kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2007年11月29日

「ユニオン・ジャック feat. レッド・ドラゴン」案

ええと、なんでこれこんな話になってるのか、よくわからないんですが、UKでもこういう方向の報道があるし、うーん。

英国会下院でイアン・ルーカス議員(ウェールズに選挙区、労働党)が「ユニオン・ジャックにはウェールズが入っていないから、入れるようにしてはどうか」と述べて、それに対して閣僚が答えた、ということを報じる時事通信記事。

英国旗、200年ぶりに変更も=ウェールズの赤い竜をデザインに
11月29日7時1分配信 時事通信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071129-00000025-jij-int
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2007112900115
 【ロンドン28日時事】……略……国旗にデザインが採用されていないウェールズの不満を背景に、ホッジ文化担当閣外相が「変更を検討する」と語り、注目を集めている。
 ……略……
 ウェールズの国会議員らは「4つの連合国を表現するデザインに変えるべきだ」と訴えてきた。ホッジ文化担当相も「すべての国民が望むデザインを考えることはより大きな課題だ」と述べ、国旗変更の可能性を示唆した。


ガーディアン記事によると、上で引用した時事通信記事で太字にした部分は、
"Thinking of a new design that would meet everyone's aspiration would be an even greater challenge."

直訳:
「すべての人々の望みにかなうような新たなデザインを考案することは、さらに大きな課題となるだろう」
※時事通信記事の「すべての国民」は意訳。原文はeveryoneである。

このeven greaterという比較級は、この文の前にある "As the current flag is formed by merging three heraldic crosses representing the three kingdoms of the UK, the original design was a challenge." からのつながり。つまり、UKを構成する3王国(イングランド、スコットランド、アイルランド:1800年時点)のシンボルを掛け合わせた元々の(現在の)ユニオン・フラッグのデザインもchallengeだったが、すべての国民の望みが満たされるような新たなデザインを考えることはより大きなchallengeである、という話で、この人、修辞としては綺麗だけど中身のないことをしゃべっているのではないか、という気がするだけだ。「すべての人を満足させるのは難しい」なんて、消費者から苦情を受けた企業の顧客担当者じゃあるまいし。

ガーディアンは、こういう話では100パーセント労働党の御用新聞で(「疑惑追及」とかになるとそうではないのだが)あんまりあてにならないから、BBCの記事を参照してみよう。マーガレット・ホッジの発言を伝えている部分を引用。

Welsh dragon call for Union flag
Last Updated: Tuesday, 27 November 2007, 04:58 GMT
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/7114248.stm

However, Culture Minister Margaret Hodge conceded that Mr Lucas had raised a valid point for debate.

She said the government is "keen" to make the Union Jack "a positive symbol of Britishness reflecting the diversity of our country today and encouraging people to take pride in our flag".

And the minister acknowledged that a number of people across Britain were unhappy about flying the Union Jack as they felt it does not "truly represent the United Kingdom".

However, she said redesigning the flag had not been part of a consultation currently being carried out. ...

単に読み方の違いの問題かもしれないけど、太字部分、これって全否定ってことじゃないか? マーガレット・ホッジは、確かに今のユニオン・フラッグは実際の英国を体現するものとして受け入れられていない部分もあるかもしれませんというようなことを述べた上で、それでも、国旗のデザイン変更については現在検討されていません、と語った、とあるのだから。で、「将来的に変更する可能性」は、これは常に、「絶対にない」とは言い切れないし言い切らないだろう。つまり、「先々のことはどうかはわかりませんが、現時点では考えておりません。貴重なご意見ありがとうございました」だ。

で、ホッジの発言に戻るが、ははは、「Britishnessの肯定的なシンボル」ね。「こんにちの英国の多様性を反映し、人々が誇りを持つことのできる旗」。

同じBBCの記事に、保守党の(<「保守党の」です)ステュワート・ジャクソン議員が、デザイン変更などというものは「変な(エキセントリックな)」ことであり、人気は出ないだろうとした上で、「そういうことをしたからといって、この国の統一感が高まるというようにはならないでしょう(I do not believe it would add to the unity of the country)」と述べた、とある。

