kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2017年08月21日

【訃報】リズ・マッキーン(ジミー・サヴィルの性犯罪について、BBCで調査報道を行なった記者)

「ジミー・サヴィル Jimmy Savile」という名は、現在、日本語圏ではどのくらい記憶されているだろうか。

1926年に生まれ、2011年に没したサヴィルは、1960年代から2000年代にかけて、BBCテレビの音楽番組や子供番組の司会者として活躍した国民的なTVパーソナリティだった(テレビのほか、ラジオの仕事もある)。1971年にOBE, 1990年にナイト爵という栄誉に輝いてもいる。

誰も文句の付けようのない名士にしてスターだったはずのこの著名人が、その立場を利用して多くの年少者を傷つけた汚らわしい性犯罪者だったことが公になったのは、本人が死んでから1年になろうとするころだった。

2012年10月10日 「お茶の間の人気者」で「名士」だった人物の公然の秘密は、あまりにおぞましいものだった。
http://nofrills.seesaa.net/article/296724178.html

実際には、サヴィルがセクシャル・プレデターだったことは、業界では公然の秘密だったという。それを、サヴィルは人格者であると思い込んでいる世間一般に知らしめたのは、2012年のITVの番組と、BBCの調査報道だった。

この「BBCの調査報道」は、局内ですさまじい抵抗を引き起こしていた。

「疑惑」が公になったあと、BBCはしばらく、「ことを荒立てない方向」で何とかしようとしていたようだ。自局の調査報道の看板番組、Newsnightではサヴィルの件は放送しないと決定したりしていた。しかし、事の深刻さゆえ、その方針は1週間もしないうちに撤回され、もう一つの看板番組であるPanoramaでサヴィルの件を扱うことにしたという。
http://www.guardian.co.uk/media/2012/oct/09/jimmy-savile-bbc-sex-abuse-allegations

http://nofrills.seesaa.net/article/296724178.html


BBC - The Editors: Jimmy Savile and Newsnight: A correction http://bbc.in/VjeB4l サヴィルの疑惑についてNewsnightで放映しないことにした件でのディレクターの説明が不正確なものであったという声明

https://twitter.com/nofrills/status/260330536831176704


ジミー・サヴィルの真の顔を調査し、その報道によって英国の人々に衝撃を与え、その後、「ギョーカイ」ではびこってきた同様の卑劣な性犯罪を刑事事件化する道を拓いたBBCの記者とディレクターは、「勇気あるジャーナリスト」として同僚から尊敬され、「重要な仕事をした社員」として上司から評価されて当然だった。「さすがBBC、身内にも遠慮せず、すごい報道をする」といった外部の賞賛の声が当時あったが、それはそのような尊敬や評価があって当然という思い込みとセットだった。

だがそのような思い込みは、実際には「思い込み」に過ぎなかった。ジミー・サヴィルの「公然の秘密」を調査し裏取りして番組にしたジャーナリストたちは社内で干され、その調査報道には上層部からの妨害があったことが大きく報じられたのは、2015年夏のことだった。調査報道班のプロデューサーはBBCをクビになり、記者は自発的にBBCを辞めざるをえなくなった。閑職に追いやられた者もいた。

そのような経緯でフリーランスとなった記者は、この年代のジャーナリストの多くと同じように、北アイルランド紛争関連の取材を経験していた。複雑で微妙な武力紛争のなかの取材を重ねて実績を作ってきた有能な記者だ。彼女を追い出すBBCって……とドン引きするのが普通の反応だろうが、そんな反応などものともしないのがBBCなのかもしれない。

ともあれ、その記者、リズ・マッキーンの名前が、18日(金)に久々にBBCのサイトに出ていた。死亡を告知する記事だった。

サヴィルの性犯罪を暴いたリズ・マッキーンは、52歳の若さで急死した。死因は脳卒中(脳血管の病気は本当に怖い。私の周囲にも、20代で朝起きてこないので家族が見に行ったら……といった事例がある)。

Ex-BBC reporter Liz MacKean dies after stroke
http://www.bbc.com/news/uk-40981585

Ex-BBC News correspondent Liz MacKean has died after suffering a stroke.

