kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2015年08月26日

「現実」を「テーマパーク」としてパッケージしてみたらどうなるだろう、というBanksyの試み

BanksyのDismalandは、日本語圏でさえも大いに話題になっている。が、見てみると――これは英国外の英語圏でもあまり変わらないのかもしれないが――、「こんなにしちゃって、ディズニー的に大丈夫なのか」とかいう、かなりどうでもいいことでの注目が多くて(ディズニーのパロディはこれまで大勢がさんざんやってきたことだ)、見て損した、という気分にさせられる。それもまた、「dismalな地」であるDismalandの体験の一部なのだろう。

というわけで。

【情報量大量】Banksyの「テーマパーク」、Dismalandはこういう文脈で、こんなものがある。
http://matome.naver.jp/odai/2144042121228240301


書けるだけのことは書いたつもりだが、まだ収まりきっていない。

例えば、Banksyがこの「テーマパーク」に入れたイメージと入れていないイメージ。

これは入れたイメージ。









一方、こちらは入れていない(らしい)イメージ。といっても私は既にオンラインで公開されている「展覧会の中身」の写真やビデオしか知らないので、実はどこかに入っているのかもしれないが。(あるいは参加アーティストの作品で、この光景を描き出しているものがあるかもしれない。)




Banksy自身は、今年2月にガザ地区に行き、アーティストとして(あるいは「芸術テロリスト」として)活動してきた。トンネルの中も見ているし、「トンネルを抜けるとそこは瓦礫の山だった」という体験もしているし、それを撮影した映像を公開してもいる。



Banksyの見たガザ地区については、上述の「まとめ」の1ページ目に書いてある。
http://matome.naver.jp/odai/2144042121228240301

ちなみに、このBanksyの「観光客誘致ビデオ」には、ガザの若者たちのレスもついている。2014年夏のイスラエルによる攻撃で破壊されたままの建物や緑の草原を、彼らがパルクールしながらたっぷり見せてくれる。解説の言葉も気が利いている。



いずれにせよ、Banksyが「ディズマル(陰鬱な)」というコンセプトで、この「ディズマル」な施設(15年前に閉鎖された海岸リゾートの娯楽施設)の敷地にパッケージしたのは、「ファンタジー」ではなく「ナイトメア」ですらなく、「現実」と向かい合った「芸術としての表現」だ。

それでもそれは、安心して消費することのできる「ディズマルなもの」だ。主人公がひどい目にあわされてばかりの暗いトーンのドラマのようなものだ。

「現実」は、消費することはできない。(消費しようとする人たちもいるけど。)




「ランド」への入り口のチェックがdismalだというのは、EU外からの外国人として英国に行く人(特に白人でない人)が毎度イミグレで味合わされるものにきっとよく似ているだろう。コンセプトとしてはイスラエルとパレスチナの間の「検問所」なども入っているかもしれない。そういう意味では「現実」だが、Dismalandの入り口での体験は、ディズニーランドの入り口で係の人が笑顔で迎えてくれるのと同じように、「この先に何があるのだろう」というい観客の期待を高める装置だ。

たとえば映画館の入り口にはそういう装置はない。無表情だったり、「普通に丁寧で親切」だったりする人がいて、チケットを受け取ってちぎって返すだけだが、対応は極めてドライで機械的だ。映画館のもぎりの人がディズニーランド的に過剰な笑顔だったり(「この映画、とぉーっても、楽しいんですよぉ!」)、ディズマランド的に過剰な仏頂面だったりしたら(「なんでこんな映画見るわけ。1時間半あったらもっと有効な使い方あるでしょ」)、そのお客さんにとって映画そのものが損なわれる。

ディズマランドの入り口にそういう「装置」が設置されていると聞いて、反射的にBanskyってやっぱりおもしろいなと思ったのだけど、なぜ自分がそれを「おもしろいな」と思ったのかを少し考えてみてたどり着いた(浅い)結論が、そういうことだ。

そういう「ランド」は、入って行ったあとは出ることができるのだけど、現実はそういうわけにはいかない。

そこでDismalandでおもしろいのは、「ランド」から出てきた後に観客が直面する「現実」がどうなのか、ということだろうと思う。

この企画を美術館や博物館ではなく、完全なストリートでもなく、「閉鎖して15年放置されてきた娯楽施設」を会場に行なったという点に、改めて「すごいな」と思う。

しかもそんないい場所が、都合よくブリストル(バンクシーの出身地)のすぐ近くにあるとか。

いや。たぶん「ブリストルのすぐ近く」に限らず、あちこちにあるのだと思う。

さて、上記の「まとめ」を書くときに、20日のプレス公開日に各メディアが取材した(したがって「従業員の対応」などについての情報のない)記事をかなり参照したのだが、最も読んでよかったと思ったのがガーディアンの下記記事だ。バンクシーの新作そのものは10点(シンデレラの馬車を含め)だそうだ。

Banksy's Dismaland: 'amusements and anarchism' in artist’s biggest project yet
Mark Brown Arts correspondent
Thursday 20 August 2015 14.09 BST
http://www.theguardian.com/artanddesign/2015/aug/20/banksy-dismaland-amusements-anarchism-weston-super-mare

「ランド」の建設は、街の人には丸見えだった。




なのにこれがバンクシーの企画だということが発覚しなかったのは:

The artist’s biggest project to date had been shrouded in secrecy. Local residents and curious tourists were led to believe that the installations being built in a disused former lido called Tropicana were part of a film set for a Hollywood crime thriller called Grey Fox.


