kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2007年10月24日

ノーベル文学賞受賞者の「私たちにはIRAが」発言の件

先日、過去にノーベル賞を受賞した79歳のアメリカ人の科学者の「舌禍事件」があったが、今度は今年ノーベル賞を受賞した88歳の英国人の作家の「舌禍事件」みたいなもの。

Lessing says 9/11 'not that bad'
Last Updated: Tuesday, 23 October 2007, 10:20 GMT 11:20 UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/entertainment/7057601.stm

今年のノーベル文学賞を受賞したドリス・レッシングが、スペインの新聞のインタビューで、「9-11事件はそれほどひどいものではない」と述べた、という件についての記事だ。要するに「過剰反応である。自分たちだけがそういう目にあったと考えるのは見当違いである」ということを言いたいのだろう。(それを「言いたい」のがレッシングなのか、あるいは記事を書いた人なのか、見出しを考えた人なのかは微妙なところだが。)

と思いつつ記事の中身:
Nobel Prize-winning author Doris Lessing has said that the 11 September attacks were "not that terrible" compared to the IRA's terror campaign.

"Some Americans will think I'm crazy... but it was neither as terrible or as extraordinary as they think," the writer told Spanish newspaper El Pais.


実は、個人によるこういう見解自体はそんなに珍しいものではない。しかし、ブログ検索で見たところ、USの保守層でこのことについて書いている人たちは、相当カチンと来ているようだ。(英国のブログでの反応が見当たらない……検索結果を数ページ見たが、ニュースを貼り付けているだけのものと、欧州のものとUSのもの。UKで誰も書いていないということはないと思うので、見落としているだけだと思うが。)

それは個人的にはどうでもいいのだが、USの保守層ってのは「スペインの新聞El Paisで」と明示されていることについて、その新聞の元記事を確認しようということを考えもしないのかね。ブログ検索から3つか4つのエントリを見たらばかばかしくなってきたので私が見た件数は少ないのだが、US保守層のブログで「原文を参照した」というポストは1件もない。3つか4つ見ただけで判断するのもいかがなものかと自分でも思うが、1つ見ただけでぐったりと消耗してしまうのでやめた。何しろ、最後に見たブログが対テロ戦争についての著書もあるジャーナリストのものなのだが、そのエントリが、レッシングのこの発言について報じる英語の記事(後述)の地の文と、レッシングの発言そのもの(カギカッコ内)との区別もしていないという、どうしようもなく品質の低いものだったから、打ち止め。とてもじゃないが「ジャーナリスト」のものの見方とは言えなくないか、これは。素人の「ニュースを読んだ感想」とか「チラシの裏」ならともかく、ジャーナリストとして仕事をしている人なら、少なくとも原文を見てみようという気くらいは起こしてほしいし、そもそも記事の地の文と本人の発言の部分が区別できないと、仕事にならないだろうに。

まあUS保守層の反応などどうでもいい。1件、「アイルランド問題は、英国がアイルランドを武力で侵略したことが原因だ。アメリカに起きたことは、アメリカが武力侵略したことが原因なのではない。アメリカは、その国の政府に受け入れられる場合にのみその国と関係を結んでいる」という見解を示したものがあったが、プロクシというものをご存じないとしたらおめでたい限りであるし、国家対国家(あるいは国家対地域)の「戦争」と、アルカイダなどの「テロ」との根本的な相違点――「政府」や「国家」の意味――を踏まえずに、war on terrorというレトリックで踊れたら楽しいだろうね、という気がするだけだ。

でさ、「スペインの新聞」で「テロ」の話、特にIRAの話と来れば、インタビュアーはETAの話をしたいんだな、って推測できるよね。それにピンと来ないというだけでも、naiveな人たちだなあと私は思う。っていうか、英語でこのインタビューの紹介をするときに、ETAというファクターを消すなよ、とも思うわけだが。

その点を確認するために元のEl Paisの記事を探してみた。(私はスペイン語はまるで読めないので、記事は見つけられても読むことはできないのだが。)
http://www.elpais.com/articulo/reportajes/guerra/memoria/acaban/elpepusocdmg/20071021elpdmgrep_2/Tes
→この記事の、かなり正確なものと思われる内容紹介@英語は、英語とスペイン語の投稿型ニュースサイト、Speroに。内容はこのエントリの下のほうに要約。
http://www.speroforum.com/site/article.asp?idarticle=11685
P. (= interviewer) El 11-S, el 11-M, los atentados de Londres, nosotros seguimos sufriendo a ETA. Usted ha escrito mucho sobre terrorismo.

