kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=


2016年05月25日

イスイス団: 西ロンドンでの「過激化」のキーパーソンは、難民申請を却下されても一時滞在許可を得ているエジプト人

1つ前のエントリで、「イスラム国」を自称する勢力(ISIS, ISIL, またはIS。ネットスラングで「イスイス団」)で、拉致・拘束した西洋人などの人質を監視し、拷問を加え、殺害するなどしていた「ブリティッシュ・アクセントの4人の男たち(通称「ビートルズ」)の全員が特定されたこと、4人とも西ロンドンで「過激化」されていったと見られることを、ざっくりと書いた。

この「4人の男たち」で最も有名になったのが、「ジハーディ・ジョン」というあだ名で報道記事で言及されていたモハメド(ムハンマド)・エムワジだった(2015年11月、ラッカで米国のドローン攻撃で死亡)。ルーツのあるクウェートを幼少期に離れて英国に渡ってからロンドン西部で育った彼は、大学(元ポリテクの実務系の大学)に進んでIT系の技能を身につけるという「まっとう」なルートを進んでいた青年だが、どこかの時点で「過激化」されていた。

その「過激化」の過程については、エムワジを標的としたドローン攻撃のことが報じられた2015年11月13日付けのBBCの「プロフィール」の記事(記事が出た時点で死亡が確定していたら「オビチュアリー」だったに違いない記事)にも、同じ日付のデイリー・テレグラフの人物紹介記事にもはっきりとは書かれていない。

だが、そのときにはもう、エムワジの「過激化」に大きな役割を果たした人物(の1人)が誰かはわかっていた(詳細後述)。その名前を、1つ前のエントリで扱った「イギリスのしゃべり方をする4人の男たち」の4人目の身元が、エル・シャフィ・エルシャイク(あるいはエルシェイク)という、スーダンにルーツのあるロンドナーだと特定されたという2016年5月の報道で見ることになった。

つまり、エムワジの過激化に関わっている人物は、エムワジの仲間の過激化にも関わっている。というか、彼ら西ロンドンのジハディストたち(「ロンドン・ボーイズ」と呼ばれる)は完全に別々に過激化(「教化」と言ってもよいかもしれない)されたわけではない。その点、フランスのジャーナリストが「カモ」になりすまして行なった潜入取材(下記書籍)や、アメリカのジャーナリストが勧誘対象者の自宅などで行なった密着取材で明らかにされたような、いわば「一本釣り」の手口とは異なる。

4822250911ジハーディストのベールをかぶった私
アンナ・エレル 本田 沙世
日経BP社 2015-05-20

by G-Tools


人質たちによって「ビートルズ」と呼ばれていたイギリス流の話し方をする4人組の「4人目」と特定されたエル・シャフィ・エルシャイクがどのように過激化されていったかについて、母親は次のように述べている。機械いじりがすきなエル・シャフィが裏庭の作業小屋にこもっているときに、彼を訪ねてきていた若者が「ジハード」について語り聞かせているのを耳にした母親が、「そういう話をするなら、うちには二度と来ないでちょうだい」と怒ってその若者を追い返したあとのことだ。

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2016年05月23日

今年のカンヌ国際映画祭、パルムドールは(またもや)ケン・ローチの作品に。

https://twitter.com/nofrills前回は『麦の穂をゆらす風』。これが2006年だったので、10年ぶり2度目ですね。受賞のニュースがあり、UKのTwitterではもちろん、Trendsに入っています(キャプチャ via kwout)。生涯で2度、パルムドールを受賞したのは、the British Film Instituteによると、ケン・ローチで8人目……ってけっこう多くないですか。

現行のパルムドールは1975年に始まった賞で(その前はカンヌの最高賞は別の名前だった)、一覧で調べてみると、二度受賞しているのはデンマークのBille August,ユーゴスラヴィア/セルビア・モンテネグロのEmir Kusturica,ベルギーのJean-Pierre Dardenne and Luc Dardenne,オーストリアのMichael Haneke,日本のShohei Imamura,そして英国のKen Loach……6人(6組)ですね(ダルデンヌ兄弟を別々に数えると7人)。現行の賞になる前の時代を入れると、スウェーデンのAlf Sjöbergが2度受賞しているので、ダルデンヌ兄弟を2人で数えて、これで8人になります。

ともあれ、今回パルムドールを受賞したケン・ローチの "I, Daniel Blake" の映画評はこちら(ガーディアン、ピーター・ブラッドショー記者)。ケン・ローチは前作 "Jimmy's Hall" を撮ったときに「よる年波には勝てず、目もよく見えないし、体も悪くなってきているし、いろいろ限界を感じているので長編劇映画はこれで終わり」というつもりだったそうです。実際、この映画はケン・ローチの(暖かい系の)映画の集大成という感じで、私は映画館でエンドロールを眺めながら「これで最後なら、納得できる(最後というのは残念すぎるけれど)」と思ったものでした。

