kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2007年07月04日

アラン・ジョンストン記者、無事解放。

Alan Johnston released

3月12日にガザ地区で拉致されて以降、4ヶ月近くにわたり、the Army of Islamを名乗るグループに拘束されていたBBCのガザ地区特派員、アラン・ジョンストン記者が、無事に解放されました。上の画像は現時点でのBBC NEWSトップページのキャプチャ。「特別大きなニュース」のときのページレイアウトになっています。

記事は:
BBC's Gaza correspondent released
Last Updated: Wednesday, 4 July 2007, 03:10 GMT 04:10 UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/6267928.stm
BBCの記事にはAFPの写真が使われています。(記事は時間経過とともに更新されると思います。→ UPDATE: がんがん更新されてます。エントリ末尾参照)

AFPさん日本語記事:
http://nofrills.seesaa.net/article/46634551.html?1463702358

アラン・ジョンストン記者、無事解放。: tnfuk [today's news from uk ] via kwout
[コード消去・代替画面挿入/2016年5月]


↑この写真は資料写真。解放時の写真はAFPさんの別のページに。

BBC Newsの報道@BBC World News on YouTube:
http://uk.youtube.com/watch?v=dHhFsdMXa24

写真を見る限り、ジョンストン記者は、もちろん多少は弱っておられるだろうけれども、お元気そうだ。自分の足で立って歩いているのか、誰かに支えられているのかは、出迎えた(?)人たちでもみくちゃ状態なので写真からはわからない(→BBCの記事の右肩についている動画・BBCがYouTubeに上げている動画を見ると、自力で歩いている)。オリーヴ色のTシャツにデニムのシャツという服装で、武装勢力が出したビデオでの赤いようなオレンジのようなスウェットシャツは撮影用の小道具だったのだろうと思う。BBCの記事にあるAFP写真には、ジョンストン記者の後ろにAK47みたいなのが見えるのだけれど、解放の当事者はハマスで写真に写っている出迎えの人たちもハマスの人たちだから、あまり深く気にするようなものではないだろう。BBC記事から:
He was received by Ismail Haniya, a Hamas leader in Gaza. The group had vowed to spare no effort to free him.

...

The BBC reporter was handed over to officials of the Hamas administration in the early hours of Wednesday morning.


2日に、ハマスがArmy of Islamの人(たち)を逮捕したという報道があり(<リンク先、コメントの2つめ、2007年07月03日 00:09のものを参照)、ひょっとしたら「武装した男たちが隠れ家に雪崩れ込んで」といった血なまぐさい事態にもなりかねないのではないかと思っていたのだけれど、そういう事態にはならなかったようで、これはこれ以上ガザ地区が「分断」されないためにもよかったのではないかと思う。

BBC NEWSの映像は、BBC記事の右肩から、もしくはYouTubeのBBC World Newsの公式チャンネル(<UK外からのみ)で。画質はYouTubeのほうが格段によい。

映像ではまず、建物の前から車が走り去る光景で、アナウンサーによると、ジョンストン記者が車に乗って行くところ(映像では記者の姿は確認できない)。記者が乗った車には、ハコ乗りどころか車の外側に人が乗っているが、たぶん警備員(武装している)。

30秒くらいのところで映像切り替わって、建物から出てくるジョンストン記者と彼を取り囲む男の人たち(ハマスの人たちで、一部は武装した警備スタッフ、何人かは背広)と、ものすごい数のカメラ。

スタジオは、エルサレム支局にいるBBC Middle East producerのJoe何とかさん(<聞き取れず:字幕によるとJoe Floto)に、「現時点では、解放実現に関して、細かいことはほとんど何も明らかになっていないが」として話を聞く。Producerいわく「私たちが聞いているところでは、両者の間で交渉が進められたとのことだが、その詳細は数時間もしくは数日で明らかになるだろう。いずれにせよ、114日間拘束されていたジョンストン記者の声は、(現場にいた)BBC記者には、疲れてはいるが健康状態はよく、しっかりしているようだと聞こえたとのことだ」。

スタジオ、「ジョンストン記者が自力で歩いているのを見るとほっとします」。ここでProducerが長期拘束という事態について話をする。映像ではジョンストン記者が人ごみから差し出された録音機材に向かって、笑顔を浮かべて何かを言っている。Producerいわく「数分前に彼と電話で会話をしたBBC記者によると、声は大変にしっかりしていたとのことで、あのようなordealがあったあとでも、アランは元気だということだ」。