MacKean, 52, worked for the corporation for more than 20 years but left in 2013 amid a row over the decision to shelve her investigation for Newsnight about disgraced DJ Jimmy Savile.

She began her career at BBC Hereford and Worcester, before presenting on Breakfast and reporting from Northern Ireland and Scotland.

MacKean went on to work on Channel 4's Dispatches programme.

BBC director of news James Harding paid tribute to MacKean, saying she had earned a reputation as a "remarkably tenacious and resourceful reporter".

"In Northern Ireland, she won the trust of all sides and produced some of the most insightful and hard-hitting reporting of the conflict," he said.

"It was as an investigative reporter that she really shone, shining a light on issues from the dumping of toxic waste off the African coast to Jimmy Savile, the story for which she is probably best known."

...


以下、Twitterの貼り付け。





サヴィル報道のときのプロデューサー、マリオン・ジョーンズさん:


BBC Newsnightのエディター、イアン・カッツさん(元ガーディアン副編集長):

※スレッド参照。ただサヴィルについての報道のときは、カッツさんはまだガーディアンにいたんじゃなかったかと……。

元Newsnight→フリーランスと、同じような道をたどったポール・メイソンさん:


デイリー・テレグラフのクリストファー・ホープさん:


BBC Northern Irelandのマーク・シンプソンさん:


リズ・マッキーンは「サヴィルの悪行を明るみに出した」だけではない。あの「トラフィギュラ社の産廃不法投棄」も暴いている。






北アイルランドのご意見番、アレックス・ケーンさん:


「おもしろい人」としての彼女を、私はもちろん知らない。知ることができなかったのが残念だと思う。





訃報を受けて、BBC Newsnightがまとめた映像。「常に被害者の側、話をしても信用してもらえない側に立った」。北アイルランドの報道では、ロバート・マッカートニーさん殺害事件の報道の映像が使われている(あの事件、あの報道、あのご遺族たちは、歴史のコースを変えましたよね)。ジミー・サヴィルの悪行を暴いた次は政界での同様の卑劣な犯罪を報じた(チャンネル4の調査報道番組Dispatchesで、LDの政治家シリル・スミス――2010年没――について)。



彼女の配偶者は女性で、2人の子供を残していったという。

Ch4では、ロシアの反ゲイ活動についての調査報道もしている。Pink NewsのObitで取り上げられてる。
http://www.pinknews.co.uk/2017/08/19/journalist-behind-groundbreaking-gay-russian-documentary-liz-mackean-dies/

Belfast Telegraphでは、なぜか「妻」という言葉を使っていない(「パートナー」と書いてる)。
http://www.belfasttelegraph.co.uk/news/northern-ireland/tributes-flow-after-death-of-journalist-liz-mackean-36047560.html

ガーディアンのオビチュアリ by David Grossman:
https://www.theguardian.com/media/2017/aug/20/liz-mackean-obituary
Liz MacKean, who has died aged 52 after a stroke, was that rarest of creatures in the world of broadcast news. In an industry full of egos and elbows, Liz was a campaigning journalist without even the smallest measure of sanctimony or self-regard. It was the victims who were always given the limelight in her work. It was their cause, not her career, that was paramount. Indeed, she sometimes pursued her targets at great cost to her career.

...

I first met Liz in the early 1990s when she arrived in the newsroom of BBC Radio Solent. She was so full of competence and confidence we were all in awe of her. For a journalist she had a skill worth more than any qualification – people wanted to tell her things. Her innate curiosity and personal warmth found stories and, just as easily, devoted friends.


この世界から、こういう人が1人減ってしまったことが、今週はすごくこたえる。

当ブログは、いったいいくつ、この人の関わった報道を見てきただろうか。

さようなら。ありがとう。さようなら。

常にそこで活動しているのが当たり前のジャーナリストだと思っていた。

※この記事は

2017年08月21日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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▼当ブログで参照・言及するなどした書籍・映画などから▼