kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2007年07月08日

レバノンのクラスター爆弾。そして禁止条約への英国の関わり

BBCのIn Picturesで、昨年の戦争でレバノンに残されたクラスター爆弾の不発子爆弾(unexploded cluster bomblets)のことがレポートされている。写真10枚。

In pictures: Lebanon's leftover munitions
Last Updated: Saturday, 7 July 2007, 14:29 GMT 15:29 UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/in_pictures/6270202.stm

1枚目は、レバノンの杉とレバノンの地図が描かれた、おそらく昨年の戦闘による弾痕が残っている壁に、子爆弾の写真を何点も使って「こういった不審な物体には手を触れないように」と注意を喚起するポスターと、その前を通る父子の写真。

2枚目は、爆発しないように処理されたあとの子爆弾を持つ男性の写真。キャプションには「昨年の8月下旬に戦争が終結して以降、残された弾薬によって200人以上の市民が死傷している」とある。男性の持っている子爆弾の本体はチャーコールグレーか深緑色のような色だ。本体のほかに、ひらひらしたリボン状の布か何かの輪を男性は持っているが、これはfas.orgの説明ページにあるAPERS/AMAT submunitions (conventional) というキャプションのある写真の一番左にあるものかな。

3枚目は、整然と木の植わった丘陵地で立っている男性。キャプションを読まなければこの写真の意味はわからない。「耕作地一面に多くのクラスター爆弾が子爆弾を撒き散らした。『作物はやられてしまいました』とこの農家の男性は言う。『地雷などの除去を専門にやっている人たちに子爆弾を除去してもらうまでは、自分の土地で作業するのは怖くてできませんでした』」とある。男性の背後は雑草に見える草が茂っていて、畑と思われる部分も下草がけっこう深そうだ。子爆弾がこんなに草の多い土地にあったら、視認は不可能だろう。

4枚目は歩行補助の道具につかまって立っている、比較的若い男性。キャプションには「シャディは危険があることは承知していたが、子爆弾除去チームを待って収穫を無駄にする余裕はなかった。そこで自分で子爆弾を除去しようとしたが、爆発して負傷した」とある。男性の脚は金具がついているように見えるが、義足だろうか。(写真のサイズが、それをはっきり確認できるほどには大きくない。)

5枚目は片脚を投げ出してベッドの上に座る中年の男性。膝からすねにかけて金具がついている。骨折の固定用の金具だろうか。キャプションには「街路の瓦礫のなかにクラスター爆弾(の子爆弾)があるとは知らず、甥が子爆弾を踏んでしまった。甥と私のおじがそれで死に、私と他の人たちは怪我をした」という男性の言葉がある。この男性は、おそらく、怪我が軽かったほうだろう。

6枚目は12歳くらいだろうか、男の子で、カメラに向かってお腹を見せている。臍から鳩尾にかけてまっすぐに傷跡が走っている。キャプションには「アハメッドは自宅近くでサッカーをしていた。ボールが子爆弾に当たり、爆発した」とある。

7枚目はレモンかな、果樹園で木の根元のところで、いわゆる「ヤンキー座り」をしている除去作業員の写真。キャプションによると、除去作業の休憩中で、レバノンにはさまざまな団体から全部で1000人以上の作業員が入って除去活動を行なっている。果樹園の地面は、よくある「みかん狩り農園」のイメージ写真のような感じで緑の下草が茂っている。緑色やグレーの子爆弾では見えない。子爆弾が黄色のような「目立つ色」であったとしても、この環境では「実ったレモンが落ちている」ように見えるだろう。

8枚目は、「空き地」のような、かなり背の高い草の茂った場所でしゃがみこんでいる男性。画面の左側は作業が終わった区画のようだ。男性は装備をつけているから除去作業員だろう。キャプションには「雑草を慎重に刈って子爆弾(mineという語が用いられている)を除去する男性。雑草に混じってタバコが生えているが、地元の農民が自分で採ろうとしないように、男性はタバコの収穫も兼ねて作業している」とある。タバコが雑草に混じって生えているわけではなく、タバコ畑の手入れができないから雑草が繁茂してしまったのだろう。タバコ農家にとっては大打撃だろう。しかしこんなに深い草のなかに埋まってたらみかん箱くらいの大きさのものでもまったく視認できない。ましてや子爆弾は無理。見えない。除去するにしても、すでに草の中に子爆弾があるのだから、雑草を一気に刈るわけにもいかない。なお、この「地雷原」化した土地のすぐ脇には人家と思しき建物が並んでいることもこの写真からわかる。

