであった」と書いている。この爆撃は焼夷弾が本格的に使用された世界初の空襲であり、「史上初の都市無差別爆撃」や「史上初の無差別空爆」とされることもある。この爆撃は敵国民の戦意をそぐために行われる戦略爆撃の先駆けと考えられており、戦略爆撃は第二次世界大戦で本格化した。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B2%E3%83%AB%E3%83%8B%E3%82%AB%E7%88%86%E6%92%83


ピカソの「ゲルニカ」の成り立ちについては、下記の本がとてもよかった。中学生に読めるような易しい本だが、内容は濃い。
4905194326ゲルニカ―ピカソ、故国への愛
アラン セール Alain Serres
冨山房インターナショナル 2012-05

by G-Tools


2014年に第一次世界大戦(当時はただの「大戦 Great War」と呼ばれていたが)開始から100年を迎えて以降、英国の大手メディアで「○○の戦いから100年」という記事を目にすることが頻繁だが、それと同時に第二次世界大戦についても「○○作戦から70年」、「○○事件から75年」(75年はthree quartersで大きな節目として扱われる)といった記事が書かれて日々流れてきている。

加えて、第二次大戦はVEデイで完全に終わったのではなく、めっちゃくちゃになったヨーロッパはその後数年はしばらく大変な状態にあったので、2017年の今もまだ「○○から70年」という記事が流れてくる。先週は、英軍によるヘリゴランド(ドイツ語読みはヘルゴラント)島での大爆破について、対岸からそれを見ていた島の人々の声を軸にした記事がBBCに出た。当時英軍は、ドイツ軍が蓄えていた大量の未使用爆弾を処理する必要があり、「ビッグバン作戦」という作戦を立案して、ドイツの西側の沖に位置する同島で爆破した。同島が選ばれたのは、ここがドイツ軍によって要塞化された一大軍事拠点だったためだった(戦争に負けてもなおいろいろと諦めきれないドイツの勢力が、ここを利用して何かを画策することを事前に阻止するという目的があった)。この爆破は、現在に至るまで、核を使用しない爆発としては最大のもので(当時の英軍による記録映像が同記事に入っている)、当時英軍は150キロも離れた少し内陸のハンブルクにまで、「爆発(の衝撃波)に備えて、建物の窓・扉を開けておくように」という指示を出していた。対岸からは、既に対戦中に島から退避させられていたヘルゴラント島の人々が、自分たちの島が爆破されるのを見守っていた(実際には見ることはできず、音だけだったという)。中には島が破壊されてなくなってしまうと思っていた人もいたが、島は消えてなくなりはせず、1952年に島がドイツに返還されると人々も島に戻り、現在は1,483人が暮らし、免税店目当ての観光客を迎えている。この島はナポレオン戦争の時代に英国が占領し、1890年にドイツに寄贈されるなど、英国との歴史的な関係は浅くない……。

こういった「欧州事情」の記事を見るたびに、部外者の私は改めて、EUがノーベル平和賞を受賞(2012年)したことの意味を思わずにはいられない。当時は「馬鹿げている!」と思ったし、今も「ノーベル平和賞はもう終わりにしたほうがいい」と思っているが(ダルフールやシリアやウクライナや南スーダンを前にしたときにそう思わずにはいられない)、少なくとも、受賞の理由について理解はできる。あのドイツとあのフランスが戦争になるということが考えられない今の現実を構築してきたのは、「欧州共同体」という理念だ。

日曜日(23日)に一回目の投票が行なわれたフランスの大統領選挙は、内政上の課題がもちろん最重要なのだが、それを除いては、まず「Brexit後のEUがどうなるのか、EUをどうするのか」を問うものだ(英国での議論の推移を改めて振り返る限り、「移民がー」というフレーミングは、そのデコイに過ぎない。むろん、そういう語りを積極的に採用して目立つのが移民排斥の「ホワイト・ナショナリズム」の陣営、つまり平たく言えば「ネオナチ」系であるということは確かだが)。「反EU」の候補者でEUを "根本的に変える" 方向で動くのか、「親EU」の候補者で英国が抜けたあとのEUを一層強化する方向で動くのか。

日曜日の投票結果、トップで決選投票に進んだエマニュエル・マクロンは「親EU」の候補者だ。壇上に置かれた旗に明らかなように。

emacronspeecheuflag.png

*via http://www.bbc.com/news/world-europe-39689385

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2017年04月15日

日本で桜の花が咲いているとき、日本以外でも桜の花が咲いている。

4月3日は、よく晴れていた。

近場にソメイヨシノの大きな木が2本ある。今年は花が遅かったが、陽気に誘われたように、この日、ようやく五分咲きに近くなっていた。1本目の木の下の右側にはレジャーシートを広げて楽しそうにくつろいでいるお母さん2人と子供たちがいて、左側には小学生の女の子たちが真剣な表情でスマホを掲げて貼り付いていた。この木の枝はけっこう下まで下がっているので、身長が150センチに満たない彼女たちでも、腕を伸ばせば何とか、撮りたいような写真が撮れるのだ。

私は枝の先の方だけを撮って、とりあえず、自転車にまたがってもう1本の大木に行くことにした。

Untitled

Modest ones


もう1本の大木は児童遊園の中にある。少し離れたところから見ると、上の方の枝はまだまだこれから咲くところだ。

Another big Somei-yoshino tree


と、大木のほうから、キラキラと輝くような笑い声が聞こえた。

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2017年03月12日

BBC Newsでの微笑ましいハプニング(真顔)についての反応が示した「偏見」

韓国の大統領がついに罷免という大変な事態となり、世界中の注目が韓国に集中したその日、現地の大学(釜山大学)で国際関係論を教えている英国人のケリー教授は、BBC World Newsのコメンテーターとして、ウェブカムを使ってロンドンのスタジオのキャスターのインタビューを受けていた。ケリー教授は朝鮮半島についての専門家である。インタビューが進み、今回の事態が「より広い範囲に」、つまり朝鮮半島全体にどのような影響をもたらすかという深刻な面についての話になったとき、いきなり背後のドアが開き、どん・どん・どん・どんのバスドラ4つ打ちに合わせるように踊りながら、子供が入ってきた(ここで視聴者は、ケリー教授のインタビュー場所が大学の研究室ではなく自宅の書斎であることに気づく……英国ではこれは朝のニュースだったそうだが、韓国と英国は8時間の時差がある)。子供はそのままずんずんと前進して、パパが見詰めているカメラをじっと見詰める。教授も真顔なら、お子さんも真顔である。

kidsvideobomb.png


背中を向けているキャスターも真顔であることに疑いの余地はなく、真顔好きとしては、「これはすばらしい真顔博覧会ですね」と感嘆を禁じえないのだが、このあと、事態は急展開を見せる。どっかから「教授、アウト〜」って聞こえてきそうな画面だ。

短い映像だし、言葉などわからなくても見ればわかるので、まだ見ていない方には、ぜひごらんいただきたい。ただしお茶を飲みながらとか歯を磨きながらとかいった「ながら」視聴はおすすめしない。



これについては、「真顔」という観点を軸に、事態発生時にBBCのニューズルームにいたジャーナリストや当事者(キャスター、教授)のツイートとそれへのリプライを、下記に「まとめ」ておいた。

(・_・) 英国式真顔の真髄、あるいは「絶対に笑ってはいけないBBCニュース」
https://matome.naver.jp/odai/2148922169496268301