スタジオのキャスターが、chaosという言葉を使って「もみくちゃにされる記者」の様子を描写。映像、真ん中にジョンストン記者、両脇に目に見える形では武装していない背広の男性(ハマスの人)、さらにその外側に武装した男性という状況。その輪の外にたくさんの人々がおり、外見から判断するにパレスチナの記者らしき人がジョンストン記者に声をかけるが、警備はその人ごみを抜けて車までたどり着くのが大変そうだ。画面下のテロップ部分に隠れてはっきりとは見えないのだが、ジョンストン記者がカメラに向かってウィンクしたようにも見える。

画面はここでエルサレム支局のProducerとジョンストン記者の2画面に切り替わり、Producerが事件のことを語るが、核心部分(解放がどのように実現したのか)については、先に「しばらくしたら明らかになる」と言っていたように、ここでは触れず、これまでに出された、記者の姿が撮影された2本のビデオについて「いつ録画されたものかが判然としなかったので同僚も家族も不安だった」といったことを説明し、「こうやってガンマンに囲まれつつも自力で歩いているのを見ると、心底ほっとします huge relief for us」と語る。

あとはProducerによる「最近のガザ地区」の解説(それとジョンストン記者拉致拘束事件との関係についてが軸)と「最悪の場合流血の事態の懸念もあったわけで、こうして解放されたことはhuge reliefである」といった解説。映像は先に出てきた「警備陣と一緒に建物から出るジョンストン記者」。これがさっきよりも長いもので、映像もはっきりしていて、これを見ると両脇の男性たちも記者の腕を持っているだけで、ジョンストン記者は誰かの肩を借りたりしておらず、自力で階段を下りていることが確認できる。



以下、追記。

解放前、ハマスの武装部隊がArmy of Islam/the Doghmush familyの拠点を包囲していたことが報道されている。スコッツマン記事:
Hamas militiamen lay siege to Gaza stronghold of BBC man's kidnappers
BEN LYNFIELD IN JERUSALEM
Last updated: 03-Jul-07 00:36 BST
http://news.scotsman.com/international.cfm?id=1039252007

同じ件について、「解放」を報じるガーディアン記事から:
BBC reporter Alan Johnston freed in Gaza
Conal Urquhart in Gaza City
Wednesday July 4, 2007
http://media.guardian.co.uk/site/story/0,,2118037,00.html
From 5.30am yesterday, members of the Hamas police, the Executive Force, took over the rooftops of high rise apartment blocks that overlook the stronghold of the Dogmush family in the Sabra district of Gaza City. The activity was considered as part of a policy to increase pressure on the kidnappers.

The forces closed off all streets in the area and checked cars and individuals who wanted to leave the area. There was sporadic shooting throughout the day and one passerby was shot dead in crossfire.

ああ、直接「解放」への動きでということではなかったにせよ、1人銃撃戦で巻き添えになって亡くなっている。(アラン・ジョンストン記者はそういう事態はいくつも知っているだろうけれども。)

BBC Newsのニュース映像で、エルサレム支局のProducerが何度も「両派の間のtense negotiation」と言っていたのは、このことかもしれない。(「両派」というのはハマスとAoIのこと。BBCならびに英国政府は、ここでは当事者ではない。)negotiationとtense negotiationとでは、シニフィエが違う。ガーディアン記事の下のほうには、At a press conference in Gaza City earlier, Mr Haniyeh said that Hamas hoped to end Mr Johnston's captivity peacefully but retained other options. ともある。

再度、ガーディアン記事から、ハマスがダグムーシュ・ファミリーを包囲したときの様子について:
As darkness fell last night, dozens of Hamas gunmen in black masks moved closer to the Dogmush compound, a mixture of apartment blocks and commercial premises.

The breakthrough was said to have come after pressure from another militant group, the Popular Resistance Committees, who visited the Mumtaz Dogmush to help negotiate a final agreement.

PRCが仲介に入ったということか。
http://en.wikipedia.org/wiki/Popular_Resistance_Committees
※Wikipediaのエントリ、現時点では中立性でdisputeになっている点に注意。

・・・いかんいかん、今こうやってあれこれ見るとすぐに容量いっぱいになって「情報量が多すぎる」とかってなる。

最後に、BBCの記事がアップデートされているのでそのことだけ。
BBC's Gaza correspondent released
Last Updated: Wednesday, 4 July 2007, 05:13 GMT 06:13 UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/6267928.stm

まず、ジョンストン記者は水曜早く(解放のすぐ後)にエレズ・クロッシングを経由してイスラエルに入っている。スコットランドのお父さんとは電話で少し話をした。

ほか、初期報道になかった大きなこととしては、
He later appeared beside Hamas leader Ismail Haniya and thanked everyone who had worked for his release.

