kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=


2017年11月27日

あるパニックと、パニック煽動報道(2017年11月24日のロンドン)

金曜日の夕方のロンドンで、それは「起きている」とTwitterでは伝えられていた。

Twitter上で、街で何かが「起きている」と伝えられている場合(そしてそれが現在進行中である場合)、何が起きているのかはさらにTwitterで調べる(というか、Twitterを見てみる)ことが当たり前になっている。1人しか言っていなければ、その人の違いか、いたずらか、意図的に流す虚偽(日本語でいう「デマ」)か何かだろう。しかし同じ内容の報告をしている人が複数いたら実際に起きているのだろう――という目安が、Twitter利用者には既にそなわっている。だから金曜日の夕方のロンドンについても、いつもと同じようにして、「確認」をした。何人もが、何かが「起きている」ことを伝えていた。

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これらを確認し、私は次のように書いて投稿した。

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2017年10月15日

Brexitを59:41で支持した町で、140年以上も存在してきた町のシンボルが消えるとき(プールの製陶・タイル産業)

イングランドの南西部、コーンウォール半島が突き出ていく根元の部分に位置するドーセット州に、プール (Poole) という町がある。海に面した港湾都市で、歴史は古く、16世紀には米大陸の植民地との交易で栄え、産業革命期には人口が増大したが、ここの港は水深が浅く、船舶の大型化にともなって港湾都市としての役割は縮小、代わって近隣のリゾート都市ボーンマスで消費される物資の生産拠点として繁栄した。第2次世界大戦時には、ノルマンディー上陸作戦で3番目に大きな連合軍の出発地点となり、作戦後は欧州大陸にいる連合軍のための物資供給拠点となった。このためドイツ軍の空襲は頻繁で、戦後はしばらく荒廃した時期が続いた。1950年代から60年代の再開発で荒廃した地域の古い建物は取り壊され、現在ではあまり古い町の面影をとどめてはいないようだ。1960年代には製造業が栄えたが、80年代から90年代にかけてサービス産業の拠点が多く移転してきたため製造業の重要性は相対的に薄れた。とはいえ、ヨットメーカーなどの大きな製造拠点が置かれていて、地域の経済を支えている。東京の地下街に漂う強烈な香りで存在感抜群の化粧品・トイレタリーのLushは本社と工場をこの都市に置いている。プール出身の著名人としては小説家のジョン・ル・カレ、映画『ホット・ファズ』などのエドガー・ライト、エマレクのグレッグ・レイクといった人々がいる。現在の人口は15万人ほど(2016年半ば、推計)。東京でいうと中央区程度だ(中央区は昼間の人口は多いが、住民として登録している人は少ない)。
https://en.wikipedia.org/wiki/Poole

ざっとそのような都市なのだが、ここにはひとつ、ロンドンととても縁の深いものを生産していた歴史がある。地下鉄駅に使われているタイルだ。

大英帝国が栄えていた19世紀後半の1873年、プールの波止場の地域で "Carter's Industrial Tile Manufactory" というタイル製造業者が事業をスタートさせた(この会社が、後に "Poole Pottery" となる)。ヴィクトリア時代のタイルといえばミントン・タイルが有名だし、英国の製陶業といえばそのミントンも製造拠点を置いていたストーク・オン・トレントが有名だが、南部のプールにも大きなメーカーがあったわけだ。

Swiss Cottage TilesそのPoole Potteryは、20世紀に入ると、欧州のアール・デコや当時の前衛絵画を取り入れた大胆なデザインで有名なトゥルーダ・カーターなどのデザイナーを擁し、また、1930年代に建設されたロンドン地下鉄駅で使われているタイルの多くを製造した。そのひとつが、今もベスナル・グリーン駅、スイス・コテージ駅などで見られる、ロンドン各地のシンボルを刻んだレリーフのタイル(右写真 via R~P~M's flickr. デザイナーはピカディリー・ラインのマナーハウス駅などにはまってるかっこいい換気口カバーをデザインしたハロルド・ステーブラー)。これらのタイルの中にはヴィクトリア&アルバート博物館に入っているものもある(V&Aでは製造業者名を "Carter & Co." と記載している)。

第二次大戦後はそういった実用的な産業製品というより家庭内で使う装飾的な色の濃い陶器(花瓶、飾り皿など)で有名なようだ。創業以来の波止場地区の工場は1999年に街中に移ったが、その工場は2006年に閉鎖され、Poole Potteryの生産拠点はプールの町を離れてスタフォードシャーに置かれるようになり、創業の地はPoole Quay Studioという観光施設となり、同社製品の博物館となっているほか、製陶体験講座の開設や、同社製品の販売が行われていた。
https://en.wikipedia.org/wiki/Poole_Pottery

(と、さらっと書いているが、21世紀に入ってからの同社はなかなか大変な経緯をたどっている。ウィキペディアでだいたいのことはわかる。現在は実用的テーブルウエアの製造で有名なデンビーなどとともに、Hilcoの傘下にある。)

そのPoole Quay Studioが、今日10月15日に閉鎖されることになっていて、BBCにその閉鎖がプールの街にどういう影響を与えるかということについての記事が出ている。

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2017年09月15日

今日のロンドンのボムは、攻撃者が意図した通りには爆発しなかったようだ。

北朝鮮のミサイル発射で始まり、ロンドンのボムで終わる一日だった

DJwBkpAXcAA1BZK.jpg今日のロンドンのボムは最近のニュースというより、遠い日の「ボム・スケア」を生々しく思い出させるようなものだったが、攻撃者にとって「成功」と呼べるような爆発には至らず、爆発現場となった地下鉄車両の写真は「真っ黒く焦げた車体」や「ぐにゃりと曲がった扉」のような、ある意味「わかりやすい写真」ではなく、死者はなく、22人が病院に搬送されているという負傷者のうち誰も命に関わるような怪我をした人はいない。多くは火傷だそうで、車内に乗り合わせていた人々は「火の玉がこちらに向かってきた」、「四方八方に炎が」といった証言をしていたが、報道機関のサイトでビデオを見ても、例えば2005年7月7日の攻撃のあとのような様相の人はいなかった。つまり、今日は攻撃された側(地下鉄やその利用者、広く見れば一般の社会)が「ラッキー」だったのだ――そんな言葉を、どうしたって思い出さずにはいられない。

Today we were unlucky, but remember we only have to be lucky once. You will have to be lucky always.

https://en.wikipedia.org/wiki/Brighton_hotel_bombing#IRA_statement


警察や報道機関のツイートと、自分でガーディアンとBBCのLive blogを見ながらツイートしたものを中心に、一覧できるようにしてある。情報の追記もそちらで。

ロンドン、地下鉄車両内で爆発、22人が負傷で病院に搬送(2017年9月15日)
https://matome.naver.jp/odai/2150547472625257001

爆発物が仕込まれていたのは、建築現場などでよく使われている作業用バケツのようだ。それが激安系スーパーマーケットLIDLの何度も使えるショッピングバッグ(エコバッグ)に入れられていた。そういう荷物を持って誰かが地下鉄に乗っていても、それらしい服装や年恰好の人だったら特に目立ちはしなかっただろう――今日までは。

2005年7月7日のあと、ロンドナーの個人ブログで「電車の中で、iPodの白いイヤフォンコードを背中のリュックから出して音楽を聴いている人を見ると、ドキっとするようになった」という個人の言葉を読んだことを思い出す。


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2017年08月28日

「想像の共同体」を背負った拳が巨額のマネーを生む。

普段、アイルランド&英国のニュースが入ってきやすいようにしてあるので、格闘家(総合格闘技)のコナー・マクレガーの話題は非常に頻繁に見かける。マクレガーは、私がモニターの中で見ている世界では誰もが知るスポーツ界のスーパースターで、ファッション・アイコンでもあり、格闘技に興味がなくてもいつの間にか顔と名前が一致するようになってしまっているような人だ。だから、米国時間で26日(土)夜、日本時間で27日(日)昼間にラスヴェガスで行なわれた「世紀の一戦 the Fight of the Century」のことは、開催が決まったときから日常的に記事見出しなどを見かけていた。