といっても、わざわざ「まとめ」にしたのは決して、これが「真顔好きにはたまらない」ものだったからだけではない。「真顔好きにはたまらない」からわざわざまとめたのではない。大事なことなので二度言いました。真顔で。 (・_・)

教授が「アウト〜」になり、事態がクライマックス(教授の「すみません」との発言)を迎えるシーン。大慌てで飛び込んできた紺色のボーダーの服の女性が誰であるかをどう認識するかについて、議論になったのである。

kidsvideobomb2.png


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2017年03月11日

単なる「テクノロジー・プラットフォーム」に入り浸り、その「テクノロジー」の言う通りにしていたら、極右言説・陰謀論が視界にあふれてしまったという話(Facebookについて)

WIREDの日本版サイトにこんな翻訳記事が出ている。

Facebookはもはや「プラットフォーム」ではないし、中立でもない
2017.03.11 SAT 21:00, TEXT BY DAVEY ALBA
http://wired.jp/2017/03/11/facebook-media-company/
原文: https://www.wired.com/2017/03/facebooks-officially-media-company-time-act-like-one/
フェイスブックは、従来のメディア企業として分類されるのを頑なに拒んでいる。米国の成人の半数近くがFacebookでニュースを見ているにもかかわらず、CEOのマーク・ザッカーバーグは、Facebookを「テクノロジープラットフォーム」と呼ぶことにこだわっているのだ。だが、こうした古い議論はもはや必要ない。とくに、フェイスブックが独自の動画コンテンツの制作を始めたいまとなっては。

『DIGIDAY』US版によると、フェイスブックはモバイルアプリ用に「スポットライト・モジュール」と呼ばれるタブを開発しているという。Facebook用に制作された番組や長時間の動画コンテンツをハイライトするものだ。


FBが立ち上げようとしているこの「動画コンテンツ」の詳細は、ここでは措く。私はFBは使っていないし、別に興味もない。それより、下記の指摘だ。

動画制作の領域に確実に踏み込みつつあるフェイスブックは、巨大メディアとしての責任を回避しようとしており、それは議論の的となっている。

……フェイスブックは、コンテンツ制作を手がけることで、「単なるプラットフォームである」と主張することはもはやできなくなる。

結局のところ、「コンテンツをつくる」というのは、フェイスブックが編集上の判断を行うことを意味する。それは、動画制作者が何をするか、あるいはしないか、そしてその動画のフォーマットや長さ、トーンを決めるのに、フェイスブックが意見をもつということだ。そしてもちろん、フェイスブックは番組に直接資金を投じることになる。そこに、ニュートラルなものなど何もない。


FBというのはアメリカ企業で、基本的にアメリカしか相手にしていない。英語圏ならまだしも、言語が異なる(それも、使う文字から異なっている)日本語圏では、また事情が違っているのかもしれない。だがいずれにせよ、FBについては次のような問題(をザッカーバーグが絶対に認めようとしないという問題)が指摘されている。同じ記事から。

フェイスブックは、編集上の判断をこれまでまったく行ってこなかったというわけではない。「Facebookは、決してニュートラルなプラットフォームではありません」と、コーネル・テックでSNSを研究する法律学教授のジェイムス・グリメルマンは言う。「常に、どこよりも効率よくコンテンツを拡散してきたのです」

フェイスブックの技術的・社会的な決定は、コンテンツに明らかな影響を与えてきたと、グリメルマンは語る。……


グリメルマン教授の言葉に、私は昨日読んだBuzzfeed.comの記事を思い出した。内容をかいつまんで連続ツイートしたものだ。元からそれをブログに引っ張ってくるつもりだったが、このWIREDの記事はちょうどタイミングよかった。

というわけで、昨日読んだBuzzfeedの記事である。

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2017年03月10日

アモス・ギタイ監督(イスラエル)の映画、『フリーゾーン Free Zone』

画面の左半分弱を占めた若い女の横顔。音楽(歌)が流れ、女が顔をしかめ、涙を流す。アイメイクが黒く尾を引いて頬の上を流れ落ちる。オープニング・クレジットからの7分間、この映画はずっとその映像だ。流れている歌の歌詞は日本語の字幕で画面下部に表示される。泣いている若い女の横顔は、見ている者の目を引きつけて離さない。

freezone-song.png  私の父が買った 安い値段で
  子羊! 子羊!
  私の父が買った 安い値段で
  そうハガダに 書いてある
  猫が待ち伏せしていた
  子羊に跳びかかり 食い殺す
  子羊を食い殺した猫を
  犬が絞め殺す
  父が買った子羊
  安い値段で
  子羊! 子羊!……

字幕によると、この歌はさらに次のように続く(2番)。

  棍棒が
  犬を罰する
  猫を食いちぎった犬
  父が買った子羊を 食い殺した猫
  父は安い値段で 子羊を買った
  子羊! 子羊!

続いて、今度は「火が棍棒を燃やす」で始まり、また同じ「子羊を殺した猫を殺した犬を罰した棍棒」が(逆順で)繰り返される。

次は「水が火を消す」。そして「子羊を殺した猫を殺した犬を罰した棍棒を燃やした火」(の逆順)。

それから「近くを通った牛が 火を消した水を飲む」。そして「子羊を殺した猫を殺した犬を罰した棍棒を燃やした火を消した水」(の逆順)。

これで終わりではない。次は「水を飲んだ牛を殺しに 肉屋がやって来る」。そしてまた、繰り返される。「その牛は水を飲んだ、その水は火を消した、その火は棒を燃やした、その棒は犬を罰した、その犬は猫を絞め殺した、その猫は子羊をかみ殺した、その子羊は私の父が買った」。

そしてついには「堕天使が現れて 肉屋を殺す」。

  堕天使が現れて 肉屋を殺す
  肉屋は水を飲んだ牛を殺し 
  水は火を消した 
  火は棒を燃やし
  棒は犬を罰した
  犬は猫を絞め殺し
  猫は父が買った子羊を
  食い殺した
  子羊! 子羊!

先月Twitterに流していたのだが、3月9日(昨日)まで、アモス・ギタイ監督の映画『フリーゾーン』がGYAOで無料で配信されていた。このように「○月○日まで、いつでも再生可能」という形だと、ついつい「今見なくてもいいや」と思って後回しにしている間に最終日になってしまうのが常で、9日の夜になってようやく見た。

見ている間、完全に引き込まれたし、おもしろかったので、最終日の夜で「今から言われても見れない」という人が多いかもと思ったけど、Twitterに「おもしろい映画だった」ということを書いて投稿した。見終わって立ち上がってお茶でも入れたころには、見ている間にちぐはぐさを感じた部分の印象が強まってきて、「きっと、長い映画をカットして90分に収めたのだろう」と思えてくるのだが(実際、イスラエルで保守派から文句を言われた「嘆きの壁」近くでのシーンが最終的にはカットされたそうだが、それは主人公の若い女の「物語」がばっさりとカットされていることを意味する)、そういったちぐはぐな部分(例えば、【ネタバレ回避のため文字を背景色と同じにしてあります→】「アメリカ人」は丘を歩きながらレベッカに語ってないで、商売で借りた金を返すよう尽力しろよ【←ここまで】とか)をしのぐ「会話劇」の凄みと強さがある。そして、その「会話」は、ツイートした通り、英語、ヘブライ語、アラビア語で為され、3言語がシームレスにくるくると入れ替わる。