R. (= interviewee) Y aquí tuvimos el IRA. ¿Sabe lo que la gente olvida? Que el IRA atentó con bombas contra nuestro Gobierno; que mató a varias personas mientras se celebraba una convención conservadora, en la que estaba la primera ministra, Margaret Thatcher. La gente se olvida. El 11-S fue terrible, pero si se repasa la historia del IRA, lo de los americanos no resulta tan terrible. Cualquier americano pensará que estoy loca. Murieron muchas personas, cayeron dos edificios prestigiosos, pero no fue tan terrible ni tan extraordinario como ellos creen; son gente muy ingenua, o fingen que lo son.

推測が当たったらしい。もうちょっと確認したいので、http://www.freetranslation.com/ で翻訳(ES→EN)してみた:
P. The 11-S, the 11-M, the attacks of London, we continue suffering to ETA. You have written a lot on terrorism.

R. And here we had the IRA. It knows what the people forgets? That the IRA attempted with bombs against our Government; that killed several people while a conservative convention was celebrated, in which was the prime minister, Margaret Thatcher. The people is forgot. The 11-S was terrible, but if the history of the IRA is reviewed, that business about the Americans does not turn out to be so terrible. Any American will think that I am crazy. Many people died, two prestigious buildings fell, but he was not so terrible neither as extraordinary as they believe; they are very ingenuous people, or they pretend that they are it.

にゃるほど。つまりインタビュアーが「9-11、3-11(マドリード)、ロンドンへの攻撃など、またスペインでのETA」というように具体例を列挙し、「あなたはこれまでにテロリズムについて多くのことをお書きになっておられます」と言ったのに対し、レッシングが「ええ、英国にはIRAがいました」と答えた。そして、BBC記事で紹介されている言葉、つまり「アメリカ人は世間を知らないのだ」が続いている。

この会話が始まる前の部分では、話題はアフガニスタンに対するソ連の侵略のことだ。特にアフガンに入ったソ連軍がいかにひどかったかについて。その前は、レッシングの生涯についての話のようで、彼女が生まれたイランのこと、彼女が若いころに住んでいたことのあるジンバブエのことが話題になっている。イランとジンバブエとくれば、2005年以降、「世界で最もひどい体制の国」として何かと取りざたされる国であり、特に欧州ではジンバブエのムガベ大統領については多くが語られている。(アメリカでは「ムガベって誰?」かもしれないけれども。)イランの話の次にプーチンが出てきて(イランには石油があるからロシアは厳しくしない、という話)、そこからアフガンに話がつながっている。ちなみに、IRAだのマーガレット某だのが出てきたあとの会話の話題は、トニー・ブレア批判。

というわけで、ちゃんと構成を考えてしゃべっているというよりは、だらだらとしゃべっているような雰囲気が感じられる。床屋政談っぽいというか雑談っぽいというか。一言でいえば、「レッシングのファンにはおもしろいかもしれない」。

しかるに、このインタビューを紹介する英文の記事では、そういう「全体の流れ」がまるで消されてしまっている。

というわけで英文の記事。例えばAPの報道(上述のUSのブロガーがソースとして参照していたので知った):
http://www.msnbc.msn.com/id/21425392/
"September 11 was terrible, but if one goes back over the history of the IRA, what happened to the Americans wasn't that terrible," the Nobel Literature Prize winner told the leading Spanish daily El Pais.

"Some Americans will think I'm crazy. Many people died, two prominent buildings fell, but it was neither as terrible nor as extraordinary as they think. They're a very naive people, or they pretend to be," she said in an interview published Sunday.

"Do you know what people forget? That the IRA attacked with bombs against our government; it killed several people while a Conservative congress was being held and in which the prime minister, Margaret Thatcher, was (attending). People forget," she said.