ちなみに「世紀の一戦」という表現は、1971年に行なわれたボクシングのモハメド・アリとジョー・フレイジャーの試合について使われたのが一番有名なようだが、実際にはそう銘打たれた試合は、20世紀には1910年、1921年、1938年に行なわれており、フレイジャーとアリの試合は「世紀の一戦、その4」だったようだ(ここに記載がないだけで、他にもそう銘打たれていた試合はあったのかもしれないが)。21世紀に入ってからは、2015年のフロイド・メイウェザーとマニー・パッキャオの試合が「世紀の一戦」とされており、今回、2017年のメイウェザー対マクレガーの試合は21世紀2度目&メイウェザーにとって2度目の「世紀の一戦」だった。これからもきっと何度でも「世紀の一戦」は行なわれるのだろうが、メイウェザーはこれで引退してしまったので、メイウェザーにとっての「世紀の一戦」はこれが最後となるようだ。

なお、私は個人的に格闘技には特に関心はなく、試合も見ていない。本稿は試合そのものについては扱わない。この試合をめぐるムードというかナラティヴについてのメモである。

それにしても、この試合の事前の過熱っぷりはすごかった。BBCのようなメディアでも、普段、ボクシングであれ総合格闘技であれ、こんなふうに試合が話題になることはないというくらいに大きな話題になっていた(だから、総合格闘技にもボクシングにも特に関心のない私でも、いつどこで行なわれる試合で、どんな選手がこぶしを交えるのかといったことは自然と把握していた)。試合で動く金もハンパではなく、何かもうみんながギラついた感じで見つめているという感じだった(マクレガーの試合がいかにカネを生むかということについてはスポーツナビの高橋テツヤさんの記事が詳しい。UFCデビューの前週まで役場に並んで生活保護を受けていたマクレガーが、巨額のマネーを叩き出すようになるまでを振り返っている)。

だがアイルランドでの熱狂は、そういうギラつきとはちょっと違っていた。コナー・マクレガーは、本人がアイリッシュ・トリコロールの旗(アイルランド国旗)を多用するなどしてアピールしまくっている通り「アイルランドの息子」だ。「うちのコナー・マクレガー」だ。

かくして、ラスヴェガスは、試合前にこういうことになっていたという(撮影地点はマンダレイ・ベイ・リゾートのようだ)……サッカー系の大手Twitterアカウントが「アイリッシュがその場を掌握したときには何もなすすべなどなくなる。そのことを、アメリカのセキュリティは素直に受け入れるべきである」と述べるような状態に。

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2017年08月21日

【訃報】リズ・マッキーン(ジミー・サヴィルの性犯罪について、BBCで調査報道を行なった記者)

「ジミー・サヴィル Jimmy Savile」という名は、現在、日本語圏ではどのくらい記憶されているだろうか。

1926年に生まれ、2011年に没したサヴィルは、1960年代から2000年代にかけて、BBCテレビの音楽番組や子供番組の司会者として活躍した国民的なTVパーソナリティだった(テレビのほか、ラジオの仕事もある)。1971年にOBE, 1990年にナイト爵という栄誉に輝いてもいる。

誰も文句の付けようのない名士にしてスターだったはずのこの著名人が、その立場を利用して多くの年少者を傷つけた汚らわしい性犯罪者だったことが公になったのは、本人が死んでから1年になろうとするころだった。

2012年10月10日 「お茶の間の人気者」で「名士」だった人物の公然の秘密は、あまりにおぞましいものだった。
http://nofrills.seesaa.net/article/296724178.html

実際には、サヴィルがセクシャル・プレデターだったことは、業界では公然の秘密だったという。それを、サヴィルは人格者であると思い込んでいる世間一般に知らしめたのは、2012年のITVの番組と、BBCの調査報道だった。

この「BBCの調査報道」は、局内ですさまじい抵抗を引き起こしていた。

「疑惑」が公になったあと、BBCはしばらく、「ことを荒立てない方向」で何とかしようとしていたようだ。自局の調査報道の看板番組、Newsnightではサヴィルの件は放送しないと決定したりしていた。しかし、事の深刻さゆえ、その方針は1週間もしないうちに撤回され、もう一つの看板番組であるPanoramaでサヴィルの件を扱うことにしたという。
http://www.guardian.co.uk/media/2012/oct/09/jimmy-savile-bbc-sex-abuse-allegations

http://nofrills.seesaa.net/article/296724178.html


BBC - The Editors: Jimmy Savile and Newsnight: A correction http://bbc.in/VjeB4l サヴィルの疑惑についてNewsnightで放映しないことにした件でのディレクターの説明が不正確なものであったという声明

https://twitter.com/nofrills/status/260330536831176704


ジミー・サヴィルの真の顔を調査し、その報道によって英国の人々に衝撃を与え、その後、「ギョーカイ」ではびこってきた同様の卑劣な性犯罪を刑事事件化する道を拓いたBBCの記者とディレクターは、「勇気あるジャーナリスト」として同僚から尊敬され、「重要な仕事をした社員」として上司から評価されて当然だった。「さすがBBC、身内にも遠慮せず、すごい報道をする」といった外部の賞賛の声が当時あったが、それはそのような尊敬や評価があって当然という思い込みとセットだった。

だがそのような思い込みは、実際には「思い込み」に過ぎなかった。ジミー・サヴィルの「公然の秘密」を調査し裏取りして番組にしたジャーナリストたちは社内で干され、その調査報道には上層部からの妨害があったことが大きく報じられたのは、2015年夏のことだった。調査報道班のプロデューサーはBBCをクビになり、記者は自発的にBBCを辞めざるをえなくなった。閑職に追いやられた者もいた。

そのような経緯でフリーランスとなった記者は、この年代のジャーナリストの多くと同じように、北アイルランド紛争関連の取材を経験していた。複雑で微妙な武力紛争のなかの取材を重ねて実績を作ってきた有能な記者だ。彼女を追い出すBBCって……とドン引きするのが普通の反応だろうが、そんな反応などものともしないのがBBCなのかもしれない。

ともあれ、その記者、リズ・マッキーンの名前が、18日(金)に久々にBBCのサイトに出ていた。死亡を告知する記事だった。

サヴィルの性犯罪を暴いたリズ・マッキーンは、52歳の若さで急死した。死因は脳卒中(脳血管の病気は本当に怖い。私の周囲にも、20代で朝起きてこないので家族が見に行ったら……といった事例がある)。

Ex-BBC reporter Liz MacKean dies after stroke
http://www.bbc.com/news/uk-40981585

Ex-BBC News correspondent Liz MacKean has died after suffering a stroke.

MacKean, 52, worked for the corporation for more than 20 years but left in 2013 amid a row over the decision to shelve her investigation for Newsnight about disgraced DJ Jimmy Savile.

She began her career at BBC Hereford and Worcester, before presenting on Breakfast and reporting from Northern Ireland and Scotland.

MacKean went on to work on Channel 4's Dispatches programme.

BBC director of news James Harding paid tribute to MacKean, saying she had earned a reputation as a "remarkably tenacious and resourceful reporter".

"In Northern Ireland, she won the trust of all sides and produced some of the most insightful and hard-hitting reporting of the conflict," he said.

"It was as an investigative reporter that she really shone, shining a light on issues from the dumping of toxic waste off the African coast to Jimmy Savile, the story for which she is probably best known."

...


以下、Twitterの貼り付け。

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ケンブリッジ大学出版局がジャーナル『チャイナ・クオータリー』の記事の一部を中国国内からアクセスできなくした件(リンク集)

標題の件。ブログの地の文を書いている余裕がないのですが、記録のため、Twitterに投稿したものをざっと貼り付けておきます。本稿は、内容的にはリンク集です。

この件、何より必要なのは、原文(英語)でケンブリッジ大学出版局(Cambridge University Press, CUP)のステートメントを読むことです。英語報道ではpull out, remove, blockといった表現が錯綜していて、正確に何があったのか、どういうことが行なわれたのかがよくわかりません。ましてやそれが日本語に翻訳されるとますますわけがわからなくなります(変な例しか思いつかないのですが、911陰謀論で "pull it" というこなれた英語表現の意味をめぐって話が混乱したことを想起していただければと)。

CUPのステートメントへも下記でリンクしていますので、各自、リンク先でご確認ください。

日曜日(20日)には中国の検閲対象となったジャーナル、『チャイナ・クオータリー』の編集長や、検閲対象とされて中国国内からはアクセスできないようにされた論文の著者(研究者)のインタビューも出ています。それも下記にリンクしてありますので、各自、リンク先でご確認ください。

なお、本稿については、リンク先をお読みにならない場合は、SNSやはてブでのコメントは、ご遠慮いただきますよう、お願い申し上げます。

何があったのかについては:
Cambridge University Press blocks readers in China from articles
Richard Adams Education editor
Friday 18 August 2017 19.14 BST
https://www.theguardian.com/education/2017/aug/18/cambridge-university-press-blocks-readers-china-quarterly
Cambridge University Press has blocked readers in China from accessing hundreds of academic articles – including some published decades ago – after a request by Chinese authorities, arguing that it did so to avoid its other publications from being barred.

