kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2017年10月14日

Twitter、暴言・嫌がらせ対策強化&サスペンド(凍結)についてより透明性が確保されていく方向で動くかも?

DL_VeDEV4AAc_5x.jpg13日、「今日はTwitterボイコットだ」というハッシュタグが流行り、14日、TwitterのCEOであるジャック・ドーシーが反応したということが、早くもIT Mediaの記事になっている。13日のボイコットは女性たちが主導したもので(賛同した男性たちも多い)、長い話を短くすれば、Twitterのダブル・スタンダード(だとユーザーには見えるもの)についての抗議行動。14日のジャックの反応は、その点についての取り組みを行っていくとする見解の表明。

こういう流れを短期間でオープンな場に生じさせた #WomenBoycottTwitter のハッシュタグについて、少し見てみたので、以下はその記録。ベースにあるのは今月に入ってから米芸能界(映画界)をがんがん揺さぶっているあの「大物のセクハラ・強要」のニュースだ。

10月上旬、米映画界の大物が、自分が大物であることを利用して、映画界を職場とする女性たちに「ひとりの男」というか「一匹のオス」として迫りまくっていたということが暴露された。すぐに、その大物が仕事をクビになったことがニュースになった。それから1週間の間に、何が起きたのかに関して非常に下品で下世話なディテール(日本語圏でニュース的な要素のある記事になっているものには含まれていないような下品で下世話なディテール)に、ネット上を歩いていれば犬が棒に当たるレベルで遭遇してしまうような状況になっている。

何があったのかというとこういうことだ。
「英国王のスピーチ」や「恋に落ちたシェイクスピア」など数々のヒット映画を手がけてきたハリウッドの超有名プロデューサーが、何十年にもわたって女優やスタッフに性的嫌がらせをしてきたことが明らかになり、大きな波紋を呼んでいる。

問題になっているのは、映画会社「ミラマックス」を設立したプロデューサーのハーヴェイ・ワインスタイン。

……

ワインスタインのターゲットになった人たちのほとんどは、若い女優や映画業界で仕事が欲しい人など、弱い立場にある人たちだった。

被害にあった女性のひとりは「私は28歳。生活費をかせぎ、キャリアを築こうとしていた。ハーヴィー・ワインスタインは(当時)64歳。世界的に有名な男であり、私は彼の会社で働いていた。パワーバランスは私が0、ハーヴィー・ワインスタインは10だった」と綴っている

--- 全米が怒っている。ハリウッド大物プロデューサーが女優たちにセクハラをしていた。アンジェリーナ・ジョリーも被害に。
2017年10月11日
http://www.huffingtonpost.jp/2017/10/11/harvey-weinstein_a_23239499/


この「大物プロデューサーのセクハラ」が世界的なニュースになっているのは、上に引用したハフポJPの記事見出しにあるとおり、最初にメディア(NYT)が報じて数日後には世界的な大スターたちが被害を告白するようになっていたからだが、最初期に被害にあったことが明らかになっていたのはアンジェリーナ・ジョリーやグウィネス・パルトロウのような大スターたちではなかった。

10月5日付のNYT記事には何人かの被害者の実名が出ているが、その中で、今からさかのぼること20年前の1997年にワインスタインの性犯罪行為の被害者となり、和解に応じた女優として名前が挙がっているのが、当時23歳だったRose McGowan(ローズ・マッゴーワン、ローズ・マクガワンなどカナ表記は複数ある)だ。

彼女は米国では『スクリーム』など数多くの映画・テレビ作品に出演しており、決して「無名女優」ではないが、アンジーのような、世界的にだれもが顔と名前が一致するような大スターではない。個人的にホラー映画見ないし、アメリカの映画・テレビドラマには疎いので私の感覚は当てにならないのだが、この人どんな女優だっけとウィキペディアを確認して、ああ、あの人かとわかったのは、Fifty Dead Men Walking(邦題は『インファナル・ミッション』)という実在のIRA潜入スパイの手記をかなりがっさりと映画化した作品に出演したときに「もし自分がベルファストで育っていたら、確実にIRAに入ってたと思う」と発言して物議をかもしたということを読んだときだ(その発言自体、何も物議をかもすようなものではないと個人的には思う。そのくらい北アイルランドの状況はひどく、IRAのプロパガンダは強力だったのだし)。あと、昔マリリン・マンソンと婚約してたことがあるとかいうのも聞いたことがあるような気はする。