なんでこういう場所でクラスター爆弾なんか使うかね。イスラエル軍が2006年7月に「クラスター爆弾の子爆弾は、不発のまま残ると戦闘が終わっても大変な危険をもたらす」ということを知らずにいたとはまったく考えられないので、それでも使うべきと判断したのだと結論するほかないが、彼らが戦場と呼んだそこは、戦場と呼ばれないときは町なのだ。

9枚目は雑草を除去したあとの更地(っていうのかな)で金属探知機を使っている作業チームの写真。装備の色から国連の人たちだとわかる。キャプションには「耕された農業用の土地は土が軟らかく、子爆弾は地面に埋まってしまうことが多い」とある。つまり、地表に転がっていなくても畑の中に埋まっているかもしれないから金属探知機でチェックをしている。気が遠くなる作業だ。

それと、畑みたいにふかふかした土地だと着弾時の衝撃が弱いから起爆せずに残るケースが多そうな気がする。(その方面には疎いのではっきりとはわかりません。変なことを書いていたらコメントでご指摘ください。)

10枚目は回収された子爆弾(不発処理済)の写真。木箱に入れられ、整然と並べられたそれの写真は、ぱっと見「著名になりかけのアーティストの習作」のようなテクスチャ感だが、不発処理で巻かれたと思われる黒いビニールテープ(だと思う)がこれをそう見せるのに大きく貢献しているのだろう。子爆弾自体は元々は深緑っぽいような色をしていて(深緑っぽい地に黄色で1本線が施されているのが確認できるものもある)、今は錆が浮いているように見える。これらはこれから破壊される (awaiting destruction) とのこと。

クラスター爆弾の子爆弾が不発のまま残ると結果的に地雷のように作用するということは広く知られている。それでも使われるのは、単にクラスター爆弾が優れているからだろう(今使われているタイプのクラスター爆弾については、「地雷として使うことが目的」ということではなくて「結果的に地雷として機能する」のだ)。しかし拠点をころころ変えるゲリラたちに対して――「軍事目的で建設された施設」だけでなく、畑だろうが果樹園だろうが何だろうが「軍事拠点」にしてしまうゲリラたちに対してこれを使うということは、あまりに乱暴にすぎやしないか。

といっても、昨年の戦争ではイスラエル軍はふつうのインフラストラクチャーである道路でさえも「ヒズボラが使っているから」という理由で爆撃して破壊していたのだから(ヒズボラが使えば軍事標的になるんだろうかと激しく疑問に思ったが)、「乱暴にすぎる」とか言っても「はいはい」と聞き流されるだけだろう。ほんと、何とかならんのかね。いや、「クラスター爆弾の使用」に限らず、全般的に、「敵」認定したら何が何でも「敵」だ、「敵」でないというのなら「敵」だという理由をつける、という態度が。(実際、例えば東京大空襲でも原爆でもそうなんだけど。)



さて、In Picturesの10枚の写真、撮影者クレジットは All photos by Marko Kokic/ICRC (ICRC = International Committee of the Red Cross: 国際赤十字)となっている。撮影者のお名前で検索したら、ICRCのサイトで、昨年のレバノンでの戦争についてのMarko Kokicさんのフォトレポートのページが見つかった。

爆撃が激しく、人々が地下室にパンと水を持って避難していた南部の沿岸沿いの都市、ティール(Tyre)で、小麦粉も尽きかけ電気も来ずパンを焼くことができないという状況にあるパン屋に赤十字が急場しのぎの支援を行なったこと。ティールから東に15キロのマルーブという町で、ムーサ・ハリルさんという男性が食料を調達しに出た間に自宅が爆撃にあい、地下室に避難していた家族が生き埋めになり、48時間かけてティールの赤十字に行き(15キロに2日!)支援を要請、綿密なプランを立てた赤十字がいろいろと算段して2日後にようやくマルーブに行くも、手遅れだったこと。ベイルート郊外のDahiyeで自動車部品販売という「男社会」で優秀な販売員として働いていたラミス・ナハルさんが、激しい爆撃のため避難を余儀なくされ店も休業するほかないという状況で、15歳のときから続けてきた赤十字でのボランティア活動で、自分と同じく避難を余儀なくされた人々のために支援物資の輸送などに従事していること。

