kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2012年10月22日

ハミス・カダフィは何度でも死ぬ。

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※このショーン・コネリー、えらい修正されててほぼ誰だかわからんレベルですな。(個人的にそういうレベルの修正を「ガガ級」と呼んでいる。)

フィクションの世界で伝説の諜報部員、ジェイムズ・ボンドは2度死ぬらしい (You Only Live Twice)が、現実の世界で「リビアの独裁者」の息子、ハミス・カダフィは何度でも死ぬ。

#Libya: Timeline of #Khamis Gaddafi's death(s) by @acarvin
http://chirpstory.com/li/28999




事の起こりは昨日、20日の夜(日本時間)のことだ。Twitterの画面内がにわかに騒がしくなった。



カダフィ政権のスポークスマンとしてメディア対応にあたっていたムーサ・イブラヒムが身柄をとらえられた、とミスラタのrebels (って今は政府側? もう用語法がよくわからん) が主張している、という。

上記のツイートはFTのMENA特派員の@borzouさんによるものだが、ほかにも、MENAのジャーナリスト筋(と、それを受けてRTする報道機関のプロデューサー筋)がほぼ一斉にこの件をツイートしていた。

それは、ムアンマル・カダフィが穴倉から引きずり出されて、やんちゃなクソガキらしき人物に殺されてから「ぴったり1年」の日のことで、「偶然ですね」としか言いようがない。

しかしこの「ムーサ・イブラヒム拘束」報道、後が続かない。「後が続かない」というか、いつまでたっても同じ情報の繰り返しで、それが事実であるということを示す情報が出されない。

「要人を拘束した」という公式筋の発表がガセであることは2011年以降のリビアではデフォである。「拘束しますた!」報道の直後に、満面の笑みにピースという姿で、支持者に囲まれて現れたカダ次男などはひときわ記憶に鮮明だ。

2011年10月20日に「ムアンマル・カダフィ拘束」が伝えられたときも、だから、多くの人が「ほんとかよ」と斜に構えていた。本当だということが確信できたのは、穴倉(土管)からひっぱり出されてぼこられて血だらけになってみじめな姿をさらしていた、あの写真が公開された後のことだ。携帯電話のカメラで撮影されたあの写真が(そう、何も特別な道具は必要ではない)、それが「事実」であることを説得力ある形で人々に伝えた。

しかしムーサ・イブラヒムについては、いつまでたってもそれが出ない。







↑のあと寝て、起きたあと↓



そんなことを書いてる間に……





ハミス・カダフィはムアンマルの息子の1人(長男は前妻の子で影が薄い。次男があのチャラ男、三男はイタリアでサッカー選手してた道楽者で、五男もチャラかったが確か彼は2011年に死亡。ハミスは七男)。「ハミス旅団」と呼ばれる軍の精鋭部隊を率いている。昨年以降、一体何度「死んだ」ことか……というのが、上掲のChirpstoryだ。学校や会社をズル休みする子の「おばあちゃん」よりずっと多く死んでると思う。
http://chirpstory.com/li/28999

……と思ったらTwitterで@spearsdenさんからこんな話が。


もはや「ゾンビ」というのもはばかられるwww

で、こういう「情報戦」があったということは、どこかがかなりの状態になっていることは予想される。その「まずい状態」と、「あれからぴったり1年」とを重ね合わせて事態を誤魔化そうとしているんじゃないか、という声がある。下記は米CNNの記者のツイートだが、リビア人が(英語で)そうツイートしているのも私は確認している。こういうのは「陰謀論」かもしれないが、残念ながらリビアに関しては、このような深読みを「陰謀論だ」と断定できる感じではない。




「バニ・ワリド Bani Walid」は、私は昨年のリビアの動乱のときにはじめて聞いた名前だが、リビアの西部、ミスラタの近くにあり、昨年の動乱では「カダフィ支持者の拠点のひとつ」という文脈でかなり頻繁にニュースに登場した。

その地名が再びニュースでよく見られるようになったのは、10月に入ってからだ。
Pro-government militia, many of whom are from the rival town of Misrata, have been shelling Bani Walid for several days.