保守党議員のこの発言をどうとらえるかは別の話になるのだけれど、政権与党が「ユニオン・ジャック feat. レッド・ドラゴン」案を持ち出してくるなんて、Britainというもの、正確にはthe United Kingdomというエンティティは、そんなに危機に瀕しているんですかね。どこのイラクですか。だいたい、Britishnessという用語自体がアイデンティティ・クライシスを示しているのだし(北アイルランドはBritainではない)、元々そういうものだったんじゃないの? 特に1960年代以降は。

「アイルランド島の北部6州はアイルランド共和国に属するべきだ」というのはここでは度外視するとして――っていうか「英国」というエンティティにとってはそれが一番の本質的問題なんじゃねぇの、と私は思うんだが――「あの旗は真に英国を表すものではない」という理由で旗を掲げることを好まない人が、いったい何人いるのだというのだろう。「あんなの持ってたらBNPみたいでいやだ」とかいう人や「ポスト・コロニアルの視点では」とかいう人、「そもそも国旗とか自分で積極的に使うものじゃないし」という人、「あれはそもそも王室のもので民衆のものではない」という共和主義者(<アイルランドのではなくイングランドやスコットランド、ウェールズの)は、かなりいるだろうけれども。

確かに、例えばスコットランド人はユニオン・フラッグよりセント・アンドリューズ・クロスを好む、という傾向はあるかもしれない。しかしそれはユニオン・フラッグを受け入れていないからではなく、セント・アンドリューズ・クロスのほうがより「自分たちのもの」であるからだ。第一、人々が旗をぱたぱたしたがる最大の機会であるフットボールやラグビーなどの国際試合では、「連合王国」としてのチームは編成されないじゃん、「イングランド代表」、「スコットランド代表」、「ウェールズ代表」……で。そして、それを「ユニオン・ジャック feat. レッド・ドラゴン」で解消ないし軽減できると本気で考えているとは思えないし。それともウェールズはほっといたら独立しそうなんでしょうか?(とか書きつつ、これはスコットランドへの牽制だろうと私は何となく思っている。「英国のユニティ」を言い続けることに意義がある、ということで。)

いずれにせよ、「ユニオンジャックにウェールズが表されていないのはおかしい!」というのはずいぶん前からある主張ではある。今回こういう「おおごと」になっているのは、政府の要職者(閣外大臣、または副大臣:英語ではminister of state)が「それ」について発言したからだろうけど、よくよく読めばウェールズに選挙区のある労働党議員が言ったことに労働党政権がサポーティヴに応じているだけで、つまり「ウェールズのナショナリズム」の代弁者であるウェールズ民族党(Plaid Cymru)筋の話ではない。労働党は何をしたいのだろう。

たぶん、労働党は「連合王国」というものをバラバラにしないことが絶対に譲れない一線、という戦いの真っ最中で、総大将のゴードン・ブラウンがさんざん精神論をぶちあげているが(Britishness論)、それだけでは心もとないので、何か目に見えるものを検討しているというポーズだけは見せておこうということではないかとは思うのだけれども――あと、児童手当受給者の個人情報の大量流出事件やら不正な政治資金疑惑(<「またか」と思っただけで全然ニュース読んでませんが)やらでいろいろと大変なので、ここらへんでどっかんと賑やかしの打ち上げ花火がほしいのだろうと思うのだけれども――何と言うか、もう「必死ですわね」とだけつぶやいてお茶飲んでいたい。

ついでに、話を「おおごと」にしたがるメディア(ガーディアン、時事通信)にもお茶を勧めたい。

と思って、そもそもの火元であるイアン・ルーカス議員の書いた文章をガーディアンのCiFで流し読みしながら、お茶飲んでたんですが、百科事典の記述みたいで、文章の量はあるけれど私が既に知ってることしか書かれてなくて、しかも文体がおもしろいわけでもなく……ああでも百科事典的なので役には立つのかも。
http://commentisfree.guardian.co.uk/ian_lucas/2007/11/enter_the_dragon.html