つまり、「9-11はひどいことでしたが、IRAのやってきたことを考えれば、アメリカに起きたことはそれほどひどいことではありません。こういうことを言うと、頭がおかしいとアメリカ人からは思われるかもしれませんけれど。確かに多くの人が死に、非常に有名なビルが2棟崩壊しましたが、そのことは、アメリカ人が考えているほどひどいことでもないし、例外的なことでもありません。非常に世間知らずなのですよ、アメリカ人は。あるいは世間知らずというふりをしているのです。」そしてその根拠としては、「人々は忘れているのですよ。IRAは私たちの国の政府に対し、爆弾で攻撃を行なったということを」。

で、その「IRAの爆弾」の具体例としてレッシングが挙げているのが、1984年のブライトン爆弾事件なのだが(保守党党大会会期中に、保守党の政治家が宿泊していたホテルで大爆発、議員1人と議員の家族ら4人が死亡、34人が負傷)、具体例はさておき、「アメリカでのテロ攻撃」と「IRAが何をしてきたか」との間には飛躍があるように見えるかもしれない。まあ実際に飛躍はあるかもね。(私は英国人がこういうふうに語るのを見るのは初めてではないから、「出た」と思っているのだけれど。)

AP記事には、上に引用した部分の後に、「9-11では3,000人近くが死亡した。30年におよんだNI紛争では3,700人が死亡し、何万という人たちが負傷した」という記述があるが、すっごい変な記述である。レッシングの発言からは、「IRAは政府を襲ったが、アルカイダの9-11はそうではなかった」という彼女の見解が見えるだけで(そしてその見解は間違ったものである――9-11はWTCを崩壊させただけではなく、ペンタゴンを襲っているのだから)、彼女が「それほどひどいものではなかった」というのは犠牲者数の比較の話ではない。犠牲者数の話にしているのはAPの記者である。

しかもこの記者、ほんとにわかってないのかもしれない。

まず、「NI紛争で死傷した人たち」は全員がIRAの犠牲者だったわけではなかった(NI紛争のプレイヤーは、IRAのほかに、UDA, UVFなどロイヤリストのテロ組織、そして英軍、RUCなど治安当局、さらにはIRA以外のリパブリカンのテロ組織……)。したがって、NI紛争全体の死者数を持ち出してIRAを語ることはできない。

それから、「IRAが何をしてきたか」がこの文脈で持ち出される意味について。わかっててもわざわざ書かないのかもしれないけれども。(そのことを書いてある報道記事は、私はめったに見ない。あんまり見ないから、一種の「タブー」というか、「それを言っちゃおしまいよ」ということなのだろうと思っているくらいだ。)

英国人によって「9-11」と「IRA」が並べて語られるということは、つまり、IRAの活動資金の多くがどこから来ていたかを知っていれば、「アメリカがやられたとたん、これかよ」と反射的につぶやきたくもなるよね、ということだ。

実際、レッシングの言ったようなこと(アメリカ人ってnaiveだよね、という意見)は、私は9-11発生直後(アフガン爆撃のころ)にネット上の英語のフォーラムなどで見たことがあるし、実際に会って話をした英国人も、核心をズバリ指摘した上で、そういうことを言っていた(U2のコンサートでBonoが F**k the revolution. と言ったのと、内容的には同じこと)。だからといって私は「9-11」について「当然の報い」とは思わないけれども、アメリカは、アメリカがやられるまで気付かないという「現実」、しかし一度やられたら絶対に忘れないし、徹底的にやり返すのが「正しいこと」であるかのように振る舞うものだという「現実」――あのとき、要職者の口から何度も繰り返された「パールハーバー」の言葉――を見て、ますます「アメリカ」にうんざりはしたし、今でもうんざりだ。「きみらは知らないかもしれないけれども、きみらの支持とカネがなかったら、IRAはあそこまでの派手な活動はできてないのだよ、アメリカ人諸君」というイングランドの怨念は、私にも埋め込まれてしまっている。困ったもんだ。(^^;)

むろん、英国(北アイルランドとイングランド/英軍、警察、政治家、対立組織、民間人)がIRAの攻撃を経験してきたからといって、そのことだけによって9-11のことをあれこれ言うことは、シニシズムを意図しているのでない限りは、特に意味のあることではない。



Spero Newsに掲載されたEl Paisのインタビュー要旨(英文):
IRA worse than 9/11, says Doris Lessing
Martin Barillas
http://www.speroforum.com/site/article.asp?idarticle=11685

