kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2016年12月27日

英国で非合法化された極右過激派集団、「ナショナル・アクション」について

英国に、National Action(ナショナル・アクション)という極右過激派集団がある。単に「極右過激派」と呼ぶだけでは不十分なくらいに過激な集団だ。どのくらい過激かというと、ただ反ユダヤ主義・人種主義を表に掲げるだけでなく「私たちはナチでございます」と高々と宣言し、街に「ナチ・ゾーン」というステッカーを貼って回る(後述)くらいに、である。

彼らはTwitterアカウントを持っているのだが、そのbio欄(プロフィール欄)には、何も臆することなく、"nationalist & socialist" と書いてある。つまり、定義通りの「ナチ」を標榜している。(なお、national actionといえば「全国行動」のことでもあり、米国の公民権運動の流れを汲むNational Action Networkという団体があるのだが、英国の極右過激派集団National Actionは、それとは関係ない。1920年代のナチ党の「全国行動」的な部分に共鳴しての名称である。)

twttrna.png

※このキャプチャ画像内でNational Actionのアカウントをフォローしているアカウントとして示されるダニエル・サンドフォード氏はBBCの記者。ウォッチャーであり、共感者ではない。

この集団の概略は、ウィキペディアでも調べられるが、より詳しいことは、反差別の活動を行なっているHope Not Hateによる潜入レポートがあるので、そちらを読んでいただくのがよいだろう。「BNPはオワコン」みたいなノリが生々しいのだが、この組織の始まりのあたりとか、もうね、「BBCのコメディ」と言われたら信じるようなクオリティでね。

From HOPE not hate magazine March / April 2015
National Action: Young, Nazi and Dangerous
http://www.hopenothate.org.uk/get-hope/issue18/young-nazi-and-dangerous/
The origins of the small but increasingly significant group lay in the ruins of the British National Party and in discussion clubs outside the party that came together to discuss the future of the British far right.

A forerunner to NA was the English National Resistance (ENR), led by former BNP youth leader Kieren Trent, with the help of another former BNP organiser, Matthew Tait.

The ENR was to be short-lived after Trent was beaten to a pulp by BNP activists before rather desperately and stupidly trying to join the IRA on the steps of Conway Hall in London.

At the same time, some of the self-defined “intellectuals” on the British far right, many of whom had been marginalised for many years, began to gather in London pubs to pontificate on the future direction of the movement.

The focal point for these discussions was to be the New Right, led by former BNP officer Jonathan Bowden and Troy Southgate. It was Southgate who formed the New Right in 2005 after being influenced by The “Manifesto for a European Renaissance”, which had been written by Frenchmen Alain de Benoist and Charles Champetier in 1999. The move was part of his own trek through the far right that saw him paying visits to the National Front, the International Third Position, Brown Anarchism and National Bolshevism.


(これ、BNPヲチャには懐かしい話だと思います。)

Hope Not Hateのこの記事は、こういった辺りから書き始められており、少し分量があるが、ナショナル・アクションに限らず英国におけるヘイトスピーチ・ヘイトクライム全般に関心がある人は、読んでおいて損はないと思う。

また、調査報道を主要な領域とするBBCのヴィクトリア・ダービーシャーの番組で昨年組まれた特集「急進派の人々 Radicals」で、組織の「スポークスマン」にインタビューしているものがある。これはBBC Newsのサイトで英国外からの接続でも見られるように公開されているので、関心がある方には、時間を作って見ていただきたいと思う。