しかし、やはりそんなふうには引退できなかったのか、引退させてもらえなかったのかはわかりませんが、『ジミー』のあとでもう1本、今度も相棒のポール・ラヴァティの脚本で作ったのが、"I, Daniel Blake". 昨今の「福祉切り捨て」政策下の英国の実情を、切り捨てられる側の立場から物語った映画のようです。ただしまだ具体的なことはわかりません。ガーディアンのピーター・ブラッドショーは、"Many are happy to concede the value of films like this set in the developing world, showing sympathetic people trying to retain their dignity while being hungry. But the same thing set in modern Britain gets dismissed with an embarrassed shrug as strident or hectoring, as if going hungry is impossible for British non-shirkers." (多くの人は、このような映画は発展途上国での物語、空腹を抱えながら人間の尊厳を保つ優しい人々の物語と前提しているだろう。しかし同じ物語が、現代の英国を舞台にすると、まるで受け入れられないのである。あたかも、怠惰な人間でなければ英国人が飢えるはずはないといわんばかりに)といった文章でこの映画を紹介しています。

カンヌでプレミア上映されたこの映画、まだ予告編も見当たらず、YouTubeで検索してもフランス語字幕つきの抜粋が出てくるだけ。



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2016年05月18日

"「東京五輪中止、ロンドン開催」の可能性が本格浮上" なんか、してないですよ。

えっとですね、まず、ロンドンは、うちらのいらないゴミの捨て場じゃありません。

五輪について書くとあんまり絡まれたくないタイプの人に絡まれる可能性が高くなるので(実際ここに来てるんですけどね)書きたくないし、そもそも個人的に、オリンピックというものについて(仕事でもなければ)何かを書くほど関心がないというか、むしろ無視することにしています(2012年ロンドン五輪は、「ロンドン」に興味があるので開会式や閉会式は見てたし、UKでのニュースは毎日目にしてたけど、大会の中身は見てない)。その程度の自分が何かを書くことは避けるべきと思ってたんだけど、Twitterでちょっと書いたらRTがかなりなことになってるので、ブログに書いておけば誰かの役に立つのかなあということで書いておきます。

「ビジネスジャーナル」というオンライン媒体があります。はてブなどで名前はよく見かけるけど、特に興味のある記事が出る媒体ではないから自分では見ないし、どういうバックグラウンドの媒体なのか、私は把握してません。その媒体に出ている記事が、かなりの話題。現在のトップページ(下記キャプチャ)では、「ギャンブルジャーナル」(って何? 競馬とか競輪とか? 五輪は関係なくないですかね)というコーナー(?)のトップニュースのようですね。



「東京五輪中止、ロンドン開催」の可能性が本格浮上。もはや 「誰も望まない五輪」への変貌と、森喜朗会長の「戯言」
2016.05.17
文=odakyou
http://biz-journal.jp/gj/2016/05/post_422.html

http://biz-journal.jp/gj/2016/05/post_422.html現時点で、この「ビジネスジャーナル」の「ギャンブルジャーナル」というコーナー(?)のアクセス1位がこの記事(キャプチャ via kwout)。「ギャンブル」の要素は何もないと思うのだけど、「ギャンブルジャーナル」の読者が読んでいるというより、普段この媒体をチェックしない人たちにもこの記事が広く閲覧されているのだろうと思います。Twitterでは現時点で373件あるというし、FBでも1000件以上の「いいね」がついている。はてブでは19件と控えめな数値だけど、はてブでは昨日(17日)既に2ちゃんのまとめサイトが取り上げていたのがトップページに出ていて、300件以上のブックマークを得ている。2ちゃんまとめサイトから「ビジネスジャーナル」(内の「ギャンブルジャーナル」)の元記事に飛んで読んでいる人がどのくらいいるかはわからないけど(一般論としては、リンクがクリックされる割合は、1〜3パーセントくらいなものだ)、「東京五輪は中止して、ロンドンで開催しようという話が "本格浮上" している(らしい)」という話は、ネットだけでめっちゃ広い範囲に広まっているはず。今日の職場での雑談などでますます広まるかも。

で、この話だけど……ええと、「ビジネスジャーナル」(内の「ギャンブルジャーナル」)の当該記事が参照しているのは、「海外mailOnline」だそうだ……って、何それ。

「海外mailOnline」なんて、あたしは聞いたことがない言い方だし、見たこともない表記だけど、常識で英国のDaily Mailの電子版、Mail Onlineのことだということはわかる。

英Mail Onlineのことを「海外mailOnline」と書いてしまうような書き手が、どの程度正確に英語の記事を読めるのか、あたしは知らないけど、ともあれ、この元記事を見てみる必要があります。ちなみに、「ビジネスジャーナル」(内の「ギャンブルジャーナル」)の当該記事からMail Onlineへのリンクはないので、自分で探さなければなりません。面倒ですね。

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2016年05月16日

今日もまた、英国面ではすさまじい「ついうっかり」が発生したようだ。

こんなことでプレミアリーグの最終節の試合が取りやめになる(火曜日に再試合が組まれたようですが)んだから、英国面おそるべしですよ、まったく。

オールド・トラッフォードでボム・スケア。PLシーズン最終節の試合がお流れに……そしてすごいオチが!
http://matome.naver.jp/odai/2146333377928190301