で、私としては、このネタで「英国人」がこんなにおもしろくないのが納得できないので(<ステレオタイプの勝手な押し付け)、ワクワクしながらコメント欄に進むわけですよ。そしたらいきなり、1つ目が「ウェールズはロンドンの郊外でしかないの。いいかげんに受け入れなさい」という1行コメント。手ごたえありそう♪、とニヤニヤしながら先に進むと:
Its damnable confusing how the uk is made up.
I was looking through an old encylopdeia circa 1975.
It says
England is a country in the united kingdom
Scotland is a country in the united kingdom
Wales is a principalty in the united kindom
Northern Ireland is a region in the united kingdom.
(DaleyThompsonさん、英国)

英国人が言うな。うちらにとってはもっとややこしいんだから。しかも翻訳者泣かせ。イングランド、スコットランドというcountryの上にUKというcountryがあるし、nationという概念も同時に用いられるし。で、何でprincipalty (Wales) とかregiion (NI) がFootball Associationを持ってるのかとか、ほんともう、何とかして。

別なコメント:
Red, blue, green, white and orange .... polka dots. :))
(MartynInEuropeさん、在トルコ)

これいいかも。(笑) 一気に可愛くなる。ミッド・センチュリー風にもなりうるしオシャレ〜。

で、UOspreysさんが「さっそくやってみた」というデザイン案がポストされているのだけど:
http://farm3.static.flickr.com/2027/2069830304_beb9866717_o.jpg

……お茶吹きましたわよ、この画像! ご丁寧にアイルランド成分は除去してあるし!

UOspreysさん案で、中央上部にある「ダビデの星+王冠+赤い手」はアルスター/北アイルランドのシンボル(とされているもの)だけれども、これだけを載せるとまためんどくさいことになるので、中央下部にイースターリリーなりトリコロールなり……ってやるとそれはそれでめんどくさいことになりそうなので(それらはアイルランド共和国のシンボルである)、それから「上部にレッド・ハンド、下部にイースターリリー」というのも上下関係みたいでめんどくさいことになりそうなので、「レッドハンドの真横にボビー・サンズの顔」とかがいいんじゃないでしょうか、この際。ボビー・サンズがまずいのならFree Derry Cornerの壁でいいんでは。

あと、そこまでやるのなら、コーンウォールなどイングランド中央政府による文化弾圧を経験してきた各地域のシンボルも必要だし、マン島の「脚3本」も入れる? チャンネル諸島は共通語はフランス語だけど英領だよね? フォークランドは? ジブラルタル?

……とかいろいろ楽しいことを考えつつ、「ユニオン・ジャックは廃止して、星条旗に星を1つ足すだけでOKじゃね?」とか、「そもそもがややこしいんだから、国名を改めてはいかがか。UKOGBANI (the United Kingdom Of Great Britain And Northern Ireland) で」とか(「ユコグバニ王国」ですか……ははは)、「つーかウェールズ独立すべき。何で他国の王に神のご加護をってのが国歌なのかわけわからんし」とか、「Alex Salmondによると2017年にはユニオン・ジャックに空席ができるらしいから、そのときにやれば?」とか、みなさんの井戸端会議を読みつつ、「どうせこれもまた、ときどき浮上しては、そのたびに『貴重なご意見、ありがとうございました。今後の検討課題とさせていただきます』的に、何も起きずに終わるというアレのひとつだろう」と思い、それこそがBritishnessだと奥歯で噛み締める。(ああ、英国。ドラスティックな変化を望む人たちには適当にガス抜きの場を与えておいて、変化は起こさせない。)(←えらくステレオタイプ。笑)

ユニオン・ジャックの「近代化」といえば、2003年に、実際に新デザインが発表されて、BBC記事で話題になったことがある。
Rebranding puts black marks against UK flag
Last Updated: Wednesday, 11 June 2003, 11:06 GMT 12:06 UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/2981038.stm