The publisher confirmed that hundreds of articles in China Quarterly, a respected scholarly journal, would be inaccessible within China, after a letter from the journal’s editor protesting against the move was published.

“We can confirm that we received an instruction from a Chinese import agency to block individual articles from China Quarterly from within China,” CUP said. “We complied with this initial request to remove individual articles, to ensure that other academic and educational material we publish remains available to researchers and educators in this market.”


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2017年08月14日

ロンドン、国会議事堂のビッグ・ベンの鐘の音が、来週月曜から2021年まで聞けなくなる。

ロンドン、テムズ河畔に立つ国会議事堂の時計塔についている時計、愛称「ビッグ・ベン」には鐘があり、毎日時を告げている。また、「毎日正午に奏でられるビッグベンの鐘のメロディは、四つの音で奏でられる日本の学校でお馴染みのチャイムのメロディの基となった」ことでも知られている。

英国会のYouTubeアカウントがアップしている映像で、その「チャイムのメロディ」も、時を告げる鐘の音も確認できる。


この鐘の音が、しばらく聞けなくなるということが、今日発表された。大掛かりな修理を行なうため、来週月曜日(21日)から、4年間(2021年まで)止まるそうだ。英国のことだから、「2021年まで」というのが「2022年まで」になり、「2023年まで」になるかもしれない。 (^^;)

詳細は以下にて。

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2017年06月28日

「ヒルズバラの悲劇」、警察の現場責任者ら6人が起訴される。

256px-Hillsborough_anniversary.JPG"Justice for the 96"――「死んだ96人のために正義を」。そのスローガンを掲げて25年以上も闘ってきた人々が、最後の最後に落胆させられるということにはならなかった。きっと求めていたすべてではないだろう。けれども、よかったと思う。

2017年6月28日、英国の検察当局が、先に "unlawful killing" と結論されていた「ヒルズバラ(ヒルズボロ)の悲劇」について、事故発生時の警察の現場責任者や、事後、証言を歪めた警察(サウス・ヨークシャー警察)の弁護士など6人を起訴することを発表した(リンク先にその声明の映像あり)。

「ヒルズバラの悲劇」について、またその後リヴァプールの人々が何のためにどう闘わざるをえなくなったかについては、ざっくりとだが、以前書いたものがある。1989年4月15日、リヴァプールFC対ノッティンガム・フォレストのサッカーの試合を大勢のファンが観戦中のスタジアムで、キャパを超えたテラス席(今は廃止された立見席)で群集事故が発生し、96人もの犠牲者が出た。当時警察はこの事故について「フーリガンが暴れたことが原因」とし、The Sunをはじめとするタブロイド各紙も「フーリガン大暴れ」を事実として伝えた。しかしそれは、すべてがまったくのでっち上げだった。それが客観的に立証されるまで、20年以上の歳月と、途方もない努力・労力を要した。最終的に真相究明がなったのは、事件のことをリアルタイムで知っているマージーサイド出身のアンディー・バーナム議員(労働党・現在はグレーター・マンチェスター市長。ちなみに彼自身はLFCではなくエヴァトンの熱狂的サポ)を筆頭に国会の場で行なわれた取り組みの成果だった。

その後行なわれたインクェストで、「悲劇」で亡くなった96人について "unlawful killing" という結論が出されたのが、2016年4月。それから1年と2ヶ月あまり、人々はこれが何らかの "justice" に結びつくのかどうかという、最終的な決定を待っていた。それが明らかになったのが今日、2017年6月28日で、その決定内容は「6人の起訴」というものだった(個人の起訴であり、検察当局は警察を含めどの組織も組織としては起訴しないことを決定した)。

以下、リンク集的に、その記録。

なお、これをもって正式に法廷沙汰となったので、陪審団に影響を与えそうなことは一切、公に発言することができなくなる(法廷侮辱罪に問われうる)。家の中や友達との集まりで話すのはかまわないようなことでも、TwitterやFB、ブログなどネットに書けばアウトになりうる。そのため、もろもろ注意が必要とされるということも強調されている。詳細はLiverpool Echoの記事を参照。



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英、保守党とDUPとの合意成立 (Coalition of chaos)

2週間ほどかかって、ようやく……と言いたいところだが、たぶん、おおかたの人はそんな交渉が続いていたことなどもう忘れているだろう。「まだやってたんですか」っていう感じ……北アイルランド・ウォッチャーにとっては、「早かったな」感もあるのだが。

保守党とDUPの「閣外協力」(←日本語圏の用語。英語では "confidence and supply (または supply and confidence) deal" という。野党側の内閣不信任案に賛成しないことと、与党側の予算案に賛成することを意味する)が、26日、正式に合意された(合意全文はこちら)。同日夜(日本時間)のBBC Newsのサイトはこうなっていた。

BBC News: http://www.bbc.com/news
bbcnews26june2017-min.png


BBC News > UK: http://www.bbc.com/news/uk
bbcnews26june2017b-min.png


BBC News > UK > Northern Ireland: http://www.bbc.com/news/northern_ireland
bbcnews26june2017c-min.png


これで、英保守党は北アイルランドのDUPと「事実上の(非公式の)連立関係」と言える間柄(ただしDUPは閣僚は出さない。日本語では「閣外協力」という用語に相当する)になったわけだ。何が起きているかというと、まさに風刺画家や風刺作家が表現していた通りだろう。6月13日付のBBCの「まとめ」より。
http://www.bbc.com/news/uk-northern-ireland-40250023
A recurring theme for political cartoonists is a weakened Theresa May, beholden to a higher-than-mighty DUP, as commentators speculate on the price the prime minister, and the Irish peace process, might pay for the party's support.


テリーザ・メイの保守党が、勇ましく「強く安定した政権」を掲げて楽勝ムードで臨んだものの、議席減どころか過半数割れという「(笑)」……もとい「(・_・) タイヘンニいんたれすてぃんぐデスネ」という結果に終わった6月8日の総選挙。しばらくは抱腹絶倒、もとい、真顔で普通に座って、爽快ですらある高揚感を覚えていたが、そのムードが長続きしなかったことは既に書いた通りだ。

そして、その高揚感が「なーんだ、何も変わらないじゃないか」というものになった直後には、「これは変わらない以上に、最悪の結果だ」と言わざるを得なくなったことも、既に書いた通りだ。

すなわち、保守党が北アイルランドのDUP (the Democratic Unionist Party) と組もうとしている。あの、ホモフォビックで創造論で地球温暖化懐疑論で「恐竜」と呼ばれるDUPと。しかも、1998年の和平合意(ベルファスト合意、通称「グッドフライデー合意」で略称はGFA)では、英国政府は北アイルランドの政治に関しては「中立」(どの側にも立たない)ことになっているのに!