もう少し検索してみたら、米赤十字のサイトの2003年の記事が出てきて、そこにはphoto courtesy of Marko Kokic, Canadian Red Crossとあるので、Kokicさんはカナダ出身の方なのかもしれない。お名前はバルカン半島を感じさせるが、読み方はわからない。「コキッチ」か「コキッチュ」か? 北米生まれで英語読みで通しているという場合は「コキック」かもしれない。



【画像】2006年7〜8月のレバノン南部の攻撃の様子。赤ければ赤いほど爆撃されている。青いのは最新の爆撃のあったところ。左の端のほう(沿岸)にあるのがTyre。元画像はCCライセンス。
lebanon-aug12.png
※過去ログ、レバノンを「見える化」するいくつかの情報源。@2006年08月01日も参照。

ICRCのサイトでもう少し見てみたら、2006年12月15日(戦闘が終わって4ヵ月後)の記事があった。ここにも「畑の中のクラスター爆弾子爆弾」の写真がある。

15-12-2006 Stories from the field
Cluster bombs: the menace in a Lebanese garden
http://www.cicr.org/web/eng/siteeng0.nsf/html/liban-stories-151206

この記事で報告されている事例もまた絶望的な気分にしてくれる。なんでこういう場所でクラスター爆弾なんか使うかね。そりゃ、現場では住民はいなかったもしれない(2004年のファルージャなどとは違って)。しかしそれは避難していただけで、戦争が終われば人々は戻ってくる。それはわかってるはずなのに、結果的に地雷になるものを使う。違法じゃないからOKといえるのかもしれないが、その法はこういう事態を想定しているんだろうか。国際赤十字はそこを変えようという動きを主導している。(上記リンク右コラムより引用:The ICRC also offered to host an international expert meeting early in 2007, to discuss the development of new rules of international humanitarian law to specifically regulate these weapons.)

レバノン南部のYohmorに家族とともに暮らしているフセイン・アリ・アハメド・アリさん(70歳)は、戦争中は家族を連れて山に疎開していた。イスラエルの爆撃でフセインさんの家は焼けてしまい、戦争が終わって戻ってきたフセインさんは、瓦礫に混ざっていたり地面に落ちたりしている子爆弾の除去作業が完了するのを待ってから、自宅を建て直していた。

9月9日の朝、フセインさん夫婦は娘と一緒に家の前でお茶を飲んでいた。そのときに庭のレモンの木が伸びすぎていることに気づいて、剪定しようと作業に取り掛かった。

フセインさんが剪定する枝に手を伸ばすと、木に引っかかっていた子爆弾が落ちてきて、フセインさんの頭を直撃した。奇跡的に助かりはしたものの、フセインさんは庭の反対側まで吹き飛ばされ、頭蓋骨が損傷したために左半身不随となり、言葉も話せなくなってしまった。

さらに、記事にはこのようにある。
This is a common story in southern Lebanon - or not quite: Hussein and Mothmina are getting on in years, their daughters and three sons are grown up, almost all of them are married and have children. Unlike other victims, Hussein no longer has to worry about feeding his children and his 18 grandchildren; he does not have to work in fields infested with unexploded ordnance just so his family can eat.

【日本語化】
これはレバノン南部ではありふれた話である――いや、そうでもない。フセインさんとモスミーナさんの夫妻は結婚して長く、子供たちは成人して、ほとんど全員が結婚して子供もあるくらいだ。フセインさんは子供や孫を食べさせていくことはもう心配しなくてもよい。家族が食べられるために、不発弾がそこらじゅうにあるような畑で仕事をする必要もない。しかし彼以外に被害にあっている人たちはそうではない。

フセインさんが半身不随になって3ヶ月、熱心に夫の介護をする妻のモスミーナさんは、表情こそ穏やかではあるが、一言もしゃべらない。両親2人の面倒を見るようになった娘のスアドさんが「あの爆発を見てから、母は別人になってしまいました。ショックだったんですよね。ぼうっとして、物忘れがひどくなって」と言う。

対人地雷でもクラスター爆弾の子爆弾でも、「将来のある子供たち」がたくさん被害にあっています、という訴えは頻繁に見るし、「一家を支える働き手」が被害にあってしまった、というレポートもある(それらが「逆境にもくじけない人間の強さ」という「美談」として現れることすらある)。でも70歳のおじいさんが被害にあったケースについて詳しく読んだのは初めてだ。こういうことを私はこれまで想像してみただろうか?