責任を負うべき企業(「うっかり」をやらかした企業)の名前は、まだ出てないみたいですけど、そのうちに出るでしょう。出てるのに気づいたら追記します。
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2016年05月13日

東京五輪買収疑惑について。

個人的には関心はほかのことにあるのですが、ちょろっと書いたのがかなりたくさんRTされているので、一覧できるようにまとめておきました。もう既に「古いニュース」になってますが、「日本国外でこのような報道があった」という報道が日本語圏であったときは、原典をあたりましょう、という事例としてご参照ください。

#東京五輪 招致での買収疑惑の件、発端のガーディアンの記事をしっかり読むのがよいのではないかと。
http://matome.naver.jp/odai/2146314612284373501
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2016年05月12日

2020年の東京オリンピック招致について、アレな話がガーディアン独占で来てますよ。

先ほどガーディアンで別の記事を読んでいたら、サイドバーに表示されていたので気づいた記事。現時点(2016年5月12日午後7時台・日本時間)では、トップページでは「スポーツ」の欄に次のように表示されている(インターナショナル・エディションの場合)。つまり、「スポーツ」のトップニュースだ。



以下、記事のリンクだけ。3本あるのでそれなりに時間はかかると思うが、興味がある方は、各自お読みいただきたい。

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2016年05月10日

「パナマ文書」のデータベース、予告どおり来てますよ。

当方、このトピックについては書かないことにしているのだが(主な理由は、日本語圏だけズレてるから。それと、2ちゃんユーザーなど「ネット住民」だけではなく、ゲンダイ、リテラなどを含む「マスコミで記事を書いてる人たち」までも、2013年の大型リークと今回の未曾有のリークの区別もつけられないのが現実という事態には、頭が痛くならないほうがどうかしているし、そんな状況では、日本語で書いたら情報持ってかれるだけだということは目に見えてるから)、リンクだけ。

予告されていたとおり、2015年5月9日(日本時間では10日午前3時)に、ICIJのサイトで、パナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」から持ち出された文書(いわゆる「パナマ文書」)を分析して作成されたデータベースが、公開された。

現時点でのICIJのサイトのトップページ(日本時間で3時ぴったりにアクセスしたらこうなっていた):




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2016年05月08日

ロンドン市長選は、イスラモフォビアとの対決でもあった。

あのですね、「ロンドン市長選で、労働党のサディク・カーンが当選した」っていうヘッドラインがあったって、サディク・カーンがどういう人なのかも知らなければ、記事を読もうとは思わないでしょ? 記事を書く側としては、人々に記事を読んでもらうためには、何らかの「つかみ」が必要でしょ? そこに「ロンドンで、初めて、イスラム教徒が市長に当選した」という《語り口》が出てくるんです。

でもそうすると、ヘッドラインしか見ない人が、今度は「イスラム教徒だから当選したのかー」とかいう頓珍漢なことを言い出す。

そして、記事を読みもしないでぽっと思いついた《感想》を「つぶやく」のはとても簡単なことで、そういうのがTwitterのような場に大量発生することになる。大量発生した結果、大勢がぎゃーぎゃー「騒いで」るように見えるようになる(そういう人たちの何割が、報道記事を読んでるんでしょう。自分のツイートならstatsが確認できるから「リンクのクリックはよくて1パーセントだな」などというのがわかるんだけど、新聞社のフィードなんかだとどうなのでしょうね)。

そういう「ネットで話題」みたいなのは見ててもしょうがないので、見なければいいんですよ。

……というのが前提なんですが、サディク・カーンの当選は、「G7のひとつに数えられる先進国の筆頭格である国の首都で、民主的に行なわれた選挙において、『茶色い肌』をしたイスラム教徒が選ばれた」、「肌の色、宗教的バックグラウンドが、候補者の当選を妨げなかった」という点からも、適正に評価することが必要なことです。

そしてそれは、今回の選挙戦を見てきた人ならわかると思うけれど、高く評価してしかるべきことです。(私は毎日ガーディアンとBBCをチェックしているなかでロンドン市長選の経過は追ってはいました。外国のことについていちいちツイートすると、日本のニュースは見てもいないにも関わらず「この人は外国の選挙に関心が高いので、日本の選挙にも関心が高いに違いない」などと勝手に思い込まれるということがよ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜くわかっていたので、いちいちツイートしたりはしていないけど。)

当ブログで、既に、「サディク・カーンを当選させたロンドンの有権者は、彼が『ムスリムだから選んだ』わけではなく、『選びたい人を、ムスリムだからという理由で、選ばないということをしなかった』のだと思う」と書いた通りで、それは現在の――特に米国でドナルド・トランプなどというピエロが「共和党から大統領選に出る意向を示している人物のひとり」でしかなかったころから、極端な発言をすれば必ずメディアがヘッドラインを仕立てて派手に「ニュース」にしてくれ、「まともに取り合うべき政治家」であるかのように扱いだしたあとの――大衆煽動・恐怖煽動のclimateの中では、特に注目されるべきことです。

