kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2018年08月12日

【実例】"The team is 〜" か、"The team are 〜" か(集合名詞とアメリカ英語とイギリス英語)

サッカーのワールドカップのときに、英国のメディアの試合実況記事を見ながらちょこちょこ書いていた「イギリス英語」の特徴的用法について、先ほど読んだ記事で「アメリカ英語」の実例が出てきたので、ささっと書いておこう。これは多かれ少なかれ英語を真面目に(つまり「通じればいいんだよ」的な態度とは離れたところで)勉強しているとぶつかる壁のひとつで、細かいっちゃー細かいところなのだが、こういうところでどうしたらいいかわかんなくなって書き進めなくなってしまうことも多い。こうやって書いて検索可能な形にしておけば、いずれどなたかの役に立つこともあるだろう。

その「特徴的用法」というのは、《ひとつの集団》を意味する語(集合名詞)を単数として扱うか、複数として扱うかということに関するもの。例えばthe teamという語が主語になるとき、be動詞がisになるか(アメリカ英語)、areになるか(イギリス英語)、一般動詞(例えばhave)がhasになるか(米)、haveになるか(英)、という違いがある。

この場合必要なことに絞ってざっくり前提を説明しておくと、「集合名詞」というのは、見かけ上複数形でないものを言う。例えばThe New York Yankeesはそれ自体複数形なのでここで説明する単数・複数のルールとは関係なく常に複数扱いされるのが自然だが、ArsenalとかManchester Unitedとかになるとイギリスでは複数扱い、アメリカでは単数扱いというケースが見られるようになる。音楽のバンド名でも、例えばThe Rolling StonesとかThe Beatlesといったものはそれ自体が複数形だから特にconflictを起こすことはないのだが、BlurとかOasisとかOne Directionとかだとややこしくなる。(ちなみに私がこの「アメリカ英語とイギリス英語の違い」に気づいたのは、NMEとかMelody Makerを毎週読んでたときのことで、インターネットなんて環境がないことはもちろん、英語の本(洋書)も今のようには簡単には入手できず、なかなか「これ!」という説明に出会えなかった。)

現代において、一般的な日本の学校で教えられるのはアメリカ英語で、ほとんどの人がその《ひとつの集団》が「まとまって行動しているときは単数扱い、個々の成員について言うときは複数扱い」と習うはずだ(区立中学→都立高校と進んだ私もそうである)。ネット上に数限りなくある英語話者向けの文法解説サイト(多くは書籍に基づいている)でも、そのように説明されていることが多い。例えば、アメリカの専門家が書いた文法解説、grammarbook.comでは:
If these nouns are acting as a unit, use a singular verb.
Example: The team is heading for practice this afternoon.

If the sentence indicates more individuality, use a plural verb.
Example: The team are eating with their families tonight.

--- Subject and Verb Agreement with Collective Nouns

つまり「チームが練習する」ときはチームが1つのまとまりとなって行動しているので単数扱い、「チームがそれぞれの家族と食事する」ときは個々の成員の行動を言うので複数扱いとなる、という説明だ。これがオーソドックスな解説だろう。

しかしこの件について、コメント欄(おお、古き良き、機能しているコメント欄よ!「思いついたことの書き捨て場」でないコメント欄よ!)で次のようなやり取り(質疑応答)が行われている。

joshi sunny says:
Our staff meets/meet on Tuesday mornings to discuss customer complaints.
(ans: meets)
how come ‘meets’ is the answer? my doubt is the staff are going to discuss the customer complaints so i feel like ‘meet’ is the answer…plz explain..

GrammarBook.com says:
In your sentence the word staff is a collective noun that is acting as a unit. Therefore, in American English, it is treated as a singular noun and uses the singular verb meets. However, in British English, the staff are would not be considered wrong.

真面目に英語を勉強した人なら集合名詞の典型例として頭に入っているはずの "staff" というについての質問で、質問者はこれが単数扱いされることに違和感があるという。それに対してサイトからの回答は「アメリカ英語では単数扱いとなるが、イギリス英語では複数扱いは間違いとはみなされない」。(「間違いとはみなされない」と述べられているし、事実そういうことなのだが、実際には、複数扱いされないケースはほとんど見ないと思う。)

こんなコメントもある。
Ulisses Duarte Zeitune says:
“One team is practicing. Two teams are practicing”. I can´t see what is complicated about that. Singular noun = singular verb; plural noun = plural verb. I read that British people FEEL collective nouns as a group of units, and that´s why they use prural verb forms with them. Therefore, we can conclude that grammar rules are not always based on logic.

確かに、ここらへんは "Don't think. Feel." の域かもしれない。

Thinkしてしまうと、下記のピーターさんのように混乱する(私もかつて混乱したクチ)。
Peter says:
I constantly hear from commentators, “Australia are leading/loosing”. As there is only one Australian team on the field, is this statement correct? I was taught that as Australia is a place, therefore a non participant; only “the Australian/s” is/are winning or loosing.
Which is correct?

GrammarBook.com says:
In American English, we typically use the name of a country as a place, although we also commonly hear “America is leading the basketball game,” or “the United States is losing the hockey game,” etc, during competitions with international teams. We would consider the singular to be correct because the team as a whole wins or loses, not individual members of the team who win or lose. Also, we would consider “America is leading …” to be as acceptable as “the American team is leading …,” and “the Americans are leading the Australians” might sound a bit awkward but is also acceptable. We understand that, in British English, “the team are losing” would not be considered wrong.


