kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2014年07月28日

「ハマスが、ハマスが」と連呼する安易な断定の中、あえて「ハマスとは何か」を考えてみようとする人は、いるんだろうか。

「ハマスのせいだ」論がハバをきかせているが、そもそも「ハマス」とは何かを把握せずに、イスラエル政府とそのお友達の各国政府が呪文のように唱えるのを復唱しているだけではないかというケースがとても多い。さらに日本語圏では、ヤシン師暗殺の前から、「イスラム原理主義組織ハマス」というセットフレーズが横行している。

日本語圏でそもそも「ハマス(ハマース)」が(うちらの制度でいう)「国会」で過半数の議席を獲得した「政党」であるということは、どのくらい認識されているのだろう。

ハマース(アラビア語: حركة حماس‎、ラテン文字転写: Ḥamās、英語: Hamas)は、イスラーム主義を掲げるパレスチナの政党。1987年12月14日にアフマド・ヤーシーンによってムスリム同胞団のパレスチナ支部を母体として創設された。

2004年12月に行われたパレスチナ地方議会選挙において過半数の議席を獲得し、さらに2006年1月のパレスチナ評議会選挙でも定数132の議席中で76議席を獲得した。

正式名称はイスラーム抵抗運動 (حركة المقاومة الاسلامية, Harakat al-Muqāwama al-Islāmīya) で、各単語のアラビア文字の頭文字 (ح (Ḥ), م (M), ا (Ā), س (S)) からハマース (حماس) と通称される。この単語はアラビア語で「激情」も意味する。

一般的に日本のメディアでは「ハマス」と呼ばれ、団体名と合わせて「イスラム原理主義組織ハマス」と表現している。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%B9
※リンクしてあるんですから、リンク先全部読んでください。


私の周囲では、いわゆる「詳しい人」は別だが、「ハマスが政党である」というと「えっ、そうなんですか!」という感じだ。私に確認できる範囲が「マス」であるなどと言うつもりはないが、人々が認識していないということは、「マスコミ」と呼ばれる機関・システムによる「マス」への「コミュニケーション」が行われていないか、失敗しているということだろう。

というか、マスコミ様がばら撒いた用語法では、ハマスは「イスラム原理主義組織ハマス」だ。「国際テロ組織アルカイダ」とか「秘密結社フリーソーメン」とか、そういう感じの用語法だ(この類の用語法に接するたびに「なんとか戦隊ゴレンジャー」みたいな印象を受ける)。

こういう粗雑な用語法、それによる情報操作は珍しいことではない。何しろ、NSAの不法・違法活動について暴露したエドワード・スノーデンについて、「元NSA外注業務請負業者」と言わず、「元CIA職員」と言い続けて平然としているのが、わが日本語圏のマスコミ様だ(おかげで、粗雑な認識しかしていない人が、NSAの活動についても「CIAがまた悪いことを」と認識してしまっていることもある。こうすることでNSAという機関の存在を「語らない・語らせない」ことができる)。

閑話休題。ハマスとよく似た形態の「運動」は世界各地にある。政治組織と、武装組織がひとつの「運動」の両輪になっている、というイメージだ(英語圏では「組織 organisation」ではなく「部門 wing」という表現を用いることが多い)。バスクの「ETA」と「バタスナ」(バスク祖国と自由)。クルドの「クルディスタン労働者党」と「クルディスタン人民解放軍」(PKK)。レバノンの「ヒズボラ」は、レバノン国軍とはまったく別系統の武装組織を有し、イスラエル相手に武装闘争を展開しているし、シリア内戦のような外国への介入事例もあるが、レバノン国内では連立政権の一角を担う(こともある)政党だ。

そういった「政治と武装闘争」の両輪から成る「運動」としておそらく最も広く知られているのは、アイルランドの「共和主義運動 Republican Movement」だろう。アイルランド独立以降の紆余曲折を経てその「運動」の主要な担い手は、1970年代以降は「政治部門」としてはSinn Fein (紆余曲折の過程ではProvisional Sinn Fein)、「武装部門」としてはProvisional IRAである。

彼らRepublican Movementは、アイルランドの統一(祖国統一)の回復のための運動である。しばらくは武力 (physical force) 至上主義を取っていたが、1970年代に何度か、英国政府と極秘裏に接触・交渉するなどし、1981年ロングケッシュ(メイズ刑務所)のHブロックと呼ばれる建物の中でのハンガー・ストライキのリーダー、ボビー・サンズを(シン・フェインではなく)「反Hブロック」の運動として英国会下院の補選で当選させたあとは、これまた紆余曲折ありながらも武力至上主義を捨て、「政治と武装闘争」の両輪で行く方針に転換した。1980年代にシン・フェインの指導部が打ち出した「機関銃と投票箱 Armalite and Ballot Box」というスローガンはそのことを意味する。今に至るも30年以上ずっとシン・フェインのトップを勤めているジェリー・アダムズが、この「機関銃と投票箱」の方針のリーダーだ(文言を考えたのはダニー・モリソン。ちなみにアダムズもモリソンも、60代になった現在Twitterで楽しくおしゃべりしているが、モリソンは、たかが140字でも本気になると超怖い。アダムズは、人前では絶対に怖くならないのが怖い)。

