
下記が空目の原因となった「何度も見せられた画像」。2005年夏の「IRA活動停止」関連の記事より。

脳の血流量が一時的に激増し、心臓に悪いので、まぎらわしい画像を使わないでもらいたいなあと個人的には思う。(笑)
で、そんなのを見たので、BBC NIを見てみたら、ははは、例の「エコノミック・コンファレンス」(@イアン・ペイズリーの引退の花道)でベルファスト訪問中のNYC市長がかなりな提案をしたらしい。
Take down peace walls, NY Mayor
Page last updated at 16:46 GMT, Thursday, 8 May 2008 17:46 UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/7390938.stm
「NYCの市長」といえばもちろんマイケル・ブルームバーグだ。彼がSDLPと同じ内容の主張、つまり「ピースウォール(分離壁、防護壁)を撤去すべき」という主張をするとは。
しかもそのニュースを読むきっかけが、「イスラエル成立60年」関連の記事の写真バナーだとは。
私にはわからないジョークなのだろう。
ブルームバーグ市長の発言内容をBBC記事から:
Michael Bloomberg said Northern Ireland had much to offer, but suggested that "another important step was needed".
He said it was "in the interests of peace and prosperity" to remove the barriers.
The mayor made his remarks while addressing the First and Deputy First Ministers, assembly members and American visitors at Stormont.
...
"The historic cultural barriers between the two communities here are slowly coming down," said Mayor Bloomberg who was in Belfast for the investment conference.
"And the sooner they do, and the sooner the physical barriers come down as well, the sooner the flood gates of private investment will open."
うむー。下記記事にエンベッドされている映像での発言と、上記記事での抜粋とはちょっとずれている(コンテクスト的に)のだが、ブルームバーグ市長のスピーチでは、"They don't want to live behind the walls. They don't want to be judged by their faith or their family name." というのが、"The historic cultural barriers between the two communities here are slowly coming down." の前にある。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/7391430.stm
で、NIの「壁」を除去すべきだという主張なのだけれども、正直、今あの壁を取り除いてもpeace and prosperityには寄与しないのではないか。そんなことより、このコンファレンスでは完全に周縁化されている武装組織の問題――そりゃNI的には「あれがまだ問題なのだ」と言うことは、投資を呼び込むために避けたいだろう。ベルファストはもはやcapital of cowardiceではありません、という対米宣伝のためのコンファレンスなのだから――、つまりUDA/UFF, UVFの武装解除が先だ。そのほかにも、PIRAの隠してる武器もあるかもしれないし、RIRA, CIRAという活動中パラミリタリーの問題もある。今の状態は、大々的に「和平」と呼ばれていても、政治リーダーがいかに満面の笑みで仲良さげにしていても、まだ、本当に安定したものではない。そのことは「宗教施設に対する攻撃(火炎瓶など)」とか、「住民同士の衝突」とかいった「大きく報道されないニュース」を見ればわかりそうなものだ。
おそらくスピーチライターが何も知らないか、知っててもそれには触れないことにしているかだろう。でなければ、"The historic cultural barriers between the two communities here are slowly coming down" (2つのコミュニティの間の長きにわたる文化的な壁は、徐々に崩れつつある) などという壮大な発言が、こうも軽々しく出てくるとは思えないし、思いたくない。しかも「投資」という文脈で。(文化的にどうのこうのと投資がどうのこうのの話が一緒にされてるあたり、基本的にすべてが「対米宣伝」だからしょうがないとは思うのだけれど――米国には米国の、IRA支持の草の根運動という過去があって、それは米国内でのアルスター・スコッツ、つまりWASPの嫌悪感の原因ともなっていたのだから。っていうか、じゃあなぜイスラエルに投資してんのかって話になるじゃん、タイミング的にも。ガザ封鎖でガザ地区がどんだけひどいことになってるかが伝えられているのだから。)
共和国内にあるボイン川の合戦場の戦跡で、バーティ・アハーンとイアン・ペイズリーがにこにこしながら肩を並べていようと、the historic cultural barriers が消えつつあるわけではない。
まあ、そういうのが「消えつつある」という宣伝用の文句が、「投資を呼び込む」ためには有効、ということはあるかもしれないけれども。
というか、アイルランドが「ケルトの虎」になったのは、文化的なんちゃらがどうのこうのではなく、法人税率とかじゃなかったかなあ。(BBC記事にエンベッドされてる映像レポートでは、そういう話も出ている。USAがNIに対し「法人税を引き下げるよう圧力」とかいうの。まあ、「儀式」なので……深く考えるとムカムカしてしょうがない。ゴードン・ブラウンも「NI tax officeではRoIと同程度にまで法人税引き下げを前向きに検討している」と述べているのだが。)
まあいいや。こういう「まったくの外部からの発言」がポジティヴな方向に向かう力の推進力になれば……これでまた60年代、70年代のユニオニストの「アパルトヘイト政権」が復活、なんてことにならなければ。(NIの大きな問題のひとつは、資本家のほとんどがユニオニストだということだったわけで。)
で、その「エコノミック・コンファレンス」、これまで交渉が進められてきた「投資案件」についてのお披露目がいろいろあって、ソフトウェア開発の拠点とか、ボンバルディア社の工場とか、ブルームバーグ(<市長の名前じゃなくて、メディアのほう)のニューズビューローとか、いろいろなものが華々しく、という感じのようです。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/7391430.stm
コンファレンス出席者は:
・イアン・ペイズリー(NI自治政府ファーストミニスター)→これで引退
・マーティン・マクギネス(同副ファーストミニスター)
・ゴードン・ブラウン(英首相)
・ブライアン・カウエン(アイルランド共和国新首相 Brian Cowen)→けっこうスゴい人ですね。「鏡見てくれば?」は特に。
・アメリカからのご一行様
で、マニア的には、記者会見の席上でイアン・ペイズリーがマーティン・マクギネスのことを "my friend here" と呼び、マクギネスがニヤニヤ、ってのが「うはははっ」ということで。
しかしこのストーモントの華々しさ、先月BBC NIのドキュメンタリーで見た「ふつうの人々」(2つのコミュニティの間の衝突についての取材フィルムに出てきた、明らかにパラミリタリーの人たちとか、年金生活者とか)とは、まったく縁のない世界の何かのように見えるのだよなぁ。























