kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2016年12月03日

「誰か、あの議員をジョー・コックスってよ」とツイートした人物は、どうやら本物のネオナチだ。

物事を単純にすることが大好きなメディアの世界で、米大統領選以後は「Facebookイコール偽ニュース (fake news)」という印象付けが盛んに行なわれるようになったが、それ以前からずっと続いているのが「Twitterイコール脅迫や暴言 (abuse)」という単純な印象付けだ。

Twitterが脅迫や暴言の場となってきたことは事実だが、脅迫や暴言だけの場であったわけではなく、普通にポジティヴで生産的な会話・対話がなされた回数の方が、脅迫・暴言の回数よりきっと多いだろう。だが、うちらの生きている世界は、「実際にどうであるか」よりも「どのようなイメージか」のほうが、多くの場合、重要だ。「広告」のために。「投資家」たちのために。そして「イメージ」を引き起こしたり定着させたりするため、情報が盛られたり歪められたりするのはごくごく当たり前のことで、そこではもはや「実際にどうであるか」など、ほとんど関心を向けられることもない。「ろくな話を聞かないなあ」、「粗暴な人ばかりが集まっているイメージがある」、etc etcで話は終了だ。かつては「独裁・専横国家での民主化推進のツール」のイメージだったのにね。

というわけで、Twitterについて「暴言や脅迫の場」というのは、多くの場合はただの「イメージ」に過ぎないのだが、それでも、実際にものすごい暴言や脅迫が行なわれることはある。私は、個人的な(&公開されている)やり取りの末に公然と脅されるという経験をしているが、いきなり知らない人から「○ね」と言われるような事例も多く報告されているし、直接 @ で名指しにされず、当人がいわゆる「エゴサ」(エゴサーチ)をして脅迫がなされていることを発見した、という事例もある(この場合、「ひとりごと」かもしれないが、そうであるかどうかを客観的に証明し、また判断することはほとんど無理だ。「話者の意味」はテクストには直接的には出てこない)。

(ただし、こういうことがあるのはTwitterに限ったことではない。投稿のしやすさなどは作用しているかもしれないが、「Twitterだからこそ、脅迫・暴言という問題が起きている」、「Twitterでなければそういう問題は起きない」のではない。)

んで、今日また、Twitterでのそういう「脅迫・暴言」の事例が報告されていた。これが、私の見た中でもとびきりひどい。

Police investigate tweet calling for someone to 'Jo Cox' MP Anna Soubry
Haroon Siddique, Friday 2 December 2016 16.39 GMT
https://www.theguardian.com/politics/2016/dec/02/police-investigate-tweet-jo-cox-mp-anna-soubry




脅されたアンナ・スーブリーは保守党所属の国会議員(下院議員)である。選挙区は保守党と労働党が入れ替わりながら制しているノッティンガムシャーのBroxtoweで、初当選は2010年。バーミンガム大学を出て(法学)、地方TV局でジャーナリストとして働き、1995年に弁護士となった、というバックグラウンドの持ち主で、政策や理念などをざっと見ると、保守党の中では「リベラル」な方に入るタイプだ。今年6月のEUレファレンダムに際しては、Remain陣営(EU残留支持)だったが、ずっと以前からUKIPのナイジェル・ファラージには批判的だったという。その「批判」の具体的内容は、「イメージ」よりも「事実」で語ることを旨とする人にとっては、当然の批判と思えるようなものだ。

... a November debate on the BBC's Question Time when Soubry complained that UKIP was distributing leaflets suggesting that up to 29 million people could arrive in the UK from Romania and Bulgaria. Pointing out that this was more than the combined population, Soubry told Farage he didn't talk facts, he talked prejudice and that the 1930s had taught Britain the dangers of xenophobia. The New Statesman credited Soubry's "inspiring words" with reminding people that there are still Conservatives "who trade in facts not prejudices."

https://en.wikipedia.org/wiki/Anna_Soubry#Antipathy_to_Nigel_Farage


しかし彼女の場合、この前に一種の「失言」をやらかしている。ファラージについて、「ケツの穴から指つっこまれて奥歯ガタガタ言わされて喜んでるみたい」というあまりに的確すぎてヒザをばんばん叩いて手首を捻挫してしまうような発言をしていた。おそらく、ファラージのファンやUKIPのサポーター(の中でも特にファラージのカリスマに引き寄せられた人々)にとっては、控え目に言っても、「気に障る存在」だっただろう。

