kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=


2014年12月01日

「女の子」でも「女性」でも、「ヒーロー」。

「勇気ある立派な行動をした人」を讃えるとき、英語では(少なくとも現代英語では)よく "hero" と言う。

Heroという単語は、ネット上の日本語圏で検索するとアイドル俳優主演の昔のドラマのことばかり表示されて頭が痛くなるが、Weblioでのエントリはこちらで、特に注目すべきは「例文」のセクションだ。例文集の1ページ目をざっと見たところ、性別が確定的な例文は、すべて、男性についての文になっている。 "He is an unsung hero", "They consider him a hero" といった調子だ。

実際、hero には女性形の heroine という表現がある。そして、それが「演劇や小説などの主人公」という意味のときは、その使い分けは正しい。

が、単に「主人公」と言いたいときはleading character, main character, あるいはprotagonistと言うのが一般的だ。例えばシェイクスピアの『ハムレット』の主人公(デンマークの王子、ハムレット)は、その行動はむちゃくちゃで何も「英雄」らしいところはなく、それどころか恋人に暴言を吐き、その父親を殺し、etc etcで最後は自分も死んでしまうという人物で、彼がheroであるかどうかは学校の小論文の課題になる(←リンク先、おもしろいです)が、ハムレットがあの戯曲のmain characterであることは小論文の題材にもならないだろう(protagonistには「善」が含意されているので、まだ議論の余地はあるかもしれない)。

閑話休題。男性が他人の生命を救うような行動を示したときに、heroという表現を用いることには疑問の余地はないだろう。つい先日も「燃えさかる建物の3階から投げ落とされた赤ん坊を、地上でうまくキャッチした男性」が "hero" と賞賛されているニュースがあった(アイルランド)。

ではそのような行動を示したのが女性の場合はどうか。

少なくとも現代英語では "hero" でよい("heroine" を用いる例がないわけではない。救命措置で他人の命を救った女性がカナダのメディアで "heroine" と賞賛されている例や、第二次大戦中のポーランドで危険を冒して床下にユダヤ人をかくまっていたカトリックの女性のオビチュアリで "heroine" が用いられている例がある)。

その一例が下記。アイルランドで、隣人宅の火災に気づいたアンジェラという女性が、その家の住民(高齢の姉妹2人)を救ったというニュース。無事救出された高齢女性2人の親族が、アンジェラさんを「ヒーロー」と賞賛している。
Last night, relatives of the sisters thanked Ms Marshall, the gardaí and neighbours.

In a statement, they described Angela as a “true hero”.

“We are so grateful to Angela not just for the kindness she shows Eily and Noreen on a daily basis but also for her quick-thinking in contacting the gardaí on Saturday,” they said. “She definitely saved their lives.”

http://www.irishexaminer.com/ireland/good-samaritan-saves-miracle-sisters-300267.html


また、別の例。11月15日、ドイツのオッフェンバッハの町のレストランのトイレで、女性たちの「助けて」という叫び声を聞きつけて助けに入った22歳のTugce Albayrakさんという女性が、事後、レストランの駐車場でバットで頭部を殴られて脳死状態に陥った。彼女の23歳の誕生日である28日(金)にご両親が生命維持装置のスイッチをオフにすることを決断した。これを伝えるニュースに、ドイツ全土で彼女を讃える声が上がっているということが次のように書かれている。

Tugce, who was of Turkish descent, is being hailed as a hero across Germany, with thousands of people joining candlelit vigils in her honour outside the restaurant where she confronted the attackers and around the country.

Many held signs in German saying “Danke (thank you) Tugce”, while others wore T-shirts in Turkish that said “Seni seviyoruz” – “we love you”.

http://www.independent.co.uk/news/world/europe/tugce-albayrak-germany-pays-tribute-to-student-killed-for-helping-harassed-women-9892851.html


ちなみに、Tugceさんを襲撃したと思われる容疑者は18歳で、既に身柄を拘束されている。ドイツ大統領のもとには国民からTugceさんを叙勲してほしいという嘆願署名が5万筆も寄せられ、大統領も叙勲を検討し、Tugceさんのご家族にお悔やみのメッセージを送っているという。