...

Appearing at a press conference alongside Hamas leader Haniya, Mr Johnston thanked everyone who had worked towards his release.

つまり、イスマイル・ハニヤ首相(なのか「元首相」なのか、ハマス的にどっちなのかわからないけど一応「首相」としておく)と一緒に記者会見に出て、ジョンストンさんは、解放に向けて尽力してくださったすべての方々に感謝しますと述べた。その記者会見では次のようにも述べた。
"The last 16 weeks have been the very worst of my life," he said. "I was in the hands of people who were dangerous and unpredictable."

"I literally dreamt many times of being free and always woke up back in that room."

Mr Johnston said he was not tortured during captivity but he did fall ill from the food he was served.

He said Hamas' seizure of power in Gaza and its subsequent pledge to improve security in the territory had facilitated his release.

"The kidnappers seemed very comfortable and very secure in their operation until... a few weeks ago, when Hamas took charge of the security operation here," he said.

The journalist said he was moved twice during his spell in captivity.

つまり、「拉致されてからの16週間は私の人生の中で最悪だった。危険で、何をするか予測できない人たちの手のなかにあった」と語った。同じ記事の少し下のほうには、ジョンストン記者はガザ地区に常駐する記者として3年間を過ごしてきており、ガザ地区の人々にはあたたかくもてなしてもらってきていたからこそ、彼を拉致し拘束していた人たちについて "aberration"(通常ではない)という言葉を使って描写した、ということも書かれている。

また、「自由の身になることを、何度も、本当に夢に見たが、目を覚ますとあの部屋にいた」とも語った。拘束されている間に拷問は受けなかったが(解放時の映像でも、ひどく怪我をしているといった様子はまったくうかがえない)、出された食事に中ったことはあると述べた。また、拘束されている間に2度、居場所を移された。

ジョンストン記者が語るに、ハマスがガザ地区で実権を掌握したことと、それにともないハマスが治安を回復すると確約したことが、解放につながった。記者は「拉致犯らは、ハマスが治安作戦を行なうようになった数週間前までは余裕のある態度だった」と語っている。つまり、大まかな構図としては、「AoI対ハマス」だったのだろう。事件が起きたのは、ガザ地区が「ハマス対ファタハ」の「内戦状態」になっていたときで、ひょっとしたらAoIというグループは、そういう混乱に乗じて、ハマスにゆさぶりをかけるつもりだったのかもしれない(AoIとファタハの関係という要素も絡んでくる話だからなんともいえないのだけれども)。

この線で考えると、英国はたまたま巻き込まれただけだということだ。たまたまガザ地区に常駐していた外国人が狙われ、それが英国人でBBC記者だった、ということか。となると、AoIが出した「英国で刑務所に入れられているアブ・カタダを解放せよ」という要求は、ある意味場当たり的なものだった可能性すらある。つまり、さらってきたのが英国人だったから英国で刑務所に入れられている大物の名前を出した、というような。

BBC記事で更新されている部分のことに話を戻して、
Mr Johnston said he stayed aware of efforts to free him by listening to the BBC World Service on the radio.

拘束されている間も記者はラジオでBBC Worldを聞いていた(だから記者解放を求めるデモなどのことは知っていて、それが慰めになったとのこと)。犯人側が「人質」にラジオを与えていたというのは何か意味があるのかな。。。

最後にハマス側の反応。予想を裏切らない。その1:
A senior Hamas official, Mahmoud Zahar, said no deal was done with the kidnappers to secure Mr Johnston's release.

He added that Hamas did not work towards the release "to receive favours from the British government".

"We did this because of humanitarian concern, and to achieve a government aim to extend security to all without fear."