特におもしろかった(興味深かった)のが、物語が動き始めてほどないところで出てきたガソリンスタンドの場面だ。

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2017年03月07日

アイルランド、テュアムで埋められていた子供たちは新たに見つかったんじゃない。約3年前の指摘を政府がようやく事実と認めたのだ。

2014年6月、私は何に関心を持っていただろう。イスイス団の西洋に対する残虐な敵意の垂れ流し祭りが始まる2ヶ月前で、自分の関心の非常に大きな部分がイスイス団に向けられたあとのことは覚えているが、その前のことは思い出せなくなってしまった。Twitterのログを見返しても雑多すぎて、イマイチはっきりとしない。そのときに私が関心を向けていたことは確かにあるのだが、その後に起きたあまりにも大きな、あまりにも衝撃的なことに吹き飛ばされて、それらは自分の中で流れを作っておらず、ただ「断片」となり、確かに記録として存在はしていてもあとからたどることは難しくなってしまった。

それでも、2017年3月3日、北アイルランド自治議会選挙の開票実況をゲラゲラ笑いながらTwitterで追っていたときに(選挙についてのブログはこのあとで書きます。まだ笑えるから困る)、アイルランド共和国から流れてきたニュースに出てくるその地名には、聞き覚えがあった。ゴールウェイ州だよな、とも思った。決して馴染み深い地名ではないのに。

実際、2014年6月7日、自分は下記のようにTwitterに投稿していたのだ。

tuambabies-june2014.png


自分の書きぶりからわかるが、このとき、このニュースを伝えるセンセーショナルな文言を、非常に多く見たのだろう。そういう中で、何とか「冷静な」ものを見ようとしていたことがうかがえる(「正常性バイアス」ってやつだろう)。そして私はアイリッシュ・タイムズは(特に宗教がらみのことではアイリッシュ・インディペンデントなどに比べて)信頼できるメディアだと思っていたし(今でもそう思っている)、そこにあるバイアスに気づいていなかったのだろう。

そう、2014年6月の私のバイアスに、2017年3月の私は気づかされている。

さっきから、「何のことだ」と思われているかもしれない。このことだ。

アイルランド、カトリック教会が運営していた児童施設の跡地から、大量の子供の遺体が見つかった。
https://matome.naver.jp/odai/2148855831728187001

2017年3月3日、北アイルランドのリストの画面と、ベルファスト・テレグラフやBBC Northern Irelandの開票速報の画面を開いて、ウィキペディアの選挙区ごとのページを見て前回の選挙のことなども確認しながら、北アイルランドの人々の「うはー」とか「うひょう」という声が響く中、単なる数字を見てゲラゲラ笑っていたときに、北アイルランドのリストに "Tuam" という地名を含むツイートがいくつも流れてきていた。

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2017年02月20日

ドナルド・トランプの世界では、パキスタンとスウェーデンが区別されないらしい。トランプ支持者の世界では、スウェーデンは燃えているらしい。

当の米国では新政権発足後のいわゆる「ハネムーン」期間など、今回に限っては存在してもいないのに、なぜか日本語圏はそういうムードに浸りきっていて「トランプ大統領の経済政策のお手並み拝見」とかいう言説があふれかえっていて(そういう言説、気をつけないとだめですよ)、特に書店の店頭などはすさまじいことになっているのだが(去年は格差だピケティだデモで民主主義だとやってた棚が、今年はトランプ一色で、出版されるトランプ本の中身は、多くの場合、「中立」という体裁をまとったトランプへの消極的支持または積極的礼賛)、モニターの中に私が見る世界は、(ときどき「偵察」的に見に行くalt-rightのサイトは別として)それとはまったく違う。何しろすべてがデタラメなのだから(GBWのとんでもないデタラメが、まっとうに見えてきて困る)、特に「反トランプ」であるわけでもない圏、つまり単に「トランプ支持ではない界隈」ではこうあるのが当然だが。

特に今回が異常なのは、いわゆる「燃料投下」がやまないことである。スポークスパーソンとか広報とかいった部門やそっち方面の補佐官が、「大統領の失言をフォローする」どころか、自分たちががんがんトンデモをぶちかましている(彼らのは「失言」などというレベルではなく、「トンデモ」である。そのうち「レプタリアンがー」とか言い出すんじゃないかと思って、生暖かく見守るくらいがちょうどいい)。

トランプ政権のトンデモ番長はケリーアン・コンウェイだ。彼女は選対本部長から大統領顧問となった人物だが、元々はテッド・クルーズ陣営のスタッフだった。コンウェイが選対本部長になった経緯を私は把握していないが(正直、この人のことはどうでもいい)、確かトランプ陣営は選挙時にあまりにトンデモでデタラメだったことに耐えかねて選対本部の人が途中で離脱してて(NationかMother Jonesか何かでその過程について激白してたと思う)、離脱した人のあとに入ったのがコンウェイではなかったかと思う(要確認)。

彼女のトンデモっぷりは、大統領就任式典直後に "alternative facts" なる概念を披瀝したことで、全米および全世界が知るところとなった。

「もう一つの事実」(英: Alternative facts)は、2017年1月22日に放送されたミート・ザ・プレスのインタビューにおいて、アメリカ合衆国大統領顧問ケリーアン・コンウェイが行った発言で、ホワイトハウス報道官ショーン・スパイサーのドナルド・トランプ大統領就任式に関する虚偽発言を擁護した言葉である。インタビューを行ったチャック・トッドが、スパイサー報道官はなぜ「明らかな虚偽発言」を行ったのか問いただしたところ、コンウェイ顧問は「もう一つの事実だった」と答えた。それに対してトッドは「もう一つの事実とは事実ではない。虚偽だ」と反論している。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%82%E3%81%86%E4%B8%80%E3%81%A4%E3%81%AE%E4%BA%8B%E5%AE%9F


コンウェイの悪名をさらにとどろかせたのが、2月2日に為された「ボウリング・グリーンの虐殺 Bowling Green Massacre」発言である。「ボウリング・グリーン」はケンタッキー州にある町の名前で、2011年にこの町で、アルカイダに対する資金・物資の援助の容疑で2人のイラク人が逮捕され、連邦裁判所で「テロリズム」で起訴された。つまり、ボウリング・グリーンで2人のイラク人「テロリスト」が逮捕・起訴されたということになるのだが、彼らは人を殺したり爆弾を作ったりしたわけではなく、米国が「テロ組織」と規定している組織(アルカイダ)への支援を行なったわけである(そんなことで「テロリスト」になるのなら、アメリカのアイリッシュ・コミュニティにはIRA支持の「テロリスト」は大勢いただろう)。しかし、ケリーアン・コンウェイの「オルタナティヴ・ファクト」の世界では、つまり普通の事実の確認を取らずに構築されている世界では、彼ら2人のイラク人「テロリスト」は、ボウリング・グリーンの町で「虐殺(大量殺戮)」を行なったことになっていた。そして彼女は、自分の信じていること(マイルドにいえば「勘違い」)を、そのまま、テレビのインタビューで披瀝したのである。

むろん、彼女は即座に嘲笑された。ボウリング・グリーンの町では人々が「存在しもしない大量殺戮事件のために」という言葉をかかげて、キャンドル・ヴィジルを行なったりしていたし、Twitter上の英語圏は、「機知に富んだ一言」でたいそう賑わった。

これで赤っ恥をかいた政権スタッフは、以後、しゃべる前に事実確認を行なうようにするなど、事実に対する態度を改める……のなら普通だが、トランプ政権は「普通ではない not normal」し、自分たちが「普通ではない」ことをドヤ顔して見せ付けるような人々で構成され、支持されている。
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2017年02月18日

