kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2007年05月09日

アラン・ジョンストン記者を拘束しているグループから要求

Alan Johnston banner

アルジャジーラのガザ支局に、アラン・ジョンストン記者を拘束しているグループからテープが届けられた。何時間も前に第一報は出ていたが、夜(日本時間)になってはっきりした情報が出るようになっている。テープには武装グループの要求が入っており、その要求は「英国で拘束されている囚人の解放」、特にアブ・カタダの解放を求める内容で、これまでよくあった「イスラエルの刑務所のパレスチナ人を解放せよ」とはちょっと違う。

現時点ではBBCの記事はちょっと記述が混乱しているが(単数形と複数形の扱いとか)、アルジャジーラと合わせて参照すると状況はつかめる。

Demands issued on Johnston tape
Last Updated: Wednesday, 9 May 2007, 10:05 GMT 11:05 UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/6637507.stm

Group claims it has BBC reporter
UPDATED ON: WEDNESDAY, MAY 09, 2007, 4:25 MECCA TIME, 1:25 GMT
http://english.aljazeera.net/NR/exeres/A23773B1-8D4C-4081-A36B-182D91AA8044.htm

さらにロイターとAPも見ておこう。

Gaza group issues demands for abducted BBC reporter
Wed May 9, 2007 8:22AM BST
http://uk.reuters.com/article/homepageCrisis/idUKL09399869._CH_.242020070509
Group Claims It Holds UK Reporter
Wednesday May 9, 2007 12:01 PM
By DIAA HADID
Associated Press Writer
http://www.guardian.co.uk/worldlatest/story/0,,-6619446,00.html

以下、記事からわかる「事実」のまとめ。

ジョンストン記者を拘束しており、今回アルジャジーラにテープを届けたのは、Jaish al-Islamというグループ。英訳すればArmy of Islam、これを日本語にすれば「イスラムの軍」。APによれば、テープは夜の間にアルジャジーラに届けられた。

また、ロイターによれば、同じ録画物がアルカイダなどによってよく利用されているサイトにアップロードされた(The recording was posted on an Islamist Web site often used by al Qaeda and other militant groups)。

テープにはジョンストン記者の姿はなく、BBCの記者証と思われるものが映し出されている。記者がどこにいるか、記者の健康状態はどうかなどは依然として不明。

テープの送り主であるJaish al-Islamは「ほとんど知られていない (little known)」(ロイター)ようだが、前回の怪文書(殺害声明)の主である組織とは違い、「多くはわかっていないが、存在することは知られている」(BBC:The BBC's World Affairs correspondent Mike Wooldridge says that not much is known about The Army of Islam, but that it is a known Palestinian group)というグループであるようだ。

要求の内容は、アルジャジーラによれば、下記の通り:
"We demand from Britain that it release our prisoners and particularly Sheikh Abu Qatada the Palestinian and in this regard we do not forget our prisoners in other infidel countries and we say to all of them free our prisoners or we will do the same to you.

"We won't make an exception for anyone. If you need money to release our prisoners we will give you all you need up to the last dirham we have."

つまり、英国に対し「アブ・カタダ師の解放」を求め、また、他の国に対しても「我々の囚人」がいることは忘れないとし、「すべての国に我々の囚人を釈放するよう求める」という内容のことが「釈放しなければ同じことをあなたに対しても行なう」(つまり、その国の人を拉致する)という一節を伴って記載されている。「要求は例外なし、釈放にカネがかかるというのなら当方の有り金すべてはたいて用意する」とも。

この要求が真正なものであるかどうかはすぐにはわからない。(The authenticity of the tape could not immediately be verified. とロイター。ほかの記事にもそういうことが書かれているかも。流し読みしているだけなのですみません。)