そのくらいうっすらとしか知らなくても、23歳という若さで力関係を前提にした性暴力の被害にあい、法的には和解という道をとった(というより、とるよりなかったのだろう)ということだけ把握できれば、ワインスタインの件についての記事は読める。

In 1997, Mr. Weinstein reached a previously undisclosed settlement with Rose McGowan, then a 23-year-old-actress, after an episode in a hotel room during the Sundance Film Festival. The $100,000 settlement was “not to be construed as an admission” by Mr. Weinstein, but intended to “avoid litigation and buy peace,” according to the legal document, which was reviewed by The Times. Ms. McGowan had just appeared in the slasher film “Scream” and would later star in the television show “Charmed.” She declined to comment.

https://www.nytimes.com/2017/10/05/us/harvey-weinstein-harassment-allegations.html?smid=tw-nytimes&smtyp=cur


このように、10月5日に(たぶん)最初にNYTが報道したときはノーコメントだったローズ・マッゴーワンだが、ウィキペディアにまとめられていることによると、10月10日にはハーヴェイ・ワインスタインの不適切な行為を受けたことを認める発言を行った。その際、俳優としては大スターでプロデューサーや監督でもあるベン・アフレックが「ワインスタインがそんなことをしていたとは知らなかった」的な発言をしていることについて「嘘つき」と批判した。そのことについてウィキペディアがソースとして掲示しているのが10日付のNYT記事だ。
Ms. McGowan, in a tweet and a subsequent email exchange with The New York Times on Tuesday night, said she had told Mr. Affleck that Mr. Weinstein had behaved inappropriately with her.

Mr. Affleck, who rose to stardom with help from Mr. Weinstein on the 1997 film “Good Will Hunting,” had said earlier Tuesday that he was “angry” over Mr. Weinstein’s alleged abuse of women, but he gave no indication of whether he knew about it. “I find myself asking what I can do to make sure this doesn’t happen to others,” Mr. Affleck said in a statement.

Hours later, Ms. McGowan addressed the tweet to Mr. Affleck accusing him of omitting information in his statement. She quotes him telling her that Mr. Weinstein had mistreated other women.





ベン・アフレックは芸能ゴシップ記者&メディアの3時のおやつみたいな存在だから、こんな発言をTwitterでしたローズ・マッゴーワンもいっしょにおやつのお皿に乗っかることになった。しかし、私がお茶飲みながら見ている画面に彼女のことが流れてくるにはまだいくつものステップが必要だった……(続く)

いや、続かない。いくら私が怠惰でも、こんなことをだらだら引っ張って書きはしない。

私が見ている画面にローズ・マッゴーワンのことを流してきたのは、14日(土)のTwitter UKのTrendsに入っていた(残っていた)ひとつのハッシュタグだった。「女性たちがTwitterをボイコット」というハッシュタグだ。

何かがあったときの抗議の意思表示として、ハッシュタグで宣言した上でTwitterをボイコットする(その日一日はツイートしない)ということは、これまで何度か、いや、何度もあった。だが、それがTwitter運営の耳に届いたということは、ほとんどなかったんじゃないかと思う(全然なかったわけではないと思うが)。しかし今回は@jackが反応している。


それを見たときに何があったのだろうと思い(そのときは、ワインスタインの件に関するものだとは思っていなかった)、BBC Worldのフィードがあったのでとりあえずそのページにアクセスしてみたわけだ。


フィード元はBBC Newsだが、見てみたら記事はBBC Trending(ブログ)だった。つまり取材なんかしてないかもしれない(Trendingでもまれに取材して書かれた記事があるのだが、たいがいは「ネットで話題」系、「まとめサイト」レベルの記事だ)……と思った通りの内容だ。わかるのは、ローズ・マッゴーワンのアカウントがサスペンドされたことに対する抗議のハッシュタグが盛り上がっている、ということだけ。なぜ彼女のアカウントがサスペンドされたのかは、この記事だけではわからない(が、リンク先に飛べばわかるようにはなっている)。





このBBC Trendingの記事の書き出し部分に、"Many women have declared they will boycott Twitter on Friday, in solidarity with Rose McGowan, whose account was temporarily suspended." とあるのだが、そこからリンクされているのが下記の過去記事だ。(BBCのNewsbeatというのはヤングアダルト層向けの軽めな文化・芸能面みたいな感じのコーナー。)