それについては、少しは整理しておこうとしたものもあるので下記も参照(こういうのを参照しもせずに、「わかりづらい」などの文句をネット上に書かないでください)。

保守党がDUPに「閣外協力」を求めている……今、英国で起きようとしていることが、いかに深刻であるか
https://matome.naver.jp/odai/2149719116817721901

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2017年06月17日

「赤いケンジントン」……ロンドン、グレンフェル・タワーの火災があらわすもの・見せるもの

犠牲者として最初に名前が公表されたのは、2014年に英国に到着したシリア難民の青年だった――この事実を、どう受け止めてよいのかわからない。

西ロンドンでの高層アパート火災は、長くかかってようやく鎮火したそうだが、犠牲者の数が何十人という単位 (dozens) で言及され、しかも全員は身元の確認ができないかもしれないとさえ言われている。

遺体の判別がつかなくなってしまっているだけではないだろう。英国内に身元特定の手がかり(歯科医のカルテなど)がない人もいるだろうし、友達や親戚の家に泊まりに来ていた人もいるだろう。それに、ふと思ったのだが、何らかの形でここにいた人の中には、短期滞在者や短期滞在のつもりで英国に入国して超過している人もいたかもしれない(私が拙著のために取材したとき、「住居費の安い部屋を探した結果、カウンシル・フラットの又貸し物件を、非合法と知らずに借りてしまうケース」などがあると知ったが、その当時とは制度が変わっているとはいえ、そういうことは今でもあると思う)。あるいは、ロンドンではよく聞いたのだが、その部屋の住民が数週間ほど家を空けざるを得ないときに、空き巣に入られないよう、親戚のつてをたどるなどして、地方から仕事探しに来ている人などに家賃無料でその部屋に住んでもらうということも行なわれているかもしれない。つまり、出火したあの晩、あの集合住宅で寝ていたのは「住民」に限らないかもしれない。そういったことの事実確認は、これから行なわれるのだろう。

デイリー・テレグラフの記事にあるフロアプランを見ると、各フロアに2ベッド・ルームのフラットが4戸と1ベッドのフラットが1戸ある。BBCによると全127戸で、24階建ての建物のうち20フロアが居住スペースだ。1ベッドの部屋は単身者か夫婦・カップルが住むための住宅で、2ベッドは子供のいる家族や、子供が独り立ちして高齢の親と同居するようになった家族などが多いだろう。行方不明者には80代の人もいれば、10代の人も、さらに年下の子供もいる。

出火原因や、なぜあれほどに燃え広がったのかについては、既に住民たち(火事の被害をこうむった人々)の証言などが報道機関によって取り上げられているが(中には不正確な情報もあると思われるので注意)、詳細は、テリーザ・メイ首相が行なうことを既に指示しているパブリック・インクワイアリで解明されることになるだろう。インクワイアリでは、BBCがまとめた「6点の疑問」のような具体的なポイントについての事実関係が明らかにされた上で、行政の責任が問われることになるのは間違いない(グレンフェル・タワーはカウンシル・フラットだ)。現在の緊縮財政を推し進めたのは2010年以降の保守党政権(2010年から15年はLDとの連立政権)で、ロンドンでは保守党のボリス・ジョンソン市長が行政トップだった。とはいえ、2016年以降は労働党のサディク・カーン市長が行政トップで、火災のあと住民たちの怒りに直面したのは、カーン市長だった。15日、火災現場のそばで大勢の警官に囲まれ、激怒した住民と対面しながら、その時点での最新状況を淡々と報告し、これから市当局として何をしていくかを語る彼の表情は……この人のこんなに打ちひしがれた表情を見たことがあっただろうか。6月4日のロンドン・ブリッジ地区でのテロ攻撃のあとに見せた毅然とした表情とは違っている。カーン自身が、「こういうような地域」のカウンシル・フラットの出身なのだ(カーンが市長に当選したときに、対抗の保守党候補のお坊ちゃまとの違いを一言で表すために「パキスタンからの移民であるバス運転手とお針子の息子」であることが頻繁に言及され、特に日本語圏ではそのことでイラっと来た人が多かったようだが、階級社会の英国では《意味》のあることだ)。



カーン市長はこの状況で質疑応答も逃げずにやっているが(上記映像5分50秒あたりから)、同じ現場を訪れたテリーザ・メイ首相は、消防士たちとは対面して激励的なことはしたものの、それだけで帰ってしまった。そのことが批判されて、16日に改めて出直し、被害者(被災者)と対面したという(ちなみに、そのころには既に、エリザベス女王とウィリアム王子が被災者慰問を行なっていた)。メイが一般国民、とりわけ彼女に批判的であると想定される一般国民と直接対面することを避けようとしたことで驚く人はいないだろうが(今回の総選挙前、主要政党党首による公開討論会をやらずに済ませようとしたことは記憶に新しい)、これには呆れて物も言えなくなった人が多いのではないかと思う。

London fire: Theresa May meets victims after criticism
Friday 16 June 2017 14.31 BST
https://www.theguardian.com/uk-news/2017/jun/16/london-fire-prompts-safety-review-at-4000-uk-tower-blocks

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2017年06月14日

ロンドンでひどい火災に見舞われているのは「タワーマンション」じゃない。「高層アパート」だ。

ロンドン西部で大変な火事が起きた。燃えているのは24階建ての集合住宅だ。英国ではときどき大規模火災の報道があり、ロンドンでは2011年8月の「暴動」の際に倉庫が燃やされたり商店街が放火されたりしているが、こういう規模の住宅の建物でこういう規模の火災が発生したのは、ネットで普通に英国のニュースに接するようになって以来(つまり1998年ごろ以来)、初めてではないかと思う。

既にウィキペディアンたちが報道などを精査してまとめ始めているので、詳細はそちらを参照されたい。
https://en.wikipedia.org/wiki/Grenfell_Tower_fire

火災にあったのは、グレンフェル・タワー (Grenfell Tower) という集合住宅で、場所はノース・ケンジントン。ロンドンに詳しい人はご存知だろうが、「ノース・ケンジントン」は、一部例外の区画はあるかもしれないが、「ケンジントン」という高級エリアの名前から想像されるような地域ではない。有名なのはポートベロ・ロードの一帯で、ここはかなり前から「ポッシュな住宅街」なのだが(posh, 日本語にすれば「高級な」。「おハイソな」みたいな語感)、ノース・ケンジントンといえば昔は西ロンドンのスラム街で、ロンドンに到着した移民たちが押し込められるようにして暮らす街(のひとつ)だった。20世紀後半には、南部のブリクストンなどと並んで人種間の緊張が大きな地域として知られるようになり(「人種暴動」も起きている)、毎年夏の「ノッティングヒル・カーニヴァル」(カリビアンの人たちのお祭り)の発祥の地でもある。

場所はここ。有名なポートベロのストリート・マーケットの立つ細い通りの1本西がラドブローク・グローブで(Google Mapにはなぜか駅のアイコンがないが、ここには地下鉄と地上鉄道の駅がある)、現場はそのさらに西、地下鉄駅ではラティマー・ロードやホワイトシティの近くになる。



特にソースも参照せずに頭の中にあることだけで書くので、話半分で読んでいただきたいのだが、第2次世界大戦後、行政当局は再開発を進めるなかで、多くの「ハイ・ライズ high-rise」を建設した。「ハイ・ライズ」は「高層建築」の意味の一般的な語で、術語としてはエッフェル塔や東京タワーのようなものにも使われうるが、英国で単にhigh-riseといえば、昨今のテムズ川沿いの再開発で林立しつつある、ロシアや中国のお金持ちがこぞって買いたがるような、日本語でいう「タワーマンション」のようなきらきらしたものではなく、戦後、都市部のあちこちに次々と建設されたようなものに代表されるような、いわゆる "tower block" を指すことが多い。Tower blockとは、「tower型をした、block of flats」の意味だ。つまり「高層建築の集合住宅」である。

1950年代に建てられたそのような高層建築の中には、現在では歴史的な価値が認められ、日本の制度でいう「重要文化財」的なものに指定(Grade IIなど)されている建物もあるが、無骨なコンクリートの塊のような建物は英国では非常に評判が悪く、eye sore (目障り)などと呼ばれている。詳しくはチャールズ皇太子の建築に関する発言をあさってみるといろいろ出てくるだろう。

今回火災にあっているのも、そのような戦後のコンクリート建築時代のtower blockのひとつだ。

https://www.yahoo.co.jp/こんなことを書いていると書き終わらないので先に行くが、今日のこのグレンフェル・タワーの火災について、日本語圏では「タワーマンションで火災」と報じられている。右は14日19時ごろ(日本時間)に取得したYahoo! JAPANのトップページのキャプチャだが(via kwout)、一番上の記事は「英タワマン(=タワーマンション)火災 死者は多数に」と見出しを打っている。

