kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2017年01月16日

"Hard Brexit" 決定のお知らせが流れ、恫喝外交が始まり、「フェイク」という言葉自体がpost-truth化している。

普通にニュースを見てた人には何の意外性もないだろう(特に「2017年のお茶ふき初め」となったEU大使の辞任のニュースの後では)。EU離脱を決めた英国が、具体的にどのように離脱するかについて、「ハード」で行くという結論を出したという。今度の火曜日に予定されている首相演説で明示されるのだそうだ。(なお、「ハード・ブレグジット」がどういうものかについては2016年11月のニッセイ基礎研究所のこの文章がわかりやすいと私は思うが、ほかにも各報道機関やシンクタンクでたっぷり解説されているから、「それってなあに」という人は各自検索して好きなものを読めばいいと思う。)

英国の各メディアが伝えている。私が読んだのはガーディアンだが、元報道(演説原稿のリーク)はサンデー・テレグラフのようだ。ガーディアンは最もコアな「残留」論者に近い媒体で、最後の最後まで「ソフト」路線、それも「EU残留に限りなく近い離脱」的なものを求める論調の新聞である(日々、ガーディアンとBBCだけ見てると、たまに見るテレグラフやタイムズにぶったまげることになる)。

Theresa May to say UK is 'prepared to accept hard Brexit'
Guardian staff and agencies, Sunday 15 January 2017 08.48 GMT
https://www.theguardian.com/politics/2017/jan/15/theresa-may-uk-is-prepared-to-accept-hard-brexit

(日曜日だからガーディアンではなくオブザーヴァーのはずなのだが、記事クレジットが「ガーディアン・スタッフ」なので以下も「ガーディアン」として扱うことにする)

Theresa May is to announce that the government is prepared to accept a clean break with the EU in its negotiations for the UK’s departure, according to reports.

In a speech to be delivered on Tuesday, the prime minister is said to be preparing to make clear that she is willing to sacrifice the UK’s membership of the single market and customs union in order to bring an end to freedom of movement.

An article in the Sunday Telegraph cites “sources familiar with the prime minister’s thinking” as saying that May is seeking to appease the Eurosceptic wing of her party by contemplating a “hard”, or “clean”, Brexit.


"「ハード」なブレグジット" という表現(これは「ソフト・ランディング」、「ハード・ランディング」にならった表現である)を、 "「クリーン」なブレグジット" と言い換えるというのは、プロパガンダの初歩のようなことだが、実際、Brexit支持の媒体で行なわれていることだ(日本語圏では、報道もシンクタンクも「ハード」という表現を使っているようなので「クリーン」はあまり知られていないかもしれないが、「ハード」も「クリーン」も同じことである)。

May is expected to focus on building “common goals” – such as protecting and enhancing workers’ rights – in an attempt to create a consensus after months of acrimonious exchanges.

“One of the reasons that Britain’s democracy has been such a success for so many years is that the strength of our identity as one nation, the respect we show to one another as fellow citizens, and the importance we attach to our institutions means that when a vote has been held we all respect the result,” she is expected to say.

“The victors have the responsibility to act magnanimously. The losers have the responsibility to respect the legitimacy of the result. And the country comes together.

“Now we need to put an end to the division and the language associated with it – leaver and remainer and all the accompanying insults – and unite to make a success of Brexit and build a truly global Britain.”

https://www.theguardian.com/politics/2017/jan/15/theresa-may-uk-is-prepared-to-accept-hard-brexit