さらにまた、スーブリーは、EUレファレンダム前のキャンペーンで「残留」陣営で活発に発言していたのみならず(彼女は当時、経済産業の閣外大臣だった)、Brexitが決まったあとも単一市場の必要性を訴えるなど、Brexitに抵抗する発言を続けている。下記はほんの数日前(11月下旬)にアップされたOpen Britain(レファレンダムまではRemainのキャンペーンだった団体)によるインタビュー。



このような言論活動を活発に、粘り強く行なっているスーブリーは、勝ち誇っているBrexit支持者にとっては、ありていに言ってうっとうしい存在だろう。テレビに出てくれば消す、くらいには。しかし、そこで止まらない人たちもいる。

私だって、テレビがあったら、家族や友人と一緒にテレビを見ながら嫌いな芸能人について「消えてほしいよね」的な発言をすることくらいはあるだろう。ネットで誰かとおしゃべりしているときには、ウケ狙いでより過激な言葉遣いをするかもしれない。宇宙開発のニュースがあった日には「ああいう人こそ、火星にでもとっとと行ってほしい」と言う、みたいな。

だから、アンナ・スーブリーが次のようなツイートをしているということを、上記ガーディアン記事で知ったときにも、まずは、ジョー・コックスの名前をこういうふうに使う極めて「悪趣味」な連中が、内輪でおしゃべりしてたのかな、という可能性を考えた(「これはひどい」と叫ぶだけでなく、そうする必要があると思ったからだ)。




ガーディアン記事によると、スーブリーがスクリーンショットでアップしているこの「脅迫」のツイート主のアカウントは「その後削除された (deleted)」ということだが、とりあえずこのアカウントを確認し、「削除」されているようならググって、キャッシュでも見てみよう。何か文脈があっての発言かもしれない……。

と、スクショにある発言主のアカウント名のURLを直打ちしてEnterキーを叩いてみたら、アカウントは「削除」ではなく「凍結 (suspended)」のようだ。

「削除」なら、「政治家について悪趣味で下品な軽口を叩いたら『炎上』してしまった人」なのかなあとも思えるかもしれないが、「凍結」となると話が違う。

というわけで当該のアカウント名でググってみたわけだが、これがきな臭い。まずは当該アカウントのGoogleキャッシュ。11月9日、米大統領選開票の日に取得されたもので、(英国人だが)トランプ支持・反ヒラリーで、オーウェン・ジョーンズをおちょくっているツイートをRTしている(最近の英国では「左翼」を「ナチ」呼ばわりすることが大流行している。ケン・リヴィングストンのおかげである -_-#)。ほか、それもんのアカウントをRTしてたりする。

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それから、https://twicial.com/ で、当該のアカウントが「サスペンド(凍結)」されていることが確認できるのだが、ここにもキャッシュが残っていて、ツイートが少し確認できる。Googleキャッシュよりも新しいものだ(取得日時は 25 Nov 2016 02:08:43 GMT)。※キャプチャ画像は一部加工済。

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@Charles_Lister @TulsiGabbardへの「ニセニュースだ」と言っているリプライは何についてのものなのかはわからないが、Googleキャッシュ取得時刻前のチャールズ・リスター(ライスター)氏の投稿はここらへんか。














最後の@azelinのツイート(@TulsiGabbardのツイートを参照しているもの)は、@Charles_ListerがRTしているもので、アンナ・スーブリーを脅した「マイク」のアカウントがリプライをつけているのは、このツイートだろうか。ただこれに対するリプならば、@azelinにもメンションが飛んでないとおかしいので、このあとの別のListerのツイートをTulsiがRTして、それに対して「マイク」がリプをつけたのかもしれない。






いずれにせよ、Lister氏(中東情勢の専門家)はシリアでアサド政権やロシア、イランがどんなことをしているかを(反アサド側の武装勢力の最新ニュースとあわせて)ツイートしている人で、誰かが彼のアカウントに「ニセニュースだ」と食ってかかる光景というのは、ウォッチャー的には「はいはい、またですか」という光景だ。(私もこういう絡まれ方は経験ある。)

思わぬところで話がシリア方面に行ってしまったが、要するに、Brexitに抵抗する英国の国会議員に対し、「ジョー・コックスのような目にあわせるべき」などとツイートしている東ロンドンの「マイク」という人物は、シリア内戦では「アサド政権とロシアとイランによる "テロとの戦い"」を支持しているのだろう。

「アサド政権とロシアとイランによる "テロとの戦い"」は、欧州(特に西欧)では大きく2つのルートで、「草の根」レベルで宣伝されている。ひとつはロシアを支持する左翼方面(別な言い方をすれば「反米バカ」界隈)、もうひとつは極右だ。

欧州極右とアサド政権とのつながりに関しては、特に英BNPの元党首、ニック・グリフィンの行動について記録したものがある(2014年)。
https://matome.naver.jp/odai/2141752716877725401