だが、ロンドンについて何かしら知っている人、また何らかの感覚がある人は、ニュース映像などを見て、あの建物を「タワーマンション」とは呼ばないだろう。特に「タワマン」などと略されたら、違和感倍増である。「タワマン」の住民としてイメージされるのは、例えば成功したビジネスマンや個人投資家のような人だろうが、グレンフェル・タワーのようなカウンシル・フラットに住んでいるのは、ほぼ間違いなく、安月給であくせく働く会社員や技術職の職人(塗装工など)のような人たちだ。そういう人たちが、ああいう大規模な火災に見舞われている。

……と、イメージにあう日本語を探してみて思い当たったのが「高層アパート」という表現だ。実際にフィクションなどでtower blockがそう翻訳されている例は多くあると思うが、今、探している余裕はない。うちの本棚に詰まっている紙のどこかに「高層アパート」という言葉があることは間違いないのだが……。

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2017年06月11日

英総選挙、開票中にささやかれていた「10月の選挙」の意味

octoberelection.png今回の英国の総選挙、開票が終わる前から、「次の選挙は10月」という文言が、ジャーナリストのアカウントから飛んできていた(右の画像参照)。

明らかにジョークというか「故事成語」の類だが、その「10月の選挙」の意味が私にはわからなかった。開票が終わっていろいろ少し落ち着いたところで、Googleに "october election" と打ち込んでみた。直結する答えはでてこなかったが、検索結果を少し眺めていたらわかった。1974年だ。2010年の総選挙でどこも過半数を制さないhung parliamentという結果が出たときに、各メディアが解説記事などで参照していた1974年だ。

1973年1月、英国はEC(現在のEU)に加盟した。当時、国内情勢は不安定だった。労組のストライキは続き、北アイルランドは燃えていた。保守党のテッド・ヒース首相は1970年の選挙で全630議席のうち330議席を得ていたが、危機打開を目して、1974年2月に解散総選挙に踏み切った。投票日は2月28日。誰もが保守党の圧勝を予想していた。

しかし結果は、どこも過半数を取らないハング・パーラメント。その年に5議席増えて全635議席となっていた下院で最大議席数を獲得したのは、ヒースの保守党(297議席)ではなくハロルド・ウィルソンの労働党(301議席)だった。

わずか4議席の差だ。第2党の保守党だが、14議席を有する第3党の自由党(現在のLibDems)と連立すれば埋めることができる。ヒースはその道をさぐったが、自由党が連立条件を飲まなかった。3月4日にヒースは組閣を断念し、これにより、第1党となっていたウィルソンの労働党が議会の過半数を持たずに政権を担うこととなった(マイノリティ・ガヴァメント)。こうして3月6日には第46次国会が召集され、第2次ウィルソン政権(ウィルソンは1964年から70年に首相をつとめていたので、1974年の政権は第2次)が発足した。

マイノリティ・ガヴァメントでは政権運営は心もとない。ウィルソンは7ヶ月ほどで議会を解散し、総選挙に打って出た。それが「(1974年)10月の選挙」である。

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英国の総選挙: 保守党は勝たなかったが労働党が勝ったわけではない。そして結果は「想定外の最悪」だ。

「コービン労働党の躍進」という《物語》のほうがウケがよいだろうが、当ブログはそういうことは語らない。「コービン労働党の躍進」は嘘ではないが、現実を見る上ではトイレットペーパーくらいの役にしか立たない。これまで保守党以外の選択はないと考えられてきた選挙区がいくつも(最終的にはあのケンジントンまでもが)赤くなったという事実を含め、今回の選挙結果は、「保守党め、ざまあみろ、わっはっはー」と笑ってクソを拭いて流すには役立つが、クソしたあとに履くパンツにはならない。そんなことは結果が全部出揃う前どころか、投票が締め切られて出口調査が公表された瞬間にはもう明らかになっていたことだ。

労働党の活動家は、今回のこの結果から最大限を引き出そうと「勝利」の方向付けをするのが当たり前だが(次につなげていくためにもぜひそうしてもらいたいと個人的には思う。大手メディアと保守党と、自党内のブレアライトを向こうに回してがんばった彼らの粘り強さ・強靭さは敬服に値する)、ただのウォッチャーならば、どこも過半数を取らなかったhung parliamentという結果を、ありのまま正確に読まなければならない。煽動は無用だ。

今回の総選挙では、テリーザ・メイの保守党は「過半数を制するという意味では勝てなかった」のであり、「負けた」わけではない。保守党は、過半数には至らずとも各党の中で最大の議席数を獲得した。しかも、2番目の労働党との議席数の差はとても大きい。55議席もの差をつけた、余裕での第1党だ。メイ個人は、「あんだけフカしといてこの結果かよ」という点で信頼を全部ドブに流したわけだから、彼女個人は「負けた」のかもしれないが、それは彼女が引き続き保守党トップの座にい続けることをとどめはしない(2010年総選挙の結果、保守党との連立に入りビジネス大臣となり、信頼を失って2015年の選挙で落選して、今回返り咲いたLibDemのヴィンス・ケーブルは「針の寝床を作ったのは彼女なのだから、彼女がその上に横たわらねばならない」として、「メイは辞任すべきでない」と言っている。これはEUレファレンダム後に、まさか実現するとは思っていなかったBrexitにびびったLeave陣営のトップがみな逃げ出したことへの当てこすりだろう)。仮に彼女が「負け」を公然と認めて保守党党首を辞任したとして、次に来るのは誰だ。ボリス・ジョンソン(この人は「英国上流階級版ドナルド・トランプ」だ)か。サプライズでジェレミー・ハントやマイケル・ゴーヴか。いずれにしても最悪だ。

労働党党首のジェレミー・コービン個人は「あいつでは選挙に勝てない」という党内からのdisを跳ね返してみせたが(本当に強靭な政治家だ。労働党は自身の党首に対して実にめちゃくちゃなことをしてきたからね。それをロシアで身動き取れずにいるエドワード・スノーデンがめっちゃ的確に指摘しているのを見たときにはお茶ふいたが……彼に見えていることが、労働党内の反コービン派には見えていなかったのだ)、「コービンの労働党」が「選挙に勝った」わけではない。そのことは、土曜日に連ツイしたものを、本エントリの下のほうに貼り付けておこう。

Brexitとその後のEU残留派の抵抗、激増するヘイト・クライム、次々と英国から出て行くEU圏の知識人たち、Brexitに賛同しない人を「裏切り者」扱いして吊るせ吊るせとばかりに野蛮な叫び声をあげるタブロイド、そしてそれとは関係なく行なわれるがムードを暗く重苦しくすることにだけは貢献しまくる「イスラム過激派」のテロ……そういったものの中にセットされた今回の選挙は、感情の選挙になるだろうと思ってはいたが、実際には私が思っていたのとは少し違ったふうに「感情の選挙」になった。若者たちが選挙に行って(印象論ではなく数値の検討がなされている。FTのグラフも参照)、若者たちはコービンが大好きだ。彼らの親の世代が享受してきた機会を奪った「年寄り」を、彼らは凌ごうとした。メイ陣営とエスタブリッシュメントがやっているように誰かをめちゃくちゃにけなすのではなく、ヴィジョンを持って「希望」を語るコービンを支持することによって。そしてそのようなコービンを支持したのは「若者」だけではなかった。マスコミが無視していたうねりは、実際には起きていたのだ。しかしそれは、「よい攻撃の形を作ってゴール前に攻め込むことはできているが、決定力に欠けている」と評されるサッカーチームのようなものだった。「この次につなげていこう!(でも今は勝てない)」

投票所の締め切りとほぼ同時に公表された出口調査の結果が「ハング・パーラメント」を予想し、多くの人々が「おおっ」とどよめいた。「保守党の多数による安定をさらに固めるため」に行なわれた解散総選挙が、「保守党の多数による安定」をもたらさない! こういうのを英語では "interesting" という。

数時間していくつかの選挙区の結果が公表されると「出口調査は不正確なことが多い」、「保守党へのスウィングを過小評価している」といった観察・分析がTwitterでいくつも見られるようになったが、おそらくは事前にあまりにも「コービンはダメだ、コービンはダメだ」という情宣がやられすぎていた反動もあり、また最初に結果が出たのがイングランド北東部の工業地帯で、それらの地域では最近ではすっかり慣れっこになってしまった「労働党離れ」が食い止められている様子が伝えられていて、コービン支持者・労働党支持者・「コービンの労働党」の支持者のムード(私がTwitterで見ている世界は彼らの世界である)は明るかった。