北アイルランドでは、彼ら「リパブリカン運動」と敵対する側、つまり「ロイヤリスト」の側では、基本的に「リパブリカン運動とはIRAのこと」と認識している。より正確には、「Sinn Fein/IRA」という用語で呼んでいる。「シン・フェインは、IRAという素顔を隠す仮面だ」という認識だ。そこでは「シン・フェインの政治家 Sinn Fein politician」は「IRAのテロリスト IRA terrorist」と常に置換可能である(実際、IRAの戦闘員から政治家になった人は、大勢いる。現在北アイルランド自治政府副首相をつとめるマーティン・マクギネス、自治議会議員で警察担当の重鎮であるジェリー・ケリー、党の欧州議会議員であるマルティナ・アンダーソンなど……この人たち、みんなTwitterにいますよ)。

2006年、すでにその6年前にグッドフライデー合意での取り決めどおりに早期釈放されていたロイヤリストのガンマン(「テロリスト」)で殺人犯のマイケル・ストーンが、爆発物を背中にしょって殺人予告を叫びながらストーモントの自治議会の建物に突入するという本人の主張するところの「アート・パフォーマンス」を行なった際、彼は突入前に建物の外壁に「Sinn Fein/IRA」と赤のスプレーペイントで書き付けていたが、それは上のような意味だ。ロイヤリストで反グッドフライデー合意だったDUPが、シン・フェインとの権限分譲の自治政府というやり方に合意したということが、ストーンには我慢ならないことだったようだ。

また、2012年12月以降、ベルファスト市での「英国旗掲揚」ルールの変更(これまで1年365日間掲揚していたのを取りやめ、ブリテン島でのルールと同じように、祝日や王室の特別の日だけにする)に反対するというロイヤリストの運動が起きたあとで、北アイルランド政治のメインストリームにまで影響を及ぼすようになったロイヤリストのフリンジ(極右)では、北アイルランド警察、つまりPSNIが「IRAの言うなりになっている」(この「IRA」は「Sinn Fein/IRA」の意味である)という主張がかねてからなされており、そこでは北アイルランド警察は、PSNIとIRAを足して「PSNIRA」と呼ぶことになっている(この用語でTwitter検索するとすごいのがいっぱい出てくるはず)。こういった人々は、言うまでもなく、シン・フェインを「テロリスト」、「テロ組織」扱いしている。

しかし実際には、シン・フェインは英国において「合法」な政党で、「テロ組織」ではない。一方でIRAは「非合法」である。正確にいえば、英国では「テロ法 Terrorism Act」で「指定団体 proscribed organisation」に指定されている(そのため、IRAのメンバーであるということは違法行為として起訴対象となりうる)。(英国以外にアイルランドでも同等の法律で同様の指定がされている。EUなどでは……あとで)

そして日本語圏のマスメディアではもうずっと以前から、Sinn Feinは「シン・フェイン党」と表記されている(ただしナカグロの有無の表記ゆれはある)。ご丁寧に、原文にはない「党 party」までつけて「説明的」にして、「政党」であることを固有名詞に自ら語らせているわけだ。ちなみに、IRAは「カトリック系武装組織IRA」と表記されていた(ここで「カトリック系」と宗派を持ち出すのはそれはそれでアレなのだが、その話は今は割愛する)。

「政党であるシン・フェイン党」は「カトリック系武装組織と事実上一体の組織であるシン・フェイン党」云々とは呼ばれないし、武装部門と政治部門を一緒に扱う「リパブリカン運動」という用語(これがシン・フェインやIRAの中で使われている用語であるが)も、日本語のマスメディアでは用いられていない(学術論文などでは用いられているにせよ)。おかげで「ジェリー・アダムズは政治家です」と言っても、素直な人は何もいぶかしく思わない(はず)。だからこないだみたいに逮捕されると、何ぞそれは、となる(一方、うちらのようなヲチャは「ぶほっ」となる)。

さて、これを踏まえれば、「イスラム原理主義組織ハマス」という日本のマスコミの用語法が、いかに怠惰なものであるか、いかに「レッテル貼り」として作用しているかがはっきりするだろう。

なぜ彼らが、「シン・フェイン党」のように「ハマス党」と呼ばれていないのか。あるいは「ハマス運動」と呼ばれないのか。

なぜ「アル=カッサム旅団」という武装組織名が、「IRA(アイルランド共和軍)」のようにマスコミの記事に普通に登場しないのか。

そして、「ハマス」と互いに連携を取ってはいるが、組織としては「ハマス」とは別という武装組織について、まともな言及がないのはなぜか。

こういう、何でもかんでも「ハマス」と呼ぶという傾向は、事態がいかに複雑であるかを見えなくさせるだけだ。(同じ現象は、アフガニスタンについても見られる。何でもかんでもタリバンと呼ばれているが、アフガニスタンの民兵集団・武装集団はタリバンだけではない。)

※以上、数日前に下書きを書いたもの。不完全でもアップしないと塩漬けにしてまうので不完全なままアップします。

※この記事は

2014年07月28日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 23:34 | TrackBack(0) | i dont think im a pacifist/words at war | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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