で、ワールドカップ期間中にメモっていた実例は、まさに、このピーターさんが言っているようなものだった。「イングランド代表」のEngland, 「日本代表」のJapanのように、非明示的に集合名詞化している国名が複数扱いされているケースだ。



この "Germany are" は、"The German national team are" のことなのだが、その文脈がわかっていないと異様に見えるだろう。「異様に見える」どころか、グラマー(文法)チェックのツールを使っていたら「間違い」と指摘されるかもしれない。(でも英語は用例が大量にあるので、こういう「過剰な指摘」はAI導入で問題なく解消されるはず。)









さて、長くなったが、以上がワールドカップのときに英メディア記事(ガーディアン)で見た、イギリス流の《見た目は単数名詞でしかない集合名詞+are, haveなど複数扱い》の用例集だ。

で、今日見たアメリカ英語の用例はこれ。イスイス団に相当ぶっこんだ取材を行っているNew York TimesのRukmini Callimachi記者(私も何度もR/Tしているし、「まとめ」類でもよく参照している)が、大ヒットしたポッドキャスト、Caliphate(全10回)の取材について、ガーディアンのインタビューに答えている記事である。
“What’s unique about how Isis approaches rape is that they have taken such pains to justify it within Islamic law – they point to verses in the Hadiths that speak about slavery. If you’re in Africa, you end up covering rape in the Congo, or Guinea, or Ivory Coast, and I tussled with this for a long time: I think it’s worse with Isis. In the Congo, when you go and interview [Rwandan rebel group] the FDLR, they completely deny that they rape. Isis doesn’t deny it. They embrace it. They not only say: ‘Yes we did it,’ they say: ‘Here’s why.’ There’s something almost diabolical about it.”

--- Rukmini Callimachi: the podcasting terror expert getting into the minds of Isis


"Isis approaches" と《集合名詞+単数扱い》であるが、一方でこれを受ける代名詞はtheyである(もちろん複数扱いで、"they have")。

もう少し後のほうに "Isis doesn't deny it" という箇所がある。これも《集合名詞+単数扱い》で、その直後は代名詞を用いて "They embrace it" としている。

これがアメリカ英語だ。というか、うちらが学校で習う標準的な文法だ。

イギリス英語だったら、 "Isis approach.... They have....", および "Isis don't deny it. They embrace it" という形になるはずだ。

何もこんな例文で文法メモを書こうとしなくてもよいのだが、たまたま気づいたので。

そして、たまたま気づいたときにざくっと書いてしまわない限り、永遠に書きそうにもないので。



集合名詞の単数扱い・複数扱いの件は、ネット上にたくさん解説や議論が書かれているが、なかなか探しづらいかもしれない。用語としてはsingular plural collective nounsあたりを使って検索するとよいだろう。

下記のフォーラムもなかなか充実している。(引用に際し、改行などを改めた箇所がある)
https://english.stackexchange.com/questions/1338/are-collective-nouns-always-plural-or-are-certain-ones-singular
British English treats collective nouns (corporations, departments, etc.) as plural. American English treats them as singular. The size of the group is irrelevant.
answered Sep 13 '10 at 13:21, In the Booley House

This is not true. 'British English' treats (or rather most people in the UK treat) collective nouns as either singular or plural, depending on whether the group is being considered as a composite whole, or the individual members are being considered (this practice being known as notional agreement):
- The team was founded in 1876.
- The team were seen drinking till all hours in the 'Drockiwooney' last Thursday.
Edwin Ashworth Apr 15 '14 at 8:47

@EdwinAshworth Yes.
- Wednesday are beating United.
But
- Wednesday is a Sheffield football club who play at Hillsborough.
WS2 Mar 2 '15 at 8:09


ああ、こんなのもある。これ、確かにそうっすね。単数形だと「Google社」(当時。今はAlphabet社)ではなく「Googleという検索エンジン」に読める。
I'm English (brought up near Oxford), and usually use the plural. For example, I used to work with an organisation called the Institute for Fiscal Studies, and I was accustomed to writing “the IFS are”, not “the IFS is”. Or, speaking of local politics: “Oxford City Council do not build enough council houses”, rather than “Oxford City Council does not build enough council houses”. I didn't consciously decide to use this syntax: it's just how I was brought up, so it is probably typical of British English, at least in my part of England.

I've just discovered an ambiguous formulation which I feel vindicates my habit. There was a recent legal case where Google forced the founder of a cheap-alcohol-search Web site to change its name from Groggle to Drinkle.

So the question is whether to write “Google have a lot of lawyers” or “Google has a lot of lawyers”. In my opinion, the latter is ambiguous, because “Google” in the singular could denote the search engine -- which, not being animate, doesn’t own lawyers or anything else. Using the plural eliminates the ambiguity.
https://english.stackexchange.com/a/56312


こういう話を読んでると楽しくて2時間でも3時間でもすぐ過ぎてしまうので、この辺で。

ちなみに、こういうときの手軽な「バイブル」、江川の英文法解説を参照してみても、この件については通り一遍のことしか書いていない。よく読むと含みを持たせた記述ではあるのだが、江川先生もここにはあまり深入りしてもしょうがないと判断なさったのだろう。
英文法解説
英文法解説

SwanのPEUには「特にBritish Englishでは複数形として扱うことができる」というはっきりした記載があった。旧版しか手元にないんだけど。
Practical English Usage, 4th edition: (Hardback with online access): Michael Swan's guide to problems in English
Practical English Usage, 4th edition: (Hardback with online access): Michael Swan's guide to problems in English



参照しているガーディアンの記事は、もちろん、「英語のサンプル」として読み流せる内容では全然ない。だが、それについて書くとしたら、このエントリではない。

※この記事は

2018年08月12日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 10:00 | 英語/実例 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする





【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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▼当ブログで参照・言及するなどした書籍・映画などから▼