でも、それでも、明るく見える出口調査の結果は、「労働党の勝利」には程遠いのだよ。保守党が314で過半数割れしていることはさておき、労働党はそれより50議席も少ない266という数値だ。(出口調査ではなく実際の獲得議席数は、最終的に、保守党が317議席、労働党が262議席だった。)

DB16juSUwAIGWZ3.jpg開票作業が進められるなか、Twitterの画面にはいつも以上に「感情」が横溢していた。あの選挙区で労働党が競り勝った。この選挙区でも予想を覆した。そっちでは保守党の現職が苦戦しているようだな。おお、現職の閣僚(それも内務大臣)が票の数え直しを要求した末、首の皮一枚での辛勝か。そして、開票開始から2時間ほどで、あのケンジントンが「労働党勝利」の予想だって? Twitter上で、並み居るジャーナリストたちがざわつく。保守党に近いジャーナリストやコラムニストは「Brexitを支持できない銀行家たち」の票だと指摘する。なるほどね、それにしても、根っから真っ青なケンジントンが赤くなるなどということを、誰が想定しただろう! ケンジントンが赤い! おい、カンタベリーが労働党だぞ! シェフィールドではキャメロンと組んで過激なネオリベ政策を実行したLDのニック・クレッグが落選して、労働党候補が当選した!……いつまでも浸っていたいような、甘美な感情が言論空間に充満している。経済が専門のジャーナリストのポール・メイソン(元BBC Newsnightのビジネス・エディターで、2013年にチャンネル4に移り、現在はフリーランス)が「英国から人類へ――たった今、私たちはネオリベラリズム(新自由主義)を殺した」とツイートした。私も飲み込まれた。賭け屋は「ジェレミー・コービン首相」を真面目に扱いだしている。結果によっては、連立の組み方によっては、ありえなくはない。むしろ、ありうる……

しかしその高揚は、長続きしなかった。一瞬の夢だった。開票が始まってから6時間半ほど、日本時間の9日12時半には、「保守党が318議席、労働党が267議席、SNPが32議席、LDが11議席」という新たな予想・分析が出た。これでは労働党はどう連立しても保守党単独の議席数に届かない。第1党の保守党が、そのままマイノリティ・ガヴァメントということになるだろう。あるいは……

あるいは……いや、それはない。そうなったら最悪だし、それにそれは保守党の根幹的理念に反する。保守党が組むとしたらあの政党ではなく、あの政党のライバルだ。

だがそのライバル政党は、今回議席を獲得していないじゃないか。誰に遠慮する必要があるだろう。それにあの政党は10議席も獲得している――そう、このころには北アイルランドは全議席が確定していた

「あの政党」とはDUP (the Democratic Unionist Party)、「ライバル政党」はUUP (the Ulster Unionist Party) である。

いつもUKの(というより "GB" の)国政選挙では "Other" 扱いの北アイルランドの諸政党が、今回いきなり、中央で大きな注目を集めることになった。

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2017年06月09日

世界よ、これが英国の選挙だ(爆笑)

英国の総選挙が「おもしろい」結果になった。「Brexitのため、EU残留派を排除して足元を固めたい」という理由から、「2020年まで選挙はしない」としてきたのを撤回して議会を解散し、2017年6月に総選挙を行なうとテリーザ・メイ首相が宣言したのが4月の下旬で、そのときは誰もが「解散総選挙は予想してなかった」と驚いていたわけだが、その結果がさらにまた(少なくとも4月にメイが選挙に打って出たときは)予想外の「ハング・パーラメント(どこも過半数を制することがないという結果)」だ。あんまり有権者をナメくさってるとこういうことになるんだよ、と、爆笑というよりは、ニヤニヤ笑いが止まらないのだが、結果がどうとかいうまじめな話はあとで書く。何しろ、1つ前のエントリで「投票所が締め切られてから3時間、開票が進んでいる」と書きはしたが、そのまま開票が順調に進められても結果が全部出揃うことなく朝を迎えるほどの接戦となっていて、徹夜で票の数え直しを繰り返して朝を迎え、集計人が疲労困憊してしまったのでいったん休憩となり、結果確定が保留となっている選挙区があるような状況だ(しかもそれは、「青」の牙城、ロンドンの超ハイソ地帯のケンジントンだ! ケンジントンが赤くなるなどと、誰が予想しえただろう!)。

というわけで、ずっとメイを支持してきたThe Sunが、「MayではなくDismayだな、こりゃ」と一面ででかでかと書きたてるようなことになっているのだが、そのメイ本人は、当然ながら、比較的早い段階で当選を決めている。彼女の選挙区は、ロンドンから少し西に行ったところにあるバークシャーのメイドンヘッドという選挙区だ。このあたりはイングランドでも保守党が安定して議席を獲得できる安全区。区割り変更で今の選挙区が創設されたのが1997年(20年前、トニー・ブレアの労働党がバカ勝ちした選挙のとき)だが、そのときからずっとテリーザ・メイをウエストミンスターに送り出してきた。

で、ウィキペディアを見ればわかるのだが、前回(2015年)までのこの選挙区の選挙は、至って普通の「保守党の安全区」のそれだった。何もしないうちから当選が確実な保守党の候補に対し、労働党とLDが、特に積極的に勝ちに行くふうでもない候補者を擁立し、この3党が大方の票を集め、そのほかに、候補者1人につき数百票が入るような小政党やシングル・イシューの党の候補者が出る、といった感じだ。2015年、メイが内務大臣として迎えた選挙でも、極左の小政党の候補が55票を持っていったのが目立つくらいで、別に面白みもない選挙だった。

DB15_e3XgAAaKtb.jpg「面白み」と書いたが、英国には、全国ニュースで批判的に取り上げられるような大物政治家の選挙区には、仮装して出てくる系の冗談みたいな立候補者が出てくることがある。それから、何もなくても冗談みたいな「オフィシャル・モンスター・レイヴィング・ルーニー党 (the Official Monster Raving Loony Party)」、つまり「バカ党」の候補者も来る。例えば、イラク戦争後の2005年に当時のトニー・ブレア首相の選挙区がどういう様相だったかを見るのがわかりやすいだろう。主要3党と、イラク戦争で息子が戦死したレジー・キーズさん(反戦を訴えて立候補したが、当選することが目的というより、ブレアと同じプラットフォームに立って反戦を訴えることが目的だった)のほかは、当時はまだ泡沫政党扱いだったUKIPと、UKIP分派のVeritas、そして英極右といえば外せない存在のナショナル・フロント(このときはBNPはここはいなかったのか。細かいことはもう覚えてないが当時はBNPはかなり勢いがよかったのだが)、あとは「ブレアは辞任せねばならない党」とか「高齢者党」、「年金受給者党」に「バカ党」、無所属……といった顔ぶれだ。ブレアが首相でなかったらこの選挙区で立候補などしていなかったであろう候補者がたいへんに多い。

2017年6月の総選挙で、テリーザ・メイにもそういうことが起きた。彼女の選挙区は、前回までのまるで凡庸な様相とは打って変わり、着ぐるみだのかぶりものだのが登場する選挙区になった。選挙管理委員会が定められた形式にのっとって結果を公表し、壇上に並んだ立候補者全員の前で、当選者が「この地区の代表者となることを受諾します」とスピーチを行なっているのを映し出すテレビの選挙速報の画面が、Twitterにいくつも流れてきた。「これだから英国の政治はすばらしい」「民主主義っていいね」といった言葉をともなって。

……と書いているここの右側に示している写真は、それら「面白」候補のものだ。白いスーツに白いテンガロンハットのおっちゃんは「バカ党」の名物オヤジでもある同党党首、「ハウリング・ロード・ホープ」ことアラン・ホープ(同党創設者のスクリーミング・ロード・サッチの没後、同党党首となったのだが、元々バンド仲間だった)。そして右側の黒いかぶりものの人は「バケットヘッド卿」。宇宙のかなたからやってきたスペース・ロードで、これまでにマーガレット・サッチャー(1987年)、ジョン・メイジャー(1992年)の選挙区で立候補したことがあるそうだ。

