kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2012年10月10日

「お茶の間の人気者」で「名士」だった人物の公然の秘密は、あまりにおぞましいものだった。

今のBBC NewsのUKのセクション。今のトップニュースは保守党の党大会だが(キャメロンのスピーチが行われている)、大会が始まる前は下記の「墓石が除去された」というニュースがトップだった。



墓の中にいるのは、「お茶の間の人気者」で「立派な行ないをしている名士」。どのくらい名士かというと、ナイトの称号を持っているくらいに。

記事の写真にあるトリプチカの立派な墓石は、墓の中にいる人物の家族の要請で、水曜日、既に除去され、埋め立て場に持っていかれたそうだ。
http://www.bbc.co.uk/news/uk-england-york-north-yorkshire-19893373

1970年代〜90年代の土曜日の夕方。BBCテレビでは、家族そろって安心してみることのできる楽しい番組をやっている。『ジムにお任せ Jim'll Fix It』。子供たちが手紙に書いて送ってきた「こんなことができたらいいのに」という夢を、番組が実現させるというバラエティだ。

子供たちの「夢」の内容はさまざま。有名な歌手と共演してみたいとか、バスを運転してみたいとか、骨董品鑑定番組で高そうな骨董品をうっかり割ったらどうなるか見てみたいとか(これは「どっきり」企画として実現したそうだ)、ありえない場所で食事をしてみたいとか(ジェットコースターでやって、顔面ごはんまみれになったとか、やんなくたってわかるだろ、ということが子供は大好きだ)。
http://en.wikipedia.org/wiki/Jim%27ll_Fix_It#Well_known_.22Fix-its.22

この番組の顔である司会者(番組名になっているJim)は、ジミー・サヴィル Jimmy Savileという人物だった。
http://en.wikipedia.org/wiki/Jimmy_Savile

1926年、リーズで、カトリックの賭け屋の事務員の息子として生まれたジミーは、1940年代前半(第二次大戦中)に、(生バンドがいない)ダンスホールでレコードをかけるという仕事を始め、1947年にはターンテーブル2台でレコードをかけるというスタイルを最初にやったのだという。50年代にはダンスホールの業界からテレビ・ラジオに転じた。

ラジオで10代の人々の討論番組の司会をするなどしていたジミーは、1964年、BBCテレビで、後に長寿番組となるTop of the Pops(『ザ・ベストテン』的なチャート音楽番組)の初代司会者となる。

『ジムにお任せ Jim'll Fix It』は1975年から94年まで続いた長寿番組だ。70年代に番組を見ていた子の息子や娘たちも、同じ番組を見たことだろう。

2000年には、ルイ・セローが政治家やショービズ界著名人の日常に密着するドキュメンタリー・シリーズ、When Louis Met ... の第一回の取材対象者となったが(ルイ・セローは1970年生まれで、Jim'll Fix Itを見て育った世代だ)、アンケートによると、このシリーズで最も人気があるのがこの第一回だという。

ジミー・サヴィルはまさに、テレビで親しまれた「お茶の間の人気者」という存在だったのだろう。

そればかりでなく、メンサの会員でもありスポーツマンで、チャリティ活動(特に、「パラリンピック」発祥の地となったストーク・マンデヴィル病院の支援活動)にも極めて熱心で、1971年にはOBEに叙せられ、1990年にはナイトの称号を受けた。リーズのカトリックの子で、炭鉱で働いていた彼は、まさに「名士」というよりない人物になったのだった。2011年10月に82歳で死去したときは、英国の各メディアが大きな特集を組み、Twitterでも私がフォローしている英国の人たちがみな、「子供のころのテレビの思い出」などを添えて追悼のメッセージを書いている、という状態だった。

私はこの人物についてのそういう直接の記憶を共有していないので(私が黒柳徹子と久米宏の『ザ・ベストテン』や、大橋巨泉の『クイズ・ダービー』などを見ていた時代のことだ)、死去後の大きな扱いに漂う「大物」感に、へぇ、と思いはしたが、それ以上は特に何とも思わなかった。