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2016年05月07日

イスラム教徒がロンドン市長に当選した。あるいは、移民のバス運転手の息子が、イートン校に通った富豪の息子に勝った。

5月5日に投票が行なわれたロンドン市長選挙の結果が出た。最終的な公式の告知は遅れに遅れているが(だから現時点ではウィキペディアの記事はまだ更新されていない。票の数え直しなどが起きているらしい)、当選者はわかっている。事前の世論調査が当てにならない昨今だが、この選挙に関しては、事前の世論調査が示していた通りの結果だ。



ロンドン市長選について、少しまとめておこう。

英国の首都ロンドンに、現在の「市議会 assembly」と「市長 mayor」が導入されたのは、2000年のことである。この2つをまとめてThe Greater London Authority (GLA) という。議会は市長を監視する役目を負うという点で、制度導入時は「アメリカ型」と説明されていた(米大統領と議会の関係)。
https://en.wikipedia.org/wiki/Greater_London_Authority

この制度が導入される前は、それはそれでいろいろあったのだが、書いてると先に進めないので、関心のある方は下記など参照。
https://en.wikipedia.org/wiki/Greater_London_Council

2000年に実施された初回のロンドン市長選挙では、GLC時代に勇名を馳せたケン・リヴィングストンが、当時のブレアの労働党からは離れて無所属として立候補し、57%以上を得票して当選した。4年の任期を終えたリヴィグストンは、2004年にも再度当選したが、その次の2008年の選挙では保守党のスター、ボリス・ジョンソンが53%を得票、リヴィングストンは落選した。2012年にも再度当選したジョンソンは2015年総選挙で国会に復帰し、2016年のロンドン市長選には出馬しない。
https://en.wikipedia.org/wiki/Mayor_of_London

ロンドン市長から退くジョンソンに代わって保守党から出るのが、ザック・ゴールドスミス。ロンドン西部の富裕層の多いリッチモンドを地元とする、大金持ちの実業家の息子である。1975年生まれ。イートン校で学んだが薬物関連で放校処分となり、大学には行っていない。最近の富裕層には珍しくないが、「環境保護に関心が高い」人で、選挙戦でもそれをアピールしている。現在は英国会の下院議員。
https://en.wikipedia.org/wiki/Zac_Goldsmith

ザックの姉のジェマイマは、かつてパキスタンのクリケット代表選手、イムラン・カーン(現在は政治家)と結婚していて、「ジェマイマ・カーン」という名前で人権活動などを行なっている。彼女は2010年にウィキリークスのジュリアン・アサンジの保釈金を用意したサポーターのひとりだが、その後、ウィキリークスとは切れている。

一方、労働党は、南ロンドンの「移民街」(Asianの多い町)であるトゥーティング出身のサディク・カーンをロンドン市長候補に選んだ。1970年に、パキスタンからの移民の家の子としてロンドンに生まれ、法律を学び、弁護士として活動してきた。彼も英国会の下院議員をつとめているが、ロンドン市長に当選したら下院の議席は返上するとしている(兼職も違法ではない。2015年に下院議員に復帰したボリス・ジョンソンは、現在、兼職している)。
https://en.wikipedia.org/wiki/Sadiq_Khan

今年のロンドン市長選挙について、読んだ文章のなかで最も明確だったのが、70年代にウガンダのイディ・アミンの圧制を逃れて英国に渡ったYasmin Alibhai-Brownさんの文章。
http://www.theguardian.com/commentisfree/2016/may/03/sadiq-khan-mayor-london-terrorists-worst-nightmare

英国の政界には、「移民(の子供)」や「キリスト教以外の宗教を信仰する人」は珍しくない(イングランド国教会というものがある英国について「キリスト教」でまとめて語るのも雑な話だが)。しかし、アジア系(英国でAsianといえば南アジア系である)の政治家たちは、「移民は差別されており、貧しく……」というナラティヴでは無視される。「イスラム過激派」と呼ばれる人々は、そのナラティヴを使って、実際に大変な思いをしている(と本人が思っている)人たちに接近する。「差別され、無視され、貧しく、苦しい立場の我々」にとっての「正義」の実現、という《物語》を、彼らは語る。

その手法を封じるために最も効果的なのは、イスラム教徒が「誰もが知っているような政治家」になることだ。「産業大臣」とか「下院なんとか委員会委員長」とかは「政治オタク」しか知らないかもしれないが、「ロンドン市長」なら誰もが知ってる存在だ。

イスラム教徒がロンドン市長になるということには、そういう意味(効果)もある。

だが、サディク・カーンを当選させたロンドンの有権者は、彼が「ムスリムだから選んだ」わけではなく、「選びたい人を、ムスリムだからという理由で、選ばないということをしなかった」のだと思う。