ICRCの今年1月31日のレポートでは、自宅の裏手にあるぶどうの木に「ビニールが引っかかってる」と思って手を伸ばし、被害にあった22歳のムハンマド・ハッサンさんのことが書かれている。

31-01-2007 Stories from the field
Lebanon: the war is over but cluster bombs keep maiming
http://www.cicr.org/web/eng/siteeng0.nsf/html/stories-lebanon-310107

ムハンマドさんは左脚を失った。赤十字が話を聞きにきても本人は無表情でほとんどしゃべらず、家族に説明を任せている。家族は戦争中は疎開していたそうだ。父親のファデルさんが「停戦後に軍(レバノン国軍)が子爆弾の除去作業を行ないましたが、すべてが除去されたとはとてもいえない状態でした。今もまだたくさん残っていますよ、そこらじゅうに」と語る。

ファデルさんは農家だ。昨年は、戦闘でダメにならなかった作物の収穫もできなかった(子爆弾で地雷原化していたので)。持っていたお金は息子の治療費に消えた。リハビリに毎日通うのに車を借りる必要もあり、出費はかさむ。18ヶ月もすれば、脚をつなぎとめている金属のロッドを取り外す予定だが、それまではムハンマドさんが歩けるようになるか、働けるようになるのかもわからず、「2度目の手術費が出せるかどうか」とファデルさんは語る。

写真を撮らせてください、と取材者が言ったとき、家族はそろって「どうぞ」と言ったが、それまで反応をほとんど示さなかったムハンマドさんがこのとき初めてきっぱりとした態度で、首を横に振った。

だからこのレポートには、「痛々しい被害者」の写真はない。

このレポートによると、昨年の34日間の戦争で、タバコ畑やオリーヴの果樹園が多くあるレバノン南部には少なくとも100万個の子爆弾がばら撒かれた。特定されているだけでも800箇所が地雷原化している(contaminated)。除去作業はまず学校や家屋、市街といったところが優先され、農地は後回しにされた。この結果として、農民は収入の道を断たれてしまった。オリーヴもぶどうもタバコも、せっかく育てたのに、夏に戦争で被害を受け、秋に戦争が終わったと思ったら畑は地雷原になっていて収穫ができない。(「冬に使えばいい」というアントワネットめいた話ではないので。念のため。)

レポートには、「クラスター爆弾は、砲弾のタイプによるが、15〜40パーセントが不発となって残る」とある。8月14日の停戦以降、クラスター爆弾の子爆弾で死んだ一般市民は少なくとも18人、負傷したのは136人。国際赤十字は国際人道法のもとでのクラスター爆弾の使用制限を訴えているが、それは一般市民への被害があまりに大きいからだ。



クラスター爆弾 (cluster bomb) について:
http://en.wikipedia.org/wiki/Cluster_bomb

en.wikipediaにUnexploded ordnance(不発弾)という項目があるので、内容をかいつまんで日本語でメモしておこう。(ウィキペディアの日本語版にはその見出しはないので。)ソースは原文参照。

# 日本語版のウィキペディアはちょっとアップデートはほどこしてきたけれど、項目見出しで「クラスター爆弾に関する批判・風評」と、「批判」と「風評」が一緒にされていて、これはいかがなものかと実は私は思う。いかなるトピックであれ、「風評」は多くの人が自分にわかるところだけ拾って単純に解釈していくところに生じるもので、まっとうな「批判」とは切り離さなければならないと思うんだけど。って「ノート」に書けって。

※以下の引用枠中、誤訳や誤記は私の責任ですが、「その情報は正しくない」といったことは原文(英文ウィキペディア)の責任であり、私には基本的にどうすることもできません(英語はまあアレですが、こんな記事に手を入れられるほど知識がない)。ちなみにベースにしたのはこの版