http://www.bbc.co.uk/news/world-africa-20022213

このように、多くがミスラタから来ている「政府軍」(カダフィ政権を倒した側、元rebels)が、バニ・ワリドに対し、数日にわたって砲撃を加えている。

BBCのこの記述はかなり控えめで、実際にはバニ・ワリドは包囲下にあるようだ。武装勢力は何とでもするだろうからまあどうでもいいが、一般市民が心配だ(昨年のミスラタのときもそうだった)。

どのくらい「心配」な事態かというと、国際赤十字委員会が動いているほどの事態である。

2012.10.11 リビア:緊張が高まるBani Walidへ医療物資を提供
http://www.jrc.or.jp/ICRC/news/463.html
ICRCリビア代表部首席代表Ishfaq Muhammad Khanは、「私たちはBani Walidで続いているという戦闘と、それに伴う現地の状況に懸念を抱いています。ICRC職員はすべての戦闘当事者の合意を得た上でBani Walidに入っています」と説明し、「ここでの使命はミスラタ、Kufra、Sabhaでの活動同様、人々の人道的なニーズに応えていくことです」と続けました。

ICRCはBani Walidの主要病院に対し、重度の負傷者50人を治療するのに十分な医療品と慢性疾患の薬を提供しました。Bani Walidへ派遣されたICRC医療職員のBernadette Gleesonは「今のところ病院が負傷者の治療に対応できているため、患者の避難は行いませんでした」と話しました。

派遣された医療チームはまた、総合病院に重傷度判定検査用の物資を提供しました。

これは、ICRCが継続的にモニターしている、ということを示唆する。つまり、状況はかなり深刻だ。

バニ・ワリドがこうなった直接のきっかけは、たぶんこれだ。

Protests as man who killed Gaddafi dies of injuries
Wednesday, September 26, 2012, 10:16
http://www.timesofmalta.com/articles/view/20120926/world/man-who-killed-gaddafi-is-killed.438489
Omran Ben Shabaan, one of the Libyan rebels credited with capturing Muammar Gaddafi, has died from injuries he suffered when he was kidnapped in July in the oasis town of Bani Walid.

He died in a French hospital where he was sent for treatment for beatings and torture after the authorities secured his release from Gaddafi loyalists.

つまり、ムアンマル・カダフィを土管から引きずり出したrebelのひとりであるOmran Ben Shabaanさんが、バニワリドで7月に(カダフィ支持者らに)拉致され、拷問。負傷した彼は身柄解放後すぐにフランスの(!)病院に搬送されたが、医療の甲斐なく死亡。

彼の葬儀はおおごとになっていた。私のTLではリビア取材をしたジャーナリストたち(アイリッシュ・タイムズノフィッツジェラルドさんら)が細かく、Tw & RTをしていたほか、MENAのアクティヴィストたちの多くがニュースや現地情報をRTしていた。

Libya: Gaddafi 'captor' Omran Shaaban buried in Misrata
26 September 2012 Last updated at 15:57 GMT
http://www.bbc.co.uk/news/world-africa-19727448
The 22-year-old died in France, where he was receiving medical treatment for his injuries.

His body was flown back to Libya, met by hundreds of mourners.

In Misrata, protesters called for the government to avenge his death.

BBC Newsだけ見てると、こういうふうに「感情」の問題だけが表に立っているが、実際、もっとリアルな話もあるらしい、というのはタイムズ・オヴ・マルタ(上掲)。
his family complained that he never received a promised reward of 1 million Libyan dinars ($800,000) for capturing Gaddafi on 20 October 2011.

http://www.timesofmalta.com/articles/view/20120926/world/man-who-killed-gaddafi-is-killed.438489

つまり、リビアの現政府(当時はNTC)は、カダフィに懸賞金をかけていたが、カダ捕獲作戦を実際に行なったOmran Ben Shabaanさんは、その懸賞金を受け取っていないという。

……とまあ、そんな感じ。そのベニ・ワリドについて、(リビアについては妙に腰の重くなった)BBCが報じているのがこの記事。

Libya clashes in ex-Gaddafi bastion Bani Walid
21 October 2012 Last updated at 15:22 GMT
http://www.bbc.co.uk/news/world-africa-20022213
At least 22 people have died in days of fighting in Libya's town of Bani Walid, state news agency Lana says.