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2016年05月06日

「船田船左衛門」的な名前をつけられそうになった英国の極地調査船の件で最終結論が出て、全世界が落涙を禁じえない。

trends06may2016.png先日、当ブログでも少し書いたBoaty McBoatface(「船田船左衛門」)の件で最終的な結論が出されたことで、またもや Boaty McBoatface がUKのTwitterでTrendsに入っている。ざっと見た限り、ニュース・フィードのヘッドラインだけを見て、ウケを狙って上手いことを言うなり、感情的な反発をしてみせるなりして目立とうとしている発言が多いようで、中身はほとんどないかなあと思う。

そんなことより、当局の対応がいかにも英国的というかイギリスらしいというか(←同じことだ)、強烈な「これだよなあ」感にあふれている。目頭が熱くなるほどのその感激をお伝えしたい。

'Boaty McBoatface' ship to be called RRS Sir David Attenborough
http://www.theguardian.com/environment/
2016/may/06/boaty-mcboatface-ship-to-be-
called-rrs-sir-david-attenborough


「船田船左衛門」とは何かということは、先行のエントリに書いたので、もう繰り返さない。

で、ああいうことがあって、Natural Environment Research Council (NERC: 日本語にすれば「自然環境調査評議会」とでもなるのだろう)が最終的な結論を委ねられていた。その後、これまでの間に「ボーティ・マックボートフェイス」というふざけた名前は採用しないということがマスコミを通じて告知されており、ということは、候補名となっていた "RRS Henry Worsley" (ヘンリー・ワーズリーは今年1月に南極大陸単独横断のゴール目前で倒れ、亡くなった探険家) なり、他の名前なりが選ばれることになるのは誰でも知っていた。

私は何となく、「不運にも偉業達成を目前に亡くなった偉大なる探検家」を記念する船として名づけられることになるのではないかと思っていたのだが、実際の結論はそうではなく、「英国で自然番組といえば案内役はこの人、というくらいに人々に広く親しまれている放送人」の名前を冠することになった。

この声の人だ。



それだけで話は終わらない。ここからが涙を禁じえない部分。ハンカチのご用意をお忘れなく(モンティ・パイソンでのマイケル・ペイリン調で)。

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2016年05月05日

今日は英国では地方選挙が行なわれている(ロンドン市長選挙も)。

「NAVERまとめ」を利用して作成した下記ページの最初の方に、今日英国の各地で投票が行なわれている地方選挙について、少し解説めいたものを書いてあります。

【ハッシュタグ「投票所の犬たち」】英・地方選挙投票日。そしてTwitterは「わんわん天国」化。
http://matome.naver.jp/odai/2146245038463542901


ページ自体は、#DogsAtPollingStation のハッシュタグの「まとめ」が主眼。まだ事態が進行中なので編集中です。
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2016年05月02日

レスター・シティの「御伽噺」は、「ありえないことが起きる」より可能性が低いと見られていた。

いつも通りに英国のニュースをネットで見ている限り、現在の英国でのトップニュースは「労働党内に反ユダヤ主義が存在しているとされる問題」だが、これが異様なほどメディアによってヒートアップさせられているのは、5月5日投票予定の地方選挙、特にロンドン市長選挙前というタイミングによるものだ(「反ユダヤ主義が組織内に存在していること」が問題なら、労働党で亡命ユダヤ人の息子が党首をしていたころに、保守党所属の国会議員がナチのコスプレでパーティーを開いていたようなことは「愚か者の愚行」で済ませられまい)。これは、あとに残す影響などを考えるとめちゃめちゃ毒性が高く、気が重くなるような話であるにせよ、どのくらいの人がどの程度の関心を抱いて記事などを見ているかというと、「その筋のプロ」や「政治オタク、選挙戦略オタク」、「非難されている人々の支持者」や「陰謀論者」が格別高い関心を持っているだけで、一般にはさほど……、というに近い状態なのではないかと思う。

イングランドの外ではどうかわからないが、少なくともイングランドで一般に広く関心を集めているのは、そのような「選挙前の煽りネタ」よりむしろ、サッカー、プレミアリーグの「アンダードッグ」のことだろう。少し前まで、トップ4のチームにはまだリーグ優勝の可能性があったときには(私の観測圏によるものかもしれないが)まだそこまでではなかったと思うが、いい感じで首位にいたはずのうちが圧倒的な4位力を見せ付けるようになったときには(私の観測範囲でさえも)「御伽噺 fairly tale」とか「夢を実現させた人たち dream makers」とかいった表現がぽんぽん飛び出すようになり、4月末にはついに「あと1勝で自力優勝」というところまで来ていたレスター・シティFCのことだ。

そのレスター・シティ、5月1日(日)にはマンチェスター・ユナイテッドのホーム、オールド・トラフォードで試合を行ない、日本でも(レスターに岡崎が所属している関係で)スカパーか何かで試合が見られる環境にあった人が大勢いたようで、大変な話題になっていた。サッカーニュースのサイトやスポーツ雑誌などのサイトだけではなく、一般のメディアでまで大きく取り上げられているのを(テレビはないし新聞もほとんど見ない)私でも目にした。