【訃報】ディック・ブルーナ

Twitterの@Miffy_UKのアカウントは、ミッフィー、つまりディック・ブルーナの絵本のうさぎ「ナインチェ」(日本では「うさこちゃん」として親しまれてきた)に関連するイベントやグッズ、テレビ番組の告知を行なったり、絵本から抜粋した文と絵をツイートしたり、「子供たちとミッフィーちゃん」という光景の写真やミッフィーちゃんをかたどったお菓子の写真などを紹介している。最近はinstagramからの写真を紹介していることも多い。

普段は色にあふれたこのアカウントが、18日、色を失っていた。ヘッダー写真が真っ白になっていた(黒ではなかった)。

miffiy_uk.png

ディック・ブルーナ。1927年8月生まれのオランダのアーティストが、90歳の誕生日まであと半年あまりというこの時期に、逝ってしまった。
https://en.wikipedia.org/wiki/Dick_Bruna

その悲報がどのように広まっているかが、私の目の前に開いた小さな窓の中に見えた。

以下はその記録。ささやかな。

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2017年02月05日

ケベックのモスク銃撃事件に関する「シリア人難民犯人説」というデマと、トランプ支持者界隈。そして、ボストン・マラソン爆弾事件のときの先例。

1つ前のエントリで、1月29日にカナダのケベックで発生した極右過激派によるモスク襲撃(6人死亡、ほか負傷者多数)について書いた。襲撃者が「極右過激派のローン・ウルフ(組織という背景を持たない単独犯)型テロリスト」であることが公になるまでには少し時間がかかり、その間にネットでは「噂 (rumour)」が流れていた。

このケースでは「噂」には大きく分けて2種類あり、その1種類は「事件発生後まもない段階での混乱」(警察が「容疑者」とした人が、実は「被害者」だった)に基づくもので、大まかに言えば、ネット、特に「リアルタイム」と信じられていることが多いソーシャルメディアで、既に古くなった情報が少し後まで人から人へ伝えられ続けるというケースだった(その背景には「人々の思い込み」とか「正常性バイアス」もあると思うが、そういったことについての分析は、たとえリソースがあっても、ある程度の時間はかかり、すぐには出てこないだろう。そもそも一介の一般人である私にはそんなことをするリソースはないのだが)。

そして、もう1種類はあまりに異様なもので、1つ前のエントリで扱うことを諦めざるを得ず、次のように簡単に書くに留めてある。

そして、容疑者の名前がわかった。(実はこれが判明する前にも薄気味の悪いデマが出回ってたんだけど……同じようなことがボストン・マラソン爆弾事件のあとにもあったよね。まあいいや、そっちまで書こうとすると書き終わらないから先に行くね。下記の名前が出たとたんに、このデマで騒いでた界隈は静かになったらしいんだけど、それもボストン・マラソン爆弾事件のときとそっくりだ。同じ連中が釣られてたら笑うけど、笑えないか)

http://nofrills.seesaa.net/article/quebec-mosque-shooting-white-nationalist-terror.html


本エントリでは、それについて書く。

まず、「同じようなことがボストン・マラソン爆弾事件のあとにもあった」という部分について説明しなければならないだろうが、そのパートから書き始めたら極めて読みづらいものになってしまったので、構成を変更し、先にケベック・シティ・モスク銃撃事件に関する「薄気味の悪いデマ」について書いて、ボストン・マラソン爆弾事件のときの「同じようなこと」は後に置くこととする。

■ケベック・シティ・モスク銃撃事件での「デマ」(「銃撃したのは難民だ」説←無根拠な虚偽情報)
1つ前のエントリに簡単にリンクだけ入れてあるが、「ネットメディア」のひとつであるPrntlyでは「ネット上では(※このサイト曰く『Twitter上では』となっているが不正確)、ケベックのモスクを銃撃したのは『バシール・T』と『ハサン・M』という名前の人物だ」という話になっていた(以下、虚偽・誤情報の中で出てきた名前については、当記事の地の文では一部をイニシャルとするようにする。キャプチャ画像など、検索にひっかからない形ではそのまま示す)。

その記事の一番上に掲示されているツイートは「ケベックのCBCが、銃撃犯はかくかくしかじかという名前のシリア人難民だと報じている」と書いているが、削除されている(このアカウントのツイート内容は政治的rantばかりの様相で、ツイート主の居場所も不明。「反イスラム」のほかはアメリカの話ばかりで、少なくとも、ネットでラジオでも聞いてるなら別だが、「ケベックのCBC」の報道を直接知ることができるような場所にいそうな雰囲気ではない)。

「CBCがこれらの名前を伝えていた」とするツイートは、Prntlyのこの記事を離れてウェブ検索でもう1件見つかったが(こちらはアメリカにいるアメリカ人のようだ)、それも削除済みで(Googleキャッシュは残っている)、そのツイッタラーのTLにはほかに1件だけ、ケベックの事件についてのフィードがあり、Googleキャッシュを参照するとその記事を根拠としているように見えるが、実際にはそう「見える」だけで発言のソースがそれだとは言っていない(し、当該記事に「容疑者2人の名前」も見当たらない)状態で、この人物が何をソースに「CBCで報道」と発言したのかは確認できない。なお、残っていたGoogleキャッシュで確認できた範囲では、「これらの名前は4chanでジョークとして投稿されたものだ」という指摘がリプライとしてつけられている(が、元のツイートの主がそれに反応した形跡はない)。4chanなど私には到底確認できないが(どの板なのか、といったこともわからない)、本当に「4chanのジョーク」だった場合、最初っから無根拠である。

なお、ここでリンクしたPrntly.comというのは、単に検索して知っただけのサイトだが、「小さい政府」だとか「リバタリアン」だとかいった傾きを持つ、「既存メディア」に対抗する姿勢でネット上の情報を「まとめ」ている自称「ニュース」サイトであるということは、注意しておく必要がある。リンクした記事の見出しで「Twitter上では」と打たれているが、それはこの自称「ニュース」サイトの運営者がこれらの名前を見たのがTwitter上だったという程度の話である(そのような記述になっている)。このサイトは、Twitterで取りざたされているその名前の出所を確認することすらしていない自称「ニュース」サイトで、実際この「ニュース」の記事は、「Twitter上で言われていることをメモった」ものでしかなく、「どんな名前が取りざたされていたか」を確認するためになら使えるという程度だ。ソーシャル・メディアを使う個人による情報のリアルタイムな発信と集積は、既存のメディアの取材と同等か、それ以上の意味・価値を持つのではないかということで「ネットの力」が注目されたのは2009年イラン大統領選挙後の不正追及運動や2010年12月から2011年のいわゆる「アラブの春」のときで、その流れは既存の大手メディアをより開放的にするという結果を生じさせたが、それと同時に、ネット上に「ネットの力」を妄信し、「既存メディアに反対」というだけの勢力に場を作らせることにもなった。そして、大手でキャリアを積んできたジャーナリストたちによって新たに開始された「ネットの力によるニュースサイト」がパトロンによる資金の引き上げという形で継続不能となる一方で、活動家や学生がネットに転がっている話を、最小限の事実確認も取ろうとせずに「ニュース」としてまとめるサイトは、それが元々小規模なプロジェクトであるがゆえに、これからも自称「ニュース」サイトとして存続する。これが現実の光景だ。ディストピア小説なんかより、現実はもっとずっとディストピア的である。