アルジャジーラ掲載の要求文にあるAbu Qatada the Palestinianとは、Abu Qatada al-Filistiniのことで(al-Filistini = the Palestinian)、彼はその名が示す通りパレスチナ人(ベツレヘム生まれ)である(国籍はヨルダン)。Abu Omarという名前でメディアに出ていたこともあるし、「アルカイダの欧州大使」というあだ名もある人物で、英国で14年位活動してた「ラディカルな宗教指導者」だ。英国でのステイタスはレフュジー(宗教的迫害のおそれによる政治亡命、1994年)。何度か逮捕されて保釈されている(ハウス・アレストの状態だと思う)が、2005年8月、ロンドンの地下鉄爆破の1ヶ月ほどあとに逮捕された後はずっと刑務所にいる。
http://en.wikipedia.org/wiki/Abu_Qatada
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/4141594.stm

2005年にイラクでクリスチャン・ピースメイカーズ・チーム(CPT)の人たち4人が拉致されたときは、解放を求める声明を獄中から出した。(その後CPTの人たちは、犯人側がギヴアップしたようで英軍によって救出されたが、1人は救出劇の前に何かがあって殺されてしまっていた。)
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/4506970.stm

しかしこの人が英国で14年間ラディカルなことをやっていた間に「感化」された(ラディカライズされた)というムスリムは、これまで何度もニュースの主役になってきた。9-11のモハメド・アタ、ザカリアス・ムサウィ、「靴爆弾」のリチャード・リードなど。

2001年11月にCNNがインタビューを行なっている。スクリプトあり。
http://archives.cnn.com/2001/WORLD/europe/11/27/gen.qatada.transcript.cnna/

2004年3月にはCBC(カナダ)も。
http://www.cbc.ca/national/news/recruiters/qatada.html

英国は欧州人権条約で訴追・拷問・死刑のおそれのある国に身柄を送還することができないが(右翼が「人権人権で何もできない」と言っているのはこのこと)、今年2月にはヨルダンへの送還に法的にOKが出たはずだ。アブ・カタダはヨルダンで訴追された際に拷問されて自白を強要されたとしている。

あ、記事見つかったので貼っておきます。
http://politics.guardian.co.uk/terrorism/story/0,,2022136,00.html

・・・という人物の身柄の解放を、パレスチナのあまり知られていない武装組織が、BBC記者を人質にとって、英国に要求している、というのが現在見えてきたライン。この要求が出されたのは誘拐から8週間以上も経ってからだ。

で、そのJaish al-Islamはどういう集団なのか。アルジャジーラによると:
http://english.aljazeera.net/NR/exeres/A23773B1-8D4C-4081-A36B-182D91AA8044.htm
She [= Nour Odeh, Al Jazeera's Gaza correspondent] added that Jaish al-Islam was not a group seen on Gaza's streets and only came to prominence last year when it participated in the capture of Israeli Corporal Gilad Shalit alongside the more established Hamas and Popular Resistance Committees.

つまり、元々ガザで活動していたグループではなく、昨年、イスラエルの軍人を捕まえるハマス(の武装部門)などの行動に参加したことで知られるようになったグループ。

BBCによると:
http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/6637507.stm
- Small, Islamist armed group operating in Gaza
- Splinter group of the Popular Resistance Committees
- Seeks liberation of Palestine and an Islamic state
- Influenced by, but not affiliated with al-Qaeda
- Led by Mumtaz Dugmush, also known as Abu Muhammad, a member of a powerful clan
- One of three groups allegedly holding captured Israeli soldier Cpl Gilad Shalit

うーん、PRCの分派で、アルカイダ系ではないが影響は受けている。ということはPRCのよりラディカルな方面か(IRAとINLAの関係?)。リーダーは地域の有力部族の人。

この要求を受けてのパレスチナ自治政府の反応。ロイターによると:
Mohammed al-Madhoun, a political adviser to Palestinian Prime Minister Ismail Haniyeh of Hamas, said the demands made in the audio recording were the same that the group presented privately to the Palestinian government.

"These demands are beyond the boundaries of the Palestinian area and I do not think they are doable," Madhoun said.

Madhoun said the British government had been made aware of the captors' demands but he did not expect Britain to meet them.

"Once again we are demanding that Johnston's captors release him immediately because every day that passes with him in captivity brings more harm to the Palestinian cause and to the image of our people," Madhoun said.