Rose McGowan, one of Harvey Weinstein's accusers, has account limited by Twitter
http://www.bbc.co.uk/newsbeat/article/41594165/rose-mcgowan-one-of-harvey-weinsteins-accusers-has-account-limited-by-twitter

この記事によると、ローズ・マッゴーワンのアカウントがサスペンドされたのは、彼女がTwitterという場でベン・アフレックへの非難やら「女性たちよ、立ち上がろう!」、「私は負けない!」といった発言を連投していたときのことだ(→一応、彼女のツイートをアーカイヴしてある)。サスペンドされた彼女は、別の発言の場(インスタグラム)を使って「Twitterアカウントがサスペンドされた」と告知し、「強大な力が動いている。私の代わりに声を上げてほしい」と、「ローズアーミー(ローズの味方の軍団)」へ呼びかけている。

TWITTER HAS SUSPENDED ME. THERE ARE POWERFUL FORCES AT WORK. BE MY VOICE. #ROSEARMY #whywomendontreport

A post shared by Rose McGowan (@rosemcgowan) on



彼女のこの呼びかけに、「ハリウッドの体制を批判したからアカウントがサスペンドされた(黙らされた)と思われる/のではないか」といった陰謀論(そもそも彼女自身の発言がそういう内容なのだが)が起こったようだが、実際には、彼女のツイートに個人の電話番号が含まれているものがあったことが原因だとTwitterは説明している――っていうか、珍しくも、Twitterが個別の事例についてはっきりコメントしているのか!(Twitterはふだん、「個別の事例についてはコメントしない」という方針を徹底している。サスペンドされた当事者にどのツイートが規約に抵触しているのかを伝えることもあるようだが、何も伝えられず単に「規約違反です」とだけ言われて停止される人もいる。)





だが、これで「なーんだ」と納得できるような話では、もちろんなかった。上記@TwitterSafetyの投稿には次のようなリプライが寄せられている。「銃の写真を添えて他人の住所を投稿している人のアカウントは凍結されないし、ジューイッシュのユーザーをオーヴンがどうたらという暴言で脅す連中も凍結されていない。戦争をほのめかし、合衆国憲法修正第一条を否定するような姿勢を見せ、自分が人々を襲ったり、民間人を標的にしたりするGIFを投稿しているトランプも凍結されていない。いやがらせをされる側の人が、いやがらせをする側の人たちによって大量に通報され、いやがらせをされる側の人がサスペンドされ、する側はお咎めなし。(規約に抵触してもニュースヴァリューがある場合は例外とされているが)ローズ・マッゴーワンのツイートはニュースとしての価値が十分ではないということか? 笑える風刺などではないということか?」





「トランプはTwitterという場を使って、いやがらせをし、名誉を傷つけ、差別し、核戦争の煽動になりうるようなことまでしているというのに、1件の電話番号でこれか。性暴力に対して声を上げたことでひとりの女性を黙らせようとしているが、一方でナチや白人優越主義者たちは発言の結果の責任を負うこともなく野放しだ」」



ローズがRTしていたのがこれ。「トランプがリンゼイ・グレイアムの電話番号をツイートしたときはサスペンドにならなかったのに」


……などなど、もう、熱量が高くてついていくのが大変なくらいだ。集団熱狂の状態――その「集団」がどのくらいの規模なのか(数人か、数十人か、数百人か、あるいは数千・数万の単位なのか)は私にはわからないが、とにかく集団的な熱狂が生じている。元が力関係を前提にした(性的搾取というより)性犯罪行為という(きわめて卑劣だが、あまりにもありふれた)トピックだけに、発火したら止まらずにどんどん火が大きくなる感じ。

こうして始まったのが、#WomenBoycottTwitter のハッシュタグで、「10月13日は女性たちはTwitterをボイコットする日だ」というキャンペーン。女性たちばかりでなく多くの男性たちも賛同し、13日はTwitter上では沈黙していたようだ(なお、私はそれとはまったく関係なく、単に忙しくて13日はツイートしていなかった)。

こういう「ユーザーたちのオンライン・デモ(←なつかしい表現)」があっても、運営側は少なくとも目で見えるところではスルーするのが常だが、今回は@jackが反応しているというのが珍しい。


