kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2017年01月30日

北アイルランド紛争について、英国政府が「過去の書き換えは許さない」と語るとき

こういろいろあると、「せめて記録だけは」とかいうことすら、やる気がなくなってくる。ブログに書くべきだと考え、書こうとしたことがあっても、下書きにもならないうちに気持ちが薄まっていく。1週間もすればそういうのが自分の中で落ち着いて、沈殿物のようなものが残るから、それを書けばいいと思ってはいたが、1週間(いや、実際には1週間以上)まったく途切れなく次々と「すさまじいこと」が起こり続けているので、対応しきれない。結果、ときどきTwitterで断片的な発言だけする、ということになっている。特に英国のテリーザ・メイ首相という人がどういう政治家なのかは、日本語圏では全然踏まえられていないので、1箇所にまとまった文章を書いておくとよいだろうとは思っているのだが……(日本語圏はナントカの一つ覚えみたいに「過激派対穏健派」の図式に固執していて、メイについても「レファレンダム前にはEU残留派だったので、穏健派だろう」と思い込まれているようだ。まったくばかばかしい。内務大臣として彼女がどういうことをしてきたか、在英日本人、特に英国人と結婚して英国で暮らすことになったspouseの人たちに聞いてみるといい)。

さて、そんな中でも唯一、ある程度は書いているのが北アイルランド関連だ。といっても、マーティン・マクギネスの政界引退というドでかい話題があったから書いているのであり、それがなかったらどうだったか、わからないが。

そして本日(29日)のニュース。ガーディアン/オブザーヴァー(ガーディアンの日曜)のインターナショナル版のトップページで、久々にNorthern Irelandの文字を見たと思ったら、こんな話だ。

Troubles inquiry focusing too much on police and army, says James Brokenshire
https://www.theguardian.com/uk-news/2017/jan/29/troubles-inquiry-focusing-too-much-on-police-and-army-says-james-brokenshire


記事自体はPress Association(通信社)の配信記事で、これを「インターナショナル版のトップページ」に持ってくる編集判断は、なかなかすごいと思う。

guardian29jan2017b-min.png

※画像クリックで原寸表示。なお、キャプチャ取得時になぜかまたガーディアンのフォントが読み込まれない症状が再発しているのでフォントがおかしい。また、キャプチャ取得のソフトウェアの動作の具合によって、一部つぶれている部分がある(上段のトランプ政権に関するニュースの部分)。

この記事は、英国政府のジェイムズ・ブロークンシャーNI大臣がサンデー・テレグラフに寄稿したものを抜粋し、その背景を簡単に解説するもの。1〜2分もあれば読める分量だ。

一部抜粋。ほんとはGFAがどうのこうのということを書くべきなのだろうが、その体力がない。もう疲れたよ。「こういうときは "disproportionate" という単語も抵抗なく使われるんだな」(イスラエルによるガザ爆撃などは、誰がどう見てもdisproportionateなのに、その単語を使うと「偏っている」と指弾される)という、他人にとってはどうでもいいようなことくらいしか言葉にならない。

The Northern Ireland secretary has said investigations into killings during the Troubles are “disproportionately” focusing on members of the police and army.

...

The Police Service of Northern Ireland’s legacy investigation branch is investigating more than 3,200 killings in the province between 1969 and 2004.

Numerous former soldiers are facing prosecution for killings, including Dennis Hutchings, 75, from Cornwall, who has been charged with the attempted murder of a man with learning difficulties in 1974.

https://www.theguardian.com/uk-news/2017/jan/29/troubles-inquiry-focusing-too-much-on-police-and-army-says-james-brokenshire


一応、サンデー・テレグラフの文章そのもののリンク:
We must not allow the past to be rewritten in Northern Ireland
http://www.telegraph.co.uk/news/2017/01/28/must-not-allow-past-rewritten-northern-ireland/
※「プレミアム」コンテントなので、閲覧は要登録(1週間に1本は無料で読める)。

メイ首相とブロークンシャー大臣が月曜、ダブリン(アイルランド共和国政府)を訪問するのを前に、Brexitとアイルランド(コモン・トラベル・エリア)のことについての記述で始まる文章で、まあ、こりゃ全文読まにゃならんかもだ、という印象だが、今はとてもだるい。Brexitの話で始め、the Troublesと呼ばれた「過去」における、英国の治安当局が加害者となった出来事(英国政府が直視すべき「国家による暴力」、「白色テロ」)に対する法的な追究は、「バランスの欠けたもの disproportionate」だと主張する方向に展開し、着地点が(見出し・標題にある通り)「過去の書き換えを許さない」ということであるような文章は(英国、というか英国のエスタブリッシュメントは「歴史は勝者が書く」ということを完全に内面化しきっているということ、こないだ書いたよね。あるいは書くだけ書いてアップしていないかもしれないが、過去ログをあさって確認する体力もない)、こういうふうにだるいときに読めるシロモノではない。私にはあの人たちのそういうロジックについていく体力がない。Slugger O'Tooleでも見れば、あるいはTwitter上の論理的なユニオニストの人々の発言でも見れば、適切なガイダンスが提供されているかもしれないが、いずれにせよ無理は無理だ。

