kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2008年06月04日

シン・フェインの「政治的ポーカー」(拒否権、選挙、etc)

先日、ピーター・ロビンソンがDUP党首になったときのエントリに、「一種の『儀式』だろう」と書いたのだが、今回はそのレベルを超えているらしい。

木曜日に、シン・フェインがマーティン・マクギネスを副ファーストミニスターに指名しないという戦術を取る可能性について、英首相官邸で話し合いが持たれている。

Robinson and Adams in PM meetings
Page last updated at 21:28 GMT, Tuesday, 3 June 2008 22:28 UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/7432570.stm
→同じURLで上書きの可能性があるので一応、魚拓を

シン・フェインのジェリー・アダムズと首相(ゴードン・ブラウン)の話し合いがあり、それからDUPのロビンソンと首相の話し合いがあったらしい。

英首相が出てきたということは、つまり、かなり本気でpolice and justiceの権限移譲(英国政府からNI自治政府への)についての話し合いが行なわれている、ということだ。

北アイルランドでは昨年5月に自治議会・自治政府が復活して、ウエストミンスターの直轄統治のもとでロンドンに権限があったいろいろな行政部門の権限がNI自治政府に移譲された。

しかし、NIに特有の事情――パラミリタリー組織の存続、特にナショナリスト/カトリック地域で「事実上の警察」として機能してきたProvisional IRAの存在――があるため、警察と司法だけは、いまだロンドンの権限である。

シン・フェインは今では「警察を支持する」ことを決定しているが、DUPは「権限の移譲の前にIRAを解体すべき」と主張し、権限の移譲を求めるSFと真っ向から対立している。

BBC記事によると、今回の英首相官邸での会談については、SFもDUPも何もコメントしていない。だから何がどう話し合われたのかもわからない。ただ、情報筋によると、危機は脱しつつあり、何らかの解決が可能であるという風向きのようだ。

DUPでは、この会談は(緊急のものではなく)ボンバルディア社の契約のことやDUP党首交代(つまりNIファーストミニスター交代)などを議題として前々から予定されたものであるとしている。

シン・フェインは今回の会談は私的なものであるとしている。会談を終えたアダムズ党首は、首相官邸の裏口から、報道陣に対し無言で立ち去った。(正直、こわい。)

シン・フェインとしては、警察・司法の問題のほか、DUPが「アイルランド語法」(NIでアイルランド語を公用語とする、というもの)を導入していないこと(これはグッドフライデー合意、セント・アンドリューズ合意で導入されることになっているはず)を問題としている。

DUPは、脅迫されて交渉しはしない、としている。

……うーん、やはりいつものあれじゃないのかな。ただ、ウエストミンスターも当事者だからゴードン・ブラウンが出てきているというだけで。

これでほんとにシン・フェインが拒否してNI自治議会選挙になったら……どうなるのか全然わかんない。今選挙やったらDUPはほぼ確実に議席を減らすだろうけど(ペイズリーとマクギネスの「チャックルブラザーズ」でうんざりした人の数がかなり多いらしい)、じゃあUUPかっていうとあっちも終わってる。より過激な新党ができているけど(ジム・マカリスターの「伝統的ユニオニストの声」)、大勢力にはなりえないだろう。ユニオニストが分断されれば第一党は……うはー、「政党政治」の考え方でいけば第一党が「少数派」(今はまだ人口の50パーセント未満)の「カトリック」のシン・フェインに! これかー。

木曜日にマーティン・マクギネスが副ファーストミニスターとして指名されなかった場合は、1週間の交渉期間が設けられ、それで事態が動かなければ、英国政府(NI担当大臣)が介入して議会選挙、という手順だそうです。さて、どうなることか……とお茶を飲んでいたら、このBBC記事の関連記事を読んでまたお茶をふいてしまった。

Is Sinn Fein playing call my bluff?
By Martina Purdy
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/7432152.stm
An Irish government official once described Sinn Fein as "institutionalised negotiators."

The party, he had concluded, simply could not resist a negotiation, and didn't seem to know when to stop.

ぎゃはははは。シン・フェインは「交渉魔」で、そこに「交渉」があると何が何でも交渉したくなる、って!

アイリッシュ・ジョークはきついなぁ。

で、マルティナ・パーディが描いているのだけれど、警察と司法の権限の移譲は、予定では、2008年5月が期限だった。それが何もなく過ぎて(それが過ぎたことはニュースにもなってなかったと思う)今に至る。

記事から:
the DUP is insisting that it will not be hostage to fortune by giving a date and is insisting there is not sufficient confidence in the unionist community.

The PUP leader, Dawn Purvis, however, has countered that the crisis of confidence is within the DUP, not the unionist community.

Whatever the truth, Sinn Fein wants the issue resolved, as the party has its own supporters to placate and cannot afford to look weak in the face of a DUP veto.

...

While this may keep the DUP base happy, it is having the opposite effect on Sinn Fein's grassroots.