※以下は厳密な翻訳ではなく、内容のメモ程度のものです。

クラスター爆弾の子爆弾(cluster bomblets)の不発弾(UXO)は、何かの調子で不発になったもの(dud)や、場合によってはあらかじめ後になってから爆発するように設計されているものもあるが、どちらの場合も子爆弾は不発なだけで生きており、触られるなどすると爆発する可能性がある。このため、民間人でも軍人でもそのエリアに入った者を傷つけることになる。つまり、子爆弾の不発弾(UXO)は結果的に地雷のように作用しうる。

完全に爆発するよう設計されたクラスター爆弾であっても、着弾時の衝撃で爆発しない子爆弾(submunition)というものは常にいくつかはある。米国製の、M26搭載のMLRS(M77 submunitionsを使用)の場合、不発弾の割合は5パーセントほどということになっているが、実際には16パーセントである【ここ、原文のソースはペンタゴン】。91年湾岸戦争時にテストされたこのタイプのクラスター爆弾では不発率は23パーセントだった。大砲で発射するM483A1 DPICM【<Dual-Purpose Improved Conventional Munition】では、不発率は14パーセントと報告されている【ここ、原文のソースはHRWで、そのソースはペンタゴン】。使われ方を考えると、戦闘終結後に大量の不発弾が残されることとなり、2006年のレバノンでの戦争では、国連の専門家は100万個の不発弾が残されたとの見解である。

さらにまた、CBU-87で用いられるBLU-97/B のように、一般市民に手を触れないよう警告する意味で鮮やかな色をしている子爆弾もある。しかし、小さくて見た目は危険そうに見えない上に、このカラフルさが仇となり、子供がおもちゃだと思い込む。この問題は、2001年から現在も続くアフガニスタンでの戦争で深刻化した。この戦争で米軍が空から投下した人道支援物資はBLU-97/Bと似た黄色いケースに収められていたのである。(支援物資のパッケージは、この後、このような混同を防ぐために、黄色から青に変更され、さらには透明に変更された。)

米軍は不発率をぐっと低め1パーセント未満にした新型のクラスター爆弾を開発中である。【ここ、原文のソース、1993年の予算の説明書】 しかしながら、過去において、新型でより効率のよい(efficient: 「不発率が低い」の意味か?)クラスター爆弾の製造が、古いタイプの爆弾を倉庫からなくしてしまうほど、量的に十分に製造されたことはない。【ここ、原文で「ソース求む」】


また、上で参照したFASのページからも、子爆弾についてメモ。最新型のもののことではないけれど、基本として:
http://www.fas.org/man/dod-101/sys/dumb/cluster.htm
SUBMUNITIONS
Submunitions are classified as either bomblets, grenades, or mines. They are small explosive-filled or chemical-filled items designed for saturation coverage of a large area. They may be antipersonnel (APERS), antimateriel (AMAT), antitank (AT), dual-purpose (DP), incendiary, or chemical. Submunitions may be spread by dispensers, missiles, rockets, or projectiles. Each of these delivery systems disperses its payload of submunitions while still in flight, and the submunitions drop over the target. On the battlefield, submunitions are widely used in both offensive and defensive missions.
→つまり、クラスター爆弾は広範囲をあまねくカバーすることを目的としており、submunition(クラスター爆弾の中身)としては、小爆弾、榴弾、機雷/地雷があり、それらには爆発物や化学物質が入っており、用途は対人、対物、対戦車、二重用途、また焼夷兵器、化学兵器としての用途もある。submunitionは、それが入っている容器が空中にある間に拡散し、標的に着弾する。戦場ではsubmunitionは攻撃にも防御にも広く用いられる。

Submunitions are used to destroy an enemy in place (impact) or to slow or prevent enemy movement away from or through an area (area denial). Impact submunitions go off when they hit the ground. Area-denial submunitions, including FASCAM, have a limited active life and self-destruct after their active life has expired. The major difference between scatterable mines and placed mines is that the scatterable mines land on the surface and can be seen. Placed mines may be hidden or buried under the ground and usually cannot be seen.
→つまり、submunitionの目的は、敵をその場で破壊すること、もしくは敵の動きを遅らせたり防いだりすること。前者の場合は着弾時に爆発する。後者の場合はある時限までくると自爆するようになっている。ばら撒き型の機雷/地雷は地表に置かれ視認可能であるが、placed(埋め込み?)型機雷/地雷は地中に隠されるか埋められることもあり、通常は視認不可能である。(※レバノンやイラクなどでよく報道されている「クラスター爆弾」の子爆弾は地雷ではないはずだが、地雷をばら撒くタイプのものもある、という話。)