というわけで早速話が脱線しているが、閑話休題。このPrntly.comという「まとめサイト」にも出てくる名前で、Twitterを検索してみよう。その結果の画面のキャプチャが下記だ(キャプチャは2017年2月4日に取得。事件からほぼ5日後で、これらの名前が容疑者の名前とされる根拠などないとわかってから何日も経過している。以下同)。


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2017年02月02日

カナダ、ケベックのモスク銃撃事件(白人優越主義者によるテロ)と、ネット上のデマ、そしてFox News

1月29日(日)の夜(現地時間)、カナダのケベックにあるモスクが、銃を持った男に襲撃され、6人も撃ち殺された。
https://en.wikipedia.org/wiki/Quebec_City_mosque_shooting

この衝撃的で陰惨なテロ攻撃(カナダのトゥルードー首相は、「テロ」と言うべき場面で「テロ」という言葉を使える人物であることを世界に示した)が、日本語圏のメディアでどのくらい報道されていたかは私は把握していないが(たまたまタイミング的に、Yahoo! のトップページも見ていなかった)、英語圏でも、私の見た範囲ではさほど大きな報道には見えなかった(カナダの報道機関のサイトを見ていれば、もちろん違っていただろう)。その理由は、1月20日以降、毎日毎日キテレツな出し物が上演されるかのごとくの米ホワイトハウスが連日、報道機関のサイトの一番いいところを占有し続けているからだ(そういう状態の中でほとんど気づかれずに流れていったニュースはいろいろあるだろう。英ウォッチャーにとってはなつかしの、"bury the bad news" 的な状況が、もう2週間近く継続している)。この日は、前日から続いて、批判的な人々と多くの主流メディア(英デイリー・テレグラフなど「保守」系を含む)によって "Muslim ban" と称された「イスラム圏の特定7カ国」に関する米国への入国禁止措置(査証発給停止)がトップニュースだった(妥当なことだ)。

日本時間で1月30日(月)の18時ごろに見たときのガーディアンのトップページ(インターナショナル版)。クリックで原寸表示。

guardian30jan2017s-min.png


ケベックはフランス語圏で、北アフリカなどフランス語圏からの難民・政治亡命者が多く暮らしている。襲撃されたモスク(英語で「ケベック・シティ・モスク」)はそういった人々が通う礼拝の場だ。そこが襲われたのは、日曜日の夜の礼拝の時間だった。ホワイト・ナショナリズムを信奉し(つまり北米の文脈では「白人優越主義者」である)、「反イスラム」の理念を抱く27歳の大学生による無差別的な銃乱射によって命を奪われたのは、39歳から60歳の男性たちで、大学の農学部の教授、食料品店の店主、薬剤師、ケベック行政府職員。それぞれに子供たちがいて、6人全員がカナダ国籍を持ち、2人はギニア共和国との二重国籍、ほか、モロッコやアルジェリアとの二重国籍の人々だった(ソース)。


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2017年01月24日

エコー・チェンバー(タコツボ)として機能するFacebookについての論文を読む(ニュース記事で見かけた論文の探し方)

今日、たまたまこんな記事を見た。

フェイスブックなどSNS、視野狭め偽情報拡散の一因にも 研究論文
CNN.co.jp 1/23(月) 13:46配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170123-35095395-cnn-int
(CNN) フェイスブックなどのソーシャルメディア(SNS)はユーザーの世界を広げるどころかむしろ視野を狭めさせ、特定の先入観の形成を促し、それが誤った情報の拡散につながる――。イタリアや米国の研究チームがそんな論文を米科学アカデミー紀要に発表した。

研究チームはデータモデリングの手法を使って、陰謀説と科学情報の2種類のコンテンツが拡散する様子を描き出した。

その結果、「ユーザーは特定の論調に関連したコンテンツを選んで共有し、それ以外は無視する傾向があることが分かった。特に、社会的均一性が情報を拡散させる原動力になっていることが示されており、ありがちな結果として、均一的で偏向した集団が形成される」。論文はそう結論付けている。

……


itnews24jan2017.pngこの記事について知ったのは、Yahoo! Japanのニュースの「トピックス」のページを見たときだ。右の図のように、「SNSは偽情報拡散の一因 論文」という文字数を切り詰めたヘッドラインがあった。過去、SNSで間違った情報(日本語圏で一般に流通している表現では『デマ』とも)が拡散することについての論文をわざわざ探して読んでがっかりすることが何度かあったので(「間違った情報」に、被害者支援の募金を騙る詐欺など、ちょっとそれは性質が異なるのではというものが含められていたりした)、今回も「まあ、2016年11月の米大統領選以降、fake newsってのがバズワード化した状態だから、論文の1本や2本は書かれるよな……」程度の気持ちでそのヘッドラインをクリックしたのだが、今回のこれは、過去の「SNSでの誤情報拡散について」という系統の論文とはテーマそのものが違うようだ。記事を一読して、この論文はアブストラクト(論文の冒頭に置かれる要旨の説明)だけでも読みたいと思った。

というわけで、Yahoo! Japanのニュースに出ていたCNN.jpの日本語記事(誰でも読めるもの)から、誰でも使えるGoogleを使って、元の論文を探してみよう。

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2017年01月23日

ガンビアの政治が動いてアーセナルの試合があった日、世界はつながってることを実感。

西アフリカのガンビア (The Gambia) という国で大統領選挙が行なわれ、22年間も政権の座についてきた現職を野党の新人が破るというサプライズを起こしたのは、2016年11月、ドナルド・トランプが米大統領選挙を制した少しあとのことだった(そのとき私は「サプライズでない選挙はないのか」と思った)。

勝利した野党の新人のアダマ・バロウさんがTwitterで「人は政治的な面では変われても、好きなサッカーチームは絶対に変えられない」と発言し、特製の「1番、大統領」のアーセナルのユニを着てしまうような人であることを、先日、さるさん (@saru_gooner) のブログで知った

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2017年01月20日

「ポスト・トゥルース」に対処するには「ポスト・トゥルース」をぶつけてやるのが一番……なのか? 根拠のない出まかせで有名ネットメディアとその読者が爆釣

1年前の自分なら眉をしかめて見ていたであろう。今は「いいぞもっとやれ」と拍手喝采している。

1916年について書かれた「すべてが完全に変わった All changed, changed utterly」(イエイツ)という言葉がこの上なくふさわしい2016年を経て、私も変わった。自覚できるくらいに変わった。

そのことを思い知らされたニュース。

そのソースがBuzzFeedというのも、ああ、変わったな、というポイントのひとつなのだが(以前も書いたが、BuzzFeedというウェブ媒体は、BuzzとFeedという媒体名を見ればわかるとおり、元々は「ネット上に落ちているものを拾い集め、おもしろおかしく構成して、なるべく多くのクリックを稼ぐ」ことを徹底的にやって大成功した「パクリメディア」の代表格で、創設から何年もの間、基本的に、猫写真とか「初デートあるある」的な時間つぶしの読み物とか「くだらねぇ」と笑うためにやるクイズ・診断の類を見に行く先でしかなかった。シリアスな方向に展開しだしたのは、そうやって知名度を上げて資金を調達し、UK版を展開するなどして、FTなど一流メディアで仕事をしてきた実力あるジャーナリストを何人も引き抜いて「報道」部を作るようになった後のことだ。BuzzFeedに関する英語版ウィキペディアも、「沿革」のところに沿革を書いたセクションがないとかいう状態でずいぶん統制が入っているようだが、下の方にある「批判・議論」のセクションに2012年や2013年に何があったかが一応書かれている。ちなみにBuzzFeed UKの現在の編集長は、エドワード・スノーデンの「暴露」報道を行なったときのガーディアンUSのトップで、ほかにもガーディアンからジャーナリストが移籍している)、どうやらアメリカでの「ネット言論」界においてBuzzFeedは、先日の「トランプ・ロシア文書」の公開によって、完全に、「反トランプ」の急先鋒という地位を獲得したようだ。一方で、ネット上のトランプ応援団のメディアの中には、かつてBuzzFeedでコピペ切り貼りに笑えるGIFを貼り付けたような記事を書いてた人たちも入っているだろうし、何と言うか、こんなところで「諸行無常」っすか、という心境にもなる。