以下、個別に貼り付ける手間を省くため、Twilog.org経由でソースを取得して@jackの連ツイを貼り付けると:

1/ We see voices being silenced on Twitter every day. We’ve been working to counteract this for the past 2 years.
posted at 11:35:50


2/ We prioritized this in 2016. We updated our policies and increased the size of our teams. It wasn’t enough.
posted at 11:35:51


3/ In 2017 we made it our top priority and made a lot of progress.
posted at 11:35:51


4/ Today we saw voices silencing themselves and voices speaking out because we’re *still* not doing enough.
posted at 11:35:51


5/ We’ve been working intensely over the past few months and focused today on making some critical decisions.
posted at 11:35:52


6/ We decided to take a more aggressive stance in our rules and how we enforce them.
posted at 11:35:52


7/ New rules around: unwanted sexual advances, non-consensual nudity, hate symbols, violent groups, and tweets that glorifies violence.
posted at 11:35:52


8/ These changes will start rolling out in the next few weeks. More to share next week.
posted at 11:35:52



@jackのこの反応についても、「言論の自由」に関する活動をしているJillian C Yorkのような人たちから厳しい反応が寄せられ、(まともな)議論になっている。
















……このあとまだ話は続いているのだが、この件は近々ジリアンのブログなどで詳しいことが書かれるかもしれない。

Business Insideの記者ともやり取りがある。最初のほうは割愛するが、最後はこう。




というわけで、Twitterでのアカウントのサスペンド(凍結)といったことについては、より透明性が確保されていく方向で動いていくような気がする。それがいつ実現されるかはわからないけれど(@jackは下記のように「個別に対応するのではなく、システムとしてやれるようにしたい」と言っていて、それは決して簡単なことではない)。



この話を始めると、そもそもなぜリチャード・スペンサーなんかにverifyのマークを与えたのかということになる。それに、もとよりverificationの過程は、@jackが信じているほど完璧にシステマティックなものにはなりえないだろう。それこそ、アルゴリズムは純粋な数学ではまったくなく、その中には思想が組み込まれているという問題そのものなのではないかと。

さて、こうして盛り上がった #WomenBoycottTwitter のハッシュタグ。これが反フェミニズム陣営(メニズム陣営)に延焼してそちらからのバックラッシュがあるということは容易に想定されるのだが、実際にそうなっている(声を上げた人たちを悪魔化し、攻撃するということは、何についても起きる)。キャンペーンに賛同した芸能人たちが自分に寄せられた暴言をさらしているツイートより。



Twitterでこれまで野放しにされてきた女性たちへの暴言や脅し(その言葉を誰かへのメンションと一緒に具体的に書くと日本語圏Twitterではアカウント凍結の危険があるという報告もあるのだが)のスクショでの投稿はほかにもあるだろうが、芸能人の女性は単に目立っているという理由で日々クソのような暴言を投げつけられているわけで、ローズ・マッゴーワンの発言とアカウントのサスペンドという事態で「実際に私んとこにこういうの来てるんだけど、こいつらが野放しでローズがサスペンドってどういうこと?」という形で感情が噴出していること、そしておそらくそれに応じて暴言主からさらに激しい感情が噴出しているのであろうことは、不思議でもなんでもない。(日本だったら芸能人の発言はまず事務所がどうたらこうたらという話になって、こういうことは起きないのだろうけど。)

が、私がハッシュタグをチェックしたときに「バックラッシュだぁぁぁぁ」という騒ぎめいたことになっていたのは、別の方向のものだった。上にリンクしたBBC Trendingの記事の最後にもちょろっと言及されているが、こういうもの。

#WomenBoycottTwitter: an all-day protest inspires backlash from women of color
Support for actress Rose McGowan and other abuse victims quickly evolved into a reminder that #solidarityisforwhitewomen.
https://www.vox.com/culture/2017/10/13/16468708/womenboycotttwitter-protest-backlash-women-of-color


正直、ワインスタインの性犯罪のことから、どうしてここまで話がずれてしまったのか、よくわからない……とか書いてしまうとまた「この差別を自覚せぬ差別主義者がー」とかいって噛み付いてくる人がいるかもしれないので、少し丁寧に説明してみよう。