この「Radicals」という特集は、イスラム過激派と反イスラム過激派という軸で企画されている。実際に英国の社会で過激な発言を行なっている活動家たちに直接インタビューした映像で構成されており、内容が非常に濃い(別な言い方をすれば「聞くにたえない」)。その特集の「目玉」として広報されたのは、それら過激派そのものから少し距離を置いた「イスラム過激主義にはまった若者と、彼を踏みとどまらせようとするコミュニティ・リーダー」に関する取材で、これは英国政府が行なっている反過激化プログラム、「プリヴェント (Prevent)」の当事者が初めて顔と名前をさらしてインタビューに応じているということで注目された。ただし、ここで取材されている「過激主義にはまった若者」は英国人ではなくポーランドから西欧に出てきた青年で、Preventプログラムが主な対象とする「ホーム・グロウン」なイスラム過激派とは異なる文脈での「過激化(急進化)」の例だ。番組が主に紹介したかったのは、同プログラムに参加し、若者を踏みとどまらせようと活動しているコミュニティ・リーダーのほうだろう。私は昨年既に、そのPreventプログラムの活動内容を紹介するパートについて「NAVERまとめ」を利用して書いていて、その中でこの「極右過激派集団、ナショナル・アクション」のパートにも言及はしている



さて、2016年12月半ば、この極右過激派集団National Action (以下「NA」)が「テロ法 the Terrorism Act」における「テロ組織・集団(特定団体)」のリストに入った(プロスクライブされた)というニュースがあった。プロスクライブされるということは、要は「非合法化」を意味する(これにより、資産を凍結することや、構成員や支持者を違法行為に問うことなどが可能になる)。英国で、極右過激派集団が「テロ法」の特定団体入りするのは、なんと、初めてのことである。極右の政治的暴力(テロ)は、計画・準備段階でパクられているものも含めて、実は英国では多発しているというのに(人種主義による身体的暴力や建物などの損壊もあるし、活動家が自宅でボム作ってたり、武器を溜め込んでたりということもときおり報じられている。1999年SOHOパブ爆破事件のような事件もあったし、2016年6月にはついに国会議員が暗殺された)。

A neo-Nazi group that celebrated the murder of the Labour MP Jo Cox is to become the first far-right group to be proscribed as a terrorist organisation by the home secretary.

Support or membership of National Action, an antisemitic white supremacist group, will become a criminal offence under the Terrorism Act 2000, pending approval from parliament.

National Action has held demonstrations in UK cities with banners that say “Hitler was right”, and speakers have been filmed telling a small group of supporters about “the disease of international Jewry” and that “when the time comes they’ll be in the chambers”.

https://www.theguardian.com/world/2016/dec/12/neo-nazi-group-national-action-banned-by-uk-home-secretary?CMP=twt_gu


NAが「テロ組織・集団」として指定された直接の契機は、今年6月にジョー・コックス議員を殺害したトマス・メアを賞賛したことのようだ。メアはプロトコルとしては「テロリスト」扱いだったが「テロ法」で起訴するだけの法的根拠がなく、普通に刑法犯として裁かれたわけで、つまり法的に「テロリスト」ではない(「法的に」を外さずに読んでいただきたい)。その点、「テロ法」で「テロ組織」に指定している集団の誰か(例えば「アルカイダのオサマ・ビン・ラディン」や「2015年11月13日のパリ攻撃の実行犯」)を讃えたり、賛同・支持する発言を行なったりして「テロ法」に問われるというよくある事例(最近の例で最もhigh-profileだったのが今年8月についに有罪・実刑となったアンジェム・チョードリー)とは異なるが、「テロ法」での特定組織指定は最終的には内務大臣の判断でなされるので、NAの指定もそういう措置だろう。内務大臣がそのような判断をする前には情報当局(この場合はMI5)が相当のことを把握していると思われるが、今回の「非合法化」で、NAによる何か大きなことが未然に防がれたのかもしれない。

(80年代が最盛期だった暴力集団National Frontも、2010年ごろからデモなどで過激な煽動を行なっていたEDLも、法律上は「テロ組織」ではなかった。彼らを支持しての発言が「憎悪煽動 incitement of hatred」には問われることがあったかもしれないが、アルカイダやイスイス団への支持の発言と異なり「テロリズムの支持」に問われることがなかったのは、こういう背景によるものだ。)