つまり、ハニヤ首相のアドバイザーによれば、今回アルジャジーラに渡されたテープの音声は、当該グループによって自治政府に非公式に渡されたのと同じ録音である。その要求の内容は「パレスチナの外でのことであり、実行可能とは思えない」とPA当局者はコメント。また、「英国政府はこの要求を知らされているが応じることはないだろう」と語り、「ジョンストン記者を拘束していればいるだけパレスチナの大義とパレスチナ人のイメージが傷つけられるのだから、早く解放するよう求める」と。

一方で、時間差もあったのかもしれないが、APでは音声について「よくわからない」とする当局者のコメントが紹介されている。
Haniyeh's spokesman, Ghazi Hamad, said he could not verify the recording.

"According to the tape, yes they are the kidnappers ... but we haven't confirmed this yet," he said.

こちらはハニヤ首相のアドバイザーではなくスポークスマンのコメント。

またAPによると
Officials from Haniyeh's office have recently said they are mediating with the kidnappers to release Johnston. Earlier this month, Haniyeh said the kidnappers were Muslim extremists who had made three demands but declined to divulge more details.

とのことで、ハニヤ首相のほうでは拉致グループと話はしており、今月すでに3つの要求があったとのことだから、英政府はもう少し前に要求内容を知っていたかもしれない。

以上取り急ぎ。



アラン・ジョンストン記者の解放を呼びかけるBBCのペティションに署名をするには下記ページで:
http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/6518185.stm

ペティションの文面と署名の方法についての日本語での説明@このブログの4月12日のエントリ:
http://nofrills.seesaa.net/article/38575455.html



このエントリの冒頭に貼り付けたバナーはBBCがブログで提供しているもの。コードは下記にあります(単にコードを記事入力欄に貼り付けるだけでOKです。単純なHTMLなのでJavaScriptとかが通らないブログでも使えます)。
http://www.bbc.co.uk/blogs/theeditors/2007/04/how_you_can_help.html

※この記事は

2007年05月09日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 22:12 | Comment(1) | TrackBack(0) | todays news from uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
アップデート。

BBC concern at new Johnston tape
http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/6639501.stm

まず、エントリ本文で言及した記事の段階で「BBCの記者証に見えるもの」と表されていたものが「BBCの記者証」であることでコンファームされたもよう。上記URLに写真が出ています(モニタのキャプチャと思われる)。

いずれにせよ何らかのアクションがあったことは、BBCではポジティヴな動きとして受け止めている。

それからエントリ本文で言及したBBC記事の記述が混乱していた理由もなんとなくわかった。下記のYouTubeビデオ参照(BBC World Newsのオフィシャル)。
http://www.youtube.com/watch?v=KvdKGWVl6QU

国際部のMike Wooldrigdeがスタジオで「問題のテープ」について説明している。彼らが要求で「身柄を解放せよ」といっている囚人の人数ははっきりせず、名前も特定されておらず、ただ唯一名前を特定してきたのがアブ・カタダである、と。

また、テープにジョンストン記者自身の姿がないことについてはさまざまな可能性がありBBCは調査中。

それからロイター記事でthe group presented privately to the Palestinian government. といっている件については、BBCのMike Wooldrigdeは "Quite interesting" とコメント。

あとは「政府は政府、BBCはBBCと」いう点を強調。

別のビデオ@BBC World News
Demands on 'Johnston tape'
http://www.youtube.com/watch?v=XF5LYky2dzE

このニューズリール、記事になってないことがけっこう入ってる。例えば犯行グループの声明に「我々はムスリムの兄弟たちが塀のなかに捕らえられ拷問されていることを黙認しはしない」などとあること(ジョンストンの拉致は「報復」と考えられる、とこのニューズリールのBBCの記者はいっている)を述べ、さらにthere's also a demand to release abu-Qatadaという言い方で、アブ・カタダの釈放がメインの要求ではないのかもしれないといった印象を受ける構成。


それから、エントリ本文に書けなかったのですが、ガザはジャーナリストがいなくなってしまっているそうです。滑らかに英語を使うタクシーの運転手さんが生活に困ると話しています。
http://www.youtube.com/watch?v=INnFnJIckU0
http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/6632383.stm

Posted by nofrills at 2007年05月10日 01:09

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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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