1日の試合は、ボール支配率は圧倒的にMUFCが上回っていたが、結果は1-1のドローで(終盤、1人累積イエローで退場となっても、ホームの大歓声に押されるMUFCに得点させなかったのがすごい)、最速での優勝決定は、2日(月)となる(ちなみに、英国と日本の時差は、英国が夏時間の期間中は、8時間だ)。リーグ2位のトッテナム(以下、「白いとこ」)がチェルシー(以下「青いとこ」)に負けるか引き分けるかすればレスター・シティのリーグ優勝が確定し、白いとこが青いとこに勝てば、もう少し先になる。

その月曜日、レスター・シティのプレイヤーやチームスタッフは、サポさんたちと同様に、テレビに釘付けになって白いとこ対青いとこの試合を見ていることになるだろうが、監督のクラウディオ・ラニエリさんは96歳のお母さんとランチをするためイタリアに戻り、試合が行なわれている頃にはイングランド行きの飛行機に乗っているそうで、ご本人が「白・青の試合結果を知るのは、私が一番遅くなるでしょうね」と言っている。そんな記事が、ガーディアンのトップページに出ている。



レスター・シティの話題なのに、いちいちマンチェスター・ユナイテッドのプレイヤーが入っている写真を使ってくるのがガーディアン(元マンチェスター・ガーディアン)なのだが、そんなことをいちいち書きたがるのは薀蓄たれのオタクだけだし、「何でここでレスターの選手の写真じゃないのか!」と怒る人がいたら、「これがガーディアン・クオリティ」と思って落ち着いていただければいいと思うだけで、別にどうでもいいよと思った方には、「オタクの無駄知識」と受け流していただければよい。

で、そのレスター・シティ。かつてはよほど詳しいか好きな人でない限りは、「ああ、二部リーグにいるチームですね」という認識だったと思う。ウィキペディアで確認すると、2003-04シーズンはプレミア・リーグにいたものの、翌年にはチャンピオンズ・リーグ(紛らわしい名称だが二部リーグ)に降格して、プレミアに来たのは昨シーズン、2014-15年のことだ。二部リーグにいた期間中には、さらに1つ下のリーグ・ワン(紛らわしい名称だが三部リーグ)に落ちていたこともある。

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2016年04月29日

「エド・ボールズ・デー」は何のためなのか。

昨年書いたのだが、4月28日は歴史と伝統の英国においては「エド・ボールズ・デー」と呼ばれる日である。

これは、2011年4月28日に、労働党の要職者でもあるエド・ボールズ下院議員が自身のアカウントから意味もなく「エド・ボールズ」とだけ書いたツイートを送信してしまったことを記念する日である。

Boaty McBoatfaceだの何だのと意味のないことに関してはやたらと盛り上がり、しかもそれが信じられないほど長く持続する「英国の一般大衆」のあいだでは、当のインシデントから5年が経過しても、この日をお祝いしようという熱は一向に冷めやらない。

2015年5月の総選挙で、エド・ボールズは議席を失い、もはや「公人」ではなくなっているにも関わらず、今年も大変な盛り上がりようだ。

だが、マスコミが率先して騒いでいるのを見ると、正直、もにょる。

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2016年04月28日

やばい種類の歴史修正主義と英労働党左派

下記の件、記録だけ(それについて何か発言すると面倒なことになりかねないのでブログに書くのやめようと思ってたんだけど、記録だけは)。

これ、プラグマティズムという点での問題としては、本人がそれを信じているかどうか、そう考えているかどうかというより、こういう発言を今行なってもOKと判断したということではないかとも思います。

以下、記録。

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2016年04月23日

「聖ジョージの日」に、イングランドの「ナショナリズム」が炸裂しているっぽい件について。

twtrndsptbe.png今日、Twitterにログインして、びっくりした。Trendsを見ると、「イングランドのナショナリズム」が炸裂している。あまりのことに、一度はそっとじしたくらいだ。

キャプチャ画像を見ればわかると思うが、今日、2016年4月23日は、ウィリアム・シェイクスピアの没後400年にあたる(シェイクスピアの生没年は1564年〜1616年、「ひとごろし、いろいろ」と覚える)。シェイクスピアといえば「英国」が生んだ最も偉大な文学者(劇作家)である(という英作文の練習問題を記憶している人も多いだろう)……というより、「イングランド」が生んだ最も偉大な文学者である。だから「イングランド」熱が高まるのは、まあ、わからんでもない。

また、4月23日はイングランドの守護聖人である「聖ジョージ」の日(※人名の英語読みについて文句をつけてきたりしないでいただけると嬉しいです)でもある。この日は毎年、何かしら「ネイション」というか「イングリッシュネス」についての話題が大きく取りざたされる。