The ball-type submunitions are APERS. They are very small and are delivered on known concentrations of enemy personnel, scattered across an area. Like a land mine, it will not blow up until pressure is put on it.
→つまり、ボール型のsubmunitionをAPERSという。非常に小さく、敵兵が集中しているとわかっているところに向けて撃たれ、一帯に拡散する。地雷と同様に、圧力がかかるまでは爆発しない。

The APERS submunition can be delivered by aircraft or by artillery. When it hits the ground, a small fragmentation ball shoots up and detonates about 6 feet above the ground. The area-denial APERS submunitions (FASCAM) are delivered into areas for use as mines. When they hit the ground, trip wires kick out up to 20 feet from the mine. All area-denial submunitions use antidisturbance fuzing with self-destruct fuzing as a backup. The self-destruct time can vary from a couple of hours to as long as several days.
→つまり、APERSは航空機もしくは大砲で発射され、地表に着弾すると小さな球が上に発射され、地表から6フィート(約190センチ)で爆発する。防御に用いられるタイプのAPERS(FASCAM)は地表に着弾するとトリップ・ワイヤが飛び出す(最長で20フィート)。(以下日本語は略)

The AMAT and/or AT submunitions are designed to destroy hard targets such as vehicles and equipment. They are dispersed from an aircraft-dropped dispenser and function when they hit a target or the ground. Drogue parachutes stabilize these submunitions in flight so they hit their targets straight on. The submunitions are also used to destroy hard targets such as vehicles and equipment. The only difference is that the fin assembly stabilizes the submunition instead of the drogue parachute.
→つまり、AMATおよび/もしくはAT submunitionは、車両や装備など硬い標的の破壊を目的とする。これらは航空機から投下される容器に入っており、標的もしくは地表に接触すると機能する。減速用のパラシュートがついており、これが空中を飛んでいるときのsubmunitionを安定させ、標的にまっすぐ着弾するようにしている。硬い物体の破壊のためのsubmunitionは、パラシュートではなくフィンで安定させる。

# 「クラスター爆弾を地雷代わりに」というのは、おそらく、「mineをばら撒くタイプのクラスター爆弾」がある/あったという事実に影響されているのではないかと思います。

なお、英国は、今年の3月に、不発弾になった場合に自爆しないタイプのクラスター爆弾の即時使用停止と廃棄を宣言している。これは世界主要国初らしいのだが(デス・ブラウン国防相によると)、クラスター爆弾は使い続けるが自爆する仕組みになっているのに切り替える、というだけで、クラスター爆弾の全面使用禁止の立場からは「ちがくて!」という声が上がっている。

Britain bans 'dumb' cluster bombs
Last Updated: Tuesday, 20 March 2007, 18:28 GMT
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/6472371.stm
The UK is to stop using cluster bombs that lack self-destruct mechanisms to reduce the risk of civilian casualties, Defence Secretary Des Browne has said.

The weapons, known as "dumb" cluster bombs, will be withdrawn immediately and destroyed, said Mr Browne.


なお、英国のこの決定の前、今年2月のオスロでの会議でオスロ宣言が採択され、2008年中に「クラスター爆弾禁止条約」を作る方向で国際社会は進んでいるのだが(ただしこの「国際社会」には米国、ロシア、イスラエル、中国がいない)、英国はこの会議には土壇場で出席を決めたらしい

オスロ会議前の時点では(下記BBC記事、2月22日付け参照)、英国は米国同様「わが国のクラスター爆弾の使用は国際人道法に則ってますが何か」という態度だったのだが、1ヶ月で方針転換している。おそらく英国は、自爆装置つきの「スマートな」クラスター爆弾の使用を妨げる要素を排除したのだろう。それかEU関連の可能性もあるのかな。ベルギーが2006年2月に使用禁止して、2007年3月にはクラスター爆弾製造企業への投資を違法としている(ベルギーって、動くといきなりすごいことをするよね)。

「わが国のクラスター爆弾の使用は国際人道法に則ってますが何か」言説@2007年2月
http://news.bbc.co.uk/2/hi/europe/6385375.stm
Norway says it wants the weapons to be outlawed by 2008, but some countries, such as Britain and the US say cluster bombs have a legitimate place on the battlefield.