「(ハマスをテロ組織認定している)英国の歓心を買うためではなく、人道的な動機でやったのであり、全ての人々が恐怖を感じることのない社会を作るという政府の目的のためにやった」とマフムード・ザハール氏。「べ、別にイギリスに好かれたくてやったわけじゃないからねっ」というツンデレな話なのかどうか、私は知らない。

UPDATE:
トラバをいただいたhttp://exodus.exblog.jp/6033594さんで知ったのだが、上記のザハール氏の発言は、BBCが記事を更新している間に消えてしまった。exodusさんが見つけておられるGoogleキャッシュを参照。あるいは、Googleキャッシュが上書きされてしまっていたら、私のほうでもGoogle検索を利用して当該の発言があったことを確認のうえ、Google検索結果の画面をキャプっておいたのでそれを参照。(下図、クリックで原寸表示。)

mahmoudzahar-inurlbbccouk.png

なお、BBC記事から引用などしたと思われる記事が、インドのNDTVカナダのTotonto Daily NewsトルコのJournal of Turkish Weeklyなどにあり、ここでもザハール氏の発言は確認はできる。

なお、私自身はBBC記事の更新・編集で記述がぐだぐだになったり、前に書かれていたことが消えたりすることに特に「意味」を読み取ろうとは思わないし、2001年9月11日のBBC中継での発言は「うっかり別の原稿を読んでしまった」だけだと思うが(BBCのうっかりミスの多さを少しは知っているので)、今回のハマスに対する言説の変化は、「英国は弱腰だ」とか「BBCはアンチ・セミティズムに染まっている」というよくある非難への対処ではないかと思う。

# UPDATEここまで。

その2:
A Hamas leader living in exile in Syria, Khaled Meshaal, told the Reuters news agency Mr Johnston's release revealed the failings of the preceding Fatah administration.

"It showed the difference between the era in which a group used to encourage and commit security anarchy... and the current situation in which Hamas is seeking to stabilise security," Mr Meshaal was quoted as saying.

シリアに亡命しているハレド・メシャール氏はロイターに対し、だからファタハじゃダメなんですということを語った。「以前はある集団が治安上の無政府状態を生じさせていた。今はハマスが治安情勢を安定させようとしている」。つまり「やっぱりハマスしかいない」という言説。

あと、記事にはBBCのステートメントへのリンク、ご家族、BBCなど関係者のコメントへのリンクも追加されています。英外務省はもとより、英首相のコメントはまだ(@4日午後3時ごろ:日本時間)。



事態の経過についてはBBC特集ページをご参照ください。完全ではありませんが、当ブログの過去記事もあります。
Alan Johnston banner
※この↑バナーをクリックすると、BBCのサイト内、ジョンストン記者拉致事件の特集ページに飛びます。
当ウェブログでのジョンストン記者関連の過去記事(タグつけてあります)。

※この記事は

2007年07月04日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 12:44 | Comment(3) | TrackBack(2) | todays news from uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
おぉ、解放されたのですね。よかったです。
Posted by うに at 2007年07月04日 22:21
記者会見で新しい髪形も披露されています。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/6270020.stm
(スクロールダウンしてください。写真があります。)

[quote]
He appeared with a cleanly-shaven head, saying one of his first acts after his release was "going to the barbers and getting rid of that just-kidnapped look".
[/quote]
Posted by nofrills at 2007年07月05日 01:05
そうそう、アラン・ジョンストン記者解放でのご記帳は下記でできます。英語でどうぞ。いけない言葉(fu**ingなど)は禁止です。

Alan Johnston freed: Your reaction
http://symy.jp/qje_alanfreed
↑URLが長いので短縮しましたが、BBCのHave Your Sayです。

現状、Moderation queue: 1090になっていますので、反映/掲載までにはかなり時間がかかると思います。

Posted by nofrills at 2007年07月05日 01:17

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よござんした!
Excerpt: tufukさんのところで気になっていた記事。 最悪のニュースにならなくて本当によござんした。 言葉を選んで話せる人だけに、今後どうやって体験を伝えていくのか興味深いところ。 出来るならば、まだま..
Weblog: レム睡眠に入る前
Tracked: 2007-07-04 18:37

≪GOOD NEWS≫ やった!アラン・ジョンストンが帰ってきたよ!
Excerpt: 114日間囚われの身となっていたBBCガザ特派員アラン・ジョンストンがとうとう釈放された!おめでとう,ジョンストン! 3月12日にガザ市の自宅に帰る途中マスクした犯人たちに銃を突きつけられて何処..
Weblog: エクソダス2005《脱米救国》国民運動
Tracked: 2007-07-06 14:46





【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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▼当ブログで参照・言及するなどした書籍・映画などから▼