しかし、4月23日でも、「ナショナリスティックなムード」がメインストリームになることは、少なくとも最近まではなかった。イングランドについて、やたらと「ネイション」をかさに着た態度を取るのは「極右 far-right」的な態度であり、「恥ずかしい」ことというのが、多くの人々の目に触れるような言葉を書いたり口にしたりするような人たちの間での共通認識だった。それが、ここ数年で明らかに変わってきた。それまで見えなかったものがネット環境の発達で見えるようになったという要因も大きいと思うが(「国を誇りに思って何が悪い」という態度を堂々と取る人の発言が、主にSNSという場の発展につれて、多くの人が目にするところにどんどん出てくるようになった)、それ以上に、メインストリームの、というか政府や公的な機関の態度が、「ナショナリズム」に傾いている。11月の戦没者追悼の「レッド・ポピー・デイ」で、テレビに出る人が全員、左胸に赤いポピーをつけているという光景が当たり前になりつつある(英国による植民地支配を受け、英軍による武力弾圧にさらされたアイルランドの俳優まで、胸に小さなポピーのバッジをつけていたくらいだ)。そういうときにポピーを着けないということが「非国民」的に指弾されるような状況が、最近の英国では例外的に特別ではないようになりつつあり、国会という自由な言論の場では、「反戦」思想を明確にしている労働党党首を、首相が「愛国心に欠けている」的な言辞でdisるというとんでもないことが見られるようになっている(いくら何でもここまで品性に欠けるようなことをキャメロンがするようになるとは、思ってなかったよね)。

それでも、4月23日にやたらと「ナショナリスティック」になるということは、なかったはずだ。それが、今年はどうだろう。あろうことか、"Proud to be English" というフレーズをハッシュタグ化したものが、Trendsに入っている。

このあと、試行錯誤して超大作を書いてるんですが、まだアップできる状態ではないのでしばしお待ちを。書きあがったらTwitterにフィードします。本稿は、このままだとアップしないで終わるので、自分に対する強制という意味で途中でアップしています。→だいぶ進んで、最後のセクションを残した段階で一度フィードしました

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2016年04月21日

エリザベス女王が90歳の誕生日を迎えられた。

英エリザベス女王、90歳の誕生日
http://matome.naver.jp/odai/2146123512099603901


表題の件、全部ここ↑に。(現時点では編集中。)

当ブログとしては衝撃的だったのが……

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2016年04月19日

「私たちの求めるウェブ」のために。

先日、Twitterが「最初のツイートから10年」ということで少し話題になったが、記事の「コメント欄」やSNSが定着し、「当たり前化」したのは、ここ10年内のことだ。

「ウェブログ」と呼ばれていたものが「ブログ」というより短い名称で定着した「Web 2.0」の時代、英語圏では(日本語圏のことは私はよく知らない)、新聞社のサイトの各記事のページにも、一般に広く使われている「ブログ」(当時は英語圏ではBlogger, WordPress, Live Journalなどが広く使われていたし、MySpaceも「ブログ」として使うことはできた)と同じような「コメント欄」が設置されるようになった。記事を書いた人に、記事を読んだ人が直接、簡単に「感想(反応)」の言葉を(公開した形で)送信できるようになったことで、「編集」を介さず即時的な情報共有が行なわれ、「集合知」(および、もう少しあとの時代に「クラウドソース」と呼ばれていくもの)により、ただ単に新聞社の記事がそこにあるだけより、全体として、よりよいものができていくのではないか、という期待が、2000年代半ばにはとても高かったし、実際に「コメント欄」で有益な情報を得るという体験は、私も多くしていた。北アイルランドに関してはSlugger O'Tooleのコメント欄では、それがなかったら知ることができなかったであろうことをたくさん知った(「紛争地」のウェブ媒体では、「誰彼構わず、おまえの言っていることが気に食わないと殴りかかっていく」ようなスタイルを取る人はまずいなかったし、議論がヒートアップしたときに「プレイヤーではなくボールに行け」とイエロー・カードやレッド・カードを出す管理者のモデレーションがすばらしかった)。

あのころは、そのような「充実した情報空間」がそのまま維持され、定着し、発展していくと思われていた。私もそう思っていた。いわゆる "civil" な態度(日本の感覚でいうと「適切に丁寧語・敬語を使う」といったこと)は、知らない人と話をする場合にはリアルであれネットであれ大前提だったし、ときどき現れる「荒らし」は「相手にしない」という鉄則でたいがいは対応できた(自分のブログにも「荒らし」は出現して、げんなりするようなことはあったけれども)。「荒らし」のようなのは例外だ、ということは広く了解され、共有されていたと思う。

しかし実際にはどうだったか。

その点について、先週から英ガーディアンが意欲的なシリーズを始めている。

The Web We Want
https://www.theguardian.com/technology/series/the-web-we-want


www-gdn.png


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2016年04月18日

「英国らしいユーモアのセンス」と、「船田船左衛門」的な何か。(高濃度Britishnessに注意)