閑話休題。余計な話をする前に書こうとしていた「ニュース」というのは、下記である。「ポスト・トゥルース」がメタ化してえらいカオスだ。

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"Post-truth" によって形作られる時代に、それが1日でも早く終焉を迎えることを祈りつつ。

「ポスト・トゥルース post-truth」、つまり「事実以後(脱事実)」とは、つまり、「すべてを疑え」ということだ――そのように、自分の中で言語化されたのは、実はほんの少し前のことだ。陰謀論者たちのいう「すべてを疑え」が「ポスト・トゥルース」なのだ。

「疑う」、「懐疑的である being sceptical」ということ自体には別に問題はない。むしろ、大学に入ってすぐに教えられたのが、「高校までは教科書どおりでよかったかもしれないが、大学における学問においては、"懐疑的な態度で臨むこと" が必要とされる」ということだった。(ちなみに私のこういった基本的な教育のバックグラウンドは社会科学系である。)

その「懐疑的な態度」云々というのもまた、あまり「わかりやすい」ものではない。見るもの全てを疑ってかかるということでは、断じてない。またそれは、何かを必ず否定することを前提とするものでもない。(ここに含まれている「全て」とか「必ず」とかいったこと自体、非常におかしなものなのだ。)

こんなことを書いていたら、いつまでたっても書き終わらないので話をはしょる(と書くと「逃げた」などと言いがかりをつけてくる人もいるのだが)。

2016年6月に英国で行なわれたEU離脱可否を問うレファレンダム後に急速にリアルなものとして立ち現れてきた「ポスト・トゥルース」の流れにおける「全てを疑え」というのは、「エリートやオーソリティの言っていることは、全て疑え」ということだった。

「エリートやオーソリティの言っていることは、疑え」ではなく、「全てを疑え」だった。

単に「全てを疑え」ではなく、「エリートやオーソリティの言っていることは、全て疑え」だった。

それが何を意味したか。それまで「エリートやオーソリティ」とされていたものを全否定し、それまで「エリートやオーソリティ」とされていなかったものを全肯定するということだった。

今、自分で書いてても「そんなバカなことがあるか」、「どこのカルト教団だよ」と思うのだが、実際に起きたことはそういうことだった。だからこそ、Breitbertのような嘘と煽動しかやらないような「ネットメディア」(10年前ならブログだったようなものだが)が勃興してきたし、そういうのが「ウケるし売れる」とわかったら既存のメディアもどんどんそっちに流れていったのだ。

日々Twitterで流れてくる一面しか見ていないような状態だが、「保守系」の新聞の様子を見ると「うげっ」という声が喉の奥で鳴る。デイリー・メイルがああだったのは昔からだが、今のデイリー・テレグラフやタイムズは、逆側に対置されうるのが(ガーディアンやインディペンデントではなく)モーニング・スターだと思ってたほうがよいくらいに極端にふれている。また、ソーシャル・ネットのおかげで、新聞の紙の束を離れて、目玉記事の見出し(と写真)だけでもがんがん流通するようになったあとで起きたことは、あのデイリー・エクスプレスが「まともなメディア」的に振る舞い始めるということだった。デイリー・エクスプレスですよ。ザ・サンどころじゃない。(ザ・サンはあれはあれでものすごくひどい、めっちゃ問題のある媒体だが。)

「ポスト・トゥルース」を形作り、引っ張っているのは、メイルとエクスプレスとタイムズとテレグラフ、そしてネットメディア。BBCも、少なくとも国内政治(英国の中央政府の政治)に関する報道の軸足は、明らかにそちらにある。(BBCの政治部は、元々、2015年の総選挙で保守党がバカ勝ちしたときに感涙したような人が重鎮で、決して「不偏不党」ではない。)

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2017年01月18日

オバマの理想化と、チェルシー・マニング

2016年が2017年になって、ブラウザの中に私が見る世界は、「さよなら、バラク・オバマ大統領」のムードに満たされている。私が見ているのは英国の大手メディアのごく一部だが、特にBBC Newsには、米国のメディアでもないのにここまで……と思うことが何度かあった。その「さよなら」ムードの盛り上がりには、この次の大統領に就任するあの人物が「とんでもない」の一言では片付けられないくらいにとんでもない、ということが大きく寄与しているのだろう。つまり、「さようなら、まともなアメリカ」ということだ。(日本語圏ではどうなのか、知らない。書店の雑誌コーナーなど見たところ「相場」だの「トランプ・バブル」だのといった話ばかりが目に付いて、うんざりした。)

「この先への不安」が広く共有されるとき、大きな流れとして「過去への郷愁」だとか「現状への愛着」が起きるし、それが支配的になるのが常だ。バラク・オバマ大統領の任期2期8年の終わりに際し、「過去への郷愁」は生じているようには見受けられないが(さすがに誰も、オバマの前を懐かしんだりはしていない)、「現状への愛着」は日を追うごとに強まっているように見えた。そのピークが先週(1月9日から15日の週)の前半で、私は完全に、見てるだけで食あたりを起こすような状態となって、ニュースサイトにアクセスすることすらほとんどやめていた。バラク・オバマというまっとうな人を正当に評価することは必要だし、当然のことだ。しかし、次がひどいからといって、美化はいけない。次がセクハラじじいだからといって、今のオバマ・ファミリーを理想化しつくすようなことをして、「バラク・オバマの8年」を語ってはならない(確かに理想的な家族だろうが)。しかし、目に見える(狭い)範囲では、そういうムードが横溢していた。

そのときに、ブログに書いておこうと思って、メモ用紙に殴り書きした単語の群れがあるのだが、見事に意味不明、ダダイストの自動書記かと思うくらいに意味不明だ。私は何を思って、何を言語化しようとしていたのだろう。うん、「エジプト」はわかる。2013年、モルシ政権を転覆させたタハリール広場の「デモ」で、国際メディア(すでにアルジャジーラは追い出されていたが)のカメラに常に移る場所に掲げられた大きなバナー。それは、エジプトとはほとんど関係なく、基本的に「すべてオバマが悪い」というもの、バラク・オバマを批判する「反オバマ」のものだった。でも、そのことを今思い出して、私は何を書こうとしていたのだろう?