ところでガーディアン/オブザーヴァーの記事の下部、機械的に抽出されて提示される「関連する記事」のコーナー。ブロークンシャー大臣のブロークンなロジックである可能性が高い発言はとても読める気がしないが、ここにある記事群は、寝て起きてお茶でも飲めば読めるだろう。

https://www.theguardian.com/uk-news/2017/jan/29/troubles-inquiry-focusing-too-much-on-police-and-army-says-james-brokenshire

Troubles inquiry focusing too much on police and army, says James Brokenshire | UK news | The Guardian via kwout


※このキャプチャ画像はクリッカブル。
読みたい記事があれば見出しクリックで記事に飛べます。


あ、ひとつ注意点。このキャプチャ画像内、左上の「IRAの停戦後何年も、英軍はシン・フェインをスパイしていたと兵士が主張」という記事についている写真は、「IRA(つまりProvisional IRA)」のものではなく「Real IRA」のもの。「IRA」と「Real IRA」は敵対関係にあるので一緒にしないようご注意ください。なお、記事にはIRAというかシン・フェインもReal IRAも、両方出てきます。Real IRAについて英国政府機関(情報部)がどこまで、何を知っていたのかっていうのは、「30年(20年)ルール」の期限を迎えてもたぶん「国家安全保障にかかわる問題である」という理由で開示されないんじゃないかな……。

「過去の書き換え」ねえ。何をしたら「書き換え」ることになるんだろうね。

「あれは "戦争" だった」というIRAの認識を認めることか。

英軍兵士が、北アイルランドの非武装の民間人(「カトリック」)を(多くの場合は面白半分で)銃撃したことを認めることか。それが「違法行為」であったことを司法の場で問うことか。

Unlawful killingは、いつ、どのような状況で、正式に "unlawful" と認められるのか。

「そのころは紛争が本当にひどくて……デリーはno-go area(ナショナリストのコミュニティがバリケードを築いて、英軍・警察が入ってこられないようにしていた地域。その中で「警察」としてロイヤリストの攻撃を未然に防ぐために検問を実施するなどしていたのがIRA)があり、ブラディ・サンデーの衝撃も冷めやらぬときでした。気持ちの良い、晴れた午後でした。学校が終わって、サッカー場を抜けて走って……軍の監視塔の脇で、兵士がゴム弾を発砲し、それが顔面にまともに当たって、私は視力を失いました」。

……

ムーアさんの顔面を撃ち、視力を奪ったのは、イネスさんだった。「あのときに、将来どうなるかが見えていたら、私はあんなことはしなかっただろう」、「私には、彼の視力を取り戻してやることはできない。自分のしたことの結果を変えることはできない」と語るイネスさん

……

ムーアさんはシリアスな話を始める。「撃たれたことで苦しんだのは私ひとりだけではありません。」

ダライ・ラマをはさんで向こう側に座っているイネスさんが「私が撃った」という内容の話を始める。「あの日のあのような状況下では、ラバー弾を撃つことがごく当たり前 normal の対処法でした」。

……

イネスさんは語る。"There was nothing normal whatsoever in the outcome. The outcome was simply tragic, and very quickly I was made aware that I had blinded a small boy of ten. I was absolutely shocked, apalled, devastated..."


――2010年11月21日 ドキュメンタリー『ダライ・ラマのヒーロー』
http://nofrills.seesaa.net/article/170134677.html


イネスさんのような元英軍人は、元英軍人の主流派ではない。それに仮にムーアさんのケースのように「10歳の少年が、英軍の暴力(発砲)によって失明した」ことがunlawfulとして受け入れられたとして、では「20歳の青年が、英軍に対し攻撃を仕掛けていると誤認され、英軍の暴力(発砲)によって落命した」場合はどうか。さらに、「英軍が発砲して殺してしまったので、青年が英軍に対し攻撃を仕掛けていると誤認されたことにした」場合はどうか。そして、IRA戦闘員に対するtargeted killingの場合はどうか。

IRA戦闘員に対するtargeted killingがunlawfulとなるなら、アルカイダ戦闘員に対するそれはどうなるのか。イスイス団戦闘員に対するそれはどうなるのか。etc, etc...

噴出しているのは、歴史のヘドロだ。



History says, Don't hope
On this side of the grave,
But then, once in a lifetime
The longed-for tidal wave
Of justice can rise up
And hope and history rhyme.
So hope for a great sea-change
on the far side of revenge.
Believe that a further shore
is reachable from here.
Believe in miracles
and cures and healing wells.

-- Seamus Heaney, The Cure at Troy

※この記事は

2017年01月30日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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