そのジミー・サヴィルの名が、死後1年になろうかというときにまた英国のニュースで大きく取り上げられたときは、だから、正直、「ほかのニュースがないのかな」程度に思った。

が、その記事の、一見「芸能スキャンダル」的な扱いの向こうには、「BBCは知っていた」という(「陰謀論」の方々が大好きな「BBCは知っていた」とはまったく別の【←検索エンジン経由でここに来る方への注意書きとして書いておく】)ことが疑われる、という事実があり、つまり非常に深刻な、システマティックな問題があると考えられている。

On 30 September 2012, it was reported by UK newspapers that up to ten women claimed that they had been sexually molested or raped by Savile during the 1960s and 1970s. One of the alleged victims was reported to have been aged 14 at the time. The ITV1 documentary Exposure: The Other Side Of Jimmy Savile was broadcast on 3 October 2012.

http://en.wikipedia.org/wiki/Jimmy_Savile

つまり、2012年9月30日、英国の新聞が、10人の女性が1960年代から70年代にかけてサヴィルから強制猥褻行為を受けていたとかレイプされたといったことを主張している、と報じた。そして10月3日に、ITVが、『暴露: ジミー・サヴィルの別の面』というドキュメンタリーを放送。

複数のメディアによる連携がとられたキャンペーン的なものだと読める。このくらいにまとまって動かないとならなかった、ということだろう。被害者が単独で訴えたところで、ばかばかしいともみ消されるようなことになっていただろう。ジミー・サヴィルはそれだけの「大物」だし、それ以上に「まさか、あの人が」という存在だ。

サヴィルによる性犯罪の被害者だったという人々は、その当時、10代だった。

サヴィル自身は、自分が子供向け番組をうまくできるのは「子供が嫌いだから」だと述べていたという。パソコンを持っていないのも、「パソコンがなければ、いかがわしい画像を持っているんじゃないかと疑われることもない」と、「お笑い」にしてしまっていたという。
http://en.wikipedia.org/wiki/Jimmy_Savile#Sexual_assault_allegations

ITVの番組によれば、サヴィルの被害者はサヴィルのテレビ番組を通じて接点を持つことになったという。
Former colleagues of Savile's said that he made no attempt to hide his interest in young girls from them, while another said she had walked in on Savile French kissing an underage girl. One woman who claimed that Savile had sexually assaulted her at the age of 14 in 1970 explained that she had not pursued her complaint to police in 2008 after being told that it would lead to a "media circus".

仕事仲間は、サヴィルが若い女の子が好きだということは隠していなかったと述べている。1人は、サヴィルが年端もいかぬ少女にフレンチキスをしているのを目撃している。1970年、14歳の時に襲われたという女性は、「メディアが大騒ぎする」ことになると言われて、警察に届けなかったと語っている。(この文のin 2008がどこにかかっているのか不明。)……ITVの番組はこんな内容だった。

それが事実無根ではないという証言は番組放映後も次々と出てきたようで、各メディアのフィードには連日、「ジミー・サヴィル」の名前を含んだ見出しがあった。

ウィキペディアには、このほか、警察がどの程度動いているのかといったことも書かれている。
http://en.wikipedia.org/wiki/Jimmy_Savile#Sexual_assault_allegations

The Metropolitan Police stated on 4 October 2012 that their Child Abuse Investigation Command would lead a process of assessing the allegations, which was "not an investigation at this stage".
(10月4日、ロンドン警察の児童虐待捜査課は、疑惑について調べる作業を行なうと述べた。ただし現段階では「警察による捜査」ではない)

The British Prime Minister, David Cameron, said that he was "truly shocked" by the published allegations, which should be "properly investigated".
(キャメロン首相は疑惑を知って「心底、ショックを受けている」と語り、「きっちりと捜査していただきたい」と述べた)