ここ↑↑に入れてあるのだが、ジョージ・オーウェルをアバターにした、ロシアを圧制国家とみなす左翼(ロシアを支持する左翼とは違う)の発言者である「ブロックリーのボブ」氏のツイート:




アンナ・ソーブリーを「ジョー・コックスみたいな目にあわせるべき」などと言い放つ「マイク」がどういう思想の持ち主なのかは、参照できる発言が少なすぎてはっきりとは確認できない。確認はできないが、推測はできる。「そういうバックグラウンド」だろうと思う。キッパー(UKIP支持者)の中でもこういう方面(←ページ中ほどから)だろう。

2014年には既にはっきりと目に見えるものとして見せられていたこの流れは、より広いところまでリーチしてきた。さらに、Brexitとドナルド・トランプによって勢いを増し、こういうのがこれまでの「メインストリーム」に取って代わろうとしている。来年の大統領選挙を前に、今のフランスではっきりしてきた傾向は、2015年の英国の総選挙前とよく似ていて、最終的に「極右」の政党に主導権を握らせないようにするために、「中道右派(右翼)」の政党がどんどん「極右」にすり寄っていくというものだ。2005年には「リベラルな新世代の保守党党首」だったデイヴィッド・キャメロンが極右のレトリックを取り入れるようになり、「移民は脅威である」という論調に乗っかったのには驚いたが、ジハディストの攻撃を何度も受け、市民生活を送っていただけの人々が200人も殺されているフランスの政治家たちに起きることは、その比ではないだろう。

twabusempsoub06-min.png……などということを、ソーブリーへの脅迫に関する少ない情報から見てつらつらと考えていたのだが、さらに決定的なものが見つかった。「マイク」のアカウント名でGoogle検索したときの画面の下の方だ。

"Pupillage and How to Get it" という、司法研修に関する情報・論評ブログの中の、Oxbridgeのカテゴリが示されている。この場合、Oxbridgeは関係ない。検索で引っかかったのはこのブログのサイドバーに埋め込まれているツイッターだ。

現在の最新のブログではこれは確認できないので、例によってGoogleキャッシュを参照する。Googleキャッシュは現時点ではここにあるが、そのうちに書き換わるだろう(右キャプチャ画像参照)。

ともあれ、そうして見つけたのが下記のツイートだ。マシュー・スコット氏は法律家でブロガー、リプライをつけているマーク・スパロウ氏はジャーナリスト、「ソーシャリスト・ヴォイス」はコービンの労働党を支持するハード・レフトでBrexiteerの人のアカウントである。







ソーブリーへの脅迫の主、「マイク」は、反ユダヤ主義・人種主義の発言で知られていたということだ。そしてマーク・スパロウさんは「マイク」をフォローしていないということで、おそらく「巻き込まれ」だろう。ということは……いろいろと頭が痛くなってくるが、事実確認が取れるわけでもないので(時間かければできるかもしれないけど)、なぜ頭が痛いのかはここには書かずにおこう。

さらにまた:





「ユダヤ人め」と罵りながら、オーヴンの写真を送りつけるのは、反ユダヤ主義者の中でも最悪の部類の人がやることだ。

そういうことをネット上でやるような人物が、暗殺された国会議員の名前を動詞として使い、別の国会議員を「あの議員みたいな目に合わせるべき」と主張する。自分でやるとは言わない。誰かにやってもらいたいなあとだけ言っている。「くだらない独り言ですよ」と弁解するための逃げ道は万全だ。

この現実、実に信じがたい。6月23日から今までのことが「目が覚めて、『なあんだ、夢か』となるんじゃないか」と思っている。そうであったらいいのに。

なお、「マイク」はtwicial.comのキャッシュに残されているプロフィールでこのようなことを述べているが:
twabusempsoub07.png


フォロワー買ってるじゃん(下図、Google検索結果画面キャプチャの一番下)。「マイク」のアカウントがサスペンドされてリンク先は単にサービスのトップページになってるし、キャッシュも利いてないから、具体的には確認できないんだけど。
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30日にツイートしたこれも、明らかにフォロワー買ってるよね。そのモチベーションは何で、どこからカネが来てるんだろう。何か物を売ろうとするスパマーや詐欺師なら、自分の実績を「盛る」ためにフォロワーの数だけ増やしたいと思うのだろうし、いわゆる「承認欲求」に飢えた一般人がフォロワーを買うのもわからなくはないが、純粋に個人として政治的な意見表明をしている個人のアカウントが、フォロワーを買うということに意味があるとは、私には思えない。


※この記事は

2016年12月03日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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