テリーザ・メイはスピーチライターを雇わず、演説は官僚 (officials) が原稿を書いているというのだが(ソースはこのツイートのリンク先)、元々こういうことを言いそう・やりそうな政治家だ。前にも書いたと思うが、2010年に発足したキャメロン(&クレッグ)の政権で内務大臣になって以来、元々右翼集団である内務省のトップにふさわしい、あるいはそれ以上の右っぷりを見せた。例えば語学学校に通うという名目で英国に来るが、実は勉強ではなく就労が目的というようなEU圏外からの学生を締め出すために(&そういう学生を当て込んでビジネスしている「なんちゃって語学学校」を退場させるために)、学生ヴィザの発給にかかわる条件を厳しくしたのだが、そのときには語学学校の類ばかりでなく、非名門の大学(ぶっちゃけ、国外からの留学生が「英国留学」というブランドのためにおさめるバカ高い学費をアテにしている)からも反発があったし、……と書いてるうちにだるくなったので先に行く。だるくなったところで無理をして書くと、このエントリは永遠にアップされない塩漬けフォルダに入るだけだから。

先に行こう。ガーディアンのこの記事には、サンデー・タイムズに寄稿されたデイヴィッド・デイヴィス(EU離脱担当大臣)の発言も紹介されている。
Comments from David Davis offered further clues as to the government’s Brexit strategy. Writing in the Sunday Times, the Brexit secretary hinted that the UK might seek a transitional deal with the other 27 EU nations.

“We don’t want the EU to fail, we want it to prosper economically and politically, and we need to persuade our allies that a strong new partnership with the UK will help the EU to do that,” he wrote. “If it proves necessary, we have said that we will consider time for implementation of new arrangements.”

https://www.theguardian.com/politics/2017/jan/15/theresa-may-uk-is-prepared-to-accept-hard-brexit


これをね、額面どおりに受け取るほど素直な人は、少なくとも欧州の老練な政治家の中にはいないと考えるのが普通っすよね、と真顔で読むべき発言だろう。

そしてデイヴィスのこの発言と同時に流れてきているのが、フィリップ・ハモンド財務大臣(どうでもいいが、ウィキペディアの日本語版、何を言ってるのかさっぱりわからない…… "新聞は彼の「EU懐疑派」の証明と、イギリスが欧州連合の改革に「取引を得る」ことができたという彼の確信をハイライトした" とか、"ハモンドはゴーヴを「純真だ」と非難した" とか、"2015年3月、情報部に責任を持つ大臣との会話で、彼は恐怖の「擁護者」がテロ行為において責任を分担しなければならないと提案した。そして、「しかし、責任の巨大な重荷も、彼らの擁護者を務める人々の責任だ」と語った" とか、何をどう翻訳したらこうなるの、これ……「純真だ」はnaiveの誤訳であることは明らかだけど……頭痛い……翻訳できるだけの基礎がない人は、翻訳には手を出さないでほしいんですけど)のこれ。これを見た欧州の古ダヌキ……いや、老練な政治家たちの反応を想像するだに、お茶の代わりに青汁を一気飲みして、「不味い、もう一杯!」と叫びたくなる。









上記連ツイの "「統一市場域内の人の移動の自由」についてゆさぶりたいのだろう" のところの下敷きは下記。




んで、ハモンド財相の「タックスヘイヴン化しちゃうかもよ♪」発言は、現にタックスヘイヴン化しているアイルランド共和国あたりからも反応は出るだろうから(英国にそんなことされたらアイルランド干上がってしまうよ ´・_・`)継続的に見ておく必要がある。

まったく英国という奴は、ほんっとにろくなことを考えないし、ろくなことをしない。映画『麦の穂をゆらす風』で、「英国はアイルランドとの交渉において、強大な軍事力をちらつかせて脅してきているのに屈するのか」という疑問が呈されるシーンがあったけれども、実に、あの人たちは(外面や言葉遣いは上品であるものの)「交渉」と「脅し」を区別しない。そしてそういうやり方が、グローバル・スタンダードなのだろう。

そんなニュースを見ながら、英国で日曜朝にやってるBBCのアンドルー(アンドリュー)・マーの番組のハッシュタグ #marr をチェックしていたら、こんなのが目に入った。

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「オーウェン、BBCやITVはフェイク・ニュースだよ。こういうのを報じないでしょ」