もっとも、この「新デザイン」は「多文化」についての議論を目的として考案されたものであり、「国旗の変更」の手続が本当にとられようとしていたわけではない。(そもそも、ユニオン・フラッグは成文法で規定されているものではなく、したがって変更するとしても法的にどう手続すればよいのかすらよくわからないらしい。)(ああ、コモン・ローの国。笑)

今のユニオン・フラッグは、1800年の連合法(合同法:the Act of Union 1800)で形になったもので、「グレート・ブリテン(ブリテン島)+アイルランド(アイルランド島)」を表している。その前段階として、1603年のイングランド王とスコットランド王の連合により船舶で使われ始め、1707年の連合法(合同法:the Acts of Union 1707)で広く一般に使われるようになった「イングランド+スコットランド」(=グレート・ブリテン)の旗があった。

下図は、en.wikipediaにあるpublic domainの図を使って、この流れを説明したもの。(使いたい方はご自由にお持ち帰りください。)

unionjackdesc.png

白地にタテヨコの赤い十字がイングランド、青地にナナメの白い十字がスコットランド、白地にナナメの赤い十字がアイルランド(ただしこの「アイルランドの旗」は、アイルランドで伝統的に用いられてきたものではない。アイルランドの伝統的な旗は金の竪琴とか、シャムロックとか、ケルティック・クロスとか←これは後に変な意味がついちゃった)。(ちなみに緑・白・オレンジのアイルランド国旗は、フランス革命の共和主義思想から19世紀にもたらされたもの。1916年のイースター蜂起でIRAが占拠した中央郵便局に掲げられたことで一般に知れ渡った。)

1921年のアングロ・アイリッシュ条約、1922年のアイルランド自由国成立で、「アイルランド」は「連合王国の一部」ではなくなっているのだから、このアイルランドの赤のナナメ十字を取り去ってもいいんじゃないか(むしろ、そうすべきではないか)と思うのだが、「北アイルランド」があるのだからそうする必要はない/そうしてはならない、ということになっている。

話がずれてしまったが、以上のような次第でできあがったこの「英国の国旗」には、そもそもウェールズのシンボルは影も形もない。というのは、1603年にイングランド王とスコットランド王が連合した時点で既に、ウェールズ王国はイングランド王国に合併されていたからだ(Laws in Wales Acts 1535 - 1542)。

現在のウェールズの「ナショナル・フラッグ」(<これを「国旗」と翻訳することはできない)は、緑と白の地に歩いている姿の赤いドラゴンであるが、これが公式に「ナショナル・フラッグ」となったのは1959年、インドが独立したり、アイルランド自由国がアイルランド共和国になったりと、第二次大戦後に各地で「ナショナリズム」が盛り上がったころのことだ。
http://en.wikipedia.org/wiki/Flag_of_Wales

で、「ウェールズのシンボル」というと自動的にこの「ドラゴンの旗」が連想されるのだが、実はウェールズのシンボルはいろいろある。その中にはSaint David's Crossもある。黒地に黄色の十字。
http://en.wikipedia.org/wiki/Flag_of_Saint_David

イングランドもクロス、スコットランドもクロス、アイルランドもクロスで構成されている今のユニオン・フラッグにウェールズのシンボルを組み込むとしたら――ましてやアイルランドが「竪琴」など伝統的なシンボルではなく、一貴族の家の旗であったクロスでリプレゼントされていることを思えば――、仮にユニオン・フラッグがウェールズも含めた形に変更されるとすれば、このクロスを組み込むと考えるほうが合理的であろう。

でも、今回ウエストミンスターの議場でそもそも話を持ち出したイアン・ルーカス議員は、この黄色い十字は最初っから度外視していたようだ。
http://www.guardian.co.uk/guardianpolitics/story/0,,2217980,00.html
"We could add the cross of St David, but for me yellow and black would not be an ideal design. The recognised symbol of Wales is the Welsh dragon. I would like to see the incorporation of the Welsh dragon on to the union flag so that it would represent the four constituent nations of the UK."