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英総選挙、開票が進んでいます。

現地8日の午後10時(日本時間で9日の午前6時)に投票が締め切られ、即座に公表された出口調査によると:
Conservative 314
Labour 266
SNP 34
Lib Dem 14
Plaid 3
Green 1
UKIP 0
Other 18
https://twitter.com/BBCBreaking/status/872921211029909506

むろん、出口調査が正確とは限らないし、実際、しばらくの間は保守党寄りの立場の人々の間からあがる「出口調査はあてにならない。前回の総選挙でも……」といった声がTwitterでは非常に目立っていたし、実際に開票が終わった選挙区が出始めるとその数値を根拠として「保守党への票が過小評価されている」との分析がかなり多く見られたのだが、英国は全部小選挙区制だから、「全体として得票が増えても、議席数は減る」ということが普通にありうる(2015年総選挙での労働党がそうだった)。

ともあれ、解散総選挙が告知されたときには「保守党の圧勝」が予想されていたが、5月23日のマンチェスター、6月4日のロンドンと、現首相のテリーザ・メイが内相だったときに見落としていた過激派によるテロが続き、またメイがまともに討論の場に出てこようとせず、「強く、安定した政府」なるスローガンの連呼と、労働党のジェレミー・コービンに対するスミア・キャンペーンに明け暮れる中、投票日直前になって「接戦」という予想が出るようになっていた。それどころか「政権交代もありうる」という事前分析もあったほどだ。

昨年保守党の党首となったメイが「2020年(の事実上の任期切れ)まで選挙はしない」としていた方針を覆し、解散・総選挙という荒業に出た(それも「不意打ちで告知する」ようなことをして)のは、ひとえに「政権基盤の強化」が目的だった。Brexitという難行にあたるため、EU残留派の声が大きいという議会を一新しようとしたのだ。保守党の親EU派議員の重鎮ケネス・クラークは今回の総選挙には立候補せず引退することとなった。

しかし、メイ本人があまりにぐだぐだだった。「強い政府」と叫びながら、国家財政の緊縮を理由に警察官の人員削減。彼女の脳内ではそれでうまくいっていたのかもしれないが、リアル世界ではマンチェスターでは自爆攻撃、ロンドンでは二度にわたって自動車暴走による攻撃が発生し、英国人も外国人も含め数十人が尊い命を奪われた。

そういう中で行われた投票だ。

現状、大変にinterestingなことになっている。投票締め切りから3時間が経過して、いくつか結果が発表されつつあるのでここまでブログに書いたが、詳細はTwitterにて。ケンジントン&チェルシーとかパトニーとか、見所はたくさんある。
https://twitter.com/nofrills



アップデート:
実際の獲得議席数は下記の通り(やはり出口調査では保守党が過小評価されていたともいえるが、おそらく誤差の範囲内だ)。
via https://en.wikipedia.org/wiki/United_Kingdom_general_election,_2017#Results
Conservative 317 (出口調査では314)
Labour 262 (同、266)
SNP 35 (同、34)
Lib Dem 12 (同、14)
Plaid 4 (同、3)
Green 1 (同、1)
UKIP 0
Other 18

Otherってのは北アイルランド枠で、内訳は、DUPが10、Sinn Feinが7、Independent(シルヴィア・ハーモン)が1。そしてこの中から、もう "other" 扱いされなくなる党が出てきたのが今回の選挙結果だが、それは別項にて。
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2017年05月06日

極右のフリンジがメインストリームに発言の場を得ていても、もう驚くには値しない(英、元EDLのトミー・ロビンソン)

5月2日にこんなことになっていたのを、5日になってから知った。発端までさかのぼってみよう。

5月1日、ガーディアンのComment is Free (Opinion) のコーナーに、次のような記事が出た。Comment is Freeは、ガーディアンの社説(Editorial)を除いては、社員ではなく外部の書き手が書いた文章が掲載されるが、この記事を書いたのは、いわゆる「イスラム過激派」に対するカウンターの活動に重点を置いたロビー団体・シンクタンクのQuilliamでリサーチャーをしているオーストリア人フリーランスジャーナリストのJulia Ebnerという人だ。

The far right thrives on global networks. They must be fought online and off
https://www.theguardian.com/commentisfree/2017/may/01/far-right-networks-nationalists-hate-social-media-companies

Quilliam(旧称はThe Quilliam Foundation)は、19世紀にイスラム教に改宗して英国に最初のモスクを作ったウィリアム(改宗後はアブダラ)・クィリアムに因んで名づけられており、設立者はかつて実際に「過激派」の組織に属して活動していた英国人3人。「元過激派」として、過激主義に対抗する活動を行おうとこの組織を立ち上げた彼らのうちの1人がマアジド・ナワズ氏である。過激派活動に厳しいエジプトで投獄されるなどの経験をした自身のこれまでを振り返り、なぜ人は過激主義にはまるのかを考察した本を書き、テレビなどでもコメンテーターとして言葉で過激主義の浸透を食い止める活動をしている。Twitterなどソーシャル・メディアももちろん活用している。

0753540770Radical: My Journey from Islamist Extremism to a Democratic Awakening
Maajid Nawaz
WH Allen 2013-05-02

by G-Tools


そのナワズ氏のTwitterに、「トミー・ロビンソン」の名前があった。最近はもうほとんど名前を聞くこともなくなったイングランドの「反イスラム」集団(本人たちは「反イスラム過激主義」と言っていたが)、EDL (the English Defence League) の設立者のトミー・ロビンソンである(この名前は「活動家名」で本名ではないのだが、マスコミも一貫してこの名前を使っているのでそれに倣う)。

ロビンソンは2013年10月に、「組織が人種差別主義者に乗っ取られてしまった」として自分が設立したEDLを抜けているが、この離脱にはQuilliamが深く関わっている。

The turning point came when Robinson and Ansar visited the think tank Quilliam and Robinson witnessed a debate between Quilliam's director, Maajid Nawaz, and Ansar about human rights. Robinson said afterwards to the BBC: "I didn’t think a Muslim would confront Mo Ansar because I thought Mo Ansar was being built as the acceptable face of Islam; and that’s everything that I think is wrong. So when I saw this [debate between Nawaz and Ansar], and I read more about Quilliam and I looked at what Quilliam has done−they've actually brought change, which is what I want to do. I want to bring change. I want to tackle Islamist extremism, I want to tackle neo-Nazi extremism−they're opposite sides of the same coin."

https://en.wikipedia.org/wiki/Tommy_Robinson_(activist)#Leaving_the_EDL


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エディンバラ公の「死亡説」(付: ニセ情報の見分け方)

英国のエリザベス女王(先月、91歳の誕生日を迎えられた)の公務の場には、必ずエディンバラ公(もうすぐ96歳)の姿がある。ご結婚は1947年なので、今年で70年だ。ご夫妻の間に生まれた一番上の息子(チャールズ皇太子)は、68歳……ということを今回改めて確認して、改めて驚いた。

そのエディンバラ公について、日本時間で4日の昼間、ネット上で「死亡説」が流れるということがあった。発端は、英国で草木も眠る丑三つ時にバッキンガム宮殿のスタッフ全員が呼び集められたと報じられたことにあったのだが、その時間帯は英国ではほぼみんな寝ているのでいろいろと制御弁が利かなかったようで、ただでさえ細かいところがわかっていないアメリカの人々の間で「推測 speculation」が一気に「事実っぽいこと」として広まったようだ。その上、ソースを示さずに「英国のメディアによると」などとTwitterに書き込む輩も出現し、さらに王室情報専門のニュースサイト(っぽいところ)が「フランスのメディアが死亡を報じた」と、これまたソースも示さずに記事を出して(すぐに削除されたようだ)、アクセスが殺到してサイトが落ちるくらいにまでなってたそうだ。

その経緯をあとから参照できるようにまとめておいた。

エディンバラ公、公務から引退……のはずが、ネット上に「お悔やみ」とフェイク・ニュースが飛び交う事態に
https://matome.naver.jp/odai/2149390455690544501

おりしも、数日前は「世界報道デー」で、例年のごとく、報道が危機的なことになっている国へ関心を向けるよう促す記事などがTwitterにはたくさんフィードされていたが(今年はトルコがその筆頭だった……ほんの数年前まで「EU加盟」の可能性がかなり現実的だったあのトルコが、ついに)、それに加え、米大統領自ら陰謀論にはまりまくっているという考えがたい状況下にある現在の「報道(と一般の人々が思っているもの)」の抱えている問題点や、ネットで「報道(に見えるもの)」に接するときの注意点がわかりやすくまとめられたフィードもいくつかあった(後述)。