ツイート主がオーウェン・ジョーンズに対してこのように言っているのは、タイムズの報道で、「Brexit後の英国経済は世界一ィィィィィィ!」みたいな話。RTが118件もある。

「GDPの伸び率がすげかった……」って、そもそもまだBrexitしてないじゃない。Brexit後にどうなるかは別の話(それをよくしていこうという取り組みはなされるべきであるにせよ)。それと、Brexit決定後のポンドの下落が何につながったかは、経済の勉強してなくてもわかる。あれは一時的なものでしょ。

ともあれ、このツイ主が貼り付けているのは、1月7日付けのタイムズの一面だ。


※画像クリックで原寸。

タイムズは記事は有料購読者じゃないと読めないが、一面はこのサイズでTwitterなどに公開されていて、一面にある範囲なら、記事は読むことはできる。

当該部分の拡大。全文は読めないんだけど、読める部分を見るに、なんか、普通の報道というより「もうダメだと言い募った連中の言ってたことがこんなに間違っていた」という(日本の感覚でいう)週刊誌の中吊り広告的な報道のように見えるのだが、気のせいだろうか。

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んで、これ、1月に入ってからは見ていないが、2016年中に記事読んだ気がするんだよね……と履歴を掘ってみたら、あった。

UK GDP growth better than expected in Brexit vote aftermath
Phillip Inman, Friday 23 December 2016 17.35 GMT
https://www.theguardian.com/business/2016/dec/23/uk-gdp-growth-brexit-industrial-services-construction-wages

それと、ツイ主は「BBCは報じていない」と言っているが、報じてる。(テレビではどうなのかわからないが。)

Brexit Britain: What has actually happened so far?
13 January 2017
http://www.bbc.com/news/business-36956418

こんなにはっきりと報じてるじゃない。

Latest figures show the economy grew by 0.6% between July and September, faster than previous estimates.

Separate figures from the ONS showed the UK's current account deficit widened towards record levels in the third quarter, with few signs that the fall in the pound in the wake of the Brexit vote had helped to boost exports.


まあ、そんなことより、このツイートは衝撃的だった。「フェイク・ニュース」という11月の米大統領戦後に急速にバイラルした概念(それは以前からあった「パロディ・ニュース」、日本の「虚構新聞」のようなものとは別のものをいう)が、ここまで急速に、何というか、メタ化しているということが。

BBCは元々、Biased BBCというブログ/SNSアカウントから批判・攻撃されてきた媒体だ。「BBCは左傾化した偏向メディアだ」という攻撃にさらされてきたことは、英国ウォッチャーなら知ってるだろう。その背景は、保守党右派による「BBC解体論」だ。その文脈にある発言は、絶対に、鵜呑みにしてはならないプロパガンダである。

しかし、ソーシャル・メディアの時代になって、個々の発言の「文脈」が見えづらくなった。報道記事とかは見出しだけがガンガン回覧されるし、誰かが「どうしてメディアはこれを報じないのか」といえば「メディアはこれを報じない」という印象が、事実の有無に関わらず、できあがっていく。

Twitterなどを見ていると、ますます、足元の砂がさらさら、さらさらと流れていくような感覚に襲われる。



BBC Newsを「フェイク・ニュース」呼ばわりするというのは、「フェイク・ニュース」という言葉遣いがなされているかどうかは別として、現象としては以前から、アンダーグラウンド/フリンジで見られたことだ。だが今、「そういうのはアンダーグラウンドのことだから」と流す/無視することは、果たして "正しい" ことなのだろうか、という気がしてきている。そしてそれについて考えようとすると、飲み込まれるのだ。だってBBCが「おかしな言葉遣い」をしているなどということは、前項にも書いたし以前、ガザについても書いたように、よくあることだということを、私はよく知っているのだから。
https://twitter.com/search?q=fake%20news%20bbc&src=typd











※この記事は

2017年01月16日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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