何か新しいものやことについて、名称やアイディアを「ネットで公募」なんてことをすると、カオスになる――最近日本でも政党の名前について「大喜利」状態になった(個人的には「大喜利」などという上品なものとは思わなかったが)ことがあるが、少し前には、ニュージーランドの国旗の新しいデザイン案が世界的にネットをにぎわせた。これは、最終的には今年3月のレファレンダムで「現状維持(変更しない)」という結論が出たのだが、その結論の報道があったときにまで、何ヶ月も前に「ネットで公募」されたときにネットだけで話題となった「デザイン」にもなっていないような明々白々たるおふざけ画像を「これがよかったなあ」などと言ってしつこくツイートするなどしている人がいて(それも複数)、おまえらが小学生じゃないんならそろそろやめておけ、という気分にさせられ、辟易したものだ。

そう、ああいう「おふざけ」は、最初に見たときはそれなりに笑えても、いつまでもしつこくやられると、イライラする。

これもそうなるのだろうか。

なぜか、これはそうならないような気がするけど。 (・_・)

英国で、"Non-Departmental Government Body" と呼ばれる公的な機関の中に、Natural Environment Research Council (NERC) というものがある(日本語にすれば「自然環境調査評議会」とでもなるのだろうが、「定訳」は調べていない)。具体的にどのようなことをしているかは個別にご確認いただきたいのだが、ここが建造中の新たな極地(南極)観測船の名前を「ネットで公募」した。自分で考えたのを投稿してもいいし、他人が考えたものに投票してもいいという形の、わりと限定的な範囲からの提案を想定した、ゆるくオープンなものだ。

地味といえば地味な話題である。こういう場合、きっと、その分野で大きな功績を残した偉人の名前がつけられたり、何かゆかりの土地の名前がつけられたりする。ペンギン崇拝頻繁にみられる英国のことだから、南極観測の分野に関心の高い人は大勢いるだろうが、サッカーとかテレビのオーディション番組のように広範な関心をひくようなトピックではない……はずだった。そう、たった1人のネットユーザーが、思いつきを書き込むまでは。

その「1人のネットユーザーの思いつき」のことが大きなニュースになったのは、3月のことだった。

Experts could overrule 'Boaty McBoatface' name choice for polar ship
21 March 2016
http://www.bbc.com/news/uk-35861444

The name of a new polar research vessel will be chosen by a panel of experts, even if the public overwhelmingly votes to call it Boaty McBoatface.

Lord West, ex-First Sea Lord, said he was rather proud "silly names" had been suggested but hoped none were chosen.


新たに建造されている南極調査船の名前は、ネット公募では "Boaty McBoatface" が圧倒的な得票数であっても、最終的には専門家のパネルによって選ばれる、という記事である。この "Boaty McBoatface" という、あえて日本語にすれば「船田船左衛門」的な「ばかばかしい名前」が提案されたことについて、元海軍トップが "rather proud" と言っていることなども、もう意味がわからないのだが、誰かが何気なく書き込んだ「ばかばかしい名前」が大受けして、サイトにアクセスする人が急増し、サイトが落ちるなど大変な騒ぎになった。そういったドタバタが、メディアで取り上げられてはまた人々の関心を集めた。Twitterのような「どうでもいい一過性の話題」に人々が気の利いた一言を付け加えて盛り上がっていくような場では、関心の高さはなおさらである。

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2016年04月16日

ロンドン、オリンピック・スタジアムがめっちゃ安い値段でウエストハムに貸し出される件

気になっている人は大変に気になっているのではないかと思うが、2012年のロンドン・オリンピックで建設されたスタジアムの件。今年2016年から東ロンドンを拠点とするサッカー・クラブのひとつ、ウエスト・ハム・ユナイテッド(WHU)が借用権を得て、ホームとして使用することになっていて、WHUの長年の拠点のアプトン・パークではリーグ戦やカップ戦の「最後の試合」が行なわれつつある。

そんな中、WHUとオリンピック・スタジアムとの契約の詳細を開示せよという要求があったのが、ようやく実を結んで、つい先日、契約の中身が開示された。

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2016年04月08日

【パナマ文書】当初英メディアがまるで注目していなかったキャメロン首相の父親のオフショア信託の件が「炎上」的状態になるまで

表題の件、下記リンク先をご確認ください。キーとなった質問をしたファイサル・イスラム(元Channel 4, 現Sky News)と、最終的に確定のインタビューを取ったロバート・ペストン(元BBC, 現ITV, メガネ男子)のツイートをさかのぼって、「騒ぎ」となった経緯をたどっています(リーク報道初日は、「パナマ文書」より「タタ製鉄」と「EUレファレンダム」が大きなニュースでした。あと「ジュニア・ドクターズ」)。今日は全国紙はデイリー・スターを除いてすべてがこの話が一面にでかでかと出ている状態です。

#パナマ文書: 英キャメロン首相の「父のオフショア信託」の件を現地報道で #PanamaPapers
http://matome.naver.jp/odai/2146009272337045801


本ブログにはこの件については何も書きません。ブックマークなども上記リンク先にお願いします。

ただ、これ↓↓を見ずにはいられない気分であるということだけは、ここに書いておきます(「NAVERまとめ」のページには書いていません)。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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