kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2015年04月01日

辞書に載ってないかもしれませんが、政党の役職のChairmanは「幹事長」です。確認手段など。

はてなのid:miyakichiさんが、ブログで「英国同性婚実現から1年。反対派の予言はこんなに外れてました」という記事を書かれている。「反対派の予言」というか、「宗教右派のホモフォビア言説」で、当方、北アイルランド見てるおかげでそんなのはもう慣れっこっす、問題ないっす、全部スルーするっす(北アイルランドは、プロテスタントの側でトップクラスの政治家がヤングアース論者だったりするので、あえて「程度」と言うけれど「ホモフォビア程度」を気にしていたらニュースが読めない)という態度が身についているのだが、こうして並べていただくと壮観である。

miyakichiさんのブログは、英国のPinkNewsという媒体の記事を紹介していて、言及されているのは英国の人がほとんどだから、「英国の宗教右派」(特に何度か出てくる「スコットランド自由教会」)について何か日本語で参照できるものがあればご紹介したいところだが、あいにく私は日本語でのそういう資料については心当たりがない。日本語圏で「キリスト教は〜〜〜」でひとくくりにしちゃう人があまりにカジュアルに多いこと(それも「知識人」の間でも多いこと)はなんだかねえと思っているのだが、それについて何かを発言することは私がブログという場でできることでもなく、自主的にしたいことでもないし、しなければならないことでもない。

さて、そのPinkNewsの記事で最初に挙げられているのが、保守党の重鎮、ノーマン・テビット(元下院議員。引退後、1992年に一代貴族に叙せられたので今は上院議員)の発言である。この人はIRAのボム(ブライトン爆弾事件)で自身も重傷を負い、夫人を殺されかけたのだが(30年以上経過した今も、夫人はボムで負わされた障碍とともに生きている)、政治的・思想的には、正直ちょっとかんべんしてくださいといいたくなるほどゴリゴリの人で、「英国会議員が国家元首への忠誠を誓うのをやめにして、選挙民に忠誠を誓うべきだ」という主張が出たときに反対論を唱えるうえで「じゃあ何か、これからはEU本部に忠誠を誓うのか」と反駁するなど、なんでもかんでも自分の土俵で極論にして語りたがる傾向があり、私はものすごく苦手だ。余談だが、現在英国は(あまり表舞台ではないところで)1980年代の保守党の大物政治家(たち)による子供に対する性犯罪の横行とその隠蔽というトピックが関心を集めており、ノーマン・テビットはまさにそのときの保守党政権の中にいたのだが、同僚たちが「子供をレイプしていた」ということについて、この人は何と言うのだろうと思っている(その件は進展があるとしたらこの5月の総選挙の結果が出たあとだ)。

で、そのノーマン・テビット、1985年から87年にかけてChairman of the Conservative Partyを務めているのだが、そのchairmanは「党首」ではない。「幹事長」である(ついでに言うと、テビットについて「こういう人」と説明するときに持ち出すべきはChairmanの経歴ではなく、サッチャー政権の閣僚歴任者であること、特に産業貿易大臣の経歴だろう)。

PinkNewsの原文より:
The former Conservative Party chairman Lord Norman Tebbit has discussed...


ウィキペディアより:
A member of the Conservative Party, he served in the Cabinet from 1981 to 1987 as Secretary of State for Employment (1981–83), Secretary of State for Trade and Industry (1983–85), Chancellor of the Duchy of Lancaster (1985–87) and Chairman of the Conservative Party (1985–87). He was a member of parliament (MP) from 1970 to 1992, representing the constituencies of Epping (1970–74) and Chingford (1974–92).


このchairmanが「党首」ではなく「幹事長」であるということは、なぜか英和辞書を見ても載っていない(どころか「総裁」という訳語が多数の中のひとつに表示されていたりする!)のだが、ほかにこの役職を務めたことのある人の経歴説明で確認が取れる。以下、その確認の方法を簡単に書いておく。


まず、ウィキペディア英語版でConservative Party Chairmanのリストを開く。
http://en.wikipedia.org/wiki/Chairman_of_the_Conservative_Party

この中で、日本語圏でも頻繁にニュースになるなど名の知れている(いそうな)人を探す。。。って、ほとんどいないじゃないですかー (´・_・`)

唯一見つけたのがクリス・パッテン。この人は「最後の香港総督」で、日本語圏でも暑苦しいビジネス雑誌などにも出てくるような人だからきっと確認が取れるはず。というわけで、英語版から日本語版へ。
http://en.wikipedia.org/wiki/Chris_Patten
In 1990, John Major made Patten Chancellor of the Duchy of Lancaster and Chairman of the Conservative Party, with responsibility for organising the coming general election campaign.