そもそも英国の「テロ法」(および「対テロ法」などテロ関連法……ここらへん、ややこしいです。制定の経緯がかなり場当たりだったので。「特措法」の一種の濫用でしたよね)は元々、北アイルランド紛争の文脈で制定されていて、要は「IRAの非合法化」のための法的なシステムだったのだが、IRAなどのような「国内テロ」だけでなく、アルカイダなどの「国外・国際テロ」も対象とするようになった。この法律で「特定団体」に指定されること(proscribeされること)は「非合法化」を意味し、国家権力による資産の凍結などが行なえるようになり、「言論の自由」を持った普通の市民団体というステータスから外されることにもなる。プロスプライブされたNAは、メンバーシップそのものが違法行為に問われうるし、これまでのように公然と活動を続けるわけにはいかなくなるだろう。

というわけで、「NAがプロスクライブされた」というニュースがあった日に、TwitterでNational Actionを検索してみた。
https://twitter.com/search?q=national%20action&src=typd

検索結果には、英国の極右団体のNational Action以外のNational Action(米国の公民権運動の文脈でのそれや、パキスタンの与党が掲げた政策の名称など)も入ってきていて見づらいが、それらを目視で除外して見ていくと、プロスクライブの約2週間前、12月2日にBBCのケイトリン・ナイのツイートにこのようなものがある。NAが「ホワイト・ゾーン」を設立したと宣言するステッカーがニューベリーの町に貼られた、という報告だ。(この「マンガ」ちっくな図柄などにも注目しておきたいところ。昔の極右よりセンスいいよね。)




同じことを、「西洋の文明が危機に瀕している」と主張する(おそらく「ユーラビア脅威論」にはまってる)アカウントは、このようにツイートしている。




EDLの設立者で、後に組織が「極右に乗っ取られた」といって離脱した通称トミー・ロビンソンは、デイリー・メイルの記事をフィードしながら絵文字でこぶしを掲げ、ほとばしる汗をつけて、応援のメッセージを送っているようだ。




プロフィールに「alt-right」だの「nonfeminist」だの「survivalist」だのと並べてあるこちらのアカウントは、それもんのURLを貼っている。これはリファラ取られたくないんで画像で。ついでなのでRT/Likeしている人のアカウントのプロフも込みで。

natwyp.png


こちらさんも同じ、それもんのURL。

natwyp2.png

こんなのもある。アカウントのプロフなども含めてキャプチャ(画像クリックで原寸表示)。「ホワイト・ジェノサイド」っていうのは、アメリカのトランプ支持者の中でも活発な発言を行なっている白人優越主義者が掲げている《神話》で、チャールストンの黒人教会を襲ったディラン・ルーフがかぶれたような「ネットde真実」の中核にある思想だ。こういう言説は、実態があることだろうがないことだろうが、根拠があろうがなかろうが、こうやってアカウント名にくっつけて100回も表示させていれば、尤もらしさをまとようになる。SNSのおっかないところは、「一部の極端な人たち」の集まる場で流布しているような奇矯な言説が、こうやって一般の場に普通に出てくるところだ。(2ちゃんでよくあったような)「巣に帰れ」が無効な空間は、恐ろしい(日本で福島第一の原発事故後に、イっちゃってる「地震予知」系の言説が当たり前のように一般に流布して、それまでそういうのを見たことがなかった人たちがパニクって大変なことになったのを想起されたい)。

natwyp3.png


一方、反ユダヤ主義をウォッチしている団体もこの「ホワイト・ゾーン」には注目。(画像はダブってるので一方は省略。)






UKIPウォッチャーも。




このころにはChange.orgで署名運動が行なわれていたこともわかる。




レスターのUAF (Unite Against Fascism) は昨年夏のNAの行動をリマインド。




それと同じ2015年夏の一件を、反ユダヤ主義ウォッチのアカウントも改めてツイート。




それから、NAはクラウドファンディングのサービスを利用して活動資金を調達していたが、そのサービス提供者がNAのアカウントを凍結したということが、12月6日にツイートされている。この時点ではNAは「英国の合法的な政治団体」だったはずなので、アカウント凍結の判断は「英断」と言えるほど思い切った措置だ。