It says that some 200 people were injured in the clashes between pro-government militia and gunmen in former leader Muammar Gaddafi's bastion.

in days of fighting と、複数の日数だと述べられているけれど、それにしても数字が大きい。



ところで、ムーサ・イブラヒムとハミス・カダフィについては、こんな顛末になった。みなさん、椅子から落ちないように。@mustafaagは情報源。







私は「ハミス・カダフィ」の名前が出てきた時点で「またか!」と思ったので、その前の段階しかまともに追ってないけど、Twitterのログ:

2012年10月20日(土)
RT @borzou: BREAKING: Misurata rebels claim former Gaddafi spokesman Musa Ibrahim, the voice of Tripoli during war, has been caught http://on.fb.me/UiFr0R
posted at 20:39:20

RT @petersbeaumont: Musa Ibrahim captured, allegedly. The goateed Brit-educated spokesman for Gaddafi. Used to see him in the Rixos with German wife and baby
posted at 20:44:11

RT @LizSly: Not him, surely MT @petersbeaumont: This alleged "Musa Ibrahim" looks too young.Too much hair http://on.fb.me/VmZs7Z Looks like his Mini-me
posted at 22:21:31
※「毛が多すぎる」ってそんなかわいそうな……でもそうなんだけど(この写真は、結局のところ、ムーサ・イブラヒムの弟さんのようです。おされさん)

RT @storyfulpro: LIBYA: Still monitoring rumors of Musa Ibrahim capture but advise CAUTION. Follow @syflnaf/libya for more on that and Gadhafi anniversary
posted at 22:25:15



2012年10月21日(日)
RT @Stone_SkyNews: I suppose it's worth saying that there have been reports that Moussa Ibrahim has been captured before. They turned out to be wrong.
posted at 00:14:37

RT @BBCBreaking: Libya PM office says Musa #Ibrahim, ex-spokesman for Gaddafi, is arrested - BBC seeking confirmation. Details soon http://bbc.in/TmD6SI
posted at 00:18:36

RT @Stone_SkyNews: Ibrahim had German wife & baby son. They'd all eat with us at Tripoli's Rixos Hotel where journalists had to stay. I wonder where they are?
posted at 00:19:31

BBC News - Gaddafi spokesman Moussa Ibrahim 'captured in Libya' http://bbc.in/S79fJ7 これほぼ間違いなくリビア政府側の流したガセネタだ。いまだに写真の一枚も配信されない上に、妻子の話も出てない。
posted at 07:28:54

RT @Eljarh: If news of Khamis & #MusaIbrahim are not true, then a massacre in #BW is being covered up in & our Govt is part of this tragedy #Libya #GNC
posted at 07:59:38

RT @JomanaCNN: Some Libyans believe Moussa Ibrahim & Khamees #Gadhafi reports diversion or reason to justify Bani Walid offensive #Libya
posted at 08:03:40

RT @Eljarh: @sharon_lynch No #MusaIbrahim, No Khamis, indiscriminate targeting of civilians, medical crisis building up in the city.
posted at 08:07:51




なお、9月末にカダフィの追跡を何をきっかけとして誰が行なっていたかとかいう点で驚愕の暴露があったんですが、これも信憑性不明。

Bashar al-Assad 'betrayed Col Gaddafi to save his Syrian regime'
8:00PM BST 30 Sep 2012
http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/africaandindianocean/libya/9577628/Bashar-al-Assad-betrayed-Col-Gaddafi-to-save-his-Syrian-regime.html

※この記事は

2012年10月22日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 03:30 | TrackBack(1) | i dont think im a pacifist/words at war | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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イスイス団団長もまた、何度でも "死ぬ" だろう(「死亡の可能性」は「死亡確定」ではない)
Excerpt: 今日は八王子のほうで雹が降ったとかで天気を確認しようとYahoo! Japanを見てみたら、トップページがこのようになっていた(キャプチャ via kwout)。何でも5月28日にラッカらへんで行なわ..
Weblog: tnfuk [today's news from uk+]
Tracked: 2017-06-16 20:24





【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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▼当ブログで参照・言及するなどした書籍・映画などから▼