そんなふうにぼんやりとしている中、任期の終わりまであと2日というときに飛び込んできた超ビッグニュースがこれだ。

日本のメディアではどうだか知らない。BBCやガーディアンではトップニュースだ。

bbcnews18jan2017s.png


記録はとってある。全体から見れば、ごく少ししかとれていないが、どうせこんな程度でも「長い」とか文句を言われるのだろう。(私はこれを作成するにあたり、これの何倍の文字情報を見ていることやら。)

ウィキリークスに情報を流したマニングの恩赦について、日本の大手報道が報じていそうにもないことの記録
https://matome.naver.jp/odai/2148471362598559001

「恩赦」といっても、チェルシー・マニングについては、「刑の取り消し」「即時釈放」ではなく「刑期の大幅短縮(減免)」であり、マニングが釈放されるのは5月17日とまだまだ先だ。それに、そもそもマニングはあんな長期の刑(35年)に処せられるべきではなかったし(35年はdispropotionateとしか言いようがない)、収監中にあんな目にあわされるべきではなかった。彼女が自殺未遂で病院に運ばれたと報じられたのはかなり最近のことだが、自殺未遂に追い込まれたこともひどければ、その情報が外部に出された経緯もかなりひどかった。彼女はあまりにつらい思いをさせられた。それは第一義的には、バラク・オバマ政権の内部告発者を敵視した政策ゆえだ。だが、それでも、任期最後にオバマが行なった「チェルシー・マニングの刑期の大幅短縮」は、正しいことであると讃えられており、オバマへの感謝の言葉が多くウェブ上にアップされている。

あとで書き足すかもしれない。今はこれだけ書くのが精一杯だ。

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2016年12月31日

2016年が終わる。

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例年のごとく、12月31日の日没時にその辺を歩いてみる。その辺といっても、頻繁に歩く道ではない。普段はまっすぐ行って右に曲がるところを、左に曲がってめぐったりしてみる。そうすると、「ここからは確か、大きな木が見えたはずだが……」などと思うこともしばしばある。さらに歩いてみると、ちょうど視界をさえぎるように家が建てられていたりもするのだが(それまでは駐車場だったところが宅地になったり、家が建っていたところが駐車場になったりすることが、ここらへんではよくある)、木が切られてしまっていることも少なくない。

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2016年12月27日

エドワード・スノーデンの「暴露」についてのドキュメンタリー映画のオンライン配信が始まっている。



ドキュメンタリー映画『シティズンフォー (Citizen Four)』の各配信業者でのオンライン配信が、12月23日に始まっていた。日本ではギャガが配給しており、2017年1月6日にはDVDがリリースされるが、それに先立って2016年12月2日にはiTunesで、23日にはAmazon楽天Gyaoなど各配信業者でのオンデマンド配信が開始された。配信業者により条件はいろいろあるが、スマホやタブレット、PCで見るだけなら楽天の「標準画質」が安上がりだ(税込み432円)。ついでに言うと、楽天の配信では28日14:59までは、税込みで1,500円以上を一度に会計すると50%がポイントで還元されるというセールもやっている(424円の映画を3本と324円の映画を1本レンタルすると、798ポイントが返ってくる)。

この映画は、2013年にエドワード・スノーデンが米NSAのやってることについての内部告発(彼は「元CIA職員」ということが日本語圏では異様に強調されているが、この「暴露」に関してはCIA云々は直接は関係なく、NSAの業務請負業者の社員として知ったことを表に出したのであり、「内部告発」者である)をしようと考えたときに最初に接触した調査報道分野のドキュメンタリー作家でジャーナリストのローラ・ポイトラスによる記録映画である。ポイトラスがカメラを持ち、最初の報道記事を出したガーディアンの記者2人(うち1人のグレン・グリーンウォルドはその後、ガーディアンを離れているが、スノーデンが直接接触をしたジャーナリストである)が香港のホテルでスノーデンと対面して話を聞く場面から映像に収めている。

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2016年12月10日

ドナルド・トランプ支持者、今年もまた、『スター・ウォーズ』の新作をボイコット。そのためにすごいデマをばら撒いている。

昨年の今頃、映画『スター・ウォーズ』シリーズの新たな連作の第一弾、『フォースの覚醒』の公開が迫るころ、ネット上で「スター・ウォーズの7作目(新作)をボイコットしよう」というハッシュタグ運動が起きた。そのときのことは当時書き付けてある。書くときはたるかったが、今は、書いておいてよかったと心の底から思っている。

当該のハッシュタグを見たとき、私は「何じゃそりゃ?」と思ったし、だからこそそのハッシュタグの背景を調べてみようと思ったのだが、調べてみた結果は、「…… (・_・)」だった。Twitterでそのハッシュタグ運動をやってる人たちが主張していたのは、端的に言えば、「黒人が重要な役回りで出ているから」ということだった。そのハッシュタグのツイートの数々は、トランプ支持を声高に叫んでいるアカウントから発していた。中でも主要なアカウントは、私でも把握しているような「アメリカのネオナチ・白人優越主義者」のもので、「人種的多様性」を「文化的マルクス主義」と呼んだりするような活動家アカウント。言い出した本人たちは、自分たちの主張することが世間一般では「トンデモ」であることはおそらく十分に認識している。そして、その上であえてそれをやり、見事、「炎上商法」に成功した。その経緯は、Vox.comのジャーナリストの記事を軸として、去年書いたエントリに入れてあるので、それをご参照いただきたいが、少し抜粋しよう。

ギネヴィアさんの記事は続く。ハッシュタグが、少数の賛同者の間でのやり取りによってトレンドして、彼らの小さな輪の外に出ると、彼らのメッセージに反対する人たちの目にも留まり、「とんでもないことを言っている」というような批判的なツイートが増える。そうして言及数を増やしながら、ハッシュタグは批判の声だけでなく元々のメッセージをも拡散していく。……

「スター・ウォーズ新作ボイコット」のハッシュタグが拡散したことで、実際に、大元のアカウントは大喜びしていることをギネヴィアさんは指摘している。そうしながら、「こう書くことで、私もまた、彼らの望みどおりの情報拡散に寄与している」とも述べている。

http://nofrills.seesaa.net/article/428177297.html


2015年に「スター・ウォーズ新作ボイコット運動」をやったのは、いわゆるAlt-Rightの人たち(ざっくり言えば「トランプ支持者」)だった。

そして、2016年12月、スター・ウォーズは『フォースの覚醒』に続いて、スピン・オフの第1作(ややこしいな)である『ローグ・ワン Rogue One』が米国などで封切られる。(日本での公開は2017年になってから。前作『フォースの覚醒』は全世界同時公開だったが、今回はそうではない。)

Rogue One will premiere at the Pantages Theatre in Los Angeles on December 10, 2016. It is scheduled to be released in certain European countries on December 14, 2016 before its North American release on December 16.

https://en.wikipedia.org/wiki/Rogue_One


ドナルド・トランプの当選で波に乗ってるalt-Right的には、「あれが去年成功したんだから、今年も成功するだろう」と見込んだのだろう。「スター・ウォーズの新作の封切」は自分たちの主張を拡散してくれる社会的装置にすぎず、どんな主張を乗せるかは後から考えたのかもしれない、とすら思う。ちょうど、「買いたいものがあるから100均へ行こう」ではなく、「100均の前を通りがかったらつい入ってしまったので、何か買おう」となるように、「炎上商法が効果的にできるスター・ウォーズの新作があるから、何かやろう」ということではないか、とすら。だって、選挙運動はもう終わっている。彼ら・彼女らはもう、ドナルド・トランプの当選のために尽力しなくてもよいのだ。回線切ってクソして寝てればいいご身分だ。

だが、彼ら・彼女らは寝ていない。

swrott.pngというわけで、日本時間で12月9日(金)の夜、 #DumpStarWarsというハッシュタグが、UKでTrendsに入っていたのだ(英国では金曜日の昼間のことだ)。