ざっくりまとめると:
Juan Cruz記者とのインタビューの話題は、88歳のドリス・レッシングの健康状態から国際情勢に至るまで多岐にわたっている。イランに生まれローデシアで育ったレッシングは、風邪を引いたとかおなかの調子が悪いと言いながら、ブッシュ米大統領やジンバブエのロバート・ムガベ大統領、イランのイスラム政権などを厳しく批判した。

その中でレッシングは2001年9月11日のイスラミストによる米国へのテロ攻撃について言及し、「そしてここ(英国)にはIRAがありました」と述べた。

レッシングの見解では、9-11は「ソ連によるアフガニスタン侵略の結果」であるという。彼女はソ連の占領下において人権が(特に女性の人権が)蹂躙されていたことに言及し、またアフガニスタンでは英国が3度にわたって敗北を喫していることにも言及している。現在、英国がアフガニスタンに派兵していることについては彼女は「ジョークですよ。笑えるジョークではないジョーク」と述べた。
イランについては、「イランは大嫌いです、イランの政府が大嫌いです。邪悪で残忍な政府です。ニューヨークでアハマディネジャド大統領が『邪悪で残忍』と言われたことはご存知でしょう。よくぞ言ったというところですね。もっともっと言ってやればよかったのに! イランの大統領のことは誰も批判しません、石油のためにね。だから英国の素敵な政府もイランのことはかばうんですよ、石油があるから」と述べた。

ブッシュ大統領については、「全世界にとっての災難(a worldwide calamity)です。あの人には世界中がもうほとほとウンザリしています。あの人は頭が悪いのか、それともよほどの切れ者なのか、わかりませんけど、いずれにしても戦争から大きな利益を受ける社会階級の一員ですからね。戦争によって利益を得る人たちがいろいろいるということを私たちは忘れています。」

トニー・ブレアについては、「ブレアのことはずっと嫌いでしたよ、最初っから嫌いでした。英国民にはブレア嫌いが大勢います。あの人は英国にとって災難でした。あの人のおかげで何年も大変な思いをしてきたのです。ブレアが選出されたときにも私はそういいました。この男は私たちを困った状態に追いやるどうしようもないショーマンだ、とね。そして実際にそうなったんです。」

Spero Newsの記事を書いたMartin Barillasさんは、米国の元外交官でラテンアメリカ、欧州、米国で人権オブザーヴァーとして仕事をしてきた人だとのこと。



なお、「9-11があったからといってアメリカが全面的に被害者であるかのように振る舞えるのか」という点について、「アメリカはこれまでひどいことをたくさんやってきた。例えばエルサルバドルやチリ」といったことは、2005年受賞者であるハロルド・ピンター(英国の劇作家・著述家)が彼のノーベル・レクチャーで明確に示していた――それゆえ、ピンターは右派、特に米国の右派からめちゃめちゃけなされたりもした。

ピンターの論集。とてもよい本です。
4087203840何も起こりはしなかった―劇の言葉、政治の言葉 (集英社新書 384A)
ハロルド・ピンター 喜志 哲雄
集英社 2007-03

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※この記事は

2007年10月24日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 23:09 | Comment(1) | TrackBack(1) | todays news from uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ピンター『何も起こりはしなかった』におさめられている、湾岸戦争のときにガーディアンに掲載を拒否され、インディでも拒否されたピンターの問題作(sh*t連発の詩)を、アーサー・ビナードさんが日本語に翻訳されているそうです。

1月20日のETV特集、「父とチャコとボコ〜金子光晴・家族の戦中詩〜」でやっていました。
http://www.nhk.or.jp/etv21c/update/2008/0120.html

この番組では、金子光晴の詩(富士)をアーサー・ビナードさんが英語に翻訳されたものをご本人が朗読するシーンもありましたが、この英訳もすごくよかった。番組再放送チェックは下記で。
http://www.nhk.or.jp/etv21c/saiho/index.html
Posted by nofrills at 2008年01月20日 23:44

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Dorris Lessing y el terrorismo
Excerpt: ドリス・レッシングがスペインの新聞el paisのインタビューに答えて話題になっているという話を「ノーベル文学賞受賞者の「私たちにはIRAが」発言の件」で知りました。el paisの記事は”La g..
Weblog: everything reminds you of something
Tracked: 2007-10-27 02:24





【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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