The Jimmy Savile Charitable Trust stated that it was considering giving funds to those working with victims of sexual abuse, and that it may change its name because of the allegations.
(彼の名前を冠している慈善団体、ジミー・サヴィル慈善トラストは、性的虐待の被害者のための活動をしている人々に資金を提供することを検討しており、また、疑惑を受けて名称を変更する可能性があると述べた)

The Director-General of the BBC, George Entwistle, apologised on 8 October for what had happened, and said that further internal investigations would take place.
(BBCのDGであるジョージ・エントウィッスルは、10月8日、起きたことについて【=お騒がせしたことについて、ではなく】謝罪し、さらに内部調査を進めていると述べた)

http://en.wikipedia.org/wiki/Jimmy_Savile#Sexual_assault_allegations


サヴィルは死ぬまで結婚せず、子供もいないとのことで、墓石を除去することを決定した「家族」はきょうだいやその子供たちだろう(サヴィルは7人きょうだいだったそうだ)。

「疑惑」が公になったあと、BBCはしばらく、「ことを荒立てない方向」で何とかしようとしていたようだ。自局の調査報道の看板番組、Newsnightではサヴィルの件は放送しないと決定したりしていた。しかし、事の深刻さゆえ、その方針は1週間もしないうちに撤回され、もう一つの看板番組であるPanoramaでサヴィルの件を扱うことにしたという。
http://www.guardian.co.uk/media/2012/oct/09/jimmy-savile-bbc-sex-abuse-allegations

最初のITVのドキュメンタリーで疑惑の調査を行なった児童虐待の専門家(元警官)は、さらに、2008年に大きなスキャンダルとなったチャネル諸島の児童養護施設での性虐待問題に、サヴィルが関係している(サヴィルの生前には十分な証拠がなかった)とみている、という。
http://www.guardian.co.uk/media/2012/oct/08/jimmy-savile-jersey-childrens-home

また、警察の追っている線の数がすごいことになってきている。
Scotland Yard said in a press conference on Tuesday that between 20 and 25 women may have been victims of the late Jim'll Fix It presenter.

The Met said it was examining eight direct allegations against Savile, including two accusations of rape and six of indecent assault. The claims span four decades.

The scale of the alleged indecent assault is far greater than previously anticipated. Scotland Yard has maintained that its assessment of the accusations remains a scoping exercise before it decides whether to launch a formal investigation.

http://www.guardian.co.uk/media/2012/oct/09/jimmy-savile-police-inquiry


この不祥事の当事者が、「ナイト」の称号を有していることはいかがなものか、というわけで、キャメロン首相はインタビューで「称号剥奪」の検討の可能性を示唆したのだが、そこは「王国」、このような叙勲の制度には決まりごとがいろいろあるもので、キャビネット・オフィスでは「この場合、死者には称号がないので、剥奪することは不可能」と回答している。
The Cabinet Office confirmed on Tuesday morning that in Savile's case there was no knighthood to revoke, after David Cameron had raised the prospect of the Jim'll Fix It presenter being posthumously stripped of the honour in the wake of allegations of sexual abuse against young girls.

"It's a living order and then you cease to be a member when you die," a Cabinet Office spokesman said. "There isn't an honour to revoke."
http://www.guardian.co.uk/media/2012/oct/09/jimmy-savile-knighthood
よって、この変態野郎は、変態であるということがここまで大っぴらになり、さらに事実として立証されたあとも、なお、「サー・ジミー」であり続ける、ということになる。

この夏の英国の浮かれっぷり、英国人(の男性)金メダルを取ると Arise, Sir ... というジョークがTwitterなどにあふれかえったあの無邪気な「サー」の氾濫からわずか2か月。私は全く別の文脈で、モニタの中の「サー」という語を見ている。

ガーディアンでの記事一覧:
http://www.guardian.co.uk/media/jimmy-savile

※この記事は

2012年10月10日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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