ネット、特にソーシャルメディアという「個人の意見や感想、感情の吐露」が、文脈なく、少ない文字数で流れてくる場では、誰にも何の悪意もなくても、「無根拠な情報」が「情報」としてひとり歩きすることがある。アーセナルのサポが「来シーズンこそはアーセナルがリーグ優勝するに違いない!」というつもりで、その文脈が共有されている人々だけに向けていろいろ省略して「アーセナル優勝!」と書いたものが、遠く離れたところで、イングランドのサッカーに興味はないけれど、友人が熱心なファンなのでチームの名前だけは知っているというような人の目に入って、「そういえば『アーセナル優勝』ってさっきネットで見たよ」というふうに伝言され、それが「『アーセナル優勝』だって」となっていく、というようなことはありうる。誰も「ニセ情報」をばらまくつもりがなくても、「ネットで見たよ」ってだけできわめてカジュアルな感じで「誤情報」が広まる。そこにガチで「ニセ情報」をばらまこうとするデマ屋も入ってくることがあるし、本当に実に混沌としていて、いろいろやりづらくなって、息苦しくなってきたと思う。

息苦しくなってきたんだけど、まだ、個人個人でそれを打開しようと思えば方法はある。「すべてが信じられない」わけではない。「すべてが信じられると思うわけにはいかない」だけで、「信じることができないもの(誤情報・ニセ情報と思われるもの)」をふるいにかけて取り去ることは、個人個人でできるのだ。


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2017年04月20日

(続)英テリーザ・メイ首相は、なぜ「解散総選挙」を行なうのか、それによって何がしたいのか。

1つ前のエントリの続き。

本文の前にまず、「解散総選挙」についてのまとめのようなチャンネル4ニュースの映像クリップ。


※メイ首相のスピーチの文字起こし:
http://www.telegraph.co.uk/news/2017/04/18/theresa-mays-early-general-election-speech-full/

このスピーチについては、「その目的ならArticle 50発動前にやる(英国民が納得した上でArt 50を発動する)のが筋では……」というのが私の個人的感想。あと、「野党がー」がやたらと多いので、本当の目的はここで語っていることよりむしろ、「自身の足元固め」と「野党つぶし」、「長期安定政権」だろうなと思う(Brexitは交渉だけでは終わらない。その後、軌道に乗せるところまでやらねばならない。何年ものスパンで見ていかねばならない)。

さて、メイ首相が「抵抗勢力」に退場してもらう機会を欲しているということをよりはっきりさせるもう1つの事例が、ハートルプール選挙区のイアン・ライト議員の不出馬表明である。ライト議員は保守党ではなく労働党の人だが、この選挙区で起きていることは、Brexitというものが英国の政治にとってどういうものかをわかりやすく示す一例だと思う。

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2017年04月19日

英テリーザ・メイ首相は、なぜ「解散総選挙」を行なうのか、それによって何がしたいのか。

保守党の超大物、ケン(ケネス)・クラークが、6月の選挙には出馬しないという。クラークは保守党内の「親EU」陣営の代表的な政治家で、1973年に英国がEC(現在のEU)に加わる前から下院議員を務めている。
Two of the best known names in British politics, Labour's Alan Johnson, and Conservative Ken Clarke have both said they will be retiring on 8 June. Mr Clarke is the longest serving MP at Westminster, having first been elected in 1970.

http://www.bbc.com/news/uk-politics-39631768


この「超大物の引退」のニュースが加わったことで、テリーザ・メイ首相が前言を撤回して解散総選挙に打って出た理由が、いっそうはっきり見えるようになったと思う。要するに英国会(下院)でのBrexit反対論を終了させ、「Brexitは英国を二分している」という外からの認識を「英国はBrexitで一致している」という認識に改めさせ、自身について言われる「選挙で選ばれていない首相」という事実に「選挙で選ばれた首相」という事実を上書きしたいのだ。うちら日本人に馴染み深いフレーズを使うなら「抵抗勢力」を――政界の用語の用例がすぐに見つからないので、とりあえず経済界の発言をベースにするが――「駆逐」し、これまた日本人好みの言い方をすれば「全員一丸となって」、Brexitという「難局を切り抜けようとしている」のだ。

ダウニング・ストリートで解散総選挙の方針が宣言されて24時間以内に次々と出た分析・解説系記事より:
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2017年04月18日

英テリーザ・メイ首相がこれまでの発言を翻し、解散総選挙実施へ。6月8日投票。

労働党は、本気で勝ちに行くだろうか。「この選挙で負けた責任を取る」というきれいな形でジェレミー・コービンを退陣させることができる好機として利用するのではないか。

もちろん、「勝ちに行く」だけの力があるかどうかは別問題だ。だが、労働党は、信じがたいほど内向きになっている。2015年総選挙の結果を受けてエド・ミリバンドが退陣し、その後9月の党大会で、多くは「一般党員」たちの支持によってジェレミー・コービンが党首に選ばれてからこの方、労働党(ニュー・レイバー)の上層部やPR部門はずーっと一貫して、「保守党を相手にどう戦うか」ではなく「コービン党首をいかに引きずりおろすか」に注力してきた。「コービンでは選挙に勝てない」という言説はよく流されているし、実際に労働党の議員たちが「コービンおろし」を画策して失敗したことも一度ではない。「だれそれがシャドウ・キャビネットから辞任」というニュースは、少なくとも二度、政治面の大ニュースになった。そのたびに「激震」を引き起こすはずだったのだろうが、実際にはコービンの周辺から「変なのがいなくなってより磐石になった」ような状態だ。現在のシャドウ・キャビネットの陣容には、私でも目を背けたくなる。

そして「コービンでは選挙に勝てない」と大手新聞(ガーディアンのような)に発言の場を持っている特権的な立場の人が発言するたびに、特権などカケラも持っていない一般人がTwitterで「このクソ・ブレアライトが!」と叫ぶ。それが何度も繰り返され、そのうちにどんどん過熱して、労働党支持者が労働党支持者に対して「ブレアライトめ!」というレッテルを貼って回るのが常態化し、実に非生産的で醜悪な光景が展開されるようになったのは、軽く1年以上前のことだ。2016年6月のEUレファレンダムは、そういう空気の中で、イングランドの夏を祝う季節の始まりを告げるグラストンベリー・フェスの初日(木曜日)に行なわれた。

元々、投票前の報道などで「離脱という結論になることはまずない」と言われ続け、投票するために必要な登録をするまでもないかということで棄権した人も多かったと思われるが、コービン率いる労働党は、「EU残留」を看板に掲げながらも、気の抜けたようなキャンペーンをするに留まった。

元々EUレファレンダムは、「EU離脱」派は「変化」だの「取り戻せ」だの、ポジティヴな響きのする言葉を並べて明るいヴィジョンを提供することができた一方で(もちろん「移民制限」というどす黒い思想もあったが、それすら、2016年の英国では以前ほどどす黒くは聞こえないものになっていたようだ)、「EU残留」派は現状維持を訴えるだけで、分が悪かった。ほっといても維持されるであろう現状のために、だれが尽力しようと思うだろう。

そういう事情ももちろんあるのだが、コービンの場合、そういうのとはちょっと違っているとみるべきだろう。「EU離脱」でキャンペーンを展開したのは、ニュースになるのはUKIPのような右翼陣営の離脱派がほとんどだったが、左翼陣営にも離脱派はいた。というか元々「反グローバリズム」は(UKIPやドナルド・トランプのような人たちとはまったくかけ離れた)左翼陣営で盛んに主張されてきたことで、EUについても「反グローバリズム、反キャピタリズム」(「反キャピタリズム」は「富を独占し、悪いことをしてもお咎めなしで銀行家だけがおいしい思いをするのはおかしい」というような考え。必ずしも共産主義ではない)の考えから「よくないもの」、「打破すべきもの」とする主張がある。コービンの立場は元々その立場で、あの人は労働党党首になってなどいなかったら、2016年6月のEUレファレンダムでは左翼の側の「離脱」陣営に立っていたことは確実だ。

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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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