『ローグ・ワン』は、『フォースの覚醒』以上に「人種的多様性」に富んだキャストを迎えている。メキシコ人もいれば、パキスタン系英国人もいる。Alt-Rightが「ボイコットせよ」と叫ぶための材料はごろごろしている。つまり、逆から見れば、映画製作陣は昨年の「ボイコット」騒動にビビって今回の作品を白人だけで進める物語にしたりはしなかったということになるが、まあ、この規模の映画で1年前の「ネットでの騒動」によってキャスティングや登場人物の設定を変えるということはないだろう。そのことが気に食わなかったのかもしれない。こういう連中に主導権を握らせてしまったことについて、「ガクブル」なんて言葉では表現しきれない気持ちで見ているのだが(Brexit後の英国がどうなっているかを見れば、それが大げさなことではないのはおわかりいただけるだろう)。

ともあれ、その#DumpStarWars(「スター・ウォーズなんかもう見るのをやめよう」)のハッシュタグだが、Twitterの画面で上から順繰りに見ているだけではよくわからない。何がしたいのか、何が言いたいのか。

もっとも、6月の英国でのEUレファレンダムから、米大統領選前の選挙運動が激しくなってきた時期に、あまりにもトランプ支持者がうるさいので(ありとあらゆる話題、それこそ関係のないサッカーのEuroの話題にまで乗り込んできて演説してた)、目立っていたアカウントはすべてミュートするかブロックするかしてしまっているので、私には話の流れが追えない(話の流れがわかるようなアカウントをミュートしてしまっている)だけかもしれない。ログアウトして改めてハッシュタグを見ればよいのかもしれないが、そこまでは……っていう。

ハッシュタグをクリックしたときに私が見た画面は、下記のようなものだった。(タブを開いたまま数時間放置していたので、新着の数がすごいことになっているが、そこは無視していただければと思う。)

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2016年11月17日

『誰が音楽をタダにした? 』(早川書房)を読んで、私が端っこから見ていたあの「革命」の時代を回想する。

それは、カネの流れを変えるはずだった。一方的に価格を設定し、暴利をむさぼり、著作者たちを囲い込み、契約で縛り、他人の著作物を我が物として扱い、それをネタにカネを儲け、重役たちに高給を出している大手企業に入っていくカネの流れを変えるはずだった。少なくとも、語られていた「革命」はそういうことだった。しかし実際には、カネの流れを止めてしまった。行き先が大手であれインディであれ、録音された音楽にカネを出す人は激減してしまったのだ――読後、そのことを改めて思った。

The Pirate Bayが挑発的な態度で注目を集め、Kim Dotcomがその巨体に匹敵するような富を蓄えているとわかったあのとき、何が起きていたのか。

スティーヴン・ウィットの『誰が音楽をタダにした? 巨大産業をぶっ潰した男たち』(関美和訳)は、膨大な文書を調べ、何十人もの人に話を聞き、5年近くの歳月(「あとがき」による)をかけてまとめられた本だ。

4152096381誰が音楽をタダにした?──巨大産業をぶっ潰した男たち
スティーヴン・ウィット 関 美和
早川書房 2016-09-21

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話は1980年代から始まる。「ネット上の音楽ファイル」の標準規格となったmp3がどこでどのようにして開発されたかを描く第一章は、しかし、「mp3の死が宣告されたのは、1995年の春、ドイツのエアランゲンの会議室だ」という一文で始まる。いきなり主人公が死んでしまった! だが実際には、彼は生き延びていたのである……という展開なのだが(それをそう書いても「ネタバレ」にはなるまい。じゃなきゃ、うちら、mp3なんて使ってないわけで ^^;)、この本においては、この「ドイツの技術者たち」の苦闘は、Aメロ、Bメロ、Cメロのうちの1つにすぎない。

第二章は、米国の非都市部(今回の大統領選で青くならなかったほうの「アメリカ」)でCDのプレス工場で単純労働にいそしんでいる青年の物語。黒人で労働者階級、祖父・父ともに機械いじりが得意、1989年には高校生ながらPCを購入し、そのローンのためレストランの厨房で単純労働を経験する。まじめにこつこつ働いていれば評価されるということを身をもって知った彼は、1994年に地元のCDプレス工場で誰でもできるような仕事についた。この時代、米南部の製造業は(一時的に)活況を呈していた。職場の友人とは、肌の色も性格も違っていたが、「パソコン好き」という共通点があった。……と、こういう青年なのだが、彼が後に、音楽産業を「ぶっ潰す」ためのハンマーをがんがん振り下ろすことになる(本人はそこまでのことをしているとは思っていなかったにせよ)。「初めからグローバーの動機はちょっとした物欲だった。もっといい車が欲しかった」。(ただし、彼は盗んだ音楽を直接的にカネに変えたわけではない。音楽ファイルのシェアは、直接的にはカネは絡んでいない。そのことが、いろんな意味を持っていた。)

第三章で登場するのは、音楽産業の超大物ビジネスマンだ。彼は元々はミュージシャンになろうとしていたがうまくいかず、レコード会社お抱えのソングライターとなった(1960年代あるある)。その後、クリエイティヴ職から経営方面にシフトし、1970年に立ち上げた自分のレーベルが、1978年にアトランティック・レコード傘下に入り、アーメット・アーティガンと……って、こりゃ60年代以降のポピュラー音楽史ですがな。ともあれ、このビジネスマンは「よい音楽より売れる音楽」という方針でビジネス的に成功をおさめ(そして世間にゴミをばらまいたのだが)、「CDを売る」というビジネスモデルが確立した1990年代には、ワーナー・ミュージックを率いていた。「そこに大金が転がっていた。ひと世代がまるまるレコードからCDに移り、ウィスコンシンあたりの少年がツェッペリンの『フィジカル・グラフィティ』のリマスター版CDを買えばそのたびに、モリスにも儲けが入る」。1995年、ワーナー傘下の「インタースコープ」が、女性蔑視やら犯罪自慢やらしょーもないことばかり満載されたギャングスタ・ラップ専門のレーベルと契約を交わしたのも、その「売れる音楽」を追求する経営方針ゆえのことだった。ただしそれは、自身の立場を危うくすることでもあり、最終的には彼はインタースコープごとワーナーという大企業をお払い箱になった。

昔のSFで「家庭用ジュークボックス・システム」的に夢見られた音楽のインターネット・ストリーミングを現実化するために必要な圧縮の技術の開発者、ありふれた物欲と、インターネットへの関心の持ち主だったCD工場の労働者、「CDへの切り替え時期にCDが売れに売れたこと」を忘れられない才覚ある商売人……この3つのメロディが、絡み合うようで絡み合わず、別個に流れながら、ひとつの物語を語る。実際にコーラス・グループでそんなふうだったら、多分前衛的すぎて聞いていると頭が痛くなってくるだろうが、書物の場合はそれがスリリングである。『誰が音楽をタダにした?』は、そういう本である。脇役としてシーグラム・グループのCEOだとかFBIの囮捜査官なども出てくる。もちろん、アップルのスティーヴ・ジョブズも。

電子書籍版なら、「前書き」から第三章まで(紙の本では73ページまでに相当)、出版元(早川書房)が「無料拡大お試し版」としてネットで公開しているので、まずはそこからどうぞ。Amazon (Kindle), 楽天KOBO, Book Walkerなど、各電子書籍書店にある。

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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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