「セント・デイヴィッド・クロスを加えることもできるのですが、自分としては、黒に黄のあのクロスはデザインとしてどうかなあと思います。ウェールズのシンボルとして認識されているのはドラゴンですし、ユニオン・フラッグにウェールズのドラゴンが加われば、英国(連合王国)の4つの構成国を示すことになりますし、それがよいのではないでしょうか」

いや、どうせならクロスのほうがいいって。現状のユニオン・フラッグの幾何学模様のなかにいきなり具象でドラゴンが来たら、それが「英国」全体のクレストかなにかのように見えちゃうし。

ああそうか、いっそコート・オヴ・アームズを全部並べてデコンストラクトしたらどうだろう? 4つの構成国のものなら歴史的なものになっているんだし。イングランドのCoAはいろいろとめんどくさいのだけど、一番人々に馴染みがあるのでスリーライオンズに出てきてもらって、スコットランドが左向きのレッドライオン、ウェールズがフォーライオンズでここまででライオンが8頭。これにいろいろてんこ盛りになってる北アイルランドのコート・オヴ・アームズ(1972年まで)を合わせて、ライオンが9頭、シカが1頭。脳内で合成してみたらなかなかよさげだし。で、北アイルランドのユニオニストにはそれで納得してもらって、アイルランド島は統一。連合王国は北アイルランド分の領海はもう諦めて、アイリッシュ海は二国間協定で何とかする。さらに、ワイト島などからもそれぞれ出てきていただき、必要ならばジブラルタルなど遠く離れた領土からも出てきていただいて、動物園みたいににぎやかな旗にする。

あたしって天才。



ウェールズのナショナリズムについては:
http://en.wikipedia.org/wiki/Wales#Nationalist_revival

概要:
20世紀になってから組織だったナショナリズム運動が形になり、1925年にPlair Cymruが結党。1955年にカーディフが「首都」の地位を獲得、1962年に「ウェールズ語協会」が発足しウェールズ語の存続運動を本格的に開始(で、最近の英国はこの時期以降のことを「多文化」とか「多様性」として自画自賛し続けている)、1965年にイングランドのリヴァプールに水を供給するためにウェールズの村がダムの底に沈められることになりナショナリズムはさらに盛り上がり、1966年には民族主義的すぎて一般にはわりと敬遠されていたPlaidが初めて英下院議席を獲得。このころ、民族主義者の一部による武装闘争もあり(<このことは日本で語られる「英国の歴史」では忘れ去られているのだが。あと、スコットランドの民族主義でも武装闘争はあったのだけれど、それもほとんど語られない)、1967年に法的手続きが行なわれて、イングランドとウェールズの間のボーダー(境界線、国境線)が確定。ウェールズ議会(自治議会)の設置については、1979年のレファレンダムで大半が「NO」と投票したが、1997年のレファレンダム(ブレア政権下)では「YES」が「NO」をかろうじて上回り、1999年にウェールズ議会が設置された。

あと、ウェールズ民族主義の立場からの「ウェールズは国旗からも疎外されている」という主張は、例えばこういうのがある。

Union Hi-Jack, the curious case of the missing country.
By Ed Welsh - famouswelsh.com
Latest update: 29-12-2004
http://www.famouswelsh.com/13_Articles/Union_Jack/Flag_of_Wales.html



■追記@12月1日午前10時ごろ:
前代未聞! この件(詳細はコメント欄参照)に関連して「はてなブックマーク」のトップページにテレグラフが!! 関連記事もあわせて全部で3つ入ってるし。
hatebu.png