映画『アルゴ』か! でもあの映画はディズニー社じゃない(笑)

「従業員」も「映画のエクストラを募集します」という求人広告で集めたという(Visitors will be welcomed by depressed staff in pink hi-vis jackets, all recruited when they answered a local paper ad for film extras)。地元の劇団員かなあと思ったのは、あたらずとも遠からずというところか。

The name is a play on Disneyland, but Banksy insisted the show was not a swipe at Mickey and co. “I banned any imagery of Mickey Mouse from the site,” he said. “It’s a showcase for the best artists I could imagine, apart from the two who turned me down.”

Works by 58 handpicked artists ... have been installed across the 2.5-acre site.


園内には「お小遣いローン Pocket Money Loans」というブースもある。

Across the way is a “pocket money loans” shop offering money to children at an interest rate of 5,000%.





これはDarren Cullenというアーティストの風刺プロジェクトで、Twitterでも活動している。






中の人。

Cullen said he had met so many people taking out payday loans who were well aware of how ridiculous the payback was. “As the welfare state is retreating the market is filling the gap in a really predatory way. People are being saddled with insane amount of debt for years.”

Like other artists involved, he has never met Banksy, but he was delighted to be part of the show.

“This place is brilliant. I only knew the minimum amount before I got here,” he said, “but it is so cool. It is just amazing having this much sarcasm in one place.”
Comrades Advice Bureau





こりゃ「文化祭」だな。

そして、ガーディアンの記事にはちゃんと「元The KLF」と書いてある(「現The Orb」ではなく)ジミー・コーティ。遊園地の宣伝リーフレット置き場にこういうのを置いてきたらしい。




Jimmy Cauty, once part of the KLF, is displaying his version of a fun model village complete with 3,000 riot police in the aftermath of major civil unrest.

http://www.theguardian.com/artanddesign/2015/aug/20/banksy-dismaland-amusements-anarchism-weston-super-mare








で、「シンデレラ城」っぽいものの前の池にいるウォーターキャノン(放水車)。




In the moat around the castle is an armour-plated riot control vehicle built to serve in Northern Ireland which is now a children’s slide.


(・_・) 夏なので、よくお会いしますね>北アイルランドの放水車。

一方で、うわさを聞きつけたガーディアンがどういう目にあったかというと:
Word of the project’s true nature emerged this week and newspapers were initially asked not to report details so as not to “spoil the surprise”. When a Guardian reporter visited on Tuesday, security guards shooed him away.

The first official confirmation of the project was made to the Weston Mercury on Thursday when it reported details of a “locals only” day on Friday. Banksy told the Mercury: “I hope everyone from Weston will take the opportunity to once more stand in a puddle of murky water eating cold chips to the sound of crying children.”

The first journalists were allowed in on Thursday morning. Ironically, given Banksy’s mania for anonymity, photo ID was insisted upon.


あははははは、そういうところは「大人の事情」なんだから黙っててあげなよ(笑)。

ガーディアンもけっこうパネェことやってるじゃんね、この記事で。記事の締めくくりがこれですもん。

Organisers say the show will offer an escape from mindless escapism. What does it all mean? “I guess you’d say it’s a theme park whose big theme is – theme parks should have bigger themes,” said Banksy.


ガーディアンは21日にバンクシーのインタビューを出してる。まだ読んでない。




Banksyはさらに25日(YouTubeのタイムスタンプなのでたぶん米国時間。世界の他の多くの地域では26日)にまたプロモビデオを出したようだ。





インタビュー読んだ。
http://www.theguardian.com/artanddesign/2015/aug/21/banksy-dismaland-art-amusements-and-anarchism

一言。

このインタビューと、デイミアン・ハーストの参加の整合性が自分の中で取れないんですが。
タグ:Banksy art

※この記事は

2015年08月26日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 22:00 | TrackBack(1) | todays news from uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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BanksyのDismaland終了。設備は解体され、フランスへ……(何のためにかというと……)
Excerpt: 8月22日から9月27日の期間限定で、ブリストル近くの寂れた海岸リゾート(海水浴場)、ウェストン・スーパー・メアのつぶれたレジャーランドの廃墟化した建物と敷地に手を入れて開催されていた、Amuseme..
Weblog: tnfuk [today's news from uk+]
Tracked: 2015-09-29 08:01





【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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