あああ、めんどくせー。DUPもSFもどっちもマッチョだから、「相手の脅しに屈する」とか「相手の反対に阻まれる」とかいう姿を見せたくないし、見せられない。

PUPは「DUPはユニオニスト・コミュニティの間でSFへの信頼がないというが、それはユニオニスト・コミュニティではなくDUPの間で、ということでしょう」と言っているし、問題はDUPなのだろうけど。

で、警察・司法の件やアイルランド語法の件でDUPが拒否権を発動している状態なのに業を煮やしたシン・フェインが、今度は自治政府のトップの任命で拒否権を発動するぞと言っている。それをDUPは「脅し」と言っている。

私にはこれは「民主主義」の政治には思えない。

むしろ、1970年代の、「ロイヤリストがカトリックの一般市民を6人殺した」→「リパブリカンがプロテスタントの一般市民を10人殺した」→「ロイヤリストが……」の報復合戦のように見える。

で、仮に選挙になるとしたら順当に考えれば7月なのだけど、そんなマーチング・シーズンのど真ん中に選挙は考えづらいので秋になるのでは、という意見もある。めんどくせー。

で、そもそもどうして「SFはマクギネスを指名しないのでは」という話が出てきたのかについては:
Why is this speculation not being killed off?

In fact, it's been fuelled by a statement issued by Gerry Adams.

The Sinn Fein president said it was his party's intentions to build upon the progress made in bedding down the institutions.

He adds: "We continue to be involved in detailed discussions aimed at achieving this. That is our focus at this time."

That sounds a bit like a negotiation.

火元はジェリー・アダムズか。というかこのステートメントから「拒否権発動のつもり」を読み取るのは、私には無理だ。めんどくせー。

といささかうんざりしながら読み進めると、またお茶が……
Sinn Fein is a party of experienced negotiators who know full well that there is no point in upping the ante if you can't follow through when your opponent calls your "bluff."

ああもうそりゃ、ネゴシエーションさせたら右に出る者はいないでしょうよ。政治家ってよりロビイストだもん、やってきたことは。

記事のこのあとは、スペキュレーションの羅列で圧倒される。

第一に、現状、DUPの36議席はシン・フェイにとってちょっと多すぎる。しかし今、DUPの支持が落ちていて「伝統的ユニオニストの声 TUV」への支持が集まっているタイミングで選挙をすれば、DUPの議席数は減らせる可能性が高い。つまり、TUVにユニオニストを割ってもらう。(こえー。「分断し統治せよ」だ。)

ユニオニストの票が割れ、ナショナリスト側でもSDLPがぱっとしなければ、SFが第一党になってファーストミニスターに……こえー。

今はまだ小政党のTUVだが、議会任期が切れる3年後にはどうなっていることかを考えると、今選挙しておいたほうが、という考えがあるのではないか? ……こえー。

いわゆる「コナー・マーフィー税」(つまり一般家庭の水道料金)導入後に選挙をすれば、SDLPが強い。でも今ならまだ……うへー。

妥協することになるだろう教育改革の結果が出る前に選挙をしたほうが……。

アイルランドのフィアンナ・フォイル(FF)が北で組織することにしているが(SDLPと連合するかもしれない)、FFが乗り込んできて「全アイルランドの政党はSFだけ」といえなくなった状態で選挙をするより、今やっちゃったほうが……。

3年後にDUPが第一党のまま任期切れを迎え、重要な要求を拒否権でダメにされた状態で選挙をするより、今やっちゃったほうが……。

――という政治的ポーカーゲームをプレイしているのだ、という話です。

うへー。

記事の結びがまたウィットに富んでいて、まったくNIはネタが尽きなくておもしろいなあ。
Whatever the truth, the question for Sinn Fein is - does it have more to gain or more to lose?

If nothing else, this question must surely be concentrating minds in the DUP leadership.

And even if it is all a bluff and Sinn Fein ends up nominating, it may have taught the DUP a valuable lesson: there are consequences for saying No.

これは、「我々は絶対に負けない」だ!

うーん、敵には回したくないタイプです。策士すぎる。

なお、「アイルランド」のステレオタイプの「反骨精神」とかいうのは、このような「絶対に負けない」を含みます。(日本ではロマンチックに語られることが多いアイリッシュ・ナショナリズムだけど、実際にはそんなに甘美なものじゃないよなあ。まあ、本来の意味で「ロマン主義」的であるかもしれないけれども。)

※この記事は

2008年06月04日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 15:04 | Comment(2) | TrackBack(0) | todays news from uk/northern ireland | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
スラオさんとかもかなりすごいことになっていましたが(みんな政治的ポーカーを見ながら井戸端会議するの好きよね。私もだけど)、決着がついた模様。

Assembly nominations to go ahead
Page last updated at 20:10 GMT, Wednesday, 4 June 2008 21:10 UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/7436877.stm

ロビンソンとマクギネスの連名のステートメントが出て、「共同で任にあたる」旨を宣言。またアダムズも次のようにステートメント。

"I am very pleased to say that I will be nominating Martin McGuinness as deputy first minister," party leader Gerry Adams said in a statement on Wednesday evening.

……(^^;)

というわけで「大山鳴動鼠一匹」って感じですが、シン・フェインは「選挙に出るぞ」カードを切って何を得たのか、気になるなあ。しばらく目が離せない。
Posted by nofrills at 2008年06月05日 10:17
指名が終わったので新記事立てました。これでこのエントリのコメント欄は閉じます。
http://nofrills.seesaa.net/article/99581735.html
Posted by nofrills at 2008年06月06日 09:35

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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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