これは「10人いれば10の視点がある」というシンプルな、同時に大変に扱いの難しいことを言っているだけのように私には思える。その上で目に見える「連帯」が広がるか広がらないかは、それを広げようとする人がどのくらいいるか、どのくらい強力かによるだろう。そして、Twitter社(だけじゃないけど)はその難しい扱いを自動化する(機械化する、システムで処理する)ということをやろうとしていて、現在はその模索の過程にある。ボイコット運動はそのTwitterをある意味せっついてやろうというもので、それ自体は性別、人種などにかかわりなく〈差別される側、暴言を投げつけられる側〉を強化していくための動きだ。しかし、それでは汲み取れないものもあるし、別のナラティヴを語っている人々からは別のように見える。そういうことではないかと。

また、ローズはユーザーから脅されたことで共感を得て味方がついてボイコット運動の核になったわけではない。彼女は自分に起きたことを語っているうちに筆が滑って個人の電話番号を記載してしまい(そのツイートを削除してサスペンドは解除されている)、Twitterから「規約違反」としてサスペンドされた。このボイコット運動はTwitterがサスペンドを決定した背景がわかってないときに広まったもので、そのような「サスペンド」という方針についての疑問(「発言している者を黙らせている」という疑念)を表明するものだ。それがある程度の規模に膨れ上がったのは、決して「困っている白人のお姫様が座っているだけで正義の味方が駆けつけてくれた」的な状況ではない。「Twitterによるサスペンド」という事態、「発言権を奪われる」という事態に関する危機感が、共有されているということだ。同時に、本来サスペンドをくらってもおかしくないヘイトスピーチの主(ネオナチ、テロリストを含む)が野放しという現実は放置されたままだし、それどころか「認証アカウント」となって暴言・ヘイトスピーチを吐き散らかしているものすらある。

それに、ローズ・マッゴーワンをはじめとする被害者たちが今回声を上げたときに対峙しなければならなかったのは、何よりも、下記のような「(アメリカ社会の中心にいる)白人の」男の価値観だ。「白人の」女を搾取しようと待ち構える「白人の」男を責める前に、女の側に責めるべき点を見つけ出そうとする人々の価値観だ。そこに有色人種がいなかったのは「差別」ゆえか? 単にワインスタインが白人の女に手を出していたということだろうし、その場合「差別」していたのはワインスタインだ。ローズやその支援者ではない。

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このKurt Schlichterという人の言っているようなことは、英国でジミー・サヴィルの性犯罪が明らかにされたときにも外野によって言われていた。「そのときにいえばいいのに」。「なぜいまさら」。最後のきれいごと(「性犯罪だからって何も大騒ぎしなくてもよいような世の中になるといいですね」)もありがちな言い抜け。

まったく、「あるある」すぎて笑えると同時に、全然笑えない。

……という(Twitter的には)大きな動きを引き起こした10月5日のNYTの記事、公開されたときの編集部はこういうふうだったそうだ。



The truth is hard.

ジューイッシュでリベラル、民主党大口献金者のロバート・ワインスタインの件は、ジューイッシュでリベラルな人々を多くの顧客として抱えるNYTという新聞にとっては、なかなか報じづらいことだっただろう。アカデミー賞を取った映画『スポットライト』で、ボストン・グローブ紙にとってカトリック教会における子供に対する性犯罪の報道がいかに難しかったかがわりとさらっと描かれていたが(あの映画は映画というより2時間ドラマ的でわかりやすかった)、同様の問題があったのではなかろうかと思う。

なお、ワインスタインの件が明らかになったとき、ツイッターランドで一番大騒ぎしていたのは、「ヒラリーが大嫌いな保守派や自称・保守」だった。もう死んだ敵は何度刺してもそれ以上死なないというのに、相変わらずヒラリーヒラリーと写真つきで騒いでいる人を見て、ヒラリーがいなければ生きていけないのだろうかとすら思った。ていうか、ワインスタインが下劣なことは確かにそうなのだが、あんたたちがかついでいるトランプは……ってね。

そういうふうになってるツイッターランドには、どこにも理性的なものが見あたらない。

それを「システムで」何とかしようというんだから、@jackはじめ中の人たちは大変だと思う。

ていうか、「システムで」何とかできそうなこのスパム、何とかしてくれないのかな。もう2〜3年くらい前からあるんだけど。

※この記事は

2017年10月14日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 21:30 | i dont think im a pacifist/words at war | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする





【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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