で、2ちゃんの投稿を見ていると、テレグラフについて「保守系の高級紙で部数最大」という内容の説明のコピペがありますが、「保守系」というか「保守党系」の新聞なので(明確な人的つながりがある)、労働党にはアンチの新聞です。だから今回の「国旗のデザイン変更」という話(労働党筋から出てきたこと)は冷笑的に見ている。「高級紙」かどうかは……小林恭子さんのブログの2007年11月17日エントリとか参照してください。読者層は、いわゆる「ミドルイングランド(旧来の中産階級と新興の富裕層)」というより、つつましい生活を送っている保守党支持層というべきでしょう。また、部数は確かに最大ですが(In October 2007, the Telegraph was the highest selling British broadsheet, with a certified average daily circulation of 882,413. This compared with a circulation of 642,895 for The Times, 240,134 for The Independent, and 364,513 for The Guardian.)、当該の記事が紙版の新聞に出ているかどうか、わかりません。今ならe-paperで30 Novemberの号が登録していなくてもサムネイルで見られるのですが(日付が変わると、登録していないと見られなくなります)、少なくとも、確実に載っているという雰囲気ではありません。本当に知りたい方はテレグラフで登録して、e-paperでご確認ください。

なお、ウェブサイトのトラフィックでは、現在も上記4紙のうちではガーディアンがトップのはずです。ちょっと前のデータですが、テレグラフはBBC、ガーディアン、タイムズとザ・サン(タブロイド)の下で、それゆえにウェブサイトの充実を考えて小林恭子さんが報告しておられるとおりの方向に進んでいます。最近は右派メディアではデイリー・メイルが躍進していて、テレグラフはさらにその下に落ちているかもしれませんし、巻き返しているかもしれません(確認をしていません)。

※この記事は

2007年11月29日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 23:55 | Comment(2) | TrackBack(0) | todays news from uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
なんかこんな話にまで展開しているようですけど。。。

イギリス人「JAPが国旗の解決案を提示してきやがった!」ねらーの送ったデザインが掲載される
http://news23.2ch.net/test/read.cgi/news/1196429793/
Posted by 通りがかり at 2007年12月01日 00:03
あはは、これはチェックしていなかった! テレグラフ、相当おもしろがっていますね。よりによってそれを選ぶか、というのを選んでいますし。
http://www.telegraph.co.uk/news/main.jhtml?xml=/news/2007/11/30/nflag130.xml

2ちゃんでの職人さんたちのお仕事は、はてなブックマークのトップページからまとめブログのエントリを拝見していたのですが:
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1061497.html
(私は122さんの尻尾がちょろっと出ているのでお茶吹きました。その発想はなかった!)

ここにある2ちゃんでの発言は、ウェールズのドラゴンについて無茶苦茶にくさすようなものを除いては、いずれも「問題」にならないと思います。テレグラフの記事も、単におもしろがっている調子です。The designs ranged from the sober and sensible to the frankly comic. (デザインはごくまともなものから、明らかにギャグであるものまで、いろいろある)ですし、笑いは笑いで受け止められています。

しかし、テレグラフも好きねぇ。。。

個人的には、ウェールズのSt David's Crossを加えて、中央のイングランドの赤いクロスの外側を黄色と黒にすれば、ちょっと目にうるさいけどいいんじゃないかと思いましたが、それに近いのがテレグラフにも載っていますね。

ちなみに、BBCに送られたものは下記で一覧できます。唐突に「長ネギ leek」が出てきますが、リークと水仙はウェールズのシンボル(スコットランドにとっての「アザミ」)です。どうせなら水仙を使えばいいのに。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/in_pictures/7117755.stm

なお、当ブログでは、コメントの投稿の際は一貫したハンドルをお使いいただくようお願いしております。次回からはなるべく「通りがかり」以外のお名前でご投稿ください。また、「通りがかり」さんがデイリー・テレグラフ紙の方でないのなら、コメント投稿フォームにあるように、「あなたのウェブサイトのアドレス」のところにテレグラフのURLは入れないでください(他人のサイトのURLはその欄には入れず、コメント本文に入れてください)。以上、口うるさいようですがお約束ということでよろしくお願いします。
http://nofrills.seesaa.net/article/40419881.html
Posted by nofrills at 2007年12月01日 01:52

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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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▼当ブログで参照・言及するなどした書籍・映画などから▼