そして11日、内務省がNAを「禁止する」(非合法化する、つまり「テロ法で指定される特定団体のリストに加える」)ことが決まったときの報道を受けて、UKIPウォッチャーが「国家が(民間の)集団を禁止するということ自体はいろいろともにょる部分もあるが」として、NAの非合法化を歓迎するツイート。




以下、NA非合法化のニュース関連のツイートの記録を少し。















※最後のこれ、写真がアナキズムの旗(○にA)ですね。カウンター・デモ、ていうかどう見ても「ブラック・ブロック」(極左)ですよね……しかしリンク先のデイリー・メイルでのキャプションは…… orz (ちなみに、少し上にあるガーディアンも同じ写真をTwitterカードにしているが、そちらのキャプションは "Anarchists protest as police intervene in Liverpool to protect members of National Action. Photograph: Peter Byrne/PA" で正しい内容)

一応Google画像検索で調べてみたんですが、この写真は2015年8月のリヴァプールでのレイシスト・デモ対カウンター・デモの対峙のときのもので、メイルが今回Twitterカードとして使っているのと同じ写真に、デイリー・ミラーは "A woman holding an anarchist flag gestures as police intervene in Liverpool to protect members of National Action as it cancelled its "White Man March" (Photo: PA)" というキャプションをつけてるんですよ。つまり、これはNAの「ホワイト・マン・マーチ」を迎え撃つカウンター・デモ側で、警察が両勢力の引き離しのために介入している(この日は、NAのデモ隊の人数をはるかに上回るカウンターのデモ隊が集まっているので、ちょっとバランスが崩れて暴力事態になると大変なことになるし、警官隊も大人数で対処している)。というわけで、こういう政治的な話題でデイリー・メイルなんか絶対に信用しちゃダメですと主張するための材料がまたひとつ、向こうから転がり込んできたって感じ。

で、この「NAの非合法化」とほぼ同じタイミングで流れてきたのが、猟奇的連続殺人犯イアン・ブレイディのBrexitについての見解を、Metroが大きく取り上げているとかいうあまりにひどい現実の話と(ちなみに、イアン・ブレイディはナチスのシンパで、Metroはデイリー・メイルの系列である)、ロンドンの南東部の閑静な住宅街にある鉄道駅で「ムスリムを殺してやる」と叫んで刃物男が暴れ、逮捕されたという陰々滅々たるニュース。

英国にとって、暴力的な極右の脅威は確実に高まってる様子。BNPは笑いものにされたけど、NF(ナショナル・フロント)などはポップ・カルチャー、サブカルチャーで「ロマンチックなもの」として描かれることもあり(ドクター・マーチンのブーツを履いた「怒れる労働者階級」という物語)、本当に、これから何がどうなっていくか、わからない。私が見ているTwitterの画面にあるのは、基本的に、Brexit支持者が「サヨク」「エリート」と罵倒するような人たちの発言だけだ。どろどろと渦巻く怨念のようなヘイトは、「批判されるべき言説」として存在している。

いつまで、そうであり続けるか。

Twitterには、少し道を踏み分けて入っていくと、こういうのもある。(画像はクリックで原寸)
natwyp4.png

上のの続き。
natwyp4b.png

この人たちに「プロのサッカー選手になりたいと頑張っている白人の少年たちに対する性犯罪を行なっていたのは、イングランドの白人でしたよね」などと言おうものなら、ものすごい勢いで罵倒されることになるかもしれない。この人たちは、この人たちが信じ、愛好する《物語》を大切に思っている。それをひっくり返すようなことをするのは「敵」、「工作員」とみなされるだろう。

※この記事は

2016年12月27日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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