They say their use is already governed by international humanitarian law, and are urging the development of smart cluster munitions that can be better targeted and that do not leave behind many unexploded bombs.


「国際社会」から外れていた米国も7月に毎日新聞のインタビューで「ひょっとして方針転換?」ということをうかがわせている。ただし「方針転換」っていっても英国同様、アホなクラスター爆弾は使えないにしてもスマートなクラスター爆弾なら使えるという方向で、ということじゃないかなと思う。それでも「特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)の枠組じゃないとやだ」と言っていた米国が、何となく態度変化をうかがわせていることは、それ自体が興味深い。(誰だ、英国は米国の愛玩犬って言ってるのは。)

クラスター爆弾:米、部分規制容認も…諮問機関トップ示唆
毎日新聞 2007年7月1日 3時00分
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070701k0000m030135000c.html

 【ワシントン笠原敏彦、大治朋子】不発弾が多数の市民を死傷させているクラスター爆弾について、米国防総省の諮問機関・国防科学委員会のウィリアム・シュナイダー委員長は毎日新聞と会見し、不発率が低いとされる「自爆装置付き」だけを認めるなど、米国が国際的な部分規制を容認する可能性を示唆した。米国は規制条約づくりに反対していただけに、部分規制の容認に転じれば中国やロシアなど反対国の判断にも大きな影響を与えそうだ。

 規制条約について米国は今月、地雷など特定の非人道的兵器を規制する「特定通常兵器使用禁止制限条約」(CCW)の専門家会合で交渉入りすると表明したが、規制の中身については態度表明を避けてきた。シュナイダー氏は会見で「自爆装置のあるものに限るといった規制がありうるのかどうかを視野に、交渉に臨むかもしれない」と述べ、今年11月のCCW締約国会議などで部分規制を容認する可能性を示唆した。

 シュナイダー氏は不発弾で市民や米兵が死傷している問題について「懸念はある。だからこそ米国は自爆装置を付けるなど改良を進めている」と指摘。自爆装置付きなどの「新型」にしたうえで使い続けることは「米国の立場にも合致するだろう」と述べ、クラスター爆弾の一部規制は米国の利益にかなうとの見方を示した。

 一方で、「米国の保有する爆弾の多くがクラスター爆弾なので、全面禁止は米国の利益にならない」とも述べ、ノルウェーなどが主張する全面禁止条約は否定した。……

# 引用部分の最後、「米国の保有する爆弾の多くがクラスター爆弾なので」の部分の「多くが」はmanyなのかmostなのか、manyだとは思うけれども、もっと明示的な日本語はないかな。。。こういうところから「風評」が始まるケースもありそうなので、そこが心配。



本稿においてはbombの訳語はすべて「爆弾」で統一してある。(というか他の場合でもその訳語を用いている。car bomb=「車爆弾、自動車爆弾」など。)bombletは「小爆弾」とした(-letは「小−」を表す接尾辞)。

クラスター爆弾の「子爆弾」については、英語ではbomblet, submunitionなど別の語が用いられているが、「小爆弾」と「子爆弾」を訳し分けても誤変換だと思われて終わるので、文脈に応じてbombletにも「子爆弾」を用いた。

※この記事は

2007年07月08日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 17:32 | Comment(1) | TrackBack(0) | i dont think im a pacifist/words at war | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
2007年7月31日、ガーディアンの写真特集:
http://www.guardian.co.uk/society/gallery/2007/jul/31/charities?picture=330302655
全14点。写真クレジットは最初の1点を除いて
Photograph: Alison Locke/Landmine Action

全体的に、BBCのもの(エントリ本文参照)より、「被害」の状況をはっきりと見せることに重点。7枚目、漁師が魚網にひっかかっていた異物(ボムレット)を取ろうとしたときに爆発し手を失った事例。5枚目、果樹園。こんなところに落ちていてもわからない。
Posted by nofrills at 2007年08月02日 13:42

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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

……全文を読む
▼当ブログで参照・言及するなどした書籍・映画などから▼