http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%91%E3%83%83%E3%83%86%E3%83%B3
1979年、庶民院議員選挙に初当選し、1992年4月まで庶民院議員の座を保持している。この間、 保守党財政委員会副議長(1981年-1983年)、下院国防小委員会委員及び下院財政手続小委員会委員(1982年-1983年)、 北アイルランド省担当政務次官(1983年)、教育科学担当閣外大臣(1985年)、海外開発担当閣外大臣(1986年)、環境大臣(1989年)、保守党幹事長(1990年)を歴任した。


年号も一致するし、Chairman of the Conservative Party (Conservative party chair) は「保守党幹事長」でよい。さらにがっつり確認したい場合は、クリス・パッテンについての人名事典などを参照すればOK。

ちなみに「保守党党首」は Leader of the Conservative Party で、キャメロンとかサッチャーとかはこちら。

ちなみに労働党の場合は、「党首」はLeaderで(今のエド・ミリバンド、その前のゴードン・ブラウン、トニー・ブレア……)、「幹事長」はGeneral Secretary(党内のお仕事なので、ニュースには名前は出てこない。私も知ってる名前がない)。労働党所属の国会議員のトップはPLP Chair (Chairman of the Parliamentary Labour Party) で、こっちも知らない名前ばかりがずらり(ただし首相になった人などいくつかの例外あり)。

誰も関心ないと思うけど、アイルランドのシン・フェインの場合は、「党首」はPresidentで、ニュースではSinn Fein (party) leaderとも表される(この30年以上、ずっとジェリー・アダムズ)。ほか、党指導部の中に、Secretary GeneralとChairpersonの2つの役職があり、どちらが「幹事長」なのかよくわからない。

と、このように、英→日翻訳をやっていると「組織内での役職を示す用語」で小一時間(もしくはそれ以上)……ということがよくある。「社長」、「会長」、「常務」、「専務」、「支店長」、「支社長」、「支局長」、「部長」……の類なんだから、さくっと対訳が見つかるだろうと思われるかもしれないが、これがけっこう煩雑である。煩雑であるだけでたいして意味はない作業だ。

最近は、「○○部門ディレクター」のように、日本語にせずそのままカタカナにしている例も見受けられるが、一般的には漢字で表すのが原則。よく使われて「対訳」があるものとして、例えば警察官の階級(「巡査」、「警部」、「警視」、「警視正」……)。これなどは日本の制度でのもので、英語圏(←「海外」、「外国」と言うな)諸国の制度での階級とは完全には一致しない*かもしれない*が、「あれ」のことは「これ」で表すという「対訳、訳語」が決まっているわけだ。その一例として、「警部」は:
警部(けいぶ、英称Chief Inspector)は警察法第62条に規定される日本の警察官の階級の一。警視の下、警部補の上。英語のPolice Inspector及びCaptainの訳語にも充てられる。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%AD%A6%E9%83%A8


で、この「対訳、訳語」が最もややこしい事例のひとつが、英国政治の議会用語や政党用語なのである。何しろ数百年間「革命」や「抜本的な制度の改変」なしで過ごしてきた国家であり(植民地が独立しても「本体」の根幹は変わらずにいる)、用語や細かい決まりごとがめっちゃ時代がかっていたりするのだ。現代の日本語圏で、「奉行」は時代劇か「鍋奉行」などのスラングか、会計ソフトの名称に出てくるくらいだが、それが行政や法執行の現場で今も使われているとイメージすると、だいたいあってるのではないかと思う。

例えば英国では、下院議員(庶民院議員: Member of the Parliament, MP)が任期(というものも英国では*厳密には*ないかもしれない。「慣例」で5年)を全うする前に辞職するときに、近代国家らしく単に「議員が辞職する」ということはできず、国家元首によって別の役職 (Crown Steward and Bailiff of...) に任命されることでMPではなくなるという手続きを踏まねばならないことなど、ジェリー・アダムズがアイルランド共和国の国会議員として立候補をするために、英国のMP(ただしシン・フェインは英議会には出席しないのがポリシー)というステータスを捨てるということを行なうまでは、私はもちろん、英国のジャーナリストですら(よほどの専門的知識がある人は別かもしれないが)「知らなかった」ような話(ニュースでは通常、resigns from the parliamentary seatなどと表されるが、その実態はresignというより形式的役職変更だ、という)。で、この "Crown Steward and Bailiff" って日本語の対訳あるんすか、っていう……。いや、私は単なるブロガーなのでそのまま英語で書いておけば話は済むんだけど、学術論文などで言及する場合は先行訳を探す作業だけでも大変そうだ。

ここまでややこしくはないかもしれないが、議会内での役職、各政党内の役職の肩書きも難しい。基本的なところでは、「閣僚」に数えられる「大臣」は、英国ではMinisterではなくSecretary of State (SoS) と言い、Ministerは「閣外大臣」だ。