英語ではhero/heroineのほか、actor/actressでも「女性についても男性形を用いる」ことがよく見られる。

ジェニファー・ローレンスについて:
The Hunger Games, adapted from Suzanne Collins’ bestselling series, had already staked out more politically conscious territory than Harry Potter and Twilight, the teenage franchises that preceded it. The original film, which was released in 2012, broke box office records and helped make a star of its lead actor, Jennifer Lawrence, who plays the resourceful Katniss, forced to compete in a lethal reality TV competition that is a central part of a future dystopian society.

http://www.theguardian.com/film/2014/nov/11/hunger-games-mockingjay-donald-sutherland-jennifer-lawrence


ティルダ・スウィントンについて:
Yet Swinton says she doesn’t consider herself an actor. “I don’t know what it would take for me to feel like one,” she says. “I understand it’s a strange thing to say because I do keep saying, ‘Yes, I’ll dress up and be in your film.’ But when I hear proper actors talking about their lives and how they approach their work, I feel like I’m up another tree.”

Swinton doesn’t lead an actor’s life. She spends most of her time in the Highlands of Scotland, far from the lights of Hollywood.

http://variety.com/2014/film/news/tilda-swinton-on-why-she-doesnt-consider-herself-an-actress-1201157011/


「ハリウッド黄金期」の(マリリン・モンローの世代の)女優については、"actor" と表現されている例を見つけるのが難しいが、今年亡くなったローレン・バコールは "actor" と表記されている例が少しは見つかる。

Lauren Bacall was a bewitching actor whose husky voice and smouldering onscreen chemistry with her husband Humphrey Bogart made her a defining movie star of the 1940s and who decades later won Tony Awards in the Broadway musicals Applause and Woman of the Year.

http://www.smh.com.au/comment/obituaries/lauren-bacall-bewitching-actor-in-40s-films-and-star-of-broadway-20140813-103hd5.html


カナダのメディアに掲載されているAPの訃報記事も、"Acclaimed actor Lauren Bacall dead at 89 in New York" と "actor" を使っている。



つまり、「"She is a hero" や "She is an actor" という文章は、成立する」ということです。"Hero" は《女性》には使わないからといって機械的に "heroine" に書き換えるような朱入れをしてはダメです。文脈を読む必要があります。

文脈というのは、「物語の主人公」の意味では女性についてheroはあまり使わないだろうということです。Snow Whiteは『白雪姫と7人の小人たち』という物語の中の、(heroではなく)heroineです。性差を強調するのがいやならmain character, protagonistを使う(ただしprotagonistなのかantagonistなのか微妙な場合もあるので、そこはよく考えないといけない)。

一方で、映画『エイリアン』のリプリー(シガニー・ウィーバー)などになるとheroと呼びたい気分になるのですが、そうすると「余計な意味(筆者の主張)」が生じるかもしれず、英語で「中立的」な表現としてはやはりprotagonistやmain characterを使うようです。『エイリアン』と同じ監督で、映画自体がその「gender-neutralであること」についてを扱っている『G. I. ジェーン』(女性の米軍兵士の話)だと、映画評で「heroが女だ」という表現はあるけれど、これは「軍隊ものの映画で新兵へのしごきの話といえば男が主人公と決まっている」という前提を覆す作品だということを強調したいがための書き方のようです。

ちなみに、アメコミのMarvelのサイトにあるCreate your own superheroでは、女性ももちろん選べます。
http://marvel.com/games/play/31/create_your_own_superhero

こんな感じ↓で作れます。

marvel - create your own superhero


オックスフォード実例現代英語用法辞典 <第3版>オックスフォード実例現代英語用法辞典 <第3版>
マイケル・スワン 吉田 正治

Practical English Usage グランドセンチュリー和英辞典 第3版 ロングマン現代英英辞典 [5訂版] DVD-ROM付 Longman Dictionary of Contemporary English (6E) Paperback & Online 現代英文法講義

by G-Tools

※この記事は

2014年12月01日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 19:00 | TrackBack(0) | 英語/実例 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この記事へのトラックバック





【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

……全文を読む
▼当ブログで参照・言及するなどした書籍・映画などから▼