個人的に、Secretary of Stateが「大臣」というのが完全にインプットされているので、先日など、米国発の "The secretary of State said..." というような文面の意味を取り損ねた(その文例におけるStateは、同一パラグラフ内で既出の「国務省」を簡略化した表記で、「国務省のその秘書は……と述べた」の意味だと気づくのに数分かかった)。

それでも、「内閣」に関する用語は、ウィキペディアでも単なる箇条書きで整理されているので、ウィキペディアがなかった時代と比べると、格段に楽だ。
内閣の構成

首相・第一大蔵卿・行政機構担当大臣 (Prime Minister / First Lord of the Treasury / Minister for the Civil Service)
副首相 (Deputy Prime Minister)
筆頭国務大臣 (First Secretary of State)
財務大臣・第二大蔵卿 (Chancellor of the Exchequer / Second Lord of the Treasury)
外務・英連邦大臣 (Secretary of State for Foreign and Commonwealth Affairs)
内務大臣 (Secretary of State for the Home Department)
国防大臣 (Secretary of State for Defence)
……

まあ、この辺はまだ何とかなる。このあと、「教育」とか「交通」とかの一般的な大臣職もシンプルだし、「ウェールズ」、「スコットランド」、「北アイルランド」という英国、つまり連合王国の構成要素である各ネイション(これもまた「正確な翻訳」が不可能な用語だ)の担当大臣は、Secretary of State for Walesを「ウェールズ担当大臣」とするか「ウェールズ大臣」とするかの考え方の別はあっても(英語ではforがあるのでわかるが、日本語では「担当」を入れないと、これはウエストミンスターでの役職であり、そのネイションからの代表者ではない、ということがわからない、という考え方がある)、特に難しくはない。

問題は……
庶民院院内総務 (Leader of the House of Commons)
王璽尚書 (Lord Privy Seal)
貴族院院内総務 (Leader of the House of Lords)
枢密院議長 (Lord President of the Council)
首席大蔵大臣 (Chief Secretary to the Treasury) ※引用注: Chancellor of the Exchequer とは別
下院与党院内幹事長 (Government Chief Whip)

また、閣議は首相と閣内相によって行われるが、閣内相ではない以下の役職の者も出席する。
上院院内幹事長 (Lords Chief Whip)
法務長官 (Attorney General for England and Wales)


「王璽尚書」なんて、何て読んでいいのかすらわからないし、字面からは、何をする役職なのか見当もつかない(ウィキペディアでは、知りたければクリックするだけで表示されるのだけど……ちなみに「おうじしょうしょ」と読む)。

さて、一方の政党である。政党の役職の用語は、実は日本語圏でもいろいろあることはニュースを普通に見ていれば誰でも知っている(ただし「大統領」と「首相」の区別をつける必要がないと思っている人にとっては、「言われてみれば……」かもしれない)。党のトップは、自民党は「総裁」、民主党や公明党は「代表」で、日本共産党は「委員長」、社民党は「党首」で……と、各党によってばらばらだ。

だが日本語圏では慣例として、国外の政党のトップについては(各国の共産党は別として)「党首」を使うことがほとんどである。例えばフランスのニコラ・サルコジは:
フランスのサルコジ前大統領が19日、最大野党・民衆運動連合(UMP)の党首選に出ると表明した。
http://www.asahi.com/articles/DA3S11359402.html

フランスの保守系最大野党の国民運動連合(UMP)の党首選が11月29日に行われ、サルコジ前大統領が選出された。
http://www.sankei.com/world/news/141130/wor1411300019-n1.html

……と、朝日も産経も、ここには引用しないが他の大手メディアも、「党首」と呼んでいる。UMPは「連合」であって「党」という名称ではないが、そのトップが「党首」と呼ばれているのは、ドイツのキリスト教民主同盟 (CDU: アンゲラ・メルケルとか、ヘルムート・コールの所属政党) でも同じである。

ただし米国の場合はちょっとややこしい(「さすが英米法」、と言っておこう)。共和党の例だが:
共和党全国委員会(きょうわとうぜんこくいいんかい、Republican National Committee、略称:RNC)は、アメリカの共和党において全国の党組織を統率する委員会の事である。

……

委員長は、各州の代表で構成される委員会委員によって選挙で選ばれる。なお、委員長は政党の党首に相当するが、裏方的もしくは座長的なポストであり他国の政党の党首の地位とは大きく異なる。委員長を務めた者で後に大統領になった者は、2015年現在、第41代大統領ジョージ・ハーバート・ウォーカー・ブッシュ(ジョージ・H・W・ブッシュ)ただ1人である。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%B1%E5%92%8C%E5%85%9A%E5%85%A8%E5%9B%BD%E5%A7%94%E5%93%A1%E4%BC%9A

……と、「政党」としてのトップは「委員長」である。なお、これは民主党でも同じだ。

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梅川 正美 力久 昌幸 阪野 智一

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※この記事は

2015年04月01日

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1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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